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【発明の名称】 包装フィルム及びシュリンク包装体
【発明者】 【氏名】浜田 和宏

【氏名】中西 大

【氏名】佐伯 修

【氏名】松本 徹

【氏名】木山 成満

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シュリンク包装体に用いる包装フィルムであり、該包装フィルムがエチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂を主成分とする3層以上からなり、下記(a)〜(d)の特性を持つフィルムであることを特徴とする包装フィルム。
(a)ASTM D1204で測定した90℃での熱風収縮率が縦及び横方向共に20%以上(b)ASTM D2838で測定した100℃での最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5〜2.5MPaであり、かつ平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5〜1.5MPa(c)JIS Z1707で測定した時の30%伸張時の横方向の引っ張り応力が10〜22MPa(d)JIS K7105で測定した100℃で0〜30%収縮後の曇り度が2%以下【請求項2】 包装フィルムが、縦及び横方向それぞれに2〜5倍延伸した後、40〜100℃で熱処理されていることを特徴とする請求項1記載の包装フィルム。
【請求項3】 エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる2つの表面層と、エチレン系重合体樹脂からなる少なくとも1つの内部層と、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂との混合物からなる少なくとも1つの他の内部層からなる5層以上のフィルムであって、他の内部層のプロピレン系重合体樹脂がプロピレン単独重合体とゴム成分の混合物からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし2記載の包装フィルム。
【請求項4】 被包装物の縦及び横方向の周長に対して各々0〜30%の余裕率を持たせた包装フィルムで被包装物を覆い、フィルムの開口部及び重なり部をシールした後、熱収縮によって被包装物に密着して緊張されたシュリンク包装体において、該包装フィルムがエチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂を主成分とする3層以上からなり、下記(a)〜(d)の特性を持つフィルムであることを特徴とするシュリンク包装体。
(a)ASTM D1204で測定した90℃での熱風収縮率が縦及び横方向共に20%以上(b)ASTM D2838で測定した100℃での最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5〜2.5MPaであり、かつ平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5〜1.5MPa(c)JIS Z1707で測定した時の30%伸張時の横方向の引っ張り応力が10〜22MPa(d)JIS K7105で測定した100℃で0〜30%収縮後の曇り度が2%以下【請求項5】 包装フィルムが、縦及び横方向それぞれに2〜5倍延伸した後、40〜100℃で熱処理されていることを特徴とする請求項4記載のシュリンク包装体。
【請求項6】 エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる2つの表面層と、エチレン系重合体樹脂からなる少なくとも1つの内部層と、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂との混合物からなる少なくとも1つの他の内部層からなる5層以上のフィルムであって、他の内部層のプロピレン系重合体樹脂がプロピレン単独重合体とゴム成分の混合物からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項4ないし5記載の包装フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁当や惣菜容器等の蓋付き容器や精肉や生鮮野菜等の蓋なしトレー等の被包装物を覆い、0〜30%の余裕率を持たせてシールした後、熱収縮によって被包装物に密着して緊張されたシュリンク包装体、及びそれに用いる包装フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】シュリンク包装体は、種々の形状の異なる被包装物をしわも無く美麗に包装出来ること、また自動包装機を用いる事で包装作業の効率を大きく向上出来る等の利点から、カップラーメン、玩具、日用雑貨、弁当、惣菜、精肉、生鮮野菜等の広い分野の包装体として利用されている。