トップ :: B 処理操作 運輸 :: B32 積層体

【発明の名称】 包装体
【発明者】 【氏名】坂田 進
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】斎藤 有博
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】藤田 真夫
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【要約】 【課題】揮散性物質の吸着が少なく、かつ、ヒートシール性の良好な揮散性物質を封入するための包装体を提供することを目的とする。

【解決手段】揮散性物質を封入するための包装体において、上記包装体が少なくとも2層の積層構造を有し、上記包装体の外表面に配される積層構造の外層が上記揮散性物質に対してガスバリア性を有し、上記包装体の内表面に配される積層構造の内層が低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1つから構成され、上記積層構造を構成する各層を厚さ0.5μm以下のアンカーコート層を介して又は直接接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 揮散性物質を封入するための包装体において、上記包装体は少なくとも2層の積層構造を有し、上記包装体の外表面に配される積層構造の外層は、上記揮散性物質に対してガスバリア性を有し、上記包装体の内表面に配される積層構造の内層は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1つから構成され、上記積層構造を構成する各層は、厚さ0.5μm以下のアンカーコート層を介して又は直接接合されたことを特徴とする包装体。
【請求項2】 上記の外層と内層の間に少なくとも低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる中間層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】 上記揮散性物質がピレスロイド系化合物である請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】 上記ピレスロイド系化合物がエンペスリンであり、このエンペンスリンの吸着量が0.70g/m2以下である請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、揮散性物質、特にエンペンスリン等のピレスロイド系化合物を封入するための包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、防虫剤等の常温揮散性物質を含浸させた含浸体を包む包装体は、ガス透過性を所定の速度に調整した内装袋中に含浸体を入れ、この内装袋をガスバリア性フィルムからなる外装袋に封入してなるものや、上記含浸体をそのまま上記外装袋に封入してなるものがあげられる。使用時には、通常、外装袋を開封して内装袋又は含浸体が取り出される。
【0003】上記の外装袋は、開封時まで、その内部に封入した揮散性物質が外部に揮散しないものが好ましい。このため、外装袋としては、揮散性物質を全く通さない材料からなることが望ましく、さらに商品価値を高める意味で印刷の容易な材料であることが望ましい。また、袋を形成することから、外装袋の内表面は、ヒートシール可能な材料であることが望ましい。
【0004】従来知られている外装袋は、保管中、内部の揮散性物質のガスが充満し、経時的に外装袋に吸着してしまい、揮散性物質の有効量が減少する問題点を有している。
【0005】この問題点に対し、特開平11−170445号公報には、外装袋の内表面にエチレン−ビニルアルコール樹脂やポリアクリロニトリル等のガス不透過性樹脂を用いて、揮散性物質の吸着を防止する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のエチレン−ビニルアルコール樹脂やポリアクリロニトリル等のガス不透過性樹脂は、ヒートシール性に劣るため、ピロー包装充填機等の高速充填用には不向きであるという欠点を有し、また高価である。
【0007】そこで、この発明は、揮散性物質の吸着が少なく、かつ、ヒートシール性の良好な揮散性物質を封入するための包装体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、揮散性物質を封入するための包装体において、上記包装体は少なくとも2層の積層構造を有し、上記包装体の外表面に配される積層構造の外層が、上記揮散性物質に対してガスバリア性を有し、上記包装体の内表面に配される積層構造の内層が低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1つから構成され、上記積層構造を構成する各層を、厚さ0.5μm以下のアンカーコート層を介して又は直接接合することにより、上記の課題を解決したのである。
【0009】上記の包装体を構成する積層構造の各層は、互いに接着剤層を介して接合されていないので、揮散性薬剤がこの接着剤層によって吸着されるのを防止でき、揮散性薬剤の吸着を少なくすることができる。また、包装体の内表面に配される積層構造の内層として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1つを用いるので、良好なヒートシール性を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下において、この発明について詳細に説明する。この発明にかかる包装体は、揮散性物質を封入するためのものであり、この包装体は、少なくとも2層の積層構造を有する。
【0011】上記包装体の外表面に配される積層構造の一方の表層(以下、「外層」と称する。)は、上記揮散性物質に対してガスバリア性を有する層である。これにより上記包装体中の揮散性物質が包装体外に揮散するのを防止することができる。この外層は、上記揮散性物質の吸着量の少ない材質から構成されるのがよい。また、この外層は、後述するように、隣接する層とアンカーコート層を介して又は直接接合される、すなわち、接着剤層を介して接合されないので、アンカーコート層を介して又は直接接合可能な材質を用いるのがよい。
