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【発明の名称】 透明導電性積層体用フィルム
【発明者】 【氏名】吉田 哲男
【住所又は居所】神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人デュポンフィルム株式会社相模原研究センター内

【氏名】市橋 哲夫
【住所又は居所】神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人デュポンフィルム株式会社相模原研究センター内

【要約】 【課題】フィルム基材を用いた透明導電性積層体における、視認性とタッチ感を向上させる。

【解決手段】熱可塑性樹脂aからなるA層の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂bからなるB層を共押出法で設ける。かつ、少なくとも1軸以上の延伸が施された積層フィルムである。熱可塑性樹脂aは圧縮弾性率が2000N/mm2以下、熱可塑性樹脂bは圧縮弾性率が2100N/mm2以上である。フィルムは波長550nmでの光線透過率が70%以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明導電性積層体の基材として用いられるフィルムにおいて、熱可塑性樹脂aからなるA層の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂bからなるB層を共押出法で設け、かつ少なくとも1軸以上の延伸が施された積層フィルムであって、熱可塑性樹脂aは圧縮弾性率が2000N/mm2以下、熱可塑性樹脂bは圧縮弾性率が2100N/mm2以上であり、フィルムは波長550nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする透明導電性積層体用フィルム。
【請求項2】 熱可塑性樹脂bが、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項3】 熱可塑性樹脂aが、熱可塑性エラストマー樹脂であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項4】 熱可塑性エラストマー樹脂が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂であることを特徴とする請求項3記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項5】 少なくとも片面最外層が、熱可塑性樹脂bからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項6】 B層はA層の両面側に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項7】 可視光波長範囲における光線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層体用フィルム。
【請求項8】 タッチパネルに用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性体用積層フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電性積層体の基材として用いられるフィルム、およびこれを用いたタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】可視光領域で透明かつ導電性を有する薄膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミニネツセンスディスプレイなどの新しいディスプレイ方式や、タッチパネルなどに於ける透明電極の他、透明物品の帯電防止や電磁波遮断などのために用いられている。従来このような薄膜を備えた透明導電性積層体としては、ガラス上に酸化インジウム薄膜を形成した、いわゆる導電性ガラスがよく知られている。しかしこれは、基材がガラスであるために、可とう性や加工性に劣り、用途によっては好ましくない場合がある。
【0003】このため近年では、可とう性や加工性に加えて、耐衝撃性に優れかつ軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材とした、透明導電性積層体が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このようなフィルム基材を用いた従来の透明導電性積層体は、導電性薄膜の耐擦傷性に劣り、使用中に傷がついて電気抵抗が増大したり、断線を生じるといった課題があった。また、特にタッチパネル用の導電性積層体では、パネル面側からペンや指を用いて入力するため、タッチ感や押圧打点で強く接触する物であるため、これに抗しうる良好な耐久特性つまり打点特性を有していることが望まれる。
【0005】これら課題を解決するため、透明導電性薄膜を形成する積層体には、透明な粘着剤層を介して別の透明基材を貼り合わせることで、透明性および導電性薄膜の耐擦傷性を改良するとともにタッチパネル用途してのタッチ感や打点特性を改良する手段が、例えば特許2624930号公報に記載されている。しかしながらこの手段では、例えばタッチパネルを構成する際に透明導電性薄膜を形成する積層体に粘着剤層を積層する工程、さらにこの粘着剤層に透明基材を貼り合わせると言った非常に煩雑な工程が必要である。
【0006】本発明は、上記従来の課題に鑑み、フィルム基材を用いた透明導電性積層体において、煩雑な工程を必要とせず、その視認性と、タッチ感すなわち導電性薄膜の打点特性を改良すると共に、特にタッチパネル用として好適な積層体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の透明導電性積層体用フィルムは、透明導電性積層体の基材として用いられるフィルムにおいて、熱可塑性樹脂aからなるA層の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂bからなるB層を共押出法で設け、かつ少なくとも1軸以上の延伸が施された積層フィルムであって、熱可塑性樹脂aは圧縮弾性率が2000N/mm2以下、熱可塑性樹脂bは圧縮弾性率が2100N/mm2以上であり、フィルムは波長550nmでの光線透過率が70%以上であることを特徴とする。
【0008】本発明において熱可塑性樹脂aを構成する樹脂としては、いわゆる加熱することで柔らかくなり流動化し、成形可能となる熱可塑性樹脂である。たとえば、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等、あるいはそれら樹脂の共重合体や、ブレンド体が挙げられる。