これらのシュリンク包装体を得る方法としては、被包装物を覆ったフィルムの前後左右を被包装物の底部に折り込み、シールさせ、熱風トンネルを通過させる押し上げ方式オーバーラップシュリンク包装、フィルムを筒状にしてフィルムの重なり部を粘着させ、その中に被包装物を挿入した後、筒状のフィルムの開口部を被包装物の底部に折り込み、底面全体をヒートシールし、熱風トンネルを通過させるピロー方式オーバーラップシュリンク包装、筒状のフィルムの開口部を折り込まずに溶断シール或いはシールアンドカットした後、熱風トンネルを通過させる3方シール式ピローシュリンク包装、1枚のフィルムを半分に折りそのフィルムの間に被包装物を挿入した後、開口した3方をシールし熱風トンネルを通過させる3方シール包装、これを連続的に行うL型シール包装、2枚のフィルムで被包装物を覆い4方の開口部をシールした後熱風トンネルを通過させる4方シール包装等がある。いずれの包装方法の場合でも、余裕率が大きい場合は、シールした製袋内に密閉された空気を収縮時に逃がすことが出来ず、被包装物に密着して緊張されたシュリンク包装体が得られにくくなる。このような場合は、針の付いたローラーによりフィルムに小孔を開けたり、或いはシール前の製袋品に抑えローラー等で圧力をかけて、あらかじめ密閉された空気を少なくする等の工夫がなされている。
【0003】弁当、惣菜、精肉、生鮮野菜等の食品類を被包装物とする分野は、従来までは可塑化ポリ塩化ビニル系のストレッチフィルムを用いて、フィルムを引き延ばしながら行うストレッチ包装が一般的であったが、最近では、シュリンク包装の特徴と安全衛生及び環境問題等から、従来のストレッチ包装機に熱風トンネルを付し、あるいはフィルムを引き延ばす程度や余裕率、更にヒートシール方法を変える等の工夫、改良を行い、ストレッチ包装とシュリンク包装の併用(ストレッチシュリンク包装)或いはシュリンク包装のみの形態に変わってきている。これらの包装形態の変化に対応して、ポリオレフィン系原料を用いたシュリンクフィルムの開発も行われてきており、例えば、特開平9−216956号公報には特定の物性を持つ架橋されたエチレン系重合体樹脂よりなる包装フィルムが、特開平9−254338号公報にはポリオレフィン系エラストマーを含む混合樹脂でなる層とポリプロピレン系樹脂からなる層を含む少なくとも4層のストレッチシュリンク包装フィルムが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者は低温収縮性が劣り被包装物を強く加熱しなければならない等の、また後者は余裕率を大きくとるとシュリンク包装後にフィルムの透明性が大きく低下する等の問題があった。さらに、食品類を被包装物とした場合のシュリンク包装体では、電子レンジ等で加熱された時に、再び収縮力を発現し、被包装物容器の強度低下と相まって容器変形を発生する等の問題を有していた。このように、自動包装機適性、包装体の外観、電子レンジ加熱による容器変形、等の点で、十分に満足出来るものが得られていないのが実状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題を解決するために検討した結果、ある特定の特性をもつ包装フイルムにより、被包装物の縦及び横方向の周長に対して各々0〜30%の余裕率を持たせて包装フィルムで被包装物を覆い、フィルムの開口部及び重なり部をシールした後、熱収縮によって被包装物に密着して緊張されたシュリンク包装体が、収縮後の透明性に優れると共に、電子レンジ加熱による容器変形が大幅に改良されることを見いだし、本発明に至った。すなわち、本発明は、(1)シュリンク包装体に用いる包装フィルムであり、該包装フィルムがエチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂を主成分とする3層以上からなり、下記(a)〜(d)の特性を持つフィルムであることを特徴とする包装フィルム、(a)ASTM D1204で測定した90℃での熱風収縮率が縦及び横方向共に20%以上(b)ASTM D2838で測定した100℃での最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5〜2.5MPaであり、かつ平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5〜1.5MPa(c)JIS Z1707で測定した時の30%伸張時の横方向の引っ張り応力が10〜22MPa(d)JIS K7105で測定した100℃で0〜30%収縮後の曇り度が2%以下(2)包装フィルムが、縦及び横方向それぞれに2〜5倍延伸した後、40〜100℃で熱処理されていることを特徴とする上記(1)記載の包装フィルム、(3)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる2つの表面層と、エチレン系重合体樹脂からなる少なくとも1つの内部層と、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂との混合物からなる少なくとも1つの他の内部層からなる5層以上のフィルムであって、他の内部層のプロピレン系重合体樹脂がプロピレン単独重合体とゴム成分の混合物からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする上記(1)ないし(2)記載の包装フィルム、(4)被包装物の縦及び横方向の周長に対して各々0〜30%の余裕率を持たせた包装フィルムで被包装物を覆い、フィルムの開口部及び重なり部をシールした後、熱収縮によって被包装物に密着して緊張されたシュリンク包装体において、該包装フィルムがエチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂を主成分とする3層以上からなり、下記(a)〜(d)の特性を持つフィルムであることを特徴とするシュリンク包装体、(a)ASTM