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【発明の名称】 剥離性積層フィルムおよびそれを用いたセラミックグリーンシート用工程フィルム
【発明者】 【氏名】河津 幸雄
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】高橋 弘造
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】鈴木 基之
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】本発明は、基材フィルムの表面に形成されたポリビニルアルコール層を容易に剥離除去して、基材フィルムのみを純度よく回収することができる積層フィルムを提供せんとするものである。

【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる層を介してポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/cm以下であることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層を介してポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/cm以下であることを特徴とする剥離性積層フィルム。
【請求項2】 前記ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上10mN/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項3】 前記ワックスが、酸化ワックス、植物性ワックスの少なくとも1種から選ばれたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の剥離性積層フィルム。
【請求項4】 前記ポリビニルアルコール層の厚さが0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の剥離性積層フィルム。
【請求項5】 前記ポリビニルアルコール層に界面活性剤が含有されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の剥離性積層フィルム。
【請求項6】 前記ポリビニルアルコール層にワックスが含有されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の剥離性積層フィルム。
【請求項7】 前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の剥離性積層フィルム。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離性積層フィルムを用いたことを特徴とするセラミックグリーンシート用工程フィルム。
【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離性積層フィルムのポリビニルアルコール層表面に、硬化型シリコーン樹脂膜が形成されていることを特徴とするセラミックグリーンシート用工程フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は剥離性積層フィルムに関するものであり、詳しくは加工工程において剥離性が必要となる工程用フィルムとして好適な剥離性積層フィルムに関するものである。さらに詳しくはセラミックグリーンシート用に好適に使用でき、使用済みの工程フィルムから基材フィルムのみを容易に分離回収できる剥離性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルフィルムの表面に硬化性シリコーン樹脂膜などの離型層を設けた離型フィルムが、セラミックコンデンサー、セラミック基板、ドライフィルムレジストなどの電子部品製造用工程フィルムとして用いられている。
【0003】とりわけポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とした離型フィルムは耐熱性、寸法安定性、平滑性、透明性、機械強度等に優れることから、例えば、セラミック積層コンデンサーやセラミック多層基板製造工程において、セラミックグリーンシート成形用工程フィルムとして大量に使用されている。
【0004】このような工程フィルムは、該工程フィルム上に形成されたグリーンシートを剥離してセラミック積層体を作成した後は、工程フィルム上に残存したセラミック残渣とともに廃棄されるのが通常である。
【0005】しかしながら、昨今の環境問題の高まりから、使用後の工程フィルムの再利用方法を構築することが求められている。
【0006】ところが、セラミックが残存する工程フィルムをそのまま回収して使用しようとした場合、例えば、使用後の工程フィルムを再溶融してフィルムを製膜しようとした場合は、異物等を取り除く濾過工程でフィルターがセラミックによって目詰まりを起こし、結果として炉圧が上昇し、高精度な濾過ができなくなる。
【0007】また、仮に濾過工程の問題が解決されたとしても、工程フィルム表面の硬化性シリコーン樹脂成分がポリエチレンテレフタレートに混入するため、溶融粘度の低下による機械物性の低下や製膜安定性の低下を招き、表面粗大突起や粗大欠点の発生、着色、押出時の異臭の発生等を抑制することが困難であり、実用的なフィルムとして再生することができない。
【0008】また、他の用途、例えば杭やプランターなどの射出成形品、ブロー成型品などの比較的原料樹脂の純度が低くても適用可能な成形品として再生しようとした場合も、フィルムの場合と同様に着色や発泡、強度低下等の発生が避けられず、容易に再利用できないのが現状である。
【0009】そこで、使用後の工程フィルムから、残存するセラミックや硬化性シリコーン樹脂膜を何らかの方法で除去し、フィルムとして再生することが考えられるが、現在考えられているいずれの方法によっても非常に多くの労力、コストが避けられず、またこれらの不純物を完全には除去できないため、実用化されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の課題は、上記の従来の技術における問題点を解決し、工程フィルムとして使用した後には、不要部分を容易に剥離して、純度の高い基材フィルムのみを効率よく回収して、再生原料とすることができる剥離性積層フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するために、本発明の剥離性積層フィルムは主として次の構成を有する。
【0012】すなわち、基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層を介してポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/cm以下であることを特徴とする剥離性積層フィルムである。
