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【発明の名称】 自然環境における分解性に優れたシート状複合体及びその印刷物
【発明者】 【氏名】狩野 俊也

【要約】 【課題】産業資材用シートとして有用であり、印刷性が高く、かつ自然環境において、例えば土中埋め立てにより容易に分解するシート状複合体の提供。

【解決手段】布帛を含む基布上に、バインダー及び微細粒子を含む被覆層を形成したシート状複合体において、布帛か、自然環境で分解する物質を含み、被膜層用バインダーも自然環境で分解する樹脂を主成分として含み、これらの分解性物質及び分解性樹脂が、複合体を自然環境に放置したとき、例えば土中埋め立てしたとき、それらの分解により複合体の形状が崩壊する含有量及び分布が基布及び被覆層に含まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1層の布帛を含む基布と、この基布の少なくとも1面に形成され、かつバインダー及び微細粒子を含む被覆層とを含むシート状複合体であって、前記繊維布帛が、自然環境において分解性を有する物質を含み、前記被覆層用バインダーが、自然環境において分解性を有する樹脂を主成分として含み、前記布帛中の分解性物質及びバインダー中の分解性樹脂が、前記複合体を自然環境下に放置されたとき、それらの分解によって前記複合体の形状が崩壊する含有量及び分布をもって含まれている、ことを特徴とする、自然環境における分解性に優れたシート状複合物。
【請求項2】 前記布帛中の分解性物質が、自然環境下において、微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性、及び酸化分解性の少なくとも1つの分解性を有する、微生物産生高分子物質、合成高分子物質、及び天然高分子物質から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項3】 前記布帛中の分解性物質が、前記基布の合計質量に対して70質量%以上の含有量で含まれている、請求項1又は2に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項4】 前記布帛が、織布、編布、不織布、及びこれらの2種以上の複合布から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項5】 前記被覆層のバインダー中の分解性樹脂が、自然環境において、微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性、及び酸化分解性の少なくとも1つの分解性を有する、微生物産生高分子物質、合成高分子物質、及び天然高分子物質から選ばれた1種以上の高分子物質からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項6】 前記被覆層のバインダー中の分解性樹脂の含有量が、前記バインダーの合計質量に対して50%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項7】 前記被覆層に含まれる微細粒子が、微生物非分解性の天然鉱物精製物および合成無機系物質の微粉体、並びに前記被覆層に含まれる微細粒子が、微生物分解性の天然生物由来物質及び合成有機系化合物の微粉体から選ばれた1種以上を含み、その含有量が前記被覆層の合計質量に対して10〜80質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項8】 前記被覆層に含まれる微生物非分解性微粉体が、ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、及び前記無機化合物の2種以上の複合体の微粉体から選ばれる、請求項7に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項9】 前記被覆層に含まれる微生物分解性の微粉体が、セルロース及びその誘導体、デンプン類及びその誘導体、穀物類の粉末、タンパク質類及びその誘導体、カルシウム含有有機化合物並びにこれらの変性体から選ばれる、請求項7に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項10】 前記基布用布帛が、糸条により構成される編織物から選ばれ、前記糸条が、モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、短繊維糸条、スプリット糸条、及びテープ糸条から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項11】 前記基布用布帛が、目合い空隙率6%未満の高密度織物から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項12】 前記基布用布帛が、目合い空隙率が6%以上20%未満の中密度織物から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項13】 前記基布用布帛が、目合い空隙率20%以上35%未満の低密度織物から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項14】 前記基布用布帛が、目合い空隙率35%以上80%以下の粗目織物から選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項15】 前記基布用布帛が不織布から選ばれ、この不織布を構成する繊維が、マルチフィラメント及び短繊維から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体。
【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシート状複合体の少なくとも1面上に印刷が施されている、自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物。
【請求項17】 前記印刷が、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、及びインクジェット印刷から選ばれた少なくとも1種の印刷方法により施されている、請求項16に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物。
【請求項18】 前記印刷が、水性インク、溶剤系インク、及び油性インクから選ばれた少なくとも1種を用いるインクジェット印刷法により施されている、請求項16に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物。
【請求項19】 前記印刷が、大豆油をベースとするインクを用いてなされている、請求項16〜18のいずれか1項に記載の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物。
【請求項20】 請求項1〜15のいずれか1項に記載のシート状複合体の使用ずみ材料及び請求項16〜19のいずれか1項に記載のシート状複合体印刷物の使用ずみ材料から選ばれた1種以上からなる土地埋め立て材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然環境における分解性に優れたシート状複合体及びその印刷体に関する。より詳しく述べるならば、本発明は例えば、トラック幌、野積みシート、屋形テントなどの防水帆布類、また例えば、中大型テント、内照式テント、養生シート、養生メッシュなど、建造物関連に用いるターポリン類、及びメッシュ類などの産業資材シートの使用ずみ体を廃棄するに際し、これらを土中埋め立て処理などのように自然環境に放置することによって、経時的に分解し、最終的には消滅させることのできるシート状複合体に関するものであり、さらに本発明は、インクジェットプリンターなどで画像(写真、イラスト、文字など)印刷を施した、広告、装飾に用いられた帆布、ターポリン、メッシュ類などに対してもその使用ずみ後に前記と同様の土中埋め立てなどのように自然環境に放置することにより分解することが可能な印刷体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トラック幌、野積みシート、屋形テントなどに使用される防水帆布類、中大型テント、内照式テント、養生シートなどに使用されるターポリン類、及び養生メッシュに使用されるメッシュ類などの産業資材シートは、合成繊維からなる織物を芯材として、これに合成樹脂を被覆して得られる繊維強化複合体である。通常、汎用の産業資材シートには、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維製の織物を芯材として用い、これを軟質ポリ塩化ビニル樹脂で被覆したものが広く用いられている。軟質ポリ塩化ビニル樹脂が汎用的に用いられる理由には、その性能と加工性とに優れ、しかもコスト面でも安価であることが挙げられる。特に軟質ポリ塩化ビニル樹脂では、他の合成樹脂とは異なり、ポリ塩化ビニル樹脂に配合する可塑剤量によって風合いと物性のコントロールが自在であると共に、さらにこれに、安定剤、充填材、防炎剤などを任意配合することによって、用途、要求性能に応じた、耐熱性、耐候性、防炎性などの特性を付与することが容易であることが、一層、汎用性と用途の拡大に通じているのである。
【0003】ところで、これらの軟質ポリ塩化ビニル樹脂加工された繊維強化複合体は通常、屋外で2〜5年の間使用に供され、使用ずみの老朽化したシートは産業廃棄物として、専門業者によって埋め立て処理されている。しかし、最近では、国内の産業廃棄物処理場が不足傾向となり、新たな処分場の造成にも、近隣自治体や住民の反対(抵抗)が強く、新規造成が一層困難な情勢となりつつある。埋め立ての問題は、これらの軟質ポリ塩化ビニル樹脂を始めとするプラスチック製品が腐らないで永続的に土中に残留することによる環境負荷の心配と、プラスチック類に添加された化学物質、特にホルモン攪乱性物質が地下水系中に漏洩するという懸念である。一方、塩化ビニル樹脂製品の焼却処理では、燃焼時に発生する塩化水素ガス(または塩化水素ガスと水蒸気との混和で生成する塩酸)が焼却炉を腐蝕するという問題と、さらに焼却時に有毒なダイオキシン類を発生する可能性が社会的に危惧されているという問題のために、プラスチック製品の産業廃棄物に関してはダイオキシン対策の設備を備えた焼却炉以外では焼却が規制されているのが実情である。従って専ら焼却処分される家庭ゴミにおいても、塩素系プラスチックの混入は甚だ好ましいことではないため、最近では食品包装材関連を中心とする使い捨て分野において、特に非塩素系プラスチックを用いた日用品が生活に浸透している。また、最近では産業廃棄物としての廃プラスチック類を、製鉄プラントで使用される高温炉のコークス代替燃料として利用する固形燃料化技術が推進されているが、塩化ビニル樹脂に関しては、塩素を前処理で除去する手間の問題から、コークス代替燃料の原料価値として、まだ低く位置付けされている。従って現状、ポリ塩化ビニル樹脂系の廃プラスチック類で、その再利用が可能と判別されるものに対しては、これらの粉砕処理物を固めて、板状、あるいは棒状に成型した部材が、ごく一部の用途で使用されている。しかし、屋外で長期間使用され、汚れが強固に付着し、さらに軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆層が老朽化した産業資材シートでは、このような粉砕再利用にすら適していない。
【0004】また、最近、産業資材シートの分野でも、ホルモン攪乱性物質やダイオキシンなどの化学物質問題、廃棄処理問題などを配慮して、PET繊維製の織物を非塩化ビニル系樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はポリウレタン系樹脂などで被覆したものが一部の用途で用いられ始めている。これら非塩化ビニル系樹脂は、焼却しても刺激性ガスを発生させる心配のないものであるが、一般の軟質ポリ塩化ビニル樹脂製の産業資材シートと同じ扱いで埋め立て廃棄される場合が多く、特別に分別回収される規模には至っていない。特に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂の代替樹脂に使用されているポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は耐腐蝕性・耐バクテリア性に優れるため、例え埋め立て処理を行っても、軟質ポリ塩化ビニル樹脂製品よりも永く土中に残留するという難点が存在する。従って、従来の軟質ポリ塩化ビニル樹脂製の産業資材シートのみならず、非塩ビ系樹脂製シートですら、埋め立てによる廃棄処理では依然、環境負荷を軽減させ得るものではなかったのである。
