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【発明の名称】 粘着ラベル用ポリエステルフィルムおよび粘着ラベル
【発明者】 【氏名】窪田 有理
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】高田 育
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】三村 尚
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】粘着ラベル用各種印刷層との接着性を満足し得る粘着ラベル用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた粘着ラベルを提供する。

【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂からなる積層膜が形成され、該2種類のポリエステル樹脂が、ガラス転移点が60〜100℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点が0〜60℃未満であるポリエステル樹脂(B)からなり、該ポリエステル樹脂(B)が、酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、または、ジオール成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を含有するものである粘着ラベル用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた粘着ラベル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂からなる積層膜が形成され、該2種類のポリエステル樹脂が、ガラス転移点が60〜100℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点が0〜60℃未満であるポリエステル樹脂(B)からなり、該ポリエステル樹脂(B)が、酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、または、ジオール成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を含有するものであることを特徴とする粘着ラベル用ポリエステルフィルム。
【請求項2】 上記積層膜を構成するガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂中に、1/2<r/d≦4(r:粒子の平均粒径、d:積層膜の平均厚み)を満足する粒子を、合計で0.05〜5重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の粘着ラベル用ポリエステルフィルム。
【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)および(B)における酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分が以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の粘着ラベル用ポリエステルフィルム。
Sa>Sb≧5モル%(Sa:ポリエステル樹脂(A)における全ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量(モル%)、Sb:ポリエステル樹脂(B)における全ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量(モル%))
【請求項4】 ポリエステル樹脂(B)が、酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、および、ジオール成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を少なくとも含有するポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着ラベル用ポリエステルフィルム。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載されている粘着ラベル用ポリエステルフィルムの前記積層膜上の少なくとも一部分に印刷層が設けられ、該印刷層が設けられていない方のフィルム面に粘着剤層が設けられてなることを特徴とする粘着ラベル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着ラベル用ポリエステルフィルムに関し、詳しくは、粘着ラベル用各種印刷層との接着性に優れたポリエステルフィルムに関するものであり、さらに、該ポリエステルフィルムを用いた粘着ラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ラベルは品質表示、品質保証、値札、広告宣伝などの目的で、食品、薬品、エレクトロニクス、医療、情報産業、日用雑貨など多くの用途に使用されている。
【0003】中でも粘着ラベルは、ノーガムラベル、グルーイングラベル、ガムラベル、ビス止めラベル、ヒートシールラベルなどのラベルに比較して、多種の被着体に比較的よく接着し、使用が簡便であるのが特徴であり、その用途は、自動車用、建材用などの粘着レベルの高いラベルや、日用雑貨、事務用品向けの意匠性のある印刷を施した実用的なラベルなどに拡大している。
【0004】一般的な粘着ラベルの基本構成としては、表面基材、粘着剤層、剥離紙をこの順に積層した構成となっている。ここで、必要に応じて表面基材上に印刷が施されることがある。また、剥離紙は、使用前に剥離される。
【0005】表面基材に関しては、一般的に、紙、プラスチックフィルム、布、金属などが使用されるが、中でも、塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどのプラスチックフィルムが広く用いられている。特に、二軸配向ポリエステルフィルムは、他のプラスチックフィルムに比べ、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、透明性、電気的特性および耐薬品性などに優れた性質を有することから、表面基材としての使用が期待されているプラスチックフィルムである。
