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【発明の名称】 ヘッドチップ
【発明者】 【氏名】佐久間 勝久
【住所又は居所】千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 エスアイアイ・プリンテック株式会社内

【要約】 【課題】吐出に必要なインクを充分に供給でき、かつチャンバの密封度を極限まで高めることが可能な、ヘッドチップを提供すること。

【解決手段】基板上にはチャンバに連通する共通インク室を画成するインク室プレートが接合されており、共通インク室はチャンバと共通インク室とを仕切る仕切部を具備し、仕切部のチャンバ長手方向を等間隔に分割する複数の連通孔が仕切部に設けられていると共に、複数の連通孔の仕切部面積に対する1個あたりの開口率が一定であり、前記チャンバの長手方向の長さをY(mm)、仕切部面積に対する連通孔1個あたりの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の関係を連通孔の最小サイズとし、複数の連通孔が互いに連結する連通孔のサイズを連通孔の最大サイズとして定義する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に画成されて長手方向端部がノズル開口に連通するチャンバと、該チャンバの側壁に設けられた電極とを具備し、前記電極に駆動電圧を印加することにより前記チャンバ内の容積を変化させてその内部に充填されたインクを前記ノズル開口から吐出するヘッドチップにおいて、前記基板上には前記チャンバに連通する共通インク室を画成するインク室プレートが接合されており、前記共通インク室は、前記チャンバと前記共通インク室とを仕切る仕切部を具備し、当該仕切部のチャンバ長手方向を、前記ノズル開口と該ノズル開口近傍の仕切部に設置された前記共通インク室と前記チャンバを連通する連通孔との距離で、等間隔に分割する複数の連通孔が前記仕切部に設けられていると共に、複数の該連通孔の前記仕切部面積に対する1個あたりの開口率が一定であり、前記チャンバの長手方向の長さをY(mm)、前記仕切部面積に対する前記連通孔1個あたりの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の関係が成り立つ連通孔のサイズをSminとし、複数の前記連通孔が互いに連結する連通孔のサイズをSmaxとした時に、Smin≦連通孔のサイズ<Smaxであることを特徴とするヘッドチップ。
【請求項2】 前記仕切部が別部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドチップ。
【請求項3】 前記基板が圧電セラミックプレートで形成されており、該圧電セラミックプレートに溝を形成することにより前記チャンバが画成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドチップ。
【請求項4】 前記基板上に圧電セラミックからなる前記側壁を所定間隔で配置して、前記側壁間に前記チャンバを画成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドチップ。
【請求項5】 前記基板上には前記共通インク室が画成されており、前記チャンバと前記共通インク室とが当該チャンバの長手方向一端で連通していることを特徴とする請求項4に記載のヘッドチップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、プリンタ、ファックスなどに適用されるインクジェット式記録装置に搭載されるヘッドチップに関する。
【0002】
【従来技術】従来から、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られている。かかるインクジェット式記録装置では、インクジェットヘッドのノズルが被記録媒体に対向するようにヘッドホルダに設けられ、このヘッドホルダはキャリッジに搭載され被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に走査されるようになっている。
【0003】このようなインクジェットヘッドに使用されるヘッドチップの一例の長手方向断面図を図16(a)に、また、要部断面を図16(b)に示す。図16(a)及び図16(b)に示すように、圧電セラミックプレート101には、複数の溝102が並設され、各溝102は、側壁103で分離されている。各溝102の長手方向一端部は圧電セラミックプレート101の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各溝102内の両側壁103の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印加用の電極105が形成されている。
