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ガスバリア性積層フィルム - 特開2003−112385 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ガスバリア性積層フィルム
【発明者】 【氏名】岡本 昌司
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】志波 賢人
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】穴田 有弘
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】大西 早美
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【要約】 【課題】食品包装等に良好に使用できる、高湿度下でも優れたガスバリア性を有する積層フィルムの提供。

【解決手段】基材フィルムの上に無機物層と有機物層とが積層されたフィルムであって、前記有機物層が、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物(A)と、分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物(B)を含有するコート剤から得られることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材フィルムの上に無機物層と有機物層とが積層されたフィルムであって、前記有機物層が、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物(A)と、分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物(B)を含有するコート剤から得られることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【請求項2】 無機物層が金属酸化物からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項3】 無機物層が酸化珪素からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項4】 無機物層が金属窒化物からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項5】 無機物層が窒化珪素からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項6】 無機物層が金属酸化物と金属窒化物の混合物からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項7】 無機物層が酸化珪素と窒化珪素の混合物からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項8】 酸化珪素と窒化珪素の混合物において、酸素原子数と窒素原子数の比、O/(O+N)、が0.2〜0.9であることを特徴とする請求項7記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項9】 化合物(A)がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜8記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項10】 化合物(B)が1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜8記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項11】 化合物(A)がポリビニルアルコールであり、化合物(B)が1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜8記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項12】 有機物層に、化合物(B)中のカルボキシル基に対して0.1〜20当量%のアルカリ化合物を含有することを特徴とする請求項1〜11記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項13】 基材フィルムがナイロン6、またはポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであることを特徴とする請求項1〜12記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項14】 基材フィルムがポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホンから選ばれる1種、またはそれらのうちの2種以上の樹脂の混合物からなるフィルムであることを特徴とする請求項1〜12記載のガスバリア性積層フィルム。
【請求項15】酸素透過度が10ml/m2dayPa以下であることを特徴とする請求項1〜14記載のガスバリア性積層フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高湿度下においても優れたガスバリア性を有する積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムは強度、透明性、成形性、ガスバリア性に優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかしながら、レトルト処理食品等の長期間の保存性が求められる用途に用いる場合には、さらに高度なガスバリア性が要求される。
