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【発明の名称】 加飾シートと凹凸加飾シートの製造方法、凹凸加飾成形品の製造方法
【発明者】 【氏名】森 富士男
【住所又は居所】京都府京都市中京区壬生花井町3番地 日本写真印刷株式会社内

【要約】 【課題】凹凸が摩擦により破壊されにくい加飾シートを提供する。

【解決手段】厚さ100μmの未延伸ポリビニルアルコール樹脂フィルム(軟化温度=68 ℃)を基体シートとして、それと同じ材質のポリビニルアルコール樹脂からなるインキで、厚さ2μmの木目模様の加飾層を形成した後、木目微細導管パターンのエンボスロール版にて、平均粗さRaが0.1〜12μmの凹凸を加飾層上に形成し、その上に、厚さ50μm の未延伸ポリ乳酸フィルム(軟化温度=58℃)を熱可塑性樹脂シートとして載置し、表面を50℃に保温された鏡面ロールにて、49N/平方センチメートルの圧力の押圧により貼り付け、表面が平滑な艶面の木目模様建材化粧シートを加飾シートとして得た。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基体シート上に加飾層が形成され、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸を覆うように熱可塑性樹脂シートが載置され表面が平滑な加飾シートであって、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上に該加飾シートが加熱されることによって、平滑な熱可塑性樹脂シートの表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸が形成可能であることを特徴とする加飾シート。
【請求項2】 基体シートまたは加飾層に形成された凹凸の平均粗さRa(μm)が、熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100〜1/5である請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】 基体シートまたは加飾層に形成された凹凸が印刷層であり、その材質が、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂を含むものである請求項1〜2のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項4】 基体シートまたは加飾層に形成された凹凸が印刷層であり、その材質が熱可塑性樹脂を含むものであって、かつ印刷層の軟化温度が、前記熱可塑性樹脂シートの軟化温度よりも高い請求項1〜2のいずれかに記載の加飾シート。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シートを、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸を形成させることを特徴とする凹凸加飾シートの製造方法。
【請求項6】 請求項4に記載の加飾シートを、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上、かつ印刷層の軟化温度以下の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸を形成させることを特徴とする凹凸加飾シートの製造方法。
【請求項7】 加飾シートを加熱して熱成形することによって形成された加熱形成凹凸の平均粗さRa(μm)が0.1〜50である請求項5又は6に記載の凹凸加飾シートの製造方法。
【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された凹凸加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形と同時に成形品に凹凸加飾シートを一体化させることを特徴とする凹凸加飾成形品の製造方法。
【請求項9】 請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形金型内で加熱して熱成形することにより、加飾シートの熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に加熱形成凹凸を形成させた後、射出成形と同時に凹凸加飾シートを成形品に一体化させることを特徴とする凹凸加飾成形品の製造方法。
【請求項10】 熱可塑性樹脂シートの接する射出成形金型の表面温度が、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以下である請求項8または9に記載の凹凸加飾成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、建材の化粧シートや自動車部品の木目パネルなどの用途に使用される加飾シートや加飾成形品に関するものである。化粧シートや木目パネルは、意匠上、凹凸を有するように視覚的に認識されるものがある。
【0002】
