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【発明の名称】 プリント装置
【発明者】 【氏名】山口 修三
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内

【要約】 【課題】インクジェット方式のプリント装置で、電源の容量を下げてコストダウンした場合、印刷データによっては電源の容量を越えることが起きるが、この問題を回路の追加や、処理を複雑にすることなく実現することを目的とする。

【解決手段】印刷用のノズル列が複数存在するプリント装置の場合、印刷ノズルはそれぞれが補間の関係に有り、またそれぞれの印刷ノズルに対して印刷制御が可能であるため、この機能を利用し、印刷濃度が高い部分を発見した場合には、印刷ノズル列ごとに複数回に分けて印刷するよう制御を行うことで、電源の容量が少ない場合でも印刷が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ラスタスキャン方式のプリンタ装置において、次回印刷を予定している1ラスタ分のデータの中で印刷濃度が一番濃い部分を検出する手段をもち、前記検出された印刷濃度が一番濃い部分を印刷した場合に電源の容量が十分であるかを比較する手段を持ち、前記手段にて比較された結果、電源の容量が不足していると判断された場合に、そのラスタのデータを複数のグループに分割し、分割されたデータごとに複数回に分けて印刷を行う事で、電源の容量の不足を回避するプリント装置において、前記グループに分割する方法として複数の印刷ノズル列を持ち、前記それぞれの印刷ノズル列のデータをグループとして分割することを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラスタスキャン方のプリント装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にインクジェット方式のプリント装置に搭載された電源回路は、価格的な要求のためにすべての印刷ノズルが印刷動作をした場合に必要となる電力を保証していない。これは標準的な印刷を行っても全印刷ノズルの約1/4程度しか使用していないためである。しかし稀にプリント装置に入力される印刷データによっては多くの印刷ノズルが動作し電源回路の出力定格電流を超えてしまう場合がある。この様な状態になると電源の出力電流が過大となり、電源回路内の保護回路が動作し出力が停止し、この結果プリント装置の動作も停止してしまう。このような事態を避けるためプリント装置は装置内の電源回路が保証する出力電流を超えた電流が必要な場合には、印刷方法を変え電源の出力定格を超えないように制御するが必要がある。
【0003】以上の問題を解決するための方法として、一般にインクジェット方式の印刷システムでは、印刷中に印刷濃度が高いため、電源に余裕が無いと判断した場合、印刷を複数回に分けることで、印刷濃度を下げ、電源の許容値を超えないようにする方法が取られている。
【0004】従来技術のプリント装置の印刷ノズル列は図4で示したように1列に並べて構成されている。この様な印刷ノズル列を持ったプリント装置で印刷を複数回に分けるために、図3で示される処理を行っている。図3ではマスクデータaに印刷データの上側から半分を印刷許可し、下側半分を印刷禁止とするパタンを使用する。またマスクデータbには印刷データの上側から半分を印刷禁止し、下側半分を印刷許可とするパタンを使用する。ここで1度目のスキャンでは印刷データとマスクデータaのAND処理をしたデータ、つまり印刷データの上側半分のデータを印刷する。2度目のスキャンでは印刷データと、マスクデータbのAND処理を行ったデータを使用することで、印刷データの下側半分の印刷を行う。従来は以上のようにマスクデータを用いる事で印刷データを複数回に分けて印刷を行っていた。上記方法を実現するために従来は図2に示すようなプリント装置内の構成を取っていた。
【0005】以下図2を用いて従来の技術で構成されたプリント装置の動作を説明する。
