| 【発明の名称】 |
シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】菊川 省三 【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内
【氏名】奥野 哲生 【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】従来に比べて、簡易で信頼性が高い方法で、高密度で微細な電極と高密度で微細な立体配線を形成でき、しかも、インク漏れやチャンネル溝間の隔壁の倒れや欠けの生じない高画質なシェヤーモードインクジェットヘッドを製造する方法を提供すること。
【解決手段】圧電素子板を機械的に研削してチャンネル溝2を形成し、これに繋がる縦溝6をレーザー光を照射して形成した後、無電解メッキし、ヘッド基盤5を研磨することで縦配線を形成し、更にヘッド基盤にレーザー光を照射して、この縦配線に繋がる横配線を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項2】シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基板の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の底面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項3】シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記天板の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基板の上面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項4】シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基板の前面及び後面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の底面とに繋がる縦溝を、前記チャンネル溝の1本おきに前記アクチュエーター基盤の前面と後面とで交互になるように形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項5】シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記天板の前面及び後面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の上面とに繋がる縦溝を、前記チャンネル溝の1本おきに前記天板の前面と後面とで交互になるように形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項6】前記めっき金属が施された前記ヘッド基盤の該めっき金属表面に、保護膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。 【請求項7】前記アクチュエーター基盤は、分極した2枚の圧電素子板を、分極方向を互いに反対に向けて接着して形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高速、高密度、高画質シェヤーモードインクジェットヘッドに、電極と、電極からの立体的な引出し配線を形成する新規な方法に関し、詳しくは、めっき金属層の形成とレーザー光の照射と研磨で、電極と立体的な引き出し配線を形成することにより、従来に比べて簡易な方法で、信頼性の高い、インク漏れの生じない高画質なシェヤーモードインクジェットヘッドを製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】シェヤーモードインクジェットヘッドの原理は、分極した圧電素子板に、多数の平行なチャンネル溝を研削して、これをインク溝とし、該インク溝の側壁に電極を設けて電界を掛けると、各インク溝間の側壁がシェヤーモード変形して、インクに圧力が掛かり、インクを吐出する。インク溝の側壁を変形させてインクを吐出するため、インクを吐出するとその振動が隣接する溝に伝わり、吐出したインク溝のインクメニスカスのみならず、両隣りのインク溝のメニスカスも振動する。このメニスカスの振動が静止するまでは、吐出したインク溝のみならず、両隣りのインク溝からも吐出できない。 【0003】このため、多数のインク溝から同時にインクを吐出しようとする場合、例えば全インク溝から吐出しようとする場合は、同時に吐出できるインク溝は2つ以上離す必要があり、2つおきのインク溝を3群に分け、3回に分けて吐出する3サイクル吐出法が行われている。しかし、この場合、全インク溝からは同時に吐出できないため、チャンネル当たりのプリント速度の向上効果は望めない。 【0004】また、チャンネル溝を用いてインク吐出用のインク溝とインクの吐出を行わない空気溝を交互に設け、吐出の振動が隣接するインク溝に及ばないようにすることにより、全インク溝から同時に吐出させることを可能とし、チャンネル当りのプリント速度を大幅に向上できるようにしたヘッドも知られている。 【0005】このようなシェヤーモードインクジェットヘッドを製造するには、圧電素子板にチャンネル溝を研削して、各チャンネル溝内に電極を形成し、この電極に信号を送る配線を形成する必要がある。 【0006】図15に従来のシェヤーモードインクジェットヘッドの一例を示す。このシェヤーモードインクジェットヘッドは、圧電素子板100に平行な複数のチャンネル溝103を形成することにより、チャンネル溝103と隔壁102を交互に形成している。各チャンネル溝103は、その深さをインクの入口端(図示右奥側)に向かって次第に浅くして溝を封止し、天板101の開口101aからインクを供給するようにしている。この形状は、隔壁102の屋根の部分をマスクしてアルミニウムを蒸着した後、マスクを除去すると、チャンネル溝103内部に電極104が、同時に浅溝部103aと未研削部100aに引き出し配線104aが形成され、この引き出し配線104aをワイヤーボンデイング又はACF(異方導電性フィルム)により、フレキシブルケーブルを介して駆動回路と繋げることができる。即ち、各チャンネル溝103に電極104を形成すると、同時に引き出し配線104aも形成できる。 【0007】しかし、浅溝部103aを形成するには、直径数cmのダイシングソーを徐々に持ち上げながら研削しなければならないので、浅溝部103aと未研削部100aが、ヘッド体積の約半分を占めるようになる。浅溝部103aは電圧を掛けても隔壁102を殆ど変形させることができない。また、この部分は、天板101を切り欠いて開口101aを形成しているので、発生した圧力がマニホールド側に抜けて、インク吐出には殆ど寄与できない。更に、未研削部100aは全く吐出に寄与できない。 【0008】なお、図中、105はインク溝103の出口端に接合されたノズル板、106は該ノズル板105に穿孔したインクを吐出させるノズル孔、107はプリント基板、108は引き出し配線104aとプリント基板107とを電気的に接続するためにワイヤーボンデイングした配線である。 