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【発明の名称】 |
機能性材料及びその製造方法 |
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【氏名】松井 明 【住所又は居所】大阪市中央区安土町2丁目3番13号 タキロン株式会社内 【氏名】井平 誠 【住所又は居所】大阪市中央区安土町2丁目3番13号 タキロン株式会社内 |
【課題】合成樹脂基体と機能性表面層又はプライマー層との接着強度が大きく屋外で使用されても剥離の心配が殆どない機能性材料と、その製造方法を提供する。
【解決手段】合成樹脂基体1の表面に、好ましくはプライマー層2を介して、機能性表面層3を積層一体化した機能性材料であって、合成樹脂基体1の表面が表面活性化処理され、その表面張力比(処理直後の合成樹脂基体の表面張力/処理前の合成樹脂基体の表面張力)が1.4以上である構成の機能性材料とする。これにより合成樹脂基体1の表面の濡れ性を良くして機能性表面層3もしくはプライマー層2との結合強度を高め、耐剥離性を改善する。製造方法は、合成樹脂基体の表面を表面活性化処理した後、機能性表面層形成用塗料を塗布して固化させる。好ましくは、プライマー塗料を機能性表面層形成用塗料の塗布前に塗布して固化させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】合成樹脂基体の表面に機能性表面層が積層一体化された機能性材料であって、上記合成樹脂基体の表面が表面活性化処理され、その表面張力比(処理直後の合成樹脂基体の表面張力/処理前の合成樹脂基体の表面張力)が1.4以上であることを特徴とする機能性材料。 【請求項2】合成樹脂基体の表面活性化処理された表面と機能性表面層との間にプライマー層が形成されている請求項1に記載の機能性材料。 【請求項3】表面活性化処理が放電処理である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の機能性材料。 【請求項4】合成樹脂基体がポリカーボネートの基体であり、プライマー層がアクリル系樹脂のプライマー層である請求項2又は請求項3に記載の機能性材料。 【請求項5】機能性表面層がシリコーン系樹脂からなるハードコート層である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の機能性材料。 【請求項6】合成樹脂基体の表面を表面活性化処理した後、機能性表面層形成用塗料を塗布して固化させることを特徴とする機能性材料の製造方法。 【請求項7】機能性表面層形成用塗料を塗布する前に、合成樹脂基体の表面活性化処理した表面にプライマー塗料を塗布して固化させることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハードコート層、制電層、防汚層、印刷層、光触媒層などの機能性表面層を備えた機能性材料と、その製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】合成樹脂基体の表面に機能性表面層を設けた従来の機能性材料は、機能性表面層が剥離しやすいという問題があった。このため、機能性表面層の接着性(耐剥離性)を改良すべく、合成樹脂基体の表面にプライマー層を介して機能性表面層を積層一体化した機能性材料が開発され、普及するようになった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の機能性材料は、プライマー層によって耐剥離性が改良されていても、太陽光(紫外線)を直接受ける屋外用途に使用されると、合成樹脂基体とプライマー層との界面で剥離しやすいという問題があった。そのため、屋外用途の機能性材料、例えば、高速道路の防音板として使用される透光性樹脂板(表面にハードコート層を有する透光性樹脂板)などには、更なる接着性(耐剥離性)の向上が要求されている。 【0004】本発明は、上記の要求に応えるべくなされたもので、合成樹脂基体と機能性表面層又はプライマー層との接着強度(耐剥離強度)が大きいため屋外で使用されても剥離の心配が殆どない機能性材料を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る機能性材料は、合成樹脂基体の表面に機能性表面層が積層一体化された機能性材料であって、上記合成樹脂基体の表面が表面活性化処理され、その表面張力比(処理直後の合成樹脂基体の表面張力/処理前の合成樹脂基体の表面張力)が1.4以上であることを特徴としている。 