【0013】また、本発明のセラミックグリーンシート用工程フィルムは主として次の構成を有する。
【0014】すなわち、前記剥離性積層フィルムを用いたことを特徴とするセラミックグリーンシート用工程フィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり工程フィルムとして使用した後に、容易に基材フィルムのみを分離回収することができる工程フィルムについて鋭意検討した結果、基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層を介してポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/cm以下である剥離性積層フィルムとすることにより、かかる課題を一挙に解決できることを究明したものである。
【0016】本発明の剥離性積層フィルムにおける基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアセテートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、セロハンなどを用いることができるが、耐熱性、寸法安定性、平滑性、透明性、機械強度の点で、ポリエステルフィルムが好ましく、特に、回収再生が可能なポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルフィルムが好ましい。
【0017】本発明における基材フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、強度、剛性の点から10〜200μmが好ましく用いられる。
【0018】本発明の基材フィルムとして好ましく用いられるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主たる構成成分とするポリエステルが好ましく使用される。
【0019】かかるジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸を用いることができ、芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸等を用いることができる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。
【0020】これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらにはヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0021】また、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2′ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができる。中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのグリコール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0022】また、本発明の効果を阻害しない範囲で、フィルムの成形性、取扱い性の向上を目的として、上記ポリエステルに、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多官能化合物やp−オキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸等を共重合してもよい。
【0023】本発明におけるワックスを含有してなる塗布層を形成するワックスとしては、水に溶解、乳化または懸濁する石油系ワックスまたは植物性ワックス、およびその混合物が好ましく用いられる。石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス等を用いることができる。また、植物性ワックスとしてはカルナウバワックス、キャンデラワックス、木ロウ、オリキューリーワックス、さとうきびロウ等を用いることができる。
【0024】また、本発明においては上記石油系ワックス、植物性ワックスおよびその混合物にオイル状物質を添加してもよい。ここで、オイル状物質とは常温で液体またはペースト状のオイルであり、植物油、油脂、鉱物油、合成潤滑油等を用いることができる。植物油としては、アマニ油、カヤ油、サフラー油、大豆油、シナギリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、糠油、綿実油、オリーブ油、サザンカ油、椿油、ひまし油、落花生油、バーム油、椰子油等を用いることができる。油脂としては、牛脂、豚油、羊油、鉱物油としてはマシン油、絶縁油、タービン油、モーター油、ギヤ油、切削油、流動パラフィン等を用いることができる。合成潤滑油としてはオレフィン重合油、ジエステル油、ポリアルキレングリコール油、シリコーン油等を用いることができる。
【0025】本発明におけるワックスを含有してなる塗布層には、バインダー樹脂を添加することができる。バインダー樹脂としては、水に溶解、乳化または懸濁するポリエステル、アクリル、ウレタン樹脂等を用いることができる。この場合、バインダー/ワックスの混合比は、0/100〜90/10が好ましく、特に好ましくは0/100〜50/50である。
【0026】本発明におけるワックスを含有してなる塗布層の厚さは、塗布均一性、ポリビニルアルコール層の剥離性の点で0.01〜1μmであるのが好ましい。
【0027】本発明におけるポリビニルアルコール層を形成するポリビニルアルコールの鹸化度は特に限定されないが、塗工性の点から好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは75〜99.9モル%、特に好ましくは80〜95モル%である。また、ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、膜強度の点から好ましくは100以上、より好ましくは300〜40000、特に好ましくは500〜5000である。
【0028】本発明におけるポリビニルアルコール層の厚さは、剥離性および強度の点から好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは0.1〜5μmである。
【0029】本発明のポリビニルアルコール層には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを併用してもよい。併用するポリマーは、水溶性または水分散性であるのが好ましく、中でも水溶性または水分散性のポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレンアイオノマー系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂の少なくとも1種からなるものが好ましい。併用するポリマーの混合割合は50重量%未満であるのが好ましい。