【0012】このような材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮合物等のアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル重合体、アルミニウム等のガスバリア性材料等があげられる。また、上記のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル重合体、アルミニウム、無機化合物等のガスバリア性材料を積層させたものもあげられる。
【0013】上記包装体の内表面に配される積層構造の一方の表層(以下、「内層」と称する。)は、ヒートシール性がよく、かつ、上記揮散性物質の吸着量の少ない材質から構成されるものがよい。また、この内層は、後述するように、隣接する層とアンカーコート層を介して又は直接接合される、すなわち、接着剤層を介して接合されないので、アンカーコート層を介して又は直接接合可能な材質を用いるのがよい。
【0014】このような材質としては、低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」と略する。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」と略する。)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略する。)等があげられる。
【0015】さらに、上記の外層と内層の間に、少なくとも1層の中間層を設けることが好ましい。この中間層は、上記揮散性物質の吸着量の少ない材質から構成されるのがよい。また、この中間層は、後述するように、隣接する層とアンカーコート層を介して又は直接接合される、すなわち、接着剤層を介して接合されないので、アンカーコート層を介して又は直接接合可能な材質を用いるのがよい。このような材質としては、LDPE、LLDPE等があげられる。
【0016】上記包装体の積層構造を構成する各層は、いずれも、接着剤層で隣接する互いの層を接合しておらず、上記積層構造の各層は、隣接する層とアンカーコート層を介して接合されるか、又は直接、接合される。接着剤層を用いると、上記揮散性物質が接着剤層に多量に吸着されるので、好ましくないからである。上記アンカーコート層を構成する材質の例としては、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系、ポリウレタン系等があげられる。
【0017】また、上記アンカーコート層の厚みは、0.5μm以下がよく、0.4μm以下が好ましい。0.5μmを超える厚みを有すると、揮散性物質の吸着量が多くなり、好ましくない。一方、厚みの下限は、0.05μmがよく、0.1μmが好ましい。厚みの下限が0.05μmより薄いと、接着強度が小さくなる恐れがあり、好ましくない。
【0018】上記包装体の積層構造は、任意の方法で形成することができる。例えば、複数の原料樹脂をそれぞれ別個に溶融させ、これをタンデム押出し、又は共押出し等による方法で積層構造を形成することができる。また、別々にフィルムを形成し、1つのフィルムの片面にアンカーコート剤を塗布し、この面と他のフィルムを合わせて接合する方法で積層構造を形成することができる。さらに、上記の共押出しする方法で得られた積層体と、同様の方法で得られた別の積層体又は単層のフィルムとを、上記のアンカーコート剤を用いて積層構造を形成してもよい。
【0019】この発明にかかる包装体は少なくとも2層構造を有するが、層の数は、外層、内層の2層に限られず、3層以上、すなわち、外層と内層の間に1つ以上の層があってもよい。この場合、外層と内層の間の層の内、少なくとも1層は上記中間層であることが好ましく、また、それ以外の層は、この発明の目的を害さない層、すなわち、上記揮散性物質の吸着量が少なく、隣接する層とアンカーコート層を介して又は直接接合される層であれば、特に限定されない。
【0020】上記包装体に封入される揮散性物質は、常温又は加温した状態で気化することのできるものである。このような揮散性物質の例としては、エンペンスリン、アレスリン、レスメトリン、フラメトリン等のピレスロイド系化合物、DDVP、スミチオン等の有機リン系化合物、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フマル酸ジエチル、N,N−ジエチル−m−トルアミド等の防虫・忌避剤、安息香酸エチル、サフロール、インサフロール、オイゲノール、シトロネロール、アネトール、1−カルボン酸等の防虫性香料、シトラール、シトロネラール、ネロール、ゲラニオール、酢酸リナシル、アセトフェノン、テレピネオール、メントン、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸イソアミル、ユーカリブトール等の香料等、ケイ皮アルデヒド、ベンズアルデヒド等の防虫・防カビ剤等があげられる。
【0021】上記揮散性物質としてピレスロイド系化合物、特にエンペンスリンを用いる場合、上記の包装体の吸着量は、0.70g/m2以下がよく、0.60g/m2以下が好ましい。0.70g/m2より多いと、有効に利用されないエンペンスリン量が多くなり、効率的でない。
【0022】上記吸着量は、次の方法で測定される。すなわち、エンペンスリン40mgを綿製不織布(2×5cm、150mg)にコーティングして防虫剤シートを作製する。また、収納部の面の有効面積が8×8cmである測定対象の包装体を準備する。そして、この包装体に上記防虫剤シートを入れ、ヒートシールして3方シール袋の形で密封する。次いで、これをアルミパックに密封し、40℃で保管する。30日間保管後、1,4−ジオキサンで包装材に吸着したエンペンスリンを抽出し、ガスクロマトグラフィーで定量して、包装体へのエンペンスリンの吸着量(g/m2)を算出する。このとき、サンプル数は少なくとも3点とし、平均の値をその包装体の吸着量とする。
