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【発明の名称】 ペーパー層と繊維ウェブ層の複合体シート及びその製造方法、多機能トップシート、吸収体製品及びその製造方法、吸収性複合体シート及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 磨
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町2−26−5 株式会社日本吸収体技術研究所内

【氏名】森谷 麗子
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町2−26−5 株式会社日本吸収体技術研究所内

【要約】 【課題】ペーパー層と繊維ウェブ層から構成される多機能複合体シートの提供及びそれを製造するための方法の提供。

【解決手段】ペーパー層と繊維ウェブ層とが互いに接合された複合体シートにおいて、前記繊維ウェブ層は高密度領域と低密度領域とからなり、かつペーパー層の表面が平滑な面を形成し、繊維ウェブ層の表面が嵩高な面を形成している。ペーパー層と繊維ウェブ層とを重ね合わせて積層ウェブを形成し、ついで前記積層ウェブの所望領域の厚さを周辺領域よりも薄くする表面形状賦型処理を行って、薄く高密度な高密度領域と、これよりも厚く低密度な低密度領域とを形成する。前記表面形状賦型処理として、前記積層ウェブの加熱圧着、または前記ペーパー層面、もしくは前記繊維ウェブ層面に、2.06MPa以上の水流ビームあるいは水蒸気ビームを高圧噴射することにより、両層の交絡接合および形状賦型を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ペーパー層と繊維ウェブ層とが互いに接合された複合体シートであって、前記複合体シートは、密度が高く、厚みの薄い複数の高密度領域と、この高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とからなり、かつ前記ペーパー層の表面は平滑な面を形成し、前記繊維ウェブ層の表面は嵩高で凹凸のある面を形成していることを特徴とする複合体シート。
【請求項2】 前記高密度領域および前記低密度領域がそれぞれ帯状をなし、かつ各高密度領域と各低密度領域とが交互に配置されている請求項1に記載の複合体シート。
【請求項3】 前記帯状の高密度領域が相互に交差して延びるように配置され、前記低密度領域が、前記高密度領域で囲まれた分断層として配置されている請求項2に記載の複合体シート。
【請求項4】 前記高密度領域が多数の小領域からなり、前記低密度領域内に分布した状態で配置されている請求項1に記載の複合体シート。
【請求項5】 前記高密度領域が、厚さ1mm未満、密度0.1g/cm3以上であり、前記低密度領域が、厚さ1mm以上、密度0.1g/cm3未満である請求項1〜4のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項6】 複合体シート全体の目付が20〜120g/m2である請求項1〜5のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項7】 前記ペーパー層の目付が10〜120g/m2、ガーレー法通気度として3sec以内の通気性を有する請求項1〜4のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項8】 前記ペーパー層が、木材パルプ繊維からなるドライクレープ紙である請求項7に記載の複合体シート。
【請求項9】 前記ペーパー層が、前記繊維ウェブ層に接する側で毛羽立った表面を有し、その反対側でフラットな表面を有している請求項7または8に記載の複合体シート。
【請求項10】 前記ペーパー層が、PE、PP、PE/PP、PE/PET、PET誘導体/PET、および部分架橋PVAのいずれかの、繊維長30mm以下の融着繊維系成分を含有している請求項7に記載の複合体シート。
【請求項11】 前記ペーパー層が、EVA系、アクリル酸系およびPE系のいずれかのエマルジョンまたはサスペンジョンで表面処理され、これにより表面熱融着性が付与されている請求項7に記載の複合体シート。
【請求項12】 前記繊維ウェブ層が、1.5〜12d以上の繊度を有し、かつ、PE系、PP系、PET系、ナイロン系およびアクリル系の合成繊維ステープルのいずれか1種もしくは少なくとも2種を主成分とするものである請求項1〜6のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項13】 前記繊維ウェブ層が、熱融着性を持つシース・コア型複合繊維を含むものである請求項12に記載の複合体シート。
【請求項14】 前記繊維ウェブ層が、熱収縮により巻縮を発生するサイド・バイ・サイド型の複合繊維を含むものである請求項12に記載の複合体シート。
