| 【発明の名称】 |
液体供給装置及び液体吐出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】安藤 真人 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
【氏名】滑川 巧 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】液体収容量が大きく、構造が簡素であり、かつ液体漏れがなく安定して液体を保持することができるようにする。
【解決手段】インク収容部30と、インク室40と、インク室40のインク量の減少による圧力低下によって開閉部材52が開口域51を開放するように移動されるようにした弁50と、外気と連通する外気連通孔32aと、インク収容部30内のインク量が減少したときにこの減少したインク量に相当する空気を外気連通孔32aからインク収容部30内に取り込み可能な空気導入管32とを備え、空気導入管32の下端部32cにおけるインクのメニスカスを保持する力と、インク吐出部100の下面(ノズル面)から空気導入管32の下端部32cまでの高さに相当する水頭の圧力Hとが、P>Hの関係を満たすように、空気導入管32の下端部32cの孔径と、水頭とを決定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内の液体が流下可能に前記液体収容部と連結された液体室と、前記液体収容部と前記液体室との間の開口域と、前記開口域を閉塞するように付勢された開閉部材とを有し、前記液体室の液体量の減少による前記液体室内の圧力の低下によって前記開閉部材が前記開口域を開放するように移動されるようにした弁と、前記液体収容部に形成され、外気と連通する外気連通孔と、前記外気連通孔から前記液体収容部の内部に延在し、前記液体収容部内の液体量が減少したときにこの減少した液体量に相当する空気を前記外気連通孔から前記液体収容部内に取り込み可能な空気導入管とを備える液体供給装置であって、前記空気導入管の下端部における液体のメニスカスを保持する力Pと、前記液体供給装置又は前記液体供給装置に連結された外部装置の大気圧がかかる液体の出口から前記空気導入管の前記下端部までの高さに相当する水頭の圧力Hとが、P>Hの関係を満たすように、前記空気導入管の前記下端部の孔径と、前記水頭とを決定したことを特徴とする液体供給装置。 【請求項2】 請求項1に記載の液体供給装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備えることを特徴とする液体供給装置。 【請求項3】 請求項1に記載の液体供給装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備え、前記空気導入管内を含む前記液体収容部内には予め液体が充填されていることを特徴とする液体供給装置。 【請求項4】 請求項1に記載の液体供給装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備え、前記空気導入管内を除いた前記液体収容部内には予め液体が充填されていることを特徴とする液体供給装置。 【請求項5】 内部に液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内の液体が流下可能に前記液体収容部と連結された液体室と、前記液体収容部と前記液体室との間の開口域と、前記開口域を閉塞するように付勢された開閉部材とを有し、前記液体室の液体量の減少による前記液体室内の圧力の低下によって前記開閉部材が前記開口域を開放するように移動されるようにした弁と、前記液体収容部に形成され、外気と連通する外気連通孔と、前記外気連通孔から前記液体収容部の内部に延在し、前記液体収容部内の液体量が減少したときにこの減少した液体量に相当する空気を前記外気連通孔から前記液体収容部内に取り込み可能な空気導入管とを備える液体供給装置と、前記液体供給装置に連通され、前記液体供給装置から供給された液体を吐出させるノズルを有する液体吐出部とを含む液体吐出装置であって、前記空気導入管の下端部における液体のメニスカスを保持する力Pと、前記液体吐出部の前記ノズル面から前記空気導入管の前記下端部までの高さに相当する水頭の圧力Hとが、P>Hの関係を満たすように、前記空気導入管の前記下端部の孔径と、前記水頭とを決定したことを特徴とする液体吐出装置。 【請求項6】 請求項5に記載の液体吐出装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備えることを特徴とする液体吐出装置。 【請求項7】 請求項5に記載の液体吐出装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備え、前記空気導入管内を含む前記液体収容部内には予め液体が充填されていることを特徴とする液体吐出装置。 