【0006】最初に印刷濃度が薄く電源の許容値を超えていない場合は以下の動作を行う。まずプリント装置に送られた印刷データ16はプリント装置内の印刷濃度検出器17に送られ、所定の期間に印刷処理されるプリントデータにおける印刷濃度を検出する。印刷濃度検出器17は印刷ヘッド(不図示)に取り付けられた印刷ノズル列29が所定の時間内に印刷するドット数の総和を、1カラムづつ移動しながら計算を続ける。この様に常に一定の時間内に印刷するドットの総和を計算し、計算された総和に1ドットを印刷するために必要な電流値を積算する事で、一定時間に消費する電流値の総和を見積もり、見積もられた電流値の総和と電源の許容出力電流と比較している。
【0007】ここで印刷濃度が低い場合、印刷濃度検出器17にて印刷濃度が高い部分を発見されないため、印刷濃度検出器17は高濃度検出信号18を使ってCPU19に対し、プリント装置に入力された印刷データ16に印刷濃度が高い部分は無いことを知らせる。また印刷濃度検出器17を通過した印刷データ16は次にRAM20に送られる。CPU19は印刷濃度検出信号により印刷濃度が低いと伝えられるためマスクデータa許可信号23、マスクデータb許可信号を否許可状態にし、マスクデータa21、マスクデータb22を使用しないで印刷処理を行うように設定する。次にCPU19は印刷許可信号27を許可状態にし印刷データ生成回路28を動作させる。この時マスクデータa許可信号23、マスクデータb許可信号24が共に否許可状態であるため、マスクデータa21、マスクデータb22のデータがOR回路25に送られず、AND回路26はRAM20内の印刷データをそのまま出力データ生成回路28に送る。この結果、出力データ生成回路28はプリント装置に入力された印刷データ16を変更せずに受け取ることになる。その後出力データ生成回路28で生成されたデータは印刷ノズル列29に送られ、印刷処理が行われる。
【0008】次に電源の許容値を越えた場合の動作を説明する。まずプリント装置に送られた印刷データ16はプリント装置内の印刷濃度検出器17に送られる。次に印刷濃度検出器17で印刷濃度が高い部分を検出することになる。すると印刷濃度検出器17は高濃度検出信号18を使ってCPU19に対して,プリント装置に入力された印刷データ16に印刷濃度が高い部分があることを知らせる。また印刷濃度検出器17を通過した印刷データ16は次にRAM20に送られる。CPU19は高濃度検出信号18により印刷濃度が高いと伝えられた結果マスクデータa許可信号23を許可状態、マスクデータb許可信号24を否許可状態にし、マスクデータa21を使用し、マスクデータb22を使用しないで印刷処理を行うように設定する。次にCPU19は印刷許可信号27を許可状態にし出力データ生成回路28を動作させる。この時マスクデータa許可信号23が許可状態、マスクデータb許可信号24が否許可状態であるため、マスクデータa21はOR回路25に送られ、マスクデータb22はOR回路25に送られないため、AND回路26はRAM20内の印刷データと、マスクデータa21の2つのデータをAND処理したものを出力データ生成回路28に送る。この結果出力データ生成回路28はプリント装置に入力された印刷データ16にマスクデータaをAND処理したデータを受け取ることになる。その後出力データ生成回路28で生成されたデータは印刷ノズル列29に送られ、印刷処理が行われる。次にCPU19はマスクデータa許可信号23を否許可状態、マスクデータb許可信号24を許可状態にし、マスクデータa21を使用せず、マスクデータb22を使用して印刷処理を行うように設定する。次にCPU19は印刷許可信号27を許可状態にし出力データ生成回路28を動作させる。この時マスクデータa許可信号23が否許可状態、マスクデータb許可信号24が許可状態であるため、マスクデータb22はOR回路25に送られ、マスクデータa21のデータはOR回路25に送られず、AND回路28はRAM20内の印刷データと、マスクデータb22の2つのデータをAND処理したものを出力データ生成回路28に送る。この結果出力データ生成回路28はプリント装置に入力された印刷データ16にマスクデータb22をAND処理したデータを受け取ることになる。その後出力データ生成回路28で生成されたデータは印刷ノズル列29に送られ、印刷処理が行われる。