【従来の技術】従来の凹凸加飾シートの製造方法としては、次のようなものがあった。つまり、基体シート上に加飾層を形成した後、熱可塑性樹脂シートを積層し、加飾層のパターン(例えば、木目の導管)と同調するように、熱可塑性樹脂シートの表面にエンボスロール版により凹凸を形成するものがある。また、この凹凸加飾シートを成形品に一体化させるには、凹凸加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形と同時に、凹凸加飾シートの基体シート側を成形品に一体化させるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術では、熱可塑性樹脂シートの表面に凹凸形状パターンを形成するので、熱可塑性樹脂シートの表面にエンボスロールが接触することになり、熱可塑性樹脂シートに傷がつきやすい。また、加飾シートの表面が平滑でないので、凹凸が摩擦により破壊されやすい。また、加飾シートを熱成形する際に、熱可塑性樹脂シートが軟化して熱可塑性樹脂シートの表面の凹凸が潰れやすい。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の加飾シートは、基体シート上に加飾層が形成され、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸を覆うように熱可塑性樹脂シートが載置され表面が平滑な加飾シートであって、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上に該加飾シートが加熱されることによって、平滑な熱可塑性樹脂シートの表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸が形成可能であることを特徴とする。上記加飾シートにおいては、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸の平均粗さRa(μm)が、熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100〜1/5であってもよい。また、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸が印刷層であり、その材質が、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂を含むものであってもよい。また、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸が印刷層であり、その材質が熱可塑性樹脂を含むものであって、かつ印刷層の軟化温度が、前記熱可塑性樹脂シートの軟化温度よりも高いものであってもよい。この発明の凹凸加飾シートの製造方法は、上記加飾シートを、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸を形成させることを特徴とする。この発明の凹凸加飾シートの製造方法は、上記加飾シートを、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上、かつ印刷層の軟化温度以下の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸を形成させることを特徴とする。この凹凸加飾シートの製造方法においては、加飾シートを加熱して熱成形することによって形成された加熱形成凹凸の平均粗さRa(μm)が0.1〜50であってもよい。この発明の凹凸加飾成形品の製造方法は、前記いずれかに記載の製造方法により製造された凹凸加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形と同時に成形品に凹凸加飾シートを一体化させることを特徴とする。この発明の凹凸加飾成形品の製造方法は、前記いずれかに記載の加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形金型内で加熱して熱成形することにより、加飾シートの熱可塑性樹脂シート表面の一部または全部に加熱形成凹凸を形成させた後、射出成形と同時に凹凸加飾シートを成形品に一体化させることを特徴とする。この場合において、熱可塑性樹脂シートの接する射出成形金型の表面温度が、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以下であってもよい。
【0005】
【発明の実施の形態】基体シート1の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などを使用することができる。厚みは、100〜1000μmの範囲がある。
【0006】加飾層2は、通常は印刷層として形成する。印刷層のインキとしては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂、アルキド系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色材として含有するものがある。加飾層2の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などがある。加飾層2は、表現したい図柄に応じて部分または全面に設けるとよい。
【0007】また、加飾層2は、印刷層と金属薄膜層とを組み合わせたものでもよい。金属薄膜層は、金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成することができる。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用することができる。金属薄膜層は部分的に形成してもよい。また、金属薄膜層を設ける際に、金属薄膜層の密着性を向上させるために、アンカー層を設けることができる。