【0030】本発明のポリビニルアルコール層には耐水性、耐有機溶剤性を高めるために架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、メチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アリジリン化合物等を用いることができる。架橋剤の添加量はポリビニルアルコール固形分に対して1〜30重量%であるのが好ましい。
【0031】本発明におけるポリビニルアルコール層には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料、可塑剤、末端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤、界面活性剤等を配合することができる。中でも、基材フィルム表面のワックス層とポリビニルアルコール層との濡れ性を向上するために、界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0032】界面活性剤としては特に制限はなく、カルボン酸塩などのアニオン系界面活性剤、アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型等の非イオン系界面活性剤等を用いることができ、中でも非イオン系界面活性剤を好ましく用いることができる。界面活性剤の添加量としては、ポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましい。
【0033】また、ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離性を向上する目的で、ポリビニルアルコール層にワックスを添加してもよい。ワックスとしては、水に溶解、乳化または懸濁する石油系ワックスまたは植物性ワックス、およびその混合物が好ましく用いられる。石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス等を用いることができる。また、植物性ワックスとしてはカルナウバワックス、キャンデラワックス、木ロウ、オリキューリーワックス、さとうきびロウ等を用いることができる。
【0034】本発明のポリビニルアルコール層は、目的に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性を付与する方法としては、特に制限はされないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマー類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、界面活性剤を塗布する方法等を採用することができる。かかる粒子の配合量としては、ポリマー100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。また、配合する粒子の平均径としては、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmである。このような粒子は、種類、平均径の異なる複数の併用であってもよい。
【0035】本発明の剥離性積層フィルムには必要に応じてポリビニルアルコール層表面に硬化型シリコーン樹脂を塗布してもよい。シリコーン硬化型樹脂としては、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例として、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、KNS−305、KNS−3000、X−62−1256、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等を用いることができる。
【0036】硬化型シリコーン樹脂を塗布する方法としては、バーコート、リバースロールコート、グラビアコート、ロッドコート、エアドクターコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。硬化型シリコーン樹脂の厚みは、塗工性、離型性の点から0.01〜2μmの範囲であるが好ましい。
【0037】本発明の剥離性積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層を介してポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコール層と基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/cm以下であることが肝要である。該剥離強度は好ましくは0.5mN/cm以上20mN/cm以下、より好ましくは0.5mN/cm以上10mN/cm以下である。剥離強度が0.5mN/cm未満であると、積層フィルムを巻き取る工程でポリビニルアルコール層が部分的に剥離したり、また、セラミックスラリーを塗布する工程でポリビニルアルコール層が部分的に剥離して、塗布むらが発生したりする恐れがある。また、剥離強度が30mN/cmを越えると、ポリビニルアルコール層を剥離する工程で破れが発生したり、セラミックグリーンシートと一体で剥離する場合にしわが発生したり破れたりする。剥離強度を本発明の範囲とすることによってのみ、ポリビニルアルコール層がスムースに剥離でき、セラミックグリーンシートとの一体での剥離も可能となり、工程フィルムとして使用した後に、ポリビニルアルコール層およびその上のセラミック残渣を容易に分離することができ、クリーンな基材フィルムのみを回収することができるものである。
【0038】本発明において、ポリビニルアルコール層の剥離強度を本発明の範囲内にするには、基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層をプレコートし、該ワックス含有層の上にポリビニルアルコール層を形成することによって達成できる。この場合、ワックス層とポリビニルアルコール層との濡れ性を向上するために、ポリビニルアルコール層に上記のワックスや界面活性剤を添加することが好ましい。ワックスや界面活性剤は、どちらか1種のみ用いてもよく、2種を併用してもよい。この場合、ワックスの添加量はポリビニルアルコール固形分に対して1〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜20重量%の範囲である。また、界面活性剤の添加量は0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1重量%の範囲である。