【0009】シェヤーモードインクジェットヘッドは、圧電素子板を電極で挟む形になるので、コンデンサーと同じ動作になり、上述したように吐出に寄与しない部分にも電荷が蓄積される。このためヘッドの静電容量が大きくなり、ヘッドに高周波信号を掛けても、応答が遅れ、高速駆動できなくなる。また、圧電素子板のヒステリシス損失が大きくなり、著しく発熱する欠点がある。更に、画像の種類により、頻繁にインクを吐出するチャンネル溝とあまり吐出しないチャンネル溝があると、頻繁に吐出するチャンネル溝の温度が上昇するので、該チャンネル溝内のインク温度が上昇してインク粘度が低下し、吐出滴の速度が速くなる。チャンネル溝により吐出速度が変わると、インクの媒体への着弾位置が乱れ、いわゆる印刷パターン依存クロストークを生じ、画質が著しく劣化する。従って、従来構造のヘッドは、高速、高画質、高密度インクジェットプリンター用に適しているとはいい難い。 【0010】また、圧電素子板は、通常、圧電セラミックスにより構成されるが、普通のセラミックスに比べて非常に高価なため、圧電素子板をできるだけ有効に利用する観点から、吐出に殆ど寄与できない浅溝部と未研削部を持たないヘッド構造が望ましい。 【0011】そこで、従来、チャンネル溝を入口から出口に向かってストレートに形成し、溝全体が吐出に寄与できるストレート溝を有するシェヤーモードインクジェットヘッドが提案されており、特開平7−132589号、特開平9−20006号、特開平11−115195号、特開平11−115188号、特開2000−168094号、特開2000−141653号、特開平10−76669号等に開示されている。このようなストレート溝を有するシェヤーモードインクジェットヘッドによれば、圧電素子板の使用量が必要最小限で済み、静電容量が小さく、高周波応答性に優れ、発熱が少なく、クロストークが少なく、また、チヤンネル内に気泡が貯まりにくい利点があり、高画質、高速、高密度用ヘッドとして優れている。 【0012】しかし、このストレートなチャンネル溝を有するシェヤーモードインクジェットヘッドは、従来構造のヘッドから吐出に必要な部分だけを取り出した構造になっているので、チャンネル溝内の電極から配線を引き出すことが難しく、また、フレキシブルケーブルと繋ぐための配線を形成するスペースが取りにくい問題がある。この場合、電極からの引き出し配線を、ヘッドの前面又は後面から、底面又は上面にかけて立体的に形成して、ヘッド底面又は上面でフレキシブルケーブルと繋ぐことになる。即ち、この様なストレートなチャンネル溝を持つシェヤーモードインクジェットヘッドは、チャンネル溝内の電極からヘッド前面又は後面を通り、底面又は上面に至る立体的な配線を形成する必要がある。このような微小な立体配線を高密度に形成することは非常に難しい。 【0013】近年、高画質を目指して、インクジェットヘッドの記録密度が益々高くなっている。これに対応して、ヘッドから吐出するインク滴の間隔は、90→180→360dpiと狭くなっている。例えば180dpiヘッドでは、141μm間隔でインク滴を吐出しなくてはならない。これは、シェヤーモードインクジェットヘッドの場合、例えば、溝幅71μm、壁幅70μmとなる。更に、インク溝と空気溝を交互に設けたヘッドで、150dpiを達成するには、300dpiに相当する溝幅と壁幅が必要になり、溝と壁の幅が40μmとなる。 【0014】また、高速化を目指して、ノズル数も32→64→128→256→512→1024と増えている。最近のヘッドは、溝幅と溝ピッチが40μm以下、溝数1024本以上を必要とする例もある。入口浅溝型の従来のヘッドは、前述したように、電極と引き出し配線を同時にほぼ同一平面に形成できるので、配線形成には有利であるが、応答が遅く、発熱が大きいため、高画質、高速ヘッドには適さない。一方、ストレート溝を持つヘッドは、吐出に必要な部分だけからなる構造なので、吐出滴の微小化、高周波駆動や低発熱、コスト低下、クロストーク低下の点では有利であるが、チャンネル溝内の電極からの引き出し配線をヘッド前面又は後面から底面又は上面にかけて90°曲げて立体的に形成しなくてはならない。 【0015】従来、めっき金属にて電子部品に立体配線を形成する方法は、例えば、ワーク表面にめっき触媒を吸着させ、触媒に光を当ててめっき不要部の触媒を失活させてからめっきする光析出法が知られているが、その配線ピッチはmmオーダーであり、高画質インクジェットヘッドに必要な50μm以下のピッチで、数百本から数千本の立体配線を形成する方法は知られていない。 【0016】特開平7−132589号は、ストレートなチャンネル用の横溝を機械的に研削し、その一端から縦溝を機械的に研削して、めっき後、研磨して、縦溝の中に縦配線を形成する。この方法は、横溝に重ねて縦溝を機械的に研削するのであまり高密度化できない。また、2度にわたって機械的な研削を行うため、溝の壁が薄くなると、壁が倒れたり欠け易くなったりする欠点がある。 【0017】特開平9−20006号は、ストレートな空気溝を形成し、空気溝の入口端を引き出し配線を形成した目止め部材で塞いでからストレートなインク溝を形成している。しかし、この方法では、空気溝の電極と目止め部材の配線が直角に接触することになるので、信頼性の高い電気的接続ができない。 【0018】特開平11−115195号、特開平11−115188号は、導電性のコンタクト層を埋め込んだ部材を圧電素子板に接着してから、コンタクト層が露出するように空気溝を研削する方法である。しかし、この方法では、工程が複雑になるため、高密度ヘッドの製造に要求される微細で精密な加工ができない。 【0019】特開2000−168094号は、ヘッド全体をめっきしてから、インク溝と空気溝の間に析出しためっき金属をレーザー光で線状に除去して各溝内の電極を独立させ、同時に引き出し配線を形成する方法である。この方法では、インク溝と空気溝の間の間隔が30〜70μmと狭く、しかも、図16に示すように、2枚の圧電素子板201、202を接着している接着層203にもレーザー光LBを照射することになるので、接着層203が蒸発して破壊され、この破壊された接着層203によってインク溝204と空気溝205とが繋がり、空気溝205にインクが浸入する。空気溝205にインクが浸入すると、吐出時、溝の側壁の振動を遮蔽する効果がなくなり、クロストークが大きくなって好ましくない。たとえ接着層203の破壊が少なく、接着層203からインクの浸入が起こらなくても、レーザー光LBで金属薄膜を蒸発させると、除去された部分が窪み、その周囲が盛り上がり、更に、その周辺に金属溶融物が流出して冷却、凝固して堆積するため、凹凸が激しくなり、インクマニホールド内のインクから空気溝205を完全に遮蔽することが困難になる。 【0020】特開2000−141653号は、ヘッドの後壁を感光性レジストによりパターン状にマスクしてから蒸着して、縦配線を形成する方法であるが、微小なヘッド後壁に微細なマスクパターンを形成することが難しい。 【0021】特開平10−76669号は、溝の底にビアーホールを設ける技術を開示しているが、具体的な説明がない。