【0008】また、必要に応じて接着層を、基体シート1の加飾層2とは反対の面に設けることができる。接着層は、成形樹脂などの上に加飾シート1を接着するための層である。接着層の材質としては、成形樹脂などの材質に適した感熱性または感圧性の樹脂を使用することができる。たとえば、成形樹脂の材質がアクリル系樹脂の場合は、接着層の材質としてアクリル系樹脂などを用いることができる。また、成形樹脂の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、接着層の材質としてこれらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いることができる。さらに、成形樹脂の材質がポリプロピレン系樹脂の場合は、接着層の材質として塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、環化ゴム、クマロンインデン系樹脂を用いることができる。接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。また上記材質よりなる接着性を持つシートを、ラミネート法などにより基体シート1の加飾層2とは反対の面に貼り合せて、接着層とすることもできる。
【0009】凹凸3の形成方法としては、印刷による方法(図1参照)や、エンボスロール版により押し付け加工する方法(図5参照)がある。
【0010】印刷による方法を適用する場合の条件は次のとおりである。凹凸形成用インキを用いて印刷をすることにより形成することができる。凹凸形成用インキの樹脂バインダーの材質は、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂を含むものが好ましい。その理由は、最終的にこの発明の加飾シートは熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以上の条件で加熱されて使用されるものであるが、その加熱の際に、加飾層2に形成された凹凸3が破壊されにくくなるからである。凹凸形成用インキには、樹脂バインダーの他に顔料や染料などの着色材が混合されていてもよい。基体シートまたは加飾層に形成された凹凸の平均粗さRa(μm)は、熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100〜1/5であるのが好ましい。熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100(μm)より小さいと、加熱形成凹凸6の確認できなくなるからである。熱可塑性樹脂シートの厚みの1/5(μm)より大きいと、熱可塑性樹脂シートと、加飾層または基体シートとが剥離してしまうからである。なお、平均粗さRaはJIS −B 0601に規定する算術平均粗さのことである。凹凸3は、加飾層のパターン(例えば、木目の導管)と同調するように形成してもよい。
【0011】なお、熱硬化性樹脂の材質としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂、メラミン系樹脂などがある。これらの樹脂は、イソシアネートなどの硬化剤を添加することによって架橋硬化するタイプである。
【0012】また、電離放射線(紫外線・電子線)硬化性樹脂として、多く使われるのはアクリレート系の紫外線硬化性樹脂などである。具体的な紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂などがあり、これらは光重合開始剤と共に使用される。例えば、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂は、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマーまたはプレポリマーを反応させ、得られた生成物に、水酸基を有するアクリレート又はメタクリレート系のモノマーを反応させることによって得られる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、アントラキノン誘導体などを単独で、または併用して用いることができる。この紫外線硬化性樹脂には、更に皮膜形成をより良くさせる成分、例えば熱可塑性のアクリル系樹脂などを適宜選択配合してもよい。
【0013】凹凸形成用インキの樹脂バインダーの材質は、熱可塑性樹脂を含むものでもよく、この場合は、凹凸を構成する印刷層の軟化温度は、前記熱可塑性樹脂シート4の軟化温度よりも高いのが好ましい。その理由は、最終的にこの発明の加飾シートは熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以上の条件で加熱されて使用されるものであるが、その加熱の際に、加飾層2に形成された凹凸3が崩れにくくなるからである。
【0014】この発明でいう軟化温度とは、そのシートの材質でもってJIS−K7206の測定法による昇温速度120℃/h、10N荷重の条件下で、針状圧子の侵入深さが1mmになる時の温度、すなわちビカット軟化温度のことをいう。上記ビカット軟化温度は厚みが3mm以上のシートが対象であるが、1mm以上3mm未満の厚みの場合は1層乃至3層重ねて3mm以上になるようにして測定する。厚みが1mm未満の場合は、針状圧子によってシートを貫く時の温度とする。