【0004】また、圧電セラミックプレート101の溝102の開口側には、仕切部104を介してカバープレート107が接着剤109で互いに接合されている。カバープレート107には、各溝102の長手方向に対して等間隔で複数個仕切部104に設置された連通孔110を介して各溝102と連通する凹部となる共通インク室111と、この共通インク室111の底部から溝102とは反対方向に貫通するインク供給口112とを有する。
【0005】また、圧電セラミックプレート101、仕切部104とカバープレート107との接合体の溝102が開口している端面には、ノズルプレート115が接合されており、ノズルプレート115の各溝102に対向する位置にはノズル開口117が形成されている。
【0006】なお、圧電セラミックプレート101のノズルプレート115とは反対側でカバープレート107とは反対側の面には、配線基板120が固着されている。配線基板120には、各電極105とボンディングワイヤ121等で接続された配線122が形成され、この配線122を介して電極105に駆動電圧を印加できるようになっている。
【0007】このように構成されるヘッドチップでは、インク供給口112から各溝102内にインクを充填し、所定の溝102の両側の側壁103に電極105を介して所定の駆動電界を作用させると、側壁103が変形して所定の溝102内の容積が変化し、これにより、溝102内のインクがノズル開口117から吐出する。
【0008】例えば、図17に示すように、溝102aに対応するノズル開口117からインクを吐出する場合には、その溝102a内の電極105a,105bに正の駆動電圧を印加すると共にそれぞれに対向する電極105c,105dを接地するようにする。これにより、側壁103a,103bには溝102aに向かう方向の駆動電界が作用し、これが圧電セラミックプレート101の分極方向と直交すれば、圧電厚みすべり効果により側壁103a,103bが溝102a方向に変形し、溝102a内の容積が減少して圧力が増加し、ノズル開口117からインクが吐出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようなヘッドチップでは、連続吐出の高速化、すなわち印刷の高速化が難しいという問題の解決策として、インク吐出による前記側壁の振動が停止してから、前記溝に該当するチャンバ内のインクの圧力がゼロとなり次のインクが吐出できるようになるまでの時間を、該チャンバの長さやノズル開口の形状等によっても異なるが、該チャンバの密封度を高めて短縮していたが、該チャンバの密封度を高めるために前記連通孔の開口面積を絞りすぎてしまうと前記共通インク室から前記チャンバに対して吐出に必要なインクが充分に供給されなくなり、印刷が正常に行われないという問題がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑み、吐出に必要なインクを充分に供給でき、かつチャンバの密封度を極限まで高めることが可能な最小の前記連通孔のサイズを、前記チャンバの長手方向長さに対して定義したヘッドチップを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板に画成されて長手方向端部がノズル開口に連通するチャンバと、該チャンバの側壁に設けられた電極とを具備し、前記電極に駆動電圧を印加することにより前記チャンバ内の容積を変化させてその内部に充填されたインクを前記ノズル開口から吐出するヘッドチップにおいて、前記基板上には前記チャンバに連通する共通インク室を画成するインク室プレートが接合されており、前記共通インク室は、前記チャンバと前記共通インク室とを仕切る仕切部を具備し、当該仕切部のチャンバ長手方向を、前記ノズル開口と該ノズル開口近傍の仕切部に設置された前記共通インク室と前記チャンバを連通する連通孔との距離で、等間隔に分割する複数の連通孔が前記仕切部に設けられていると共に、複数の該連通孔の前記仕切部面積に対する1個あたりの開口率が一定であり、前記チャンバの長手方向の長さをY(mm)、前記仕切部面積に対する前記連通孔1個あたりの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の関係が成り立つ連通孔のサイズをSminとし、複数の前記連通孔が互いに連結する連通孔のサイズをSmaxとした時に、Smin≦連通孔のサイズ<Smaxであることを特徴とするヘッドチップにある。
