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【発明の名称】 容器用積層シート
【発明者】 【氏名】林 潤一郎

【要約】 【課題】薄肉化しても、ガスバリア性(特に酸素バリア性)、成形性、剛性や強度等の機械的特性に優れるシート及びこのシートで形成された成形品を提供する。

【解決手段】ガスバリア性樹脂で構成されたバリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層され、かつポリオレフィン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、スチレン系樹脂、スチレン−ジエン系共重合体及びオレフィン系樹脂で構成された樹脂組成物層(C)を備えた支持層とで構成された積層シートであって、このシートは、少なくとも一方の面に前記樹脂層(A)を備えており、かつ樹脂層(A)の合計厚みが、シート全体の厚みに対して10〜40%である積層シートを調製する。このシートを二次成形して、食品用容器を得てもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスバリア性樹脂で構成されたバリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層され、かつポリオレフィン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、スチレン系樹脂、スチレン−ジエン系共重合体及びオレフィン系樹脂で構成された樹脂組成物層(C)を備えた支持層とで構成された積層シートであって、このシートは、少なくとも一方の面に前記樹脂層(A)を備えており、かつ樹脂層(A)の合計厚みが、シート全体の厚みに対して10〜40%である積層シート。
【請求項2】 樹脂層(A)とバリア層(B)とが、接着性樹脂で構成された接着層(D)を介して積層されている請求項1記載のシート。
【請求項3】 支持層が、樹脂組成物層(C)単独、又はこの樹脂組成物層(C)の少なくとも一方の面に積層され、かつ積層シートの表面に位置する樹脂層(A)とで構成された積層体である請求項1記載のシート。
【請求項4】 樹脂層(A)及び樹脂組成物層(C)を構成するオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂である請求項1記載のシート。
【請求項5】 バリア層(B)を構成するガスバリア性樹脂が、ビニルアルコール系重合体である請求項1記載のシート。
【請求項6】 シート全体の厚みが10〜1000μm、バリア層(B)の厚みが1〜100μm、樹脂組成物層(C)の厚みが10〜700μmであり、かつバリア層(B)と樹脂組成物層(C)との厚みの比が、バリア層(B)/樹脂組成物層(C)=1/3〜1/20である請求項1記載のシート。
【請求項7】 エチレン−ビニルアルコール共重合体で構成されたバリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層され、かつポリプロピレン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、ポリスチレン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体及びポリプロピレン系樹脂で構成された樹脂組成物層(C)を備えた支持層とで構成された積層シートであって、このシートは、少なくとも一方の面に前記樹脂層(A)を備えており、かつ樹脂層(A)の合計厚みが、シート全体の厚みに対して15〜35%である積層シート。
【請求項8】 請求項1記載の積層シートの製造方法であって、バリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層された樹脂層(A)とで構成された積層体の少なくとも一方の面に、支持層を積層する積層シートの製造方法。
【請求項9】 積層体に対して支持層をヒートラミネートする請求項8記載の積層シートの製造方法。
【請求項10】 請求項1記載のシートで形成された成形品。
【請求項11】 請求項1記載のシートで形成された容器。
【請求項12】 樹脂層(A)が容器の内面に位置し、バリア層(B)が樹脂組成物層(C)よりも容器の内側に位置する請求項11記載の容器。
【請求項13】 食品を収容又は包装するための容器である請求項11記載の容器。
【請求項14】 隣接する複数の収容部と、収容部間に形成されたミシン目又は切り込みとを備えている請求項11記載の容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品包装容器などの容器を得るのに適した積層シート、及びこのシートで形成された成形品又は容器に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニリデンや塩化ビニリデン共重合体等の塩化ビニリデン系重合体は、優れたガスバリア性を有する樹脂として知られている。しかし、塩化ビニリデン系重合体は、燃焼によりダイオキシンなどの有害なガスや発ガン性の強い有機塩素化合物を発生するため、使用が規制される方向にある。
【0003】また、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系重合体も酸素ガスバリア性を有する樹脂として知られている。しかし、ポリビニルアルコール系重合体は、ガスバリア性、耐油性、強度等の点で優れた性質を有しているが、水分の透過性が高いだけでなく、湿度により酸素透過率が大きく変動する。
【0004】そこで、ポリビニルアルコール系重合体のこれらの欠点を改良して、食品包装用フィルムや容器、燃料タンクとして用いるために、ポリビニルアルコール系重合体の片面又は両面にポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂や、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂等を積層することが提案されている。
