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【発明の名称】 プリンタの廃インク貯留装置
【発明者】 【氏名】後藤 孝史
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】吉村 久
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】上野 直純
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】田中 知省
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】松下 真規
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】中村 博一
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、記録ヘッドからの廃インクの排出が続いても、廃インクをインク吸収体の全体で効率良く吸収することのできるプリンタの廃インク貯留装置を提供すること。

【解決手段】本発明のプリンタの廃インク貯留装置は、記録ヘッドより生じる廃インクを受容する容器内で、廃インク吸収体を上下動可能に設けて、吸収体を降下させた位置で廃インクを吸収するようにし、また上昇させた位置では廃インクに接触しないようにすると、インク吸収体の上昇位置で、継続して排出される廃インクが吸収体に触れることなく容器底壁面をスムース且つ十分に拡散し、吸収体の降下位置で、拡散した状態の廃インクが吸収体の吸収ポイントが限定されることなく広範囲の吸収体面で吸収すること特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録ヘッドより生じる廃インクを底壁面で受容する容器と、該容器内の上方に収容され、該底壁面に受容した廃インクに接して該廃インクを吸収する吸収体とを有するプリンタの廃インク貯留装置において、上記吸収体は上下動可能に設けられ、該吸収体の降下位置で該底壁面に受容した廃インクに接触し、且つ該吸収体の上昇位置で該底壁面に受容した廃インクに接触しないことを特徴とするプリンタの廃インク貯留装置。
【請求項2】 上記底壁面には凸部或いは凸条部が形成されると共に、上記吸収体の上面を覆う蓋材及び該蓋材を押圧する押圧手段が設けられており、上記吸収体は該蓋材を介して該押圧手段によって下動させられると共に、上記凸部又は凸条部で圧縮を受けながら当接されてなることを特徴とする請求項1記載の廃インク貯留装置。
【請求項3】 上記吸収体を押圧する上記蓋材の押圧面に凸部又は凸条部が形成され、該押圧面の凸部又は凸条部と上記底壁面の凸部又は凸条部とは互いの位置が外れて配されていることを特徴とする請求項2記載の廃インク貯留装置。
【請求項4】 上記蓋材には上記ヘッドの廃インクを吸引して上記容器の底壁面に流通させる流通路部材を配するための貫通孔が形成されており、上記蓋材の貫通孔の上面の開口周囲にはリング状の凸条部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の廃インク貯留装置。
【請求項5】 上記容器の側壁面と底壁面との境界面、及び上記底壁面の凸部又は凸条部の側壁面に傾斜を持たせることを特徴とした請求項2乃至4のいずれかに記載の廃インク貯留装置。
【請求項6】 上記蓋材は上記廃インクの揮発成分の透過が可能に形成されていることを特徴する請求項2乃至5のいずれかに記載の廃インク貯留装置。
【請求項7】 上記蓋部材は少なくとも一部が難液透過性で且つ昜気体透過性の素材からなることを特徴とする請求項6記載の廃インク貯留装置。
【請求項8】 上記廃インクを吸引して上記容器の底壁面に流通させるためのポンプ駆動手段を、上記蓋材を押圧するための駆動手段にも使用する動作機構を備えることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の廃インク貯留装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリンタの廃インク貯留装置に関するものであり、より詳細にはインクジェットプリンタの印字ヘッド等に生じる廃インクを貯留する廃インク貯留装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、クリーニング時或いはメンテナンス時に、印刷動作に先だって印字ヘッドからインクを吸引して、乾燥等による目詰まりを防止するようにしている。印字から吸引した廃インクは、ヘッドキャップで受容されて廃インクポンプにより、廃インク容器とこれに収容した廃インク吸収体とから成る廃インク貯留装置に導かれ、これに貯留される。