【0003】ガスバリア性を改良するために、これらの熱可塑性樹脂フィルムの表面にポリ塩化ビニリデン(PVDC)を積層したフィルムが食品包装等に幅広く使用されてきたが、PVDCは焼却時に酸性ガス等の有機物質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに他材料への移行が強く望まれている。
【0004】PVDCに代わる材料として、ポリビニルアルコールが挙げられる。これは有毒ガスの発生もなく、低湿度雰囲気下でのガスバリア性も高いが、湿度が高くなるにつれて急激にガスバリア性が低下し、水分を含む食品等の包装には用いることができない場合が多い。
【0005】ポリビニルアルコールの高湿度下でのガスバリア性の低下を改善したフィルムとして、ビニルアルコールとエチレンの共重合体(EVOH)からなるフィルムが知られているが、高湿度下でのガスバリア性を実用レベルに維持するためにはエチレンの含有量をある程度高くする必要がある。EVOHをコーティング材料として用いる場合には有機溶媒または水と有機溶媒の混合溶媒を用いて溶解させることが必要であり、環境問題の観点からも望ましくなく、また有機溶媒の回収工程などを必要とするため、コスト高になるという問題がある。
【0006】また、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸の部分中和物とポリビニルアルコールからなる水溶液をフィルムにコートし熱処理する方法が提案されているが(特開平10−237180号公報)、この方法では、フィルムのガスバリア性を高めるためには高温で長時間の加熱が必要であり生産性に問題があった。さらに高温で長時間反応させることによりフィルムが着色し、外観を損ねるため食品包装用には改善が必要である。
【0007】ポリビニルアルコールに架橋剤を加えて架橋することにより耐水化する技術は従来から種々知られており、例えばマレイン酸単位を含有するポリマーがポリビニルアルコールや多糖類などの水酸基と反応して耐水化されることは広く知られている。特開平8−66991号公報には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の25〜50%部分中和物とポリビニルアルコールからなる層が優れた耐水性を有することが知られている。また、特開昭49−1649号公報にはポリビニルアルコールにアルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体を混合することによりポリビニルアルコールのフィルムを耐水化する方法が述べられている。
【0008】このように、ポリマー分子を架橋することにより耐水化は達成されるが、一方で、酸素等の比較的小さな分子の侵入や拡散を防ぐことはできないため、十分なガスバリア性は得られていなかった。
【0009】最近では食品包装用だけでなく、多くの工業用フィルムにおいて、酸素および水蒸気に対するバリア性が要求されるようになってきた。たとえば、太陽電池素子の封止フィルム、高分子電解質を持つリチウム二次電池などの電池用包装フィルム、液晶や有機ELディスプレイのフィルム基板、使い捨てカイロの包装フィルムなどが挙げられる。これらはいずれも食品包装用のフィルムよりもさらに高いガスバリア性が要求されている。このため、このような工業用フィルムにおいてはアルミ箔を貼り合わせたり、アルミ蒸着を施したりしている場合もあるが、このようなフィルムは、透明ではないため内部が見えなかったり、リサイクルが困難であるという問題がある。また、酸化珪素や酸化アルミニウム、窒化珪素や窒化アルミニウムなどを蒸着したフィルムが用いられる場合もあるが、このようなフィルムではピンホールが残ったり、曲げなどに対してクラックが発生するという問題があり、更なる改良が求められていた。このような蒸着層のクラックの発生を抑えるために、蒸着層の上から高分子樹脂をオーバーコートする方法が用いられることがある。このような高分子系オーバーコートでは蒸着層のクラックの発生を抑制する効果はあるものの、これまでに高分子樹脂で蒸着層に匹敵するガスバリア性を有するものがなく、蒸着層にすでに存在するピンホールなどの欠陥を補うことは困難であった。また、蒸着層形成時にピンホールなどの欠陥が生じないよう、基材フィルムにあらかじめ高分子樹脂をアンカーコートする方法が用いられることがある。しかし、これまでに蒸着層に匹敵するガスバリア性を有するアンカーコート剤がなかったため、アンカーコートによっても十分なガスバリア性を有するフィルムは得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記のような問題に対して、蒸着層の欠陥を補うに十分なガスバリア性を有し、結果として高湿度下においてもベースとなる蒸着フィルムよりも高いバリア性を有するフィルムを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究の結果、基材フィルムの上に無機物層と特定の有機物層を積層することにより、それぞれの単独の層を形成したときよりも格段にガスバリア性が向上することを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は、基材フィルムの上に無機物層と有機物層が積層されたフィルムであって、その有機物層が、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物(A)と、分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物(B)を含有してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】本発明は、基材フィルムの上に無機物層と有機物層とが積層されたフィルムである。前記有機物層は、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物(A)と、分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物(B)よりなる必要がある。