【0012】本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記仕切部が別部材で形成されていることを特徴とするヘッドチップにある。
【0013】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記基板が圧電セラミックプレートで形成されており、該圧電セラミックプレートに溝を形成することにより前記チャンバが画成されていることを特徴とするヘッドチップにある。
【0014】本発明の第4の態様は、第1又は2の態様において、前記基板上に圧電セラミックからなる前記側壁を所定間隔で配置して、前記側壁間に前記チャンバを画成していることを特徴とするヘッドチップにある。
【0015】本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記基板上に圧電セラミックからなる前記側壁を所定間隔で配置して、前記側壁間に前記チャンバを画成していると共に前記基板上には前記共通インク室が画成されており、前記チャンバと前記共通インク室とが当該チャンバの長手方向一端で連通していることを特徴とするヘッドチップにある。
【0016】かかる本発明では、吐出に必要なインクを充分に供給でき、かつチャンバの密封度を極限まで高めることが可能な最小の前記連通孔のサイズを、前記チャンバの長手方向長さに対して定義することにより、インク供給特性及びインク吐出特性を悪化させずにチャンバ内の圧力が減衰する収束時間を短縮することができ、インクを高速で連続吐出して高速印刷を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】図1は、ヘッドチップのチャンバ長手方向の断面図であり、図2は、図1のA−A′線断面図であり、第1または第3の実施形態を示す。
【0019】ヘッドチップ11について詳しく説明する。図1及び図2に示すように、ヘッドチップ11を構成する圧電セラミックプレート16には、複数の溝からなるチャンバ17が並設され、各チャンバ17は、側壁18で分離されている。各チャンバ17の長手方向一端部は圧電セラミックプレート16の一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各チャンバ17内の両側壁18の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印加用の電極19が形成されている。
【0020】ここで、圧電セラミックプレート16に形成される各チャンバ17は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッターの形状により形成されてしまう。また、各チャンバ17内に形成される電極19は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成される。
【0021】圧電セラミックプレート16のチャンバ17の開口側には、接着剤35を介してインク室プレート20が接合されている。このインク室プレート20には、各チャンバ17と連通する凹部となる共通インク室21を有し、該共通インク室21は、これに通じるインク供給口22を備えた共通インク室ふた33で密閉されている。インク室プレート20は、セラミックプレート、金属プレートなどで形成することができるが、圧電セラミックプレート16との接合後の変形等を考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用いるのが好ましい。
【0022】このようなインク室プレート20には、チャンバ17と共通インク室21とを連通し、チャンバ17の長手方向に等間隔に複数個、かつ厚さ方向に貫通して連通孔32が設けられた仕切部30が設けられている。
【0023】これにより、各連通孔32の間隔、つまりノズル開口24近傍に位置する連通孔32からノズル開口24までの距離をポンプ部17aとして、その長さがヘッドチップ11のポンプ長となる。該ポンプ長により、インク吐出後に側壁18の振動が停止してからチャンバ17内の音圧が繰り返し反射して生じた圧力が減衰する収束時間が決定される。このため、ポンプ部17aの長さを連通孔32の位置(数)によって容易に規定でき、収束時間を短縮することができる。
【0024】なお、このような連通孔32の数は、特に限定されず、吐出能力に影響が出ない範囲の数を配置可能であり、さらにチャンバ17の浅くなった端部に気泡が滞留するのを防止するために、該端部と対向する位置に連通孔32を設ける。
【0025】また、圧電セラミックプレート16とインク室プレート20との接合体のチャンバ17が開口している端面には、ノズルプレート23が接合されており、ノズルプレート23の各チャンバ17に対向する位置にはノズル開口24が形成されている。