【0003】従来の廃インク貯留装置は、廃インク容器の下半部が、その底面からに立設した複数の隔壁により複数のインク貯留層に分割されると共に、複数の隔壁で支持するように上半部に廃インク吸収体が収容されているものがある(特開平9−76529号公報)。この場合、対象となる廃インクは比較的粘性の低いものであるため、廃インク吸収体の上側から滴下され、廃インク吸収体に吸収され、廃インク吸収体が飽和状態になったときには、廃インク吸収体を通過してインク貯留層に溜まる。これにより、インクジェトプリンタの耐用年数に見合う十分な量の廃インクを、比較的小さな容器で貯留できるようになっている。
【0004】また、最近、比較的粘度のある廃インクの貯留装置では、その容器底壁面に廃インク吸収体を支持する複数の突起を設けて底壁面に隙間を形成し、廃インクが底壁面を拡散して流れるようにした廃インク貯留装置が提案されている(特開2000−127454号公報)。このような従来の廃インク貯留装置で、廃インクが容器に排出された場合、容器底壁面上の滴下位置から廃インクの拡散が起こるが、廃インクが拡散スペース以上に排出されると、廃インク吸収体の滴下位置からもっとも近い位置を吸収点として、廃インクの吸収が始まる。インク吸収体内に吸収された廃インクは吸収体内を伝播して拡散が生じる。
【0005】しかしながら、廃インクの排出が続き、継続的に廃インクが吸収体の上記吸収点に集中するようになると、吸収体内部での廃インクの伝播速度が緩慢になる。このため、吸収体の吸収点での廃インクの吸収速度も遅くなる。廃インク吸収点での吸収速度が廃インクの排出速度を下回ると、排出された廃インクは容器底壁面上を伝い、最初の吸収点から新たな吸収点に移動する。この時、廃インクは吸収体内に吸収されるまでに必ず最初の廃インク吸収点を通過する。最初の吸収点は排出された廃インクが新たな吸収点から吸収されるまでは廃インクを吸収することなく、廃インクに浸されてしまう。
【0006】このような場合、インクの性能によってはインクが増粘したり、最初のインク吸収点付近でインク流路を閉塞したり、吸収体に貼りついて廃インクの吸収を妨げたりすることが見られる。また、上記排出速度を上回る拡散スペースの突起を設けることも考えられるが、逆に廃インクの排出量が少ない場合は吸収体に吸収されずに底壁面に残って固まる場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、記録ヘッドからの廃インクの排出が続いても、廃インクをインク吸収体の全体で効率良く吸収することのできるプリンタの廃インク貯留装置を提供することを目的としている。
【0008】本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、記録ヘッドより生じる廃インクを受容する容器内で、吸収体を上下動可能に設けて、吸収体を降下させた位置で廃インクを吸収するようにし、また上昇させた位置では廃インクに接触しないようにすると、吸収体の上昇位置で、継続して排出される廃インクは、吸収体に触れることなく容器底壁面をスムース且つ十分に拡散し、吸収体の降下位置で、拡散した状態の廃インクは、吸収体の吸収ポイントを限定されることなく広範囲のインク吸収体面で吸収することを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】即ち、本発明に係るプリンタの廃インク貯留装置は、以下の構成又は構造を有することを特徴とするものである。本発明に係るプリンタの廃インク貯留装置は、クリーニング或いはフラッシングする際に、インクの目詰まりなどを解消するために記録ヘッドを吸引することによって生じる廃インクを貯留するものである。廃インク貯留装置は、通常、平坦な底壁面で上記廃インクを一旦受容する容器と、該容器内の上方に収容され、該底壁面に受容した廃インクに接して該廃インクを吸収貯留する廃インク吸収体とを有している。本発明に係るプリンタの廃インク貯留装置が特徴とするところは、上記吸収体が上下動可能に設けられていることである。そして、その吸収体の降下位置で該廃インクを吸収し、その吸収体の上昇位置で容器の底壁面に受容する廃インクに接触しないことである。