【0039】本発明において、基材フィルムの少なくとも片面にワックスを含有してなる塗布層を形成する方法としては、バーコート、グラビアコート、リバースロールコート、ドクターブレードコート等、従来公知の方法が採用できる。この場合、基材フィルム面にオフコートしてもよいし、基材フィルムの製造工程で、例えば二軸延伸ポリエステルフィルムの製造工程で、延伸前、または延伸後にインラインコートしてもよい。この場合、ワックスを塗布する直前に、基材フィルムの塗布面に空気、その他のガス雰囲気中でコロナ放電処理を施すのが好ましい。
【0040】本発明において、ポリビニルアルコール層を形成する方法としては特に限定されないが、ポリビニルアルコール水溶液をバーコート、グラビアコート、リバースロールコート、ドクターブレードコート等従来公知の方法で塗布した後、乾燥することによって形成できる。ポリビニルアルコール水溶液の濃度は、特に限定されないが、塗布の均一性の点から、1〜20重量%であるのが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、特に好ましくは1〜10重量%である。
【0041】本発明は、上述したように、基材フィルムの少なくとも片面に、ワックスを含有してなる塗布層を介してポリビニルアルコール層を形成した剥離性積層フィルムとしたので、該積層フィルムのポリビニルアルコール層表面に、セラミックグリーンシートの成形や硬化型シリコーン被膜形成などの、いかなる表面処理、表面加工がなされた後においても、基材フィルムとポリビニルアルコール層との界面で容易に剥離することができるため、基材フィルム部分のみを簡単に分離回収することが可能となる。また、このようにして回収された基材フィルムは、セラミック残渣やシリコーン樹脂膜などの不純物を含まないので、純度の高い再生原料としてリサイクルできる。
【0042】特に、本発明の剥離性積層フィルムを積層セラミックコンデンサーなどのセラミックグリーンシート製造用工程フィルムとして用いる場合には、ポリビニルアルコール層上に直接セラミックグリーンシートを形成し、基材フィルムと該ポリビニルアルコール層の間で剥離して、ポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシートを得ることが出来る。このポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシートは、有機物であるポリビニルアルコール層がセラミック焼成工程で分解気化するので、従来の積層セラミック部品の製造工程に全く付加工程を加えることなく、基材フィルム部分のみを分離回収でき、さらに、従来必須とされていた基材フィルム上へのシリコーン硬化膜の形成を不要とすることができる。さらに、ポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシートを用いれば、ポリビニルアルコール層がセラミックグリーンシートの補強材の役目を果たすため、極薄グリーンシートの搬送や積層などのハンドリング性が著しく向上するという利点がある。
【0043】また、セラミックの焼成処理など500℃以上の高温処理が行われない用途、あるいは焼成処理が行われる場合でもシリコーン硬化膜の特性が必要な場合においては、従来の離型フィルムと同様に、ポリビニルアルコール層の上面に硬化性シリコーン樹脂膜を形成して離型フィルムとすることもできる。この場合にも、使用済の離型フィルムから基材フィルムのみを分離しようとする際に、不純物となっていた種々の表面残渣、たとえばセラミック成分や硬化性シリコーン樹脂膜、表面加工残渣等は、ポリビニルアルコール層ごと剥離除去することによって、容易にかつ完全に基材フィルムから除去することができる。
[特性の評価方法]
(1)積層フィルムの剥離強度厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に、積層フィルムの基材フィルム面を両面テープで貼り付け、ポリビニルアルコール層表面にポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を貼り付けて、粘着テープの一端をテンシロン引張試験機(東洋測器(株)UTMIII)で、速度100mm/minで180度方向に引張り、基材フィルムとポリビニルアルコール層間の剥離力を測定した。剥離強度(mN/cm)は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力(T[mN])から、次式により算出し、サンプル数5個の平均値を採用した。
【0044】剥離強度(mN/cm)=T/Wここで、T(mN):平均剥離力、W(cm):サンプル幅を表す。ただし、サンプル幅は1.9cmに固定する。
(2)セラミックグリーンシートの塗布性および剥離性積層フィルムのポリビニルアルコール層の上面に、スクリーン印刷機でセラミックスラリーを塗布して乾燥し、10cm×10cm、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。該グリーンシート上に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を貼り付けて、幅19mm、長さ100mmの短冊状サンプルを切り出し、セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で、基材フィルムから剥離した。塗布状態および剥離状態を目視により、以下のように判定した。
【0045】<塗布性>セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できたものを○、塗布むらが発生したものを×とした。
【0046】<剥離性>セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できたものを○、ポリビニルアルコール層の剥離性が不十分で、セラミックグリーンシートにクラックが発生したものを×とした。
(3)基材フィルムの回収性上記のサンプルを用いて、セラミックグリーンシートとポリビニルアルコール層とを一体で基材フィルムから剥離した後、基材フィルムの表面を目視観察して、以下のように判定した。
【0047】基材フィルムの表面にセラミック残渣が全くなく、クリーンな基材フィルムが回収できたものを○、基材フィルムの表面にセラミック残渣が少しでも残存したものを×とした。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
実施例1(基材フィルムの作製)ポリエチレンテレフタレート原料を乾燥してTダイ口金で溶融押出し、表面温度25℃のキャストドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し、該未延伸フィルムをロール式延伸機に導き、85℃の予熱ロールで予熱した後、温度95℃の周速差のあるロール間で長手方向に3.5倍に延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター式横延伸機に送り込み、温度95℃で幅方向に3.8倍に延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで200℃の雰囲気下で5秒間の熱処理を施して、厚さ38μmの2軸延伸フィルムを作製した。