【0009】本発明において熱可塑性樹脂aは、圧縮弾性率が2000N/mm2以下である。これは、好ましくは1500N/mm2以下、更に好ましくは1000N/mm2以下である。圧縮弾性率が2000N/mm2を超えると積層体の圧縮弾性率が高いため、タッチ感の優れた積層体とはならず、本発明の目的を達成しない。また本発明において熱可塑性樹脂bは、圧縮弾性率が2100N/mm2以上である。この圧縮弾性率が2100N/mm2未満の場合、樹脂の腰(硬さ)が無くなり、タッチパネルの用途などでは筆記性に劣ることになる。
【0010】この特性を満足する樹脂として、熱可塑性エラストマー樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーとは、溶融製膜可能なエラストマーであって、分子中にゴム弾性を有する柔軟性成分(ソフトセグメント)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント)からなる熱可塑性エラストマーである。かかる熱可塑性エラストマーとしては、例えばエステル系、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、塩化ビニル系、結晶性1,2−ポリブタジエン系、ポリアミド系、フッ素系、アイオノマー系、イソプレン系、など各種エラストマー等が挙げられる。
【0011】スチレン系エラストマーとしては、ソフトセグメントの種類によりポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレンなどに分けられ、ハードセグメントとソフトセグメントの結合様式により、リニアトリブロック、ラジアルブロック、マルチブロックなどの種類がある。
【0012】オレフィン系エラストマーとしては、オレフィン樹脂をハードセグメントとするエラストマーであって、ブレンドタイプと重合タイプがある。単純ブレンドの他に、有機化酸化物などで部分架橋したものや、コンパウンド時に分散されたゴム相を完全に架橋したエラストマーなどがある。
【0013】ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が1000〜3000の末端にヒドロキシ基を有するポリエステルおよび/またはポリ(オキシアルキレン)グリコール、ジイソシアネートおよび鎖伸長剤であるグリコールおよび/またはジアミンを、場合によっては末端ヒドロキシ基を有するポリカーボネートを更に加え、反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンを挙げることができる。ここでジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、シシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートが例示される。また鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−β−ヒドロキシエトキシベンゼンまたはエチレンジアミン、ブチレンジアミン、プロピレンジアミンが例示される。
【0014】ポリアミド系エラストマーとしては、例えばラウリルラクタム成分とポリ(オキシブチレン)グリコール成分とジカルボン酸成分との共重合体が挙げられる。この場合、エラストマーの硬さを変えるにはポリ(オキシブチレン)グリコールの分子量を変化させてもよいし、またラウリルラクタムの共重合割合を変化させても良い。
【0015】なお、ここで使用されるポリエステルとしては、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオールのポリエステルが例示され、またポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコール等のホモ重合体、およびこれらのブロック共重合体、ランダム共重合体が例示される。
【0016】さらに、任意的に使用されるポリカーボネートとしては、ビスフェノールAとホスゲンまたはジフェニルカーボネートとから重合されたものであって、末端にヒドロキシ基を有するものが例示される。
【0017】ポリエステル系としては、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体からなる。
【0018】高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルであり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであるが、この他にイソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであっても良い。
【0019】低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、プリ(ε―カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0020】本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体における低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
【0021】本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体は公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。あるいは、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。また、あらかじめ高融点結晶性セグメントをつくっておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法。高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法。さらにポリ(ε−カプロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合は、高融点結晶性セグメントにε―カプロラクトンモノマーを付加反応させるなど、いずれの方法をとっても良い。