【0006】しかしながら、一般に、二軸配向ポリエステルフィルムは表面が高度に結晶配向しているため、粘着ラベル用各種印刷層との接着性に乏しいという欠点を有している。このため、従来から、ポリエステルフィルムの表面に種々の方法で印刷層との接着性を与えるための検討がなされてきた。印刷層との接着性を付与する方法としては、基材フィルムであるポリエステルフィルムに、各種の易接着処理、例えば、フィルム表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理またはプラズマ処理などを行なう表面活性化法、酸、アルカリまたはアミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法などが知られている。また、易接着処理以外の方法としては、フィルム表面に接着性を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂またはポリオレフィン樹脂などの各種樹脂をプライマー層として設ける方法などが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した技術では、粘着ラベル用各種印刷層として用いられる紫外線硬化型インキと溶剤型インキの両方との接着性を兼ね備えるという点において、いまだ不十分なものであった。
【0008】かかる状況に鑑み、本発明は、このような欠点を改良し、従来なし得なかった粘着ラベル用各種印刷層との接着性を満足し得る粘着ラベル用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた粘着ラベルを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂からなる積層膜が形成され、該2種類のポリエステル樹脂が、ガラス転移点が60〜100℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点が0〜60℃未満であるポリエステル樹脂(B)からなり、該ポリエステル樹脂(B)が、酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、または、ジオール成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を含有するものであることを特徴とする粘着ラベル用ポリエステルフィルム、およびそれを用いた粘着ラベルである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムの基材フィルムであるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。ここで、好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、エチレン−α,β−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを用いることができる。これらの構成成分は、1種のみを用いても、2種以上併用してもよい。中でも、品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルを用いることが好ましい。また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下の範囲で共重合されていてもよい。
【0011】更に、このポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤および核剤などが、本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
【0012】上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定した)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
【0013】上記ポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであることが好ましい。二軸配向したポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施して、結晶配向が完了したものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。ここで、延伸のタイミングは特に限定されないが、積層膜を設けたあとに二軸延伸、あるいは縦(フィルムの進行方向)延伸後に積層膜を設けさらに横延伸する方法が好ましく用いられる。
【0014】本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、本発明のフィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜300μm、特に好ましくは30〜210μmである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
【0015】本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムの基材フィルムとして白色ポリエステルフィルムを好適に用いることもできる。この白色ポリエステルフィルムは、白色に着色されたポリエステルフィルムであれば特に限定されるものではないが、白色度は65〜150%が好ましく、より好ましくは80〜120%である。また、光学濃度は100μm換算で、0.5〜5が好ましく、より好ましくは1〜3である。光学濃度が小さい基材フィルムを使用した場合は、隠蔽性が低下し、白色度が小さい場合は、フィルムが汚れて見えることがある。
【0016】このような白色度と光学濃度を得る方法は特に限定されないが、たとえば無機粒子あるいはポリエステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができる。ここで、添加量は特に限定されないが、無機粒子の場合、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは8〜25重量%である。また、ポリエステルと非相溶の樹脂を添加する場合は、好ましくは3〜35重量%、より好ましくは6〜25重量%である。
【0017】該無機粒子の粒径は特に限定されないが、好ましくは平均粒径0.1〜4μm、より好ましくは0.3〜1.5μmのものが用いられる。具体的には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、タルク、クレーなどあるいはこれらの混合物を使用でき、これらの無機粒子は他の無機化合物、例えば、リン酸カルシウム、酸化チタン、雲母、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムなどと併用してもよい。
【0018】上述のポリエステルと非相溶の樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートをポリエステルとして使用する場合についていえば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性オレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリフェニレンオキシドなどの1種以上を用いることができる。もちろん、非相溶の樹脂と上述した無機粒子と併用してもよい。例えば、ポリエステルに無機粒子とポリエステルと非相溶の樹脂の両方を混合して2軸延伸し、内部に空洞を有した比重が0.5〜1.3の白色ポリエステルフィルムは、基材フィルム自体が軽量化できる、印刷特性が向上するなどの長所を有しており、より好ましい。