圧電素子の製造中、グリーンシートの段階でビアーホールを正確に開けても、高温で焼結すると、膨張、収縮が激しく起こるので、数十μm径の穴を数μmの位置精度で設けることは困難である。 【0022】 【発明が解決しようとする課題】以上要するに、図15に示すような従来のヘッドは、チャンネル溝の末端に浅溝部が設けてあるので、チャンネル溝内に電極を形成すると、浅溝部を通して配線を自動的に引き出すことができる反面、この浅溝部とそれに続く未研削部が吐出に殆ど寄与できず、発熱して、クロストークが大きくなり、また高速駆動できない原因となる。 【0023】また、高画質、高密度、高速ヘッドに適したヘッド構造は、圧電素子板にストレートなチャンネル溝を形成することで得られ、また、圧電素子板から吐出に寄与しない部分を取り除いた構造なので、発熱が少なく、高周波応答性が良く、しかも、高価な圧電素子板の使用を節約できる利点を有するが、チャンネル溝内の電極に繋がる引き出し配線を、ヘッドの前面又は後面からヘッドの底面又は上面にかけて立体的に形成しなくてはならない。チャンネル溝内の電極から90°折れ曲がった立体的な配線を引き出すことは難しい。このような直角に曲がる幅数十μmの立体配線を、一つのヘッドに、数百〜数千本、数十μmピッチで形成する方法はまだ知られていない。 【0024】更に、圧電素子板にチャンネル用横溝と引き出し配線用の縦溝を機械的に研削し、めっきした後、余分なめっき金属を研磨して除去する方法では、幅数十μmの溝を研削せねばならないので、溝の壁が破壊され易く、また、ヘッドの側面に感光性レジストを塗布して、パターンを形成してめっきする方法では、ヘッドの厚みが1〜数mmしかないので、レジストを塗布して、露光、現像する方法が難しい。 【0025】そこで、本発明の課題は、めっきとレーザー光の照射と研磨で、電極と立体的な引き出し配線を形成することにより、面倒な画像処理や現像を行わなくとも、従来に比べて、簡易で信頼性が高い方法で、高密度で微細な電極と高密度で微細な立体配線を形成でき、しかも、インク漏れやチャンネル溝間の隔壁の倒れや欠けの生じない高画質なシェヤーモードインクジェットヘッドを製造する方法を提供することにある。 【0026】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する請求項1記載の発明は、シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面及び/又は底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0027】上記課題を解決する請求項2記載の発明は、シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基板の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の底面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0028】上記課題を解決する請求項3記載の発明は、シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記天板の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基板の上面とに繋がる縦溝を形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0029】上記課題を解決する請求項4記載の発明は、シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基板の前面及び後面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の底面とに繋がる縦溝を、前記チャンネル溝の1本おきに前記アクチュエーター基盤の前面と後面とで交互になるように形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の底面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の底面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0030】上記課題を解決する請求項5記載の発明は、シェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法において、分極した圧電素子板に複数のチャンネル溝を研削してアクチュエーター基盤を形成する工程と、前記アクチュエーター基盤に天板を接着してヘッド基盤を形成する工程と、前記天板の前面及び後面にレーザー光を照射して、前記複数のチャンネル溝の各チャンネル溝と前記ヘッド基盤の上面とに繋がる縦溝を、前記チャンネル溝の1本おきに前記天板の前面と後面とで交互になるように形成する工程と、前記縦溝が形成された前記ヘッド基盤に、無電解めっきによりめっき金属を施す工程と、前記ヘッド基盤の前面及び後面を研磨して、前記縦溝に施されためっき金属を残してめっき金属を除去することにより、前記各チャンネル溝内のめっき金属と前記ヘッド基盤の上面のめっき金属とに繋がる縦配線を形成する工程と、前記ヘッド基盤の上面にレーザー光を照射して、めっき金属の一部を除去することにより、前記縦配線に繋がる横配線を形成する工程とを有することを特徴とするシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0031】請求項6記載の発明は、前記めっき金属が施された前記ヘッド基盤の該めっき金属表面に、保護膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0032】請求項7記載の発明は、前記アクチュエーター基盤は、分極した2枚の圧電素子板を、分極方向を互いに反対に向けて接着して形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシェヤーモードインクジェットヘッドの製造方法である。 【0033】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0034】最初に、本明細書では、製造工程を説明する上で方向が重要であるので、「前面」と「後面」、「上面」と「底面」をそれぞれ明らかにしておく。本明細書では、アクチュエーター基盤及びヘッド基盤におけるインク吐出側に面する壁面を「前面」、それとは反対側のインク供給側に面する壁面を「後面」と称する。全ての図面では、この「前面」を奥側に、「後面」を手前側にそれぞれ位置させて図示する。また、天板を接着した側、即ち天板の上表面を「上面」、天板を接着した側と反対側の面を「底面」と称する。全ての図面では、この「上面」を上側に、「底面」を下側にそれぞれ位置させて図示する。 【0035】最初の工程は、図1に示すように、分極した圧電素子板1にチャンネル溝2を研削して、アクチュエーター基盤3を作る工程である。 【0036】分極した圧電素子板1に形成したチャンネル溝2の側壁をせん断変形させる方法は、以下の2通りの方法がある。 