(ワックス層の形成)上記製膜工程において、テンター式横延伸機の入り口で、一軸延伸後のフィルムの片面に、コロナ放電処理を施した後、バーコーター(番手6)で、ワックス3重量%水溶液(広栄化学(株)製KEK−T)を塗布し、ポリエステルフィルム表面にワックス層を形成した。
(ポリビニルアルコール層の形成)上記フィルムのワックス層表面に、ポリビニルアルコール10重量%水溶液(日本合成化学工業(株)製“ゴーセノール”GH-17、鹸化度:86.5〜89%)に界面活性剤(エアープロダクツジャパン(株)製“サーフィノール”504)を0.5重量%添加して、バーコーター(番手6)で塗布し、熱風オーブン中で120℃×5分間加熱して、厚さ1.5μmのポリビニルアルコール層を形成した。
(剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は3mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層上面に、下記組成のセラミックスラリーをスクリーン印刷機で塗布し、熱風オーブン中で85℃×10分乾燥して厚さ10μmのグリーンシートを形成した。セラミックスラリーをむらなく、均一に塗布できた。
【0049】
《セラミックスラリー組成》
チタン酸バリウム粉体(平均粒径1.1μm,焼結密度5.84) 90重量部 結合剤(ホ゜リヒ゛ニルフ゛チラール樹脂:重合度200〜700,粘度:10〜30cps)10重量部 可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1重量部 トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 50重量部次いで、上記セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できた。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0050】評価結果は表1に示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
【0051】
【表1】

★実施例2(積層フィルムの作製)実施例1においてワックス層の表面に、下記組成の10%水溶液を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0052】
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製“ゴーセノール”GH-17)
80重量部 ワックス(広栄化学(株)製KEK−T) 20重量部(剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は9mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できた。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0053】評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
実施例3(積層フィルムの作製)実施例1において、ワックス100%層の代わりに下記組成の水溶性ポリエステル樹脂/ワックス混合水溶液(濃度3重量%)を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0054】
水溶性ポリエステル樹脂(高松油脂(株)“ベスレジン”A620) 10重量部 ワックス(広栄化学(株)製KEK−T) 90重量部(剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は8mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できた。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0055】評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
実施例4(積層フィルムの作製)実施例1において、鹸化度の異なるポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製“ゴーセノール”NL−05、鹸化度:98.5%以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は10mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できた。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0056】評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
実施例5(積層フィルムの作製)実施例1において、ポリビニルアルコール水溶液塗布時のバーコーターの番手を#30に変更して、ポリビニルアルコール層の厚さを4.5μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は0.7mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と一体で容易に剥離できた。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0057】評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
実施例6(硬化型シリコーン樹脂膜の形成)実施例1で作製した積層フィルムのポリビニルアルコール層の表面にバーコーター(番手6)で下記組成の硬化型シリコーン樹脂を塗布し、熱風オーブン中で90℃×1分加熱硬化した。
《硬化型シリコーン樹脂組成》
シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製LTC300B) 100重量部 硬化剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SRX-212) 0.8重量部 溶剤(トルエン) 499.2重量部(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)上記硬化型シリコーン樹脂膜の上面に実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。