【0005】また、従来から、産業資材シート表面の一部分、または全面に印刷を施したものを、広告・宣伝目的で使用する事例が多く存在している。最近、デジタルカメラ、パーソナルコンピューターなどに取り込んだデジタル画像データを出力媒体に直接フルカラー印刷するインクジェット印刷が急速に普及したことにより、産業資材シートを出力媒体とする大型印刷のニーズが急増している。インクジェット印刷は、例えば印刷業界、広告業界、サイン・ディスプレイ業界、各種イベント業界、アミューズメント業界、建築・インテリア設計業界などの様々な商業分野において視覚的効果、宣伝効果の高い精密印刷メディアとして益々需要を伸ばしている。特に広告業界において、これらの印刷メディアは、その商業的目的からして例えば、商品(家電、雑誌、新譜、食品、メニューなど)、イベント、キャンペーン、バーゲンセールなど、次々と繰り出される商品や企画の告知・宣伝を主目的とするため、1週間から1ヶ月程度の短期用途が多いのが現状であるが、それ故、メディアの納品に対して、しばしば即納条件が課せられる場合も少なくない。そこでインクジェット印刷のように小ロット対応が可能で、しかも校正と修正がコンピュータで容易な印刷物の作製技術は、今や広告・宣伝業界にとって不可欠な印刷手段となっている。しかし、広告・宣伝業界では、それに関わるメディアが細分化しているだけ、総合的に広告メディアの消費量が膨大であり、従って、それに呼応して、これらメディアの廃棄量も圧倒的に多いのが現状である。
【0006】最近、また一方で、使い捨て用途を対象にして文具、雑貨、容器、食器、包装部材などのプラスチック製品に生分解性プラスチックが徐々に実用化され始めている。しかし、生分解性プラスチックを使用することにより、確かに、これら製品は、土中で経時的に分解・消失することが可能であるが、産業資材分野において、芯材の織物に生分解性繊維を使用し、さらに生分解性樹脂で織物を樹脂被覆した産業用複合シート、及び広告用印刷メディアであって、しかも特に、インクジェット印刷分野に適用可能な複合シートは、未だ開発されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、産業資材用シート材料として有用であり、かつその使用後に自然環境に放置、例えば土中埋め立て処理することによって、分解し、消滅させることができるシート状複合体、及びその印刷物を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合物は、少なくとも1層の布帛を含む基布と、この基布の少なくとも1面に形成され、かつバインダー及び微細粒子を含む被覆層とを含むシート状複合体であって、前記布帛が、自然環境において分解性を有する物質を含み、前記被覆層用バインダーが、自然環境において分解性を有する樹脂を主成分として含み、前記布帛中の分解性物質及びバインダー中の分解性樹脂が、前記複合体を自然環境下に放置されたとき、それらの分解によって前記複合体の形状が崩壊する含有量及び分布をもって含まれている、ことを特徴とするものである。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記布帛中の分解性物質が、自然環境下において、微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性、及び酸化分解性の少なくとも1つの分解性を有する、微生物産生高分子物質、合成高分子物質、及び天然高分子物質から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記布帛中の分解性物質が、前記基布の合計質量に対して70質量%以上の含有量で含まれていることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記布帛が、織布、編布、不織布、及びこれらの2種以上の複合布から選ばれることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記被覆層のバインダー中の分解性樹脂が、自然環境において、微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性、及び酸化分解性の少なくとも1つの分解性を有する、微生物産生高分子物質、合成高分子物質、及び天然高分子物質から選ばれた1種以上の高分子物質からなることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記被覆層のバインダー中の分解性樹脂の含有量が、前記バインダーの合計質量に対して50%以上であることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記被覆層に含まれる微細粒子が、微生物非分解性の天然鉱物精製物および合成無機系物質の微粉体、並びに前記被覆層に含まれる微細粒子が、微生物分解性の天然生物由来物質及び合成有機系化合物の微粉体から選ばれた1種以上を含み、その含有量が前記被覆層の合計質量に対して10〜80質量%であることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記被覆層に含まれる微生物非分解性微粉体が、ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、及び前記無機化合物の2種以上の複合体の微粉体から選ばれることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記被覆層に含まれる微生物分解性の微粉体が、セルロース及びその誘導体、デンプン類及びその誘導体、穀物類の粉末、タンパク質類及びその誘導体、カルシウム含有有機化合物並びにこれらの変性体から選ばれることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が、糸条により構成される編織物から選ばれ、前記糸条が、モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、短繊維糸条、スプリット糸条、及びテープ糸条から選ばれることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が、目合い空隙率6%未満の高密度織物から選ばれることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が、目合い空隙率が6%以上20%未満の中密度織物から選ばれてもよい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が、目合い空隙率20%以上35%未満の低密度織物から選ばれてもよい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が、目合い空隙率35%以上80%以下の粗目織物から選ばれてもよい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、前記基布用布帛が不織布から選ばれ、この不織布を構成する繊維が、マルチフィラメント及び短繊維から選ばれてもよい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物は、上記本発明のシート状複合体の少なくとも1面上に印刷が施されているものである。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物において、前記印刷が、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、及びインクジェット印刷から選ばれた少なくとも1種の印刷方法により施されていることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物において、前記印刷が、水性インク、溶剤系インク、及び油性インクから選ばれた少なくとも1種を用いるインクジェット印刷法により施されていることが好ましい。本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体の印刷物において、前記印刷が、大豆油をベースとするインクを用いてなされていることが好ましい。前記本発明のシート状複合体の使用ずみ材料及び前記本発明のシート状複合体印刷物の使用ずみ材料から選ばれた1種以上を土地埋め立て材として用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の廃棄処理性に優れたシート状複合体、及びその印刷体は、特定の分解性物質を含む繊維又は糸条によって構成された少なくとも1枚の布帛(低密度織物、中密度織物、低密度織物、粗目織物、及び不織布)を含む基布の片面、または両面に、特定の分解性樹脂を主成分として含むバインダー及び、微粉粒子を含有する被覆層が形成されているものである。本発明に用いる基布用布帛の糸条又は繊維に含まれている分解性物質としては、微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性及び酸化分解性の少なくとも1つの分解性を有する、微生物産生高分子化合物、合成高分子化合物、及び天然高分子化合物から選ばれた少なくとも1種が用いられる。このうち微生物分解性を有する、微生物産生高分子化合物、合成高分子化合物、及び天然高分子化合物としては、特定の環境条件下において、微生物が介在して、これら高分子化合物の主鎖、及び側鎖の結合を切断し、その低分子化を促すと同時に、微生物がこの低分子化合物を自らの栄養素として蓄積・代謝することによって、最終的には、これら高分子化合物が、CO2 とH2 Oにまで分解されるものが挙げられる。
【0010】基布用布帛の分解性物質として有用な微生物産生高分子化合物としては、多くの微生物(細菌)が菌体内で合成して、菌体内で顆粒状に蓄えている高分子量のポリエステル系化合物であり、これらは全てヒドロキシアルカン酸をモノマー単位とするポリ(ヒドロキシアルカナート:PHA)である。これらのモノマーは具体的に、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)、3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)、3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)、4−ヒドロキシ酪酸(4HB)の炭素数3〜5のカルボン酸である。微生物産生高分子化合物としては、上記モノマーを単独で重合して得られるホモポリマー(例えばポリ−4−ヒドロキシ酪酸:商標:バイオグリーン、三菱瓦斯化学(株))、あるいは2種以上のモノマーを重合して得られる共重合体樹脂などが本発明における分解性物質として使用できる。特に、上記3HBと3HVとの共重合体樹脂であるポリ(3HB−co−3HV:商標:バイオポール、日本モンサント(株)、商標:ビオファン、グンゼ(株))、3HBと4HBとの共重合体樹脂であるポリ(3HB−co−4HB)などが繊維糸条に好ましく使用できる。これらのポリ(ヒドロキシアルカナート:PHA)は、微生物の菌体内に蓄えられ、微生物が飢餓に遭遇した時に微生物自身で分解し、生命活動のエネルギー源として代謝・消費されるのである。また、グルコース、サッカロースなどの糖類を炭素源として微生物が菌体外に産生するバクテリアセルロース類、及び、グルコースなどの糖類を炭素源、クエン酸をアミノ酸源として微生物が菌体外に産生するポリアミノ酸類(σ−ポリリジン、γ−ポリグルタミン酸など)配合物、グルコースなどの糖類を炭素源として微生物が菌体外に産生する多糖類(D−グルコース残基がグルコースのC1 とC3 位でβ−グルコシド結合した直鎖状のβ−1,3−グルカン類:カードラン)、及び、グルコース、サッカロース、マルトースなどの糖類を炭素源として微生物が菌体外に産生する多糖類(α−1,4結合したマルトトリオースがα−1,6結合して繰り返し重合した直鎖状グルカン類:プルラン)などが挙げられる。これらの微生物生産高分子化合物の官能基を化学変性したもの、あるいは分子間架橋したものであってもよい。上記これらの微生物産生高分子化合物は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体として有するもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として紫外線照射による初期分解性を有することが好ましい。