【0005】例えば、特開昭54−117054号公報には、ポリプロピレン層とエチレン−ビニル共重合体けん化物層とからなる積層フィルムの接着層としてメチルメタアクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体とスチレン・ブタジエンブロック共重合体との混合体を用いた積層フィルムが開示されている。しかし、この積層フィルムは、成形性及び剛性が低く、薄肉化又は軽量化できない。また、このフィルムは、復元性が大きく嵩張るため、廃棄も困難である。
【0006】特開昭59−120453号公報には、エチレン−酢酸ビニルけん化物層又はポリアミド樹脂層の両面に、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂及びスチレン系エラストマーを配合した接着性樹脂層を介して、スチレン系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層とを、それぞれ積層した樹脂積層体が開示されている。しかし、この積層体は、スチレン系樹脂側の防湿性がオレフィン系樹脂側に比べて著しく劣るため、吸湿によってガスバリア性が低下する。特に、この文献の実施例では、シート全体の厚みに対して40%を超える厚みのポリオレフィン系樹脂層が用いられているので、復元性が大きく嵩張るとともに、剛性も低い。
【0007】特開昭59−57747号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物層又はポリアミド樹脂層の両面に、オレフィン系樹脂などの結晶性重合体層と、スチレン系樹脂などの非晶性重合体層とを、それぞれ、エチレン系重合体及び不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂を配合した接着性樹脂層を介して積層した積層体が開示されている。しかし、この積層体も、強度が充分でなく、非晶性樹脂側の防湿性が結晶性樹脂(オレフィン系樹脂)に比べて著しく劣るため、吸湿によってガスバリア性が低下する。特に、この文献の実施例では、シート全体の厚みに対して10%未満の厚みの結晶性重合体層が用いられているので、例えば、ミシン目や切り込みを設けると、割れや破断が発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、薄肉化しても、ガスバリア性(特に酸素バリア性)、成形性、及び剛性や強度等の機械的特性に優れるシート及びそのシートで形成された成形品を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、減容性(非復元性)、軽量性及びヒートシール性に優れるシート及びそのシートで形成された成形品を提供することにある。
【0010】本発明の更に他の目的は、ミシン目や切り込みを形成しても割れや破断が生じない程度に、強度及び剛性に優れるシート及びそのシートで形成された成形品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、オレフィン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、ガスバリア性樹脂で構成されたバリア層(B)と、スチレン系樹脂、スチレン−ジエン系共重合体及びオレフィン系樹脂で構成された樹脂組成物層(C)とを特定の順序で組み合わせ、かつ樹脂層(A)の厚み割合を特定の範囲に設定すると、薄肉化しても、ガスバリア性(特に酸素バリア性)、成形性、及び剛性や強度等の機械的特性に優れる積層シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明の積層シートは、ガスバリア性樹脂で構成されたバリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層され、かつポリオレフィン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、スチレン系樹脂、スチレン−ジエン系共重合体及びオレフィン系樹脂で構成された樹脂組成物層(C)を備えた支持層とで構成された積層シートであって、このシートは、少なくとも一方の面に前記樹脂層(A)を備えており、かつ樹脂層(A)の合計厚みが、シート全体の厚みに対して10〜40%である。前記樹脂層(A)と前記バリア層(B)とは、接着性樹脂で構成された接着層(D)を介して積層されていてもよい。前記支持層は、樹脂組成物層(C)単独、又はこの樹脂組成物層(C)の少なくとも一方の面に積層され、かつ積層シートの表面に位置する樹脂層(A)とで構成された積層体であってもよい。前記樹脂層(A)及び前記樹脂組成物層(C)を構成するオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であってもよい。前記バリア層(B)を構成するガスバリア性樹脂は、ビニルアルコール系重合体であってもよい。前記積層シートにおいて、シート全体の厚みが10〜1000μm、バリア層(B)の厚みが1〜100μm、樹脂組成物層(C)の厚みが10〜700μmであり、かつバリア層(B)と樹脂組成物層(C)との厚みの比が、バリア層(B)/樹脂組成物層(C)=1/3〜1/20であってもよい。