【0014】有機物層を構成する、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物(A)(以下、単に化合物(A)と記載する)としては高分子、オリゴマー、低分子化合物の何れでもよい。高分子化合物としては例えばポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレートや、これらの共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、でんぷんや糖類、あるいは水酸基変成された各種高分子化合物や、ポリエチレングリコールのように両末端が水酸基である高分子化合物などが挙げられる。オリゴマーとしては例えばオリゴ糖や上記高分子化合物における分子鎖の短いものが挙げられる。低分子化合物としては例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、単糖類、多糖類、糖アルコールなど、さらには芳香族化合物としてカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)、レゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)などが挙げられる。これらの化合物の中でも特にポリビニルアルコールがガスバリア性の点で最も好ましい。
【0015】本発明において化合物(A)として好ましく用いられるポリビニルアルコールは、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化するなどの公知の方法を用いて得ることができる。ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。なお、ケン化方法としては公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を用いることができ、中でもメタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。ケン化度は100%に近いほどガスバリア性の観点からは好ましい。ケン化度が低すぎるとバリア性能が低下する。ケン化度は通常約90%以上、好ましくは95%以上で、平均重合度は50〜3000、好ましくは80〜2500、より好ましくは100〜2000のものがよい。
【0016】本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合してもよい。他のビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類などが挙げられる。
【0017】ポリビニルアルコールを用いる場合には、ビニルアルコール単位と他のビニル化合物単位のモル比は10/90〜100/0が好ましい。ポリビニルアルコール中の水酸基の比率が低すぎると、分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物(B)(以下、単に化合物(B)と記載する)とのエステル化反応率が低下し、本発明の目的とするガスバリア性フィルムを得ることができない。また、疎水性の共重合成分を多量に含有させると、後述するコート剤において水溶性が損なわれるので好ましくない。
【0018】有機物層を構成する化合物(B)は、分子内に下記構造式(1)で表される構造を含む化合物のことである。
【0019】
【化1】

【0020】ここでRは原子または原子団を表し、全て同じでも、全て異なっていてもよく、またいくつかは同じ原子または原子団であってもよい。Rとしてはたとえば水素や、塩素や臭素といったハロゲン原子のほか、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、エステル基、フェニル基等でもよく、メチル基やエチル基などのアルキル基でもよい。しかし、焼却時にダイオキシンが発生する可能性を考えると、Rには塩素原子を含まない方が環境上好ましい。また、化合物(B)は環状になっていてもよく、芳香環であってもよい。そのような場合には構造式(1)におけるRの数が少なくなることもある。
【0021】さらに、化合物(B)のカルボキシル基のうち、2つのカルボキシル基の間で作られる無水物構造を少なくとも1つ有する化合物も本発明においては構造式(1)で表される化合物と同様の効果を発現する。この様な化合物としては高分子、オリゴマー、低分子化合物の何れでもよい。高分子やオリゴマーとしては、ポリマレイン酸やポリマレイン酸無水物、およびこれらの共重合体、例えば(無水)マレイン酸とアクリル酸の(交互)共重合体、などが挙げられるが、コート剤としては粘度が低い方が取り扱いやすいので、なかでも数平均分子量が10,000未満であるオリゴマーが好ましい。
【0022】低分子化合物を用いればさらに粘度が低く取り扱いやすいので、より好ましく用いられる。その様な化合物としては1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、あるいはこれら化合物の無水物などが挙げられるが、特に1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が反応性の点で好ましい。