【0010】本発明に係るプリンタの廃インク貯留装置はまた、上記底壁面には凸部或いは凸条部が形成されると共に、上記吸収体の上面を覆う蓋材及び押圧手段が設けられる構造を特徴とすることができる。そして、上記吸収体は該蓋部材を介して該押圧手段によって下動され、上記凸部又は凸条部で圧縮を受けながら廃インク面、場合によっては底壁面に当接されるものである。このような構成にあっては、インク吸収体が蓋材を介して押圧手段によって吸収体のほぼ上部の全面が均一に押圧される。このような押圧を受けると、ある程度の弾力があり変形可能な吸収体は上記凸部又は凸条部(リブ)に食い込むように圧縮されて、凸部或いは凸条部との当接部以外が底壁面に拡散した廃インキ面に確実に接触する。
【0011】従って、蓋材の上下動に際して、インク吸収体のほぼ全域面の圧縮、解放を行うことができ、吸収体の上昇位置にあっては底壁面と吸収体面の間は十分な高さの凸部或いは凸条部によって十分に確保することができる。そして、廃インクは底壁面での拡散流路が確保され、特に、底壁面が凸条部(リブ)で細かい場合には毛管現象により廃インクの拡散が促進される。一方、吸収体の降下位置にあっては、吸収体は、拡散した廃インク面全体に対して同時に且つ均一に接する。尚、凸部或いは凸条部は、底壁面をその凸部等の基部の位置を基準にして見た場合であるが、凸部等の頂部を底壁面とすると凹部或いは凹条部となり、このような単なる表現の相違事項は、本発明に含まれるものである。
【0012】更に、上記蓋材の押圧面には、凸部又は凸条部が形成されていることが望ましく、かかる押圧面の凸部又は凸条部と上記底壁面の凸部又は凸条部とは互いの位置が外れて配されていると、上記吸収体が降下位置にあった場合、容器底壁面の凸部或いは凸条部の間に、押圧面の凸部或いは凸条部が食い込み、廃インク面に吸収体を確実に密着させることができる。また、上記容器の側壁面と底壁面との境界部、及び上記凸部又は凸条部の側壁面に傾斜を持たせることが望ましく、このような傾斜によって、容器底壁面等の凸部又は凸条部の効果が及ばない隅部に溜まる廃インクを解消し、吸収体の廃インクの吸収率を向上させることができる。
【0013】本発明に係る廃インク貯留装置においては、記録ヘッドから廃インクが強制吸引され、強制吸引にはポンプ駆動手段等が使用される。そして、吸引された廃インクはヘッド部から容器の底壁面にまで流通させ、その流通路部材としてチューブ等を使用することができる。この場合、上記流通路部材としてのチューブは直接、容器の底壁面に連通させることができるが、上記蓋材及び吸収体に貫通孔を形成して挿通させて底壁面に連通させることができる。
【0014】本発明に係る廃インク貯留装置の上記蓋材は、その貫通孔の上面の開口周囲にリング状の凸条部、例えばリング状リブを形成することを特徴とすることができる。このようなリング状のリブ等の形成によって、上下動させられる蓋材及び吸収体の貫通孔から、上記チューブ等の脱抜を防止することができる。
【0015】本発明に係る廃インク貯留装置の蓋材は、上記廃インクの揮発成分の透過が可能に形成されていてもよく、また、このような蓋材は少なくとも一部が難液透過性で且つ昜気体透過性の素材からなることを特徴とすることができる。このような構成にあっては、上記吸収体に吸収された廃インクの揮発成分がスムースに気散することから、吸収体にはより多くの廃インクを貯留させることができる。
【0016】蓋材の一部を易気体透過性とするには、蓋材が吸収体全面を均一に押圧できる状態を維持しながら形成することが必要である。このため、例えば、蓋材は簾状、格子状或いはフレーム状等の複数の開口を備えて形成することが好ましい。また、このようなフレーム或いは格子の蓋材にあっては、その開口面にゴアテックス等の難液透過性で且つ昜気体透過性の素材を貼り付けることが望ましい。