D1204で測定した90℃での熱風収縮率が縦及び横方向共に20%以上(b)ASTM D2838で測定した100℃での最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5〜2.5MPaであり、かつ平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5〜1.5MPa(c)JIS Z1707で測定した時の30%伸張時の横方向の引っ張り応力が10〜22MPa(d)JIS K7105で測定した100℃で0〜30%収縮後の曇り度が2%以下(5)包装フィルムが、縦及び横方向それぞれに2〜5倍延伸した後、40〜100℃で熱処理されていることを特徴とする上記(4)記載のシュリンク包装体、(6)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる2つの表面層と、エチレン系重合体樹脂からなる少なくとも1つの内部層と、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂との混合物からなる少なくとも1つの他の内部層からなる5層以上のフィルムであって、他の内部層のプロピレン系重合体樹脂がプロピレン単独重合体とゴム成分の混合物からなる軟質プロピレン系樹脂であることを特徴とする上記(4)ないし(5)記載の包装フィルム、を提供するものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の包装フィルムから得られる本発明のシュリンク包装体について説明する。被包装物を包装フィルムで覆い、シールを行い、製袋する方式は、前述の押し上げ方式オーバーラップシュリンク包装、ピロー方式オーバーラップシュリンク包装、3方シール式ピローシュリンク包装、L型シール包装、4方シール包装のいずれかを使用して行われる。被包装物をフィルムで覆う際、被包装物の縦及び横方向の周長に対して各々0〜30%の余裕率を持たせる事が必要である。ここで言う縦方向とは、被包装物を包装機械に流す場合の流れ方向のことであり、横方向とは上記縦方向と直角方向のことである。また、0〜30%の余裕率とは、被包装物の縦及び横方向の周長に対して各々0〜30%長くすることである。ただし、余裕率0%の場合、周長よりも短いフィルムを5〜30%程度引き延ばす事で周長と同じ長さにして被包装物を覆ってもよい。余裕率を持たせることにより、被包装物の形状が直方体や立方体のものの他に円錐形や円錐台形状、突起物を持った不定形形状のもの等にも対応することができる。余裕率を小さくすると、被包装物の一部(部分的に余裕率の小さい部分やフィルムとの滑りが劣る部分等)にしわが残りやすくなる。また、余裕率を30%より大きくすると被包装物に密着した緊張されたシュリンク包装体を得にくくなる傾向にあり、美麗なシュリンク包装体とならない。このため熱風等の温度を上げると透明性の低下やフィルムの耐熱性を越えて、溶融して孔が開く等の問題を引き起こす。
【0007】シールはヒートーシル、溶断シール、インパルスシール等の通常のシール方法を使用する包装形態に合わせて選択すればよく、これらのシール方法を組み合わせて用いても良い。また、熱収縮は熱風、蒸気等を使用できるが、後処理のいらない熱風で十分である。
【0008】被包装物の包装フィルムには、必要に応じて、例えば、余裕率が大きい時や、嵩高かつ異形の被包装物で製袋内の空気が多いような時で、小孔が無いと、製袋内の空気圧によって熱収縮が妨げられ被包装物に密着した緊張されたシュリンク包装体が得られにくくなる場合、空気抜きの小孔が開けられる。空気抜きの小孔は、針や熱針あるいはレーザー等を用いて開けることができ、小孔の大きさや数も被包装物の種類や余裕率によって、適宜選択される。
【0009】本発明の包装フィルムについて説明する。本発明の包装フィルムは、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂を主成分とする3層以上からなる。エチレン系重合樹脂のみであると耐熱性が十分でなく、熱風トンネルやヒートシールする際に溶融し易く、プロピレン系重合体樹脂のみであると、伸び易さが不十分で破れ易い等の問題がある。本発明に用いるエチレン系重合体樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、チーグラー系マルチサイト触媒を用いた直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレン、あるいは近年開発が急速に進んでいるシングルサイト触媒を用いたエチレン系共重合体等、α−オレフィンを10%以上含むエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂等が使用できる。中でも、表面層に用いる場合は、低温シール性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、内部層に用いる場合は、強度等の点で優れる直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。本発明に用いるプロピレン系重合体樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン中にゴム成分を分散させたプロピレン系軟質樹脂等が用いられる。