【0013】本発明には、前記積層シートの製造方法であって、バリア層(B)と、このバリア層(B)の両面に積層された樹脂層(A)とで構成された積層体の少なくとも一方の面に、支持層を積層する積層シートの製造方法も含まれる。また、本発明には、前記シートで形成された容器(例えば、食品を収容又は包装するための容器など)などの成形品も含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のシートは、オレフィン系樹脂で構成された樹脂層(A)と、ガスバリア性樹脂で構成されたバリア層(B)と、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む樹脂組成物で構成された樹脂組成物層(C)とを含んでいる。また、樹脂層(A)とバリア層(B)とは、接着性樹脂で構成された接着層(D)を介して積層されていてもよい。
【0015】[オレフィン系樹脂層(A)]樹脂層(A)を構成するオレフィン系樹脂としては、オレフィンの単独又は共重合体が挙げられる。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のα−C2-16オレフィン(好ましくはα−C2-10オレフィン、さらに好ましくはα−C2-8オレフィン、特にα−C2-4オレフィン)などが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのオレフィンのうち、エチレン、プロピレン、特に少なくともプロピレンを含むのが好ましい。
【0016】オレフィン系樹脂は、オレフィンと共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステル];ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);環状オレフィン類(ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン等);ジエン類(ブタジエン、イソプレン等)等が例示できる。共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。共重合性モノマーの使用量は、オレフィン100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜25重量部程度の範囲から選択できる。
【0017】オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂[例えば、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体など]、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン含有80重量%以上のプロピレン系樹脂など)、ポリ(メチルペンテン−1)樹脂等が挙げられる。共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等が例示できる。
【0018】前記共重合体(オレフィン同士の共重合体及びオレフィンと共重合性モノマーとの共重合体)には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。
【0019】これらのオレフィン系樹脂のうち、耐熱性、耐油性、強度や剛性等の点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、具体的には、プロピレンホモポリマー又はプロピレン−α−オレフィン共重合体であり、プロピレンとα−オレフィンとの割合(重量比)が、プロピレン/α−オレフィン=60/40〜100/0、好ましくは70/30〜100/0、さらに好ましくは80/20〜100/0(特に90/10〜100/0)程度である。α−オレフィンの割合が40重量%を超えると、剛性や耐熱性が低下する。
【0020】ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック構造であってもよいが、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒により生成するメタロセン構造等の立体規則性を有していてもよい。これらのうち、簡便性及び経済性の点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0021】また、オレフィン系樹脂は、ヒートシール性を有するのが好ましい。このようなオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂(無延伸ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等)等が例示できる。
【0022】樹脂層(A)には、必要に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、充填剤(粉粒状又は繊維状充填剤、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、無機フィラー等)、ドリッピング防止剤(粉粒状フッ素系樹脂など)、可塑剤、相溶化剤、耐衝撃改良剤、補強剤、色相改良剤、流動性改良剤、難燃助剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤等を添加してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0023】[ガスバリア層(B)]バリア層(B)を構成するガスバリア性樹脂としては、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)、塩化ビニリデン系重合体(例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体等)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等)、ポリアクリロニトリル系重合体、環状ポリオレフィン系樹脂(例えば、ノルボルナン、デカリン、アダマンタン、トリシクロデカン等の骨格を有する環状ポリオレフィン系樹脂等)等が例示できる。
