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【発明の名称】 液体吐出ヘッドならびにこれを用いた画像形成装置
【発明者】 【氏名】水谷 道也
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【氏名】村上 修一
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内

【要約】 【課題】インクジェットプリンタにおけるその配列方向両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴が配列方向中央側に偏倚し、べたプリントを形成する場合に白筋が発生してしまう。

【解決手段】プリント媒体に対して相対移動する液体吐出ヘッドは、第1の方向に沿って配列する複数の吐出口25と、これら吐出口25から液体を吐出させるための複数の電気熱変換体30とを有し、その配列方向両端部に位置する端部吐出口群を構成する吐出口25eの配列間隔d1を、その配列方向中央部に位置する中央吐出口群を構成する吐出口25cの配列間隔d0よりも広く設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の方向に沿って配列する複数の吐出口と、これら吐出口から液体を吐出させるための複数の吐出エネルギー発生部とを有し、プリント媒体に対して相対移動する液体吐出ヘッドであって、その配列方向両端部に位置する端部吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、その配列方向中央部に位置する中央吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔よりも広く設定されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】 前記端部吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、前記中央吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】 前記端部吐出口群を構成する前記吐出口の径は、前記中央吐出口群を構成する前記吐出口の径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】 前記端部吐出口群および前記中央吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口から吐出されてプリント媒体にそれぞれ形成される液滴のドット径の差は、前記端部吐出口群および前記中央吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔の差に対応していることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】 前記端部吐出口群を構成する前記吐出口の径は、前記中央吐出口群を構成する前記吐出口の径の2倍以下であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】 前記吐出口に液体をそれぞれ導く複数の液路をさらに有し、前記端部吐出口群を構成する前記吐出口に連通する前記液路の幅寸法は、前記中央吐出口群を構成する前記吐出口に連通する前記液路の幅寸法よりも広く設定されていることを特徴とする請求項3から請求項5の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】 前記端部吐出口群を構成する前記吐出口に連通する前記液路の幅寸法は、前記中央吐出口群を構成する前記吐出口に連通する前記液路の幅寸法の2倍以下であることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】 第1の方向に沿って配列する複数の吐出口と、これら吐出口から液体を吐出させるための複数の吐出エネルギー発生部とを有し、プリント媒体に対して相対移動する液体吐出ヘッドであって、その配列方向中央部および両端部に位置する中央吐出口群および端部吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔は相互に等しく設定され、前記中央吐出口群と前記端部吐出口群との間に位置する中間吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、前記中央吐出口群および前記端部吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔よりも広く設定されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】 前記中間吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、前記中央吐出口群および前記端部吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定されていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】 前記複数の吐出口の配列間隔が42.3μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】 前記吐出口から1回に吐出される液体の量がそれぞれ10ピコリットル以下であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】 前記吐出エネルギー発生部は、前記吐出口に対向して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】 前記吐出エネルギー発生部は、液体に膜沸騰を生じさせて前記吐出口から液体を吐出させるための熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有することを特徴とする請求項1から請求項12の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】 前記第1の方向がプリント媒体の搬送方向であり、前記だ1の方向と交差する第2の方向に沿って液体吐出ヘッドが走査移動することを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】 請求項1から請求項13の何れかに記載の液体吐出ヘッドの取り付け部と、プリント媒体の搬送手段とを具え、前記液体吐出ヘッドの吐出口から吐出される液体によってプリント媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】 