【0023】本発明で好ましく用いられる1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸は部分的にエステル化もしくはアミド化されていてもよい。なお、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸中のカルボキシル基は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してカルボン酸構造となるが、本発明ではこれら閉環、開環を区別せず1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸として記述する。
【0024】本発明の有機物層において、化合物(A)と、化合物(B)の質量比(A/B)は99/1〜1/99である必要があり、好ましくは75/25〜10/90、より好ましくは65/35〜15/85、さらに好ましくは60/40〜20/80、特に好ましくは50/50〜20/80の範囲である。化合物(A)の比率が1%未満であったり、99%を超える場合には、特に高湿度雰囲気下におけるフィルムのガスバリア性を発現させるために有効な架橋密度が得られず、本発明の目的とするガスバリア性フィルムを得ることができない。また、後述する熱処理条件において、短時間の熱処理でガスバリア性を発現させるためにはA/Bが65/35〜15/85の範囲とすることが特に好ましい。
【0025】本発明の積層フィルムを構成する有機物層は、化合物(A)、化合物(B)および溶媒を主な成分とするコート剤によって得られる。溶媒としては、水を主成分として使用することがコートフィルムを生産する上で好ましい。
【0026】コート剤の調製方法としては、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて公知の方法で行えばよく、撹拌機としては、ホモジナイザー、ボールミル、高圧分散装置など公知の装置を用いることができる。
【0027】前述のコート剤を調製する際には、アルカリ化合物を加えることが好ましく、特に化合物(B)のカルボキシル基に対して0.1〜20当量%のアルカリ化合物を加えることが好ましい。アルカリ化合物を適正量添加することにより化合物(B)の溶解度が増し、同時に、得られるフィルムのガスバリア性が格段に向上する。なお、化合物(B)の中で、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸は、アルカリ化合物を添加しなくても溶解性は良好である。
【0028】アルカリ化合物としては、化合物(B)中のカルボキシル基を中和できるものであればよく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、有機水酸化アンモニウム化合物等が挙げられる。
【0029】また、上記アルカリ化合物として、またはアルカリ化合物と併用して、アルカリ金属塩を加えることにより、アルカリ化合物と同様にガスバリア性が向上する。このようなアルカリ金属塩としては、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩等のほか、酢酸塩などの有機酸とアルカリ金属からなる塩等が好ましく、特に、次亜リン酸ナトリウムが好ましい。
【0030】有機物層として最も好ましい形態は、化合物(A)がポリビニルアルコールであり、化合物(B)が1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸であり、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸中のカルボキシル基に対して0.1〜20当量%のアルカリ化合物を含有するコート液から得られる場合である。
【0031】本発明において、有機物層に架橋剤成分を少量添加することによって、得られる積層フィルムのガスバリア性をさらに向上させることができる。架橋剤としては、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、ジルコニウム塩化合物などが挙げられる。
【0032】前記コート剤から得られる有機物層には、その特性を大きく損わない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などが添加されていてもよい。熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0033】強化材としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、フッ素雲母、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維、フラーレン(C60、C70など)、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
【0034】本発明のガスバリア性積層フィルムに用いられる基材フィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂、および液晶ポリエステル樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物よりなるフィルムまたはそれらのフィルムの積層体が挙げられ、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。なかでも、食品包装用としてはコストや物性の点から、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、耐熱性の要求される用途、たとえばフィルム型有機ELディスプレイ用基材フィルムにはポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホンから選ばれる1種、または2種以上の樹脂の混合物からなるフィルムが好ましい。
