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【発明の名称】 プリンタ
【発明者】 【氏名】長谷部 孝
【住所又は居所】東京都八王子市石川町2970番地 コニカ株式会社内

【要約】 【課題】画像形成時の搬送によって記録媒体がずれたり、不定形の記録媒体が搬送された場合においても、それに応じた記録ヘッドの有効画像領域を認識して、記録媒体に応じた画像形成を行うことのできるプリンタを提供する。

【解決手段】記録ヘッドを往復移動させることで、記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタである。このプリンタは、記録ヘッドの往復移動の際に、検知手段により記録媒体の端部が検知されて得られた検知信号を基に、カウント値を取得する。そして、設定手段が、記録媒体上に画像を形成する前に、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、記録ヘッドとともに検知手段が少なくとも一度走査した際に得られたカウント値を基に、記録ヘッドにより記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】記録ヘッドを往復移動させることで、前記記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタにおいて、前記記録ヘッドの往復移動の際に、前記記録ヘッドとともに前記記録媒体上を移動し、前記記録媒体の端部を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記記録ヘッドの移動距離に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、前記記録ヘッドの移動中に前記パルス信号発生手段が発生する前記パルス信号をカウントするカウント手段と、前記検知手段が前記検知信号を出力した際の前記カウント手段のカウント値を取得するカウント値取得手段と、前記カウント値取得手段が取得した前記カウント値を記録するカウント値記録手段と、前記カウント値記録手段に記録された前記カウント値を基に、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記有効画像領域を記録する有効画像領域記録手段とを備え、前記設定手段は、前記記録媒体上に画像を形成する前に、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、前記記録ヘッドとともに前記検知手段が少なくとも一度走査した際に得られた前記カウント値を基に前記有効画像領域を設定することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】記録ヘッドを往復移動させることで、前記記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタにおいて、前記記録ヘッドの往復移動の際に、前記記録ヘッドとともに前記記録媒体上を移動し、前記記録媒体の端部を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記記録ヘッドの移動距離に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、前記記録ヘッドの移動中に前記パルス信号発生手段が発生する前記パルス信号をカウントするカウント手段と、前記検知手段が前記検知信号を出力した際の前記カウント手段のカウント値を取得するカウント値取得手段と、前記カウント値取得手段が取得した前記カウント値を記録するカウント値記録手段と、予め設定され、かつ前記記録ヘッドにより前記記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域に基づく前記記録媒体の端部の座標を記録する座標記録手段と、前記カウント値記録手段に記録された前記カウント値および前記座標記録手段に記録された前記記録媒体の端部の座標を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記有効画像領域を補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記記録媒体上に画像を形成する前に、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、前記記録ヘッドとともに前記検知手段が少なくとも一度走査した際に得られた前記カウント値を基に前記有効画像領域を補正することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】請求項1または2記載のプリンタにおいて、前記記録ヘッドは1つのインク色に対して複数設けられ、各前記記録ヘッドが、前記記録ヘッドの移動方向に所定間隔並べて配置されるとともに、前記記録ヘッドの移動方向に沿った位置に対応して、前記記録ヘッド毎に前記検知手段が配置されていることを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体上で記録ヘッドを走査して画像形成を行うプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタなどのプリンタは、搬送経路に沿って搬送される記録媒体上を記録ヘッドが走査しながら、記録媒体に応じて設定された画像記録領域内に画像を形成するものである。