【0023】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげてこの発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)外層としてPVAでコートされたOPPフィルム(ダイセル化学工業(株)製;XOP、厚み23μm)を用いた。中間層としてLDPE樹脂(日本ポリケム(株)製;LC600A)、内層としてLLDPE樹脂(住友化学工業(株)製;スミカセンHiαCW8003)を用い、タンデム押出しラミネートを行った。このとき、外層と中間層の間には、アンカーコート処理(ポリウレタン系アンカーコート剤、大日精化工業(株)セイカダイン2710A/2710B)を行った。また、中間層の押出し温度を340℃、内層の押出し温度を280℃とした。得られた積層体を40℃で24時間エージングを行った。得られた包装体用積層体の中間層の厚みは15μm、内層の厚みは20μm、外層と中間層との間のアンカーコート層の厚みは0.3μmであった。得られた包装体用積層体を内層同士が対向するように折り曲げ、2辺をヒートシールした。この包装体にエンペンスリン40mgを綿製不織布にコーティングして作製した上記防虫剤シートを入れ、もう1辺をヒートシールして3方シール袋の形で密封した。この作製工程において、収納部の面の有効面積が8×8cmとなるようにした。次いで、これをアルミパックに密封し、40℃で保管した。所定期間保管後、1,4−ジオキサンで包装材に吸着したエンペンスリンを抽出し、ガスクロマトグラフィーで定量して、包装体へのエンペンスリンの吸着量を算出した。その結果を表1に示す。
【0024】(実施例2)内層にLLDPE樹脂からなるフィルム(タマポリ(株)製;UB−1、厚み30μm)を用いて押出しラミネートを行った以外は実施例1と同様にして包装体用積層体を製造した。得られた包装体用積層体の中間層の厚みは15μm、内層の厚みは30μm、外層と中間層との間のアンカーコート層の厚みは0.3μmであった。これを用いて実施例1と同様にして3方シール袋を作製し、エンペンスリンの吸着量を測定・算出した。その結果を表1に示す。
【0025】(実施例3)外層としてPVAでコートされたOPPフィルム(ダイセル化学工業(株)製;XOP、厚み23μm)を用いた。内層としてLDPE樹脂(日本ポリケム(株)製;LC600A)を用い、押出しラミネートを行った。このとき、内層の押出し温度を340℃とし、外層と内層の間には、アンカーコート処理(ポリウレタン系アンカーコート剤、大日精化工業(株)セイカダイン2710A/2710B)を行った。得られた包装用積層体を40℃で24時間エージングを行った。得られた包装体用積層体の内層の厚みは25μm、外層と内層との間のアンカーコート層の厚みは0.3μmであった。これを用いて実施例1と同様にして3方シール袋を作製し、エンペンスリンの吸着量を測定・算出した。その結果を表1に示す。
【0026】(比較例1)外層としてPVAでコートされたOPPフィルム(ダイセル化学工業(株)製;XOP、厚み23μm)を用いた。また、内層としてLLDPE樹脂からなるフィルム(タマポリ(株)製;UB−1、厚さ30μm)を用いた。内層と外層の間に2液反応型ポリウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製;タケラックA−969V/タケネートA−5)を塗布してドライラミネートを行い、得られた積層体を40℃で24時間エージングして比較積層体を製造した。このとき、外層と内層との間に、厚さ3μmの中間層たる接着剤層が形成された。得られた比較積層体を用いて実施例1と同様にして3方シール袋を作製し、エンペンスリンの吸着量を測定・算出した。その結果を表1に示す。
【0027】(比較例2)内層としてエチレン−酢酸ビニル樹脂からなるフィルム(タマポリ(株)製;SB−5、厚み30μm)を用い、また、接着剤として、2液反応型ポリウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製;タケラックA−616/タケネートA−65)を用いた以外は比較例1と同様にして比較積層体(中間層の厚み;2μm)を製造し、これを用いて実施例1と同様にして3方シール袋を作製し、エンペンスリンの吸着量を測定・算出した。その結果を表1に示す。
【0028】(比較例3)内層としてエチレン−酢酸ビニル樹脂(東ソー(株)製;ウルトラセンUE537、酢酸ビニル含有量6%)を用い、内層の押出し温度を240℃とした以外は実施例1と同様にして比較積層体を製造した。得られた比較積層体の中間層の厚みが15μm、内層の厚みが20μm、外層と中間層との間のアンカーコート層の厚みが0.3μmであった。これを用いて実施例1と同様にして3方シール袋を作製し、エンペンスリンの吸着量を測定・算出した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】(結果)実施例1〜3から明らかなように、この発明にかかる包装体は、エンペンスリンの吸着量が少なく、また、ヒートシール性に優れていた。
【0031】
【発明の効果】この発明にかかる包装体を構成する積層構造の各層は、互いに接着剤層を介して接合されていないので、揮散性薬剤がこの接着剤層によって吸着されるのを防止でき、揮散性薬剤の吸着を少なくすることができる。また、包装体の内表面に配される積層構造の内層として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンの少なくとも1つを用いるので、良好なヒートシール性を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市福島区大開4丁目1番186号
【出願日】 平成13年10月3日(2001.10.3)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−112396(P2003−112396A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−307133(P2001−307133)