【0010】本発明の包装フィルムは3層以上であり、中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる表面層と、エチレン系重合体樹脂からなる少なくとも1つの内部層と、エチレン系重合体樹脂とプロピレン系重合体樹脂との混合物を主成分とする少なくとも1つの他の内部層からなる5層以上のフィルムが、包装機適性、包装仕上がり、収縮後の透明性に優れたシュリンク包装体を得るのに望ましい。また、このような5層構成の内部層に用いられるプロピレン系重合体樹脂としては、耐熱性と低温収縮性と両立に優れる点で、重合中にポリマーアロイ化して、結晶性プロピレン単独重合体中に、エチレン−プロピレンゴムをミクロンオーダーで細かく分散させたものや、高分子量で沸騰ヘプタン可溶のアタクチックポリプロピレン5〜50重量%と沸騰ヘプタン不溶の結晶性アイソタクチックポリプロピレン50〜95重量%の混合物を重合段階で生成させたプロピレン系軟質樹脂が好ましく用いられる。
【0011】また本発明の目的に支障をきたさない範囲であれば、対象とする包装機種及び被包装物によって、滑り性の向上やブロッキング防止を目的とした滑剤、アンチブロッキング剤等、防曇性の付与を目的とした界面活性剤類、弾性率の向上を目的とした石油樹脂、同水添樹脂、テルペン樹脂、同水添樹脂等の添加剤や樹脂をそれぞれ有効な作用を具備させる目的で適宜使用することは当然である。
【0012】本発明の包装フィルムは、以下の(a)〜(d)の4つの特性を持つことが要求される。
(a)ASTM D1204で測定した90℃での熱風収縮率が縦及び横方向共に20%以上という低温収縮性である。縦及び横方向共に熱風収縮率が20%未満では包装フィルムが被包装物に密着して緊張した包装体になりにくく、従来のポリプロピレン系収縮フィルムではこのような低温収縮性を付与することが難しく、収縮を大きくするために収縮温度をあげるとフィルムが溶融してしまったり、透明性が悪くなったりしていた。
【0013】(b)ASTM D2838で測定した100℃での最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5〜2.5MPaであり、かつ平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5〜1.5MPaであることである。ここで言う熱収縮応力とは、測定フィルムが100℃である間に発生する応力の最大値を最大熱収縮応力とし、この最大値を示した後に応力が緩和し、応力が平衡値に達した時の応力を平衡熱収縮応力とする。最大熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が1.5MPa未満であると、被包装物に密着して緊張したシュリンク包装体とならないし、2.5MPaを越えると収縮力により包装品が変形する等の問題が発生する。また、平衡熱収縮応力の縦及び横方向の平均値が0.5MPa未満であると、シュリンク包装直後は密着して緊張したシュリンク包装体を得ることができたように見えても、輸送や段積み等によりゆるみが生じたり、1.5MPaを越えると、シュリンク包装体を電子レンジで再び加熱した時に容器変形を生じたり、オーバーラップシュリンク包装で用いるとフィルムの重なり部をシールする時に重なり部が剥げてしまったり、熱風トンネルの中で空気抜きの小孔からフィルムが破れる等の問題がある。
【0014】(c)JIS Z1707で測定した応力−伸び曲線から読みとった30%伸張時の横方向の引っ張り応力が10〜22MPaのものである。この引っ張り応力が22MPaを越えると、フィルムを引き延ばしながら被包装物を覆う際あるいは熱風トンネルで収縮する際に、フィルムの伸び易さが不十分で、空気抜きの小孔に応力が集中して小孔からフィルムが破れる等の問題が発生する。更には、折り箱型トレーの角、海老、蟹等の突起を有する被包装物に対しても、フィルムが破れ易くなり、好ましくない。また引っ張り応力が10MPa未満であると、シュリンク包装体の特に空間部でのフィルムの強度が不足する等の問題となる。
【0015】(d)JIS K7105で測定した100℃で0〜30%収縮後の曇り度が2%以下のものである。曇り度は被包装物の識別や商品価値を左右する重要な特性である。収縮後の曇り度が2%を越えると被包装物の見映えが劣り、その結果シュリンク包装体としての商品価値が劣ったものになる。本発明の包装フィルムは低温収縮性であり、フィルムを構成する樹脂が溶融して白化するような高温に収縮温度を上げる必要もなく、また収縮後に冷却しても透明性の低下が小さい。