【0019】また、上記した白色ポリエステルフィルムは、他の色に着色されたフィルムあるいは透明なフィルムを積層させた2層以上の積層体とし、これを基材フィルムとして使用してもよい。
【0020】本発明において、積層膜とは、基材となるポリエステルフィルムの表面に積層構造的に形成されて存在する膜状のものをいう。該積層膜は、単一層であっても複数層からなるものであってもよい。
【0021】本発明における積層膜には、ガラス転移点(以降、Tgと略称する)の異なる2種類のポリエステル樹脂を用いるが、2種類のポリエステル樹脂でTgが異なり、かつ、ポリエステル樹脂(A)のTgが60〜100℃であり、ポリエステル樹脂(B)のTgが0〜60℃未満であることを満足する必要がある。ポリエステル樹脂(A)のTgは、耐ブロッキング性の点で、好ましくは70〜90℃であり、また、ポリエステル樹脂(B)のTgは、各種印刷層との接着性の点で、好ましくは10〜45℃である。
【0022】さらに、該ポリエステル樹脂(B)は、酸成分としてイソフタル酸を65〜95モル%、または、ジオール成分としてジエチレングリコールを50〜95モル%含有する必要がある。イソフタル酸およびジエチレングリコール以外の成分は特に限定されず、例えば後述する成分等を使用することができる。Tgを上記の範囲とし、主成分を規定することにより、従来なし得なかった粘着ラベル用各種印刷層との優れた接着性を得ることができた。イソフタル酸、または、ジエチレングリコールの量が少なすぎると、特に紫外線硬化型インキのように硬化収縮を伴うインキとの接着性が低下するため好ましくない。イソフタル酸のさらに好ましい範囲としては70〜95モル%、ジエチレングリコールのさらに好ましい範囲としては60〜90モル%である。
【0023】イソフタル酸が全ジカルボン酸成分中65〜95モル%を満たすときには、ジエチレングリコールの好ましい範囲は40〜95モル%、さらに好ましい範囲は50〜95モル%であり、一方、ジエチレングリコールが全ジオール成分中50〜95モル%を満たすときには、イソフタル酸の好ましい範囲は45〜95モル%、さらに好ましい範囲は50〜90モル%である。イソフタル酸成分量が少なすぎたりジエチレングリコール成分量が少なすぎたりすると、特に紫外線硬化型インキのように硬化収縮を伴うインキとの接着性が低下する場合がある。
【0024】さらに本発明の積層膜で用いられるポリエステル樹脂(B)において、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を全ジカルボン酸成分中65〜95モル%、および、ジオール成分としてジエチレングリコールを全ジオール成分中50〜95モル%を同時に満たすことが、より好ましい。
【0025】本発明における積層膜を形成するガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂(A)および(B)には、スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分が含有され、その含有量は下記の関係を満たすことが好ましい。
Sa>Sb≧5モル%(Sa:ポリエステル樹脂(A)における全ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量(モル%)、Sb:ポリエステル樹脂(B)における全ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量(モル%))
ここで、Sbは、好ましくは、7モル%以上、より好ましくは、7〜9モル%である。SaまたはSbが5モル%未満になると、紫外線硬化型インキのように硬化収縮を伴うインキとの接着性が低下する場合がある。Sa>Sb≧5モル%の関係を満たすことにより、相反する効果である各種被覆物との接着性と耐ブロッキング性をより一層両立させることができる。
【0026】ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)は、任意の比率で混合して用いることができるが、ポリエステル樹脂(A)/ポリエステル樹脂(B)の比率が、固形分重量比で、10/90〜90/10であることが接着性の点で好ましく、より好ましくは30/70〜80/20、さらに好ましくは40/60〜70/30である。ポリエステル樹脂(A)が少なすぎると耐ブロッキング性が低下したり、ポリエステル樹脂(B)が少なすぎると特に紫外線硬化型インキのように硬化収縮を伴うインキとの接着性が低下する場合がある。
【0027】本発明に使用する積層膜は、前記したTgの異なる2種類のポリエステル樹脂を主たる構成成分としてなるものであり、本発明において主成分とは、上記2種類の合計が積層膜中において70重量%以上を占めることをいい、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
【0028】本発明に係る積層膜の構成成分であるポリエステル樹脂(A)および(B)は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するものであり、このようなポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから重縮合して得られるものである。
【0029】ここで、該ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。また、脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0030】また、ポリエステル樹脂(A)または(B)の原料として用いられるジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、ビスフェノールAなどを用いることができる。
【0031】また、ポリエステル樹脂(A)または(B)を水系樹脂とした塗液を用いて積層膜を形成する場合、ポリエステルフィルムとの接着性を向上させるため、あるいはポリエステル樹脂(A),(B)の水溶性化を容易にするため、ポリエステル樹脂(A),(B)は、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合したものであることが好ましい。