前記取り付け部は、プリント媒体の搬送方向と交差する方向に走査移動可能なキャリッジを有することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】 前記液体吐出ヘッドは、着脱手段を介して前記キャリッジに対して着脱自在に搭載されることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】 前記液体吐出ヘッドは、プリント媒体の同一箇所を複数回走査移動することによって画像を形成するものであることを特徴とする請求項15から請求項17の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項19】 液体が、インクおよび/またはプリント媒体に対するインクのプリント性を調整するための処理液であることを特徴とする請求項15から請求項18の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項20】 端部吐出口群を構成する吐出口は、プリント媒体への画像形成時に液体を吐出し得る状態にあることを特徴とする請求項15から請求項19の何れかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を吐出するための吐出口を有する液体吐出ヘッドならびにこれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】なお、本明細書において「プリント」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像,模様,パターンなどを形成したり、または媒体の加工を行う場合をも包含する。また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、布,プラスチックフィルム,金属板,ガラス,セラミックス,木材,皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。さらに、「インク」(「液体」と記述する場合もある)とは、上記「プリント」の定義と同様に広く解釈されるべきであり、プリント媒体に付与されることによって、画像,模様,パターンなどの形成またはプリント媒体の加工あるいはインクの処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固や不溶化など)に供され得る液体を含み、従ってプリントに関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
【0003】
【従来の技術】近年、インターネットやでデジタルカメラの普及などにより、高階調のカラー印刷に対する需要も高まってきており、これに伴ってインクジェットプリンタの高性能化も進められつつある。高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得る手段として、■ インクを吐出するための吐出口の配列間隔を狭め、解像度の向上を図る■ 特定の色インクに対し、これに含まれる色剤の割合、つまり色剤の濃度が異なる複数(最低2つ)の色インクをそれぞれ吐出する複数のプリントヘッドを用意し、必要に応じて濃インクと淡インクとを選択的に重ね打ちすることにより階調性の向上を図る■ 吐出口から吐出されるインク滴の大きさ、すなわちインク量を可変にすることにより階調性の向上を図るなどの方法が知られている。
【0004】プリントヘッドの吐出口からインクを吐出させるための吐出エネルギーとして熱エネルギーを用い、インク中に気泡を発生させてその際の発泡圧力を利用する、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式のプリンタにおいては、上述した■の方法が比較的困難であるので、■や■の方法が特に有効であると考えられる。
【0005】しかしながら、■の方法を実現しようとすると、特定の色インクに対して2つ以上のプリントヘッドが必要となり、コスト高になってしまう。従って、バブルジェット(登録商標)方式のプリンタにおいては、■のように吐出口の配列間隔を狭め、各吐出口から吐出される個々のインク滴の大きさを小さく(例えば10ピコリットル以下)して解像度の向上を図る手法が、製造コストの上昇をほとんど伴わないことから最も望ましい簡便な方法と言えよう。
【0006】このような小さなインク滴を吐出口から吐出させる場合、インクの加熱に伴って膜沸騰により成長する気泡を吐出口を介して大気に連通させる方式のものが、例えば特開平4−10940号公報,特開平4−10941号公報,特開平4−10742号公報などで開示され、膜沸騰により成長する気泡を大気に連通させずにインク滴を吐出する旧来のバブルジェット(登録商標)方式のものと区別するため、いわゆるバブルスルー方式と呼称される場合がある。
【0007】膜沸騰により成長する気泡を大気に連通させずにインク滴を吐出する旧来のバブルジェット(登録商標)方式によるプリントヘッドにおいては、吐出口から吐出されるインク滴の大きさを小さくするに連れて吐出口に連通するインク流路の通路断面積を小さくしなければならず、吐出効率が低下して吐出口から吐出されるインク滴の吐出速度が低下してしまう不具合が生ずる。インク滴の吐出速度が低下すると、その吐出方向が不安定になる上、プリントヘッドの休止時に水分の蒸発に伴ってインクの増粘化が起こり、吐出状態がさらに不安定となって初期吐出不良などが発生し、信頼性の低下を来す可能性がある。
【0008】この点、気泡が大気に連通するバブルスルー方式のプリントヘッドは、インク滴の大きさを吐出口の幾何学的形状のみで決定できるため、小インク滴を吐出するのに適しており、温度などの影響を受けにくく、インク滴の吐出量が旧来のバブルジェット(登録商標)方式のプリントヘッドと比較して非常に安定しているという利点があるため、高精細かつ高階調の高品位プリント画像を比較的容易に得ることが可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得るには、1つの吐出口から極めて少量のインク滴を吐出させてプリントを行うことが好ましい。この場合、プリント速度の高速化のためには吐出口からインク滴を短周期で吐出させる必要がある。しかも、プリントヘッドを搭載するキャリッジをプリント媒体に対してプリントヘッドの駆動周波数に同期して高速で走査移動させなければならない。このような観点から、インクジェットプリンタにおいては特にバブルスルー方式のものが適していると言える。