【0017】本発明に係る廃インク貯留装置は、上記廃インクを吸引して上記容器の底壁面に流通させるためのポンプ駆動手段を、上記蓋材の押圧手段の駆動にも使用する動作機構を備えることを特徴とすることができる。上述したように廃インク貯留装置にはポンプ駆動手段が設けられるが、本発明においては、更に蓋材の押圧手段が設けられる。かかる押圧手段の駆動手段は別に設けることができるが、ポンプ駆動手段を蓋材の押圧手段の駆動に効率良く、またタイミング良く使用する動作機構を設けることができる。このような動作機構を備えることにより、メンテナッス動作とのリンクが容易にでき、制御も容易となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して実施の形態に基づいて、本発明に係る廃インク貯留装置を更に詳説する。本発明に係る廃インク貯留装置は以下の実施の形態に限定されるものではない。図1は、本発明に係る廃インク貯留装置が設けられている印字装置の斜視図である。図2は、図1に示す印字装置の断面図である。図3は、本発明に係る廃インク貯留装置の概略断面図である。図4は、図3に示す廃インク貯留装置のヘッドキャップの上下動機構部分を示した斜視図である。図5は、図4に示す上下動機構の要部の分解斜視図である。図6は、図3に示す廃インク貯留装置に用いる蓋材の斜視図である。図7は、図3に示す廃インク貯留装置に用いる吸収体の斜視図である。図8は、図3に示す廃インク貯留装置に用いる廃インクを受容する容器の斜視図である。図9(a)及び(b)は、図3に示す廃インク貯留装置の吸収パッドの上昇位置及び降下位置にあるときの状態を示す部分断面図である。図10(a)乃至(d)は、図3に示す廃インク貯留装置の上下動機構における各機構部材の動作状態を示す概略断面図である。図11(a)乃至(d)は、図9(a)乃至(d)に示す動作状態に合わせたそれぞれの容器内における吸収体の圧縮状態等を示した断面図である。図12は、本発明の廃インク貯留装置に用いる蓋材の変形例を示す斜視図である。図13は、図12に示す蓋材と容器との各リブの配列状態を示した各リブの断面図である。図14(a)及び(b)は、図12に示す本発明の廃インク貯留装置における容器及び蓋材のリブの変形例を用いての吸収パッドの上昇位置及び降下位置にあるときの状態を示す部分断面図である。図15は、本発明の廃インク貯留装置に用いる蓋材の別の変形例を示す斜視図である。図16は、図15に示す蓋材に用いる易気体透過性で難液透過性のシートの斜視図である。図17は、本発明の廃インク貯留装置に用いるチューブの先端を吸収パッドの貫通孔内に配したときの吸収パッドの断面図である。
【0019】先ず、本発明の廃インク装置を説明する前に、図1及び図2に示すように廃インク装置を備える印字装置(インクジェクトプリンタ)11の構成について説明する。プリンタ11は、シート(記録用紙)12上にインクを吐出することで印字を行う。プリンタ11は、記録用紙12をプリンタに供給する給紙部14と、記録用紙12を搬送する搬送部16と、記録用紙12に印字する記録部(以下、記録ヘッド又は印字ヘッド)18と、印字された記録用紙12を排出する排出部20とから構成されている。
【0020】給紙部14は、給紙トレイ22、分離板24、給紙ローラ26を有している。給紙トレイ22は記録用紙12を収容・給紙するものである。分離板24および給紙ローラ26は、給紙トレイ22に収容された記録用紙12を一枚ずつ分離して搬送部16に供給する。搬送部16は、ガイド板28、搬送ローラ30を有し、ガイド板28は、給紙ローラ26から給紙されてきた記録用紙12を印字ヘッド18に導く。搬送ローラ30は、ガイド板28上を通過した記録用紙12を印字ヘッド18まで搬送するものである。印字ヘッド18の記録部はインクキャリッジ32・シャフト34、プラテン36等からなる。
【0021】インクキャリッジ32にはシャフト34が挿通され、インクキャリッジ32はシャフト34軸に沿って移動させられる。シャフト34の端部の位置にはメンテナンスユニット38が設けられ、インクキャリッジ32はメンテナンスユニット38内に移動可能となっている。