【0026】このノズルプレート23は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口24を形成したものである。また、図示しないが、ノズルプレート23の被印刷物に対向する面には、インクの付着等を防止するために撥水性を有する撥水膜が設けられている。
【0027】また図示しないインクカートリッジやインクパックから導入されたインクは、図示しないインク流路を通ってインク供給口22より共通インク室21に充填され、さらに連通孔32を通りチャンバ17内に充填される。
【0028】ここで前記チャンバ17の長手方向の長さをY(mm)、前記仕切部30の該チャンバ1個あたりの面積に対する、1個あたりの前記連通孔32の開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の式で、該連通孔の最小面積を決定することにより、該チャンバのインク供給不足を回避することができる。ここで前記連通孔の最大サイズが複数の前記連通孔が連結するサイズとなることは、本ヘッドチップの構造上いうまでもない。
【0029】なお、上述した実施形態では、絶縁性のインクを使用するヘッドチップを例示したが、水性インク等の導電性インクを使用するヘッドチップとしてもよい。
【0030】このようにヘッドチップに水性インク等の導電性インクを用いる場合、チャンバ17内のインクによって電極が導通してしまい、インクが電気分解を起こすと共に正常な駆動を行えないため、圧電セラミックプレートにインクを吐出させるチャンバと、インクの充填されないダミーチャンバとを交互に配置して導電性インクが吐出されるようにするが、このダミーチャンバへのインク充填の防止を仕切部によって行うようすればよい。
【0031】このように導電性インクを用いるヘッドチップでも、インクを吐出させるチャンバに対する仕切部に、前記絶縁性のインクを使用するヘッドチップ11の場合と同様に複数の連通孔32を設置すれば同様の効果が得られる。
【0032】図3は、ヘッドチップのチャンバ長手方向の断面図であり、図4は、図3のA−A′線断面図であり、第2または第3の実施形態を示す。
【0033】第1の実施形態と異なる点は、共通インク室21に通じるインク供給口22を備えた共通インク室ふた33がなく、インク室プレート20は仕切部30を備えていないことであり、連通孔32を有する仕切部30が別部材となっていることのみであり、その他の点は全て第1の実施形態と同じである。
【0034】このような構成のヘッドチップ11は、まず、圧電セラミックプレート16とインク室プレート20とを仕切部30を挟持するように接合し、その接合体の端面にノズルプレート23を接合する。
【0035】このようなヘッドチップ11としても、チャンバ17の長手方向の長さをY(mm)、仕切部30の該チャンバ1個あたりの面積に対する、1個あたりの前記連通孔32の開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の式で、該連通孔の最小面積を決定することにより、該チャンバのインク供給不足を回避することができる。ここで前記連通孔の最大サイズが複数の前記連通孔が連結するサイズとなることは、本ヘッドチップの構造上いうまでもない。
【0036】また、第1の実施形態と同様の方法で導電性インクを用いることもできる。
【0037】図5と図6は、本発明の第4の実施形態で、図5はその内の一実施形態に係るヘッドチップ長手方向断面図であり、図6は図5のA−A′線断面図である。
【0038】図示するように、ヘッドチップ11Aは、基板16A上に圧電セラミックからなる側壁18Aを所定間隔で配置して、各側壁18A間にチャンバ17Aが画成されている。
【0039】また、基板16A上には、封止板60Aが設けられ、該封止板によりチャンバ17Aの長手方向一端は密閉される。
【0040】また、チャンバ17Aとインク室プレ−ト20Aに設けられた共通インク室21Aとの間には仕切部30Aがあり、該仕切部には所定間隔で均等に設けられた複数の連通孔32Aが設置される。
【0041】さらに、チャンバ17Aの両側壁18Aに設けられた電極19Aは、該側壁の全面に亘って設けられており、該電極と図示しない駆動回路との導通は、配線61Aによって接続されるが、該電極と該配線との導通は、例えば配線61Aを基板16Aと各側壁18Aとの間の両側に画成されたチャンバ17Aに沿って延設し、延設した配線61Aの幅方向両端部で電極19Aと確実に接触することで達成している。