【0010】このようなインクジェット方式のプリントヘッドをキャリッジと共にプリント媒体に沿って高速で走査移動させつつすべての吐出口からインク滴を連続的に吐出させ、いわゆるべたプリントをプリント媒体に対して行う場合、この時のインク滴の吐出状態を図11に示す。プリントヘッド1の走査移動方向は、この図11の紙面に対して垂直な方向であり、図示しない吐出口は図の左右方向に配列した状態となっている。画像データがべたの場合には、各吐出口に対応するすべての吐出エネルギー発生部(図示せず)が高い駆動周波数で駆動される。このため、吐出口からプリント媒体2に向けて吐出するインク滴3の運動に伴い、その周囲に介在する粘性を持った空気もインク滴3の運動に引きずられて移動する。この結果、プリントヘッド1の吐出口が開口する吐出口面4近傍がプリントヘッド1の周囲よりも減圧傾向となり、周囲の空気が減圧領域へ気流となって流れ、その流れの影響によって、特に吐出口の配列方向両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴3がその配列方向中央側に引き寄せられ、プリント媒体2に対して所期の位置に吐出されなくなることが判明した。このことから、端部の複数の吐出液滴が中央部へ引き寄せられている。
【0011】このような現象の下で、べたプリントを複数回のキャリッジの走査移動によって行った場合、この時のプリント媒体に形成されるべたプリントの画像を図12に模式的に示す。キャリッジはプリントヘッドと共に図中、上方から下方に走査移動するが、この際に前回の走査移動によって形成されたべた画像5と次の走査移動によって形成されたべた画像6との間に白筋7が形成されてしまうことが理解されよう。
【0012】このような不具合は、吐出口の配列間隔を狭く設定し、1回の駆動操作によって10ピコリットル以下の少量のインク滴を高周期で吐出できるバブルスルー方式のインクジェットプリンタにおいて特に顕著に現れることが発明者の検討により分かった。
【0013】吐出口の配列間隔が21.2μm(1200dpi相当)の場合のインク滴の吐出量と端よれ量(白筋7の1/2の値)との関係を図13に示す。このような現象が現れる理由は、インク滴の大きさが小さくなることによって、インク滴重量に対するインク滴表面積(投影面積)の関係からインク滴表面積の割合が増える一方、気流による液滴の移動は、前記の割合が大きいほど影響を受けることになるためである。
【0014】かかる不具合を防止するため、吐出口の配列方向両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴の大きさを大きくし、すなわちインク滴の慣性質量を増大させることによって、この配列方向両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴の吐出軌跡の偏倚を抑制することも可能である。しかしながら、インク滴を大きくすることは、高精細かつ高階調の画像を形成する上での障害になる。さらに、プリント媒体に対するインク滴の浸透が遅れる上、プリント媒体の膨潤に伴ってプリント画像の劣化を招来する可能性が高い。あるいは、吐出エネルギー発生部に対する駆動周波数を低く抑えることによって上述した不具合を緩和することも可能である。しかしながら、吐出エネルギー発生部に対する駆動周波数を低く設定した場合にはプリント速度が遅くなってしまい、高速でプリントアウトするというユーザのニーズに応えることができなくなってしまう。
【0015】
【発明の目的】本発明の目的は、プリント媒体の搬送方向に対して交差する方向に走査しつつ高周期で液滴を吐出し得るインクジェットプリンタであっても、その配列方向両端側に位置する吐出口から吐出されるインク滴の偏倚を抑制し、べたプリントを形成した場合でも白筋が発生しないように配慮した液体吐出ヘッドならびにこの液体吐出ヘッドを用いる画像形成装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の形態は、第1の方向に沿って配列する複数の吐出口と、これら吐出口から液体を吐出させるための複数の吐出エネルギー発生部とを有し、プリント媒体に対して相対移動する液体吐出ヘッドであって、その配列方向両端部に位置する端部吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、その配列方向中央部に位置する中央吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔よりも広く設定されていることを特徴とするものである。
【0017】本発明の第2の形態は、第1の方向に沿って配列する複数の吐出口と、これら吐出口から液体を吐出させるための複数の吐出エネルギー発生部とを有し、プリント媒体に対して相対移動する液体吐出ヘッドであって、その配列方向中央部および両端部に位置する中央吐出口群および端部吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔は相互に等しく設定され、前記中央吐出口群と前記端部吐出口群との間に位置する中間吐出口群を構成する前記吐出口の配列間隔は、前記中央吐出口群および前記端部吐出口群をそれぞれ構成する前記吐出口の配列間隔よりも広く設定されていることを特徴とするものである。
【0018】本発明の第3の形態は、本発明の第1または第2の形態による液体吐出ヘッドの取り付け部と、プリント媒体の搬送手段とを具え、前記液体吐出ヘッドの吐出口から吐出される液体によってプリント媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置にある。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の第1の形態による液体吐出ヘッドにおいて、端部吐出口群を構成する吐出口の配列間隔は、中央吐出口群を構成する吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定されていることが好ましい。0.1μm未満の場合、配列間隔を広く設定したことによる効果が極端に少なくなる上、製造工程において位置精度を確保することが困難になる。逆に10μmを越えると、隣接する吐出口間の距離が離れ過ぎてしまい、べた画像の形成時に白筋が発生してしまう。