【0016】本発明の包装フィルムの製造方法について説明する。本発明の特性を有する熱収縮性フィルムは、例えばチューブラー方式の2軸延伸方法を用いて得ることが出来る。まず、樹脂を環状ダイスより溶融状態で押し出し、水等の液体冷媒で急冷して無延伸状態のチューブ状原反を製造する。つぎに、このチューブ状原反をチューブラー二軸延伸装置に導き、熱風あるいは赤外線ヒーター等の加熱によりチューブを60〜90℃程度に加熱した後、加熱部の下方よりバブルに沿って流れる空気を供給する中で、チューブを2組のニップロールの間で速度比をつけて機械の流れ方向に延伸しつつ、チューブ内にエアーを注入して機械の流れ方向と直角方向にも延伸する。本発明のシュリンク包装体を得るには、使用する包装フィルムが縦及び横方向共、それぞれ少なくとも30%以上収縮し、特定の熱収縮応力を有する必要があり、延伸倍率は機械の流れ方向及びその直角方向共2〜5倍の延伸倍率が好ましい。次に、延伸に続いて熱処理を行い、熱収縮応力や他の特性の調整を行う。熱処理は、テンター法、熱ロール法、バブル法等の特に限定はされず、また、フィルムの白化を生じさせない範囲の温度であれば構わないが、40〜100℃の温度が好ましく用いられる。熱処理は緊張熱固定であっても弛緩熱処理あっても良く、前述の特性の調整に応じて選択される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における測定方法、評価方法は以下に示す通りである。
(1)熱風収縮率ASTM D1204に準拠して測定した。
【0018】(2)最大熱収縮応力及び平衡熱収縮応力ASTM D2838に準拠して測定した。最大熱収縮応力は、フィルムを加熱直後に発生する最大応力の値であり、平衡熱収縮応力とは、加熱開始から20秒後の収縮応力の値である。
【0019】(3)30%伸張時の横方向の引っ張り応力JIS Z1707に準拠して測定した応力−伸び曲線から、フィルムが30%伸張した時点の横方向の引っ張り応力を読みとった。まお、横方向とは、包装機によって主として引き延ばされる方向であり、フィルムロールの巻き長さ方向と直角の方向をいう。
【0020】(4)曇り度JIS K7105に準拠して測定した。なお、100℃で余裕率30%の収縮とは、フィルムを257mm角に切り出し180mm角の木枠にフィルム四方の角を合わせフィルムをたるませた状態で固定した後、炉内温度が100℃である収縮トンネル(協和電機株式会社 型式DS−300)を5秒通過させてフィルムの縦及び横方向に30%収縮させることをいい、また、余裕率0%の収縮とは、180mm角の木枠にフィルム四方の角を合わせフィルムを張った状態で固定した後、収縮トンネルを5秒通過させ収縮させることをいう。
【0021】(5)ストレッチシュリンク包装評価オーバーラップシュリンク包装となる市販のピロー式のストレッチシュリンク包装機を使用して、シュリンク包装体を作製した。被包装物としては発泡ポリスチレントレーを用い、フィルムを筒状にしてフィルムの重なり部を粘着させ、その中に被包装物を挿入した後、筒状のフィルムの開口部を被包装物の底部に折り込んだ後、熱板により加熱されたベルトの上で底面全体をヒートシールし、熱風トンネルを通過させシュリンク包装体を得る。この時の余裕率は縦及び横方向とも0%で行い、空気抜きの小孔は付与しなかった。シュリンク包装仕上がりと熱板ヒートシール性について、以下の基準で評価を行った。
包装評価■(シュリンク包装仕上がり)
○:目立つようなしわが無く被包装物に包装フィルムが密着して緊張しており、透明性が良好であるもの。
×:被包装物にしわや十分に収縮していない角或いはフィルムの白化が目立つもの。
包装評価■(熱板ヒートシール性)
○:底面のフィルムの重なり部分が、剥がそうとすると破れる程度に、十分にヒートシールされているもの。
×:底面のフィルムの重なり部分がヒートシールされていない、或いは重なり部分がめくれているもの。
【0022】(6)シュリンク包装評価市販の横型ピローシュリンク包装機を使用してシュリンク包装体を作製した。被包装物としては蓋の付いたポリプロピレン製弁当容器を用い、弁当容器の周りにフィルムを筒状に送り、被包装物の底部のフィルムの合わせ目をヒートシールする。引き続き、筒状になったフィルムの両端をシール&カット方式でヒートシールし、熱風トンネルを通過させシュリンク包装体を得る。この時、余裕率は縦方向が30%、横方向が5%とし、空気抜きの小孔は被包装物の上面に針状の突起により付与した。シュリンク包装仕上がりと小孔からの破れ難さについて、以下の基準で評価を行った。
包装評価■(シュリンク包装仕上がり)
○:目立つようなしわが無く被包装物に包装フィルムが密着して緊張しており、透明性が良好であるもの。
×:被包装物にしわや十分に収縮していない角やフィルムの白化が目立つもの。
但し、小孔から破れ易いものについては、破れなかったシュリンク包装体についてのみ評価した。
包装評価■(小孔からの破れ難さ)
○:空気抜き用の小孔から破れないもの。
×:フィルムが横方向に引き延ばされる製袋部或いは収縮応力が発生する熱風トンネル内において、空気抜き用の小孔から破れるもの。
【0023】(7)電子レンジ適性上記の(6)シュリンク包装評価、と同様にして得た弁当のシュリンク包装体を、1500W、60秒間、電子レンジで加熱し、被包装物の変形の程度を評価した。
○:被包装物の変形がほとんんどみられないもの。
×:被包装物が明らかに変形しており、商品価値を損なうとみられるもの。
【0024】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において用いた原料樹脂を下記に示す。
