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【発明の名称】 インク吐出判定装置、インクジェットプリンタ、コンピュータプログラム、コンピュータシステム、及び、インク吐出判定方法
【発明者】 【氏名】遠藤 宏典
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】高い信頼性でインクの吐出有無の判定が可能なインク吐出判定装置を実現する。

【解決手段】インク吐出部から吐出されたインクが、発光部から発光された光を遮ることにより変化する受光部の出力信号に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項2】 請求項1に記載のインク吐出判定装置において、前記受光部は、ゲイン調整端子および信号出力端子を有する受光センサと、前記ゲイン調整端子に接続され、当該ゲイン調整端子に可変電圧信号を供給可能な可変電圧供給部とを備え、前記適正化は、インクの吐出が無い状態における前記信号出力端子の出力信号を検出し、前記可変電圧信号の電圧を調整することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項3】 請求項2に記載のインク吐出判定装置は、前記インクの吐出有無の判定と出力信号の前記適正化とを所定回数繰り返して実行し、なおインクの吐出が無いと判定した場合において、更に前記適正化を実行した後の出力信号と、その直前のインク吐出判定前に実行した適正化における出力信号との差が所定値より小さい場合には、前記インク吐出部をクリーニングするための指令信号を生成することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項4】 請求項2に記載のインク吐出判定装置は、前記インクの吐出有無の判定と出力信号の前記適正化とを所定回数繰り返して実行し、なおインクの吐出が無いと判定した場合において、更に前記適正化を実行した後の出力信号と、その直前のインク吐出判定前に実行した適正化における出力信号との差が所定値より大きい場合には、前記発光部の発光開始時から前記信号出力端子の出力信号が安定するまでに要する時間が経過した後に、更なるインクの吐出判定を実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項5】 請求項4に記載のインク吐出判定装置において、前記更なるインクの吐出判定は、すべてのインク吐出部に対して一度ずつインクの吐出有無の判定を実行するために要する時間内における出力信号の変化量が所定値より小さくなったことを検知した後に実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項6】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、受光部のゲインを除き、判定時の条件を変えることなく、同一のインク吐出部に対して前記インクの吐出判定を再び実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項7】 請求項6に記載のインク吐出判定装置において、前記判定時の条件は、判定対象となるインク吐出部と前記光の光軸との相対位置、前記光が収束部を有する光束の場合にはその収束部の位置と判定対象となるインク吐出部との相対位置、インク吐出部から吐出させるインクの量、発光部が発する光の強度、判定の基準となる閾値、判定を実行するタイミング、のいずれかであることを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項8】 請求項6又は7に記載のインク吐出判定装置において、前記インクの吐出有無の判定は、前記光の光軸と交差する方向に前記インク吐出部が往復移動しつつ実行され、一方向への移動中に前記インクの吐出が無いと判定した場合には、再び実行するインクの吐出判定は、前記インク吐出部の逆方向への移動時に実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項9】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記発光部が発する光の強度を適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインク吐出判定装置を備えたインクジェットプリンタ。
【請求項11】 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインク吐出判定装置にインクの吐出判定を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】 コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルドライブ装置、CD−ROMドライブ装置、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するインクの吐出判定装置を有するプリンタと、を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項13】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化するステップと、受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するステップとを有することを特徴とするインク吐出判定方法。
【請求項14】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、受光部のゲインを除き、判定時の条件を変えることなく、同一のインク吐出部に対して前記インクの吐出判定を再び実行するステップとを有することを特徴とするインク吐出判定方法。