【0032】ここで、スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】また、カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸等あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)または(B)として、変性ポリエステル共重合体、例えばアクリル、ウレタン、エポキシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等を用いることも可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の樹脂、例えば本発明に用いられるポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが配合されていてもよい。更に、本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0035】本発明に係る積層膜に用いられるポリエステル樹脂は、公知の製造法によって製造することができる。例えば、酸成分とジオール成分とを直接エステル化反応させる方法、または、エステル交換反応させる第一段階とこの第一段階の反応生成物を重縮合反応させる方法等により製造することができる。この際、反応触媒(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物など)を用いることが一般的である。
【0036】本発明に使用する積層膜の厚みは、0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜2μm、特に好ましくは0.05μm〜0.5μmである。積層膜の厚みが薄すぎると接着性不良となったり、厚すぎると易滑性や耐ブロッキング性が低下する場合がある。
【0037】本発明における積層膜を構成するガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂中に、有機または無機の粒子を添加することで、易滑性や耐ブロッキング性を向上させることができる。該有機粒子としては、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが、該無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどが好ましく用いられる。これらの有機粒子および無機粒子は、平均粒径が0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.04〜3μm、さらに好ましくは0.08〜1μmである。
【0038】また、これらの粒子は、1/2<r/d≦4(ここで、rは、粒子の平均粒径(μm)、dは積層膜の平均厚み(μm)である)を満足するものを使用することが好ましい。この範囲を満足する粒子を選択することで、効果的に易滑性や耐ブロッキング性を付与することができる。r/dのさらに好ましい範囲は1≦r/d≦4である。
【0039】積層膜中のポリエステル樹脂中に含まれる粒子の混合量は、合計で0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。該粒子の粒子径が大きすぎたり混合量が多すぎると、積層膜の耐削れ性などが低下する場合がある。
【0040】本発明における積層膜の形成方法は特に限定されないが、本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムを製造する際、基材であるポリエステルフィルムの製造工程中に積層膜形成成分を塗布し、基材フィルムと共に延伸する方法が好ましく用いられる。
【0041】例えば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に積層膜形成成分を含む塗液を塗布する。続いて、塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥し、幅方向に2.5〜5倍程度延伸する。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導き結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)などによって積層膜を積層した本発明のフィルムを得ることができる。積層膜形成成分を含む塗布液は、環境汚染や防爆性の点で水系のものが好ましい。
【0042】ここで、基材フィルム上への積層膜形成成分を含む塗布液の塗布方法としては、各種の塗布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0043】本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムは、積層膜上の少なくとも一部分に印刷層が設けられ、また、印刷層が設けられていない方のフィルム面に粘着剤層が設けられて粘着ラベルとして好適に用いられる。
【0044】該印刷層としては、表示機能を有するものであれば特に限定されない。また、該印刷層を印刷する方法は特に限定されないが、たとえばオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの方法を用いることができる。また、用いられる印刷用インキも印刷方式に応じて適宜選択され、たとえば紫外線硬化型インキ、電子線硬化型インキ、酸化重合型インキ、溶剤型インキ(フレキソインキ、スクリーンインキなど)、水性インキ(フレキソインキなど)などを用いることができる。
【0045】印刷層が設けられていない方のフィルム面に設けられる粘着剤層は、基材フィルムに直接形成しても良いし、基材フィルムの両面に積層膜が形成されている場合は、積層膜上に形成される。粘着剤層の接着性からは、後者の方法が好ましく用いられる。粘着剤層に使用する材料としては、粘着特性を有するものであれば特に限定されず、材料の分類としては、ゴム系、アクリル系、ビニル系、シリコーン系などに分類される。中でも、粘着ラベル用としてはゴム系粘着剤とアクリル系粘着剤が好適に用いられる。
【0046】ゴム系粘着剤は、一般的には、ゴムエラストマー、軟化剤、粘着付与剤を主成分とし、必要に応じて充填剤、老化防止剤を添加したものである。ゴムエラストマーとしては、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ブタジエン、スチレンーイソプレンブロック共重合体、スチレンーブタジエンブロック共重合体、再生ゴムなどを用いることができる。ここで、粘着付与剤としては、ロジンおよびロジン誘導体、ガムロジン、テルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などを用いることができ、さらに粘着剤の被着体に対する濡れ性を付与するために、ポリブテン、液状ゴム、フタル酸系可塑剤、鉱油などの添加が好ましい。また、軟化剤としては、ミネラルオイル、液状ポリブテン、液状ポリアクリレート、ラノリンなどを用いることができる。必要に応じて添加される充填剤としては、酸化亜鉛、水和アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレイ、顔料などが挙げられ、老化防止剤としては、ゴム用老化防止剤、ジチオカルバメート、あるいは金属キレートなどを用いることができる。