【0035】フィルムを製造する方法としては、熱可塑性樹脂を押出機で加熱・溶融してTダイより押し出し、冷却ロールなどにより冷却固化させて未延伸フィルムを得る方法、もしくは円形ダイより押し出して水冷あるいは空冷により固化させて未延伸フィルムを得る方法、あるいは熱可塑性樹脂を溶媒に溶解し、その溶液を流延して溶媒を除去乾燥する方法などが挙げられる。延伸フィルムを製造する場合は、未延伸フィルムを一旦巻き取った後、または連続して同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法により延伸する方法が好ましい。フィルム機械的特性や厚み均一性能面からはTダイによるフラット式製膜法とテンター延伸法を組み合わせる方法が好ましい。
【0036】また、フィルムとその上に積層される層の接着性を向上するためにフィルム表面にコロナ放電処理をしてもよく、アンカーコートをしてもよい。
【0037】本発明における有機物層の形成方法としては、化合物(A)と化合物(B)とを含有するコート剤をフィルムの表面にコートした後、例えば、加熱乾燥することによって得られる。溶解性の向上や乾燥工程の短縮、溶液の安定性の改善といった目的により、コート剤には、主成分である水の他にアルコールなどの有機溶媒を少量添加することもできる。
【0038】有機物層を形成するためには、無機物層を形成したフィルムまたは形成する前のフィルムに、前記コート剤をコーティングした後、フィルムを120℃以上、好ましくは150℃以上で熱処理することが好ましい。熱処理温度が低いとコート層における架橋反応を充分に進行させることができず、充分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが困難になる。熱処理時間があまり短すぎると上記架橋反応を充分に進行させることができず、充分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが困難になる。熱処理時間は通常1秒以上、好ましくは3秒以上がよい。ガスバリア性を高めるためには高温で長時間熱処理する必要がある。たとえば200℃で3分以上、あるいは220℃で15秒以上熱処理すれば非常に高いガスバリア性を示すフィルムが得られる。生産性やエネルギーの消費を考えれば熱処理時間は短い方が好ましいが、ガスバリア性を発現させるのに必要な熱処理時間と有機物層の組成との間には相関があり、たとえば200℃で熱処理をする場合、20秒以下の短時間で目的のガスバリア性を発現させるためには、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A/B)は前述のとおり65/35〜15/85の範囲であることが特に好ましい。
【0039】本発明における積層フィルムの有機物層の厚みは、フィルムのガスバリア性を十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くすることが望ましい。上限としては特にないが、あまり厚すぎるとベースフィルムの特性が活かせなくなるので、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることが望ましい。
【0040】また、化合物(A)と化合物(B)を含むコート剤をコートする際の溶液濃度は、液の粘度や反応性、用いる装置の仕様によって適宜変更されるものであるが、あまりに希薄な溶液ではガスバリア性を発現するのに充分な厚みの層をコートすることが困難となり、また、その後の乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。一方、溶液の濃度が高すぎると、混合操作や保存性などに問題を生じることがある。この様な観点から、固形分濃度は5〜60質量%の範囲であることが好ましく、10〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
【0041】混合溶液をフィルムにコーティングする方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング等の通常の方法を用いることができる。延伸に先だってコーティングを行うには、まず未延伸フィルムにコーティングして乾燥した後、テンター式延伸機に供給してフィルムを走行方向と幅方向に同時に延伸(同時2軸延伸)、熱処理するか、あるいは、多段熱ロール等を用いてフィルムの走行方向に延伸を行った後にコーティングし、乾燥後、テンター式延伸機によって幅方向に延伸(逐次2軸延伸)してもよい。また、走行方向の延伸とテンターでの同時2軸延伸を組み合わせることも可能である。
【0042】本発明における無機物層は、無機物から成る層であれば特に制限はない。一般にガスバリア性を発現させる目的で用いられる無機物層としてはアルミニウムなどの金属や、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、およびこれらの混合物などが挙げられる。アルミニウムなどの金属層は酸素、水蒸気の両方に対して高いバリア性を示すが、透明性に乏しい。金属酸化物層は酸素バリア性に優れ、透明性も高いが、水蒸気バリア性に乏しい。金属窒化物層は水蒸気バリア性に優れるが、茶褐色に着色することがある。高い透明性と高い酸素および水蒸気バリア性を発現させるためには、金属酸化物と金属窒化物の混合物を利用することが好ましく、酸化珪素と窒化珪素の混合物が好ましい。この場合、酸素原子数と窒素原子数の比を、O/(O+N)=0.2〜0.9とすると、特に高い透明性と、高いガスバリア性を示すので好ましく、O/(O+N)=0.3〜0.8がより好ましく、O/(O+N)=0.4〜0.8がさらに好ましい。