【請求項8】 請求項5に記載の液体吐出装置において、前記空気導入管の一部には、他の部分より液体の溜め込み量の多いバッファ部を備え、前記空気導入管内を除いた前記液体収容部内には予め液体が充填されていることを特徴とする液体吐出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液体を外部装置、例えば液体吐出部に供給する液体供給装置と、この液体供給装置を適用したインクジェットプリンタヘッド等の液体吐出装置に関し、詳しくは、液体収容量が大きく、構造が簡素でコスト低減を図ることができ、液体漏れがなく安定して液体を保持できる技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のプリンタヘッドに用いられるインク供給装置としては、例えば以下のものが知られている。図13は、従来のこの種のインク供給装置の第1例を示す内部構成断面図である。図13において、インク収容部201は、インクタンク201aと、インク保持室201bとに仕切られている。インクタンク201aとインク保持室201bとの間は、底面部で連通されている。 【0003】インクタンク201a側には、インクが装填されている。また、インク保持室201bの天面側には、外気と連通する外気連通孔202が形成されている。さらにまた、インク保持室201b内には、インクを保持しておく多孔質体203が設けられている。さらに、インク保持室201bの底面側には、インク送出部204が形成されている。 【0004】インクがインク送出部204から送り出されると、空気がインクタンク201a側に入り、その空気に相当する分のインクがインクタンク201aからインク保持室201b側に送られるとともに、多孔質体203に保持される。ここで、多孔質体203の毛管力により、インクには吸い上げられる方向の力が加わっている。これにより、インク送出部204からインクが漏れることはない。 【0005】図14は、従来のインク供給装置の第2例を示す内部構成断面図である。図14において、インク収容部205の底面側には、上記第1例と同様に、インク送出部204が形成されている。また、インク収容部205内には、内部にインクを収容した袋状体206が設けられている。この袋状体206は、バネ207によって常時押し広げる方向(図14中、矢印方向)に力が加わっている。このバネ207の力により、袋状体206内部のインクには、吸い上げられる方向の力が加わっている。これにより、上記第1例と同様に、インク送出部204からインクが漏れることはない。 【0006】以上のように、プリンタヘッドに用いられるインク供給装置は、インク送出部204からインクが漏れないように構成されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来の技術では、以下の問題があった。第1例では、インク保持室201b内に多孔質体203を設けているので、インク供給装置内の容積は、多孔質体203の分だけ小さくなる。よって、インク供給装置全体の大きさに対して、内部に収容できるインク量が少ないという問題があった。 【0008】また、第2例では、バネ207を用いる方式であるので、例えばインク収容部205を薄型にした場合には、袋状体206の内部にバネ207を収納することができなくなったり、製造工程が複雑化する等の製造上の問題があった。さらに、バネ207を袋状体206の内部に収容する構造であるので、機構が複雑化し、コストも高くなるという問題があった。 【0009】したがって、本発明が解決しようとする課題は、液体収容量が大きく、構造が簡素であり、かつ液体漏れがなく安定して液体を保持することができるようにすることである。なお、上記課題を解決した発明が本件出願人により既に提案されている(特願2001−322361)。本発明は、この発明をさらに改良したものであり、仮に弁が正常に機能しなくなった場合であっても、液体漏れを防止して気液交換を行うことができるようにしたものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。本発明の1つである請求項1に記載の発明は、内部に液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部内の液体が流下可能に前記液体収容部と連結された液体室と、前記液体収容部と前記液体室との間の開口域と、前記開口域を閉塞するように付勢された開閉部材とを有し、前記液体室の液体量の減少による前記液体室内の圧力の低下によって前記開閉部材が前記開口域を開放するように移動されるようにした弁と、前記液体収容部に形成され、外気と連通する外気連通孔と、前記外気連通孔から前記液体収容部の内部に延在し、前記液体収容部内の液体量が減少したときにこの減少した液体量に相当する空気を前記外気連通孔から前記液体収容部内に取り込み可能な空気導入管とを備える液体供給装置であって、前記空気導入管の下端部における液体のメニスカスを保持する力Pと、前記液体供給装置又は前記液体供給装置に連結された外部装置の大気圧がかかる液体の出口から前記空気導入管の前記下端部までの高さに相当する水頭の圧力Hとが、P>Hの関係を満たすように、前記空気導入管の前記下端部の孔径と、前記水頭とを決定したことを特徴とする。 