【0024】これらのガスバリア性樹脂のうち、ガスバリア性(特に酸素バリア性)、耐油性、安全性の点から、ビニルアルコール系重合体、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体等が好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含量は、通常、5〜50モル%、好ましくは10〜50モル%、より好ましくは25〜50モル%程度である。前記共重合体の重量平均分子量は、1万〜10万、好ましくは4万〜5万程度である。前記共重合体のケン化度は、93%以上、好ましくは96%以上、さらに好ましくは99%以上(特に99.5%以上)である。また、前記共重合体のエチレン含量が前記範囲にあると、水や、水とアルコールとの混合溶媒に可溶である。
【0025】なお、バリア層(B)にも、前記樹脂層(A)と同様の添加剤を添加してもよい。
【0026】[樹脂組成物層(C)]樹脂組成物層(C)は、スチレン系樹脂(C1)、スチレン−ジエン系共重合体(C2)及びオレフィン系樹脂(C3)を含む樹脂組成物(C)で構成されている。樹脂組成物層(C)を設けると、剛性を保持しつつ、軽量化できる。しかも、シートに減容性(非復元性)が付与される。減容性とは、例えば、シートを折り曲げた場合などの復元性が低いことを意味し、減容性が優れると(大きいと)、容器などをつぶしたとき、嵩張りが少なく、廃棄処分に有利である。
【0027】スチレン系樹脂(C1)には、ポリスチレン系樹脂(C1A)やゴム強化スチレン系樹脂(C1B)等が含まれる。
【0028】ポリスチレン系樹脂(C1A)は、芳香族ビニル単量体を主成分として形成される単独又は共重合体である。樹脂(C1A)を形成するための芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン等)、α−位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレンなど)等が例示できる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体のうち、通常、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等、特にスチレンが使用される。
【0029】前記芳香族ビニル単量体は、共重合可能な単量体と組み合わせて使用してもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、シアン化ビニル系単量体(例えば、アクリロニトリルなど)、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその酸無水物等)、イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−アルキルマレイミド(例えば、N−C1-4アルキルマレイミド等)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−シクロヘキシルマレイミドなど)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミドなど)]、アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、 (メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2-4アルキルエステル等]等が例示できる。これらの共重合可能な単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。全単量体中の共重合可能な単量体の使用量は、通常、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度の範囲から選択できる。
【0030】樹脂(C1A)の重量平均分子量は、1×104〜100×104、好ましくは5×104〜50×104、さらに好ましくは10×104〜50×104程度である。
【0031】これらの樹脂(C1A)のうち、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)、特にGPPSが好ましい。
【0032】ゴム変性スチレン系樹脂(C1B)は、共重合(グラフト重合、ブロック重合等)等により、ポリスチレン系樹脂で構成されたマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散した重合体であり、通常、ゴム状重合体の存在下、少なくとも芳香族ビニル単量体を、慣用の方法(塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合等)で重合することにより得られるグラフト共重合体(ゴムグラフトポリスチレン系重合体)である。ゴム変性スチレン系樹脂(C1B)を用いると、耐衝撃性を改善できる。
【0033】マトリックスを形成するポリスチレン系樹脂としては、樹脂(C1A)と同様のポリスチレン系樹脂が例示できる。