【請求項15】 光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記発光部が発する光の強度を適正化するステップと、受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するステップとを有することを特徴とするインク吐出判定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷装置におけるインクの吐出の有無を判定するインク吐出判定装置、このインク吐出判定装置を備えたインクジェットプリンタ、インク吐出判定装置にインク吐出判定を実行させるためのコンピュータプログラム、前記インクジェットプリンタを有するコンピュータシステム、及び、インク吐出判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、印字ヘッドに備えられた複数のノズルからインクを吐出して画像の印刷を行う。前記ノズルは、インクの粘度の増加や気泡の混入等の原因により目詰まりして、インクが吐出されないことがあり、これにより画像に印字されない部分(以下、ドット抜けという)が発生して画質が劣化することがある。
【0003】ドット抜けを防止するために、印字ヘッドをクリーニングすることは有効であるが、印字ヘッドをクリーニングすると、微量ながらインクを消費するとともに、良好なノズルに対して、悪影響を及ぼしてしまう虞がある。このため、印字ヘッドのクリーニングを実行する前に、ノズルが本当に目詰まりしているか否かを判定したり、クリーニングの実行後に、目詰まりしていたノズルを含めて、正常にインクが吐出されているか否かを判定すべく、光を用いてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置を備えたものがある。
【0004】図11は、光を用いたインク吐出判定装置の一例を示す概念図である。この判定装置は、光を発する発光部302と前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部304とを有している。
【0005】発光部302の光源をなすレーザダイオードは発光により発熱し、この発熱によってレーザ光の強度が低下することがある。このため、前記発光部302は、レーザダイオードの発するレーザ光を前記受光部304とは反対側の位置で受光し、光量を検出するモニタダイオード(図示せず)と、モニタダイオードで検出された光量に基づいてレーザ光の強度を制御する制御部とを有し、レーザダイオードから発するレーザ光の強度が一定になるように制御する、いわゆるオートパワーコントロールを実行している。
【0006】受光部304は受光センサ306を有し、この受光センサ306のゲイン調整端子Paと電源電位Vccとの間には、いわゆるゲイン抵抗Rgが接続され、信号出力端子Pbからは、出力信号Voutが出力されている。
【0007】印刷装置の印字ヘッド300から吐出されたインクIpが、前記レーザ光を遮ることによる前記出力信号Voutの出力レベルの変化に基づいてインクの吐出有無を判定する。すなわち、インクIpがレーザ光を遮るか否かに応じて、受光センサ306の出力信号Voutがオンレベルとオフレベルとの間で切り替わるように設定されている。受光センサ306の出力がインクの吐出有無によってオンレベルとオフレベルとに確実に切り替わるためには、受光センサ306で受光される光量が安定していることが前提であり、発光部302を点灯した後に、そのレーザ光の強度に対する受光センサ306における出力信号のレベルをゲイン抵抗Rgを用いて調整している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザダイオードの発するレーザ光の強度を制御するために設けられているモニタするモニタダイオードも、レーザダイオードの発熱に伴って温度が上昇し感度が変化してしまうことがある。このため、たとえ発光部302のレーザ光の強度に対する受光センサ306の出力信号レベルを、発光部302の点灯後に調整したとしても、時間の経過に伴ってモニタダイオードの温度が上昇し、このモニタダイオードの受光量に基づいて制御されたレーザ光の強度は変化してしまうことになる。
【0009】したがって、発光部302の点灯後に受光センサ306の出力信号を調整したにも拘わらず、インクの吐出判定時にはレーザ光の強度が変化し、印字ヘッドから吐出したインクがレーザ光を遮っても受光センサ306の出力がオンレベルとオフレベルとの間で変化せず、ノズルが目詰まりしているものと誤検出されてしまうという課題があった。
【0010】本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い信頼性でインクの吐出有無の判定が可能なインク吐出判定装置、このインク吐出判定装置を備えたインクジェットプリンタ、インク吐出判定装置にインク吐出判定を実行させるコンピュータプログラム、前記インクジェットプリンタを有するコンピュータシステム、及び、高い信頼性でインクの吐出有無の判定が可能なインク吐出判定方法を実現することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】主たる本発明は、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行することを特徴とするインク吐出判定装置である。
【0012】本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかにする。
【0013】