【0011】基布用布帛の分解性物質として有用な合成高分子化合物としては、環状エステル(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトンなどのラクトン類)の開環重合によって得られるω−ヒドロキシ酸を単位とする脂肪族ポリエステル樹脂(商標:セルグリーンPH、ダイセル化学工業(株))、乳酸の脱水重合によって得られる平均分子量1万以下のポリ乳酸樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂)、及び、L−乳酸(グルコースの乳酸発酵で得られる)の環状2量体であるラクチドの開環重合によって得られる脂肪族ポリエステル系の高分子量ポリ乳酸樹脂(−OCHCH3 CO−)n (商標:ラクティー、(株)島津製作所、商標:レイシア、三井化学(株)、商標:ラクトロン、カネボウ(株)など)、(O−CH2 −CO−)ユニットを有するポリグリコール酸(脂肪族ポリエステル樹脂)、乳酸とグリコール酸との共重合体樹脂、乳酸と酪酸との共重合体樹脂、乳酸と吉草酸との共重合体樹脂、乳酸とリンゴ酸との共重合体樹脂、乳酸とカプロラクタムとの共重合体樹脂、その他、グリコール酸とラクトン類との共重合体などの脂肪族ポリエステル樹脂は分解性繊維糸条原料として好ましく使用できるものである。これらのなかでも繊維糸条原料としては特にポリ乳酸系樹脂が好適であり好ましく用いられる。またその他の共重合体樹脂として、ポリエステル−エーテル共重合体樹脂としては、環状エステル−エーテルの開環重合物、環状エーテルと環状エステル−エーテルとの開環共重合物、環状酸無水物と過剰の環状エーテルとの開環共重合物、ポリエーテルオリゴマーによる環状エステルの開環重合物、テレケリックオリゴマー間の縮合重合物、双環ラクトン類の開環重合によって得られる、テトラヒドロピラン環を有するアセタール−エステル型ポリエステル樹脂、エーテル−エステル型ポリエステル樹脂、並びに双環ラクトン類の開環重合によって得られるテトラヒドロフラン環を有するポリエステル樹脂などが挙げられる。また、ポリエステル−カーボネート共重合体樹脂としては、環状トリメチレンカーボネート、2,2−ジメチルトリメチレンカーボネートなどの開環重合物、及びこれらのカーボネートとラクトン類との共重合物、並びにこれらのカーボネートとエチレンオキサイド類との共重合物が挙げられる。また、ポリエステル−アミド共重合体樹脂としては、環状エステル−アミドの開環重合物、環状エステルと環状アミド(ラクタム)との開環共重合物、並びに脂肪族ポリエステルとポリアミド(ナイロン)との高分子間エステル交換反応物などが挙げられる。環状アミドとしては、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムが、またラクトンとしては、δ−バレロラクトン、並びにε−カプロラクトンなどが用いられるが、特にε−カプロラクタムとε−カプロラクトンとの共重合物が機械的物性と生分解性とに優れており実用に適するものである。
【0012】基布用布帛の分解性物質として有用な他の合成高分子化合物としては、脂肪族短鎖エステル系ポリオール(ジヒドロキシポリエチレンアジペート)と脂肪族ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)との重縮合によって得られる脂肪族ポリウレタン系樹脂、脂肪族ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)と脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバシン酸など)との重縮合によって得られる脂肪族ポリエステル系樹脂(商標:ビオノーレ、昭和高分子(株)、商標:ルナーレ、日本触媒(株)、商標:ユーペック、三菱瓦斯化学(株))、アルキレンオキサイドの開環重合によって得られるポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂を前駆体として、これをケン化(ケン化度77〜99モル%)して得られるポリビニルアルコール樹脂、及びポリ酢酸ビニル樹脂共重合体樹脂(例えば、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル化物、マレイン酸無水物及び、その開環物など、及びビニルピロリドン、ピバリン酸ビニルなどのビニル化合物、及び炭素数4以上の脂肪酸のビニルエステル類などとの共重合体)を前駆体として、これをケン化して得られるポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。特にポリビニルアルコール(系)樹脂が機械的強度と生分解性とに優れ、繊維糸条に用いる樹脂として好ましい。上記の合成高分子化合物の分解性は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体とするものであるが、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として太陽光線照射による初期分解性を有することが好ましい。これらの合成高分子化合物において、特に加水分解効率を高める分子構造としては、単位構造中に占めるエステル結合(−COO−)含有率が40〜80原子量%、特に45〜76原子量%であるものが好ましい。このような合成高分子化合物において、特に紫外線分解効率を高める手段として、遊離ラジカル(−O・)発生性の過酸素結合(−O−O−)を分子構造内に有する有機過酸化物、またはFe,Cu,Zn,Co,Mn,Niなどの金属を含有する有機金属錯体(例えば、フェロセン、サリチルアルデヒドの金属錯体)を添加することが好ましく、また、太陽光線分解型樹脂として、エチレン−一酸化炭素共重合体樹脂(CO含有量0.5〜5wt%)、及びポリビニルケトン樹脂、エチレン−ビニルケトン共重合体樹脂などのNorrishII型の光分解性樹脂、さらに1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリイソブチレンオキサイド樹脂などを生分解と併用することもできる。
【0013】基布用布帛の分解性物質として用いられる天然高分子化合物としては、亜麻、綿、い草、ケナフ、樹皮などの植物から分離・精製したセルロース、及びセルロースの水酸基をエステル化して得られる酢酸セルロース(アセテート)、硝酸セルロース(セルロイド)、またはセルロースの水酸基をエーテル化して得られるメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、セルロースを二硫化炭素で処理したキサントゲン酸塩、およびキサントゲン酸塩を酸性化して得られる再生セルロースなどが挙げられる。上記これらの天然高分子化合物の分解性は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主とするもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として太陽光線照射による初期分解性及び酸化分解性を有することが好ましく、特に本発明においては、汎用性と実用強度との観点から、綿毛を紡績して得られた糸条を用いることが好ましい。
【0014】本発明に用い得る分解性物質を含む糸条としては、上記の微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性及び酸化分解性の、何れかの分解性を有する、微生物産生高分子化合物、合成高分子化合物、及び天然高分子化合物から選ばれて公知の繊維紡糸法によって製造されたモノフィラメント繊維及びその糸条、マルチフィラメント繊維及びその糸条、短繊維及びその紡績糸条、スプリット糸条、テープ糸条などが挙げられる。モノフィラメント繊維及びその糸条、マルチフィラメント繊維及びその糸条の紡糸法としては、上記高分子化合物(天然高分子化合物を除く)を溶融温度(融点)以上の温度に加熱して流動性の粘重な溶融液化し、これを特定の口径の細孔を有する紡糸口金から押出して急激に冷却固化させて長繊維紡糸原糸とする従来公知の溶融紡糸法及び設備を用いて製造することができる。この製造方法に適した上記分解性高分子化合物は曳糸性の観点で150℃以上の融点を有し、かつ、柔軟性を有することが好ましく、例えば、ポリ乳酸長繊維を紡糸する場合には、乳酸に分子量2000〜20000のポリエチレングリコールを1〜10重量%共重合して得られたポリ乳酸系共重合体樹脂を用いることにより、曳糸性を改善し、さらに繊維の微生物分解性を高めることができる。また、長繊維紡糸原糸(マルチフィラメント糸条の場合、フィラメント数は50〜300本)は加熱延伸、または冷延伸により延伸されて、さらに撚糸されたものが好ましく使用できる。またモノフィラメント繊維は断面が芯鞘の2種の異なる上記高分子化合物による層構造を有するものであってもよい。このような芯鞘2層構造のモノフィラメント繊維からなる糸条は後述の粗目織物に用いることができる。この粗目織物の織り交点の接点は、芯鞘2層構造の鞘側に熱融着性の高分子化合物を用いることにより熱固定することができる。また粗目織物は、経糸と緯糸とを単純に重ね合わせて熱融着して製造されたものであってもよい。これらの糸条の繊度としては、111〜2222dtex(100〜2000デニール)の範囲のもの、特に138〜1111dtex(125〜1000デニール)の範囲のものが本発明において好ましく使用できる。マルチフィラメント糸条の繊度が100デニール未満だと、得られる織編基布複合体の引裂強力に劣り、またそれが2000デニールを越えて大きいと、得られるシート状複合体の破断強力及び引裂強力は向上するが、糸径が太くなり、織交点の凹凸が大きくなるため印刷が困難となることがある。
【0015】また、短繊維紡績糸条としては、上記高分子化合物(天然高分子化合物を除く)を、上記マルチフィラメント糸条と同様に溶融押出して紡糸した長繊維紡糸束(トウ)を長さ2〜6cmに切断し、得られたステープルを開繊し、ダブリングドラフトを掛けながら練条して得られたスライバを引き伸ばして繊維平行度を一定に揃えてロービング(粗糸)とし、これに所定の番手太さにドラフトと撚りを掛けてトウ紡績されたものである。また、天然高分子化合物、特に綿に関しては、綿花の綿毛を集めた綿塊を混打し、開綿した綿を梳綿して得られた梳綿スライバを練条し、これを粗紡した粗糸をさらに精紡・ドラフトして紡績されたものである。これらの糸の撚りは、単糸または2本以上の単糸を引き揃えてS(右)撚もしくはZ(左)撚によって加撚した片撚糸、単糸または2本以上の単糸を引き揃えて下撚りした加撚糸を2本以上引き揃えて上撚りを掛けた諸撚糸、その他強撚糸などの何れであってもよい。これらの短繊維紡績糸条は、単糸及び、双糸、さらには単糸3本以上の撚糸、またはこれらの2本合糸、あるいは2本合撚糸などの糸条を経糸及び緯糸として用いた短繊維紡績布帛が好ましく使用できる。これらの糸条の繊度としては591〜97dtex(10〜60番手)の範囲のもの、特に591dtex(10番手)、422dtex(14番手)、370dtex(16番手)、295dtex(20番手)、246dtex(24番手)、197dtex(30番手)などの短繊維紡績糸条が好ましく使用できる。短繊維紡績糸条の太さが97dtex(60番手)よりも小さいと、得られるシート状複合体の引裂強力が不十分になることがあり、またそれが591dtex(10番手)よりも大きいと、得られるシート状複合体の破断強力及び引裂強力は向上するが、糸径が太くなり、織交点の凹凸が大きくなるため印刷に適した平滑性を得ることが困難となることがある。
【0016】特にポリビニルアルコール糸条(マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条)の製造に関しては、有機溶媒系湿式冷却ゲル紡糸法が好ましく、この方法は、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、又はN,N′−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒中に溶解し、この溶液を紡糸原液として、これをメタノール、エタノールなどの貧溶媒からなる凝固浴槽中に湿式紡糸、または乾湿式紡糸して脱溶媒・凝固させ、得られた紡糸原糸を湿延伸に掛けた後、乾燥、熱処理させる方法である。本発明に用いるポリビニルアルコール糸条は、融点が150〜200℃、ケン化度が、酢酸ビニル量100モル%に対して77〜99モル%、特に92〜98モル%であるものが汎用性と実用強度、及び生分解性との観点において好ましい。