【0034】ゴム状重合体としては、例えば、ジエン系ゴム[ポリブタジエン(低シス型又は高シス型ポリブタジエン)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソブチレン−ブタジエン系共重合ゴム等]、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム(ポリアクリル酸C2-8アルキルエステルを主成分とする共重合エラストマーなど)、エチレン−α−オレフィン系共重合体[エチレン−プロピレンゴム(EPR)など]、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体[エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、水添ジエン系ゴム(水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体等)等が挙げられる。なお、上記共重合体はランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有する共重合体等が含まれる。これらのゴム状重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0035】好ましいゴム状重合体は、共役1,3−ジエン又はその誘導体の重合体、特にジエン系ゴム[ポリブタジエン(ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体等]である。
【0036】樹脂(C1B)において、ゴム状重合体の含有量は、3〜80重量%、好ましくは4〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%程度である。ゴム状重合体の含有量が少なすぎると、耐衝撃性が充分でなく、ゴム状重合体の含有量が多すぎると、透明性及び剛性が低下する。
【0037】ポリスチレン系樹脂で構成されたマトリックス中に分散するゴム状重合体の形態は、特に限定されず、サラミ構造、コア/シェル構造、オニオン構造等であってもよい。
【0038】分散相を構成するゴム状重合体の粒子径は、例えば、体積平均粒子径0.5μm以上(例えば、0.5〜30μm)、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜7μm(特に0.5〜5μm)程度の範囲から選択できる。ゴム状重合体の体積平均粒子径が0.5μm未満であると、耐衝撃性が充分でない。また、ゴム状重合体のグラフト率は、5〜150%、好ましくは10〜150%程度である。
【0039】これらのゴム強化スチレン系樹脂のうち、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、MBS樹脂、特にHIPSが好ましい。
【0040】スチレン系樹脂(C1)は、ポリスチレン系樹脂(C1A)とゴム強化スチレン系樹脂(C1B)との組合せが好ましい。ポリスチレン系樹脂(C1A)とゴム強化スチレン系樹脂(C1B)とを併用する場合、両者の割合(重量比)は、ポリスチレン系樹脂(C1A)/ゴム強化スチレン系樹脂(C1B)=99/1〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、さらに好ましくは90/10〜30/70(特に80/20〜50/50)程度である。
【0041】スチレン−ジエン系共重合体(C2)としては、スチレン系単量体とジエン系単量体とのブロック共重合体及びランダム共重合体が挙げられるが、通常、ブロック共重合体が使用される。スチレン−ジエン系ブロック共重合体としては、例えば、ポリスチレンで構成された硬質部分と、ポリブタジエンやポリイソプレン又はそれらの水添物で構成された軟質部分とのブロック共重合体が例示できる。スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)などのスチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)等が例示できる。これらのスチレン−ジエン系ブロック共重合体のうち、特に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましく用いられる。ブロック共重合体において、末端ブロックは、スチレン又はジエンのいずれで構成してもよい。
【0042】スチレン−ジエン系ブロック共重合体の構造としては、リニア(直鎖状)型(AB型、ABA型等)、星型(ラジアルテレブロック型など)、テーパー型等が挙げられる。これらのうち、リニア型や星型でAB型のブロック共重合体が好ましく使用できる。スチレン−ブタジエンブロック共重合体としては、スチレンとブタジエンとのジブロック、トリブロック、テトラブロック共重合体等が例示できる。これらのうち、トリブロック共重合体、特にスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体が好ましい。
【0043】共重合体を構成するスチレンとジエン成分との割合(重量比)は、スチレン/ジエン成分=スチレン/ジエン成分=10/90〜80/20、好ましくは20/80〜70/30、さらに好ましくは30/70〜60/40(特に30/70〜50/50)程度である。ジエン単位における付加形式の割合は、シス−1,4付加:10〜50重量%(特に20〜40重量%)、トランス−1,4付加:40〜70重量%(特に50〜60重量%)、1,2付加:5〜20重量%(特に10〜15重量%)程度である。
【0044】オレフィン系樹脂(C3)としては、前記樹脂層(A)と同様のオレフィン系樹脂を例示できる。なお、ヒートラミネート性の点から、オレフィン系樹脂(C3)は、前記樹脂層(A)を構成するオレフィン系樹脂と同系統のオレフィン系樹脂(例えば、前記ポリプロピレン系樹脂)で構成するのが好ましい。
【0045】スチレン系樹脂(C1)とオレフィン系樹脂(C3)との割合(重量比)は、スチレン系樹脂(C1)/オレフィン系樹脂(C3)=95/5〜10/90、好ましくは90/10〜30/70、さらに好ましくは80/20〜50/50程度である。
【0046】スチレン系樹脂(C1)及びオレフィン系樹脂(C3)の合計量と、スチレン−ジエン系共重合体(C2)との割合(重量比)は、前者/後者=99.5/0.5〜50/50、好ましくは99/1〜60/40、さらに好ましくは97/3〜70/30(特に95/5〜80/20)程度である。
【0047】なお、樹脂組成物層(C)にも、前記樹脂層(A)と同様の添加剤を添加してもよい。