【0022】尚、プリンタ11では、互いに色の異なる3色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクを使用するようになっており、インクキャリッジ32は図示しないが、それぞれに印字ヘッド18を具備する3つのカートリッジ(インクカートリッジ)を収容している。カートリッジはインクを貯留(蓄積)するとともに、印字ヘッド18にインクを供給するものであり、印字ヘッド18の上部に取り付けられている。従って、インクキャリッジ32内には印字ヘッド18が配され、印字ヘッド18はインクキャリッジ32にしたがってシャフト34軸に沿って移動させられ、メンテナンスユニット38内に位置することができる。排出部20は、排紙ローラ40、排紙トレイ42を有している。排紙ローラ40は、印字ヘッド18で印字された記録用紙12を排紙トレイ42に排出する。
【0023】次に、プリンタ11の印字動作について簡単に説明する。先ず記録用紙12がプリンタ11の給紙トレイ22上に載置される。プリンタ11がコンピュータ等の印字要求を受信したとき、分離板24と給紙ローラ26とが、記録用紙12を1枚ずつ搬送部16に給紙する。記録用紙12は、ガイド板28に支持されながら搬送ローラ30によって印字ヘッド18に搬送される。次に、印字ヘッド18で記録用紙12にインクが吐出され印字される。印字に際して、インクキャリッジ32は、シャフト34軸に沿って(走査方向に沿って)移動させられる。スタート時、すなわちインクキャリッジ32は、走査方向における一方の端部(シャフトの端部)に設けられたスタート位置(メンテナンスユニット38内)に配置される。
【0024】そして、印字要求に応じて、シャフト34の他端部に設けられた停止位置まで、走査方向に沿って移動されるようになっている。そして、この移動の際、印字ヘッド18は、印字要求に応じて記録用紙12にインクを吐出する。これにより、印字ヘッド18は、1ライン分の画像(ライン画像)を印字する。尚、ライン画像の幅は、インクヘッドの縦幅(シート搬送方向での幅)に相当する。また、1つのライン画像が印字された後、搬送ローラ30は、プラテン36上の記録用紙12を、ライン画像の幅分だけ搬送させる。また、この搬送の間に、インクキャリッジ32は、スタート位置に復帰する。(印字走査)。そして、プリンタ21では、このような印字走査を繰り返し行うことで、印字ヘッド13によって、印字要求に応じた情報を記録用紙12に印字するようになっている。最後に、記録用紙12は排紙ローラ40を経て排紙トレイ42に排出され、ユーザーにドキュメント(印字物)として提供される。
【0025】本発明に係る廃インク貯留装置51は、図1に示すようにメンテナンスユニット38の下部に配置される。図3に示すように廃インク貯留装置51はメンテナンスユニット38内で印字ヘッド18の下方に配される。廃インク貯留装置51はヘッドキャップ52を備え、ヘッドキャップ52は印字ヘッド18からの廃インクを吸引する吸引口となっている。またヘッドキャップ52は図示しない支持フレームに上下動可能に支持され、図4に示すようにヘッドキャップ52にはアーム54が取り付けられ、アーム54の上端は突起棒56を介してヘッドキャップ52に回動可能に取り付けられている。アーム54の下端は回転板58が突起棒60を介して回動可能に取り付けられ、突起棒60は回転板58の周縁近傍に設けられている。
【0026】図5に示すように回転板58はポンプ駆動(又は伝達)軸62に取り付けられ、駆動軸62が図3に示す矢印Bの方向に回転すると、回転板58は回転させられる。しかし、ポンプ駆動軸62が矢印Aの方向に回転する場合には回転板58は空回りする。即ち、回転板58は、ポンプ駆動軸62を駆動するポンプの吸引動作方向の回転時には回転を伝達せず、非動作方向の回転時にのみ回転を伝達するワンウェイクラッチ機能を有するものである、従って、図3に示す矢印Aの方向に回転した場合に後述する廃インキの吸引を行い、逆に矢印Bの方向に回転した場合は回転板58のみが動作して廃インキの吸引動作をさせないような構造となっている。
【0027】上記回転板58が一回転するごとにヘッドキャップ52は上下動させられる。即ち、突起棒60が回転板58で最も高い位置に達したときに、ヘッドキャップ52は最も高い上昇位置にあり、突起棒60が回転板58で最も低い位置に達したときに、ヘッドキャップ52は最も低い位置にある。