【0022】なお、これらエラストマーを使用する際に、必要に応じて他の添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、更に透明性を挙げるために結晶核剤も添加することができる。例えばポリエステル系エラストマーを使用する場合、その透明性を向上させる方法としてポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの他のポリエステル樹脂とのブレンドや結晶核剤の添加が挙げられる。たとえば、結晶核剤の場合、添加量として0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%添加しても構わない。ここで該結晶核剤としては金属塩タイプやソルビトールのアセタールタイプなど公知の物を使用できる。例えばポリエステル系エラストマーの場合は、カルボン酸ナトリウム、アクリル酸および/またはメタクリル酸共重合ポリマーのナトリウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても構わない。
【0023】本発明においては、耐熱性や生産安定性からポリエステル系エラストマーが好ましく、透明性の点ではポリスチレン系やオレフィン系エラストマーが好ましい。また熱可塑性樹脂aは、本発明の目的を損なわない範囲で、単独で用いても、2種類上の樹脂を組み合わせても構わない。
【0024】本発明において熱可塑性樹脂bを構成する樹脂としては、いわゆる加熱することで柔らかくなり流動化し、成形可能となる熱可塑性樹脂である。たとえば、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0025】この中でも、押出特性や延伸特性の点でポリエステル樹脂が好ましい。該ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルである。かかるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の単独重合あるいは共重合体を挙げることができる。このポリエチレンテレフタレート共重合体における共重合成分は、ジカルボン酸成分であってもグリコール成分であっても良く、ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分としては例えばブタンジオール、ヘキサンジオール、等の如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これら共重合成分は単独または2種以上を使用することができる。
【0026】本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で製造することができる。例えばポリエチレンテレフタレートの単独重合体または共重合体の製法としては、テルフタル酸、エチレングリコールおよび必要の応じて加えた共重合成分をエステル化反応させ、得られた反応生成物を更に重縮合反応させてポリエステルとする方法、あるいはジメチルテレフタレート、エチレングリコール及び必要に応じて加えた共重合成分をエステル交換反応させ、得られる反応生成物を更に重縮合反応させてポリエステルとする方法が好ましく用いられる。なお、ポリエステルを製造する際に、必要に応じて他の添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、更に透明性を挙げるために結晶核剤等も添加することができる。
【0027】上記ポリエステルには、フィルムに適度の滑り性や作業性を持たせるために、不活性粒子を本発明の特性を損なわない範囲で添加しても構わない。該不活性粒子としては、例えば周期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する微粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素など)、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン等の如き耐熱性のよい高分子よりなる微粒子を挙げることができる。
【0028】また、近年触媒の改良によりアイソタクチックポリプロピレン樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン等のオレフィン樹脂や、シンジオタクチックポリスチレン樹脂等が開発された。例えばシンジオタクチックポリスチレン樹脂は耐湿熱寸法安定性が良好であり、また、押出成形も延伸も可能であり、透明性もあるといった特徴を有し、本用途の目的に於いても優位な特性を示す。なお、これら樹脂を単独で用いても、延伸性を更に向上させるために本目的の目的を超えない範囲で共重合体して使用しても構わない。
【0029】本発明のフィルムは、波長550nmにおける光線透過率が70%以上である。これが70%未満であると、透明導電性積層体としての必要な視認性が損なわれることになる。さらにこの光線透過率は、可視光波長範囲全域で70%以上であることがより好ましい。
【0030】また本発明のフィルムはその厚みが、50〜1000μmさらには75〜800μm、特に100〜500μmであることが好ましい。
【0031】また本発明のフィルムは、積層フィルムの最表面の片面もしくは両面に本発明の効果が損なわれない限りにおいて、接着性向上、制電性向上、離型性向上等表面改質のため、コーティング処理、コロナ放電処理などの表面処理をしても良い。コーティング処理等表面処理の方法としては、ポリエステル系塗布剤、ウレタン系塗布剤、アクリル系塗布剤を単独もしくは混合して、フィルム製造工程における工程内で塗布する方法、一旦ロール等のフィルム製品にした後に別の工程で塗布する方法などが挙げられる。
【0032】本発明フィルムは、熱可塑性樹脂aのA層と熱可塑性樹脂bのB層とを備えた積層体であって、少なくとも1軸以上の延伸配向構造を有する。例えば、熱可塑性樹脂aがポリエステル系エラストマーであり、かつ熱可塑性樹脂bがポリエチレンテレフタレートであり、該樹脂層のA層が内層であるB/A/B(ここで、/は層の構成を示す)タイプの3層構成、B/A/B/A/Bタイプの5層構成、さらにこれらの順序による7層、9層、n+1構成等マルチ積層構成が挙げられる。また、必要に応じて、熱可塑性樹脂bのB層が2層以上の場合、1層以上が違うポリマーで構成することができる。例えば、熱可塑性樹脂bが2種のポリマー(b1,b2)からなるとき、B1/A/B2(ここで、B1,B2は、それぞれ熱可塑性樹脂b1、b2のそれぞれの層を指す)タイプの3層構成、B1/A/B2/A/B1タイプの5層構成等を挙げることができる。これら層構成のうち3層、5層が好ましく、特に3層が好ましい。
【0033】また、熱可塑性樹脂aからなるA層の厚みは、1〜200μm、好ましくは、5〜150μm、更に好ましくは10〜100μmである。なおこの厚みとは、A層が複層の時はその合計層の厚みを指す。
【0034】また本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂bからなる層を少なくとも片面最外層に設けていることが好ましい。誘電体薄膜や透明導電膜を圧縮弾性率の低い熱可塑性樹脂aに形成すると、タッチ感は優れた物となるが、弾性率の低さから押し込み時の力が誘電体薄膜や導電膜に影響し、膜が破壊され結果として使い物にならなくなる場合が多い。