【0042】このようなヘッドチップ11Aとしても、チャンバ17Aの長手方向の長さをY(mm)、仕切部30Aの該チャンバ1個あたりの面積に対する、1個あたりの前記連通孔32Aの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の式で、該連通孔の最小面積を決定することにより、該チャンバのインク供給不足を回避することができる。ここで前記連通孔の最大サイズが複数の前記連通孔が連結するサイズとなることは、本ヘッドチップの構造上いうまでもない。
【0043】また、第1の実施形態と同様の方法で導電性インクを用いることもできる。
【0044】さらに、ここでは仕切部30Aを別部材としたが、インク室プレート20Aが該仕切部を具備し、共通インク室21Aを該共通インク室に通じるインク供給口22Aを備えた別部材の前記共通インク室ふたで形成する構造としても問題がないことは言うまでもない。
【0045】図7と図8は、本発明の第5の実施形態で、図7はその内の一実施形態に係るヘッドチップ長手方向断面図であり、図8は図7のA−A′線断面図である。
【0046】第4の実施形態と異なる点は、封止板60Aの外側に第2封止板60Bがあり、封止板60Aにはチャンバ17Aと対向する位置に連通孔32Aと同サイズの連通孔32Bが設けられ、インク室プレ−ト20Aに設置された共通インク室21Aを第1インク室21aとし、該封止板と該第2封止板との間で第2インク室21bが画成され、連通孔32Bが第2インク室21bとチャンバ17Aを連通させていると共に、仕切部30Aには前記第1インク室21aと前記第2インク室21bを連通させるインク供給連通孔31Aが設置されており、封止板60Aの近傍に存在した連通孔32Aが仕切部30Aから削除されていることのみであり、その他の点は全て第4の実施形態と同じである。
【0047】このようなヘッドチップ11Aとしても、チャンバ17Aの長手方向の長さをY(mm)、仕切部30Aの該チャンバ1個あたりの面積に対する、1個あたりの前記連通孔32Aの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の式で、該連通孔の最小面積を決定することにより、該チャンバのインク供給不足を回避することができる。ここで前記連通孔の最大サイズが複数の前記連通孔が連結するサイズとなることは、本ヘッドチップの構造上いうまでもない。
【0048】また、封止板60Aを用いて前記ダミ−チャンバを密閉し、かつ第1の実施形態と同様の方法を併用すれば、導電性インクを用いることもできる。
【0049】さらに、ここでは仕切部30Aを別部材としたが、インク室プレート20Aが該仕切部を具備し、共通インク室21Aを該共通インク室に通じるインク供給口22Aを備えた別部材の前記共通インク室ふたで形成する構造としても問題がないことは言うまでもない。
【0050】最後に連通孔32、32Aのサイズの定義を図9により説明する。図9は、1個のチャンバ17、17A上に位置する仕切部30、30Aと該仕切部が有する複数の連通孔32、32Aの平面図である。
【0051】チャンバ17、17Aの長手方向の長さはY(mm)、チャンバ17、17Aの幅はZ(mm)、1個の連通孔32、32Aの形状を長方形とした場合の長辺の長さをA(mm)、短辺の長さをB(mm)とする。ここで1個のチャンバ17、17Aに対する仕切部30、30Aの面積に対する前記連通孔32、32Aの1個あたりの開口率をX(%)とすると、X(%)=(A×B)×100/(Y×Z)となる。また、ここでは連通孔32、32Aの形状を長方形としたが形状はなんでもよく、例えば楕円形や円形であってもよいことは言うまでもない。
【0052】(実施例1)図10は、本発明の実施例1に係るヘッドチップが有するチャンバ1個に対する仕切部30の平面図である。
【0053】図示するように、実施例1のヘッドチップは、仕切部30における連通孔32の間隔を1.8mmとして該連通孔を3個有している。該連通孔の間隔は、各連通孔32の中心間距離とし、当該チャンバの長手方向一端部の前記ノズル開口とは反対側の一端に存在する連通孔32のサイズのみ他の半分とした。
【0054】このようなヘッドチップのチャンバ長手方向の長さはY=5.4mmであり、該連通孔の大きさはA×B=0.09mm×0.06mm、0.18mm×0.06mm、0.27mm×0.06mm、及び0.36mm×0.06mmの4つのヘッドチップとした。
【0055】(実施例2)図11は、本発明の実施例2に係るヘッドチップが有するチャンバ1個に対する仕切部30の平面図である。
【0056】図示するように、実施例2のヘッドチップは、仕切部30における連通孔32の間隔を1.8mmとして該連通孔を4個有している。該連通孔の間隔は、各連通孔32の中心間距離とし、当該チャンバの長手方向一端部の前記ノズル開口とは反対側の一端に存在する連通孔32のサイズのみ他の半分とした。