【0011】(作用)上記発明においては、液体供給装置から外部に液体が供給されると、液体室の圧力が低下する。これにより、液体室では液体を引き込もうとする吸引力が発生し、この吸引力によって開閉部材が移動され、液体収容部と液体室とが連通し、液体収容部から液体室に液体が送られる。 【0012】液体収容部から液体室に液体が送られると、液体収容部内の液体量が減少するが、この減少分に相当する分の空気が外気連通孔から空気導入管を介して液体収容部内に取り込まれる。また、液体収容部から液体室に液体が送られることにより、液体室内の圧力が定常状態に戻ると、開閉部材は、液体収容部と液体室との間を閉塞する。これにより、液体収容部から液体室への液体の送りが停止し、外気連通孔からの空気の液体収容部内への取り込みも停止する。 【0013】また、弁の開閉部材は、液体室内の圧力の低下によって開口域を開放するように移動されるが、仮に、弁が正常に機能しなくなると、開閉部材が開口域を開放したままの状態となってしまうおそれがある。このような場合には、液体供給装置の内部の圧力を、適切な圧力(大気圧より低い圧力であって、液体の出口から液体が漏れ出ないように液体を保持することができる圧力)に保持することができなくなり、液体が漏れ出てしまうおそれがある。 【0014】一方、空気導入管の下端部には液体のメニスカスが形成されるが、本発明では、この下端部における液体のメニスカスを保持する力Pと、液体供給装置又は液体供給装置に連結された外部装置の大気圧がかかる液体の出口から空気導入管の下端部までの高さに相当する水頭の圧力Hとが、P>Hの関係を満たすようにしている。 【0015】したがって、たとえ開閉部材が開口域を開放したままの状態となってしまっても、空気導入管の下端部において液体のメニスカスが保持されるので、空気導入管の下端部から空気が液体収容部内に入り込むことはない。これにより、液体供給装置の内部の圧力は適切な圧力に保持されるので、液体が漏れ出てしまうことはない。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、本発明における液体供給装置及び液体吐出装置として、インク供給装置、及びこのインク供給装置を用いたサーマル方式のインクジェットプリンタヘッドを例に挙げて説明する。 (第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態であるインクジェットプリンタヘッド(以下、単に「プリンタヘッド」という。)1を示す正面の断面図である。プリンタヘッド1は、インク供給装置10と、インク吐出部100とから構成されている。インク吐出部100は、本発明における液体吐出部に相当するものであり、図1では外形のみを図示している。 【0017】インク供給装置10は、インク収容部(インクタンク)30と、インク室40と、弁50とを備える。ここで、インク収容部は、本発明における液体収容部に相当するものであり、インク室は、本発明における液体室に相当するものである。インク収容部30は、容器状体に形成され、その内部にはインクが装填されている。図1等において、インク収容部30内のインクを斜線で図示している。インク収容部30の底面側には、筒状のノズル部31が形成されている。ノズル部31は、インク室40の上面側にインク室40と一体形成された連結部41に連結される部分である。 【0018】また、インク収容部30の内部には、空気導入管32が設けられている。空気導入管32は、インク収容部30の上面側で開口されており、この部分が外気と連通する外気連通孔32aを構成している。また、空気導入管32の中央付近には、外気連通孔32aや空気導入管32の下端部32cの開口径より大きい径を有し、空気導入管32と連通するバッファ部32bが設けられている。本実施形態では、図1に示すように、バッファ部32bは、断面が略菱形状に形成されたものであり、その内部にインクを溜め込み可能なものである。 【0019】なお、空気導入管32は、空気を外気連通孔32aからインク収容部30内に取り込むとともに、その内部にインクを溜め込み可能なものであるが、バッファ部32bは、空気導入管32の他の部分よりインクの溜め込み量を多くした部分である。 【0020】インク室40は、インク収容部30内のインクが流下可能にインク収容部30と連結されるものであり、略直方体状をなすインク収容体である。