【0035】本発明のフィルムは共押出製膜法で製造するが、その具体例を、例えば上記3層フィルム(B/A/B)の場合について説明すると、先ず、熱可塑性エラストマー層A用に調整したエラストマーチップを乾燥、溶融する。これと並行して、ポリエステル層B用に調整したポリエステルチップを必要に応じ乾燥し、溶融する。続いて、これら溶融ポリマーをダイ内部で例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出し法により、積層未延伸フィルムを製造する。すなわちA層を形成するポリマーの溶融物とB層を形成するポリマーの溶融物を交互に形成されるように積層し、ダイに展開して押出す。この時、ダイ内部で積層されたポリマーは積層された形態を維持している。ダイより押出されたシートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。
【0036】この未延伸状態の延伸可能な積層ポリエステルフィルムは、テンター法、インフレーション法等の従来より知られている製膜方法を用いて製造することができる。
【0037】例えば、テンター方の場合、得られた積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度は積層している熱可塑性樹脂の内、最も高い熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、この用途の要求および使用する熱可塑性樹脂の特性にもよるが、1.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.0倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。1.5倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生し易くなる場合がある。
【0038】縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理は積層している熱可塑性樹脂の内、最も高い熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)より20℃高い温度から始める。そして熱可塑性樹脂の融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。この延伸開始温度は(Tg+40)℃以下であることが好ましい。また延伸最高温度は積層している熱可塑性樹脂の内、最も高い熱可塑性樹脂の融点(Tm)より(100〜30)℃低い温度であることが好ましい。
【0039】横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよい。通常逐次的に昇温する。例えばステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムの破れが起こり、好ましくない。また延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いとフィルムの熱収が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下し、好ましくない。一方延伸最高温度が(Tm−20)℃より高いとフィルムが柔らかくなり外乱等によってフィルムの破れが起こり、好ましくない。
【0040】横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、1.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.5倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。1.5倍以下とするとフィルムの厚み斑が悪くなり、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生し易くなる場合がある。
【0041】
【実施例】以下、実施例と比較例により本発明を詳述する。その中で、各評価特性値は以下の方法で測定した。
【0042】1.各層の厚みサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求める。
【0043】2.光線透過率島津製作所製の分光分析装置MPC−3100を用いて、光波長550nmにおける可視光線透過率を測定した。
【0044】3.圧縮弾性率熱可塑性樹脂a単体を押出し、3mm厚みのシートを作成した。得られたシートについてJIS K 7181に準拠して測定した。
【0045】4.タッチ感得られた積層体の表面を先端径3mmφの球状にした鉄棒で筆記を行い、そのタッチ感を下記基準で官能評価した。
○;書き味がソフトで非常に滑らかである。
△;書き味に若干ソフト感が劣るが、硬い感じまではしない。
×;書き味にソフト感がなく、非常に硬い感じがする。
【0046】[実施例1]熱可塑性樹脂aとしては、ポリエステル系エラストマー(帝人製の商品名「ヌーベラン B4032AT」)を用いた。これを110℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼称)を用いた。これには、平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加した。そしてこれを160℃で乾燥した。
【0047】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性エラストマーbを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0048】[実施例2]熱可塑性樹脂aとして、ポリエステル系エラストマー(帝人製の商品名「ヌーベラン P4110AT」)を用いた。これを110℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしてはPETを用いた。これには、平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加した。そしてこれを160℃で乾燥した。
【0049】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0050】[実施例3]熱可塑性樹脂aとして、PETにイソフタル酸を12モル%(全酸成分に対して)共重合した共重合PETを50重量%と、PETにナフタレンジカルボン酸を12モル%(全酸成分に対して)共重合した共重合PETを50重量%とをブレンドしたものを用いた。これを140℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしては、PETを用いた。これには、平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加した。そしてこれを160℃で乾燥した。