【0020】中央吐出口群を構成する吐出口の径に対し、端部吐出口群を構成する吐出口の径をより大きく設定することができる。この場合、端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔の差に対し、端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口から吐出されてプリント媒体にそれぞれ形成される液滴のドット径の差を対応させることが有効である。端部吐出口群を構成する吐出口の径は、中央吐出口群を構成する吐出口の径の2倍以下であることが好ましい。2倍を越えると端部吐出口群から吐出される液滴の濃度が高くなり過ぎ、べた画像の形成時に濃度むらや黒筋が発生してしまう。吐出口に液体をそれぞれ導く複数の液路をさらに有し、中央吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法に対し、端部吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法をより広く設定することができる。この場合、端部吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法は、中央吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法の2倍以下であることが好ましい。2倍を越えると中央吐出口群を構成する個々の吐出口に連通する液路の幅寸法が極端に狭くなり、中央吐出口群における吐出周波数が急激に低下してプリント速度の低下を招来する。
【0021】本発明の第2の形態による液体吐出ヘッドにおいて、中間吐出口群を構成する吐出口の配列間隔は、中央吐出口群および端部吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定されていることが好ましい。0.1μm未満の場合、配列間隔を広く設定したことによる効果が極端に少なくなる上、製造工程において位置精度を確保することが困難になる。逆に10μmを越えると、隣接する吐出口間の距離が離れ過ぎてしまい、べた画像の形成時に白筋が発生してしまう。
【0022】本発明の第1および第2の形態による液体吐出ヘッドにおいて、複数の吐出口の配列間隔が42.3μm以下であることが好ましい。42.3μmよりも広くなると、隣接する吐出口から吐出される液滴による減圧雰囲気の影響が顕著とならず、本発明の効果が得られにくくなる。
【0023】吐出口から1回に吐出される液体の量がそれぞれ10ピコリットル以下であることが好ましい。10ピコリットルを越えると、液滴の慣性質量が大きくなるため、図13に示すような端よれ量が少なり、本発明の効果が得られにくくなる。
【0024】吐出エネルギー発生部を吐出口に対向して配置することができる。
【0025】吐出エネルギー発生部は、液体に膜沸騰を生じさせて吐出口から液体を吐出させるための熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有するものであってよい。
【0026】本発明の第3の形態による画像形成装置において、取り付け部がプリント媒体の搬送方向と交差する方向に走査移動可能なキャリッジを有することができる。液体吐出ヘッドまたはヘッドカートリッジを着脱手段を介してキャリッジに対して着脱自在に搭載することができる。
【0027】液体吐出ヘッドは、プリント媒体の同一箇所を複数回走査移動することによって画像を形成するものであってよい。
【0028】液体が、インクおよび/またはプリント媒体に対するインクのプリント性を調整するための処理液であってよい。
【0029】端部吐出口群を構成する吐出口は、プリント媒体への画像形成時に液体を吐出し得る状態にあることが好ましい。
【0030】
【実施例】本発明による画像形成装置をインクジェットプリンタに応用した一実施例について、図1〜図10を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限らず、これらをさらに組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用することができる。
【0031】本実施例におけるインクジェットプリンタの機構部分の外観を図1に示し、このインクジェットプリンタに用いられるヘッドカートリッジの外観を分解状態で図2に示し、そのプリントヘッドの外観を図3に示す。すなわち、本実施例におけるインクジェットプリンタのシャシー10は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材により構成され、このインクジェットプリンタの骨格をなす。シャシー10には、図示しないシート状のプリント媒体をインクジェットプリンタの内部へと自動的に給送する媒体給送部11と、この媒体給送部11から1枚ずつ給送されるプリント媒体を所望のプリント位置へ導くと共にこのプリント位置から媒体排出部12へとプリント媒体を導く媒体搬送部13と、プリント位置に搬送されたプリント媒体に所定のプリント動作を行うプリント部と、このプリント部に対する回復処理を行うヘッド回復部14とが組み付けられている。
【0032】プリント部は、キャリッジ軸15に沿って走査移動可能に支持されたキャリッジ16と、このキャリッジ16にヘッドセットレバー17を介して着脱可能に搭載されるヘッドカートリッジ18とからなる。
【0033】ヘッドカートリッジ18が搭載されるキャリッジ16には、このヘッドカートリッジ18のプリントヘッド19をキャリッジ16上の所定の装着位置に位置決めするためのキャリッジカバー20と、プリントヘッド19のタンクホルダ21と係合してプリントヘッド19を所定の装着位置に位置決めするように押圧する前述のヘッドセットレバー17とが設けられている。本発明の着脱手段としてのヘッドセットレバー17は、キャリッジ16の上部に図示しないヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられ、またプリントヘッド19との係合部には、ばね付勢される図示しないヘッドセットプレートが設けられ、このヘッドセットプレートのばね力によってプリントヘッド19を押圧しながらキャリッジ16に装着するようになっている。
【0034】プリントヘッド19に対するキャリッジ16の別の係合部には、図示しないコンタクトフレキシブルプリントケーブル(以下、コンタクトFPCと称す)22の一端部が連結され、このコンタクトFPC22の一端部に形成された図示しないコンタクト部と、プリントヘッド19に設けられた外部信号入力端子であるコンタクト部23とが電気的に接触し、プリントのための各種情報の授受やプリントヘッド19への電力の供給などを行い得るようになっている。
【0035】コンタクトFPC22のコンタクト部とキャリッジ16との間には、図示しないゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾性部材の弾性力とヘッドセットプレートによる押圧力とによって、コンタクトFPC22のコンタクト部とプリントヘッド19のコンタクト部23との確実な接触を可能とするようになっている。コンタクトFPC22の他端部は、キャリッジ16の背面に搭載された図示しないキャリッジ基板に接続されている。