そして記録ヘッドには、この記録ヘッドにより記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域が、搬送経路に沿って搬送される記録媒体の画像記録領域に対応して設定されており、この有効画像領域に基づいて記録ヘッドは記録媒体上に画像形成を行っている。
【0003】近年、1つのインク色に対して、複数の低解像度の記録ヘッドを用いることで、高解像度の画像を出力するプリンタが開発されている。このプリンタでは、1つのインク色に対する複数の記録ヘッドを、記録ヘッドの移動方向に沿って所定の間隔で並ぶように設置している。そして、1つの記録ヘッドの吐出口のピッチ間に、隣接する記録ヘッドの吐出口が配置されるように、各記録ヘッドは、ずれた状態で設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的に、インク吐出タイミングを補正する手段としては、ユーザーが画像形成作業をスタートする前に、テストパターンを画像形成して、所望の画像形成動作におけるインク吐出タイミングが適正であるか、確認する作業を定期的に行う必要があった。テストパターンとしては、例えば、図3に示すように、基準となる記録ヘッドの吐出タイミングに対して、他の記録ヘッドの吐出タイミングを走査方向に所定量だけずらして、ずれ量の違うものを複数画像形成したものが挙げられる。例えば、一方向の走査のみで画像形成を行う場合には、図3(a)に示すように、8のパターンが最もずれ量が小さいので、この8のパターンを画像形成した際の吐出タイミングに基づいて補正量が決定されていた。また、往復方向の走査で画像形成を行う場合には、図3(b)に示すように、7のパターンが最もずれ量が小さいので、この8のパターンを画像形成した際の吐出タイミングに基づいて補正量が決定されていた。また、不定形の記録媒体に対して画像形成を行うには、その形状が予めプリンタに認識されていないので、不定形の記録媒体に応じた記録ヘッドの有効画像領域を設定するのは困難であった。さらに、サイズや形状の異なる記録媒体を連続して画像形成する場合には、逐一記録媒体のサイズの設定が必要であり、画像形成に手間がかかっていた。
【0005】特に、上記したような1つのインク色に対して複数の記録ヘッドが用いられたプリンタでは、各記録ヘッドが所定間隔あけて並べて配置されており、各記録ヘッドそれぞれの有効画像領域を正確に設定しなければ、同じ走査方向上の吐出位置に吐出する場合においても各記録ヘッドの吐出位置にずれを生じてしまう。これでは、単体で高解像度の記録ヘッドと比較して画像が不明瞭となってしまうので、複数の記録ヘッドそれぞれの走査方向上の吐出位置が同じとなるように制御しなければならない。
【0006】本発明の課題は、画像形成時の搬送によって記録媒体がずれたり、不定形の記録媒体が搬送された場合においても、それに応じた記録ヘッドの有効画像領域を認識して、記録媒体に応じた画像形成を行うことのできるプリンタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、記録ヘッドを往復移動させることで、前記記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタにおいて、前記記録ヘッドの往復移動の際に、前記記録ヘッドとともに前記記録媒体上を移動し、前記記録媒体の端部を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記記録ヘッドの移動距離に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、前記記録ヘッドの移動中に前記パルス信号発生手段が発生する前記パルス信号をカウントするカウント手段と、前記検知手段が前記検知信号を出力した際の前記カウント手段のカウント値を取得するカウント値取得手段と、前記カウント値取得手段が取得した前記カウント値を記録するカウント値記録手段と、前記カウント値記録手段に記録された前記カウント値を基に、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記有効画像領域を記録する有効画像領域記録手段とを備え、前記設定手段は、前記記録媒体上に画像を形成する前に、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、前記記録ヘッドとともに前記検知手段が少なくとも一度走査した際に得られたカウント値を基に前記有効画像領域を設定することを特徴としている。
