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【発明の名称】 カラー感熱プリンタ
【発明者】 【氏名】林 伸治
【住所又は居所】埼玉県朝霞市泉水3−13−45 富士写真フイルム株式会社内

【氏名】榎本 寿
【住所又は居所】埼玉県朝霞市泉水3−13−45 富士写真フイルム株式会社内

【要約】 【課題】複数のサーマルヘッドを同時に動作させて複数の記録エリアに対して記録を行う場合に、各サーマルヘッドの搬送負荷変動に起因して生じる濃度ムラの発生を防止する。

【解決手段】カラー感熱プリンタは、イエロー,マゼンタ,シアンの各色毎に専用のサーマルヘッドを持つ。入力された各色の画像データは、画像補正処理が施された後、各色のサーマルヘッドへ送られる。画像補正は、各色毎に設けられた画像補正用CPU67,68,69によって行われる。各画像補正用CPU67,68,69は、各色の画像を1ラインずつ読み出して、各ライン毎に負荷変動量を求める。さらに、各画像補正用CPU67,68,69は、各々が求めた負荷変動量と、他の色用のCPUが求めた負荷変動量とを元に、最終的な補正量を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に異なる色に発色する第1〜第3の感熱発色層を層設した長尺のカラー感熱記録紙を用い、主走査方向に沿って多数の発熱素子が配列され、これら各発熱素子を各色の画像データに基づいて駆動することにより前記各感熱発色層に各色の印画エネルギーを与えて1ラインずつ熱記録する第1〜第3のサーマルヘッドを備え、これら各サーマルヘッドによって、前記カラー感熱記録紙の異なる記録エリアに対して各色の画像をほぼ同時に印画することにより、連続的に複数枚のカラー画像を得るカラー感熱プリンタにおいて、1ライン分の各色の画像データに応じて求めた各色の印画エネルギーと、カラー感熱記録紙に対する第1〜第3の各サーマルヘッドの摩擦係数とに基づいて、各サーマルヘッドにかかる負荷量をライン毎に算出するとともに、記録すべきラインの負荷量とそのラインと隣接するラインの負荷量との差から前記記録すべきラインの負荷変動量を求める第1〜第3の演算手段と、これら第1〜第3の演算手段が求めた各サーマルヘッド毎のそれぞれの負荷変動量を記憶する記憶手段とを設け、前記第1〜第3の各演算手段は、各々の演算手段が求めた記録すべきラインの負荷変動量と、他の2つの演算手段がそれぞれ求めた負荷変動量とに基づいて前記各色の印画エネルギーを補正することを特徴とするカラー感熱プリンタ。
【請求項2】 前記第1〜第3の各サーマルヘッド間で1ラインを記録する印画開始タイミングに位相差がある場合には、前記第1〜第3の各演算手段は、その位相差に基づいて前記各印画エネルギーを補正することを特徴とする請求項1記載のカラー感熱プリンタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各色毎にサーマルヘッドを持ち、これら複数のサーマルヘッドを用いて、長尺のカラー感熱記録紙に複数枚のカラー画像を連続的に印画するカラー感熱プリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱発色層を備えた感熱記録紙をサーマルヘッドで加熱して画像を発色記録する感熱プリンタが知られている。サーマルヘッドには、多数の発熱素子を主走査方向に沿ってライン状に配列されている。感熱プリンタは、サーマルヘッドと感熱記録紙とを副走査方向に相対移動させながら、画像を1ラインずつ記録する。各発熱素子は、1ライン分の画像データに基づいて駆動され、感熱記録紙に対して印画エネルギーを与える。
【0003】感熱記録紙とサーマルヘッドとの間の摩擦係数は、前記印画エネルギーによって変動する。すなわち、印画エネルギーが大きいと、発熱素子の温度が上昇して摩擦係数が低くなり、他方、印画エネルギーが小さいと、発熱素子の温度が下がって摩擦係数が大きくなる。したがって、原画の濃度が急変する部分では、印画エネルギーの変動が大きいため、摩擦係数の変動も大きくなる。摩擦係数が変動すると、感熱記録紙の搬送負荷が変動するので、感熱記録紙の搬送ピッチが変化してしまう。これにより、単位面積あたりに与えられる印画エネルギーが変化して濃度ムラが発生してしまうという問題があった。