【0048】[接着層(D)]樹脂層(A)とバリア層(B)とは、接着層(D)を介することなく、ヒートラミネートなどにより直接的に積層してもよいが、通常、接着性樹脂で構成された接着層(D)を介して積層されている。接着性樹脂としては、熱可塑性樹脂[例えば、ビニル系樹脂(アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等)、ポリオレフィン系樹脂[無水マレイン酸グラフトポリプロピレンや(メタ)アクリル酸グラフトポリプロピレン等の(無水)カルボン酸変性ポリオレフィン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やプロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体等]、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ゴム系接着剤(ABS樹脂やMBS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等)等]、熱硬化性樹脂(二液硬化型ポリウレタン系樹脂など)等が例示できる。
【0049】前記接着性樹脂のうち、ゴム系接着剤又はゴム含有接着剤、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に、ゴム変性スチレン系樹脂(例えば、MBS樹脂)と、スチレン−ブタジエン共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンゴムなど)との組合せが好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂とスチレン−ブタジエン共重合体とを併用する場合、両者の割合(重量比)は、ゴム変性スチレン系樹脂/スチレン−ブタジエン共重合体=1/0.2〜1/4程度である。
【0050】接着層(D)と、樹脂層(A)又はバリア層(B)層との接着強度は、180°剥離試験(テンシロンRTA520、東洋精機(株)製、引張速度10mm/分)で、100g/15mm以上、好ましくは300g/15mm以上、さらに好ましくは1000g/15mm以上である。
【0051】[積層シート]本発明の積層シートは、バリア層(B)と、樹脂層(A)と、樹脂組成物層(C)を備えた支持層とで構成され、吸湿防止性やヒートシール性の点から、少なくとも一方の面に樹脂層(A)を備えている。
【0052】また、バリア層(B)を保護するために、バリア層(B)の両面に樹脂層(A)が積層されている。バリア層(B)と樹脂層(A)との積層方法は、特に制限されず、熱ラミネートなどにより積層してもよく、ドライラミネートなどにより接着層(D)を介してバリア層(B)と樹脂層(A)とを積層してもよい。好ましい態様では、樹脂層(A)とバリア層(B)とが、接着層(D)を介して積層体を構成している。
【0053】支持層は、樹脂組成物層(C)単独であってもよいし、樹脂組成物層(C)の少なくとも一方の面に積層され、かつ積層シートの表面に位置する樹脂層(A)とで構成された積層体であってもよい。ヒートシール性の点からは、支持層は、樹脂組成物層(C)の両面に樹脂層(A)が積層された積層体が好ましい。
【0054】樹脂層(A)の各厚みは、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜40μm程度である。
【0055】樹脂層(A)の合計厚みは、シート全体の厚みに対して、10〜40%、好ましくは15〜35%、さらに好ましくは20〜35%程度である。樹脂層(A)の合計厚みがこの範囲にあることにより、強度及び剛性のバランスに優れたシートとなる。樹脂層(A)の合計厚みが10%未満であると、切り込みやミシン目を設けるとシートが破断し易くなり、樹脂層(A)の合計厚みが40%を超えると、シートの減容性、剛性、成形性等が低下する。
【0056】バリア層(B)の厚みは、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm程度である。
【0057】樹脂組成物層(C)の厚みは、10〜700μm、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは50〜400μm程度である。
【0058】バリア層(B)と樹脂組成物層(C)との厚みの比は、バリア層(B)/樹脂組成物層(C)=1/3〜1/20、好ましくは1/5〜1/15、さらに好ましくは1/7〜1/14程度である。バリア層(B)と樹脂組成物層(C)との厚みの比が前記範囲にあると、シートのガスバリア性と剛性などの機械的特性とのバランスに優れる。
【0059】接着層(D)の厚みは、0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度である。
【0060】積層シート全体の厚みは、20〜1000μm、好ましくは30〜900μm、さらに好ましくは50〜800μm(例えば、70〜700μm、特に100〜500μm)程度である。
【0061】[積層シートの製造方法]本発明の積層シートの製造方法は、特に制限されず、ダイ内で各層を積層する共押出ラミネート法、溶融押出ラミネート法、予め作製した各層に対応するシート又はフィルムを、接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、又はこれらの方法を組み合わせた方法であってもよい。例えば、バリア層(B)の両面に樹脂層(A)を予め積層した積層体を用い、この積層体の少なくとも一方の面に、樹脂組成物層(C)を備えた支持層を溶融押出ラミネートする方法で本発明の積層シートを製造してもよい。特に、支持層が樹脂組成物層(C)と、この組成物層(C)の少なくとも一方の面に積層された樹脂層(A)とで構成されている場合は、支持層は共押出法を利用して溶融押出ラミネートにより調製できる。そのため、前記積層体の少なくとも一方の面、すなわち樹脂層(A)に対して、共押出成形とともに支持層の樹脂層(A)を強固にラミネートできる。