インク室40の上面側には、筒状の連結部41が設けられている。この連結部41の内径は、インク収容部30のノズル部31の外径より大きく設定されている。さらに、連結部41の上端には、Oリング42が取り付けられている。このOリング42の内径と、ノズル部31の外径とが互いに嵌合可能な径にそれぞれ設定されており、ノズル部31の先端部がこのOリング42を介して連結部41内に入り込むと、ノズル部31とOリング42とが隙間なく嵌め合う。 【0021】また、インク送出部43は、インク室40の底面側にインク室40と連通して設けられた筒状体であり、インク室40内のインクをインク吐出部100側に送り出すためのものである。 【0022】弁50は、インク収容部30とインク室40との間の開口域51(インク室40の上面に形成された、連結部41との連通領域)と、この開口域51を開閉するための開閉部材52と、開口域51を閉塞する方向に開閉部材52を付勢する(図1中、上方向に開閉部材52を付勢する)バネ53とから構成されている。これらの開閉部材52及びバネ53は、インク室40内に配置されている。 【0023】図1では、弁50の開閉部材52は、インク収容部30とインク室40との間の開口域51を開放する位置に配置された状態を示しているが、定常状態では、開閉部材52は、バネ53の付勢力によってインク室40の上面に押し付けられており、これによって開口域51を閉塞するように配置されている。 【0024】なお、開閉部材52の材質は、その種類を問わないが、例えばゴム弾性体(エラストマー)から形成すれば、高い閉塞性を有するので、好ましい。バネ53は、開閉部材52の下面側と、インク室40の底面との間を連結するように取り付けられ、開閉部材52を上方向に付勢する圧縮コイルバネである。 【0025】第1実施形態では、インク収容部30がインクカートリッジとなり、プリンタヘッド1から着脱可能に形成される。インク収容部30の着脱構造としては、例えば、図2に示す構造が挙げられる。 【0026】図2は、ノズル部31に設けられる弁構造の一実施形態を示す図であり、開状態及び閉状態を併せて示す図である。先ず、上側の図の閉状態では、コイルバネ31dの付勢力により弁31cは閉じられている。そして、インク収容部30のノズル部31が連結部41に装着されると、棒体31eが弁31cを押し上げ、インク収容部30のノズル部31と、インク室40の連結部41とが連通するようになる。 【0027】また、インク収容部30を連結部41から引き抜く際には、上記と逆の動作により、弁が31cが閉じられる。よって、インク収容部30を装着する直前に、ノズル部31の先端部が下方を向いている状態であっても、内部のインクが漏れることはない。また、インク収容部30を交換するときに、インク収容部30を引き抜いたときには、直ちに弁31cが閉じられるので、この時もまた、ノズル部31の先端からインクが漏れることはない。 【0028】図3は、プリンタヘッド1の全体図(正面の断面図)と、その全体図におけるA部を詳細に示す図である。インク吐出部100は、基板101と、フィルム103と、ノズルシート104等とを備える。 【0029】基板101は、シリコン等の半導体基板からなるものであり、その一面(図3中、下面)に、発熱抵抗体(ヒーター)102が形成されたものである。発熱抵抗体102は、吐出するインクを加熱するためのものである。発熱抵抗体102の駆動制御等は、基板101によって行われる。基板101には、図示しないが、ロジックICや、ドライバートランジスタ等が設けられている。 【0030】フィルム103は、基板101の図3中、下面に積層されている。フィルム103は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなるものであり、基板101の発熱抵抗体102が形成された面の略全体に積層された後、フォトリソプロセスによって不要部分が除去されて、所定形状に形成される。これにより、フィルム103は、各発熱抵抗体102の周囲部を略凹状に囲むように形成される。この発熱抵抗体102を囲む部分がインク加圧室105となる。よって、フィルム103は、インク加圧室105の一部を形成している。 【0031】ノズルシート104は、インクを吐出するためのノズル104aが形成されたシート状部材であり、フィルム103の下層に積層されている。ノズル104aは、円形に開口された穴であり、各発熱抵抗体102の下側に位置するように配置されている。なお、ノズルシート104は、インク加圧室105の一部を形成している。 【0032】また、各インク加圧室105に連通するように、インク流路部106が形成されている。インク流路部106は、インク供給装置10から供給されたインクを各インク加圧室105に送り込むためのものである。すなわち、インク流路部106と、上述のインク送出部43とが連通されている。