【0004】例えば、特開2002−67370号公報には、このような濃度変化に起因する負荷変動が生じても濃度ムラを発生させない感熱プリンタが記載されている。この感熱プリンタでは、各ライン毎にサーマルヘッドの負荷量を求めるとともに、記録すべきラインの負荷量と隣接するラインの負荷量との差から負荷変動量を求め、その負荷変動量に基づいて記録すべきラインの印画エネルギーを補正している。そのため、搬送負荷変動により感熱記録紙の搬送ピッチが変化した場合でも、その変化に応じて印画エネルギーも補正されるから、濃度ムラの発生が防止される。
【0005】ところで、感熱記録紙として、イエロー,マゼンタ,シアンの各感熱発色層を最上層となるイエローから順に層設されたカラー感熱記録紙を用い、このカラー感熱記録紙にカラー画像を記録するカラー感熱プリンタが周知である。このカラー感熱プリンタの中には、長尺のカラー感熱記録紙を給紙して、このカラー感熱記録紙の複数の記録エリアにカラー画像を連続的に印画するものがある。このカラー感熱プリンタには、搬送路上に、イエロー用サーマルヘッド,マゼンタ用サーマルヘッド,シアン用サーマルヘッドが順番に配置されている。各記録エリアには、各サーマルヘッドによってイエロー画像,マゼンタ画像,シアン画像が順番に印画される。各サーマルヘッドは、異なる記録エリアに対して各色の画像を同時に印画する。これにより、複数枚のカラー画像が連続的に印画される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなカラー感熱プリンタでは、1つのサーマルヘッドに生じた搬送負荷変動が他のサーマルヘッドにも影響する。すなわち、イエロー用サーマルヘッドに濃度変化による搬送負荷変動が生じた場合、カラー感熱記録紙の搬送ピッチが変化するので、イエロー画像にムラが生じるだけでなく、マゼンタ画像やシアン画像にもムラが生じてしまう。したがって、上述した印画エネルギーの補正方法を各サーマルヘッド毎に適用するだけでは、搬送負荷変動によるムラの発生を防止することができなかった。
【0007】本発明は、複数のサーマルヘッドをほぼ同時に動作させて記録を行う場合に、各サーマルヘッドの搬送負荷変動に起因して生じる濃度ムラの発生を防止するカラー感熱プリンタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明のカラー感熱プリンタは、支持体上に異なる色に発色する第1〜第3の感熱発色層を層設した長尺のカラー感熱記録紙を用い、主走査方向に沿って多数の発熱素子が配列され、これら各発熱素子を各色の画像データに基づいて駆動することにより前記各感熱発色層に各色の印画エネルギーを与えて1ラインずつ熱記録する第1〜第3のサーマルヘッドを備え、これら各サーマルヘッドによって、前記カラー感熱記録紙の異なる記録エリアに対して各色の画像をほぼ同時に印画することにより、連続的に複数枚のカラー画像を得るカラー感熱プリンタにおいて、1ライン分の各色の画像データに応じて求めた各色の印画エネルギーと、カラー感熱記録紙に対する第1〜第3の各サーマルヘッドの摩擦係数とに基づいて、各サーマルヘッドにかかる負荷量をライン毎に算出するとともに、記録すべきラインの負荷量とそのラインと隣接するラインの負荷量との差から前記記録すべきラインの負荷変動量を求める第1〜第3の演算手段と、これら第1〜第3の演算手段が求めた各サーマルヘッド毎のそれぞれの負荷変動量を記憶する記憶手段とを設け、前記第1〜第3の各演算手段は、各々の演算手段が求めた記録すべきラインの負荷変動量と、他の2つの演算手段がそれぞれ求めた負荷変動量とに基づいて前記各色の印画エネルギーを補正することを特徴とする。