【0037】■分極した1枚の圧電素子板でチャンネル溝の側壁を形成する場合は、側壁の上半分に電極を形成して、側壁の上半分をせん断変形させる。 ■分極した2枚の圧電素子板を、分極方向を互いに反対に向けて接着してチャンネル溝の側壁を形成する場合は、側壁に、好ましくは効率を良くする観点から側壁の全面に電極を設け、側壁全体をせん断変形させる。 【0038】前者■の方法は、側壁の上半分を変形させるだけであるが、後者■の方法は側壁の上半分と下半分を同時に、互いに反対方向に変形させるので、変形量が大きく、変形効率が良い。同じ電圧を掛けても、後者■の方法が、側壁の変形量が大きいので、発生する圧力が高く、吐出したインク滴の速度が速く、従ってインクの着弾ずれが少なく、画質が大幅に向上する。また、同じ変位を与える場合、後者■は電圧が約半分で済むので、ヘッドの発熱を抑えることができる。 【0039】本発明では上記いずれの方法も採用できるが、好ましくは後者■の方法を用い、図1に示すように、分極した厚さの異なる2枚(例えば厚さ150μmと900μm)の圧電素子板1a、1bを、分極方向を互いに反対に向けて接着し、薄い板(圧電素子板1a)の側から厚い板(圧電素子板1b)の途中までに亘るチャンネル溝2を形成し、チャンネル溝2とその間の隔壁とを交互に設ける。 【0040】圧電素子板1には、電圧を加えることにより変形を生じる圧電素子を用いることができる。この圧電素子には公知の圧電材料を用いることができる。公知の圧電材料には有機材料からなる圧電材料や非金属性圧電材料がある。特に、非金属性圧電材料が好ましく、このような圧電材料としては、成形、焼成工程を経て形成される圧電セラミックス、または成形、焼成を必要としないで形成される圧電材料等がある。有機材料からなる圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデン等の有機ポリマーや、有機ポリマーと無機物とのハイブリッド材料等が挙げられる。 【0041】非金属性の圧電材料において、成形、焼成の工程を経て形成される圧電セラミックスとしてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いることが好ましい。更に、BaTiO2、ZnO、LiNbO2、LiTaO2等を用いてもよい。PZTとしては、真性PZT(PbZrO2−PbTiO2)と、第三成分を添加して、圧電特性を調整した変性PZTがある。添加する第三成分としては、Fe、Nb、Ni、Ta、Zn、Mn、Ca、Sb等がある。 【0042】また、圧電材料として、ゾル−ゲル法で製造した圧電粉末も使用できる。ゾル−ゲル法によれば、ゾルは所定の化学組成を持つ均質な溶液に、水と酸あるいはアルカリを添加し、加水分解等の化学変化を起こさせることによって調製される。更に、溶媒の蒸発や冷却等の処理を加えることによって、目的組成の微粒子あるいは非金属性、無機微粒子の前躯体を分散したゾルが作成され、焼結して圧電材料とすることができる。異種元素の微量添加も含めて、化学組成の均一な化合物を得ることができる。出発原料に、一般にケイ酸ナトリウム等の水に可溶な金属塩あるいは金属アルコキシドが用いられ、金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物で、OR基が強い塩基性を持つため容易に加水分解され、有機高分子のような縮合過程を経て、金属酸化物あるいはその水和物に変化する。 【0043】また、積層基盤のコーティング法として、気相から析出させる蒸着法やスパッター法があり、気相からセラミック基盤を作成する方法は、物理的手段による蒸着法と、気相から基盤表面に化学反応により析出させる化学析出法の2通りに分類される。更に、物理蒸着法(PVD)は、真空蒸着法、スパッター法、イオンプレーティング法等に細分され、また化学的方法は、気相化学反応法(CVD)、プラズマCVD法などがある。物理蒸着法(PVD)としての真空蒸着法は、真空中で対象とする物質を加熱して蒸発させ、その蒸気を基盤上に付着させる方法で、スパッター法は目的物質(ターゲット)に高エネルギー粒子を衝突させ、ターゲット表面の原子・分子が衝突粒子と運動量を交換して、表面からはじきだされるスパッタリング現象を利用する方法である。またイオンプレーティング法は、イオン化したガス雰囲気中で蒸着を行う方法である。また、CVD法では、膜を構成する原子・分子あるいはイオンを含む化合物を気相状態にした後、適当なキャリヤーガスで反応部に導き、加熱した基盤上で反応あるいは反応析出させることによって膜を形成する。プラズマCVD法はプラズマエネルギーで気相状態を発生させ、400℃〜500℃までの比較的低い温度範囲の気相化学反応で膜を析出させる。 【0044】分極方向を反対に向けた2枚の圧電素子板1a、1bを接合する場合の接合手段としては、接着剤を用いた接合を採用できるが、接合可能であれば特に限定される訳ではない。接着剤を用いて接着層を形成する場合、その接着層の硬化後の厚みは、5〜10μmの範囲が好ましい。 【0045】チャンネル溝2の形成手段は、公知の研削機による研削が好ましい。本実施形態では、2枚の圧電素子板1a、1bを接着してから、圧電素子板1a側から圧電素子板1bの途中までに亘ってチャンネル溝2を研削するので、溝を研削してから2枚の圧電素子板を接着する特開平8−174822号の方法に比べて、接着剤が溝に溢れ出す恐れがない。 【0046】チャンネル溝2は、図示のように、水平方向に研削され、各チャンネル溝2内の両側壁は互いに平行に形成される。チャンネル溝2の形は、溝の両側壁が垂直方向に立ち上がっており、そして互いに平行であるから、溝の入口(アクチュエーター基盤3の後面側のインク供給側)と出口(アクチュエーター基盤3の前面側のインク吐出側)で大きさと形状がほとんど変わらないストレートタイプになる。かかるストレートタイプのチャンネル溝2によって構成されるインク溝は、従来のインク入口浅溝タイプの溝に比べ、泡抜けが良く、電力効率が高く、発熱が少なく、高速応答性が良好になる。また、高価な圧電素子板の使用量を大幅に節約できる。溝の深さは150〜300μm、幅は40〜100μm、長さは1〜10mmで、溝ピッチ80〜200μmが好ましい。 【0047】このようにして形成したチャンネル溝2は、目的に応じて、インクを吐出するインク溝とインクを吐出しない空気溝として使用することができる。この場合、インク溝と空気溝を交互に配置させ、吐出の振動が隣接するインク溝に及ばないようにすることで、高速吐出が可能となると共に、全インク溝から同時に吐出させることが可能になるので、チャンネル当りのプリント速度を大幅に向上できるようになるために好ましい。 【0048】更に、形成したチャンネル溝2を全てインク溝として使用しても良い。この場合は、クロストークを防ぐため、前述した3サイクル吐出法が好ましい。本発明はそのいずれでも良い。 【0049】また、チャンネル溝2をインク溝と空気溝とに分けて使用する場合には、各チャンネル溝2は、図示するように全てほぼ同一幅、ほぼ同一深さとする必要はなく、インク溝と空気溝とで幅及び深さを異ならせるようにしても良い。 