よって、インク供給装置10から供給されるインクは、インク流路部106に流れ込み、インク加圧室105内に充填される。 【0033】以上のインク加圧室105やノズル104aは、基板101に、略直線状に多数並設されている。そして、図3の全体図で示すように、各ノズル104aからインクiが吐出される。 【0034】続いて、インクの吐出から、インクが吐出された後のインクの供給について、より詳細に説明する。図4から図7までは、図3の詳細図で示したインク吐出部100を示す断面図であって、インクが吐出された後、インクがインク加圧室105に供給されるまでの様子を順を追って示す図である。さらに、各インク吐出部100の右側には、その状態における弁50の開閉部材52の動作を併せて示している。 【0035】先ず、プリンタ制御部(図示せず)からの指令によって、選択された発熱抵抗体102に、短時間(例えば1〜3マイクロ秒程度)電流パルスが流されることにより、その発熱抵抗体102が急速に加熱される。その結果、発熱抵抗体102に接する部分にバブル(インク気泡)が発生し、そのバブルの膨張によって、ある体積のインクが押しのけられる。これによって、ノズル104aに接する部分の上記押しのけられたインクと同等の体積のインクiがインク液滴としてノズル104aから吐出され、紙等の記録媒体に着弾される。 【0036】図4は、ノズル104aからインクiが吐出された瞬間の様子を示すものである。この時点では、図4に示すように、開閉部材52は、バネ53の付勢力によってインク室40の上面に押し付けられており、開閉部材52が開口域51を閉塞する位置に配置されている。 【0037】次に、図5さらには図6に示すように、バブルBは、次第に収縮する。この収縮に伴い、インク加圧室105内にインクを引き込む力が発生する。この引込み力の発生により、インクは、インク加圧室105内に供給される。 【0038】ここで、インク加圧室105、インク流路部106、インク室40のインク送出部43は、それぞれ連通されている。したがって、インク加圧室105からインク室40までの連通する部分の圧力は、それまでの圧力より低くなる。このため、インク室40内では、インクを引き込もうとする吸引力が発生し、開閉部材52には、バネ53の付勢力に抗して下方側に移動される力が発生する。これにより、インク室40の上面の開口域51が開放され、インク収容部30側からインク室40側にインクが送り込まれる。 【0039】また、インク収容部30内のインクがインク室40に流下すると、インク収容部30内のインク量が減少するので、インク収容部30内の圧力が低下する。これにより、空気導入管32の下端部32cから空気(外気)がインク収容部30内に入り込む。この空気は、気泡となり、インク内を上昇し、最終的には、インク収容部30内(かつ空気導入管32の外側)の上方に溜められる。このように、インク収容部30内のインクがインク室40側に送り出されると、送り出されることで減少したインク量に相当する空気が外気連通孔32aから空気導入管32を介してインク収容部30内に取り込まれる。 【0040】そして、図7に示すように、インク加圧室105内のバブルBがなくなると、インク室40からインク加圧室105までの連通する部分の圧力は、元の状態に戻り、インク室40内では、インクを引き込もうとする吸引力が消滅する。よって、バネ53は、その付勢力によって開閉部材52をインク室40の上面に押し上げ、開閉部材52は、再度、開口域51を閉塞する。これにより、インク収容部30からインク室40へのインクの流下が停止し、インクがノズル104aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。 【0041】このように、インク吐出部100側でインクが吐出され、インクが使用されると、開閉部材52が開放され、上記の動作を繰り返す。これにより、インク収容部30内のインクが徐々に減少していく。 【0042】また、図1に示すように、外気連通孔32aを有する空気導入管32がインク収容部30内部に設けられるとともに、空気導入管32の下端部32cは、インク収容部30の上面より低い位置にあるため、インク収容部30に振動が加わったり、傾斜した場合であっても、インク収容部30内のインクが外部に漏れ出ることを防止することができる。 【0043】さらに、圧力変化や温度変化に対しても、インク収容部30内のインクが漏れ出ることを防止することができる。図8及び図9は、この効果を説明する図である。図8は、常温、常圧時の状態を示し、空気導入管32内には、ほとんどインクがない状態を示している。 【0044】この状態で、圧力の低下又は温度上昇が起こると、インク収容部30内の空気導入管32の外側にある空気(外気から遮断されてインク収容部30の上方部に存在する空気)が膨張する。