【発明の実施の形態】===開示の概要===本明細書における発明の詳細な説明の項の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0014】光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行することを特徴とするインク吐出判定装置。
【0015】このようなインク吐出判定装置によれば、インクの吐出がないと一度判定された場合であっても、再度インクの吐出有無を判定し、その際には、受光部の出力信号に基づいて受光部のゲインが適正化されているので、発光部の光量変動による誤検出の発生を低減させることが可能となる。ここで、出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合とは、目詰まり等によってインクが吐出されない場合に限らず、インクを吐出しているのにも拘わらず、受光部からの信号出力が正常に変化せず、インク吐出判定装置によってインクを吐出していないと判断される場合も含まれる。例えば、インクの吐出量が少なく、発光部からの光を十分に遮らなかった場合、何らかの原因でインクの吐出方向が正規の方向と異なり発光部からの光を十分に遮らなかった場合、吐出したインクが発行部からの光を遮っても、受光部の信号がハイレベルや、ローレベルのまま変化しなかった場合などが挙げられる。
【0016】さらに、前記受光部は、ゲイン調整端子および信号出力端子を有する受光センサと、前記ゲイン調整端子に接続され、当該ゲイン調整端子に可変電圧信号を供給可能な可変電圧供給部とを備え、前記適正化は、インクの吐出が無い状態における前記信号出力端子の出力信号を検出し、前記可変電圧信号の電圧を調整してもよい。
【0017】このようなインク吐出判定装置によれば、可変電圧信号の電圧を調整することによって、受光部のゲインをインクの吐出判定に適したゲインになるように容易に適正化することが可能となる。
【0018】さらに、前記インクの吐出有無の判定と出力信号の前記適正化とを所定回数繰り返して実行し、なおインクの吐出が無いと判定した場合において、更に前記適正化を実行した後の出力信号と、その直前のインク吐出判定前に実行した適正化における出力信号との差が所定値より小さい場合には、前記インク吐出部をクリーニングするための指令信号を生成することが望ましい。
【0019】これにより、インク吐出部をクリーニングする直前に実行されたインク吐出有無の判定時のゲインが適正か否かが検証されるので、無用なクリーニングの実行を排除することが可能となる。
【0020】また、前記インクの吐出有無の判定と出力信号の前記適正化とを所定回数繰り返して実行し、なおインクの吐出が無いと判定した場合において、更に前記適正化を実行した後の出力信号と、その直前のインク吐出判定前に実行した適正化における出力信号との差が所定値より大きい場合には、前記発光部の発光開始時から前記信号出力端子の出力信号が安定するまでに要する時間が経過した後に、更なるインクの吐出判定を実行してもよい。
【0021】これにより、出力信号が安定した後に、インク吐出有無の判定を実行するので、判定結果に対する信頼性が向上する。
【0022】前記更なるインクの吐出判定は、すべてのインク吐出部に対して一度ずつインクの吐出有無の判定を実行するために要する時間内における出力信号の変化量が所定値より小さくなったことを検知した後に実行してもよい。
【0023】すなわち、インクの吐出有無の正常が確認されるのに要する時間内に、判定に影響するような光量変動が発生する可能性が小さいので、正確な判定結果を得ることが可能となる。
【0024】また、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、受光部のゲインを除き、判定時の条件を変えることなく、同一のインク吐出部に対して前記インクの吐出判定を再び実行することを特徴とする。
【0025】この装置によれば、受光部のゲイン以外の条件については同じにした状態でインクの吐出判定が実行されるので、受光部のゲインを除く同条件の下での判定結果の信頼性が向上する。
【0026】前記判定時の条件は、前記判定時の条件は、判定対象となるインク吐出部と前記光の光軸との相対位置、前記光が収束部を有する光束の場合にはその収束部の位置と判定対象となるインク吐出部との相対位置、インク吐出部から吐出させるインクの量、発光部が発する光の強度、判定の基準となる閾値、判定を実行するタイミング、のいずれかであることが望ましい。
【0027】前記インクの吐出有無の判定は、前記光の光軸と交差する方向に前記インク吐出部が往復移動しつつ実行され、一方向への移動中に前記インクの吐出が無いと判定した場合には、再び実行するインクの吐出判定は、前記インク吐出部の逆方向への移動時に実行することが望ましい。
【0028】このインク吐出判定装置によれば、インクの吐出有無の判定時におけるインク吐出部の走査方向が変わるので、走査によって発生する可能性のあるミスト等によるインクの誤検出を排除することができる。
【0029】また、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記発光部が発する光の強度を適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行することを特徴とする。
【0030】このようなインク吐出判定装置によれば、インクの吐出がないと一度判定され、再度インクの吐出有無を判定する際には、受光部の出力信号に基づいて発光部が発する光の強度が適正化されているので、発光部の光量変動による誤検出の発生を低減させることが可能となる。
【0031】このようなインク吐出判定装置を備えたインクジェットプリンタ、インク吐出判定装置にインクの吐出判定を実行させるためのコンピュータプログラムも実現可能である。