【0015】エンボスロール版により押し付け加工をする場合の条件は次のとおりである。エンボスロール版としては、鉄芯にニッケルなどの金属メッキがされているものを所定パターンに腐蝕したものがある。エンボスロール版は加熱された状態で加飾シートの基体シート1または加飾層2に凹凸3を形成するのであるが、その加熱温度は、加飾層2の樹脂バインダーまたは基体シート1の材質の軟化温度以上で実施する。基体シート1または加飾層2にエンボスロール版により形成される凹凸3の平均粗さは、基体シートまたは加飾層に形成された凹凸の平均粗さRa(μm)は、熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100〜1/5であるのが好ましい。熱可塑性樹脂シートの厚みの1/100(μm)より小さいと、加熱形成凹凸6の確認できなくなるからである。熱可塑性樹脂シートの厚みの1/5(μm)より大きいと、熱可塑性樹脂シートと加飾層とが剥離してしまうからである。なお、平均粗さRaはJIS −B 0601に規定する算術平均粗さのことである。凹凸3は、加飾層のパターン(例えば、木目の導管)と同調するように形成してもよい。エンボスロール版により押し付け加工する方法を適用する場合の具体例としては、まず、紫外線硬化性樹脂を平坦に塗布し、熱を加えて半硬化状態にした後、カーボンクロス調柄のエンボスロール版により押し付け、平均粗さRaが0.1〜5μmの凹凸を形成した後、紫外線を照射して凹凸をほぼ完全硬化させる。
【0016】熱可塑性樹脂シート4の材質としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなどがある。熱可塑性樹脂シート4の厚みは、基体シート1または加飾層2に形成される凹凸3の平均粗さをRaとしたとき、Ra×5〜Ra×100(μm)の値となるのが好ましい。5×Raより薄いと、鏡面ロール5または鏡面板を用いて熱可塑性樹脂シート4の表面を押圧して表面が平滑となるように貼り付けることが困難となる。100×Ra(μm)より厚いと、加熱形成凹凸6の確認ができなくなるからである。
【0017】前記凹凸を覆うように熱可塑性樹脂シート4を載置し、鏡面ロール5(図2参照)または鏡面板を用いて熱可塑性樹脂シート4の表面を押圧して貼り付けるには、つぎのようにするとよい。
【0018】貼り付ける方法としては、熱ラミネート法やドライラミネート法などがある。接着剤層を介して積層することもできる。使用する鏡面ロール5または鏡面板としては、鉄芯などの金属鋼材の表面を研磨材で鏡面加工したものがある。鏡面ロール5または鏡面板を用いて熱可塑性樹脂シート4の表面を押圧して貼り付ける際の圧力は、4.9〜490N/平方センチメートルとすることができる。押圧時の温度は100〜270℃などがある。以上のようにして、表面が平滑な加飾シートが得られる(図3参照)。
【0019】上記の加飾シートに加熱形成凹凸6を形成する方法を説明する(図4参照)。加熱形成凹凸6を形成するには、熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以上に該加飾シートを加熱することによって、該加飾シートの平滑な熱可塑性樹脂シート4の表面の一部または全部に加熱形成凹凸6を形成する。加熱形成凹凸6の平均粗さRa(μm)は0.1〜50μmとなる。
【0020】熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以上の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート4の表面の一部または全部に加熱形成凹凸6を形成させる方法がある。熱成形とは、加飾シートを加熱して軟化させ、軟らかいうちに形状を整えた後、冷却してその立体形状を保持させて成形品を得る方法である。真空成形や圧空成形が代表例である。
【0021】基体シート1または加飾層2に形成された凹凸3が印刷層であり、その材質が熱可塑性樹脂を含むものであって、かつ印刷層の軟化温度が、前記熱可塑性樹脂シート4の軟化温度よりも高い加飾シートを用いる場合は、加飾シートを、熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以上、かつ印刷層の軟化温度以下の条件で加熱して熱成形することにより、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート4表面の一部または全部に、前記凹凸に対応した加熱形成凹凸を形成させるようにするとよい。その理由は、熱可塑性樹脂シートの軟化温度より低い温度で加熱すると、加飾シートを所望の立体形状に変形させることが困難となる。また、凹凸3を構成する樹脂バインダーの軟化温度より大きい温度で加熱すると凹凸3が崩れやすくなる。
【0022】加熱形成凹凸6を形成するメカニズムは、次のように推測される。基体シート1または加飾層2に形成された凹凸3は熱可塑性樹脂シート4に覆われる。鏡面ロール5または鏡面板によって熱可塑性樹脂シート4の表面を強制的に押圧されることにより、熱可塑性樹脂シート4の表面には前記凹凸3に対応した凹凸は形成されずに、平滑面となるが、熱可塑性樹脂シート4の内部には前記凹凸3に対応した位置に残留歪みが溜まる。加熱により熱可塑性樹脂シート4が軟化温度に達して軟らかくなることにより、熱可塑性樹脂シート4が自らその残留歪みが少なくなるように熱変形し、加飾層2がエンボス版の凹凸に対応して盛り上がるために、加熱形成凹凸6が形成されると考えられる。
【0023】この発明の凹凸加飾シートの製造方法では、加飾シートを立体形状に変形させると同時に熱可塑性樹脂シート4の表面の一部または全部に、前記凹凸3に対応した加熱形成凹凸6を形成させるようにするので、加熱形成凹凸6の形成と熱成形による立体形状への変形が同時にでき、工程の省略が可能になる。