【0047】アクリル系粘着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルを主成分とし、凝集力を調整するモノマー、例えば、酢酸ビニル、エチレンーアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸アルキルエステルなどと共重合させたものが好ましく用いられる。アクリル系粘着剤に添加できる添加剤としては、上述のゴム系粘着剤に用いられる粘着付与剤、軟化剤、充填剤などである。また、アクリル系粘着剤の場合、耐熱性、耐油性を向上させるために、カルボン酸、水酸基、酸アミドなどを含有する官能性モノマーを導入し、架橋タイプとすることも可能である。架橋を行うための架橋剤としては、ジイソシアネート、メラミンなどを用いることができる。
【0048】シリコーン系粘着剤としては、ゴム状シロキサンと樹脂状シロキサンの重合物を混合したものを主成分とした粘着剤が好ましく用いられる。シリコーン系粘着剤は、接着しにくいフッ素系ポリマーやシリコーンラバーにも接着可能であるという特徴を有している。
【0049】また、ビニル系粘着剤としては、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテルなどを主成分とした粘着剤が好ましく用いられる。
【0050】粘着剤の塗工方法は特に限定されないが、ドクターコーター、コンマーコーター、キスロールコーター、リバースロールコーターなどを用いることができる。また、剥離紙の貼り合わせ方法としては、表面基材に直接に粘着剤を塗工し、剥離紙と張り合わせる直接法と、剥離紙のシリコーン塗布面に粘着剤を塗工して表面基材と張り合わせる間接法などを用いることができる。
【0051】次に、本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート、(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作製する。この未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸する。続いて、このフィルムの少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、積層膜形成塗液を塗布する。この場合に用いられる塗液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。さらに続いて、この塗布されたフィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
【0053】なお、基材フィルム中にも、積層膜を構成するポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成物から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接着性が向上し、粘着ラベル用ポリエステルフィルムの易滑性が向上するなどの効果があるため好ましい。ここで、ポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成物を基材フィルム中に含有させる場合には、1種であれ複数種であれ、その添加量の合計が5ppm以上20重量%未満であるのが、接着性、易滑性の点で好ましい。
【0054】ポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成物は、基材フィルム上に設ける積層膜形成組成物であってもよい。また、ポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成物は、本発明の積層膜を形成したポリエステルフィルムの再生ペレットなどを含むものであってもよい。さらに詳細には、基材フィルム中に含有され得るポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成物は、再生材料として、上記の粘着ラベル用ポリエステルフィルム、あるいは、粘着ラベル用ポリエステルフィルムから生じる屑フィルムを粉砕した粉砕物を溶融押出したペレットとして得ることができる。該再生材料は、前述のポリエステルフィルムを構成するポリエステルと混合して用いることができる。本発明の粘着ラベル用ポリエステルフィルムは、再生材料として使用されるペレットの割合が50重量%以下であることが好ましく、さらには40重量%以下が好ましい。該再生材料の含有量が多すぎると、積層ポリエステルフィルムが着色する場合がある。
【0055】上記のようにして得られた粘着ラベル用ポリエステルフィルムの積層膜上の少なくとも一部分に公知の方法で印刷層を設け、反対側の面に公知の方法で粘着剤層を設けることで、本発明の粘着ラベルを製造することができる。
【0056】本発明の粘着ラベルは、印刷インキの適用性が広がったことで、表示がより鮮やかとなり、食品、薬品、エレクトロニクス、医療、情報産業、日用雑貨用のラベルとして好適に使用することができる。
【0057】[特性の測定方法および効果の評価方法]本発明における特性の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
【0058】(1)ガラス転移点(Tg)
ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220(セイコー電子工業(株)製)にSSC5200ディスクステーション(セイコー電子工業(株)製)を接続して測定した。試料10mgをアルミニウムパンに調整後、DSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパン)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素中を用いて急冷処理した。この試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートからガラス転移点(Tg)を測定した。
【0059】(2)積層膜の厚み透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、粘着ラベル用ポリエステルフィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30点の平均値とした。
【0060】(3)粒子の平均粒径積層膜の表面を、走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて、拡大倍率10000倍で観察したときの、粒子50個の粒子径の平均値を平均粒径とした。