【0036】本実施例におけるヘッドカートリッジ18は、インクを貯留するインクタンク24と、このインクタンク24から供給されるインクをプリント情報に応じてプリントヘッド19の吐出口25(図4参照)から吐出させる前述のプリントヘッド19とを有する。本実施例のプリントヘッド19は、キャリッジ16に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採用している。
【0037】また、本実施例では写真調の高画質なカラープリントを可能とするため、例えば黒色,淡シアン色,淡マゼンタ色,シアン色,マゼンタ色および黄色の各色インクが独立した6個のインクタンク24を使用可能としている。各インクタンク24には、ヘッドカードリッジ18に対して係止し得る弾性変形可能な取り外し用レバー26が設けられ、この取り外し用レバー26を操作することにより、図3に示すように、プリントヘッド19に対してそれぞれ取り外し可能となっている。従って、取り外し用レバー26は、本発明の着脱手段の一部として機能するものである。
【0038】プリントヘッド19は、後述するプリント素子基板27,電気配線基板28,前述のタンクホルダ21などから構成されている。本実施例におけるプリントヘッド19の主要部の破断構造を図4に示し、その吐出口25の配列形態を図5に示し、そのVI−VI矢視断面構造を図6にそれぞれ示す。本実施例におけるプリント素子基板27は、厚さが0.5mm〜1mmのシリコン基板の上に成膜技術を用いて吐出エネルギー発生部,共通インク室32,インク路34,吐出口25などを形成したものである。すなわち、プリント素子基板27には、これを貫通する長孔状のインク供給口29が形成されている。このインク供給口29の両側には、プリント媒体の搬送方向、つまりインク供給口29の長手方向に沿って所定間隔で2列に並ぶ複数(本実施例では片側256個)の電気熱変換体30が相互に半ピッチずらした状態で形成されている。これら2列の電気熱変換体30の中心間距離は215μmであり、それぞれ吐出エネルギー発生部を構成している。プリント素子基板27には、これら電気熱変換体30の他、電気熱変換体30とプリンタ本体側との電気的接続を行うための電極端子31およびアルミニウムなどで形成される図示しない電気配線などが成膜技術によって形成されている。
【0039】プリント素子基板27に形成された電極端子31に対して連結される電気配線基板28は、プリント素子基板27にインクを吐出するための電気信号を印加するためのものであり、プリント素子基板27に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、プリンタ本体からの電気信号を受け取るための前述のコンタクト部23とを有しており、このコンタクト部23はタンクホルダ21の背面側に位置決め固定されている。この電気配線基板28を介して図示しない駆動ICから電気熱変換体30に対する駆動信号が与えられ、同時に駆動電力がこの電気熱変換体30に供給される。
【0040】なお、インクタンク24を着脱可能に保持するタンクホルダ21には、インクタンク24からプリント素子基板27のインク供給口29に亙るインク流路が形成されている。
【0041】プリント素子基板27上には、インク供給口29に連通する共通インク室32を介して電気熱変換体30とそれぞれ正対する複数の吐出口25を有する上板部材33が形成される。すなわち、この上板部材33とプリント素子基板27との間には、個々の吐出口25と共通インク室32とに連通するインク路34が形成され、隣接するインク路34の間には仕切り壁35が形成される。これら共通インク室32,インク路34および仕切り壁35などは、吐出口25と同様にフォトリソグラフィ技術により上板部材33と共に形成される。
【0042】インク供給口29から各インク路34内に供給される液体は、対応するインク路34に臨む電気熱変換体30に駆動信号が与えられることにより、電気熱変換体30の発熱に伴って沸騰し、これにより発生する気泡の圧力によって吐出口25から吐出される。この場合、共通インク室32内で発生する気泡は、その成長に伴って吐出口25から大気連通状態となる。
【0043】本実施例では、一方の列の配列方向両端から数えて10個目までの端部吐出口群を構成する吐出口25e、つまり電気熱変換体30eは、d1の間隔、すなわち600dpi相当の間隔よりも1μmだけ広い43.3μmに設定され、それ以外の中央側に位置する中央吐出口群を構成する236個の吐出口25c、つまり電気熱変換体30cの間隔d0は42.3μm(600dpi相当)の間隔に設定されている。従って、その配列方向両端に位置する端部吐出口群の吐出口25eは、すべての吐出口が600dpi間隔で配列している場合よりも、20μmだけ余計に間隔が拡がる方向に位置がずれていることになる。また、他方の列は、一方の列に対してこれらの吐出口25の配列間隔の1/2だけずらして配置されており、従って2列合わせた吐出口25の配列密度はほぼ1200dpiとなり、端部吐出口群を構成する吐出口25eの合計は40個、中央吐出口群を構成する吐出口25cの合計は472個である。本実施例ではこれら2つの吐出口列の間の間隔(左右の列の吐出口25の中心間距離)を21μmに設定している。また、電気熱変換体30はすべて同一寸法を有し、一辺が24μmの正方形である。吐出口25もすべて同一寸法を有し、直径が18μmの円形である。個々の電気熱変換体30に対する1動作の駆動パルスによって、4.5ピコリットル(pl)のインク滴がそれぞれの吐出口25から吐出されるようになっている。また、インク滴の吐出速度は10〜15m/sであった。
【0044】なお、吐出口25の形状として本実施例のような正方形以外に、長方形や丸形あるいは星形のような形状に設定しても、特に問題はない。
【0045】このようなインクジェット方式のプリントヘッド19をキャリッジ16と共にプリント媒体に沿って高速で走査移動させつつすべての吐出口25からインク滴を連続的に吐出させ、いわゆるべたプリントをプリント媒体に対して行った場合、上述したd0,d1の間隔を42.3μm(600dpi相当)の間隔ですべて等しく設定した従来のプリントヘッドでは、図12に示すような白筋7の間隔が70μm程度にも達することが判明した。