【0050】シェヤーモードインクジェットヘッドにおいては、インクを吐出できる周期は、インク溝の長さをインク中の音速で割った時間の整数倍に限られるので、高周波で吐出するには、インク溝の長さを短くすることが好ましい。浅溝部を持つ入口浅溝型より、図示するような短い溝を持つストレート溝型の方が、高速吐出に都合が良い。 【0051】次の工程は、前記アクチュエーター基盤3におけるチャンネル溝2を形成した面に天板4を接着して、図2に示すヘッド基盤5を作成する工程である。 【0052】天板4としては、アクチュエーター基盤3に用いられる圧電素子板1と熱膨張係数が近いセラミックスを使用することが好ましい。例えば、アクチュエーター基盤3に用いられる圧電素子板1と同じ圧電素子板(PZT)を脱分極して使用することが好ましい。 【0053】アクチュエーター基盤3と天板4の接合手段としては、エポキシ接着剤で接着し、14〜20kg/cm2の圧力と、90〜100℃の温度をかけて、30分間硬化させることが好ましい。PZTは高価なので、天板4として安価なアルミナ基盤を用い、これを室温硬化型接着剤、例えば、(株)日本エーブルスティック製のエーブルボンド931−1、931−1T1N等でアクチュエーター基盤3と接着しても良い。この場合、接着時に加熱を要しないので、熱膨張係数の差は問題にならない。 【0054】なお、詳細については図示しないが、通常、アクチュエーター基盤3と天板4とを接合した後は、これをチャンネル溝2と直交する方向に沿って所望寸法に裁断することによって複数のヘッド基盤5を同時に形成するようにしている。 【0055】このようにして形成されたヘッド基盤5には、各チャンネル溝2内に、後述する方法によって、電極及びこの電極と繋がる引き出し配線を形成する。この引き出し配線の形成に際しては、まず、前記ヘッド基盤5の前面及び後面の少なくとも一方の面にレーザー光を照射して、複数のチャンネル溝2の各チャンネル溝2とヘッド基盤5の上面及び/又は底面とに繋がる縦溝を形成する。 【0056】即ち、この縦溝を形成する場所については、以下に記載する各態様が挙げられる。 【0057】(1)アクチュエーター基盤3の前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様。 (2)天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様。 (3)アクチュエーター基盤3及び天板4の、前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様。 【0058】そこで、これら各態様について個別に説明する。 【0059】(1)アクチュエーター基盤3の前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様【0060】縦溝をアクチュエーター基盤3の前面及び後面の少なくとも一方に形成する場合、図3に示すように、アクチュエーター基盤3の前面及び後面の少なくとも一方にレーザー光LBを照射して、一端がチャンネル溝2に繋がり、他端がヘッド基盤5の底面5bに繋がる縦溝6を各チャンネル2毎に形成する。図示する例ではアクチュエーター基盤3の後面のみに縦溝6を形成するものを示している。 【0061】この縦溝6は、機械的な研削ではなく、レーザー光の照射によって溝を掘るようにして形成するので、溝の側壁の欠けや割れが発生する心配はない。また、機械的な研削では作れない微細な溝を高密度に形成することが可能である。しかも、各チャンネル溝2間にはレーザー光が照射されないため、本実施形態に示すように2枚の圧電素子板1a、1bを用いた場合でも、それら2枚の圧電素子板1a、1b間の接着層にはレーザー光は照射されず、接着層が破壊されることはない。従って、接着層の破壊によるインク漏れが発生することはない。 【0062】レーザー光で縦溝6を掘る条件は、レーザー光の波長やパルスレートにも依存するが、幅約30μm、深さ約10μmの溝を掘るのに、約50J/cm2以上のエネルギー密度を要する。例えば、被加工面で400μm2に集束されたYAGレーザーの第2高調波光を、1パルスエネルギー0.4mJ、パルスレート3KHzで、X,Yガルバノミラーを通して照射することで、縦溝6を掘ることができる。この縦溝6の幅は10〜30μmが好ましい。また、その深さは10〜20μmが好ましい。 【0063】次に、このようにして縦溝6が形成されたヘッド基盤5の全面に無電解めっきを施してめっき金属を析出させる。 【0064】この無電解めっき工程は、前処理工程とめっき工程からなる。前処理としては、脱脂処理、エッチング処理、触媒吸着、水洗処理等が挙げられる。上記ヘッド基盤5を、濃度0.1%の塩化第1錫水溶液に浸漬して塩化第1錫を吸着させ、続いて濃度0.01%の塩化パラジウム水溶液に浸漬して塩化パラジウムを吸着させ、先に吸着した塩化第1錫と塩化パラジウムの間で酸化還元反応(SnCl2+PdCl2→SnCl4+Pd↓)により金属パラジウムを形成する。この金属パラジウムが無電解めっきの触媒となる。 【0065】次に、触媒が吸着されたヘッド基盤5に無電解めっきを行う。めっき金属はヘッド基盤5の触媒吸着面に析出され、このめっき金属により電極が形成される。 【0066】電極を形成するための金属としては、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等があるが、これらのうちでNiやCuが好ましく、特にNiが好ましい。無電解めっきによる電極形成においては、Ni−Pめっき又はNi−Bめっきを単独で使用しても良い。或いはNi−PとNi−Bを重層しても良い。Ni−PめっきはP含量が高くなると電気抵抗が増大するので、P含量が1〜数%程度のものが良い。Ni−BめっきのB含量は、普通1%以下なので、Ni−PよりNi含量が多く、電気抵抗が低く、また、外部配線との接続性が良いため、Ni−PよりNi−Bの方が好ましい。 【0067】無電解めっきを施す際には、めっき液がヘッド基盤5の表面のみならず、チャンネル溝2と縦溝6の内部にまで行きわたって、全体が均一にめっきされるよう、ヘッド基盤5を振動又は揺動させることが好ましい。 【0068】以上のようにして、ヘッド基盤5の全面、即ちチ各ャンネル溝2内と縦溝6内にも無電解めっきが施される。 【0069】次の工程は、ヘッド基盤5の前面及び後面を研磨してヘッド基盤5の表面に析出しためっき金属を除去し、各チャンネル溝2と各縦溝6の中にめっき金属を残して、それにより、図4に示すように電極2aと縦配線7を形成する工程である。図中、斜線で示す部分がめっき金属が残存する部分である。 【0070】めっき金属を除去するには、通常の研磨機で研磨すれば良い。研磨機による研磨は、ヘッド基盤5の前面及び後面に対して行う。また、ヘッド基盤5の側面は、必要に応じて研磨しても良いし、めっきした後にヘッド基盤5を所定長さに裁断することで、非めっき部分を露出させるようにしても良い。 【0071】以上のように研磨すると、ヘッド基盤5の前面及び後面において、その表面のめっき金属は除去されるが、チャンネル溝2と縦溝6の中に析出しためっき金属は残るので、これを電極2aと該電極2aに繋がる縦配線7として使用する。