【請求項15】 前記繊維ウェブ層が、表面親水性処理により水濡れ性を向上させたものである請求項12〜14のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項16】 前記繊維ウェブ層が、PVAまたはセルロース系の親水性繊維を含むものである請求項12〜15のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項17】 前記繊維ウェブ層が、1.5〜5dの繊度と、3〜30mmのカット長を持つセルロース系、PVA系及びその混合体繊維のいずれかに起因する水崩壊性と、生分解性とを持つ請求項1〜9のいずれかに記載の複合体シート。
【請求項18】 請求項1〜17のいずれかに記載の前記繊維ウェブ層に、SAP粒子が担持されている複合体シート。
【請求項19】 請求項1〜17のいずれかに記載の前記ペーパー層にSAP粒子が担持され、前記繊維ウェブ層がアクイジション層として、かつ前記ペーパー層が拡散層として機能するように構成されている複合体シート。
【請求項20】 ペーパー層と繊維ウェブ層とを重ね合わせて積層ウェブを形成し、ついで前記積層ウェブの所望領域の厚さを周辺領域よりも薄くする表面形状賦型処理を行って、薄く高密度な高密度領域と、これよりも厚く低密度な低密度領域とを形成することを特徴とする複合体シートの製造方法。
【請求項21】 前記表面形状賦型処理が、前記積層ウェブの前記ペーパー層面、もしくは前記繊維ウェブ層面に、2.06MPa以上の水流ビームあるいは水蒸気ビームを高圧噴射することにより、両層の交絡接合および形状賦型を行う処理である請求項20に記載の複合体シートの製造方法。
【請求項22】 前記表面形状賦型処理が、2mm以下のビーム間隔で配置されたノズルを用いて、前記積層ウェブの実質的全面で処理することにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とをその界面で接合して低密度領域を形成した第1賦型積層ウェブを構成する第一段処理と、ついで5mm〜30mmのビーム間隔で配置されたノズルを用いて、前記第1賦型積層ウェブをさらに処理することにより、前記低密度領域内に所望形状の高密度領域を形成した第2賦型積層ウェブを構成する第二段処理と、を備えている請求項21に記載の複合体シートの製造方法。
【請求項23】 前記積層ウェブを、表面に所望パターンの凹凸を有するロール上を通過させることにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層との接合および表面形状賦型処理を同時的に行う請求項20に記載の複合体シートの製造方法。
【請求項24】 前記ペーパー層または前記繊維ウェブ層に、前記界面においてホットメルト接着剤を塗布し、ついで前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを接合して積層ウェブを構成し、凹凸を有する熱ロールに前記積層ウェブを接触させて表面形状賦型処理を行う請求項20に記載の複合体シートの製造方法。
【請求項25】 密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートからなる多機能トップシートであって、前記ペーパー層は平滑な拡散機能層を、前記繊維ウェブ層は嵩高なアクイジション機能層をそれぞれ形成していることを特徴とする多機能トップシート。
【請求項26】 請求項25に記載の多機能トップシートを有し、前記複合体シートの前記繊維ウェブ層面が着用者の身体に接し、前記ペーパー層面が吸収体に接するように配置されていることを特徴とする吸収体製品。
【請求項27】 請求項1〜19のいずれかに記載の複合体シートが吸収体の表面の5〜50%を被覆するように前記吸収体の表面に近接して配置された液分配ユニットとして設けられていることを特徴とする吸収体製品。
【請求項28】 請求項18または19に記載の複合体シートはSAP粒子を担持してなり、その複合体シートを吸収体成分として備えていることを特徴とする吸収体製品。
【請求項29】 密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されていることを特徴とする吸収性複合体シート。
【請求項30】 密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層上に2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブを積層して積層ウェブを調製する工程と、(2)前記積層ウェブに、5〜30mmのビーム間隔で、2.06MPa以上の水流ビームを作用させて交絡することにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを線状に接合した複合体シートを調製する工程と、(3)前記複合体シートに、エタノール/水系の混合溶媒に分散したSAPスラリーを塗工した後、脱溶媒することにより吸収層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする吸収性複合体シートの製造方法。