【0006】この機能性材料のように合成樹脂基体の表面を活性処理すると、合成樹脂基体の表面に酸素を含む官能基が生成されたり、表面が粗面化されたりするため、機能性表面層が合成樹脂基体の表面の官能基と化学的に結合したり、粗面化された表面に物理的なアンカー作用で結合する。そして、合成樹脂基体の表面張力比が1.4以上であると、濡れ性が良いため合成樹脂基体と機能性表面層との密着性が向上する。これらの結果、合成樹脂基体と機能性表面層との結合強度が大幅に高められ、屋外用途に使用されても、機能性表面層が合成樹脂基体から剥離する心配はほぼ解消される。 【0007】上記のような機能性材料は、本発明の請求項6に記載された製造方法、即ち、合成樹脂基体の表面を表面活性化処理した後、機能性表面層形成用塗料を塗布して固化させることを特徴とする製造方法によって容易に製造される。 【0008】次に、本発明の請求項2に係る機能性材料は、上記請求項1の機能性材料において、合成樹脂基体の表面活性化処理された表面と機能性表面層との間にプライマー層が形成されていることを特徴としている。 【0009】この機能性材料は、機能性表面層の接着性を高めるプライマー層が、上記の化学的又は物理的な結合作用によって、合成樹脂基体の表面活性化処理された表面と強固に結合するため、機能性表面層の耐剥離性が更に向上する。 【0010】このような機能性材料は、本発明の請求項7に記載された製造方法、即ち、上記の請求項6の製造方法において機能性表面層形成用塗料を塗布する前に、合成樹脂基体の表面活性化処理した表面にプライマー塗料を塗布して固化させることを特徴とする製造方法によって容易に製造される。 【0011】次に、本発明の請求項3に係る機能性材料は、上記請求項1又は2の機能性材料において、その表面活性化処理が放電処理であることを特徴としている。 【0012】表面活性処理の中でも放電処理は特に有効であって、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの酸素を含む官能基を効率良く生成するため、この機能性材料のように合成樹脂基体の表面を放電処理したものは、合成樹脂基体と機能性表面層もしくはプライマー層との密着性や結合強度が顕著に向上し、剥離の心配が皆無に等しくなる。 【0013】次に、本発明の請求項4に係る機能性材料は、上記請求項2又は3の機能性材料において、その合成樹脂基体がポリカーボネートの基体であり、プライマー層がアクリル系樹脂のプライマー層であることを特徴としている。 【0014】このような機能性材料は、放電処理等の表面活性化処理によってポリカーボネートの基体表面に形成された酸素を含む水酸基等と、プライマー層のアクリル系樹脂のエステル基とが化学的に結合するため、結合強度が極めて大である。 【0015】次に、本発明の請求項5に係る機能性材料は、上記請求項1〜4のいずれかの機能性材料において、その機能性表面層がシリコーン系樹脂からなるハードコート層であることを特徴としている。 【0016】このようなハードコート層を設けた機能性材料は、耐擦傷性が良好である。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。 【0018】図1は本発明の一実施形態に係る積層板状の機能性材料を示す断面図である。 【0019】この機能性材料は、板状の合成樹脂基体1の上下両表面にプライマー層2,2を介して機能性表面層3,3が積層一体化された積層板状の材料であって、合成樹脂基体1とプライマー層2,2との結合強度を向上させるために、合成樹脂基体1の上下両表面には表面活性化処理が施されている。 【0020】表面活性化処理としては、放電処理、電離活性線処理、火炎処理、オゾン処理、イオン注入、粗面化処理などの乾式処理から、化学薬品処理、カップリング剤処理、ポリマーコーティング、表面グラフト化処理などの湿式処理に至るまで、従来公知の各種の表面活性化処理を採用することができる。 【0021】これらの処理の中では、放電処理、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、グロー放電処理などが特に好適であり、また、電離活性線処理、例えば、紫外線処理、電子線処理、放射線処理なども好適である。 