【0009】前記第1〜第3の各サーマルヘッド間で1ラインを記録する印画開始タイミングに位相差がある場合には、前記第1〜第3の各演算手段は、その位相差に基づいて前記各印画エネルギーを補正することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】カラー感熱記録紙の層構造の一例を示す図1において、カラー感熱記録紙10は、支持体11の上に、シアン感熱発色層12,マゼンタ感熱発色層13,イエロー感熱発色層14が順次層設されている。これらの各感熱発色層12〜14は、最上層となるイエロー感熱発色層14から、熱記録される順番に層設されているが 例えばマゼンタ,イエロー,シアンの順番に熱記録する場合には、イエロー感熱発色層14とマゼンタ感熱発色層13とが入れ換えられる。更に、ブラック等の特色感熱発色層を設けてもよい。
【0011】イエロー感熱発色層14及びマゼンタ感熱発色層13には、それぞれ特有な波長を持つ定着光による光定着性が付与されている。イエロー感熱発色層14は、発光ピークの波長が420nm付近の青紫色の光であるイエロー定着光が照射されると、発色能力が失われる。マゼンタ感熱発色層13は、発光ピークの波長が365nm付近の近紫外線の光であるマゼンタ定着光が照射されると、発色能力が失われる。
【0012】また、イエロー感熱発色層14の上には、保護層15が層設されている。保護層15は、透明な樹脂層であり、各感熱発色層12〜14に傷が付いたりするのを防止するためのものである。なお、各感熱発色層12〜14の間には、感熱発色層の熱感度を調整するための中間層が形成されているが、図面では省略してある。
【0013】図2は、各感熱発色層12〜14の発色特性を示すものである。各感熱発色層12〜14は、深層になるほど発色するために大きな発色熱エネルギー(印画エネルギー)が必要であり、この記録紙10では、イエロー感熱発色層14の発色熱エネルギーが最も低く、シアン感熱発色層12の印画エネルギーが最も高い。
【0014】図3に示すカラー感熱プリンタ21には、長尺のカラー感熱記録紙10をロール状に巻いた記録紙ロール22がセットされる。この記録紙ロール22から給紙ローラによってカラー感熱記録紙10が引き出されて搬送路に給紙される。搬送路上には、このカラー感熱記録紙10をニップして搬送する搬送ローラ対23a,23b,23cが配置されている。
【0015】各搬送ローラ対23a,23b,23cは、搬送モータ24によって駆動される。搬送モータ24は、例えば、駆動パルス(駆動信号)の数に応じて回転量が決まるパルスモータが使用される。メインCPU25は、モータドライバ26を介して搬送モータ24の回転量を制御する。搬送モータ24の回転量は、搬送モータ24に与える駆動パルスの個数をカウントすることにより制御される。搬送モータ24は、一定速度で回転する。
【0016】カラー感熱プリンタ21は、長尺のカラー感熱記録紙10を1方向に搬送しながら、複数枚のカラー画像を連続的に記録する。そのため、搬送路上には、イエロー,マゼンタ,シアンの各色の画像を熱記録する複数のサーマルヘッド,すなわち、Y用サーマルヘッド34,M用サーマルヘッド35,C用サーマルヘッド36が搬送方向に沿って並べて配置されている。これら各サーマルヘッド34,35,36は、カラー感熱記録紙10の異なる記録エリアに対して各色の画像をほぼ同時に印画する。各記録エリアは、Y用サーマルヘッド34,M用サーマルヘッド35,C用サーマルヘッド36の順に送られて、イエロー画像,マゼンタ画像,シアン画像の順に記録される。3色の画像が記録された記録エリアは、カッタ(図示しない)に送られて所定サイズのシートにカットされて排紙される。