【0032】また、コンピュータ本体と、表示装置と、入力装置と、フレキシブルドライブ装置と、CD−ROMドライブ装置と、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置において、前記出力信号の変化によってインクの吐出が無いと判定した場合には、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記発光部が発する光の強度を適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するインクの吐出判定装置を有するプリンタと、を備えたコンピュータシステムも実現可能である。
【0033】また、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記受光部のゲインを適正化するステップと、受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するステップとを有することを特徴とする。
【0034】さらに、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、受光部のゲインを除き、判定時の条件を変えることなく、同一のインク吐出部に対して前記インクの吐出判定を再び実行するステップとを有することを特徴とする。
【0035】また、光を発する発光部と、前記光を受光してその光量に対応した出力信号を出力する受光部とを有し、インク吐出部から吐出されたインクが、前記光を遮ることによる前記出力信号の変化に基づいてインクの吐出有無を判定するインク吐出判定装置によりインク吐出判定をするインク吐出判定方法において、前記出力信号の変化によってインクの吐出有無を判定するステップと、前記判定によってインクの吐出が無いと判定した場合に、前記受光部の出力信号に基づいて、前記インクの吐出判定に適した出力信号にすべく、前記発光部が発する光の強度を適正化するステップと、受光部のゲインを適正化した後に、前記インクの吐出有無の判定を再び実行するステップとを有することを特徴とする。
【0036】===印刷装置の概略構成===図1は、本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図である。このプリンタ20は、印刷紙Pがスタックされる紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン板26と、印刷紙Pに対し平行方向かつ紙送り方向に対し垂直方向(主走査方向)に駆動されるキャリッジ28と、キャリッジ28を駆動するステップモータ30と、ステップモータ30の動力をキャリッジ28に伝達するタイミングベルト32と、キャリッジ28を案内するためのガイドレール34とを備えている。キャリッジ28には、印刷紙Pにインクを吐出する多数のノズルを備えた印字ヘッド部36が搭載されている。
【0037】キャリッジ28の待機位置をなすキャリッジ28の走査範囲のステップモータ30側にはインク吐出判定部40が設けられている。インク吐出判定部40は、発光部40aと受光部40bとが備えられており、光を利用してインクの吐出有無を判定することによってインク吐出有無を判定する。このインク吐出判定部40による判定の詳細な内容については後述する。
【0038】印刷紙Pは、紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られて、プラテン板26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、ステップモータ30により駆動されるタイミングベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。主走査方向は、副走査方向に垂直である。
【0039】図2は、プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図である。プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56とを備えている。システムコントロ−ラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動ドライバ61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動ドライバ62と、インク吐出判定部40を駆動する判定部ドライバ64と、印字ヘッド部36を駆動するヘッド駆動ドライバ66と、印字ヘッドクリーニング部65を駆動するクリーニング部ドライバ63とが接続されている。
【0040】ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード、高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷モードで印刷を行うための印刷データを生成して、プリンタ20に転送する。転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、各ドライバに対して制御信号を送る。
【0041】イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50で受信された印刷データを色成分毎に分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動ドライバ66は、システムコントロ−ラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から色成分の印刷データを読み出し、これに応じて印字ヘッド部36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0042】なお、システムコントローラ54は、メインメモリ56内に記憶されているコンピュータプログラムを実行することによって、インク吐出判定機能と、インク吐出判定部40の調整機能とを含む種々の機能を実現している。