【0022】上記のプラズマ処理は、公知のプラズマ処理装置を使用し、超減圧下に高出力で、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素,酸素、空気などの単体、または、これらの混合気体を励起してプラズマを発生させ、帯電粒子を除去した該プラズマを合成樹脂基体1の表面に接触させるか、或は、大気圧プラズマ処理装置を使用し、大気圧下に高出力で上記気体のプラズマを発生させて上記と同様に合成樹脂気体1の表面に接触させることによって行うことができ、上記のコロナ放電処理は、公知のコロナ放電処理装置を使用し、発生させた適度な密度のコロナ雰囲気中に合成樹脂基体1を通過させることによって行うことができ、上記のグロー放電処理は、公知のグロー放電処理装置を使用し、発生させたプラズマを合成樹脂基体1に適当な時間、当てることによって行うことができ、上記の紫外線処理は、公知の紫外線ランプを使用し、200〜400nm程度の波長を有する紫外線を合成樹脂基体1に適当な時間、照射することによって行うことができ、上記の電子線処理は、公知の電子線照射装置を使用し、その電子線加速器で発生させた電子線を適度な照射線量で合成樹脂基体1に照射することによって行うことができ、上記の放射線処理は、公知の放射線処理装置を使用し、発生させた放射線を合成樹脂基体1に適当な時間、照射することによって行うことができる。 【0023】これらの表面活性化処理を施すと、合成樹脂基体1の表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの酸素を含む官能基が多量に生成し、濡れ性が向上する。そのため、プライマー層2との密着性が良くなり、プライマー層2の樹脂が官能基と直接結合したり水素結合することによって、合成樹脂基体1とプライマー層2との結合強度が向上する。 【0024】合成樹脂基体1とプライマー層2との結合強度を充分に向上させるためには、合成樹脂基体1の表面張力比(処理直後の合成樹脂基体の表面張力/処理前の合成樹脂基体の表面張力)が1.4以上となるように表面活性化処理をして、多量の官能基を生成し、対水接触角を小さくして濡れ性を充分に高める必要がある。表面張力比が1.4未満では官能基が不足し、濡れ性が未処理のものとあまり変わらないので、合成樹脂基体1とプライマー層2との結合強度を向上させることが難しくなる。合成樹脂基体1の更に好ましい表面張力比は2.5以上である。 【0025】上記の合成樹脂基体1の材質は特に制限がなく、機能性材料の用途に応じて公知の熱可塑性樹脂の中から適当なものが選択使用される。例えば、高速道路の防音板などの用途に使用される機能性材料の場合は、合成樹脂基体1として透光性や耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂の板状体が好適に使用される。また、この合成樹脂基体1の厚さについても特に制限はなく、機能性材料の用途に応じて適宜決定すればよい。 【0026】上記のプライマー層2としては、接着性を向上させるための各種の合成樹脂プライマー層が採用可能であるが、その中でも、合成樹脂基体1の表面の官能基と容易に結合する官能基を有する合成樹脂、例えばエステル基を有するアクリル系樹脂などのプライマー層2は、合成樹脂基体1との結合強度が大きく、透明性にも優れるため好適に採用される。特に、大量の太陽光を浴びる高速道路の防音板などの用途に使用される機能性材料の場合は、紫外線吸収剤や光安定剤を含有させたアクリル系樹脂のプライマー層2が好適であり、このようなプライマー層2を設けると、該プライマー層2に含まれる紫外線吸収剤や光安定剤の作用によって、合成樹脂基体1の紫外線劣化や光劣化が抑制されるので、耐久性が向上する利点がある。プライマー層2の厚さは特に制限されないが、1〜10μm程度の厚さに形成することが望ましい。 【0027】また、前記の機能性表面層3としては、ハードコート層、制電層、防汚層、光触媒層、印刷層など、種々の機能を有する表面層が用途に応じて設けられる。ハードコート層としては、例えばシリコーン系樹脂等からなる滑性の良好な緻密で硬質の層が好適であり、このようなハードコート層はアクリル系樹脂のプライマー層2との接着強度が大きく、耐擦傷性を向上させる利点があるので、上記高速道路の防音板などの用途に使用される機能性材料において好ましく形成される。また、制電層としては、プライマー層2との接着強度が大きい合成樹脂に金属酸化物粉やカーボン粉などの導電粉を均一に含有させた層が好適であり、このような制電層は帯電による塵埃付着を防止できる利点があるため、例えば半導体製造工場のクリーンルームの間仕切板などの用途に使用される機能性材料において好ましく形成される。また、防汚層は、プライマー層2との接着強度が大きい合成樹脂にシリコーン系やフッ素系の化合物などからなる防汚剤を含有させた層もしくは前記化合物からなる層であり、光触媒層は、上記の樹脂に酸化チタン,酸化亜鉛等の光触媒作用を有する金属酸化物を含有させた層であって、いずれの層も汚れを防止できる利点があるため、風雨等にさらされる屋外用途の機能性材料において好ましく形成される。これらの機能性表面層3の厚さは特に制限されないが、10nm〜50μm程度の厚さに形成することが望ましい。