【0061】(4)接着性−1紫外線硬化型インキとしてUVエーススーパー墨(久保井インキ製造(株)製)を用い、ロールコート法で積層膜上に約1.5μm厚みに塗布した。その後、照射強度80W/cmの紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとインキ面の距離)12cmで5秒間照射して、印刷層を形成した。23℃、65%RHにて1日間調湿後、印刷層に1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、ゴムローラーを用いて押し付けた(荷重20Nで3往復)後、90度方向に剥離した。
【0062】接着性は、印刷層の残存した個数により評価した。判定基準は、◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49であり、◎と○を接着性良好とした。
【0063】(5)接着性−2溶剤型インキとしてテトロン990黒(十条ケミカル(株)製)をテトロン標準溶剤で希釈し、乾燥後の厚みが約8μmとなるようにし、60℃で乾燥して積層膜上に印刷層を形成した。23℃、65%RHにて1日間調湿後、印刷層上に、1mm2 のクロスカットを100個入れ、セロハンテープを張り付けてゴムローラーを用いて押しつけた(荷重20Nで3往復)後、90度方向に剥離した。接着性は、印刷層の残存した個数により評価した。
【0064】判定基準は、○:80〜100、△:50〜79、×:0〜49であり、○のみを接着性良好とした。
【0065】(6)耐ブロッキング性上記(4)の方法で形成した印刷層とポリエステルフィルム“ルミラー”T60(東レ(株)製)を重ね合わせ、荷重(500g/(3×4)cm2 )下、40℃、90%RHで24時間調湿し、荷重を加えた箇所の剥離状態を観察した。
【0066】評価基準は、◎:容易に剥離し重ね合わせた跡が残らない。○:容易に剥離するが重ね合わせた跡が一部に残る。△:剥離できるが重ね合わせた跡が残る。×:剥離するときフィルムが劈開するであり、◎、○、△を合格とした。
【0067】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】(実施例1)平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%、および平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめ未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを85℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、25℃の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に100℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。このとき、基材PETフィルム厚みは50μm、積層膜の厚みは0.08μmであった。
【0069】ここで用いた積層膜形成塗液は、A1/B1=60/40(固形分重量比)で構成される水分散液であった。A1とB1の組成については、後述する。評価結果を表1に示す。
【0070】(実施例2)実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B2=60/40(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0071】(実施例3)実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B2=30/70(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0072】(実施例4)実施例1の積層膜形成塗液で、A2/B2=60/40(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0073】(実施例5)平均粒径0.2μmの二酸化チタンを14重量%、および平均粒径1μmのシリカを0.5重量%含有するPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめ未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを85℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に実施例1と同様の積層膜形成塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、95℃で乾燥後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸し、更に210℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了した積層膜を設けた基材フィルムが白色の粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。このとき、基材白色PETフィルムの厚みは50μm、光学濃度1.5、白色度85%、積層膜の厚みは0.08μmであった。
【0074】ここで用いた積層膜形成塗液は、A1/B1=60/40(固形分重量比)で構成される水分散液であった。結果を表1に示す。
【0075】実施例1〜5のフィルムは、いずれも接着性、耐ブロッキング性に優れたフィルムであった。
【0076】(比較例1)実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B3=60/40(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル樹脂(B)の酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%を含有せず、ジオール成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を含有しない樹脂B3を使用した本比較例は、接着性に劣っていた。
【0077】(比較例2)実施例1の積層膜形成塗液で、B1/B2=60/40(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。Tgが低い樹脂のみを2種類使用した本比較例は、耐ブロッキング性に劣っていた。
【0078】(比較例3)実施例1の積層膜形成塗液で、A1のみ使用とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。Tgが高い樹脂のみを使用した本比較例は、接着性に劣っていた。
【0079】(比較例4)実施例1の積層膜形成塗液で、B1のみ使用とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。Tgが低い樹脂のみを使用した本比較例は、耐ブロッキング性に劣っていた。