この空気の膨張により、図9に示すように、インク収容部30内の空気導入管32の外側にあるインクの水位が低下する。そして、この分だけインクが空気導入管32側に逆流するが、このインクは、空気導入管32のバッファ部32b内に一時的に溜められる。よって、インク収容部30内のインクが外部に漏れ出ることを防止することができる。 【0045】また、インク収容部30のインクの未使用時は、空気導入管32内にインクがない状態でも良いが、インクが満たされている状態であっても良い。空気導入管32内にインクがない状態でインク収容部30がインク供給装置10に取り付けられると、最初の時点で図1に示す状態となる。 【0046】これに対し、空気導入管32内を含むインク収容部30内のほぼ全てにインクが満たされている状態でインク収容部30がインク供給装置10に取り付けられると、最初は、空気導入管32内のインクのみが使用される。これは、空気導入管32内のみが外気連通孔32aによって外気と連通されているためである。そして、空気導入管32内のほぼ全てのインクが使用されると、図1に示す状態となる。 【0047】ここで、空気導入管32内を含むインク収容部30内のほぼ全てにインクが満たされている状態では、インク収容部30内の空気導入管32の外側に存在する密閉空気(空気層)は、わずかな量である。このため、圧力の低下又は温度上昇によって密閉空気の膨張が生じても、空気導入管32の外側に存在するインクの水位の低下も、わずかとなる。よって、圧力の低下又は温度上昇によって、空気導入管32側へのインクの逆流量も、わずかな量となる。これにより、外気連通孔32aからインクが漏れ出すことはない。 【0048】以上により、インク収容部30のインクの未使用時は、空気導入管32内にインクがない状態、又はインクが満たされている状態のいずれでも良く、いずれの状態であっても、圧力の低下又は温度上昇によりインク収容部30内のインクが外部に漏れ出ることを防止することができる。 【0049】次に、本実施形態における、空気導入管32の下端部32cのインクのメニスカス保持力について説明する。図10は、図1中、B部を詳細に示す図であって、空気導入管32の下端部32cと、インクのメニスカスとを示すものである。図10に示すように、空気導入管32の下端部32cには、下に凸となるインクのメニスカスが形成される。 【0050】図10において、インクの表面張力をγ、空気導入管32の下端部32cの孔径をD、インクと空気導入管32の下端部32cとの接触角をθとする。このとき、表面張力γの垂直方向の成分は、γcos θとなる。この表面張力γの垂直方向の成分は、空気導入管32の下端部32cの周長(πD)に加わるので、周長全体での垂直方向の表面張力は、πDγcos θとなる。 【0051】この値を、空気導入管32の下端部32cの開口面積(S=πD2 /4)で割れば、空気導入管32の下端部32cに形成される、インクのメニスカスを保持するための力(メニスカス保持力(圧力))となるので、これをPとすると、メニスカス保持力P=πDγcos θ/(πD2 /4) =4πγcos θ/Dとなる。 【0052】一方、インク供給装置10及びインク吐出部100の内部は、大気圧より低い圧力に保持されている。これは、インク吐出部100内の圧力が大気圧以上であると、ノズル104aからインクが漏れ出してしまうからである。したがって、インク供給装置10及びインク吐出部100内の圧力は、必ず大気圧より低い圧力に保持されている必要がある。この圧力は、インクのメニスカスを、図10中、下方に後退させる力となって作用している。 【0053】これに対し、上記のメニスカス保持力Pは、インクのメニスカスを保持しようとする力であり、図10中、上方向の力となる。そして、インク収容部30の内部の圧力より、空気導入管32の下端部32cにおけるインクのメニスカス保持力が大きいときには、インクのメニスカスは維持される。 【0054】しかし、インクが使用され、インク収容部30側からインク室40側にインクが流れ出ると、インク収容部30内の圧力は、それまでの圧力よりさらに低下するので、インクのメニスカスを、図10中、下方に後退させる力がさらに増大する。この力により、インクのメニスカスが図10中、下方に後退すると、インクのメニスカスは、空気導入管32の下端部32cで保持することができなくなり、破壊される。これにより、空気導入管32の下端部32cから空気がインク収容部30内部に入り込まれる。 【0055】そして、空気がインク収容部30内に入り込まれることで、インク収容部30内の圧力が上昇すると、インク収容部30内の圧力は、それまでの圧力に戻る。これにより、再度、空気導入管32の下端部32cにインクのメニスカスが形成され、メニスカス保持力により保持される。 【0056】ここで、上述したように、インクがインク吐出部100から吐出され、インクが使用されると、内部の圧力がさらに低下することで、弁50が開放されるように構成されている。