【0043】無機物層の形成方法は特に限定されない。たとえばアルコキシシランのような化合物を加水分解して酸化珪素の薄膜を形成するゾルゲル法や、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理気相成長法(PVD法)、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法などの化学気相成長法(CVD法)、メッキ法など公知の方法が挙げられる。また、無機物層の厚みに関しても特に限定されないが、通常0.0005〜1μmが好ましく、0.001〜0.1μmがより好ましく、0.005〜0.05μmがさらに好ましい。1μmを超えると曲げなどによってクラックが発生しやすくなったり、界面での剥離が起こったりするので好ましくなく、薄すぎると本来の目的であるガスバリア性が悪くなるので好ましくない。
【0044】無機物層と有機物層が基材フィルムの上に積層される順序は特に限定されない。また、このような層が何層あってもよいが、本発明においては無機物層と有機物層が最低1層ずつ形成されている必要がある。無機物層のピンホールやクラックをカバーする目的で有機物層をオーバーコートするのであれば、基材フィルムに無機物層を形成した後に有機物層を形成することになる。また、無機物層のピンホールなどの欠陥を防止するために、有機物層を平滑層として用いるのであれば、基材フィルムに有機物層を形成した後に無機物層を形成することになる。
【0045】本発明においては、基材フィルムにまず無機物層を形成し、その上に有機物層を形成することが好ましく、詳細な理由は不明であるが、このように両層を形成させた場合、有機物層、無機物層それぞれを単独に基材フィルムに形成したときのガス透過度の実測値を用いて計算される理論値よりも、はるかに高いバリア性を示す。
【0046】本発明によって得られる積層フィルムは、ガスバリア性の観点から20℃、85%RHにおける酸素透過度が10ml/m2・day・MPa以下であることが好ましく、より好ましくは5ml/m2・day・MPa以下であり、さらに2ml/m2・day・MPa以下が好ましい。前述のように有機物層を高温で長時間熱処理すれば非常に高いガスバリア性フィルムが得られる。この様な高いガスバリア性が要求されるような場合には、コートフィルムの20℃、85%RHにおける酸素透過度は2ml/m2・day・MPa以下が好ましく、特に1ml/m2・day・MPa以下であることが好ましい。
【0047】本発明の積層フィルムは、その上からラミネート加工することもできる。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
1.評価方法(1)酸素透過係数モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)により、コートフィルムを20℃、85%RHの条件で測定した。各層の酸素透過係数は、下記関係式を用いて適宜算出した。
1/QF=1/QB+L/PCただし、QF:積層フィルムの酸素透過度(ml/m2・day・MPa)
B:無機物層とベースフィルムの合計の酸素透過度(ml/m2・day・MPa)
C:有機物層の酸素透過係数(ml・μm/m2・day・MPa)
L:有機物層の厚み(μm)。有機物層をコートしたフィルムと未コートフィルムの平均厚みの差から求めた。
【0049】2.原料(1)コート剤原料・ポリビニルアルコール(PVA):ユニチカケミカル株式会社製、UF−100(重合度1000、ケン化度99.3以上)
・1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(BTC):新日本理化株式会社製、リカシッドBTW(2)基材フィルム・ポリエチレンテレフタレートフィルム:ユニチカ株式会社製、二軸延伸PETフィルム、エンブレット(厚み12μm)(以下、「PETフィルム」とする)
・ナイロン6フィルム:ユニチカ株式会社製、二軸延伸ナイロン6フィルム、エンブレム(厚み15μm)
・ポリアリレートフィルム:以下の手順にて作成した。
ポリアリレート樹脂(ユニチカ社製、U−ポリマー、U−100)を室温で塩化メチレンに溶かして、固形分濃度20質量%のドープを調製し、ベーカー式フィルムアプリケーターを用いてガラス板上に流延した。このガラス板を室温で放置して塩化メチレンを揮発させ、表面にべたつきが無くなってから流水をかけてフィルムをガラス板から剥がした。このフィルムの4辺を金属枠で固定して120℃で2時間減圧乾燥し、溶剤を完全に除去した。徐々に室温まで冷却した後フィルムを金属枠からはずして、厚み100μmのポリアリレートフィルムを得た。
・ポリカーボネートフィルム:日本ジーイープラスチックス株式会社製、レキサンフィルム(厚み100μm)
・ポリエーテルサルホンフィルム:厚み100μm使用した基材フィルムの物性を表1にまとめた。
【0050】
【表1】

【0051】(コート剤の調製)ポリビニルアルコールと水を混合し、90℃以上で過熱、攪拌して固形分濃度が20質量%の水溶液を調製した。これとは別に1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、水酸化ナトリウム、水を混合し、室温で攪拌することにより、固形分濃度が20質量%で、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の全カルボキシル基のモル数に対する水酸化ナトリウムのモル数の割合が10%の水溶液を調製した。これら2液を、ポリビニルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の質量比が30/70になるように混合し、コート剤を調製した。