【0028】図3に示すようにヘッドキャップ52には押圧バー64の上端が取り付けられ、押圧バー64はヘッドキャップ52と連動しながら上下動される。押圧バー64の下端は蓋材66の上面を押圧可能に設けられ、蓋材66の下面(押圧面)にはインク吸収体(以下、吸収パッド)68が配される。蓋材66及び吸収パッド68はほぼ同寸法の矩形状に形成され、吸収パッド68は変形しない蓋材66の押圧面からほぼ均一な力で押圧される。また、蓋材66及び吸収パッド68は後述する容器70内に上下動可能に収容されている。
【0029】ヘッドキャップ52にはヘッドキャップ52内と連通するチューブ72が取り付けられ、チューブ72の下端は容器70の底壁面70aの近傍に配されている。また、チューブ72は上述したポンプ駆動軸62が取り付けられたポンプに接続されており、その駆動軸62が図3に示す矢印Aの正回転することによって、ヘッドキャップ52内の吸引が可能である。このため、チューブ72は上記印字ヘッド18の廃インクの吸引通路となっており、廃インクは流通路部材であるチューブ72を介して容器底壁面70aに排出される。
【0030】上述した蓋材66及び吸収パッド68には図6及び図7に示すようにそれぞれほぼ同形の矩形状に形成され、ほぼ中央に貫通孔74、76が形成される。貫通孔74、及び76にはチューブ72が挿通される。上記蓋材66の貫通孔74の上面には上方に向けてリング状のリブ(凸条部)78が形成され、リブ78はチューブ72が脱抜するのを防止する高さに形成されている。
【0031】即ち、上記の構成であれば、吸収パッド68とチューブ72は同時に上下動するために脱抜が発生しない。しかし、チューブ72端を蓋材66に固定し、チューブ72に遊びを持たせた構成の場合、蓋材66ならびに吸収パッド68が下降位置に移動した場合、蓋材66や吸収パッド68に対し、チューブ72の深さ方向位置が相対的に浅くなり、チューブ72が貫通孔76から抜け出るおそれがあるからである。特に、後述の図17に示すようにチューブ72が吸収パッド68の貫通孔76内に配置されていると、このような脱抜が起こり易い。尚、図17に示すようにチューブ72を貫通孔76内に配することにより、滴下チューブ72の端部からは廃インク90が気泡とともに排出される場合があるため、上記リブ78は廃インク90による気泡が破裂した際のインクの飛び散りを防止するためにも有効である。
【0032】図7に示すように吸収パッド68はチューブ72を収める貫通孔76を有した形状である。吸収パッド68はある程度の弾力性を有して収縮可能なインク吸収材で、廃インクの吸収後に元の形状にほぼ戻る復元力を備えている材質であれば特に、その材質に制限されない。このため、メンテナンスをしない通常時は図9(a)に示すように吸収パッド68は後述の容器70内のリブ(凸条部)80に支持された上昇位置にあり、下部に廃インクの流路スペースを十分に確保した状態で保持される。従って、通常時にあっては吸収パッド68の吸収面を乾燥状態に保つことができる。一方、蓋材66などの上方から押圧を受けた場合、図9(b)に示すように吸収パッド68はリブ80に圧縮されて底壁面70a及び廃インク90に接触させられる。
【0033】図8に示すように廃インクを受容する容器70の底壁面70aには上述したリブ80が凸条に一定間隔をおいて形成される。リブ80の高さは、1mm以上で、吸収パッド68の厚みに対して、1:100乃至1:10の割合(高さ:厚み)の範囲で形成されていることが望ましい。リブ80の高さが1mm未満では底壁面70aに廃インク90の流路スペースを十分に確保できない場合がある。また、吸収パッド68の厚みに対して上記割合の高さであれば、吸収パッド68にそれほど弾性或いは変形性がなくても廃インク面に確実に接触できる一方、吸収パッドの性能も低下しない。
【0034】次に、本発明に係る廃インク貯留装置の動作を図10(a)乃至(d)及び図11(a)乃至(d)に従って説明する。図10(a)及び図11(a)に示すように、プリンタ11が通常の印刷状態にあるとき、印字ヘッド18は廃インク貯留装置51のヘッドキャップ52と離間して上方に位置し、しかもメンテナンスユニット38から離れた状態にある。この時、アーム54の下端は回転板58の中心Oと、ほぼ同等の高さに位置している。そして、押圧バー64は蓋材66に接触しているが、吸収パッド68に圧縮圧を与えていない状態にある。