【0008】請求項1記載の発明によれば、検知手段が、記録ヘッドの往復移動の際に、記録ヘッドとともに記録媒体上を移動し、記録媒体の端部を検知して検知信号を出力するので、画像形成前に記録ヘッドが少なくとも一度往路移動もしくは復路移動すれば、搬送経路上にある記録媒体の端部を検知することができる。そして、この検知を基に得られる、記録ヘッドの移動距離に同期したカウント値によって、設定手段が、記録ヘッドにより記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定するので、画像形成時の搬送によって記録媒体がずれたり、不定形の記録媒体が搬送された場合においても、それに応じた記録ヘッドの有効画像領域が認識され、記録媒体に応じた画像形成を行うことのできる。ここで、特別な画像形成とは、画像形成位置のタイミング補正のためのテストパターンなどを画像形成することであり、市場に出回っているプリンタでは、このテストパターンなどを基に最適な画像形成位置となる補正量を加味して画像形成を行っている。しかし、本発明では、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、つまりはテストパターンなどに基づく補正作業を行わなくとも、記録ヘッドとともに検知手段が少なくとも一度走査した際に得られたカウント値を基に、搬送経路上の記録媒体の状態に応じた有効画像領域が設定される。
【0009】請求項2記載の発明は、記録ヘッドを往復移動させることで、前記記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタにおいて、前記記録ヘッドの往復移動の際に、前記記録ヘッドとともに前記記録媒体上を移動し、前記記録媒体の端部を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記記録ヘッドの移動距離に同期してパルス信号を発生するパルス信号発生手段と、前記記録ヘッドの移動中に前記パルス信号発生手段が発生する前記パルス信号をカウントするカウント手段と、前記検知手段が前記検知信号を出力した際の前記カウント手段のカウント値を取得するカウント値取得手段と、前記カウント値取得手段が取得した前記カウント値を記録するカウント値記録手段と、予め設定され、かつ前記記録ヘッドにより前記記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域に基づく前記記録媒体の端部の座標を記録する座標記録手段と、前記カウント値記録手段に記録された前記カウント値および前記座標記録手段に記録された前記記録媒体の端部の座標を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記有効画像領域を補正する補正手段とを備え、前記補正手段は、前記記録媒体上に画像を形成する前に、特別な画像形成を事前に行う必要もなく、前記記録ヘッドとともに前記検知手段が少なくとも一度走査した際に得られたカウント値を基に前記有効画像領域を補正することを特徴としている。
【0010】請求項2記載の発明によれば、予め有効画像領域が設定されるプリンタにおいても、記録媒体上に画像を形成する前に、検知手段の検知を基に得られたカウント値から、有効画像領域を記録媒体に応じて補正するので、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のプリンタにおいて、前記記録ヘッドは1つのインク色に対して複数設けられ、各前記記録ヘッドが、前記記録ヘッドの移動方向に所定間隔並べて配置されるとともに、前記記録ヘッドの移動方向に沿った位置に対応して、前記記録ヘッド毎に前記検知手段が配置されていることを特徴としている。
【0012】請求項3記載の発明によれば、1つのインク色に対して複数の記録ヘッドを有するプリンタにおいても、各記録ヘッド毎に検知手段が配置されているので、複数の記録ヘッドそれぞれの吐出位置が同じとなるように制御でき、各記録ヘッドが走査方向上の同じ位置に吐出する場合に位置ずれが生じ難くなり、単体で高解像度の記録ヘッドと同様に明瞭な画像を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図1〜図2の図面を参照しながら説明する。
【0014】本発明の構成は、記録ヘッドを往復移動させることで、記録ヘッドが記録媒体上を走査して画像を形成するプリンタであれば、如何なるプリンタに適用することができるが、本実施の形態では、インクジェットプリンタに適用した場合について説明する。