【0017】各サーマルヘッド34,35,36は、多数の発熱素子を主走査方向に配列した発熱素子アレイが設けられている。各サーマルヘッド34,35,36は、発熱素子アレイをカラー感熱記録紙10に圧接させて、カラー感熱記録紙10を加熱する。発熱素子アレイは、1ライン分の画像データに基づいて駆動され、各色の画像を1ラインずつ記録する。各発熱素子は、各色の画像データの発色濃度に応じた印画エネルギーをカラー感熱記録紙10に与える。各サーマルヘッド34,35,36と対向する位置には、それぞれプラテンローラ31a,31b,31cが配置されている。各プラテンローラ31a,31b,31cは、各サーマルヘッド34,35,36によって押圧されたカラー感熱記録紙10を背面から支持する。
【0018】Y用サーマルヘッド34及びM用サーマルヘッド35の下流側には、Y用光定着器38及びM用光定着器39がそれぞれ配置されている。Y用光定着器38は、前記イエロー定着光を放射する定着ランプとリフレクタとからなり、熱記録済みのイエロー感熱発色層14を光定着する。M用光定着器39は、前記マゼンタ定着光を放射する定着ランプとリフレクタとからなり、熱記録済みのマゼンタ感熱発色層13を光定着する。これらY用光定着器38及びM用光定着器39は、ランプドライバ43によって駆動される。
【0019】メインCPU25には、Y用サーマルヘッド34を制御するY用ヘッドコントローラ51,M用サーマルヘッド35を制御するM用ヘッドコントローラ52,C用サーマルヘッド36を制御するC用ヘッドコントローラ53が接続されている。メインCPU25は、カラー感熱記録紙10の送りに同期して、各ヘッドコントローラ51〜53に各ライン毎に印画開始信号を送る。各ヘッドコントローラ51〜53は、この印画開始信号に基づいて各サーマルヘッド34,35,36を駆動する。
【0020】各ヘッドコントローラ51〜53は、各色の画像データに基づいて、発熱素子を駆動する駆動データを作成する。駆動データは、各画素の階調に応じて各発熱素子の通電時間を規定するデータである。図4に示すように、メインCPU25は、搬送モータ24の駆動信号と同期して、各ヘッドコントローラ51〜53へ印画開始信号を送る。各ヘッドコントローラ51〜53は、この印画開始信号に基づいて、各サーマルヘッド34,35,36へ駆動データを送り、各発熱素子を駆動する。符号Psは、印画開始タイミングを示す。
【0021】入力されたY,M,Cの各色の画像データは、各色毎に、それぞれY用フレームメモリ56,M用フレームメモリ57,C用フレームメモリ58へ書き込まれる。入力された画像データは、Y,M,Cの各画像補正部61,62,63によって各種の補正処理が施され、補正済みの画像データが各ヘッドコントローラ51〜53へ送られる。
【0022】各画像補正部61,62,63は、各色の画像データに対して負荷変動補正処理を施す。図5に示すように、カラー感熱記録紙10の動摩擦係数は、印画エネルギーが大きいほど小さくなる傾向を持つ。そのため、画素の濃度変化があると、印画エネルギーが変動して、各サーマルヘッド34,35,36の負荷量が変動する。各サーマルヘッド34,35,36の負荷量の変動が極端に大きいと、摩擦抵抗の変化も大きくなり、カラー感熱記録紙10の送り量が変化する。
【0023】すなわち、例えば、低濃度の領域から高濃度の領域に移行すると、摩擦抵抗が急に小さくなるため、カラー感熱記録紙10の送り量が一時的に大きくなる。そのため、単位面積当たりに与えられる印画エネルギーが小さくなるため、記録すべきラインの濃度が所期の濃度よりも低くなってしまう。他方、高濃度の領域から低濃度の領域に移行すると、摩擦抵抗が急に大きくなるため、カラー感熱記録紙10の送り量が一時的に小さくなる。そのため、単位面積当たりに与えられる印画エネルギーが大きくなるため、記録すべきラインの濃度が所期の濃度よりも高くなってしまう。負荷変動補正は、このようなサーマルヘッドの負荷変動に起因する濃度変化を低減するための画像データの補正処理である。