A1:線状低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒、密度=0.920g/cm 、MFR(測定温度190℃、荷重2.16kg)=1.0g/10分)
A2:線状低密度ポリエチレン(シングルサイト触媒、密度=0.916g/cm 、MFR(190℃、2.16kg)=1.0g/10分)
A3:エチレン−ブテン−1共重合体(密度=0.88g/cm 、MFR(190℃、2.16kg)=3.6g/10分)
A4:エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ユニカー製 NUC−3758、酢酸ビニル含量15重量%、MFR(190℃、2.16kg)=2.2g/10分、密度=0.94g/cm
B1:プロピレン系軟質樹脂(サンアロマー製 Q200F、MFR(230℃、2.16kg)=0.8g/10分、密度=0.89g/cm
B2:プロピレン単独重合体(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg)=15g/10分、密度0.91g/cm
B3:プロピレン−エチレン共重合体(MFR(230℃、2.16kg)=2.6g/10分)
C:水添テルペン樹脂【0025】実施例1表1に示す配合比の原料樹脂に、非イオン系界面活性剤のジグリセリン脂肪酸エステル2重量%を添加した表面層用組成物と芯層用組成物を、3台の押出機で、それぞれを170℃〜240℃にて溶融混練し、延伸後の厚みが約11μm、各層の厚み比が表面層:芯層:表面層=1:5:1になるように各押出機の押出量を調節して、240℃に保った3層環状ダイスのスリットより下向きに押し出した。押し出された3層構成溶融チューブ状フイルムを、ダイス直下に取付た約20℃の水により冷却している円筒形マンドレルの外表面を摺動させながら、外側は水槽を通すことにより水冷して室温まで冷却して引取り、チューブ状未延伸フイルムを得た。このチューブ状未延伸フイルムを、チューブラー二軸延伸装置に導き、膨張延伸を行った。この時、環状赤外線ヒーターの電圧、電流を調節し、フイルムを加熱し、バブルの形状や安定性を調整した。また環状赤外線ヒーター下方よりバブルに沿って流れる空気を供給する中で、低速ニップロール、高速ニップロールの間の管状フイルムに加圧空気を送り込んで該空気と低速、高速ニップロールの周速比によって縦4.5倍、横4.0倍にバブル延伸し、その後、熱ロール温度90℃で縦方向(フィルム製造時の流れ方向)及び横方向(流れ方向と直角方向)とも10%弛緩させ、熱処理を行い約11μmの延伸フイルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表2に示すように、低温収縮性があり、適度な収縮応力の緩和を有しており、ストレッチ性も良好で、透明性の低下も少ないことがわかる。得られたフィルムを用いて、ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、底面のフィルムの重なり部分は十分にヒートシールされており、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れもなく、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したが、被包装物の変形はほとんんどみられなかった。
【0026】実施例2表1に示す配合比の原料樹脂に、非イオン系界面活性剤のジグリセリン脂肪酸エステル2重量%を添加した表面層用組成物と中間層用組成物と芯層用組成物を、5台の押出機で、それぞれを170℃〜240℃にて溶融混練し、延伸後の厚みが約11μm、各層の厚み比が表面層:中間層:芯層:中間層:表面層=1:2:3:2:1になるように各押出機の押出量を調節して、240℃に保った5層環状ダイスのスリットより下向きに押し出し、その後は表1に示した条件以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表2に示すように、低温収縮性があり、適度な収縮応力の緩和を有しており、ストレッチ性も良好で、透明性の低下も少ないことがわかる。得られたフィルムを用いて、ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、底面のフィルムの重なり部分は十分にヒートシールされており、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れもなく、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したが、被包装物の変形はほとんんどみられなかった。