【0017】テープ糸条としては、T−ダイ押出機でフィルム状に押出した上記高分子化合物を、2〜50mm幅で流れ方向にスリットし、これを1軸延伸して得られる1〜30mm幅の扁平糸条(フラットヤーン)が挙げられる。また、スプリット糸条としては、これらの1軸延伸フラットヤーンを針刃ロールで割裂して機械的にマルチフィラメント化したものが挙げられる。一方、不織布としては、上記高分子化合物を長繊維化又は短繊維化したものを原料として、スパンボンド法あるいはメルトブローン法によって製造されたウエブをケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法などの何れかの方法に供して、繊維をその交絡点において接着して製造された不織布が挙げられる。これらの不織布の目付量に特に制限はないが、50〜400g/m2 で、目合い空隙率が特に0〜30%である不織布が本発明に適している。
【0018】また、これら基布用織布の経糸及び緯糸の打込み密度に特に限定はないが、この基布用織物の目合い空隙率(目抜け)は0〜80%の範囲の高密度織物、中密度織物、低密度織物及び粗目織物ものなどを用途に応じて使用できる。このうち、高密度織物とは空隙率が0〜5.99%のものであり、中密度織物とは空隙率が6〜19.99%のものであり、低密度織物とは空隙率が20〜34.99%のものであり、粗目織物とは空隙率が35〜80%のものである。目合い空隙率が80%を超えると印刷絵柄が不明瞭となるだけでなく、得られる織編基布複合体の強度、寸法安定性が不十分となることがある。本発明において、これらの基布の片面または両面には、分解性樹脂を主体として含むバインダー樹脂に、微粉粒子を配合してなる被覆層が形成されるものであるが、この被覆層の形成は、上記の分解性樹脂を主体として含むバインダー樹脂に微粉粒子を含有させた塗工剤のコーティング(塗布/乾燥)、またはデッピィング(浸漬/圧搾/乾燥)によって行われてもよく、あるいは、別工程で製造した上記の分解性樹脂を主体として含むバインダー樹脂に微粉粒子を含有させたフィルム・シートを熱溶融させて積層(熱・圧ラミネート)する方法、または接着剤を用いて積層(ドライラミネート)する方法の何れかによって行なわれていてもよい。特に低密度織物と粗目織物とに関しては、前者のコーティング、またはデッピィングによって印刷用被覆層を形成し、目合い空隙部を残存させたメッシュ状の織編基布複合体を製造するのに好適である。空隙率は織編基布の単位面積中に占める糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。また、これらの織編基布の目付量は、50〜400g/m2 のものが本発明に適している。
【0019】本発明に用いる基布用布帛としては、織布、編布、不織布、及びこれらの複合布帛のいずれも使用でき、織布としては、平織物(経糸と緯糸とも最少2本ずつ用いた最小構成単位を有する)、綾織物(経糸と緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文、8枚斜文など)、朱子織物(経糸と緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)などが好ましく使用できる。その他、拡大法、交換法、配列法、配置法、添糸法、削糸法などによって得られるこれらの変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織物などが挙げられる。編布としてはラッセル編が好ましく使用できる。これらの織編基布の製織は、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方式、ウオータージェット方式、エアジェット方式)などの従来公知の織機を用いて製織することができる。本発明に用いる、分解性物質を含む糸条によって構成される織編布の織り方としては、平織が最も汎用性が高く、また縦緯物性バランスにも優れ好ましい。また、本発明は織編布を構成する経糸糸条、及び緯糸糸条は、分解性物質単体から製造された糸条によって構成されていることが分解性の観点で最も好ましいが、分解性物質単体から上記糸条又は繊維を製造するにおいての加工性、または糸条又は繊維の物性、あるいは特性の改良・改善などを目的として、糸条又は繊維を構成する樹脂単位において、その質量の最大30質量%まで、難分解性樹脂をブレンドして糸条を構成していてもよく、あるいは他の難分解性樹脂から製造された繊維との混用糸条であってもよい。この時、ブレンド糸条または繊維、或は混用糸条又は繊維に含有される分解性物質の含有量が70重量%未満となると、得られる織編基布複合体の分解が不完全となるため好ましくない。
【0020】本発明の自然環境における分解性に優れたシート状複合体において、上記基布の、少なくとも片面には、分解性樹脂を主成分として含むバインダー及び、微粉粒子を含有している被覆層が形成されている。この被覆層用分解性樹脂は、被覆層に占めるバインダーの質量に対し、50質量%以上、特に70重量%以上であることが好ましく、それによって本発明のシート状複合体、及びその印刷物の分解性を向上させることができる。分解性樹脂の含有率が50質量%未満であると、得られるシート状複合体の自然環境における分解性が不完全となることがある。分解性樹脂としては、前述の微生物分解性、加水分解性、太陽光線分解性及び/又は酸化分解性を有する微生物産生高分子化合物、合成高分子化合物、及び天然高分子化合物などが挙げられる。特にバインダー用分解性樹脂として用いる微生物産生高分子化合物としては、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)、3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)、3−ヒドロキシプロピオン酸(3HP)、4−ヒドロキシ酪酸(4HB)の炭素数3〜5のヒドロキシアルカン酸をモノマー単位とするポリ(ヒドロキシアルカナート)類、及びバクテリアセルロース類、ポリアミノ酸類、(σ−ポリリジン、γ−ポリグルタミン酸など)配合物、直鎖状グルカン類などが挙げられる。これら前記微生物産生高分子化合物は、熱溶融による成型加工性、有機溶剤に可溶化させてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性、あるいはエマルジョン化されてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性の何れかを有するものである。上記ヒドロキシアルカナート類には必要に応じて可塑剤を配合してバインダー組成物に任意の可撓性を付与することができる。またこれらの微生物産生高分子化合物は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体として有するもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として太陽光線照射による初期分解性及び酸化分解性を有することが好ましい。
【0021】また、バインダー用分解性樹脂として用いる合成高分子化合物としては、ω−ヒドロキシ酸を単位とする脂肪族ポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸との共重合体樹脂、乳酸と酪酸との共重合体樹脂、乳酸と吉草酸との共重合体樹脂、乳酸とリンゴ酸との共重合体樹脂、乳酸とカプロラクタムとの共重合体樹脂、その他、グリコール酸とラクトン類との共重合体などの脂肪族ポリエステル樹脂など、前記に説明の脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。またその他の共重合体樹脂として、ポリエステル−エーテル共重合体樹脂、ポリエステル−カーボネート共重合体樹脂、ポリエステル−アミド共重合体樹脂などが挙げられる。上記ポリエステル系樹脂には必要に応じて可塑剤を配合してバインダー組成物に任意の可撓性を付与することができる。この可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどの非フタル酸系可塑剤、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステルなどの脂肪族ポリエステル系可塑剤、及び、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素3元共重合体樹脂、及びエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)−一酸化炭素3元共重合体樹脂などの高分子可塑剤などが挙げられる。また、ヒドロキシル基、カルボン酸(塩)基、(環状)エーテル基、アミノ基、4級アンモニウム(塩)基などの親水性基を含有する合成高分子化合物、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリエチレンポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ジシアンジアミド系樹脂、アミノプロテイン系樹脂など、及びポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体樹脂など、ポリアクリル酸ナトリウム、及び親水性基を分子構造中に導入したポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂などを用いることができる。この中で、特にポリエチレンオキサイド系樹脂、親水性ポリエステル系樹脂、親水性ポリウレタン系樹脂などはバインダー樹脂と機能を兼用して用いることができる。これらの合成高分子化合物は、熱溶融による成型加工性、有機溶剤に可溶化させてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性、あるいはエマルジョン化されてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性の何れかを有するものである。またこれらの合成高分子化合物は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体として有するもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として太陽光線照射による初期分解性及び酸化分解性とを有することが好ましい。これらの合成高分子化合物において、特に加水分解効率を高める分子構造としては、単位構造中に占めるエステル結合(−COO−)含有率が40〜80原子量%、特に45〜76原子量%であるものが好ましい。また、合成高分子化合物において、特に太陽光線分解効率を高める手段として、遊離ラジカル(−O・)発生性の過酸素結合(−O−O−)を分子構造内に有する有機過酸化物、またはFe,Cu,Zn,Niなどの金属錯体を添加することが好ましい。
【0022】また、バインダー用分解性樹脂として用いる天然高分子化合物としては、亜麻、綿、樹皮などの植物から分離・精製したセルロース(D−グルコースがβ−1,4結合で連結し、無水グルコース基構成単位当たり3個の水酸基を有する)及び酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース・キサントゲン酸塩、及び再生セルロースなどのセルロース誘導体、その他、絹糸のフィブロンタンパク質、ケラチンタンパク質、及びコラーゲン、ゼラチン、カゼイン、グルテンなどのタンパク質類、α−D−グルコースを構成単位として、α−1,4結合で重合したデンプンであるアミロース、アミロース鎖にさらにα−1,6結合で連結したデンプンであるアミロペクチン、α−D−グルコースを構成単位として環状に連結したデキストリン、酢酸置換デンプン、リン酸エステル化デンプン、ヒドロキシアルキル化デンプン、架橋デンプン、グラフト共重合デンプンなどのデンプン誘導体、その他、多糖類(キタンサンガム、プルラン)、海草抽出物(ガラクタン、アルギン酸)、甲殻類抽出物(キチン、キトサン)、植物抽出物(コンニャクマンナン、アラビアゴム)など、並びに、これらの誘導体が挙げられる。これらにはポリビニルアルコール系樹脂などの水溶性高分子などが併用されることが好ましい。上記天然高分子化合物は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体として有するもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理として太陽光線照射による初期分解性及び酸化分解性を有することが好ましい。