【0015】インクジェットプリンタ1の主要構成は、図1に示すように、シート状の記録媒体Pを画像形成時に前方(Y方向)へ搬送させる搬送手段(図示省略)と、記録媒体Pにインクを吐出し画像形成する記録ヘッド2と、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3と、画像形成時などにキャリッジ3を水平方向(X方向)に沿って案内するガイドレール4と、これら各部の制御を行う制御部6とを備えている。
【0016】搬送手段は、画像形成時において、キャリッジ3の動作にタイミングを合わせて、記録媒体Pが搬送経路に沿うように搬送する。
【0017】記録ヘッド2は、インクジェットプリンタ1で用いられるインクの色毎に、複数設けられている。本実施の形態では、図1に示すように、1つのインク色に対して4つ記録ヘッド2が設けられる構成を例示している。この記録ヘッド2は、低解像度(例えば180dpi)の記録ヘッドであるが、上述したように1つの色に対して4つの記録ヘッド2が設けられているので、1回の走査で4倍の解像度(例えば720dpi)の画像形成を行うことができる。
【0018】1つのインク色に対して設けられた記録ヘッド2を例示して具体的に説明すると、記録ヘッド2には、図2に示すように、インクを吐出する複数の吐出口(図2ではA1、A2、A3、A4、A5、B124、B125、B126、B127、B128)が、2列(A列、B列)Y方向(搬送方向)に沿って並んで配置されている。吐出口は、各列ともに所定間隔(例えば、吐出口の7倍の長さ)空けて並んでいる。そして、B列に並ぶ吐出口うち、隣り合う2つの吐出口の中間地点に、A列の吐出口が配置されている。そして1つの色に対して設けられた複数の記録ヘッド2は、記録ヘッド2の移動方向(X方向)に所定間隔並べて、キャリッジ3に配置されている。そして、最も右に配置される記録ヘッド2から順に、1つの吐出口の幅分だけ搬送方向の下流側へずれるように、他の記録ヘッド2が配置されている。
【0019】このように配置された記録ヘッド2により、記録媒体Pにインクを吐出して画像形成を行うと、例えば「H」を画像形成する場合、記録媒体Pの画像記録領域I(余白以外の部分、余白がない場合には記録媒体Pの表面全体)のL1行部分に対応するのは、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口A1であるが、ここでは出力する画素がないので、吐出はしない。そして、記録媒体Pの画像記録領域IのL2行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口A1が対応し、3x列および7x列でインクを吐出する。同様に、記録媒体Pの画像記録領域IのL3行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口A1が対応し、3x列および7x列でインクを吐出する。記録媒体Pの画像記録領域IのL4行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口A1が対応し、3x列および7x列でインクを吐出する。記録媒体Pの画像記録領域IのL5行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口B127が対応し、3x列、4x列、5x列、6x列、7x列でインクを吐出する。記録媒体Pの画像記録領域IのL6行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口B127が対応し、3x列および7x列でインクを吐出する。記録媒体Pの画像記録領域IのL7行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口B127が対応し3x列および7x列でインクを吐出する。記録媒体Pの画像記録領域IのL8行部分は、右側から■番目の記録ヘッド2の吐出口B127が対応し、3x列および7x列でインクを吐出する。
【0020】以上のように、複数の記録ヘッド2が所定間隔並べて配置されることで、一度の走査で高解像度の画像形成を可能としているが、記録媒体Pの画像記録領域I上では同じX座標値の画素であっても、異なる記録ヘッド2が吐出を行うので、各記録ヘッド2の吐出のタイミングを各記録ヘッド2毎に異なる吐出指示(タイミング)を与える必要がある。
【0021】キャリッジ3には、記録ヘッド2に伴って記録媒体P上を移動し、記録媒体Pの端部を検知するセンサ31が、各記録ヘッド2の移動方向に沿った位置に対応して、各記録ヘッド2毎の後方(搬送方向に対して下流側)に配置されている。ここで、センサ31の配置位置は、記録ヘッド2の後端付近であることが好ましく、より好ましくは記録ヘッド2の吐出口のうち、最後端の吐出口付近である。なお、このセンサ31は、記録ヘッド2に直接取り付けられていてもよい。そしてセンサ31は、制御部6と電気的に接続されており、記録媒体Pの両端部を検知して検知信号を制御部6に出力する。また、このキャリッジ3には、記録ヘッド2の移動距離に同期してパルス信号を発生するリニアエンコーダ(パルス信号発生手段)32が、設けられている。そして、リニアエンコーダ32は、制御部6と電気的に接続されており、パルス信号を制御部6に出力する。