【0024】図6に示すように、各画像補正部61,62,63は、それぞれ画像補正用CPU71,72,73と、作業メモリ76,77,78とからなる。各画像補正部61,62,63には、それぞれLUT81,82,83が接続されている。各LUT81,82,83には、エネルギー変換テーブル,押圧分布テーブル,動摩擦係数テーブルなどが記憶されている。エネルギー変換テーブルは、画像データの階調レベルをアドレスとし、発熱素子からカラー感熱記録紙10へ与えられるべき印画エネルギーをデータとしたテーブルである。押圧分布テーブルは、各サーマルヘッドの各発熱素子をアドレスとし、カラー感熱記録紙10へのそれぞれの押圧力をデータとしたテーブルである。動摩擦係数テーブルは、図5に示したカラー感熱記録紙10の動摩擦係数と、印画エネルギーの関係を示すテーブルである。
【0025】各画像補正用CPU71,72,73は、それぞれ、図7に示すフローチャートに示すように、ライン毎に各サーマルヘッド34,35,36の負荷変動量Fを求める。まず、各画像補正用CPU71,72,73は、1ライン分の画像データから、エネルギー変換テーブルを参照して、印画エネルギーを求める。次に、求めた印画エネルギーから、動摩擦係数テーブルを参照して、動摩擦係数を求める。さらに、求めた動摩擦係数と、押圧力分布テーブルを参照して得た押圧力とを乗じて、各サーマルヘッド34,35,36の負荷量を求める。最後に、1ライン前の負荷量と、今回求めた負荷量との差から負荷変動量Fを求める。
【0026】また、各サーマルヘッド34,35,36は、ほぼ同時に印画を行っているため、1つのサーマルヘッドに生じた負荷変動は、他のサーマルヘッドにも影響する。例えば、Y用サーマルヘッド34の摩擦負荷が大きくなり、カラー感熱記録紙10の送り幅が狭くなる方向に力が働いたとしても、M用サーマルヘッド35の摩擦負荷が小さくなり、カラー感熱記録紙10の送り幅が広くなる方向に力が働くと、両方の力の大きさが等しければそれらは相殺される。
【0027】そのため、各画像補正用CPU71,72,73は、各々が求めた各負荷変動量Fと、他の画像補正用CPUが求めた負荷変動量Fとに基づいて、補正量を求め、最終的な印画エネルギーを決定する。各画像補正用CPU71,72,73が求めたそれぞれの負荷変動量Fy,Fm,Fcは、それぞれの作業メモリ76,77,78へ書き込まれる。すなわち、負荷変動量Fyは、Y用作業メモリ76へ書き込まれ、負荷変動量Fmは、M用作業メモリ77へ書き込まれ、負荷変動量Fcは、C用作業メモリ78へ書き込まれる。各作業メモリ76,77,78には、複数ライン分の負荷変動量のデータが記録される。例えば、記録すべきラインの負荷変動量に加えて、その前後のラインの負荷変動量が、前後2ライン分ずつ記録される。これら負荷変動量のデータは、1ライン記録される毎に、古いデータから順に消去されて、更新される。
【0028】各画像補正用CPU71,72,73は、それぞれ他の2つの作業メモリからデータの読み出しが可能なように接続されている。これにより、各画像補正用CPU71,72,73は、3つのサーマルヘッド34,35,36のそれぞれの負荷変動量に基づいて、各色の画像データの最終的な補正量を求めることができる。
【0029】また、このような負荷変動量補正の演算は、1ライン記録する間に行う必要があるが、その演算の処理ステップ数は多い。そのため、その処理を1ライン記録している間に実行するには、高性能な画像補正用CPUが必要になる。しかし、高性能な画像補正用CPUは部品コストが高い。そこで、本例では、各サーマルヘッド毎に画像補正用CPUを設けることで、演算負荷を分散し、コストの高い高性能な画像補正用CPUを使用しなくて済むようにしている。
【0030】以下、上記構成による作用について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートは、Y画像補正用CPU61によるY画像のデータ補正手順を示すが、M画像補正用CPU62,C画像補正用CPU63についても同様なので、それらのフローチャートは省略する。