【0027】実施例3〜5表1に示した配合比と条件以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表2に示すように、低温収縮性があり、適度な収縮応力の緩和を有しており、ストレッチ性も良好で、透明性の低下も少ないことがわかる。得られたフィルムを用いて、ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、底面のフィルムの重なり部分は十分にヒートシールされており、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れもなく、包装仕上がりも綺麗で、透明性も良好であった。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したが、被包装物の変形はほとんんどみられなかった。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】比較例1表3に示した配合比と条件以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表4に示すように物性は良好であった。しかしプロピレン系重合体を含んでいないため、耐熱性が不十分となり、ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、包装仕上がりは綺麗であるが、底面のフィルムの重なり部分を十分にヒートシールしようとして熱板温度を上げると溶融して孔が開いてしまった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れはなかったが、余裕率を十分に収縮させようとして温度を上げると、溶融して孔が開いてしまった。
【0031】比較例2表3に示した配合比と条件以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表4に示すように熱収縮応力、引っ張り応力が大きいものであった。ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、包装仕上がりは綺麗であるが、低温シール性が不足し、底面のフィルムの重なり部分がめくれてしまった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、包装仕上がりは綺麗であるが、製袋時や熱風トンネル内で空気抜き用の小孔から破れてしまった。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したところ、被包装物が大きく変形してしまった。
【0032】比較例3表3に示した配合比と条件以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかったが、熱処理後に、ややフィルムの透明性が低下する傾向が見られた。得られたフイルムは、表4に示すように、収縮後の透明性が劣るものであった。ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、シール性は良好であったが、シュリンク包装体の透明性がやや劣り気味であった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れはなかったが、やはりシュリンク包装体の透明性が劣るものであった。
【0033】比較例4表3に示した配合比と条件に変更し、熱処理を行わない以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表4に示すように熱収縮応力、引っ張り応力が大きいものであった。ピロー方式のストレッチシュリンク包装機にて包装を行ったところ、包装仕上がりは綺麗であるが、収縮力が大きく、底面のフィルムの重なり部分がめくれてしまった。また、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、包装仕上がりは綺麗であるが、製袋時や熱風トンネル内で空気抜き用の小孔から破れてしまった。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したところ、被包装物が大きく変形してしまった。
【0034】比較例5表3に示した配合比と条件以外は実施例2と同様にしてフィルムを得た。延伸性は良好であり、延伸点の上下動や延伸バブルの揺動もなく、また、ネッキングなどの不均一延伸状態も観察されなかった。得られたフイルムは、表4に示すように平衡熱収縮応力、引っ張り応力がやや高いものであった。ピロー方式のストレッチシュリンク包装機での包装は良好であったが、横型ピローシュリンク包装機で包装したところ、空気抜き用の小孔からの破れが見られた。更に、得られたフィルムを用いて包装したシュリンク包装体(弁当)を電子レンジで加熱したところ、被包装物が変形してしまった。
【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
【発明の効果】本発明の包装フィルムは、低温収縮性に優れ、特定の熱収縮応力特性や伸び特性を有し、収縮後の透明性も良好であるため、ストレッチシュリンク及びシュリンク包装体として好適に用いることが出来る。また本発明のシュリンク包装体は、様々な自動包装機で仕上がりが良く、電子レンジで加熱した時の容器変形も少ない事から、広範囲のシュリンク包装分野において有用である。
【出願人】 【識別番号】000142252
【氏名又は名称】株式会社興人
【出願日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−112395(P2003−112395A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−311247(P2001−311247)