【0022】制御部6は、インターフェイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従いインターフェイスに接続された各種機器を制御するようになっている。
【0023】インターフェイスには、キャリッジ3を駆動させるキャリッジ駆動部と、搬送手段と、記録ヘッド2と、センサ31と、リニアエンコーダ32などが電気的に接続されている。
【0024】ROMには、インクジェットプリンタの各部の動作に関する各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0025】RAMは、電力が供給されている間だけ入力されたデータを複数記録可能であり、画像形成される画像データ等の各種データを記録する記録領域とCPUによる作業領域などが備えられている。
【0026】CPUは、ROMに格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムを、RAM内の作業領域に展開し、各センサからの入力信号に応じて、プログラムに従った各種処理を実行する。
【0027】そして、制御部6は、記録ヘッド2の移動中にリニアエンコーダ32が発生するパルス信号をカウントするアップダウンカウンタ(カウント手段)61と、センサ31が検知信号を出力した際のアップダウンカウンタ61のカウント値を取得し、記録するカウント記録手段62と、予め設定され、かつ記録ヘッド2により記録媒体P上で画像の形成が可能な有効画像領域に基づく記録媒体Pの端部の座標を記録する座標記録手段63と、カウント記録手段62に記録されたカウント値、および座標記録手段63に記録された記録媒体Pの端部の座標を比較する比較手段64と、比較手段64の比較結果に基づいて有効画像領域を補正する補正手段65との機能を備えている。
【0028】アップダウンカウンタ61は、パルス信号の発生回数をRAMの記録領域にカウントするものである。このアップダウンカウンタ61は、記録ヘッド2が往路start地点から往路end地点まで往路移動(図1では右方向への移動)する場合には、パルス信号を基にカウント値を増加させる。一方、記録ヘッド2が往路start地点から復路end地点まで復路移動(図1では左方向への移動)する場合には、往路移動の際にカウントされていたカウント値を、パルス信号を基に減少させる。
【0029】カウント記録手段62は、記録ヘッド2が記録媒体Pの左端部上を走査した際のアップダウンカウンタ61のカウント値を第一カウント値として取得するとともに、記録ヘッド2が記録媒体Pの右端部上を走査した際のアップダウンカウンタ61のカウント値を第二カウント値として取得し、これら第一カウント値および第二カウント値を各記録ヘッド2毎にRAMの記録領域に記録する。つまり、カウント記録手段62は、カウント値取得手段と、カウント値記録手段の機能を兼ね備えている。
【0030】以下、一回の往復移動で記録される各記録ヘッド2のカウント値を表す。表1は、往路移動時の各記録ヘッド2の第一および第二カウント値を符号化したものを表している。
【0031】
【表1】

【0032】表2には、復路移動時の各記録ヘッド2の第一および第二カウント値を符号化したものを表している。
【0033】
【表2】

【0034】座標記録手段63には、例えば、インクジェットプリンタ1と接続されるパーソナルコンピュータなどの画像作成装置により、画像形成される記録媒体Pのサイズに応じた記録ヘッド2の有効画像領域が入力されており、この有効画像領域に基づく記録媒体Pの端部の座標を、RAMの記録領域に記録している。
【0035】比較手段64は、RAMの記録領域に記録される第一および第二カウント値と記録媒体Pの端部の座標とを比較して、予め設定された記録ヘッド2の有効画像領域と、実際に画像形成される記録媒体Pの画像記録領域Iに対する記録ヘッド2の有効画像領域とのずれを求める。
【0036】補正手段65は、各記録ヘッド2の往路および復路移動時の第一カウント値や第二カウント値を基に、実際に画像形成される記録媒体Pの状態や形状にあった各記録ヘッド2の有効画像領域を設定し、RAMの記録領域に記録する。
【0037】例えば、第一カウント値と第二カウント値との差(カウント差値)が、予め設定されている有効画像領域の幅に基づく値(基準値)と異なっていると、実際に画像形成される記録媒体Pは、設定されていたものとは異なっていると認識される。このため、補正手段65は、予め設定されていた有効画像領域を、第一および第二カウント値を基に補正する。具体的には、基準値よりもカウント差値が大きければ、たいていの場合、画像は記録媒体P上に収まるので、画像が記録媒体Pの中央に配置されるように有効画像領域を補正する。