また、この研磨によって、レーザー光の照射部に生じた凹凸を平滑化できるので、後工程においてノズル板、絞り板及びインクマニホールドを確実に接着できるようになる。 【0072】次に、図5に示すようにヘッド基盤5の底面5bにレーザー光LBを照射して、底面5bに析出しためっき金属の一部をチャンネル溝2とほぼ平行に線状に除去して除去部9を形成することにより、各チャンネル溝2毎に独立した配線となるように、前記縦配線7と繋がる横配線8、8…を区分けする。この縦配線7と横配線8によって、各チャンネル溝2内の電極2aから引き出される引き出し配線が構成される。 【0073】これで、縦配線7及び横配線8により構成される引き出し配線をチャンネル溝2毎に独立させることができる。 【0074】各チャンネル溝2毎の縦溝6をアクチュエーター基盤3の前面に設ける場合も、上記と同様にして行うことができる。 【0075】この(1)の態様では、縦溝6をアクチュエーター基盤3の前面及び後面の両方に形成することもできる。この場合は、図6に示すように、アクチュエーター基盤3の前面及び後面にレーザー光を照射して、複数のチャンネル溝2の各チャンネル溝2とヘッド基盤5の底面5bとに繋がる縦溝を、アクチュエーター基盤3の前面と後面の両方に形成する。 【0076】図示する例では、アクチュエーター基盤3の後面に位置する縦溝を符号6aとし、前面に位置する縦溝を符号6bとし、チャンネル溝2の1本おきにアクチュエーター基盤3の前面と後面とで交互になるように形成するものを示しているが、縦溝はアクチュエーター基盤3の前面と後面の両方に形成されていれば良く、必ずしも図示する態様に限定されない。 【0077】これら縦溝6a、6bを形成した後は、上記同様に、めっき工程、研磨工程を経て、図7(a)(b)に示すようにそれぞれ各チャンネル溝2内に電極2aと、各縦溝6a、6b内に残存するめっき金属により上記電極2aに繋がる縦配線7a、7bとを形成した後、ヘッド基盤5の底面5bにレーザー光を照射して、底面5bに析出しためっき金属の一部を線状に除去することにより、前記縦配線7aと繋がる横配線8aと、縦配線7bと繋がる横配線8bをそれぞれ形成するが、この横配線8a、8bの形成に際しては、各チャンネル溝2を空気溝21とインク溝22とに分け、それらを交互に配置して使用する場合と、各チャンネル溝2を全てインク溝として使用する場合とで方法が若干異なる。 【0078】即ち、前者の場合は、図7(a)に示すように、ヘッド基盤5の底面5bに、チャンネル溝2とほぼ直交する方向に沿ってレーザー光を照射することにより、ヘッド基盤5の前面側と後面側とを分離するようにめっき金属を線状に一部除去して除去部9aを形成し、そのうちのヘッド基盤5の前面側に残存するめっき金属により空気溝21用の一つの横配線8bを区分けすると共に、ヘッド基盤5の後面側に残存するめっき金属を、更に各インク溝22用の縦配線7a毎に独立した配線となるように、チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去することで除去部9b、9b…を形成し、インク溝22用の横配線8a、8a…を区分けする。これで、縦配線7a及び横配線8aにより構成される引き出し配線をインク溝22毎に独立させることができる。 【0079】また、後者の場合は、図7(b)に示すように、ヘッド基盤5の底面5bにチャンネル溝2とほぼ直交する方向に沿ってレーザー光を照射することにより、ヘッド基盤5の前面側と後面側とを分離するようにめっき金属を線状に一部除去して除去部9aを形成し、そのうちのヘッド基盤5の前面側に残存するめっき金属を、更にその前面に位置する各縦配線7b毎に独立した配線となるように、チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去して除去部9b、9b…を形成して横配線8b、8b…を区分けする。また、同様にしてヘッド基盤5の後面側に残存するめっき金属を、その後面に位置する各縦配線7a毎に独立した配線となるように、各チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去して除去部9c、9c…を形成して横配線8a、8a…を区分けする。これで、縦配線7a、7b及び横配線8a、8bにより構成される引き出し配線をチャンネル溝2毎に独立させることができる。 【0080】図7(a)に示す前者の態様によれば、全空気溝21に繋がる横配線8bをまとめてグランドに落としておけば良いので配線形成を簡単にすることができる。しかも、各インク溝22に対応する縦配線7aと横配線8aとからなる引き出し配線の密度を低下させることができるため、図5に示すヘッド基盤5に比べて、各引き出し配線のピッチを倍にすることができ、各引き出し配線を異方導電性フィルム(ACF)を用いてフレキシブルケーブルと接続するための位置合わせの際のマージンが大きくなり、ショートによる不良を誘発する危険性を著しく低減させることができる。 【0081】なお、図7(a)に示す例では、除去部9aの端部を屈曲させてチャンネル溝2とほぼ平行な除去部9a’を形成することで、横配線8bを、インク溝22用の引き出し配線を構成する横配線8aと並列させて設けるようにしている。このようにすると、全空気溝21のグランドの取り出し位置を、底面5bにおいて横配線8aと同じ側(ここでは後面側)にまとめて配置させることができるようになる利点がある。 【0082】また、図7(b)に示す後者の態様によれば、各チャンネル溝2に繋がる縦配線7を、ヘッド基盤5の前面と後面とに分けて設けることで、各縦配線7に繋がる横配線8とにより構成される引き出し配線の密度を低下させることができるので、全チャンネル溝2をインク溝22として使用するにも関わらず、図5に示すヘッド基盤5に比べて、各引き出し配線のピッチを倍にすることができるので、各引き出し配線を異方導電性フィルム(ACF)を用いてフレキシブルケーブルと接続するための位置合わせの際のマージンが大きくなり、ショートによる不良を誘発する危険性を著しく低減させることができる。 【0083】(2)天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様【0084】縦溝を天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成する場合、図8に示すように、天板4の前面及び後面の少なくとも一方に、レーザー光を照射して、一端がチャンネル溝2に繋がり、他端がヘッド基盤5の上面5aに繋がる縦溝6を各チャンネル溝2毎に形成する。図示する例では天板4の後面のみに縦溝6を形成するものを示している。 【0085】縦溝6を形成した後は、上記(1)と同様に、めっき工程、研磨工程を経て、図9に示すように、それぞれ各チャンネル溝2内に電極2aと、各縦溝6内に残存するめっき金属により上記電極2aと繋がる縦配線7とを形成した後、ヘッド基盤5の上面5aに、レーザー光を照射して、上面5aに析出しためっき金属の一部をチャンネル溝2とほぼ平行に線状に除去して除去部9を形成することにより、各チャンネル溝2毎に独立した配線となるように、前記縦配線7と繋がる横配線8、8…を区分けする。