【0009】マスクデータaとマスクデータbはお互いに補間の関係にあるため、以上の処理を行うことでプリント装置に入力された印刷データ16をすべて印刷することが出来る。しかも印刷データ16を2度に分けて印刷するために印刷時の消費電力も印刷ノズル列の最大消費電力の2分の1以下となり、プリント装置の電源は印刷ノズル列が消費する最大消費電流の2分の1まで小さな出力電流容量の電源を用いても印刷を行うことが出来る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のように、従来の方法では印字データを分割する際に、マスクデータを2個作成し、印刷時にマスクデータと印刷データをAND処理したものを印刷し、またマスクデータを切り替えて印刷しなければならないため、処理及び、回路が複雑になっていた。
【0011】本発明では印刷を複数回に分ける事で印刷濃度を下げる処理を実施するうえで、簡単な方法を用いて実現することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】従来のインクジェットプリンタの印刷ノズル列は図4の様に配列されており、1列に並んだ印刷ノズルからインクを吐出して印刷を行っていた。しかし現在のインクジェットプリンタは印刷ノズルを図6の様に複数のノズル列にて構成することで、より高密度な印刷が行えるように設計されている。さらにこれら複数の印刷ノズル列に対して印刷許可を与える機能が用意されている(図1)。そこで以上の機能を利用し印刷を複数回に分けて行うことで、印刷データを分割する処理の簡略化を実現する。
【0013】
【発明の実施の形態】実施例を用いて本発明を説明する。
【0014】図1は本実施例を使用したプリント装置の構成図である。1はプリント装置に入力される印刷データ、2は入力された印刷データにおける印刷濃度を検出する印刷濃度検出器、3は印刷濃度検出器がCPU(後述)に対して印刷データの濃度を知らせるための印刷濃度検出信号、4はプリント装置に入力された印刷データを2つの印刷ノズル列(後述)用に2つに分ける印刷ノズル用データ分離回路、5は印刷処理を制御するCPU、6は印刷ノズル用データ分離回路4にて分離されたデータの1方を一時的に記憶させるためのRAMa、7は印刷ノズル用データ分離回路4にて分離されたデータのもう1方を一時的に記憶させるためのRAMb、8はRAMaに記憶されたデータを用いて印刷処理を行うための印刷許可信号a、9はRAMaに記憶されたデータを用いて印刷処理を行うための印刷許可信号b、10は印刷処理時に印刷ノズルが使用する印刷出力データをRAMaのデータを用いて生成する印刷出力データ生成回路a、11は印刷処理時に印刷ノズルが使用する印刷出力データをRAMbのデータを用いて生成する印刷出力データ生成回路b、12は印刷出力データ生成回路a10から受け取った印刷出力データを用いて印刷を行うための印刷ノズル列a、13は印刷出力データ生成回路b11から受け取った印刷出力データを用いて印刷を行うための印刷ノズル列bである。
【0015】本発明は印刷ノズルが図6で示す通り複数あるプリント装置に関するため、本実施例でも印刷ノズル列が2列装備されている。このため、印刷ノズル用データ分離回路4を備え、RAM、印刷出力データ生成回路は各印刷ノズル列用にそれぞれ用意されている。印刷ノズル列a12と印刷ノズル列b13はそれぞれ偶数行、奇数行を印刷するよう配列されており、お互いが補間の関係に有る。このため、印刷ノズル列a12と印刷ノズル列b13の両方で印刷を行うことで、すべての印刷データ1の印刷を行うことが出来る。
【0016】最初に印刷濃度が薄く、電源の出力電流の範囲内で印刷が行える場合の動作を説明する。
【0017】印刷濃度が薄い場合の印刷は印刷ノズル列a12による印刷処理と、印刷ノズル列b13による印刷処理とを同時に行うことで実現される。印刷ノズルa12と印刷ノズルb13は図6のように2列に配置されていて両方の印刷ノズルからの印刷を重ねることで印刷データ1のすべてが印刷される。このため図5で示されるとおり印刷ノズルa12、印刷ノズルb13の両方の印刷処理を重ね合わせれば、入力された印刷データ1をすべて印刷することが出来る。次に図1を使って詳しく動作を説明する。