【0058】該セラミックグリーンシートを剥離したところ、硬化型シリコーン樹脂膜との界面で該セラミックグリーンシートを容易に剥離することができた。
(基材フィルムの回収性)上記のセラミックグリーンシート剥離後の積層フィルムから、硬化型シリコーン樹脂膜と一体となったポリビニルアルコール層を剥離し、基材フィルムの表面を観察したところ、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0059】評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に回収できた。
比較例1(積層フィルムの作製)実施例1において、ワックス層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(剥離強度)該積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は45mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、ポリビニルアルコール層の剥離性が不十分で、セラミックグリーンシートにクラックが発生した。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察したところ、セラミック残渣が斑点状に付着、残存していた。
【0060】評価結果は表1に併せて示すとおり、この比較例の積層フィルムはポリビニルアルコール層が剥離しにくいため、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用後の基材フィルム表面にセラミック残渣が残存し、回収性に劣っていた。
比較例2(積層フィルムの作製)実施例2において、ワックス層を形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作製した。
(剥離強度)該積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は34mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、ポリビニルアルコール層の剥離性が不十分で、セラミックグリーンシートにクラックが発生した。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察したところ、セラミック残渣が斑点状に付着、残存していた。
【0061】評価結果を表1に併せて示す。この比較例の積層フィルムはポリビニルアルコール層が剥離しにくいため、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使用後の基材フィルム表面にセラミック残渣が残存し、回収性に劣っていた。
比較例3(積層フィルムの作製)実施例1において、ワックス水溶液の濃度を6重量%としてワックス層を形成し、また、ポリビニルアルコール水溶液塗布時のバーコーターの番手を#30に変更して、ポリビニルアルコール層の厚さを4.5μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
(剥離強度)該積層フィルムのポリビニルアルコール層の剥離強度を測定したところ、強度は0.3mN/cmであった。
(セラミックグリーンシートの塗布性、剥離性)実施例1と同様にして、スクリーン印刷機でセラミックスラリーを塗布して乾燥したところ、ポリビニルアルコール層が部分的に基材フィルムから浮き上がって塗布むらが発生した。該セラミックグリーンシートをポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離したが、グリーンシートにしわが発生た。
(基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表面を観察したところ、セラミック残渣は全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0062】評価結果を表1に併せて示す。この比較例は、セラミックグリーンシートの塗布性に劣るものであった。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、基材フィルム面に形成されたポリビニルアルコール層が容易に剥離できるので、例えばセラミックコンデンサーなどのグリーンシート製造用工程フィルムとして使用した後、該フィルムを廃棄することなく、基材フィルムのみを容易に回収できる。また、回収された基材フィルムは、セラミック残渣などの不純物を含まないので、純度の高い再生原料としてリサイクルできる。
【0064】また、本発明の剥離性積層フィルムを積層セラミックコンデンサーなどのグリーンシート製造用工程フィルムとして用いる場合には、ポリビニルアルコール層上に直接セラミックグリーンシートを形成した後、ポリビニルアルコールとグリーンシートを一体で剥離することが出来る。このポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシートは、有機物であるポリビニルアルコール層がセラミック焼成工程で分解気化するので、従来の積層セラミック部品の製造工程に全く付加工程を加えることなく、基材フィルム部分のみを分離回収でき、さらに、従来必須とされていた基材フィルム上へのシリコーン硬化膜の形成を不要とすることができる。
【0065】また、ポリビニルアルコール層の上面に硬化性シリコーン樹脂膜を形成したフィルムを、従来と同様、シリコーン硬化膜を形成した工程フィルムとして使用することも可能であり、その場合にも、使用後のフィルムから、シリコーン樹脂膜とポリビニルアルコール層とを一体で剥離することにより、クリーンな基材フィルムのみを回収することができる。
【0066】さらに、ポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシートを用いれば、ポリビニルアルコール層がセラミックグリーンシートの補強材の役目を果たすため、極薄グリーンシートの搬送や積層などの取扱い性が著しく向上するという利点もある。
【0067】本発明の剥離性積層フィルムは、上記の効果を奏するので、セラミックグリーンシート用工程フィルムとしてだけでなく、貼付薬保護シート、粘着ラベルや粘着テープ等の台紙、あるいは成形樹脂表面保護シート、液晶ディスプレイに用いられる偏光板や位相差板等の液晶表示板保護シート、包装用フィルム等、多くの用途に応用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年10月3日(2001.10.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−112393(P2003−112393A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−307617(P2001−307617)