【0043】システムコントローラ54の各種の機能を実現するコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータ100は、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取ってプリンタ20のメインメモリ56に転送することができる。
【0044】なお、この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0045】===インク吐出判定部の構成と原理===図3は、インク吐出判定部40の構成と、その判定方法の原理を示す説明図であり、印字ヘッド部36を下面側から見ている。図3には、3つの印字ヘッド36a、36b、36cで構成された印字ヘッド部36と、インク吐出判定部40を構成する発光部40aおよび受光部40bが描かれている。
【0046】前記3つの印字ヘッド36a、36b、36cには、6色分のノズルアレイが、2色分毎に分けられてそれぞれ設けられ、各色のノズルアレイは180個のノズル(インク吐出部)で構成されている。
【0047】第1印字ヘッド36aの下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズルアレイKと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズルアレイCとが設けられ、第2印字ヘッド36bの下面には、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズルアレイLと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズルアレイLとが設けられ、第3印字ヘッド36cの下面には、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズルアレイMと、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズルアレイYとが設けられている。
【0048】各ノズルアレイを構成する各ノズルは副走査方向SSに沿ってそれぞれ整列している。印刷時には、キャリッジ28(図1)とともに印字ヘッド部36が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルから滴状のインクが吐出される。
【0049】発光部40aは、外径が約1mm以下の光束を射出するレーザダイオードである。発光部40aと受光部40bの向きは、レーザ光Lの進行方向が副走査方向SSからやや傾いた方向になるように調整されている。
【0050】インク吐出判定の際には、レーザ光Lを射出しながら印字ヘッド部36を一定速度でゆっくりと主走査方向に往復移動させ、判定対象となるノズルを順次駆動してインクを吐出させることによって判定を実行する。図4には印字ヘッド部36の往復走査毎の判定対象となるノズルブロックの一例を示している。この例では、印字ヘッド部36が主走査方向に4往復する間に、全ノズルのインク吐出判定を完了する。図4に示すように、印字ヘッド部36の最初の一方向への移動では、各印字ヘッド36a、36b、36cのそれぞれ一方のノズルアレイ(K、L、M)のうち、#1、#5、#9、・・・、#177というように、3個置きのノズルを一つのノズルブロックとし、このノズルブロックに対してインク吐出判定を実行する。ノズルの目詰まりを検出しない場合には、次の戻り方向の移動では、同じノズルアレイのうち、#2、#6、#10、・・・、#178というように、それぞれ1個隣に位置するノズルで構成されるノズルブロックが判定対象となる。よって、2往復すると3色分のノズルアレイのすべてのノズルに対してインク吐出判定が実行される。同様にして、更に2往復する間に、残りのノズルアレイに対してインク吐出判定が実行される。インク吐出判定の詳細は後述する。
【0051】===自動ゲイン調整===図5は、第1実施例におけるインク吐出判定部40の内部構成を示すブロック図である。
【0052】発光部40aは、光源をなすレーザダイオード44と、このレーザダイオード44のレーザ光を受光し光量を検出するモニタダイオード45と、モニタダイオード45で検出された光量に基づいてレーザ光の強度を制御する制御部(図示せず)とを備え、オートパワーコントロールが実行されていることは、前記従来の技術に記載した通りである。
【0053】受光部40bは、受光センサ200と、D−A変換器202とを備えている。受光センサ200は、電源端子P1と、ゲイン調整端子P2と、出力端子P3と、接地端子P4とを有している。
【0054】受光センサ200の電源端子P1は電源電位Vccに接続されており、接地端子P4は接地電位GNDに接続されている。ゲイン調整端子P2は、抵抗R1を介してD−A変換器202に接続されている。出力端子P3と電源電位Vccとの間には抵抗R2が接続されている。電源端子P1と接地端子P4との間にはコンデンサC1が接続されており、出力端子P3と接地端子P4との間にもコンデンサC2が接続されている。
【0055】判定部ドライバ64は、D−A変換器202にデジタル入力信号Dinを供給している。D−A変換器202は、このデジタル入力信号Dinの値に応じた電圧値を有するゲイン調整信号Vgを出力し、抵抗R1を介して受光センサ200のゲイン調整端子P2に供給している。一方、出力端子P3から出力される出力信号Voutは、判定部ドライバ64に入力されている。