【0062】予め作製した各層に対応するシート又はフィルムは、慣用の方法、例えば、エキストルージョン法[ダイ(フラット状、T状(Tダイ)、円筒状(サーキュラダイ)等)法、インフレーション法等]などの押出成形法、テンター方式、チューブ方式、インフレーション方式等による延伸法等をにより成形することができる。前記シート又はフィルムは、延伸(一軸延伸、二軸延伸等)してもよいし、未延伸であってもよい。共押出法としては、各層用の樹脂組成物を、汎用のフィードブロック付きダイやマルチマニホールドダイ等を使用して共押出する方法により調製するのが好ましい。共押出法では、薄い表面層を得ることができ、かつ量産性に優れる。
【0063】[二次成形方法及び二次成形品]このようにして得られた前記積層シートは、成形性に優れるため、圧空成形(押出圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形等)、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、マッチモールド成形、熱板成形等の慣用の熱成形などで、簡便に二次成形することができる。また、前記積層シートは、ガスバリア性(非透湿度性や酸素バリア性等、特に酸素バリア性)や耐熱性や種々の機械的特性に優れるため、各種用途に使用することができる。二次成形品としては、例えば、容器(食品用容器や薬品用容器、飲料などの液体充填用容器等)や包装材料(食品又は薬品用包装材料など)等が例示できる。これらのうち、薄肉化しても、ガスバリア性や機械的特性に優れている点から、容器として使用するのが好適である。
【0064】容器は、被収容体を収容するための凹部を有する容器本体だけでなく、蓋体を含んでいてもよい意味に用いる。蓋体は、容器本体に対して、密閉又は開閉可能である限り、取り外し可能であってもよく、ヒンジ方式に結合していてもよい。容器は収容部から延じる側壁と、この側壁の上部から伸びるフランジ部を備えていてもよい。
【0065】また、蓋体は、ガスバリア性の高い金属箔(アルミニウム箔など)及び/又はフィルムで構成されたシーラント(トップフィルム)で形成してもよい。本発明では、表層に設けられた樹脂層(A)と同系統の樹脂を含むフィルム(例えば、ポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂フィルムや、ポリプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂とアルミニウム箔とで構成されたシーラント等)で容器の開口部や周縁部(例えば、フランジ部)をヒートシールするのが好ましい。特に、本発明では、シートの強度、剛性が高いので、複数の収容部を有する容器において、隣接する収容部と収容部との間に、ミシン目や切り込みを設けて、分割可能な容器としてもよい。本発明の積層シートは、ミシン目や切り込みを設けても、割れや破断が発生しない。
【0066】分割可能な容器は、内容物を密封した状態で分割して保存できるため、特に、容器内に食品(例えば、カレー、シチュー、惣菜、菓子等の固形状物、味噌、豆腐、プリン、ゼリー等のゲル状食品等)や薬品(例えば、固形製剤、顆粒、液状物等)等の内容物を密封充填した容器に有用である。
【0067】本発明では、樹脂層(A)が容器の内面に位置し、バリア層(B)が樹脂組成物層(C)よりも容器の内側に位置するのが好ましい。樹脂層(A)を容器の内面に位置させることにより、ヒートシール性を持たせることが容易となる。また、樹脂組成物層(C)を容器の外側に位置させると、アロイを形成した樹脂組成物層(C)により、パール状で重厚感に優れた外観となる。また、顔料などの着色剤を樹脂組成物層(C)に含有させると、さらに外観に優れた容器となる。
【0068】
【発明の効果】本発明の積層シートは、薄肉化しても、ガスバリア性(特に酸素バリア性)、成形性、及び剛性や強度等の機械的特性に優れる。特に、ミシン目や切り込みを形成しても割れや破断が生じない程度に、強度及び剛性に優れる。また、減容性、軽量性及びヒートシール性に優れる。従って、本発明の積層シートを用いると、優れた密封充填性を示す容器を容易に成形することができる。また、この容器は、軽量で復元力が弱く嵩張らないので、廃棄処分も容易である。さらに、強度や剛性に優れるため、分割可能な容器を容易に製造することもできる。よって、食品を収容又は包装するための容器として好適である。
【0069】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた各成分の略号の内容、及び各評価項目の評価方法は以下の通りである。
【0070】[各成分の略号の内容]PP1:ポリプロピレン(グランドポリプロF707V、(株)グランドポリマー製)
PP2:ポリプロピレン(出光ポリプロJ−465HP、出光石油化学(株)製)
PP3:ポリプロピレン(出光ポリプロJ−750H、出光石油化学(株)製)
変性PP:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(Modic−AP P502、三菱化学(株)製)
MBS/SB:MBS樹脂(メタブレンC−201、三菱レイヨン(株)製)とスチレン−ブタジエン共重合体(Kレジン KK38、フィリップス石油(株)製)との混合物、MBS樹脂/SB共重合体=1/3(重量比)
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体(エバールEP−H101、(株)クラレ製)
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(ジェイレクスEVA FL14−1、日本ポリオレフィン(株)製)