特に、ハードコート層、制電層、防汚層、印刷層などは1〜100μmで望ましく、光触媒層は10〜100nmであることが望ましい。 【0028】以上のような構成の機能性材料は、合成樹脂基体1の表面を表面活性化処理した後、該表面にプライマー塗料を塗布して固化させることによりプライマー層2を形成し、更に、プライマー層2の上に機能性表面層形成用塗料を塗布して固化させることにより機能性表面層3を形成する本発明の製造方法を採用して、容易に製造することができる。 【0029】本発明の製造方法における合成樹脂基体1の表面活性化処理の手段としては、既述した従来公知の各種の表面活性化処理の手段を採用することが可能であり、特に、既述したプラズマ処理、コロナ放電処理、グロー放電処理などの放電処理による手段や、紫外線処理、電子線処理、放射線処理などの電離活性線処理による手段が好適に採用される。 【0030】そして、プライマー塗料としては、既述したアクリル系樹脂などのプライマー樹脂を揮発性溶剤に溶解した塗料や、該塗料に紫外線吸収剤等を含有させたものなどが好適に使用される。また、機能性表面層形成用塗料としては、既述したハードコート層形成用のシリコーン系樹脂塗料や、制電層形成用の導電粉含有樹脂塗料や、防汚層形成用の防汚剤含有樹脂塗料や、光触媒層形成用の金属酸化物含有樹脂塗料や、印刷層形成用の印刷インクなどが好適に使用される。 【0031】尚、プライマー塗料や機能性表面層形成用塗料の塗布手段は特に制限がなく、従来公知のロールコート、バーコート、フローコートその他の全ての塗布手段を採用することができる。 【0032】前記実施形態の機能性材料では合成樹脂基体1の両表面を表面活性化処理し、合成樹脂基体1の両表面にプライマー層2を介して機能性表面層3を積層一体化しているが、合成樹脂基体1のいずれか片面のみを表面活性化処理し、該片面のみにプライマー層2を介して機能性表面層3を積層一体化してもよいことは言うまでもない。 【0033】また、前記実施形態の機能性材料では、合成樹脂基体1の両表面のみに表面活性化処理を施しているが、場合によっては、プライマー層2の表面にも表面活性化処理を施すことにより、プライマー層2と機能性表面層3との接着強度を更に向上させるように構成してもよい。 【0034】前記実施形態の機能性材料におけるプライマー層2は、機能性表面層3の接着性を高めるために望ましくは形成されるものであり、必要不可欠な層ではない。従って、本発明の機能性材料は、上記のプライマー層2を省略し、表面活性化処理された合成樹脂基体1の表面に機能性表面層3を直接積層一体化したものであってもよい。このような機能性材料は、表面活性化処理された合成樹脂基体1の表面に機能性表面層3が直接強固に結合するため、機能性表面層3の耐剥離性を良好に保持できる。 【0035】尚、プライマー層2を省略した機能性材料は、合成樹脂基体1の表面を表面活性化処理した後、機能性表面層形成用塗料を塗布して固化させることにより機能性表面層3を形成する製造方法を採用して製造される。 【0036】次に、本発明に係る機能性材料の更に具体的な実施例と比較例について説明する。 【0037】[実施例1]合成樹脂基体として厚さ5mmのポリカーボネート樹脂板を溶融成形した。このポリカーボネート樹脂板の対水接触角を測定したところ、下記の[表1]に示すように対水接触角は91°であった。 【0038】大気圧プラズマ処理装置を使用して0.3KWの出力でプラズマを発生させ、帯電粒子を除去した該プラズマを、2mmの隙間を保ちながら2.6m/minの速度で移動する上記ポリカーボネート樹脂板の表面に接触させることにより、上記ポリカーボネート樹脂板の両表面をプラズマ処理して活性化させた。そしてこのプラズマ処理を行ったポリカーボネート樹脂板の処理直後の対水接触角と、3日経過後の対水接触角を測定したところ、下記の[表1]に示すように、処理直後の対水接触角は45.4°であり、3日経過後の対水接触角は60.1°であった。 【0039】プラズマ処理前の対水接触角と処理後の対水接触角から、ポリカーボネート樹脂板の表面張力を下記の[式1]に基づいて算出し、表面張力比(処理後の表面張力/処理前の表面張力)を求めたところ、下記の[表1]に示す処理直後の表面張力比は3.0であり、3日経過後の表面張力比は2.4であった。 【0040】 【式1】