しかし、弁50は、内部の圧力の微妙な変化によって開閉されるように構成する必要があるので、バネ53には、弾性定数の小さいものが使用される。したがって、インク供給装置10内部への異物の混入等により弁50の開閉動作が正しく行うことができなくなったり、あるいはバネ53の金属疲労等によって弾性定数が経時変化するおそれがある。これにより、弁50の開閉動作が正しく行わなくなるおそれがある。この場合には、内部の気圧を、大気圧より低い所定の気圧に保持することができなくなる。 【0057】弁50の開閉動作が正しく行われなくなると、インク供給装置10及びインク吐出部100内の圧力を、インクを内部に保持可能な圧力に保つことができなくなり、ノズル104aからインクが漏れ出てしまう。そこで、本実施形態では、たとえ弁50の開閉動作が正しく行われなくなった場合であっても、インク供給装置10及びインク吐出部100内の圧力を、インクを内部に保持可能な圧力に保つことができるようにしている。 【0058】ノズル104aには大気圧がかかっており、空気導入管32の下端部32cには、ノズル104aの下面から、空気導入管32の下端部32cまでの高さに相当する水頭の圧力H(図1参照;大気圧より低い圧力)がかかる。そして、空気導入管32の下端部32cにおけるインクのメニスカス保持力Pの絶対値が、水頭の圧力Hの絶対値より大きい場合には、弁50が開放されたままであっても、空気導入管32から空気は取り込まれず、ノズル104aからインクが漏れ出ることはない。すなわち、P=4πγcos θ/D>Hであれば、空気導入管32から空気は取り込まれず、ノズル104aからインクが漏れ出ることはない。 【0059】上記の式を変形すれば、D<4πγcos θ/Hとなる。この式に基づき空気導入管32の下端部32cの孔径Dと水頭との値を決定すれば、ノズル25aからインクが漏れ出ることを防止することができる。なお以上は、空気導入管32の下端部32cの開口形状が円形の場合である。 【0060】図11は、インクの表面張力γ、空気導入管32の下端部32cの孔径D、空気導入管32の下端部32cの周長L(πD)、空気導入管32の下端部32cの開口面積S(=πD2 /4)、接触角θ、及びメニスカス保持力Pの各値を示すとともに、孔径Dとメニスカス保持力Pとの関係をグラフで示すものである。 【0061】図11において、例えば水頭の圧力Hが20mmAqの場合、孔径Dを約0.6mm以下にすれば、ノズル104aからインクが漏れ出ることはない。また、例えば孔径Dを0.3mmとした場合には、メニスカス保持力Pは、40.6mmAqとなるので、水頭の圧力Hが40.6mmAq未満であれば、ノズル104aからインクが漏れ出ることはない。なお、実際の設計時には、インク吐出部100の傾斜や加工精度等の製造誤差を考慮して、ある程度のマージンをとり、水頭は小さく設定するのが好ましい(例えばHが20mmAq程度)。 【0062】(第2実施形態)図12は、本発明の第2実施形態であるプリンタヘッド1Aを示す正面の断面図である。第2実施形態では、第1実施形態と異なるインク供給装置10Aを備える。インク供給装置10Aは、空気導入管32Aが第1実施形態と異なる。その他は第1施形態と同一である。 【0063】空気導入管32Aは、第1実施形態の空気導入管32と異なり、バッファ部32bを有していない。空気導入管32Aは、長手方向において、下端部32cの近傍を除いて一定の横断面形状を有する筒状体に形成されている。また、空気導入管32Aの横断面積は、第1実施形態における空気導入管32のバッファ部32b以外の部分の横断面積より大きく形成されている。 【0064】このように、第2実施形態の空気導入管32Aは、バッファ部32bを有さないが、インクの逆流時に内部にインクを溜め込み可能であれば、必ずしもバッファ部32bを設ける必要はない。また、第2実施形態における下端部32cの孔径Dは、第1実施形態の下端部32cの孔径Dと同一である。すなわち、下端部32cの孔径Dが所定の大きさに形成されていれば、下端部32cにおいてインクのメニスカスを保持可能であるので、空気導入管32Aの他の部分は、どのような形状であっても良い。なお、空気導入管32Aの横断面は、円形であっても良いが、多角形等、円形以外の形状であっても良い。このように空気導入管32Aを形成しても、第1実施形態と同様の効果が得られる。 【0065】以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。 (1)本実施形態では、インク吐出部100は、インク加圧室105内で発熱抵抗体102によってインクを加熱して吐出させるサーマル方式のものを挙げたが、これに限らず、静電吐出方式やピエゾ方式に適用することも可能である。静電吐出方式は、エネルギー発生手段として、振動板と、この振動板の下側に、空気層を介した2つの電極を設けたものである。