【0046】また、銀塩写真の如き多階調のプリントを行う際には、プリントヘッド19の吐出口25の配列幅に対応した走査領域に対し、プリント媒体を複数回に分けて搬送すると共にプリントヘッド19を複数回走査移動し、このプリントヘッド19の走査移動の際に使用される吐出口25を間引いて駆動することにより画像を形成する多パス(マルチパス)方式を用いる。この場合、図7に示すパスのつなぎ部分がうっすら薄くなってむら7′が発生しているように見えるが、本実施例では4パスにてプリントを行い、プリント媒体としてキヤノン株式会社製のPR−101という商品名の用紙を用いた。この時に発生したむら7′の間隔を測定したところ、約40μmであった。
【0047】マルチパス方式によってプリントを行う場合、上述したべたプリントを行う場合よりも白筋、つまりむら7′の間隔が狭くなる理由は、発明者が検討したところ、プリントデューティが低い場合には端よれ量(図7に示した白筋、すなわちむら7′の1/2の幅)が小さくなることによるものと考えられる。従って、マルチパスプリントを行う場合には、べたプリントを行う場合よりも配列方向両端部に位置する端部吐出口群を構成する吐出口25eの間隔d1のずらし量を少なく設定することができる。
【0048】図8は、このようなプリントデューティと端よれ量との関係を表している。100%が全吐出口25から一斉にインク滴を吐出させたベタプリントに相当し、4パスの最大デューティが25%に相当する。このグラフから明らかなように、本実施例ではそれらの配列方向両端部にそれぞれ位置する合計40個の端部吐出口群を構成する吐出口25eが中央側の中央吐出口群を構成する吐出口25cの配列間隔に対してそれぞれ1μmずつ余計に間隔が拡がる方向に位置をずらした。このため、多階調のプリントを行う際に吐出口25の配列方向中央側で発生する減圧雰囲気により、それらの配列方向両端部にそれぞれ位置する吐出口25eから吐出されるインク滴はそれらの配列方向中央側に引き寄せられ、最終的にそれらの配列方向中央側に位置する吐出口25cから吐出されてプリント媒体に到達したインク滴の間隔とほぼ同じ間隔に修正される。この結果、従来では1回のキャリッジ16の走査移動毎に発生していた白筋などの発生を未然に防止することができる。
【0049】このような多階調のプリントを実施するに際し、プリント媒体とプリントヘッド19の吐出口25が開口する吐出口面36との間隔を1.6mmに設定し、キャリッジ16の走査移動速度を毎秒50.8cmに設定した。この場合、プリントヘッド19の電気熱変換体30の駆動周波数は24kHzである。
【0050】上述した実施例では、吐出口25の形状や寸法をすべて等しく設定したが、それらの配列方向両端部の端部吐出口群を構成する吐出口25eの開口面積を、中央吐出口群を構成する吐出口25cの開口面積よりも大きく設定することも有効である。
【0051】このような本発明による液体吐出ヘッドを上述したプリントヘッドに応用した他の実施例の概略構造を図9に示すが、先の実施例と同一機能の要素にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。本実施例では、中央吐出口群を構成する吐出口25cの直径が18μmであるのに対し、一方の列の配列方向両端から数えて10個目までの端部吐出口群を構成する吐出口25eの直径をそれぞれ19μmに設定している。つまり、インク滴がプリント媒体の所定位置に正確に到達するような良好な性能を持つプリントヘッド19の場合には問題がないけれども、インク滴がプリント媒体の所定位置にそれほど正確に到達しないようなプリントヘッド19の場合、それらの配列方向両端部にそれぞれ位置する端部吐出口群の吐出口25eから吐出されるインク滴により、プリント媒体に形成されるドット径を大きくすることにより、プリント媒体に形成されるドットの位置精度の悪さが緩和され、べたプリントにおける白筋などの発生を確実に防止することが可能となる。
【0052】ちなみに、にじみ率が2.2のコート紙をプリント媒体として採用した場合、それらの配列方向中央側に位置する中央吐出口群の直径が18μmの吐出口25cからのインク滴の吐出量が4.5plであって、プリント媒体に形成されるドット径が45μmとなるのに対し、配列方向両端部に位置する端部吐出口群の直径が19μmの吐出口25eからのインク滴の吐出量が5.5plであって、プリント媒体に形成されるドットの直径が48μmとなるように設定されている。
【0053】このように、配列方向両端部にそれぞれ位置する端部吐出口群の吐出口25eから吐出されるインク滴の吐出量を増大させた場合、これらの電気熱変換体30eの駆動に対してインク供給の応答性が低下する可能性があるため、このような場合にはインク路34の幅寸法を増大させる、つまり隣接するインク路34を仕切る仕切り壁35の肉厚を減少させることによって、応答性の低下を回避することができる。具体的には、配列方向両端部に位置する吐出口25eに連通するインク路34の幅寸法L1を、配列方向中央部に位置する吐出口25cに連通するインク路34の幅寸法L0よりも広く設定すればよい。
【0054】上述した実施例では、配列方向両端部に位置する吐出口25eおよび電気熱変換体30eの配列間隔d1をその配列方向中央部に位置する吐出口25cおよび電気熱変換体30cの配列間隔d0よりも広く設定したが、配列方向中央部および両端部に位置する吐出口25e,25cおよび吐出エネルギー発生部の配列間隔を相互に等しく設定すると共に、これら端部吐出口群と中央吐出口群との間に位置する中間吐出口群を構成する吐出口25mまたは対応する吐出エネルギー発生部の配列間隔を端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口25e,25cの配列間隔よりも広く設定しても、同様な効果を得ることができる。
【0055】このような本発明による液体吐出ヘッドを上述したプリントヘッドに応用した別な実施例の概略構造を図10に示すが、先の実施例と同一機能の要素にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、一方の列の配列方向両端から数えてそれぞれ10個目までの吐出口25e、つまり電気熱変換体30eは、d0の間隔、すなわち42.3μm(600dpi相当)の間隔に設定され、配列方向両端から数えてそれぞれ11個目から17個目までの中間吐出口群を構成する吐出口25m、つまり電気熱変換体30mは、d2の間隔、すなわち600dpi間隔よりも3μmだけ広い45.3μmに設定され、これよりも中央側の中央吐出口群を構成する吐出口25c、つまり電気熱変換体30cは、すべてd0(42.3μm)の間隔に設定されている。従ってその配列方向両端に位置する吐出口25eは、すべての吐出口25が600dpi間隔で配列している場合よりも、21μmだけ余計に間隔が拡がる方向に位置がずれていることになる。吐出口25の2つの列は、一方の列に対してそれらの吐出口25の配列間隔の1/2だけずらして配置されており、従って2列合わせた吐出口25の配列密度はほぼ1200dpiとなるのは先の実施例と同じである。本実施例ではこれら2つの吐出口列の間の間隔(左右の列の吐出口25の中心間距離)も21μmに設定している。また、電気熱変換体30はすべて同一寸法を有し、一辺が24μmの正方形である。吐出口25もすべて同一寸法を有し、直径が18μmの円形である。個々の電気熱変換体30に対する1動作の駆動パルスによって、4.5plのインク滴がそれぞれの吐出口25から吐出されるようになっている。また、吐出速度は10〜15m/sであった。