【0023】また、被覆層において、必要に応じて本発明に使用する補助バインダー樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹脂、酢酸ビニル−マレイン酸ジブチル共重合樹脂、酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂(VAE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などの酢酸ビニル系共重合樹脂、アクリル酸エステル−メタクリル酸メチル共重合樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂などのアクリル酸エステル系共重合樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂、アクリル系ポリウレタン樹脂などのポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、アイオノマー樹脂などの熱可塑性樹脂、更に、これらの樹脂構造中にヒドロキシル基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などを導入して水性化した官能基含有変性樹脂などが挙げられる。本発明において、これらの熱可塑性樹脂はエマルジョン、またはディスパージョンの形態で使用することが好ましい。その他、熱可塑性ゴムなども使用でき、これらは、ブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体などである。本発明において、上記バインダー樹脂は熱溶融による成型加工性、有機溶剤に可溶化させてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性、あるいはエマルジョン化されてコーティング、またはデッピィング可能な塗工性の何れかを有するものである。これらのバインダー樹脂には、被覆層の耐摩耗性向上の向上を目的として、本発明のシート状複合体の自然環境下、例えば土中における分解性能が損なわれない範囲において、硬化剤や架橋剤を添加してもよく、これらの硬化剤及び架橋剤としては、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などを、バインダー樹脂が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。
【0024】また、被覆層には、インクの定着と発色性を向上させることを目的として、定着剤を併用することができる。定着剤としては、インクの分子構造に含まれるスルホン酸基、カルボン酸基とイオン結合して水に不溶性の錯体を形成することができるカチオン性化合物を使用するのが好ましく、カチオン性化合物としてはカチオン系ポリマーが好ましく使用できる。カチオン系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン塩、ジメチルアミンエピハロヒドリン縮合体、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム縮合体、ポリビニルアミン塩、ポリアリルアミン塩、(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリスチレン4級アンモニウム塩、ポリビニールピリジウムハライド、ポリビニールベンジルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0025】また、被覆層には、インクの滲み防止性と発色性を向上させることを目的として、鉱物精製物、及び合成無機系化合物から選ばれた微生物非分解性物質からなる粉体であって、この粉体を被覆層の合計質量に対して10〜80質量%、特に30〜60質量%含有することが好ましい。微粉粒子の含有率が80質量%を超えると、被覆層の耐摩耗性が不十分になることがある。これらの粉体は、鉱物精製物、及び合成無機系化合物としては、ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、及び無機系化合物複合体から選ばれた1種以上である。これらを具体的に説明するならば、ケイ素化合物としてシリカ(二酸化ケイ素)、合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ藻土など、金属水酸化物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化スズ水和物、ホウ砂など、金属酸化物として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物など、金属炭酸塩化合物として、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウムなど、金属硫酸塩化合物として、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムなど、ホウ酸化合物としては、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウムなど、無機系化合物複合体として、アルミナ水和物、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ藻土などが挙げられる。これらの微粉粒子の粒径は、1〜20μm、特に2〜10μmであるものが好ましい。本発明の被覆層に用いるこれらの微粉粒子としては、シリカ、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、ケイ藻土などの無機系多孔質微粉粒子が、微生物の繁殖のコロニーとして好ましく、この中で特にシリカ(二酸化ケイ素)が印刷の観点で最も好ましい。シリカは、ケイ酸ナトリウムと鉱酸(硫酸)及び塩類を、水溶液中で反応させる湿式法によって得られた合成非晶質シリカが特に好ましい。合成非晶質シリカの平均凝集粒径としては、平均凝集粒径(コールカウンター法)1〜20μm、特に2〜10μmの合成非晶質シリカが好ましい。また、合成非晶質シリカは、3〜15質量%、特に5〜10質量%の含水率であることが好ましい。また特に上記天然物(鉱物)由来物質に関しては、必要に応じて、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸、などの脂肪酸またはその金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、またはこれらの変性物、有機ボラン、有機チタネート、シランカップリング剤などで微粉粒子の表面を被覆して改質したものを使用することもできる。本発明において、これらの鉱物精製物、及び合成無機系化合物などの微生物非分解性物質からなる粉体を被覆層中に含むことによって、本発明のシート状複合体の印刷性を向上し、印刷画像を鮮明とすると同時に、使用後には、これらのシート状複合体印刷物を自然環境下に放置すること、例えば土中埋め立て廃棄することが可能で、しかも分解残滓となる鉱物精製物は、何れも天然物由来物質のため、環境負荷を極めて低いものとすることができる。
【0026】また、被覆層には、インクの滲み防止性と発色性を向上させることを目的として、植物・動物・生物からの抽出物、及び合成有機系化合物から選ばれた微生物分解性物質からなる粉体を、被覆層質量に対して10〜80質量%、特に30〜60質量%含有されることが好ましい。微粉粒子の含有率が80質量%を超えると、被覆層の耐摩耗性が不十分になることがある。これらの粉体は、植物・動物・生物からの抽出物、及び合成有機系化合物、セルロース及びその誘導体、デンプン類及びその変性体、穀物類粉粒などの植物由来物質、また、タンパク質化合物、カルシウム質化合物、及びこれらの変性体などであってもよく、これらは具体的に亜麻、綿、樹皮などの植物から分離・精製したセルロース粉体及び酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体粉体、α−D−グルコースを構成単位として、α−1,4結合で重合したデンプンであるアミロース粉体、アミロース鎖にさらにα−1,6結合で連結したデンプンであるアミロペクチン粉体、α−D−グルコースを構成単位として環状に連結したデキストリン粉体、酢酸置換デンプン、リン酸エステル化デンプン、ヒドロキシアルキル化デンプン、架橋デンプン、グラフト共重合デンプンなどのデンプン誘導体の粉体、絹糸のフィブロンタンパク質化合物の粉体(シルク粉体)、ケラチンタンパク質化合物であるウール粉体、コラーゲンタンパク質化合物粉体、皮革粉砕物粉体、ゼラチン、カゼイン、グルテンなどのタンパク質化合物の粉体、リン酸カルシウム粉体、リン酸亜鉛カルシウム粉体、及び貝殻、珊瑚などの粉砕物などのカルシウム質化合物粉体、その他、多糖類粉体(キタンサンガム、プルラン)、海草抽出物粉体(ガラクタン、アルギン酸)、甲殻類抽出物粉体(キチン、キトサン)、穀物類粉体(小麦粉、トウモロコシ粉、大豆粉)など、及び、これらの誘導体が挙げられる。これらには、ポリビニルアルコール系樹脂などの水溶性高分子、または脂肪族ポリエステル系樹脂などの分解性樹脂などがバインダー樹脂として併用されることが好ましい。上記の植物・動物・生物からの抽出物は、バクテリア類、細菌類、カビ類などの微生物による分解性を主体として有するもので、さらに水分の存在下で、これら微生物による分解性を促進する加水分解性と、さらに土中埋め立ての前処理としての太陽光線照射による初期分解性及び酸化分解性を有することが好ましい。本発明において、これらの植物・動物・生物からの抽出物、及び合成有機系化合物などの微生物分解性物質からなる粉体を被覆層に含むことによって、本発明のシート状複合体の印刷性を向上させ、印刷画像を鮮明とすると同時に、使用後には、これらのシート状複合体を自然環境下に放置し、例えば土中埋め立て廃棄することが可能で、しかも植物・動物・生物からの抽出物などは、何れも天然物由来物質のため、環境負荷を極めて低いものとすることができる。また、これら被覆層に用いる粉体としては、上記の植物・動物・生物からの抽出物には、前記鉱物精製物などを併用して含んでいてもよい。
【0027】また、本発明のシート状複合体に防炎性が必要な場合には、適量の既知難燃剤を特別に被覆層中に含有させればよい。これらの難燃剤としては、リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物、シアナミド化合物、尿素化合物、ホウ素系化合物、硫黄系化合物などが挙げられ、これらはこれらはハロゲン原子を含まないため、使用後の焼却処分にも適している。また、本発明の織編基布複合体に色合いが必要な場合には、公知の着色顔料を特別に印刷用被覆層に適量含有させれば良く、これらの着色顔料としては、有機系顔料、無機系顔料など従来公知のもの、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジコ系、ベンチジン系、チオインジコ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリノン系、酸化チタン、カドミウム系、酸化鉄系、カーボンブラック系の顔料が挙げられる。
【0028】本発明のシート状複合体における被覆層の形成方法としては、上記の分解性樹脂を主体として含むバインダー及び、微粉粒子を含有し、かつ有機溶剤を媒体とする塗工液、あるいは水を媒体とする塗工液を、基布の表面に均一に塗布して乾燥させる方法、或は上記の分解性樹脂を主体として含むバインダーと、微粉粒子とを含有するコンパウンドをフィルム状に熱溶融させたもの、あるいは熱溶融させて製造したフィルムを、基布の表面に積層する方法の何れかを用いて行うことができる。被覆層を形成させる前者の方法、すなわち塗工液の塗布方法としては、特別に限定されるものではないが、これらの塗工液を基布の表面に均一、かつ均質に塗布することが可能な方式を用いることが望ましく、例えば、ディッピング法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法、フローコート法などが適している。本発明において、使用する基布としては、前記の高密度織物、中密度織物、低密度織物、粗目織物、及び不織布などを使用できるが、これらの中で、特に低密度織物と粗目織物、及び中密度織物の一部に関しては、ディッピング法が好ましく適用でき、基布の目付け質量に対して、固形分被覆量(基布全面)5〜120質量%、特に10〜80質量%で被覆することが好ましい。固形分被覆量が5質量%よりも少ないと、本発明のシート状複合体の印刷性、及び耐久性が不十分となり、また、目合い空隙率の大きな織物に対しては、120質量%を超える被覆は困難である。特に低密度織物と粗目織物へのディッピィング被覆によってメッシュ状シートを製造することができる。