そして、両電極間に電圧を印加し、振動板を下側にたわませ、その後、電圧を0Vにして静電気力を開放する。このとき、振動板が元の状態に戻るときの弾性力を利用してインクを吐出するものである。 【0066】また、ピエゾ方式は、エネルギー発生手段として、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を設けたものである。そして、ピエゾ素子の両面の電極に電圧を印加すると、圧電効果により振動板に曲げモーメントが発生し、振動板がたわみ、変形する。この変形を利用してインクを吐出するものである。 【0067】(2)本実施形態では、インク収容部30を着脱可能に形成したが、インク収容部30のノズル部31とインク室40の連結部41とを一体に連結したものであっても良い。この場合には、Oリング42は設けられない。このように形成した場合には、第1、第2実施形態のようにインク収容部30をインクカートリッジとして用いず、インク収容部30内のインクが無くなったときには、インク供給装置10、10A全体を交換するか(この場合には、インク供給装置10、10Aをインク吐出部100に対して着脱可能に形成する必要がある)、又はインク吐出部100を含めてプリンタヘッド1、1A全体を交換する。 【0068】(3)本実施形態では、プリンタヘッド1等及びインク供給装置10等を例に挙げたが、インクに限らず、種々の液体供給装置や液体吐出装置に適用することができる。例えば、生体試料を検出するためのDNA含有溶液を吐出するための装置に適用することも可能である。 【0069】 【発明の効果】本発明の液体供給装置によれば、液体収容部内に液体を保持する多孔質体等を設けるものではないので、液体収容量を大きくすることができる。また、バネ等を用いて液体収容部内の圧力を低くするものではなく、液体収容部と液体室との間で気液交換を行うとともに、弁の開閉部材によって液体収容部と液体室との間を開閉するものであるので、構造を簡素にすることができる。そして、液体漏れがなく安定して液体を保持することができる。 【0070】また、空気導入管は、外気連通孔から液体収容部の内部に延在するものであるので、空気導入管内の全てに液体が満たされていない限り、液体供給装置に振動が加わったり傾斜した場合でも、外気連通孔から液体が漏れ出ることを防止することができる。 【0071】さらにまた、空気導入管にバッファ部を有する場合には、圧力の低下又は温度上昇が起きたときに、液体収容部内の空気が膨張して空気導入管側に液体が逆流しても、空気導入管内にその液体が溜められるので、外気連通孔から液体が漏れ出ることを防止することができる。さらに、空気導入管内を除く液体収容部内に液体が充填されている場合には、圧力の低下又は温度上昇によって密閉空気の膨張が生じて液体が空気導入管側に逆流しても、その液体は、空気導入管内に溜められるので、外気連通孔からの液体漏れを防止することができる。 【0072】さらに、空気導入管内を含む液体収容部内に液体が充填されている場合には、圧力の低下又は温度上昇によって密閉空気の膨張が生じても、空気導入管側への液体の逆流量は、わずかな量であるので、外気連通孔からの液体漏れを防止することができる。 【0073】また、たとえ開閉部材が開口域を開放したままの状態となってしまっても、空気導入管の下端部において液体のメニスカスが保持されるようにしたので、空気導入管の下端部から空気が液体収容部内に入り込むことを防止することができる。これにより、液体供給装置の内部の圧力を常に適切な圧力に保持することができ、液体漏れを防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
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| 【出願日】 |
平成14年5月13日(2002.5.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100113228 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 正
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| 【公開番号】 |
特開2003−326737(P2003−326737A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月19日(2003.11.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−136489(P2002−136489) |
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