この縦配線7と横配線8によって、各チャンネル溝2内の電極2aから引き出される引き出し配線が構成される。 【0086】これで、縦配線7及び横配線8により構成される引き出し配線をチャンネル溝2毎に独立させることができる。 【0087】各チャンネル溝2毎の縦溝6を天板4の前面に設ける場合も、上記と同様にして行うことができる。 【0088】また、縦溝6を天板4の前面及び後面の両方に形成する場合は、図10に示すように、天板4の前面及び後面にレーザー光を照射して、複数のチャンネル溝2の各チャンネル溝2とヘッド基盤5の上面5aとに繋がる縦溝を、天板4の前面と後面の両方に形成する。 【0089】図示する例では、天板4の後面に位置する縦溝を符号6aとし、前面に位置する縦溝を符号6bとし、チャンネル溝2の1本おきにアクチュエーター基盤3の前面と後面とで交互になるように形成するものを示しているが、縦溝は天板4の前面と後面との両方に形成されていれば良く、必ずしも図示する態様に限定されない。 【0090】これら縦溝6a及び縦溝6bを形成した後は、上記(1)と同様に、めっき工程、研磨工程を経て、図11(a)(b)に示すように、それぞれ各チャンネル溝2内に電極2aと、各縦溝6a、6b内に残存するめっき金属により上記電極2aと繋がる縦配線7a、7bを形成した後、ヘッド基盤5の底面5bにレーザー光を照射して、底面5bに析出しためっき金属の一部を線状に除去することにより、前記縦配線7aと繋がる横配線8aと、縦配線7bと繋がる横配線8bをそれぞれ形成するが、ここでも横配線8a、8bの形成に際しては、図7(a)(b)に示した態様と同様、各チャンネル溝2を空気溝21とインク溝22とに分け、それらを交互に配置して使用する場合と、各チャンネル溝2を全てインク溝として使用する場合とで方法を異にする。 【0091】即ち、前者の場合は、図11(a)に示すように、ヘッド基盤5の上面5aに、チャンネル溝2とほぼ直交する方向に沿ってレーザー光を照射することにより、ヘッド基盤5の前面側と後面側とを分離するようにめっき金属を線状に一部除去して除去部9aを形成し、そのうちのヘッド基盤5の前面側に残存するめっき金属により空気溝21用の一つの横配線8bを区分けすると共に、ヘッド基盤5の後面側に残存するめっき金属を、更に各インク溝22用の縦配線7a毎に独立した配線となるように、チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去することで除去部9b、9b…を形成し、インク溝22用の横配線8a、8a…を区分けする。これで、縦配線7a及び横配線8aにより構成される引き出し配線をインク溝22毎に独立させることができる。 【0092】また、後者の場合は、図11(b)に示すように、ヘッド基盤5の上面5aにチャンネル溝2とほぼ直交する方向に沿ってレーザー光を照射することにより、ヘッド基盤5の前面側と後面側とを分離するようにめっき金属を線状に一部除去して除去部9aを形成し、そのうちのヘッド基盤5の前面側に残存するめっき金属を、更にその前面に位置する各縦配線7b毎に独立した配線となるように、チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去して除去部9b、9b…を形成して横配線8b、8b…を区分けする。また、同様にしてヘッド基盤5の後面側に残存するめっき金属を、その後面に位置する各縦配線7a毎に独立した配線となるように、各チャンネル溝2とほぼ平行に線状に一部除去して除去部9c、9c…を形成して横配線8a、8a…を区分けする。これで、縦配線7a、7b及び横配線8a、8bにより構成される引き出し配線をチャンネル溝2毎に独立させることができる。 【0093】図11(a)に示す前者の態様によれば、図7(a)に示す態様と同様の効果があり、また、図11(b)に示す後者の態様によれば、図7(b)に示す態様と同様の効果がある。 【0094】(3)アクチュエーター基盤3及び天板4の、前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様【0095】縦溝をアクチュエーター基盤3及び天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成する場合は、図12(a)(b)に示すように、ヘッド基盤5の前面及び後面の少なくとも一方にレーザー光を照射して、複数のチャンネル溝2の各チャンネル溝2とヘッド基盤5の上面5a及び/又は底面5bとに繋がる縦溝を、ヘッド基盤5を構成するアクチュエーター基盤3と天板4の両方に形成した後、上記同様に、めっき工程、研磨工程を経て、それぞれ各チャンネル溝2内に電極2aと、各縦溝内に残存するめっき金属により上記電極2aと繋がる縦配線71、72とを形成し、更に、ヘッド基盤5の上面5a及び底面5bにレーザー光を照射して、上面5a及び底面5bに析出しためっき金属の一部をチャンネル溝2とほぼ平行に線状に除去して除去部9、9…を形成することにより、各チャンネル溝2毎に独立した配線となるように、前記縦配線71、72と繋がる横配線81、81…及び82、82…を区分けする。この縦配線71と横配線81、縦配線72と横配線82によって、それぞれ各チャンネル溝2内の電極2aから引き出される引き出し配線が構成される。 【0096】これで、縦配線71、72及び横配線81、82により構成される引き出し配線をチャンネル溝2毎に独立させることができる。 【0097】なお、図示する例では、ヘッド基盤5の後面に縦溝を形成した例を示しており、図12(a)はヘッド基盤5を上面5a側から見た状態を、図12(b)は同一のヘッド基盤5を底面5b側から見た状態をそれぞれ示す。 【0098】また、図示する例では、アクチュエーター基盤3側の縦溝により形成される縦配線を符号71とし、天板4側の縦溝により形成される縦配線を符号72とし、各チャンネル溝2の1本おきにアクチュエーター基盤3側と天板4側とに交互に形成するものを示しているが、この態様では、縦溝がアクチュエーター基盤3及び天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成されていれば良く、必ずしも図示する態様に限定されない。 【0099】この態様によれば、各チャンネル溝2の電極2aと繋がる引き出し配線を、ヘッド基盤5の上面5aと底面5bとに分けることができるため、ヘッド基盤5の上面5aと底面5bとでフレキシブルケーブルと接続する必要があるが、各チャンネル溝2を全てインク溝として使用する場合には、それら引き出し配線のピッチ及び各引き出し配線の面積をいずれも大きくとることができ、各引き出し配線をACFを用いてフレキシブルケーブルと接続するための位置合わせの際のマージンがより大きくなり、ショートによる不良を誘発する危険性をより一層低減させることができる。 【0100】また、各チャンネル溝2をインク溝と空気溝として使用し、それらを交互に配設する場合には、図示するように、各チャンネル溝2の1本おきにアクチュエーター基盤3側と天板4側とに交互に縦溝を形成するようにすれば、詳細は図示しないが、ヘッド基盤5の上面5a又は底面5bのいずれかの面をそのまま空気溝用の引き出し配線とすることも可能となるため、めっき工程、研磨工程を経た後の引き出し配線の形成工程において、空気溝用の引き出し配線となる面に対してはレーザー光を照射して引き出し配線を区分けする作業を不要とすることができる。 