【0080】(実施例6)実施例1の積層膜形成塗液で、A3/B4=50/50(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0081】(実施例7)実施例1の積層膜形成塗液で、A3/B5=50/50(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0082】ここで、実施例、比較例において、積層膜形成のために用いた樹脂は、以下の通りである。
【0083】A1:テレフタル酸(88モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(12モル%)、エチレングリコール(95モル%)、ジエチレングリコール(5モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg80℃)の水分散液。
【0084】A2:テレフタル酸(99モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(1モル%)、エチレングリコール(70モル%)、ネオペンチルグリコール(30モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg66℃)の水分散液。
【0085】A3:テレフタル酸(85モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(15モル%)、エチレングリコール(97モル%)、ジエチレングリコール(3モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg78℃)の水分散体。
【0086】B1:イソフタル酸(93モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(7モル%)、エチレングリコール(10モル%)、ジエチレングリコール(90モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg18℃)の水分散液。
【0087】B2:イソフタル酸(91モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(9モル%)、エチレングリコール(5モル%)、ジエチレングリコール(80モル%)、シクロヘキサンジメタノール(15モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg38℃)の水分散液。
【0088】B3:テレフタル酸(85モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(15モル%)、エチレングリコール(75モル%)、ジエチレングリコール(20モル%)、ポリエチレングリコール(分子量1000)(5モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg45℃)の水分散液。
【0089】B4:イソフタル酸(91モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(9モル%)、エチレングリコール(5モル%)、ジエチレングリコール(40モル%)、シクロヘキサンジメタノール(55モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg45℃)の水分散体。
【0090】B5:テレフタル酸(45モル%)、イソフタル酸(45モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(10モル%)、エチレングリコール(3モル%)、ジエチレングリコール(80モル%)、シクロヘキサンジメタノール(17モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg47℃)の水分散体。
【0091】
【表1】

(実施例8)実施例1の積層膜形成塗液に、コロイダルシリカ(粒子径0.3μm)を0.3重量%添加した以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。このときの接着性は実施例1の結果と同じであり、優れたものであった。また、耐ブロッキング性は、表2に示したとおり極めて優れていた。
【0092】(実施例9)実施例1の積層膜形成塗液に、コロイダルシリカ(粒子径0.08μm)を3重量%添加した以外は、実施例1と同様にして粘着ラベル用ポリエステルフィルムを得た。このときの接着性は実施例1の結果と同じであり、優れたものであった。また、耐ブロッキング性は、表2に示したとおり極めて優れていた。
【0093】
【表2】

(実施例10)実施例1で得られた粘着ラベル用ポリエステルフィルムの積層膜を設けていない方の面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる粘着剤をリバースロールコート法によって塗布、乾燥し、5μmの粘着剤層を設けた。この後、熱硬化型シリコーンを塗布したポリエチレンをラミネートした紙を離型紙としてドライラミネートした。
【0094】さらに、粘着剤層を設けていない方の面である積層膜上に、紫外線硬化型インキ(UVエーススーパー墨(久保井インキ製造(株)製))を用い、[特性の測定方法および効果の評価方法]の(4)に記載した方法と同様にして印刷層を設け、表示機能を有する粘着ラベルを得た。得られた粘着ラベルは、接着性および耐ブロッキング性に優れ、かつ外観の良好なものであった。
【0095】(実施例11)実施例10において、印刷層として溶剤型インキ(テトロン990黒(十条ケミカル(株)製))を用い、[特性の測定方法および効果の評価方法]の(5)に記載した方法と同様にして印刷層を設けた以外は、同様にして粘着ラベルを得た。
【0096】得られた粘着ラベルは、接着性および耐ブロッキング性に優れ、かつ外観の良好なものであった。
【0097】(実施例12)実施例8で得られた粘着ラベル用ポリエステルフィルムにおいて、実施例10と同様に粘着剤層と印刷層を設け、粘着ラベルを得た。得られた粘着ラベルは、接着性および耐ブロッキング性に優れ、かつ外観の良好なものであった。
【0098】(実施例13)実施例12において、印刷層として溶剤型インキ(テトロン990黒(十条ケミカル(株)製))を用い、[特性の測定方法および効果の評価方法]の(5)に記載した方法と同様にして印刷層を設けた以外は、同様にして粘着ラベルを得た。得られた粘着ラベルは、接着性および耐ブロッキング性に優れ、かつ外観の良好なものであった。
【0099】
【発明の効果】本発明により、各種印刷層と接着性の良い粘着ラベル用ポリエステルフィルムが提供できる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−112397(P2003−112397A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2002−186510(P2002−186510)