【0052】実施例1PETフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成した(この無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例1とした)。このフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。このフィルムの酸素透過度は0.9ml/m2・day・MPaと非常にガスバリア性の高いものであった。結果を表2に示す。比較例1の酸素透過度は14.9ml/m2・day・MPaであり、また、後述する比較例8における、有機物層のみを形成したPETフィルムの有機物層の酸素透過係数は36.7ml・μm/m2・day・MPaであった。これらの数値と表2に示した有機物層の厚みの数値を用いて、前記関係式より有機物層、無機物層を両層を有する積層フィルムの酸素透過度を算出すると8.2ml/m2・day・MPaとなるが、上記実測値はこれより格段に低い値を示しており、ガスバリア性において著しい相乗効果が発現していることが認められる。
【0053】
【表2】

【0054】実施例2ナイロン6フィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例2とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0055】実施例3ポリアリレートフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例3とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0056】実施例4ポリカーボネートフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例4とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0057】実施例5ポリエーテルサルホンフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例5とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0058】実施例6PETフィルムの片面に窒化珪素の蒸着薄膜層(膜厚200Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例6とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0059】実施例7PETフィルムの片面に、酸素原子数と窒素原子数の比、O/(O+N)、が0.6になるように酸化珪素と窒化珪素の混合物を蒸着した薄膜層(膜厚200Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。(無機物層のみを形成した積層フィルムを比較例7とした。)このフィルムの物性は表2に示したように非常にガスバリア性の高いものであった。実施例1同様にして積層フィルムの計算上の酸素透過度を算出し、実測値と比較した。
【0060】比較例1〜7既述のように、実施例1〜7において、無機物層のみを形成し、有機物層をコートする前の各種蒸着フィルムの物性を比較例1〜7として表3に示した。
【0061】
【表3】

【0062】比較例8PETフィルムの片面に、PVAとBTCからなる上記コート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層がなく、有機物層のみが積層されたフィルムを得た。このフィルムの物性を表3に示した。
【0063】比較例9ポリビニルアルコールと水を混合し、90℃以上で過熱、攪拌して固形分濃度が20質量%の水溶液を調製した。これとは別にポリアクリル酸、水酸化ナトリウム、水を混合し、室温で攪拌することにより、固形分濃度が20質量%で、ポリアクリル酸の全カルボキシル基のモル数に対する水酸化ナトリウムのモル数の割合が10%の水溶液を調製した。これら2液を、ポリビニルアルコールとポリアクリル酸の質量比が30/70になるように混合し、ポリビニルアルコールとポリアクリル酸からなるコート剤を調製した。PETフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、上記のポリビニルアルコールとポリアクリル酸からなるコート剤をマイヤーバーでコートし、これを100℃で2分乾燥後に200℃で15秒間熱処理することにより、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。このフィルムの物性を表3に示した。ポリアクリル酸は本発明における化合物(2)と類似の構造を有するが、「分子内の連続する3個以上の炭素原子のそれぞれにカルボキシル基が少なくとも1個ずつ結合されている化合物」ではないために、ここで施した熱処理条件では十分なガスバリア性を発現できなかった。
【0064】比較例10PETフィルムの片面に酸化珪素の蒸着薄膜層(膜厚300Å)を真空蒸着法により形成したフィルムの上に、ユニチカ株式会社製ポリエステル水性エマルジョン(エリーテルKZA−5034)をマイヤーバーでコートし、これを130℃で30秒間の熱処理で乾燥、製膜し、無機物層と有機物層とが積層されたフィルムを得た。このフィルムの物性を表3に示したが、無機物層を積層したフィルムにオーバーコートを施しただけでは、ガスバリア性が大きく改善されないことが分かった。
【0065】
【発明の効果】本発明の積層フィルムは無機物層と有機物層との併用により、それぞれの層を単独で用いるよりも格段にガスバリア性に優れており、食品包装等の用途に広く用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東本町1丁目50番地
【出願日】 平成13年10月4日(2001.10.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−112385(P2003−112385A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−308697(P2001−308697)