【0056】プリンタのシステムコントロ−ラ54は、判定部ドライバ64を介してインク吐出判定部40の制御を行っている。すなわち、システムコントロ−ラ54と判定部ドライバ64は、発光部40aと受光部40bとを制御する制御部としての機能を有している。
【0057】図6は、受光センサ200の内部構成を示すブロック図である。受光センサ200は、フォトダイオード素子210と、増幅器212と、コンパレータ214とを有している。フォトダイオード素子210と増幅器212の電源は、受光センサ200の電源端子P1と接地端子P4を介して供給されている。コンパレータ214の2つの入力端子のうち一方には、増幅器212の出力端子と、受光センサ200のゲイン調整端子P2とが接続されている。コンパレータ214の他方の入力端子には、基準電圧Vrefが供給されている。コンパレータ214の出力信号は、受光センサ200の出力端子P3を介して外部に出力される。なお、電源端子P1と出力端子P3は、受光センサ200の内部において抵抗R3を介して接続されている。
【0058】図7は、コンパレータ214の入出力特性を示すグラフである。このコンパレータ214は、ヒステリシス特性を有するコンパレータ(いわゆるシュミット回路)である。コンパレータ214の入力電圧Vinが減少していくときには、入力電圧Vinが基準電圧Vrefよりもやや低い所定のレベルVthになったときに、出力電圧VoutがHレベルからLレベルに切り替わる。なお、HレベルからLレベルに切り替わるときの入力電圧VinのレベルVthを、以下では「スレッショールド電圧」と呼ぶ。以下に説明する自動ゲイン調整は、このスレッショールド電圧Vthを利用して行われる。
【0059】図8は、インク吐出判定部40の自動ゲイン調整の手順を示すフローチャートである。この自動ゲイン調整は、インク吐出判定の前に、システムコントローラ54がメインメモリ56(図2)内に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、自動ゲイン調整は、受光部40bがレーザ光Lを継続的に受光しており、また、印字ヘッド部36からのインクIpの吐出が無い状態(すなわち、受光・非吐出状態)で行われる。
【0060】ステップS1では、D−A変換器202へのデジタル入力信号Dinを、ダイナミックレンジの最大値に設定する。例えば、デジタル入力信号Dinが10ビットのときには、1023(十進数)を示す信号が入力される。このとき、D−A変換器202からは、例えば5Vのゲイン調整電圧Vgが出力され、抵抗R1を介して受光センサ200に入力される。
【0061】ステップS2では、受光センサ200の出力電圧VoutがLレベルになったか否かが判断される。上述した図7から理解できるようにコンパレータ214の出力電圧Vout(すなわち受光センサ200の出力電圧)は、Hレベルを示す。従って、図8の処理を開始した直後のステップS2の時点では、出力電圧VoutはHレベルである。このときには、ステップS2からステップS4に移行し、デジタル入力信号Dinから1を減算する。ステップS5では、減算した値が、所定の下限値Dlimに達したか否かが判断される。デジタル入力信号Dinの値が下限値Dlimに達していなければ、ステップS2に戻る。一方、デジタル入力信号Dinの値が下限値Dlimに達しているときには、ステップS6において自動ゲイン調整が不成功である旨の警告をプリンタのパネル(図示せず)表示し、処理を終了する。
【0062】ステップS2,S4,S5の処理は、受光センサ200の出力電圧VoutがHレベルからLレベルに切り替わるまで繰り返し実行される。なお、出力電圧VoutがHレベルからLレベルに切り替わるのは、受光センサ200の入力電圧Vinが、図7に示すスレッショールド電圧Vthに達したときである。
【0063】ステップS2において受光センサ200の出力電圧VoutがLレベルに切り替わると、ステップS3が実行される。ステップS3では、出力電圧VoutがLレベルに切り替わったときのデジタル入力信号Dinの値から、所定のオフセット値(差分値)△Dを減算することによって、デジタル入力信号Dinを、インク吐出判定に適した較正値Dcalに設定する。インク吐出判定は、D−A変換器202へのデジタル入力信号Dinが、この較正値Dcalに保たれた状態で実行される。
【0064】図7には、受光・非吐出状態において、較正値Dcalを有するデジタル入力信号DinがD−A変換器202に入力されたときのコンパレータ214への入力信号Vinの電圧値Vcalも示されている。この電圧値Vcalは、スレッショールド電圧Vthよりも所定の差分だけ低い電圧Vcalに設定されている。このようにコンパレータ214の入力電圧に設定するようにすれば、以下に説明するように、発光部40aから射出されたレーザ光がインクIpで遮光されたか否かを良好に検出することが可能である。
【0065】図9は、受光時におけるコンパレータ214の入力電圧Vinのレベルと、受光センサ200の検出動作との関係を示す説明図である。図9(A)は、受光時における入力電圧Vinのレベルがスレッショールド電圧Vthよりも高い値Vin1(図7)に設定された状態で、インクの吐出判定を行った結果を示している。この状態において、レーザ光がインクIpによって遮られると、コンパレータ214の入力電圧VinがVin1’に上昇する。しかし、この上昇後の電圧Vin1’においても受光センサ200の出力電圧VoutはHレベルに保たれたままなので、インクIpを検出することはできない。