【0024】この発明の凹凸加飾成形品の製造方法は、加熱形成凹凸6が形成された凹凸加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形と同時に加飾シートを成形品に一体化させるようにする。また、発明の凹凸加飾成形品の製造方法は、加熱形成凹凸6がまだ形成されていない加飾シートを射出成形金型内に挿入し、射出成形金型内で加熱して熱成形することにより、加飾シートの熱可塑性樹脂シート4の表面の一部または全部に加熱形成凹凸6を形成させた後、射出成形と同時に加飾シートを成形品に一体化させるようにする。熱可塑性樹脂シート4の接する射出成形金型の表面温度が、熱可塑性樹脂シート4の軟化温度以下であることが好ましい。その理由は、熱可塑性樹脂シート4の表面に一旦形成された加熱形成凹凸6が、射出成形金型の表面の熱によって可塑化し消失しやすくなるからである。そこで、射出成形金型の表面温度を下げるために、射出成形金型の内部に循環水路を設けることができる。
【0025】射出成形に用いられる成形樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂などがある。凹凸加飾シートの加熱形成凹凸6が射出圧力によって潰されにくくするために次のような工夫をしてもよい。(1)成形樹脂の射出口の径を大きくしたり、フィルムゲートにしたりして、加飾シートに加わる成形樹脂の熱圧を分散させるようにする。(2)成形樹脂の射出口を、加飾シートに加熱形成凹凸6が存在しない部分に設ける。
【0026】
【実施例】(実施例1)加飾シートとして木目模様建材化粧シートを得た。厚さ100μmの未延伸ポリビニルアルコール樹脂フィルム(軟化温度=68℃)を基体シートとして、それと同じ材質のポリビニルアルコール樹脂からなるインキで、厚さ2μmの木目模様の加飾層を形成した後、下表の(1)〜(9)の木目微細導管パターンのエンボスロール版にて、平均粗さRaが0.1〜12μmの凹凸を加飾層上に形成した(表1参照)。その上に、厚さ50μm の未延伸ポリ乳酸フィルム(軟化温度=58℃)を熱可塑性樹脂シートとして載置し、表面を50℃に保温された鏡面ロールにて、49N/平方センチメートルの圧力の押圧により貼り付け、表面が平滑な艶面の木目模様建材化粧シートを加飾シートとして得た。上記加飾シートを65℃で加熱したところ、下表の(3)〜(8)のサンプルについては、該加飾シートの平滑な熱可塑性樹脂シートの表面に加熱形成凹凸が確認され、木目微細導管パターンが浮き出るリアルな木目模様の建材化粧シートが得られたが、(1)(2)は木目微細導管パターンの加熱形成凹凸が確認できず、(9)は熱可塑性樹脂シートが加飾層から剥がれてしまった(表1参照)。
【0027】
【表1】

【0028】(実施例2)加飾シートとしてカーボンクロス調柄自動車内装パネル用シートを得た。厚さ100μmの未延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを基体シートとして、その上にウレタン黒色インキで加飾層を形成した。その上に、ウレタンアクリレート樹脂からなる熱線・紫外線併用硬化性樹脂を20μmの厚みで塗布し、熱を加えて半硬化状態にした後、(1)〜(9)のカーボンクロス調柄のエンボスロール版にて押し付け、平均粗さRaが0.1〜5μmの凹凸を形成した(表2参照)。その後、紫外線を照射して凹凸をほぼ完全硬化させた。この上に、厚さ15μm のアクリルフィルム(軟化温度=65℃)を熱可塑性樹脂シートとして載置し、表面を50℃に保温された鏡面ロールにて、20kg/平方センチメートルの圧力の押圧により貼り付け、表面が平滑な艶面の黒色シートを加飾シートとして得た。上記シートを120℃に加熱して真空成形により立体形状に熱成形すると、(3)〜(7)のサンプルについては、繊維状のスジが浮き出るリアルなカーボン調柄の凹凸加飾シートが得られたが、(1)(2)は凹凸が確認できず、(8)(9)は熱可塑性樹脂シートが加飾層から剥がれてしまった(表2参照)。
【0029】
【表2】

【0030】表2における加飾シートのうちエンボスロール版(5)を用いたサンプルを選び出し、射出成形金型に挿入する部分のみをプレス金型でカットした後、射出成形金型に挿入して、下記表3の射出成形金型(A)〜(F)の表面温度の条件で、ガラスフィラー入りポリプロピレン系の成形樹脂を用いて、射出成形と同時に成形品に加飾シートを成形品に一体化させて凹凸加飾成形品を製作したところ、(D)〜(F)の表面温度の条件では繊維状のスジ(加熱形成凹凸)が消失してしまうが、(A)〜(C)の金型温度条件では繊維状のスジ(加熱形成凹凸)が確認されてリアルなカーボンクロス調の凹凸加飾成形品が得られた(表3参照)。熱可塑性樹脂シートの軟化温度65℃より低い金型の表面温度が好適であることが確認された。
【0031】
【表3】

【0032】
【発明の効果】この発明の加飾シートは、熱可塑性樹脂シートの軟化温度以上の条件で加熱されるまでは、加飾シートは表面が平滑であるため、凹凸が摩擦により破壊されにくい。また、この発明の凹凸加飾シートの製造方法では、熱可塑性樹脂シートの下に予め凹凸を形成しておくので、熱可塑性樹脂シートの表面にエンボスロールや印刷版が接触することがないため、熱可塑性樹脂シートの表面に傷がつきにくい。また、この発明の凹凸加飾シートの製造方法により得られる凹凸加飾シートは、加飾シートに形成された加熱形成凹凸が、熱可塑性樹脂シートの下に形成された凹凸により支えられているので、加飾シートを熱成形する際に、熱可塑性樹脂シートが軟化しても熱可塑性樹脂シート上の加熱形成凹凸は潰れにくい。
【出願人】 【識別番号】000231361
【氏名又は名称】日本写真印刷株式会社
【住所又は居所】京都府京都市中京区壬生花井町3番地
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103743(P2003−103743A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−304550(P2001−304550)