【0018】プリント装置に送られた印刷データ1は印刷濃度検出装置2に送られる。印字濃度検出器2は従来技術同様、一定時間に消費する電流値の総和を見積もり、見積もられた電流値の総和と電源の許容出力電流と比較し、印刷濃度の高い部分を検出する。印刷濃度検出器にて印刷濃度が高い部分を発見されなかった場合は、高濃度検出信号3を使ってCPU5にプリント装置に入力されたプリントデータに印刷濃度が高い部分が無いことを知らせる。また印刷濃度検出器2を通った印刷データは印刷ノズル用データ分離回路4へ送られる。印刷ノズル用データ分離回路は印刷ノズル列a12、印刷ノズル列b13のそれぞれで印刷に使用するデータに印刷データ1を分離する。印刷ノズル用データ分離回路にて分離されたデータはそれぞれRAMa6、RAMb7へ送られる。次にCPU5は高濃度検出信号3を受け取り印刷濃度が低いことを知ると、印刷許可信号a8、印刷許可信号b9を許可状態にする。印刷許可信号a8、印刷許可信号b9を受け取ったそれぞれの出力データ生成回路a10、出力データ生成回路b11はRAMa6、及びRAMb7からデータを受け取り、受け取ったデータから出力データを生成し印刷ノズル列a12及び印刷ノズル列b13に送る。印刷濃度が薄い場合は以上の動作を行うことで印刷が完了する。
【0019】次に印字濃度が濃い場合の動作を説明する。印刷濃度が濃く印刷を複数回に分割しなければならない場合の印刷は、印刷ノズル列a12による印刷処理と、印刷ノズル列b13による印刷処理とを2度に分けて行うことで実現される。印刷ノズルa12と印刷ノズルb13は図6のように配置されているため、図5で示す印刷ノズルa12の印刷と、印刷ノズルb13の印刷結果が重なるように2度に分けて印刷を行い実現する。以上の方法で入力された印刷データ1をすべて印刷することが出来る。次に図1を使って詳しく動作を説明していく。プリント装置に送られた印刷データ1は印刷濃度検出装置2に送られる。印刷濃度検出器にて印刷濃度が高い部分が発見されるため、印刷濃度検出器は高濃度検出信号3を使ってCPU5に対し、プリント装置に入力された印刷データに印刷濃度が高い部分があることを知らせる。また印刷濃度検出器2を通った印刷データは印刷ノズル用データ分離回路4へ送られる。印刷ノズル用データ分離回路は印刷ノズル列a12、印刷ノズル列b13のそれぞれで印刷に使用するデータに印刷データ1を分離する。印刷ノズル用データ分離回路4にて分離されたデータはそれぞれRAMa6、RAMb7へ送られる。ここでCPU5は高濃度検出信号3を受け取った結果、印刷濃度が高いことを知る。すると最初に印刷許可信号a8を許可状態、印刷許可信号b9を否許可状態にし、印刷処理を実行する。印刷許可信号a8を受け取った出力データ生成回路a10は、RAMa6からデータを受け取り、受け取ったデータから出力データを生成し印刷ノズル列a12に送る。この時印刷許可信号a9は否許可状態なので出力データ生成回路が動作せず、印刷ノズルb13も動作しない。以上の動作を行うことで、印刷ノズル列a12に振り分けられた印刷データをすべて印刷することが出来る。そこで次にCPU5は、印刷許可信号a8を否許可状態、印刷許可信号b9を許可状態にし、印刷処理を実行する。印刷許可信号b9を受け取った出力データ生成回路b11は、RAMb7からデータを受け取り、受け取ったデータから出力データを生成し印刷ノズル列b13に送る。以上の動作を行うことで印刷ノズル列b13での印刷が実行される。またこの時印刷許可信号b9は否許可状態なので出力データ生成回路b11は動作せず、印刷ノズルb13も動作しない。
【0020】以上説明したノズル列a12での印刷、及びノズル列b13での印刷を行うことで、プリント装置に入力された印刷データ1をすべて印刷する事が出来る。しかも印刷ノズルを1ノズル列づつ動作させるため印刷時の消費電力も印刷ノズル列の最大消費電力の2分の1以下となり、プリント装置の電源は印刷ノズル列が消費する最大消費電流の2分の1まで小さな出力電流容量の電源を用いても印刷を行うことが出来る。
【0021】
【発明の効果】以上、説明のように本発明を用いることで、2つの印刷ノズルを持つプリント装置において、電源の容量を越えた印刷データを印刷する必要がおきた場合に、複数回に分けて印刷する処理が簡単に行えるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
【出願日】 平成13年12月13日(2001.12.13)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三 (外1名)
【公開番号】 特開2003−182045(P2003−182045A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−379982(P2001−379982)