【0066】図9(B)は、受光時におけるコンパレータ214の入力電圧Vinが、スレッショールド電圧Vthよりもやや低い値Vin2(図7)に設定された状態で、インクの吐出判定を行った結果を示している。この状態において、レーザ光がインクIpによって遮られると、コンパレータ214の入力電圧Vinが上昇し、この結果、受光センサ200の出力電圧VoutはLレベルからHレベルに切り替わる。その後、受光状態に戻ると、出力電圧VoutもHレベルからLレベルに戻る。従って、図9(B)に示すように、インクによってレーザ光が遮光されたときには出力電圧VoutがHレベルになり、遮光されないときには出力電圧VoutがLレベルになる。従って、このようなHレベルとLレベルの変化を調べることによって、インクを検出することが可能である。
【0067】図9(B)の入力電圧Vin2は、スレッショールド電圧Vthに近い値であり、インク滴を個別に検出可能な上限電圧である。この上限電圧Vin2では、測定条件のわずかな変動でもインクをうまく検出できなくなる可能性がある。従って、適正電圧Vcalは、この上限電圧Vin2よりも低い電圧に設定することが好ましい。
【0068】図9(C)は、受光時におけるコンパレータ214の入力電圧Vinが、インクを個別に検出可能な下限電圧Vin3である場合を示している。この場合には、インクを個別に検出可能であるが、出力電圧VoutがHレベルになる時間が短いので、安定した検出結果が得られない可能性がある。従って、適正電圧Vcalは、この下限電圧Vin3よりも高い電圧に設定することが好ましい。
【0069】図9(D)は、受光時におけるコンパレータ214の入力電圧Vinが、検出限界値Vin4である場合を示している。この場合には、インクを検出できる場合と、検出できない場合とがある。従って、インクを個別に検出することは不可能である。
【0070】受光時におけるコンパレータ214の入力電圧Vinの適正値Vcalを、上述した上限電圧Vin2と下限電圧Vin3との間に設定すれば、測定条件にわずかな変動があっても、安定して個々のインクを検出することが可能である。
【0071】===インク吐出判定装置の動作===図10は、本発明のインク吐出判定装置によるインク吐出判定とこれに伴う自動ゲイン調整の実行シーケンスを示すフローチャートである。
【0072】インク吐出判定は、発光部40aのレーザダイオード44を点灯し、約一秒間待機(S100)した後、前記自動ゲイン調整(AGC)を実行する(S110)。これは、レーザダイオード44の立ち上がり時にレーザ光の強度が急激に変化する期間を自動ゲイン調整期間から除外するためである。その後、レーザ光を射出させた状態で印字ヘッド部36をMS方向(図3)に移動させる。このとき、判定対象となるノズルがレーザ光の光軸上に達するタイミングで、そのノズルからインクを吐出させる。
【0073】左右方向に往復走査するキャリッジ28を、最初に主走査方向の右方向に向かって1回目の走査をしつつ、判定対象となるノズルから順次インクを吐出させてインク吐出判定を実施する。例えば、3回目の走査中、すなわち2往復目の右方向への走査の際にインクが吐出されないと判定された場合には、前記自動ゲイン調整を実行させた後に、前記インクが吐出されないと判定されたノズルを含むノズルブロック(ドット抜けブロック)に対し、2往復目の左方向への走査において、2度目のインク吐出判定を実行する。2度目のインク吐出判定によって、1回目にはインクが吐出されないと判定されたノズルからインクが吐出されたと判定された場合には、続けて新たな判定対象となるノズルブロックに対し順次インク吐出判定を実行する。2度目のインク吐出判定によって、再びインクが吐出されないと判定された場合には、再度自動ゲイン調整を実行した後に、キャリッジ28を右方向に走査させ、同じノズルブロックに対し、もう一度インク吐出判定を実行する。自動ゲイン調整を実行した際には、その自動ゲイン調整における受光部40bの信号出力を、自動ゲイン調整を実行する毎に記憶しておく。
【0074】このように、インク吐出判定を実行し、インクが吐出されないと判定された場合には、自動ゲイン調整を実行した後に、キャリッジ28を反対方向に走査させてインク吐出判定を所定回数、例えば4回繰り返す(S120)。すなわち、インクが吐出されないと判定されたノズルブロックに対し、4回のインク吐出判定を実行し、その判定を実行する直前に、その都度自動ゲイン調整を実行するので、光量の変化による誤検出の発生を低減させることができる。
【0075】4回のインク吐出判定を実行しても、インクが吐出しないと判定された場合には(S130)、その時点でもう一度自動ゲイン調整を実行し、このときの受光部40bの信号出力と、4回目のインク吐出判定の直前に行った自動ゲイン調整時における受光部40bの信号出力との差(以下、DAC値Δという)、すなわち4回目のインク吐出判定の間における光量の変位量を算出する(S140)。
【0076】そして、算出されたDAC値Δが、インク吐出判定で誤検出されない光量変動の許容限界値所定の値、例えば64より小さい場合には、4回目のインク吐出判定の結果がレーザ光の強度変化によるものではなく、真にインクが吐出されていないと予測されるので、ヘッドクリーニングを実行するシーケンスに移行する(S210)。
【0077】一方、算出されたDAC値Δが、64より大きい場合には、4回目のインク吐出判定の結果がレーザ光の強度変化による可能性があるため、更なるインク吐出判定を実行すべく一旦待機状態となる(S150)。このため、4回目のインク吐出判定の結果については、レーザ光の強度変化の影響を検証し、レーザ光の強度変化による誤検出の可能性がある場合には、ヘッドのクリーニングを実行しない。これにより、インク吐出判定の信頼性が向上し、無用なヘッドクリーニングの実行を防止できる。