【0029】高密度織物と中密度織物の一部に対する被覆層の形成には、上記塗工方法の何れでも適している。これらの塗工方法の組み合わせ、または、単一方式にて、塗工液を複数回コーティングまたはディッピィングし、これを乾燥させて、被覆層の形成を行ってもよい。また、被覆層の形成は、配合組成をそれぞれ異にする複数回のコーティングまたはディッピィングによって多層構造の印刷用被覆層を形成することもできる。例えば、それぞれの被覆層に用いられる微粉粒子の配合量を変えてコーティングまたはディッピィングを行い、塗工層ごとに微粉粒子の含有濃度勾配を持たせることによって、印刷性、印刷発色性などの改良を行うこともできる。また、それぞれの被覆層に用いられる微粉粒子の種類を変えてコーティングまたはディッピィングを行い、塗工層ごとに含有される微粉粒子の種類を変えることによって、印刷性、印刷発色性などの改良を行うこともできる。また、本発明の織編基布複合体の印刷用被覆層が、基布の両面に形成される場合、それぞれの面の被覆層の組成が、互に異なっていてもよい。これら被覆層の厚さに関して、特に制限はないが、上記塗工方法のいずれか、もしくは、組み合わせによって、固形分被覆量(基布片面)5〜250g/m2 、特に10〜160g/m2 で被覆することが好ましい。固形分被覆量が5g/m2 よりも少ないと、本発明のシート状複合体の印刷性、及び耐久性が不十分となることがあり、また、固形分被覆量が250g/m2 を超えると、得られるシート状複合体の自然環境、例えば土中における分解性が遅延化することがある。
【0030】また、被覆層を形成させる後者の方法、すなわちフィルム(シート)の積層方法としては、特別に限定されるものではないが、上記の分解性樹脂を主体として含むバインダーに、微粉粒子が配合されている樹脂コンパウンドをフィルム状に熱溶融させたもの、あるいは熱溶融させて製造したフィルムを、基布の表面に均一に積層する方法が望ましい。被覆層とするフィルムの製造方法としては、例えば、カレンダー圧延法、T−ダイ押出法、インフレーション吹出法などが適している。これらの何れかの方法によって製造されたフィルムは、フィルムの製造直後に、熱溶融した状態で、そのまま基布に積層してもよく、或は、これらのフィルムを、後工程でラミネーターを使用して基布に積層してもよい。フィルムの厚さは50〜300μm、であることが好ましく、特に80〜200μmであるものがより好ましく、これらを複数層重ねて積層することもできる。また、フィルム被覆量(基布片面)は、50〜400g/m2 であることが好ましく、特に80〜250g/m2 で被覆することがより好ましい。フィルム被覆量が50g/m2 よりも少ないと、本発明のシート状複合体の印刷性、及び耐久性が不十分となることがあり、また、フィルム被覆量が400g/m2 を超えると、得られるシート状複合体の土中分解性が遅延化することがある。フィルム被覆に用いる基布としては、高密度織物、中密度織物、低密度織物、粗目織物、及び不織布の何れも使用できる。また、フィルムの積層は、基布に分解性樹脂を含有する、あるいは水溶性樹脂を含有する接着剤を用いて積層接着してもよい。
【0031】また、特に本発明のシート状複合体の両面に被覆層を形成する場合、これに印刷を施したときに、片面の印刷絵柄が、他の面の印刷絵柄に透けて重なるのを防止する目的で、被覆層の下地に遮光層を設けることができる。この遮光層は、被覆層を形成する塗工液中、あるいは熱可塑性樹脂コンパウンド中にカーボンブラック、酸化チタンなどの隠蔽性の無機系顔料、縮合アゾ、シアニンブルー、キナクリドンなどの濃色有機系顔料、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末などの高隠蔽性の金属顔料、更に金属蒸着した無機系微粒子などを適量配合して形成することができ、その厚さは0.03〜0.15mmであることが好ましい。
【0032】本発明のシート状複合体の被覆層への印刷方法としては、公知の印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷など、何れの方法でも可能であるが、特にインクジェット印刷によって印刷を施すことが好ましい。インクジェット印刷は、市販のインクジェットプリンターを用いて容易に行うことができる。本発明の織編基布複合体に使用できるインクジェット印刷用のインクとしては、水性インク、溶剤系インク、油性インクのいずれを用いることができる。このうち水性インクは、顔料、染料の分散溶媒として水と水溶性有機溶剤を主成分とするものである。水溶性有機溶剤としてはジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類や、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル2−ピロリドンなどのピロリドン類をインクの湿潤剤として含み、また、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類をインクの浸透剤として含むものである。その他、水性インク組成中にはpH調整剤、界面活性剤、水性高分子分散剤、キレート化剤、消泡剤、防腐防黴剤などの添加剤が添加されていてもよい。また、油性インクにおいて、顔料の分散溶媒として、ガス油、ナフサ、あるいは150℃以上の沸点をもつ有機溶剤を主成分として含むものであり、また、溶剤系インクは顔料の分散溶媒として、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどの150℃以下の沸点をもつ有機溶剤を主成分として含むものである。溶剤系インク及び、油性インクの組成としては、有機系顔料、染料などの着色剤と有機溶剤の他、バインダー樹脂として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂を含み、その他添加剤として、界面活性剤、キレート化剤、防腐防黴剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0033】また、上記水性インク、溶剤系インク、及び油性インクに使用する顔料としては、公知の有機系顔料、無機系顔料、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジコ系、ベンチジン系、チオインジコ系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリノン系、酸化チタン、カドミウム系、酸化鉄系、カーボンブラック系の顔料などが挙げられる。また、特に水性インクにおいては染料も使用することができ、これらの染料としては、公知の天然染料、合成染料、例えばニトロソ系、ニトロ系、アゾ系、スチルベン系、ジフェニルメタン系、トリアリールメタン系、キノリン系、メチン系、ポリメチン系、チアゾ−ル系、インダミン系、インドフェノール系、アジン系、オキサジン系、チアジン系、アミノケトン系、オキシケトン系、アントラキノン系、インジゴイド系、フタロシアニン系の染料などが挙げられる。
【0034】また、本発明のシート状複合体に対する印刷、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷方法においては、それぞれの印刷方式に適応した市販の専用インクを使用することができる。これらの印刷インクの組成は、顔料、ビヒクル、補助剤に大別され、このうちビヒクルは、バインダー樹脂、可塑(軟化)剤、油、溶剤、ワックスなどの成分から構成されるものである。本発明のシート状複合体に対する印刷に用いるインクには、特に大豆油ベースのインクを用いると、得られる本発明の印刷体の自然環境下における分解が優れていて好ましい。大豆油ベースのインクとしては、ビヒクルに含まれる油に、大豆油を主成分として、桐油、あまに油などの乾性植物油を使用したもの、あるいはこれらの乾性植物油をマレイン酸、フマル酸、トリメリット酸無水物などの不飽和酸で変性したものが挙げられる。また、印刷インク用バインダー樹脂は、ロジン、セラック、ゼイン、ギルソナイトなどの天然樹脂、及び石灰ロジン、亜鉛硬化ロジン、ロジンエステル、エステルガム、ロジンと無水マレイン酸の付加化合物などの天然樹脂誘導体が主成分として含まれ、これにフェノール樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴムなどの合成樹脂を併用したものであることが好ましく、このようにすると得られる本発明の印刷体の自然環境下における分解性が高くなる。
【0035】
【実施例】本発明を実施例、及び比較例を挙げてさらに具体的に説明する。但し本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。実施例、及び比較例においてシート状複合体及びその印刷体の土中分解性能評価に関する試験方法は下記のとおりである。
【0036】(I)印刷性編織基シート状複合体の被覆層に、それぞれ水性インク、溶剤系インクを装備した市販のインクジェットプリンターを用いて音楽CDのジャケット絵柄(CARL ORFF・<CARMINA BURANA>/小澤征爾・ベルリンフィル/規格番号:PHCP1614/日本フォノグラム(株))を、1200mm×1200mm大にフルカラー拡大出力(インクジェット印刷)し、そのインクの吸収性、発色性の評価を下記基準により判定した。但し実施例1に関しては、100メッシュのストライプ絵柄が彫刻されたグラビアロールを有する印刷機を用い、10cm幅のストライプ柄を印刷し、80℃で乾燥した。
<実施例1に使用したグラビアインキ>商標:VCFL182(赤):東洋インキ製造(株):固形分含有量36重量% C.I.Pigment:Red-57含有量7重量% 40重量部商標:VCFL61(白):東洋インキ製造(株):固形分含有量44重量% C.I.Pigment:White-4含有量12重量% 60重量部1)水性インクによる印刷インクジェットプリンター機種名:Hi−Fi JET FJ−50(6色ピエゾ型):ローランドディー・ジー(株) 印刷出力:720dpiインク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ2)溶剤系インクによる印刷インクジェットプリンター機種名:ラミレスPJ−1304NX(オンデマンド方式):武藤工業(株)
インク顔料:シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、印刷出力:384dpi<印刷性の評価>○:インクの吸収性が良好で画像の輪郭がシャープであり発色も良好である。(印刷性良好)
△:インクが滲むか、或は発色が鈍い。
×:インクが滲み、発色も鈍い。(印刷性が悪い)
【0037】(II)土中分解性−A上記、(I)に記載の方法によりインクジェット印刷が施されたシート状複合体の裁断片(寸法:12cm×16cmサイズ)を埋没試験体として園芸用腐葉土上に水平に置き、試験体の上に園芸用腐葉土を15cmの厚さで覆い、試験体を園芸用腐葉土中に完全に埋没させた。この試験体埋没容器を常時30℃、湿度95%に保ち、3ヶ月後及び6ヶ月後に試験体を取り出した。(JIS K6593−1999参考)この試験体から採取した3cm×12cmのサンプルを30℃で24時間乾燥し、これにJIS L1096試験法(スコット形法)による揉み摩耗試験を施し、その劣化度合いを評価した。(東洋精機製作所(株)製、スコット耐揉摩耗試験機:揉み荷重1.0kgf)<土中分解性−Aの評価>◎:揉み回数1〜5回で試験片が破断、あるいは装着時に崩壊した。(土中分解性良好である)
○:揉み回数6〜20回で試験片が破断した。(土中分解がかなり進行している)
△:揉み回数21〜50回で試験片の表面だけが摩耗劣化した。(土中分解の進行が遅い)
×:揉み回数50〜100回で試験片に異常がない。(土中分解がかなり遅い、分解していない)
【0038】(III)土中分解性−B(II)で採取した3ヶ月後と6ヶ月後の埋没試験体から寸法3cm×16cmのサンプル採取し、30℃で24時間乾燥し、これを用いてJIS L1096試験法(ストリップ法)により引張強度を求め、初期値に対する保持率を評価した。
(東洋精機製作所(株)製万能引張試験機ストログラフV10:標線間隔100mm:引張速度200mm/min)<土中分解性Bの評価>◎:強度保持率10%以下(土中分解性良好である)