【0031】カラー感熱記録紙10が給紙されて、記録エリアがY用サーマルヘッド34に達すると、Y用サーマルヘッド34は、その記録エリアにイエロー画像を熱記録する。イエロー画像が記録された記録エリアは、光定着された後、M用サーマルヘッド35へ送られてマゼンタ画像が記録される。マゼンタ画像が記録された記録エリアは、M用光定着器39による光定着がなされた後、C用サーマルヘッド36へ送られて、シアン画像が記録される。このとき、Y用サーマルヘッド34及びM用サーマルヘッド35には、それぞれ別の記録エリアが到達しており、それぞれの色の画像が記録される。こうして、複数の記録エリアに対して、各色の画像が同時に印画され、複数枚のカラー画像が連続的に記録される。
【0032】イエロー画像を記録する際に、Y画像補正部61は、Y用フレームメモリ56から1ライン分の画像データを読み込んで、各サーマルヘッド34,35,36の負荷変動量Fy,Fm,Fcに基づいて画像データの補正をする。Y画像補正用CPU61は、Y用LUT81から各テーブルを読み込み、図7の手順に従って、Y用サーマルヘッド34の負荷変動量Fyを求める。この負荷変動量Fyは、Y用作業メモリへ書き込まれる。他方、M用サーマルヘッド35及びC用サーマルヘッド36も、同様の手順で、それぞれの負荷変動量Fm,Fcを求め、それぞれM用作業メモリ76,C用作業メモリ77へ書き込む。
【0033】Y画像補正用CPU71は、M用作業メモリ77及びC用作業メモリ78から各負荷変動量Fm,Fcを読み込む。そして、各負荷変動量Fy,Fm,FCに基づいて最終的な補正量を求める。この補正済みのY画像データは、Y用ヘッドコントローラ51へ送られる。Y用ヘッドコントローラ51は、補正済みの画像データから駆動データを作成し、Y用サーマルヘッド34を駆動する。Y用サーマルヘッド34の各発熱素子は、この駆動データに基づいて発熱される。各発熱素子の印画エネルギーは、各サーマルヘッド34,35,36の負荷変動量Fy,Fm,Fcに基づいて補正されているから、濃度ムラが生じることはない。
【0034】Y画像補正部61と同様に、M画像補正部62及びC画像補正部63も、各色の画像の1ライン分のデータを読み込み、そのラインと隣接するラインとの負荷量の差から負荷変動量を求める。そして、他のサーマルヘッドの負荷変動量を読み込んで、各サーマルヘッド34,35,36の負荷変動量Fy,Fm,Fcに基づいて、各色の画像データを補正する。
【0035】上記実施形態では、Y,M,Cの各サーマルヘッドが同期して印画する例で説明したが、各サーマルヘッドは非同期で印画してもよい。その場合には、各サーマルヘッドの印画タイミングのズレ(位相差)を考慮して、印画エネルギーを補正するとよい。
【0036】各サーマルヘッドが非同期の場合には、メインCPU25は、Y,M,Cの各画像補正部61,62,63に、各サーマルヘッドの印画開始信号を入力する。各画像補正部61,62,63は、これらの印画開始信号から印画タイミングの位相差を測定する。
【0037】位相差がある場合には、他のサーマルヘッドの負荷変動が複数のラインに渡って影響することになる。例えば、Y用サーマルヘッド34の印画開始タイミングが、M用サーマルヘッド35の印画開始タイミングよりも進んでいるような場合には、M用サーマルヘッド35のnラインに生じた負荷変動の影響は、Y用サーマルヘッド34のnラインと、その次に記録する(n+1)ラインとの2つのラインに影響する。これら各ラインに与える影響は、位相差に応じて按分される。
【0038】各色の作業用メモリ76,77,78には、記録するラインの前後のラインの負荷変動量データが記憶されているので、Y画像補正用CPU71は、各色の負荷変動量データと、前記位相差とに基づいて、各ライン毎にY用サーマルヘッド35の最終的な補正量を求める。
【0039】Y用サーマルヘッド34とM用サーマルヘッド35との位相差が+0.3ラインある場合(Y用サーマルヘッド34の印画タイミングが、M用サーマルヘッド35の印画タイミングよりも、0.3ライン分進んでいる場合)において、Y用サーマルヘッド34のnライン目とその次のn+1ライン目の最終的な補正量をそれぞれSy(n),Sy(n+1)とすると、補正量Sy(n),Sy(n+1)は、それぞれ以下の式で表される。