【0057】このようなヘッドチップのチャンバ長手方向の長さはY=7.2mmであり、該連通孔の大きさはA×B=0.09mm×0.06mm、0.18mm×0.06mm、0.27mm×0.06mm、及び0.36mm×0.06mmの4つのヘッドチップとした。
【0058】(実施例3)図12は、本発明の実施例3に係るヘッドチップが有するチャンバ1個に対する仕切部30の平面図である。
【0059】図示するように、実施例3のヘッドチップは、仕切部30における連通孔32の間隔を1.8mmとして該連通孔を5個有している。該連通孔の間隔は、各連通孔32の中心間距離とし、当該チャンバの長手方向一端部の前記ノズル開口とは反対側の一端に存在する連通孔32のサイズのみ他の半分とした。
【0060】このようなヘッドチップのチャンバ長手方向の長さはY=9.0mmであり、該連通孔の大きさはA×B=0.09mm×0.06mm、0.18mm×0.06mm、0.27mm×0.06mm、及び0.36mm×0.06mmの4つのヘッドチップとした。
【0061】(試験例)実施例1の4種類のヘッドチップと、実施例2の4種類のヘッドチップ及び、実施例3の4種類のヘッドチップとについて、ノズル抵抗をそれぞれ40%、60%及び80%とした場合のノズル開口24における圧力挙動を測定した。この際、チャンバ17の両側壁18のチャンバに対して外側に移動する最大変位量が0.01μmとなるように電極19に電圧を与え、その状態が25μ秒以上継続するようにした。チャンバ17の幅Zは、0.078mmとした。
【0062】さらに連通孔32の間隔によって時間が決定されるAP時間後の圧力値を抽出し、各実施例の各ノズル抵抗値に対する該圧力値の変動傾向から、圧力値が正となる、1個のチャンバ17が占める仕切部30の面積に対する1個あたりの前記連通孔32の開口率X(%)を求めた。 ここでAP時間の長さは全連通孔の間隔が1.8mmであるので2.1μ秒で同一であり、またAP時間後の圧力値が正であればインクは正しく供給されていることを示す。
【0063】図13に実施例1の場合の各連通孔開口率に対する1AP後の圧力値を、各ノズル抵抗値で割振ったグラフを示す。
【0064】図14に実施例2の場合の各連通孔開口率に対する1AP後の圧力値を、各ノズル抵抗値で割振ったグラフを示す。
【0065】図15に実施例3の場合の各連通孔開口率に対する1AP後の圧力値を、各ノズル抵抗値で割振ったグラフを示す。
【0066】上記図13〜図15より読み取った、各チャンバの長手方向長さとノズル抵抗値の組合せに対する、AP時間後にノズル開口24において圧力値が正となる場合の、前記開口率X(%)の値を表1に記す。
【0067】
【表1】

【0068】表1より、チャンバ長Y(mm)と連通孔1個あたりの開口率X(%)の関係式を求めるとY=−4.5X+15.8となり、全ての場合にて該関係式とYの値から導出されるXの値は表1の開口率X(%)よりも大となり、チャンバ内圧力は常に正となる。
【0069】このことから実験例1〜3に示すようなモデルのヘッドチップにおいて、上式がインク供給不足とならない最小の連通孔1個あたりの面積を決定していることが判明する。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、共通インク室の仕切部のチャンバ長手方向を前記ノズル開口と該ノズル開口近傍の仕切部に設置された前記共通インク室と前記チャンバを連通する連通孔との距離で、等間隔に分割する複数の前記連通孔が前記仕切部に設けられており、当該チャンバの長手方向一端部の前記ノズル開口とは反対側の一端に前記連通孔を有すると共に、複数の該連通孔の前記仕切部面積に対する1個あたりの開口率が一定であるヘッドチップにおいて、前記チャンバの長手方向の長さをY(mm)、前記仕切部面積に対する前記連通孔1個あたりの開口率をX(%)とすると、Y=−4.5X+15.8の関係を前記連通孔の最小サイズとして定義することにより、吐出に必要なインクを充分に供給でき、かつ溝の密封度を極限まで高めることができ、チャンバ内の圧力が減衰する収束時間を短縮して、連続吐出の高速化、すなわち印刷の高速化が図れるとともに、印刷品質の安定化が図れる。
【出願人】 【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地
【出願日】 平成13年11月15日(2001.11.15)
【代理人】 【識別番号】100096378
【弁理士】
【氏名又は名称】坂上 正明
【公開番号】 特開2003−145755(P2003−145755A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−350649(P2001−350649)