○:強度保持率11〜25%(土中分解が進行している)
△:強度保持率26〜50%(土中分解の進行が遅い)
×:強度保持率51%以上(土中分解があまり進行していない)
【0039】(IV)温水浸漬による前処理の効果(加水分解効果)
(I)でインクジェット印刷を施したシート状複合体の裁断片(寸法:12cm×16cmサイズ)を65℃の温水中に30日間浸漬した。この試験体に、(II)の土中埋没試験3ヶ月を施し、土中分解性A及びBを評価した。(評価基準は上記、土中分解性A及びBに同一である。)
【0040】(V)太陽光曝露による前処理の効果(太陽光線分解効果:実施例9,10)
(I)でインクジェット印刷を施した織編基布複合体の裁断片(12cm×16cmサイズ)を屋外で30日間太陽光線に曝露した試験体に、(II)の土中埋没試験3ヶ月を施し、土中分解性A及びBを評価した。(評価基準は上記、土中分解性A及びBに同一である)
【0041】[実施例1]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合してポリ乳酸系樹脂を調製し、この樹脂を溶融紡糸に供し、得られたフィラメントにPVA糊剤処理を施して、融点168℃、繊度555dtex(96フィラメント)の無撚マルチフィラメント糸条を得た。この糸条を経糸、及び緯糸として用いて平織粗目織物(経糸密度:5本/インチ×緯糸密度:5本/インチ:空隙率64%:布帛質量33g/m2)を製織した、得られた織物を基布として用い、これを下記配合組成からなる塗工液を充填した液浴中にディッピィング(浸漬)し、これを液浴から引き上げ、それと同時に、塗工液が付着した基布をマングルロールで圧搾し、余分な塗工液を除去し80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて、基布の両面上に被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は12g/m2(被覆率27質量%)であった。得られたメッシュ状編織基布複合体の厚さは、0.24mmであり、その質量は45g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する塗工液/炭酸カルシウム微粉粒子含有>ポリL−乳酸樹脂エマルジョン:固形分濃度40質量% 平均粒子径5μm:(商標:ランディCP−05A、ミヨシ油脂(株)) 175質量部無黄変型エステル系樹脂:固形分濃度62質量%(商標:アデカボンタイターHUX290H、旭電化工業(株)) 32質量部カルボキシメチルセルロース(商標:セロゲンWS、第一工業製薬(株)) 10質量部炭酸カルシウム:平均粒子径0.7μm(商標:μ−POWDER#90、備北粉化工業(株)) 34質量部含窒素ポリマーインクセット剤(固形分30wt%)(商標:スミレーズレジン#1001、住友化学工業(株)) 2重量部ポリアクリル酸塩分散剤、固形分40wt%、(商標:スミレーズレジンDS−10、住友化学工業(株) 1重量部蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)) 0.5重量部(※被覆層中に含有される炭酸カルシウム微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0042】[実施例2]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合して得られたポリ乳酸系樹脂を溶融紡糸し、得られた、融点168℃、繊度555dtex(96フィラメント)のマルチフィラメント撚糸糸条を経糸、及び緯糸に用いて製織し、得られた平織低密度織物(経糸密度:17本/インチ×緯糸密度:17本/インチ:空隙率22%:布帛質量102g/m2)を基布として用い、これを下記配合組成からなる塗工液を充填した液浴中にディッピィング(浸漬)し、これを液浴から引き上げると同時に、塗工液が付着した基布をマングルロールで圧搾し、余分な塗工液を除去し80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて、被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は38g/m2(被覆率27質量%)であった。得られたメッシュ状編織基布複合体の厚さは、0.27mmであり、その質量は140g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する塗工液/水酸化アルムニウム微粉粒子含有>実施例1で用いた<印刷用被覆層を形成する塗工液>の液組成中の炭酸カルシウム微粉粒子(商標:μ−POWDER#90、備北粉化工業(株)商標)34質量部を、水酸化アルミニウム微粉粒子(商標:ハイジライトH−43:平均粒子径0.6μm:昭和電工(株))34重量部に置き換えて配合し、その他は実施例1と同一のディッピング液組成とした。(※被覆層中に含有された水酸化アルミニウム微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0043】[実施例3]実施例2と同一の平織低密度織物を基布として用い、下記配合組成のコンパウンドをT−ダイ押出機(C1 :140℃、C2〜3:155℃、C4 :170℃、ダイス:175℃)にかけて得られた厚さ0.14mm、質量152g/m2 のフィルムを基布の両面に熱圧着して積層して被覆層を形成した。得られたシート状複合体の厚さは、0.46mmであり、その質量は406g/m2 であった。(被覆率75質量%)
<印刷用被覆層を形成する樹脂コンパウンド/シリカ微粉粒子含有>3−ヒドロキシ酪酸(HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(HV)との共重合体HB−HV(HV8質量%):融点144℃(商標:バイオポールD411G、日本モンサント(株)) 80質量部エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)融点45℃(商標:エルバロイ742、三井デュポンポリケミカル(株)) 20質量部シリカ:含水率6wt%(商標:ニップシールE−170、日本シリカ工業(株)
) 34質量部(※被覆層に含有されたシリカ微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0044】[実施例4]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合して得られたポリ乳酸系樹脂から溶融紡糸して得られたマルチフィラメント(融点168℃)70質量%と、平均重合度(p)1150、ケン化度97モル%のポリビニルアルコール樹脂を、ジメチルスルホキシド溶媒中に溶解した紡糸原液から、メタノール浴中にゲル紡糸−延伸し、脱溶媒・乾燥後、乾熱延伸して得られたマルチフィラメント(融点193℃)30質量%とを混撚して得られた繊度555dtex(96フィラメント)のマルチフィラメント糸条を経糸、及び緯糸に用いて製織した平織中密度織物(経糸密度:20本/インチ×緯糸密度:20本/インチ:空隙率13%:布帛質量118g/m2)を基布として用いた。下記配合組成のコンパウンドをT−ダイ押出機(C1 :115℃、C2〜3:125℃、C4 :135℃、ダイス:140℃)にかけて得られた厚さ0.14mm、質量152g/m2 フィルムを、前記基布の両面に熱圧着して積層し、被覆層を形成した。得られたシート状複合体の厚さは、0.46mmであり、その質量は422g/m2 であった。(被覆率72質量%)試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する樹脂コンパウンド/プロテイン微粉粒子含有>ポリブチレンサクシネート(PBS):融点114℃(商標:ビオノーレ#1020、日本モンサント(株)) 80質量部エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)融点45℃(商標:エルバロイ742、三井デュポンポリケミカル(株)) 20質量部平均粒子径3〜4μmのプロテイン(商標:出光シルクパウダーK−30、出光石油化学工業(株)) 34質量部(※被覆層に含有されるプロテイン微粉粒子の含有率は25質量%であった。)
【0045】[実施例5]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合して得られたポリ乳酸系樹脂から溶融紡糸して得られた、融点168℃)、繊度555dtex(96フィラメント)のマルチフィラメント撚糸糸条を経糸、及び緯糸に用いて製織した平織高密度織物(経糸密度:32本/インチ×緯糸密度:32本/インチ:空隙率1%未満:布帛質量192g/m2)を基布として用いた。この基布の片面に下記配合組成からなる塗工液をクリアランスコート法により均一塗布し、80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は40g/m2(被覆率17質量%)であった。得られたシート状複合体の厚さは、0.24mmであり、その質量は232g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する塗工液/ハイドロタルサイト微粉粒子含有>実施例1で用いた<印刷用被覆層を形成する塗工液>の液組成中の炭酸カルシウム微粉粒子(商標:μ−POWDER#90、備北粉化工業(株)商標)34質量部を、ハイドロタルサイト微粉粒子Mg4.5 Al2(OH)13CO3 ・3.5H2 O:平均粒子径1μm(商標:アルカマイザー、協和化学工業(株))34重量部に置き換えて配合したこと以外は実施例1と同一の液組成とした。(※被覆層に含有されるハイドロタルサイト微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0046】[実施例6]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合して得られたポリ乳酸系樹脂から溶融紡糸して得られた長繊維を6cmにカットしたステープル60質量%と、綿ステープル40質量%とを混紡して得た繊度492dtex(24番手双糸:撚糸)の短繊維紡績糸条を経糸、及び緯糸に用いて製織した平織スパン織物(経糸密度:51本/インチ×緯糸密度:51本/インチ:空隙率1%未満:布帛質量235g/m2)を基布として用いた。この基布の片面に下記配合組成からなる塗工液をクリアランスコート法により均一塗布し、80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は45g/m2(被覆率16質量%)であった。得られたシート状編織基布複合体の厚さは、0.3mmであり、その質量は280g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する塗工液/セルロース微粉粒子含有>ポリL−乳酸樹脂エマルジョン:固形分濃度40質量% 平均粒子径5μm(商標:ランディCP−05A、ミヨシ油脂(株)) 225質量部カルボキシメチルセルロース(商標:セロゲンWS、第一工業製薬(株)) 10質量部粒度400メッシュパスのセルロース(商標:KCフロックW400G、日本製紙(株)) 34質量部含窒素ポリマーインクセット剤(固形分30wt%)(商標:スミレーズレジン#1001、住友化学工業(株)) 2重量部ポリアクリル酸塩分散剤(固形分40wt%)(商標:スミレーズレジンDS−10、住友化学工業(株)) 1重量部蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)) 0.5重量部(※被覆層に含有されるセルロース微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0047】[実施例7]L−乳酸96質量%と、数平均分子量6000のポリエチレングリコール4質量%とを共重合して得られたポリ乳酸系樹脂から溶融紡糸して得られた長繊維を6cmにカットしたステープルを紡糸して得た繊度492dtex(24番手双糸:撚糸)の短繊維紡績糸条を経糸、及び緯糸に用いて製織した平織スパン織物(経糸密度:51本/インチ×緯糸密度:51本/インチ:空隙率1%未満:布帛質量246g/m2)を基布として用いた。下記接着層形成用塗工液を充填した液浴中に前記基布をディッピィング(浸漬)し、これを液浴から引き上げると同時に、塗工液が付着した基布をマングルロールで圧搾し、余分な塗工液を除去し80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて、被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は46g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<接着層形成用塗工液>ポリL−乳酸樹脂エマルジョン:固形分濃度40質量% 平均粒子径5μm(商標:ランディCP−05A、ミヨシ油脂(株)) 225質量部無黄変型エステル系:固形分濃度62重量%(商標:アデカボンタイターHUX290H、旭電化工業(株)) 16質量部次に、接着層を形成した平織スパン織物の片面に、下記配合組成のコンパウンドをT−ダイ押出機(C1 :115℃、C2〜3:125℃、C4 :135℃、ダイス:140℃)にかけて得られた厚さ0.12mm、質量130g/m2 のフィルムを熱圧着して積層し、被覆層を形成した。得られたシート状複合体の厚さは、0.46mmであり、その質量は422g/m2 あった。(被覆率42質量%)