Sy(n)=Yのnライン目の補正量 +0.3(Mのn−1ライン目の補正量)
+0.7(Mのnライン目の補正量)
Sy(n+1)=Yのn+1ライン目の補正量 +0.3(Mのnライン目の補正量)
+0.7(Mのn+1ライン目の補正量)
【0040】補正量Sy(n)を求める場合には、Y画像補正用CPU71は、まず、Y用サーマルヘッド34自身のnライン目の負荷変動に起因する補正量(Yのnライン目の補正量)を求める。次に、M用作業メモリ77からM用サーマルヘッド35の負荷変動量データを読み出して、Mサーマルヘッド35の負荷変動量に基づく補正量を求める。このMの補正量は、位相差が+0.3ラインなので、M(M用サーマルヘッド35)のn−1ライン目の負荷変動量に基づく補正量に0.3を乗じた値と、Mのnライン目の負荷変動量に基づく補正量に0.7を乗じた値とを合計した値となる。最後に、自色Yのnライン目の補正量と、Mの補正量とを加えて、最終的な補正量Sy(n)が求められる。
【0041】補正量Sy(n+1)を求める場合には、Y画像補正用CPU71は、まず、自色Yのn+1ライン目の補正量を求める。次に、M用作業メモリ77からMサーマルヘッド35の負荷変動量データを読み出して、Mの補正量を求める。このMの補正量は、位相差が+0.3ラインなので、Mのnライン目の負荷変動量に基づく補正量に0.3を乗じた値と、Mのn+1ライン目の負荷変動量に基づく補正量に0.7を乗じた値とを合計した値となる。最後に、自色Yの補正量と、Mの補正量とを加えて、最終的な補正量Sy(n+1)が求められる。
【0042】このように、M用サーマルヘッド35のnライン目に生じた負荷変動の影響は、Y用サーマルヘッド34のnラインと、その次に記録する(n+1)ラインとの2つのラインに影響する。このM用サーマルヘッド35の負荷変動量は、位相差に応じて各ラインに按分されて、Y用サーマルヘッド34の最終的な補正量が求められる。
【0043】なお、この例では、Y用サーマルヘッドを例に説明しているが、M用サーマルヘッド,C用サーマルヘッドについても同様であるので、説明を省略する。また、説明の簡単化のために、Y用サーマルヘッドの最終的な補正量を求める場合にMの負荷変動量のみを考慮した例で説明しているが、もちろん、C用サーマルヘッドに負荷変動が生じる場合には、Cの負荷変動量も考慮される。
【0044】こうすることで、各サーマルヘッドの印画タイミングに位相差がある場合でも、それに応じて印画エネルギーの補正をすることができる。これによれば、位相差によって、各色の複数のライン間に生じる色ズレを低減することができる。
【0045】上記実施形態では、各補正部毎にLUT及び作業メモリを設けた例で説明しているが、LUT及び作業メモリをそれぞれ1つずつ設け、これらを複数の補正部が共用するようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、長尺のカラー感熱記録紙に対して、第1〜第3の複数のサーマルヘッドをほぼ同時に動作させて、複数枚のカラー画像を連続的に印画する場合に、各サーマルヘッド毎に設けられた第1〜第3の演算手段によって、各サーマルヘッドが記録するライン毎に負荷変動量を求め、各々の演算手段が求めた負荷変動量と、他の演算手段が求めた負荷変動量とにmと付いて、各色の印画エネルギーを補正するようにしたから、各サーマルヘッドの搬送負荷変動に起因して生じる濃度ムラの発生を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
【出願日】 平成14年5月16日(2002.5.16)
【代理人】 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲
【公開番号】 特開2003−326754(P2003−326754A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−141190(P2002−141190)