【0078】前記待機状態は、例えばレーザの発光開始から約17秒間が経過するまで継続され(S150)、17秒が経過した時点と、その約4秒後との間で前記DAC値Δが算出され、このDAC値Δを前記光量変動の許容限界値(64)と比較する(ウォームアップAGC)(S160)。ここで、4秒間とは、例えば印字ヘッドが備える全ノズルに対してインク吐出判定を実行したときに、すべてのノズルからインクの吐出が検出され、同一ノズルブロックに対して重複してインク吐出判定が行われることなく、インク吐出判定が終了するのに要する時間を示している。よって、印字ヘッド部36が備えるすべてのノズルに対して1度ずつ実行するインク吐出判定に要する時間内の受光部40bにおける光量変化は、判定結果に影響しない程度に抑えられていると考えられるので、その後のインク吐出判定の信頼性が向上する。
【0079】DAC値Δが64より小さくなっていることが確認されると(S160)、S100と同様に更に約1秒間待機する(S170)。ここで、レーザ光の発光開始時から17秒間、DAC値Δを算出する4秒間、待機する1秒間に費やされたトータル時間約22秒は、レーザダイオード44及びモニタダイオード45の特性上、レーザ光を発光してから受光部40bにおける受光光量が安定するまでの時間として出願人が経験的に知り得た時間であって、これらの時間は17秒、4秒、1秒に限るものではない。また、この間はレーザ光を継続して発光していることが望ましいが、僅かな時間であれば一時的に消灯しても構わない。
【0080】このとき算出されたDAC値Δが64より大きい場合には(S160)、その後1秒経過する毎にDAC値Δを算出し、64より小さくなるまで待機する。DAC値Δが64より小さくなっていることを検出すると、自動ゲイン調整(S180)を実行した後、前記インク吐出判定が全ノズルに対して再び実行される(S190)。すべてのノズルにおいてインクが吐出されたと判定されると(S200)インク吐出判定が終了する。したがって、最終的には受光部40bにおける受光光量がほとんど変化しない安定したレーザ光によってインク吐出判定が実行されることになるので、レーザ光の強度変化による誤検出を防止することができる。
【0081】一方、このインク吐出判定において、なおインクが吐出されていないと判定された場合には、印字ヘッド部36のクリーニングが実行されることになる(S210)。
【0082】このように、インクが吐出されていないと判定されたノズルを含むノズルブロックに対しては、自動ゲイン調整とインク吐出判定とを繰り返し行うことによって、インク吐出判定の精度を向上させることができる。これにより、真にインクが吐出していないノズルがある場合にクリーニングを行うことになり、無用なクリーニングを排除して、インクの無駄な消費を防止することが可能となる。
【0083】前記インク吐出判定においては、前記一連の判定動作が終了するまでは、受光部のゲイン以外の条件を変えることなく判定を実行することが望ましい。ここで、条件とは判定対象となるインク吐出部と前記光の光軸との相対位置、前記光が収束部を有する光束の場合にはその収束部の位置と判定対象となるインク吐出部との相対位置、インク吐出部から吐出させるインクの量、発光部が発する光の強度、判定の基準となる閾値、判定を実行するタイミング等が挙げられる。
【0084】上記実施形態において、インクの吐出判定に適した受光部の出力信号とするために、受光部のゲインを適正化する方法を示したが、受光部の出力信号がインクの吐出判定に適すように、発光部が発する光の強度を適正化してもよい。この場合には、受光部の出力信号をモニタし、その出力信号が適正になるように、発光部が発する光の強度を制御する。
【0085】===その他===以上、いくつかの実施の形態に基づき本発明に係るインク吐出判定装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0086】また、被印刷体として印刷紙を例にとって説明したが、被印刷体として、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
【0087】前述の実施形態に係るプリンタ、コンピュータ本体、CRT等の表示装置、マウスやキーボード等の入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置を備えたコンピュータシステムも実現可能であり、このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0088】前述の実施形態に係るプリンタに、コンピュータ本体、表示装置、入力装置、フレキシブルディスクドライブ装置、及び、CD−ROMドライブ装置がそれぞれ有する機能又は機構の一部を持たせてもよい。例えば、プリンタが、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部を備える構成としてもよい。
【0089】上記実施の形態では、インク吐出判定装置をカラーインクジェットプリンタに備えた例を示したが、被印刷体に印刷処理できる装置であれば、これに限ることなく、例えば、モノクロインクジェットプリンタ、ファクシミリ、読み取り手段を備えた複写装置等に適用してもよい。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、信頼性の高いインクの吐出有無の判定が可能なインク吐出判定装置、このインク吐出判定装置を備えたインクジェットプリンタ、インク吐出判定装置にインク吐出判定を実行させるコンピュータプログラム、前記インクジェットプリンタを有するコンピュータシステム、及び、高い信頼性でインクの吐出有無の判定が可能なインク吐出判定方法を実現することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−145797(P2003−145797A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−352176(P2001−352176)