<被覆層を形成する樹脂コンパウンド/炭酸カルシウム微粉粒子含有>ポリブチレンサクシネート(PBS):融点114℃(商標:ビオノーレ#1020、日本モンサント(株)) 80質量部熱可塑性ポリウレタン(エステル系):硬度81A(商標:エステン54610、協和発酵工業(株)) 20質量部炭酸カルシウム:平均粒子径0.7μm(商標:μ−POWDER#90、備北粉化工業(株) 34質量部(※被覆層に含有される炭酸カルシウム微粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0048】[実施例8]綿不織布(商標:コットエースCO80S/A18:目付け量80g/m2)を基布として用いた。この基布の片面に下記配合組成からなる塗工液をクリアランスコート法により均一塗布し、80℃の熱風炉中で1分間乾燥させて被覆層を形成した。塗工液の乾燥付着量は27g/m2(被覆率25質量%)であった。得られたシート状複合体の厚さは、0.29mm、であり、その質量は107g/m2 であった。試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する塗工液/小麦微粉粒子含有>ポリL−乳酸樹脂エマルジョン:固形分濃度40質量% 平均粒子径5μm(商標:ランディCP−05A、ミヨシ油脂(株)) 225質量部カルボキシメチルセルロース(商標:セロゲンWS、第一工業製薬(株)) 10質量部小麦粉(商標:日清薄力粉、日清製粉(株)) 34質量部含窒素ポリマーインクセット剤(固形分30wt%)(商標:スミレーズレジン#1001、住友化学工業(株)) 2重量部ポリアクリル酸塩分散剤(固形分40wt%)(商標:スミレーズレジンDS−10、住友化学工業(株)) 1重量部蛍光増白剤(商標:ユビテックスEBF、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)) 0.5重量部(※被覆層に含有される小麦粉粒子の含有率は25質量%であった)
【0049】[実施例9]実施例3で使用した平織低密度織物を基布として用いた。下記配合組成のコンパウンドをT−ダイ押出機(C1 :140℃、C2〜3:155℃、C4 :170℃、ダイス:175℃)にかけて得られた厚さ0.14mm、質量140g/m2 のフィルムを前記基布の両面に熱圧着して積層し、被覆層を形成した。得られたシート状繊維布帛複合体の厚さは、0.46mmであり、その質量は382g/m2であった。(被覆率73質量%)試験結果を表1に示す。
<被覆層を形成する樹脂コンパウンド/シリカ微粉粒子含有>3−ヒドロキシ酪酸(HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(HV)との共重合体HB−HV(HV8質量%):融点144℃(商標:バイオポールD411G、日本モンサント(株)) 80質量部エチレン−一酸化炭素共重合体(E−CO)(商標:エコライト−PE、Ecolyte Atlantic社(米国)/日本合成化学工業(株)) 20質量部シリカ:含水率6wt%(商標:ニップシールE−170、日本シリカ工業(株)
) 34質量部(※被覆層に含有されるシリカ微粉粒子の含有率は25質量%であった。)
【0050】[実施例10]実施例3で使用した平織低密度織物を基布として用いた。この基布の両面に、実施例3の印刷用被覆層を形成する樹脂コンパウンド組成中に、フェロセン(ジシクロペンタジエニル鉄<II>)0.5質量%を配合して得られたフィルムを熱圧融着して積層し、シート状複合体を作製した。試験結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】[比較例1及び2]比較例1及び2の各々において実施例1及び2で使用した基布を、それぞれ同一繊度、同一織組織のポリエステル繊維基布に変更してシート状複合体を作製した。試験結果を表2に示す。
【0053】[比較例3]基布として、比較例1と同じポリエステル繊維織物を用い、かつ実施例3の印刷被覆層からシリカ微粉粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))34質量部を省いた塗布液を用いてシート状複合体を作製した。試験結果を表2に示す。
【0054】[比較例4]基布として、比較例1と同じポリエステル繊維織物を用い、かつ実施例4の印刷被覆層からプロテイン微粉粒子(商標:出光シルクパウダーK−30:出光石油化学工業(株))34質量部を省いた塗布液を用いてシート状複合体を作製した。試験結果を表2に示す。
【0055】[比較例5]基布として、比較例1と同じポリエステル繊維織物を用い、かつ実施例5の印刷被覆層のバインダー樹脂組成から、ポリ乳酸(商標:ランディCP−05A:固形分濃度40質量%:ミヨシ油脂(株))175質量部とCMC(商標:セロゲンWS:カルボキシメチルセルロース:第一工業製薬(株)10質量部)の分解性樹脂成分を省き、バインダー樹脂組成に補助バインダー樹脂として用いられたウレタン樹脂(商標:アデカボンタイターHUX290H:固形分濃度62重量%:旭電化工業(株))の量を162質量部とした塗布液を用いてシート状複合体を作製した。試験結果を表2に示す。
【0056】[比較例7]基布として、比較例1と同じポリエステル繊維織物を用い、かつ実施例7のポリ乳酸樹脂80質量%とウレタン樹脂20質量%からなる接着層形成用塗工液を、下記組成からなるポリ塩化ビニル樹脂組成物(1)に変更した。
<ポリ塩化ビニル樹脂組成物(1)> ペースト塩化ビニル樹脂(P=1600) 100重量部 DOP(可塑剤) 25重量部 塩素化n−パラフィン 15重量部 アジピン酸ポリエステル 30重量部 エポキシ化大豆油(ESBO) 4重量部 炭酸カルシウム 10重量部 Ba−Zn系安定剤 2重量部 有機系防カビ剤(OBPA) 0.2重量部 溶剤(トルエン) 20重量部※塩化ビニル樹脂(商標:ZEST−P21、新第一塩ビ(株))
※DOP(商標:サンソサイザーDOP、新日本理化(株))
※塩素化n−パラフィン(商標:アデカサイザーE−500、旭電化工業(株))
※アジピン酸ポリエステル(商標:アデカサイザーPN−446、旭電化工業(株))
※エポキシ化大豆油(商標:アデカサイザーO−130P、旭電化工業(株))
※炭酸カルシウム(商標:ライトンBS、備北粉化工業(株))
※Ba−Zn系安定剤(商標:KV−400B、共同薬品(株))
※有機系防カビ剤(10,10′−オキシビスフェノキシアルシン)(商標:バイナジンBP−5−2、モートン・チオコール社)
また、被覆層(ポリブチレンサクシネート(PBS)80質量部と熱可塑性ポリウレタン樹脂20質量%)を下記ポリ塩化ビニル樹脂組成物(2)に変更してシート状複合体を作製した。試験結果を表2に示す。
<ポリ塩化ビニル樹脂組成物(2)> ストレート塩化ビニル樹脂(P=1050) 100重量部 DOP(可塑剤) 30重量部 塩素化n−パラフィン 10重量部 アジピン酸ポリエステル 30重量部 エポキシ化大豆油(ESBO) 4重量部 Ba−Zn系安定剤 2重量部 有機系防カビ剤(OBPA) 0.2重量部※塩化ビニル樹脂(商標:ZEST1000S、新第一塩ビ(株))
※DOP(商標:サンソサイザーDOP、新日本理化(株))
※塩素化n−パラフィン(商標:アデカサイザーE−500、旭電化工業(株))
※アジピン酸ポリエステル(商標:アデカサイザーPN−446、旭電化工業(株))
※エポキシ化大豆油(商標:アデカサイザーO−130P、旭電化工業(株))
※Ba−Zn系安定剤(商標:KV−400B、共同薬品(株))
※有機系防カビ剤(10,10′−オキシビスフェノキシアルシン)(商標:バイナジンBP−5−2、モートン・チオコール社)
【0057】[比較例8]基布として比較例1と同一のポリエステル繊維織物を用い、かつ実施例8の被覆層(ポリ乳酸樹脂90質量%とCMC10質量%)を、比較例7に示したポリ塩化ビニル樹脂組成物(1)により形成してシート状複合体を作製した。
【0058】
【表2】

【0059】[実施例及び比較例の効果]本発明の実施例1〜10で得られたシート状複合体は、すべてインクジェット印刷が可能で、水性インキ、及び溶剤系インキでのインクジェット印刷性に優れたものであった。また、これらの印刷体を土中30℃、湿度95%の条件で埋没したところ、約3ヶ月で強度保持率が70〜80%低下し、約6ヶ月後には強度保持率が95%以上低下していた。6ヶ月経過時点では、まだ編織基布複合体の形状を半分以上土中に留めていたが、手に触れると朽葉様にベタつきを伴い、容易に崩壊した。本発明のシート状複合体、及びこの印刷体は、土中で微生物分解するものであるため、使用後の廃棄処理が極めて容易であることが確認された。また、これら実施例のシート状複合体は、微生物分解によって、最終的に水と二酸化炭素とに分解される高分子化合物と、天然物由来物質をその構成材料に用いているため土中に埋め立て処理しても環境負荷の少ない、安全性が高いものであることが示唆されるものである。また、本発明のシート状複合体は、土中埋め立ての前処理として65℃の温水中に数週間浸漬することによって、土中での微生物分解性を大きく短縮することが可能であった。本発明の評価では、65℃の温水中に4週間浸漬することによって約6ヶ月で到達する分解レベルを、約3ヶ月に短縮可能であった。また、本発明のシート状複合体(実施例9,10)は、土中埋め立ての前処理として屋外で数週間(本発明の評価では7月の4週間)太陽光に曝すことによって、土中での微生物分解時間を短縮することも可能であった。これに対して、全てポリエステル糸条からなる繊維布帛を用いた比較例1〜8のシート状複合体(従来の産業資材シート)では、土中で6ヶ月間埋没させたにもかかわらず、被覆層成分の一部が分解しただけで、ポリエステル繊維基布は原形状を留めたままであり、さらにシート状複合体の強度も初期の約85%以上を保持するなど極めて堅牢なものであった。従って従来のポリエステル繊維基布をポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂で被覆して製造された産業資材シート類は、埋め立て廃棄しても10〜50年(もしくはそれ以上)の長期間にわたり残滓が土中に残留するため、特定の設備を有する産業廃棄物処理場で適切な処分する以外には廃棄方法がないものである。
【0060】
【発明の効果】上記、実施例及び、比較例により明らかな様に、本発明のシート状複合体は、印刷に適し、特にインクジェット印刷により精緻な印刷画像を描写するのに適したものであり、メッシュシート、ターポリン、帆布、レザーなどの産業資材シート、及び広告媒体として屋内外で使用することができ、使用後に廃棄処分するに際しては自然環境に放置、例えば土中埋め立てにより、シート状複合体及びその印刷体が微生物などの自然環境条件下で分解可能である。従って本発明のシート状複合体は、産業廃棄物処理場の不足している日本国内において極めて有用なものである。但し、これら本発明のシート状複合体及びその印刷物は、専門の業者により、適切な設備を備えた処分場にて埋め立て処理がなされることが好ましい。
【出願人】 【識別番号】000239862
【氏名又は名称】平岡織染株式会社
【出願日】 平成13年10月2日(2001.10.2)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2003−112378(P2003−112378A)
【公開日】 平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願番号】 特願2001−306675(P2001−306675)