【0101】なお、レーザー光の照射により縦溝をアクチュエーター基盤3及び天板4の前面及び後面の少なくとも一方に形成する態様では、各チャンネル溝2に一つの縦溝を形成するものに限らず、図13に示すように、各チャンネル溝2のそれぞれにおいて、アクチュエーター基盤3と天板4との両方に縦溝を形成し、めっき工程、研磨工程を経た後、それら縦溝内に残存するめっき金属により、各チャンネル溝2内の電極2aと繋がる縦配線71、72をそれぞれ形成するようにしても良い。縦溝は、その全てをヘッド基盤5の前面又は後面のいずれかに設けても良いし、例えば縦配線71をアクチュエーター基盤3の前面に設け、縦配線72を天板4の後面に設けるという具合に、ヘッド基盤5の前面と後面とに分けて設けるようにしても良いことはもちろんである。 【0102】図示する例では、ヘッド基盤5の後面に全ての縦配線71、72を形成した例を示しており、図13(a)はヘッド基盤5を上面5a側から見た状態を、図13(b)は同一のヘッド基盤5を底面5b側から見た状態をそれぞれ示す。 【0103】この場合、ヘッド基盤5の上面5a及び底面5bには、それぞれ図5又は図9と同様にして、ヘッド基盤5の上面5a及び底面5bにそれぞれレーザー光を照射し、上面5a及び底面5bに析出しためっき金属の一部をチャンネル溝2とほぼ平行に線状に除去して除去部9、9…を形成することにより、各チャンネル溝2毎に独立した配線となるように、前記縦配線71、72と繋がる横配線81、81…及び82、82…を区分けし、引き出し配線を形成する。 【0104】この態様によれば、ヘッド基盤5の上面5aと底面5bとで同一パターンの引き出し配線が形成されるため、各チャンネル溝2を全てインク溝として使用する場合には、フレキシブルケーブルとの接続面を上面5a及び底面5bのいずれにすることもできる。 【0105】以上、(1)〜(3)の各態様に示すようにしてヘッド基盤5に電極2aとそれに繋がる引き出し配線とを形成した後は、図14に示すように、前記ヘッド基盤5の前面にノズル板10を、また、前記ヘッド基盤5の後面に絞り板11とインクマニホールド12を各々接合する。ここでは図5に示すヘッド基盤5を用いた例を図示している。 【0106】ノズル板10は、一般にステンレスやポリイミドなどで形成されたシート状の薄板に、インク吐出のためのノズル孔10aが各チャンネル溝2に対応して設けられている。例えば、125μmのポリイミドシートに18μm径のノズル孔10aをチャンネル溝2の数に合わせて、エキシマレーザー光で穿孔するようにし、これをヘッド基盤5の前面にエポキシ接着剤で接着する。 【0107】絞り板11はインク入り口流路を絞り、吐出時にインクに掛けた圧力がマニホールド側に抜けることを防ぐために設けられる。この絞り板11には、例えば125μmのポリイミドシートに20〜30μm径のインク供給孔11aを、チャンネル溝2の数に合わせてエキシマレーザー光で穿孔し、ヘッド基盤5の後面にエポキシ接着剤で接着し、引き続き80℃で40分間硬化させる。 【0108】インクマニホールド12は、エンジニヤリングプラスチック、例えばポリエーテルイミド樹脂を射出成型した成型物を、エポキシ接着剤でヘッド基盤5の後面に接着する。 【0109】ヘッド基盤5の底面5b又は上面5aに形成された各横配線8は、図示しないが、異方導電性フィルム(ACF)を用いて、約170℃で約20秒間、14Kg程度の荷重を均一にかけて加熱押圧することにより、図示しない駆動制御基盤と繋がるフレキシブルケーブルと電気的に接続する。 【0110】なお、以上説明した製造方法において、ヘッド基盤5に無電解めっきを施した後は、析出しためっき金属面がインクと接触することによる腐食を防ぐため、めっき金属の上に保護膜を形成することが好ましい。この保護膜形成工程は、ヘッド基盤5に無電解めっきを施した後であれば良く、レーザー光の照射による引き出し配線の形成前であっても、形成後であっても良い。 【0111】この保護膜としては有機絶縁膜を用いることが好ましい。有機絶縁膜を形成する方法は、塗布法や電着法がある。塗布法としては、電極上にポリマー皮膜をスピンコーティングしたり、コンフォーマルコーティングする方法が挙げられ、また乾式法による有機皮膜の形成、例えば、パリレンコンフォーマルコーティングでも良い。 【0112】電着法によって有機絶縁膜を形成する方法としては、例えば15%濃度のアミノアクリル樹脂を含む電着液に、電極を形成したヘッド基盤5を室温で浸漬して、50Vの直流を2分間印加すると、厚さ2μm程度のピンホールフリーの絶縁膜が形成される。電着法は、電導性のある場所にだけ皮膜が形成されること、また、一度薄い皮膜が形成されると、その箇所が絶縁されて電導性がなくなるので、それ以上その場所には析出せず、別の電導性のある場所を探して析出するので、複雑な形状物の上でも均一な薄膜をコーティングすることができる。このように電着法は微細な溝の底まで均一に薄膜状の有機絶縁膜を簡単に形成できるので好ましい。 【0113】 【発明の効果】本発明によれば、圧電素子板を機械的に研削してチャンネル溝を形成し、これに繋がる縦溝をレーザー光を照射して形成した後、無電解めっきし、ヘッド基盤を研磨することで縦配線を形成し、更にヘッド基盤にレーザー光を照射して、この縦配線に繋がる横配線を形成するので、従来の横溝と縦溝を機械的に研削する方法やフォトレジストを使用して画像処理する方法に比べて簡単であり、しかも溝の側壁の欠けや倒れが起こることなく、電極とこれに繋がる引き出し配線を容易に形成することができる。 【0114】また、2枚の圧電素子板を接着してアクチュエーター基盤を構成した場合でも、接着層にはレーザー光を照射することはないので、接着層の破壊によるインク漏れが起こるようなことはない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001270 【氏名又は名称】コニカ株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
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| 【出願日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101340 【弁理士】 【氏名又は名称】丸山 英一
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| 【公開番号】 |
特開2003−182087(P2003−182087A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月3日(2003.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−389797(P2001−389797) |
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