【0038】一方、基準値よりもカウント差値が小さければ、画像が記録媒体P上に配置されない場合もあるので、画像のデータから形成される画像の幅を認識し、この認識された幅に基づく値とカウンタ差値とを比較して、画像が記録媒体P上に収まるかどうかを判断する。そして、収まると判断した場合には、画像が記録媒体Pの中央に配置されるように有効画像領域を補正する。このとき、予め設定された記録ヘッド2の有効画像領域が、記録媒体Pの余白を予め考慮しているものであれば、この余白部分を削除して補正してもよい。また、収まらないと判断した場合には、例えば、記録媒体P内に収まる部分だけ画像形成したり、画像全体が有効画像領域内に収まるように、画像のデータを縮小してもよい。
【0039】また、記録媒体Pが幅の一様な方形状のものであることが予め分かっていれば、一度の往復移動で得られた第一カウント値や第二カウント値、カウント差値等を基に、その記録媒体Pの搬送経路上で位置ずれを考慮した有効画像領域を補正することもできる。
【0040】例えば、記録媒体Pが方形状である場合には、往路移動時のカウント差値と復路移動時のカウント差値とは同じ値を示す。そして、記録媒体Pが位置ずれを生じていない場合には、往路移動時の第一カウント値および第二カウント値と、復路移動時の第一カウント値および第二カウント値とは、x110=x111、x210=x211、x310=x311、x410=x411、x120=x121、x220=x221、x320=x321、x420=x421という具合にそれぞれ同じ値を示す。そして、補正手段65はこれら各値を基に、各記録ヘッド2の有効画像領域を補正する。
【0041】しかしながら、記録媒体Pが位置ずれを生じている場合には、往路移動時の第一カウント値および第二カウント値と、復路移動時の第一カウント値および第二カウント値とは、異なる値を示す。このため、補正手段65は、各記録ヘッド2の第一および第二カウント値とカウント差値を基に、記録媒体Pの傾きを求め、この傾きを考慮して各記録ヘッド2の有効画像領域を補正する。
【0042】この制御部6は、インクジェットプリンタ1の動作全体を制御するものであるが、以下画像形成時に行われる制御手順について説明する。
【0043】制御部6は、画像形成開始の指示が入力されると、アップダウンカウンタ61およびカウント記録手段62により記録される記録領域をリセットする。その後制御部6は、記録媒体P上に画像を形成する前(テストパターンなどの特別な画像形成を行う前)に、キャリッジ3を駆動し各記録ヘッド2をインクの吐出を行わせずに往復移動させる。この際、画像形成前の記録媒体Pに応じた各記録ヘッド2の第一カウント値、第二カウント値、カウント差値が得られ、第一回目の走査で画像形成する際の各記録ヘッド2の有効画像領域が設定され、記録されている。
【0044】そして、制御部6は、各記録ヘッド2の有効画像領域を基に、一度の往復移動で画像形成される画像データを変換し各記録ヘッド2の吐出タイミングを決定する。各記録ヘッド2の吐出タイミングが求まると、制御部6は、キャリッジ3を駆動させて各記録ヘッド2を往路移動させ、記録媒体Pの画像記録領域I上を走査させるとともに、決定された吐出タイミングに合わせて各記録ヘッド2にインクを吐出させる。往路移動が終了すると、制御部6は一旦キャリッジ3を停止させておいて、搬送手段を駆動し、記録媒体Pを所定距離だけY方向に搬送させる。記録媒体Pの搬送後、制御部6はキャリッジ3を駆動させ各記録ヘッド2を復路移動させ、記録媒体Pの画像記録領域I上を走査させるとともに、決定された吐出タイミングに合わせて各記録ヘッド2にインクを吐出させる。復路移動が終了すると、制御部6は一旦キャリッジ3を停止させておいて、搬送手段を駆動し、記録媒体Pを所定距離だけY方向に搬送させる。以上の制御手順で、記録ヘッド2の一度の往復移動における画像形成が行われる。そして、この手順を画像形成が終了するまで繰り返す。
【0045】このように、記録媒体Pに画像形成を行う各記録ヘッド2の往復移動毎に、直前の往復移動により得られた有効画像領域を求めることで、画像形成時に走査される記録媒体Pの幅をインク吐出前に認識して、認識された記録媒体Pの幅を基に吐出タイミングが決定される。このため、記録媒体Pの形状や状態が予め分かっていなくても、往復移動毎に記録媒体Pの幅が認識されて、その幅にあった吐出タイミングでインクが吐出される。