【0041】上記のプラズマ処理したポリカーボネート樹脂板の両表面に、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を10重量%含有させたアクリル樹脂のプライマー塗料(固形分10重量%)を塗布して固化させた後、更にその上にシリコーン系樹脂塗料を塗布して固化させることにより、厚さ5mmのポリカーボネート樹脂板の両表面に厚さ3μmのプライマー層を介して厚さ5μmのシリコーン系樹脂のハードコート層を積層一体化した板状の機能性材料を作製した。 【0042】この機能性材料について、ハードコート層の耐剥離性を碁盤目剥離の方法で調べたところ、下記の[表1]に示すように、剥離は全く見られなかった。更に、この機能性材料を煮沸した水中に浸漬し、30分浸漬後の耐剥離性と60分浸漬後の耐剥離性を碁盤目剥離の方法で調べたところ、浸漬前と同様にハードコート層の剥離は全く見られなかった。 【0043】また、直読ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)製]を使用して、上記機能性材料の全光線透過率とヘイズ値を測定したところ、全光線透過率は93%、ヘイズ値は0.5%であった。この機能性材料についてテーバー摩耗テスト(荷重500g、500回転)を行い、テスト後の機能性材料のヘーズ値を測定して、摩耗テスト前に対するヘーズ値の増加を調べたところ、下記の[表1]に示すように、ヘーズ値は3%増加していた。 【0044】尚、対水接触角は、協和界面科学(株)製の接触角計CA−Aを用いて測定したものであり、碁盤目剥離の試験はJIS K 5400の試験方法に基づいて行ったものであり、テーバー摩耗テストは(株)東洋精機製作所製のロータリーアブレッサーを用いて行ったものである。 【0045】[実施例2]紫外線ランプを使用し、40mWの出力で200〜400nmの波長を有する紫外線を、実施例1で溶融成形したポリカーボネート樹脂板の両表面に10cmの距離をあけて30秒間照射することにより、ポリカーボネート樹脂板の両表面を紫外線処理した。 【0046】この紫外線処理したポリカーボネート樹脂板について、実施例1と同様に処理直後の対水接触角と3日経過後の対水接触角を測定し、それに基づいてポリカーボネート樹脂板の処理直後の表面張力比と3日経過後の表面張力比を求めた。その結果を下記の[表1]に示す。 【0047】更に、上記の紫外線処理したポリカーボネート樹脂板を用いて、実施例1と同様にして、プライマー層とハードコート層を積層一体化した積層板状の機能性材料(各層の厚さ、材質はいずれも実施例1の機能性材料と同じもの)を作製した。そして、この機能性材料について、実施例1と同様にしてハードコート層の耐剥離性を調べると共に、この機能性材料の全光線透過率とヘイズ値とテーバー摩耗テスト後のヘーズ値の増加を調べた。その結果を下記の[表1]に示す。 【0048】[実施例3]電子線照射装置を使用し、加速電圧100kVで発生させた電子線を、実施例1で溶融成形したポリカーボネート樹脂板の両表面に2M radの照射線量で照射することにより、ポリカーボネート樹脂板の両表面を電子線処理した。 【0049】この電子線処理したポリカーボネート樹脂板について、実施例1と同様に処理直後の対水接触角と3日経過後の対水接触角を測定し、それに基づいてポリカーボネート樹脂板の処理直後の表面張力比と3日経過後の表面張力比を求めた。その結果を下記の[表1]に示す。 【0050】更に、上記の電子線処理したポリカーボネート樹脂板を用いて、実施例1と同様にして、プライマー層とハードコート層を積層一体化した積層板状の機能性材料(各層の厚さ、材質はいずれも実施例1の機能性材料と同じもの)を作製した。そして、この機能性材料について、実施例1と同様にしてハードコート層の耐剥離性を調べると共に、この機能性材料の全光線透過率とヘイズ値とテーバー摩耗テスト後のヘーズ値の増加を調べた。その結果を下記の[表1]に示す。 【0051】[比較例]比較のために、実施例1で溶融成形したポリカーボネート樹脂板の両表面を表面活性化処理することなく、該樹脂板の両表面にプライマー層とハードコート層を実施例1と同様に積層一体化して積層板状の機能性材料(各層の厚さ、材質はいずれも実施例1の機能性材料と同じもの)を作製した。 【0052】そして、この機能性材料について、実施例1と同様にしてハードコート層の耐剥離性を調べると共に、この機能性材料の全光線透過率とヘイズ値とテーバー摩耗テスト後のヘーズ値の増加を調べた。その結果を下記の[表1]に示す。 【0053】 【表1】