【0056】このようなプリントヘッドを用いてべたプリントを行った場合においても、配列方向両端部に位置する端部吐出口群とこれに続く中間吐出口群とを合わせて合計68個の吐出口25e,25mが中央吐出口群を構成する吐出口25cの配列間隔に対して余計に間隔が拡がる方向に位置がずれているため、吐出口25の配列方向中央側で発生する減圧雰囲気により、それらの配列方向両端部にそれぞれ位置する吐出口25e,25mから吐出されるインク滴はそれらの配列方向中央側に引き寄せられ、最終的にそれらの配列方向中央側に位置する吐出口25から吐出されてプリント媒体に到達したインク滴の間隔とほぼ同じ間隔に修正される。この結果、従来では1回のキャリッジ16の走査移動毎に発生していた白筋などの発生を未然に防止することができる。
【0057】なお、本発明は、液体の吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば、電気熱変換体やレーザ光など)を具え、この熱エネルギーにより液体の状態変化を生起させるインクジェット方式の液体吐出ヘッドや、ヘッドカートリッジ、あるいは画像形成装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、プリントの高密度化および高精細化が達成できるからである。
【0058】その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書や、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、いわゆるオンデマンド型およびコンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体が保持されているシートや流路に対応して配置される電気熱変換体に、プリント情報に対応した核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することにより熱エネルギーを発生させ、液体吐出ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせ、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長および収縮により、吐出口を介して液体を吐出させ、少なくとも1つの液滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書や、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れたプリントを行うことができる。
【0059】また、液体吐出ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口と液路と電気熱変換体との組合せ構成(電気熱変換体が液路に沿って配置された直線状液流路または電気熱変換体が液路を挟んで吐出口と正対する直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書や、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対し、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や、熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示した特開昭59−138461号公報に基いた構成としても、本発明の効果は有効である。すなわち、液体吐出ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によればプリントを確実に効率良く行うことができるようになるからである。
【0060】画像形成装置がプリントできるプリント媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの液体吐出ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。このような液体吐出ヘッドとしては、複数の液体吐出ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の液体吐出ヘッドとしての構成の何れでもよい。
【0061】さらに、上述した実施例のようなシリアルタイプのものでも、走査移動するキャリッジに対して一体的に固定された液体吐出ヘッド、あるいはキャリッジに対して交換可能に装着されることでキャリッジとの電気的な接続や装置本体からの液体の供給が可能となる交換自在のチップインタイプの液体吐出ヘッド、あるいは液体吐出ヘッド自体に一体的に液体を貯えるタンクが設けられたヘッドカートリッジを用いた場合にも、本発明は有効である。
【0062】本発明の画像形成装置の構成として、液体吐出ヘッドからの液体の吐出状態を適正にするための回復手段や、予備的な補助手段などを付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、液体吐出ヘッドに対するキャッピング手段や、クリーニング手段,加圧あるいは吸引手段,電気熱変換体やこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、プリント作業とは別に吐出を行う予備吐出手段を挙げることができる。
【0063】また、搭載される液体吐出ヘッドの種類や個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、プリント色や濃度(明度)を異にする複数種のインクに対応して複数個設けられるものであってもよい。すなわち、例えば画像形成装置のプリントモードとしては黒色などの主流色のみのプリントモードだけではなく、液体吐出ヘッドを一体的に構成するか、複数個の組み合わせによるか何れでもよいが、異なる色の複色カラーまたは混色によるフルカラーの各プリントモードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。この場合、プリント媒体の種類やプリントモードに応じてインクのプリント性を調整するための処理液(プリント性向上液)を専用あるいは共通の液体吐出ヘッドからプリント媒体に吐出することも有効である。