【0051】その後熱可塑性樹脂aを280℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.0倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.3倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0052】[実施例4]熱可塑性樹脂aとして、ポリエステル系エラストマー(帝人製の商品名「ヌーベラン B4032AT」)を使用した。これを110℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしては、ポリエチレン2,6−ナフタレート(以下、PENと呼ぶ)を用いた。これには、平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加した。そしてこれを170℃で乾燥した。
【0053】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを300℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを120℃で3.3倍に縦方向と、更に150℃で横方向に3.5倍延伸し、その後220℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0054】[実施例5]熱可塑性樹脂aとしては、ポリスチレン系エラストマー(クラレ製の商品名「ハイブラー 7125」)を60重量%に、ポリプロピレン(モンテル・エスディーケイ・サンライズ製の商品名「サンアロマ− PL500A」)を40重量%の比率でブレンドした物を、乾燥しないで用いた。熱可塑性樹脂bとしては、PETを用いた。これには、平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量添加した。そしてこれを160℃で乾燥した。
【0055】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0056】[実施例6]熱可塑性樹脂aとして、ポリスチレン系エラストマー(クラレ製の商品名「ハイブラー 7125」)を60重量%に、ポリプロピレン(モンテル・エスディーケイ・サンライズ製の商品名「サンアロマ− PL500A」)を40重量%の比率でブレンドした物を、乾燥しないで用いた。熱可塑性樹脂bとしては、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(出光石油化学製の商品名「ザレック S100」)を乾燥しないで用いた。
【0057】そして熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを300℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを120℃で1.5倍に縦方向と、更に120℃で横方向に1.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0058】[比較例1]熱可塑性樹脂aとして、PETを用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し、160℃で乾燥した。本例では、熱可塑性樹脂bを使用せず、熱可塑性樹脂aのみの構成とした。その後、熱可塑性樹脂aを280℃に加熱された単軸押出機に供給し溶融した後、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0059】得られたフィルムは、積層構成をとっていないため、光線透過率が高く、透明性は問題なかったが、該フィルムの剛性が強く、タッチ感に劣るものであった。
【0060】[比較例2]熱可塑性樹脂aとして、ポリエステル系エラストマー(帝人製の商品名「ヌーベラン B4032AN」)を用いた。これを110℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしては、PETを用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し、160℃で乾燥した。
【0061】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0062】使用したポリエステル系エラストマーの結晶性が高いためか、白濁し光線透過率がが30%と低く、透明に欠けた積層フィルムとなった。
【0063】[比較例3]熱可塑性樹脂aとして、PETを90重量%と、ポリエステル系エラストマー(帝人製の商品名「ヌーベラン P4110AN」)を10重量%ブンレンドした物を用いた。これを110℃で乾燥した。熱可塑性樹脂bとしては、PETを用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し、160℃で乾燥した。
【0064】その後熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で熱可塑性樹脂bのB層/熱可塑性樹脂aのA層/熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを100℃で3.3倍に縦方向と、更に120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を、表1に示す。
【0065】得られた積層フィルムは、光線透過率が高く、透明性は問題なかったが、芯層の熱可塑性樹脂aの圧縮弾性率が高いため、タッチ感に劣るものであった。
【0066】
【表1】

【0067】
【発明の効果】本発明により、フィルム基材を用いた透明導電性積層体において、煩雑な工程を必要とせず、その視認性、タッチ感を向上させることができた。
【出願人】 【識別番号】301020226
【氏名又は名称】帝人デュポンフィルム株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目1番1号
【出願日】 平成13年10月4日(2001.10.4)
【代理人】 【識別番号】100077263
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 純博
【公開番号】 特開2003−112384(P2003−112384A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−308468(P2001−308468)