【0054】この表1において、○は碁盤目剥離の試験において両面共に剥離が全く見られなかったことを示し、△は両面又は片面に1割以下の剥離が見られたことを示し、×は両面又は片面に1割以上の剥離が見られたことを示す。 【0055】上記の表1を見ると、ポリカーボネート樹脂板の両表面を表面活性化処理していない比較例の機能性材料は、プライマー層によってハードコート層の耐剥離性がある程度改善され、煮沸水浸漬前の碁盤目剥離試験の結果は○(剥離なし)であるが、プライマー層とポリカーボネート樹脂板との結合強度が充分ではないため、煮沸水に30分浸漬後の碁盤目剥離試験の結果も、60分浸漬後の碁盤目剥離試験の結果も×(1割以上の剥離あり)であり、耐剥離性が充分改善されていないことが分かる。 【0056】これに対し、ポリカーボネート樹脂板の両表面を表面活性化処理した実施例1〜3の機能性材料は、処理後のポリカーボネート樹脂板の表面の耐水接触角が処理前に比べて減少し、処理直後の表面張力比がいずれも1.4以上である。そのため、ポリカーボネート樹脂板の表面の濡れ性が良くなってプライマー層との密着性や結合強度が向上し、実施例1〜3の機能性材料はいずれも煮沸水浸漬前及び30分浸漬後の碁盤目試験の結果が○(剥離なし)であって、耐剥離性が大幅に改善されている。このことから、ポリカーボネート樹脂板の表面活性化処理は耐剥離性の改善に極めて有効であることが分かる。 【0057】特に、プラズマ処理を行った実施例1の機能性材料は、紫外線処理や電子線処理を行った実施例2,3の機能性材料に比べて、処理直後及び3日経過後の耐水接触角が小さく、処理直後及び3日経過後の表面張力比が大きいため、実施例1の機能性材料はポリカーボネート樹脂板の表面の濡れ性が極めて良好で、プライマー層との密着性及び結合強度が実施例2,3のものよりも顕著に向上している。従って、実施例2,3の機能性材料では、煮沸水に60分浸漬後の碁盤目剥離試験の結果が△(1割以下の剥離あり)であるのに対し、実施例1の機能性材料は60分浸漬後の碁盤目剥離試験の結果が○(剥離なし)であり、耐剥離性が最も顕著に改善されている。このことから、プラズマ処理などの放電処理は耐剥離性の改善に最も有効であることがわかる。 【0058】また、プラズマ処理や紫外線処理や電子線処理を行った実施例1〜3の機能性材料はいずれも、表面活性化処理を行っていない比較例の機能性材料と同等の全光線透過率、ヘイズ値、テーバー摩耗後のヘイズ値の増加率を有しており、全光線透過率が93%と高く、ヘイズ値が0.5%と低く、テーバー摩耗後のヘイズ値の増加率が3%と少ない。このことから、プラズマ処理や紫外線処理や電子線処理は透明性の低下を招く恐れのない表面活性化処理であることが分かる。そして、かかる表面活性化処理を行ったポリカーボネート樹脂板の両表面にアクリル系樹脂のプライマー層とシリコーン系樹脂のハードコート層を積層一体化した実施例1〜3の機能性材料は、優れた透明性と耐摩耗性を有し、高速道路の防音板等の用途に極めて好適に使用できることも分かる。 【0059】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の機能性材料は、表面活性化処理された表面張力比が1.4以上である合成樹脂基体の表面の濡れ性が良好で機能性表面層又はプライマー層が密着し、合成樹脂基体の表面に生成された官能基と機能性表面層又はプライマー層が化学的に結合して、合成樹脂基体と機能性表面層又はプライマー層との結合強度(耐剥離強度)が大幅に向上するため、屋外用途に使用されても、機能性表面層が合成樹脂基体から剥離したりプライマー層と共に合成樹脂基体から剥離する心配はほぼ解消されるようになり、長期に亘って表面層が有する諸機能を発揮できるといった効果を奏する。そして、本発明の製造方法は、上記の機能性材料を容易に製造できるといった効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108719 【氏名又は名称】タキロン株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区安土町2丁目3番13号
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| 【出願日】 |
平成14年4月5日(2002.4.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090608 【弁理士】 【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
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| 【公開番号】 |
特開2003−291271(P2003−291271A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【出願番号】 |
特願2002−103922(P2002−103922) |
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