【0064】さらに、以上説明した本発明の実施例においては、室温やそれ以下で固化し、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式では液体自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行って液体の粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用プリント信号付与時に液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギーによる昇温を、固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用させることで積極的に防止するため、または液体の蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するものを用いてもよい。何れにしても熱エネルギーのプリント信号に応じた付与によって液化し、液体が吐出されるものや、プリント媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるものなどのような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のものを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合の液体は、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各液体に対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0065】なお、本発明にかかる画像形成装置の形態としては、コンピュータなどの情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダなどと組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置や捺染装置の形態を採るものなどであっても良く、プリント媒体としては、シート状あるいは長尺の紙や布帛、あるいは板状をなす木材や石材,樹脂,ガラス,金属などの他に、3次元立体構造物などを挙げることができる。
【0066】
【発明の効果】本発明の第1の形態の液体吐出ヘッドによると、その配列方向両端部に位置する端部吐出口群を構成する吐出口の配列間隔を、その配列方向中央部に位置する中央吐出口群を構成する吐出口の配列間隔よりも広く設定したので、最終的にプリント媒体に到達する液滴の位置を所期の位置に修正することができ、べたプリントを行った場合でも白筋が発生しない高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得ることができる。
【0067】特に、端部吐出口群を構成する吐出口の配列間隔を、中央吐出口群を構成する吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定した場合、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0068】端部吐出口群を構成する吐出口の径を、中央吐出口群を構成する吐出口の径よりも大きく設定した場合、特に端部吐出口群を構成する吐出口の径を、中央吐出口群を構成する吐出口の径の2倍以下にした場合、インク滴がプリント媒体の所定位置にそれほど正確に到達しないようなプリントヘッドを用いてべたプリントを行った際に白筋などの発生を防止することができる。このように、端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口から吐出されてプリント媒体にそれぞれ形成される液滴のドット径の差を、端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔の差に対応させた場合、インク滴がプリント媒体の所定位置にそれほど正確に到達しないようなプリントヘッドを用いても、べたプリントを行った際に白筋などの発生を防止することができる。吐出口に液体をそれぞれ導く複数の液路をさらに設け、端部吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法を、中央吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法よりも広く設定した場合、特に端部吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法を、中央吐出口群を構成する吐出口に連通する液路の幅寸法の2倍以下にした場合、配列方向両端部に位置する吐出口から吐出される液滴の量を多く設定しても、対応する吐出エネルギー発生部に対する駆動周波数を低下させる必要がなくなり、高速駆動を維持することができる。
【0069】本発明の第2の形態の液体吐出ヘッドによると、その配列方向中央部および両端部に位置する端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔を相互に等しく設定すると共に、端部吐出口群と中央吐出口群との間に位置する中間吐出口群を構成する吐出口の配列間隔を、端部吐出口群および中央吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔よりも広く設定したので、最終的にプリント媒体に到達する液滴の位置を所期の位置に修正することができ、べたプリントを行った場合でも白筋が発生しない高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得ることができる。
【0070】特に、中間吐出口群を構成する吐出口の配列間隔を、中央吐出口群および端部吐出口群をそれぞれ構成する吐出口の配列間隔よりも0.1から10μm広く設定した場合、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
【出願日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【代理人】 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一 (外1名)
【公開番号】 特開2003−145775(P2003−145775A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2002−249704(P2002−249704)