【0046】以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ1によれば、予め有効画像領域が設定されていても、センサ31の検知を基に得られた第一および第二カウント値から、有効画像領域を記録媒体Pに応じて補正するので、画像形成時の搬送によって記録媒体Pがずれたり、不定形の記録媒体が搬送された場合においても、それに応じた記録ヘッド2の有効画像領域が認識され、記録媒体に応じた画像形成を行うことができる。また、1つのインク色に対して複数の記録ヘッド2を有していても、各記録ヘッド2毎に記録媒体Pの画像記録領域Iに応じた有効画像領域が設定されるので、複数の記録ヘッド2それぞれの吐出位置が同じとなるように制御でき、各記録ヘッド2が同じ位置に吐出する場合に位置ずれが生じ難くなり、単体で高解像度の記録ヘッドと同様に明瞭な画像を得ることができる。特にインクジェットプリンタ1の組立時や使用時に、各記録ヘッド2が設計時の位置からずれてしまったときには、画像形成時に各記録ヘッド2毎に有効画像領域を補正するので、位置ずれを解消することができ、明瞭な画像形成を行うことができる。
【0047】なお、本発明は上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施の形態では、予め設定されていた有効画像領域を、画像形成される記録媒体Pに応じて補正する構成であったが、予め有効画像領域が設定されていなくとも、往路移動もしくは復路移動毎に有効画像領域を設定する構成であってもよい。具体的には、制御部6が、カウント記録手段62に記録されたカウント値を基に、記録ヘッド2により記録媒体P上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定する設定手段と、設定手段により設定された有効画像領域を記録する有効画像領域記録手段との機能を備えていれば、記録ヘッド2の往路移動もしくは復路移動した際に、設定手段によって、カウント値を基に記録ヘッド2の有効画像領域が設定されるので、記録媒体Pのサイズおよび状態に合わせた画像形成を行うことができる。
【0048】また、本実施の形態では、記録ヘッド2が一度の走査で画像形成する際の有効画像領域は、その走査の直前の往路移動もしくは復路移動で得られた第一および第二カウント値から、設定もしくは補正される構成、つまり一度の走査毎に有効画像領域が設定もしくは補正される構成であるが、記録媒体P上に画像を形成する前に、画像の形成を行うことなく、記録ヘッド2とともにセンサ31が少なくとも一度走査した際に得られたカウント値を基に有効画像領域が設定もしくは補正される構成であってもよい。例えば、記録媒体Pが幅の一様な方形状であることが予め限定されていれば、画像形成走査の直前の往復移動で第一および第二カウント値を得なくとも、画像形成前の最初の往復移動により得られた往路移動もしくは復路移動の第一カウント値、第二カウント値だけで全走査の有効画像領域を設定もしくは補正できる。さらに、往路移動の第一および第二カウント値、復路移動の第一および第二カウント値を用いれば、記録媒体Pの傾きに合わせた有効画像領域を設定もしくは補正できる。
【0049】また、本実施の形態では、記録媒体Pの両端部を検知して、第一および第二カウント値を得る構成であるが、記録媒体Pの一方の端部のみを検知して、その端部のカウンタ値により、有効画像領域を設定もしくは補正することも可能である。
【0050】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、画像形成前に記録ヘッドが少なくとも一度往路移動もしくは復路移動すれば、搬送経路上にある記録媒体の端部を検知することができる。そして、この検知を基に得られる、記録ヘッドの移動距離の同期したカウント値によって、画像記録領域記録手段が、記録ヘッドにより記録媒体上で画像の形成が可能な有効画像領域を設定するので、画像形成時の搬送によって記録媒体がずれたり、不定形の記録媒体が搬送された場合においても、それに応じた記録ヘッドの有効画像領域が認識され、記録媒体に応じた画像形成を行うことのできる。請求項2記載の発明によれば、予め有効画像領域が設定されるプリンタにおいても、検知手段の検知を基に得られたカウント値から、記録媒体上に画像を形成する前に有効画像領域を記録媒体に応じて補正するので、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。請求項3記載の発明によれば、複数の記録ヘッドそれぞれの吐出位置が同じとなるように制御でき、各記録ヘッドが走査方向上の同じ位置に吐出する場合に位置ずれが生じ難くなり、単体で高解像度の記録ヘッドと同様に明瞭な画像を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
【出願日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
【公開番号】 特開2003−326790(P2003−326790A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−135600(P2002−135600)