【0035】印字ヘッド18にメンテナンスが必要になると、印字ヘッド18はメンテナンスユニット38の位置に移動する。図10(b)に示すように印字ヘッド18がメンテナンス位置につくと、廃インクの吸引を行う為に、モータによりポンプ駆動軸62がインクの吸引回転方向と逆方向の図3に示すように矢印Bの方向に回転する。この回転により、回転板58は90°回動してアーム54の下端が回転板58の最上部に位置する。ヘッドキャップ52はアーム54よって押し上げられ、印字ヘッド18に密着する。この時、押圧バー64はヘッドキャップ52とともに上昇し、蓋材66と接触していない状態となっている。
【0036】この状態でポンプ駆動用モータがインクの吸引回転方向に回転する。廃インクの吸引を開始する。廃インク90はチューブ72を介して廃インク容器70の底壁面へ排出される。容器70の底壁面70aにはリブ80を設けており、そのリブ80の壁面沿って拡散していく。一定の吸引を行った後、ポンプ駆動軸62を停止する。
【0037】駆動用モータを再度逆回転し、ポンプ駆動軸62を矢印Bの方向に90°回転する。その際の状態を示したものが図10(c)及び図11(c)である。回転板58の回転によりアーム54はヘッドキャップ52を下動させ、ヘッドキャップ52の動きに合わせて、押圧バー64が下がる。アーム54の下端が回転板58の中心Oと同等の位置にきたとき、押圧バー64は蓋材66に接触し、図10(a)と同じ高さで停止する。この間も廃インクは容器70の底壁面70a部で拡散を続けている。
【0038】更に、ポンプ駆動軸62を矢印Bの方向に90°回転し、アーム54を介し、ヘッドキャップ52と押圧バー64を押し下げる。この際の状態を示したものが図10(d)及び図11(d)である。押圧バー64は蓋材66を更に押し下げる。押し下げられた蓋材66により、吸収パッド68に圧縮圧が加えられ、吸収パッド68は変形し、図11(d)に示すように、容器70の底壁面70aのリブ80とリブ80との間に入り込む形で底壁面70aの廃インク90を吸収する。
【0039】この時、容器70の底壁面70aに排出された廃インクは底壁面上で十分に拡散し、吸収パッド68の底壁面と接する面のほぼ全域で廃インクの吸収が起こる。廃インクを吸収した後、ポンプ駆動軸62を矢印Bの方向に90°回転し、アーム54を介し、ヘッドキャップ52と押圧バー64を上昇させる。図10(a)に示す状態に戻り、廃インク90の吸収動作が完了する。
【0040】このような構成において、排出された廃インク90は容器70の底壁面70a上を伝い、リブ80間の流通路を介して最初の滴下位置からスムースに底壁面を拡散する。従って、印字ヘッド18からの廃インク90の排出が続いても、廃インク90を吸収パッド68の全体で効率良く吸収することのできる。尚、上記の実施の形態では、蓋材66の貫通孔74にリング状のリブ78を設けて、チューブ72の脱抜を防止したが、本発明に係る廃インク貯留装置においては、かかる蓋材66のリブ78を必ず設ける必要はない。また、蓋材66及び吸収パッド68に貫通孔74、76を設けたが、このような貫通孔に限る必要はなく、流通通路部材を挿通できるかぎり、切り欠きなどを形成しても良い。又は直接チューブ72を容器底壁面70aに導いても良い。また、上記実施の形態では容器70にリブ80を形成したが、複数の所定の高さを有する凸部であっても良い。
【0041】図12は、本発明の廃インク貯留装置に用いる蓋材の好ましい変形例を示す斜視図である。図12に示すように、蓋材91の押圧面91aには、複数のリブ(凸条部)92が形成されていることが望ましい。かかる押圧面91aのリブ92と上記底壁面70aのリブ80とが図13に示すように互いの位置が外れて配されていると、吸収パッド68が降下位置にあった場合、容器底壁面70aのリブ80の間に、押圧面91aのリブ92が食い込み、廃インク90面に吸収体を確実に密着させることができる。即ち、底壁面70aのリブ80に対し、図13に示すように半ピッチだけずらして蓋材91のリブ92を立てた場合、蓋材91の剛性をアップさせるのみならず、吸収パッド68の圧縮時に吸収パッド68が容器底壁面70aに沿って変形しやすくなり、廃インク90との接触面積が多くなり、廃インク90の吸収状態も改善される。