GPPS:ポリスチレン(トーヨースチロールGP HG915、東洋スチレン(株)製)
HIPS:耐衝撃性ポリスチレン(トーヨースチロールHI E640、東洋スチレン(株)製)
SBS:SBSブロック共重合体(タフプレン126、旭化成工業(株)製、ゴム含有量:60重量%)
SEBS:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(タフテックH1051、旭化成工業(株)製)。
【0071】[容器成形性]単発真空成形機(浅野研究所(株)製)によって、開口部径90mm、底部径80mm、高さ50mmのカップ状容器を成形し、容器と底面とコーナー(底面と側面との接する部分)の外観を目視観察して、下記の基準で評価した。
【0072】
○:均一に伸びて、均一な厚みに成形されている△:底面又はコーナーの厚みにムラがある×:底面又はコーナーの一部に破れがある。
【0073】[減容性]シートを流れ方向が長手となるようにサンプルシートを15mm×110mmの長方形に切り取った。サンプルシートを長手方向の中間位置で折り曲げた後、直径150mmで重さ500gの重りを、サンプルシートに覆い被さるようにして15秒間置いた。その後5分間放置し、折り曲げた部分の角度を測定し、下記の基準で減容性を評価した。
【0074】
○:70°未満△:70°以上90°未満×:90°以上。
【0075】[剛性]シートの流れ方向に、JIS K 7113に準じた2号ダンベルを打ち抜き、サンプルシートを得た。このサンプルシートを用いて、テンシロン(RTA520、東洋精機(株)製)により、試験スピード50mm/分で引張弾性率を測定し、下記の基準で剛性を評価した。
【0076】
○:1.96×109Pa(20000kgf/cm2)以上△:1.67×109Pa以上1.96×109Pa未満×:1.67×109Pa(17000kgf/cm2)未満。
【0077】[ミシン目強度]ミシン目打ち抜き刃(刃長:14mm、刃幅:0.32mm、ミシン目ピッチ:カット5mm/カット残し0.5mm、刃角度:30°、ダンベル(株)製)を用いて、サンプルシートの下に厚紙を敷いてシートの流れ方向に刃が入るようにシートを打ち抜いた。ミシン目強度を下記の基準で評価した。
【0078】
○:打ち抜き後ミシン目が保持されており、手で引き裂かない限りミシン目が切れない△:打ち抜き後ミシン目が保持されているが、簡単に切れてしまう×:打ち抜くと同時にシートが切れてしまう。
【0079】実施例1〜7及び比較例1〜2(A)〜(D)層として、以下の成分で構成された層を用いた。
【0080】(A)層:PP1(B)層:EVOH(C)層:GPPS/HIPS/SBS/PP=50/20/10/20(重量比)の割合で含む組成物(D)層:MBS/SB表1に示す層構成で、A−D−B−D−Aで構成されている積層シートを共押出で成形した。表1に示す層構成で、A−C−Aで構成されている積層シートを共押出法で成形した。これらの積層シートを、200℃でヒートラミネートし、表1に示す厚みの積層シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0081】実施例8〜9A−C−Aで構成された積層シートの代わりに、(C)層で構成された単層体を用いる以外は実施例1と同様にして、表1に示す厚みの積層シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0082】比較例3A−C−Aで構成された積層シートをヒートラミネートする以外は実施例1と同様にして、表1に示す厚みの積層シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0083】比較例4(A)〜(D)層として、以下の成分で構成された層を用いた。
【0084】(A)層:PP2(B)層:EVOH(C)層:HIPS(D)層:EVA/変性PP=90/10(重量比)の割合で含む組成物表1に示す層構成で、A−D−B−D−Cで構成されている積層シートを共押出で成形し、表1に示す厚みの積層シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0085】比較例5(A)〜(D)層として、以下の成分で構成された層を用いた。
【0086】(A)層:PP3(B)層:EVOH(C)層:HIPS(D)層:EVA/変性PP/SEBS=80/10/10(重量比)の割合で含む組成物表1に示す層構成で、A−D−B−D−Cで構成されている積層シートを共押出で成形し、表1に示す厚みの積層シートを得た。得られたシートの評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】なお、表1中、(A)層の割合(%)は、積層シート全体の厚みに対する(A)層の合計厚みの割合を示す。
【0089】表1から明らかなように、実施例のシートは各種性能に優れる。これに対して、比較例1では、(A)層の厚みが小さすぎるので、ミシン目強度が低い。比較例2及び3では、(A)層の厚みが大きすぎるので、減容性や剛性、成形性が低い。比較例4では、(A)層の厚みが小さく、(C)層がHIPSだけで構成されているので、ミシン目強度が低い。比較例5では、(A)層の厚みが大きく、(C)層がHIPSだけで構成されているので、減容性や剛性、成形性が低い。
【出願人】 【識別番号】501073426
【氏名又は名称】ダイセルパックシステムズ株式会社
【出願日】 平成13年10月4日(2001.10.4)
【代理人】 【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
【公開番号】 特開2003−112392(P2003−112392A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−308527(P2001−308527)