【0042】また、図14(a)及び(b)は、図13に示す蓋材と容器との一部を変えた際の吸収パッドの上昇位置及び降下位置にあるときの状態を示す部分断面図である。図14に示すように、容器94の側壁面と底壁面との境界部94a、及び各上述した蓋材及び底壁面のリブ80、92の側壁面80a、92aに傾斜を持たせることが望ましく、このような傾斜によって、上述したように図9(b)に示すような底壁面70a等のリブ80の効果が及ばない隅部に溜まる廃インク90を解消し、吸収パッド68の廃インク90の吸収率を向上させることができる。即ち、底壁面のリブ80並びに容器壁面が図9に示すように底壁面70aに対し垂直である場合、蓋材66による圧縮圧が付加された時に吸収パッド68は図9(b)に示すような形状で変形するが、底壁面と側壁面との間及び底壁面とリブ80の側壁面のコーナー部に極微量ではあるが、廃インク90が残留する可能性がある。これに対して、図14に示すように容器底壁面94aとリブ92ならびに壁面の間のコーナー部を傾斜面で構成すると、圧縮時の吸収パッド68の形状と底壁面94aの断面形状が一致し、廃インク90の残留が生じなくなる。
【0043】図15は、本発明の廃インク貯留装置に用いる蓋材の別の変形例を示す斜視図である。図16は、図15に示す蓋材に用いる易気体透過性で難液透過性のシートの斜視図である。本発明に係る廃インク貯留装置の蓋材98は、図15に示すように廃インク90の揮発成分の透過が可能に形成される構造であり、蓋材98は格子状に形成されている。このような構成にあっては、上記吸収体に吸収された廃インクの揮発成分がスムースに気散することから、吸収体68により多くの廃インク90を貯留させることができる。
【0044】蓋材の一部を易気体透過性とするには、蓋材が吸収パッド68全面を均一に押圧できる状態を維持しながら形成することが必要である。このため、例えば、蓋材66を格子状の複数の開口を備えた蓋材98に形成する。また、このような格子状の蓋材98にあっては、その開口面にゴアテックス等の難液透過性で且つ昜気体透過性のシート100を貼り付けることが望ましい。
【0045】一般にインク成分の中には揮発成分が含まれており、容器70に貯留させた場合、揮発成分を揮発させることも、処理した廃インク90をできるだけ多く容器70に貯留させる重要なポイントである。このため、蓋材66を必要最低限の面積を残し、格子状に余分な肉をカットして蓋材98を形成する。これにより、廃インク中の揮発成分は大気との接触面積が多くなり揮発可能となる。しかしながら、吸収パッド68に吸収された廃インク90が格子開口から溢れることがある。そこで、気体は通過させるが液体は通過させないゴアテックスのようなシート100を蓋材98に貼り付けることが好ましく、これにより、容器70内からの廃インク90の漏れを防止できる。
【0046】尚、図17に示すように、チューブ72を吸収パッドの貫通孔76内に配すると、廃インク90が印字ヘッド18から吸引される際に同時に吸引した空気がチューブ72の端部から排出されるが、これは廃インクとともに排出される際に気泡を生じ、その気泡が破裂する際の廃インク90の飛散物を吸収パッド68で受けることができる。
【0047】
【発明の効果】以上、説明したように、プリンタの廃インク貯留装置は、クリーニング或いはフラッシングする際に、インクの目詰まりなどを解消するために記録ヘッドを吸引することによって生じる廃インクを貯留するものであり、廃インク貯留装置は、吸収体を上下動可能に設けて、吸収体を降下させた位置で廃インクを吸収するようにし、また上昇させた位置では廃インクに接触しないように構成したので、吸収体の上昇位置で、継続して排出される廃インクが吸収体に触れることなく容器底壁面をスムース且つ十分に拡散し、吸収体の降下位置で、拡散した状態の廃インクが吸収体の吸収ポイントが限定されることなく広範囲の吸収体面で吸収することができる。このため、記録ヘッドからの廃インクの排出が続いても、廃インクをインク吸収体の全体で効率良く吸収することのできる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
【公開番号】 特開2003−326745(P2003−326745A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−140469(P2002−140469)