【請求項31】 密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層上に2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブを積層して積層ウェブを調製する工程と、(2)前記積層ウェブに所定の間隔で帯状にSAP粒子を散布することにより、前記SAP粒子の存在部位と前記SAP粒子の非存在部位が交互に存在するSAP担持積層ウェブを調製する工程と、(3)前記SAP担持積層ウェブの前記SAP粒子の非存在部位を選択的に圧着することによって、前記繊維ウェブ層と前記ペーパー層とを接合して前記高密度化層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする吸収性複合体シートの製造方法。
【請求項32】 前記工程(2)で調製された前記SAP担持積層ウェブに、さらに前記SAP粒子の脱離をカバーするための第2の繊維ウェブを積層する工程を備え、前記工程(3)において、前記ペーパー層、前記繊維ウェブ層、および前記第2繊維ウェブ層を接合する請求項31に記載の吸収性複合体シートの製造方法。
【請求項33】 前記工程(1)が、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とをホットメルト樹脂で接合する工程を含み、前記工程(3)が、前記SAP担持層ウェブと前記第2繊維ウェブ層とをホットメルト樹脂で接合する工程を含む請求項31または32に記載の吸収性複合体シートの製造方法。
【請求項34】 前記繊維ウェブが易熱熔解性繊維を含有するウェブであり、前記工程(3)における圧着が部分熱圧着により行われる請求項31〜33のいずれかに記載の吸収性複合体シートの製造方法。
【請求項35】 密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層に粘着性ホットメルトを塗工してSAP担持ペーパー層を調製する工程と、(2)前記ペーパー層の前記粘着性ホットメルト塗工面に、任意の間隔で帯状にSAP粒子を散布することにより、前記SAP粒子の存在部位と前記SAP粒子の非存在部位が交互に存在するSAP担持ペーパー層を調製する工程と、(3)前記繊維ウェブ層として2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブに粘着性ホットメルトを塗工する工程と、(4)前記SAP担持ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを各々のホットメルト塗工面が向き合うように積層して接合することによりSAP担持積層ウェブを調製する工程と、(5)前記SAP担持積層ウェブを前記SAP粒子の非存在部位で部分圧着することにより一体化する工程と、を備えていることを特徴とする吸収性複合体シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペーパー層および繊維ウェブ層の複合体シート及びその製造方法、多機能トップシート、吸収体製品及びその製造方法、吸収性複合体シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ペーパーと繊維ウェブの複合体として、水で解繊し易いティッシュと繊維ウェブとを水流交絡させた複合素材が知られている。例えばデュポン社の“ソンタラ”(商品名)がこれに該当する。この複合素材は、ポリエステルウェブにティッシュを組み合わせて、その両者の微細繊維を相互に交絡させた、組織の緻密なバイオバリア性を備えた素材である。
【0003】他の例としては、王子製紙株式会社の“テクセル”(商品名)がある。これは、PPスパンボンド不織布にパルプの微細繊維を交絡させたもので、疎水性のコアに親水性の表面を賦与した、寸法安定性のよい複合材料として高く評価されている。
【0004】これらはいずれも、原料としてのティッシュペーパーと繊維ウェブを使用し、強い全面的な水流交絡処理によりティッシュを解繊してペーパー状組織を完全に破壊し、改めて合成繊維とパルプ微細繊維を均一に共存、複合させ、その両繊維相互を交絡させた新しい組織を形成させるところにその特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の複合素材は、ティッシュを解繊してペーパー状組織を完全に破壊し、改めて合成繊維とパルプ微細繊維を均一に共存、複合させたものであるために、ペーパーが有している特性がほとんど喪失しており、したがって吸収体製品の主要構成成分である表面トップシートあるいは吸収体の基材として適用した場合、ペーパーの持つ平滑性や浸透、拡散性が活かされないという欠点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のペーパー層と繊維ウェブ層との複合体からなる複合体シートは、その構成成分であるペーパー層が有している組織および特性と、繊維ウェブが有している組織および特性とをそのまま温存し、その上で両者を部分的な厚みの差と密度の差を持つようにネットワーク状に接合して一体化することにより、接合体としての新たな機能が賦与されていることにその特徴がある。
【0007】すなわち本発明によれば、ペーパー層と繊維ウェブ層とが互いに接合された複合体シートであって、前記複合体シートは、密度が高く、厚みの薄い複数の高密度領域と、この高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とからなり、かつ前記ペーパー層の表面は平滑な面を形成し、前記繊維ウェブ層の表面は嵩高で凹凸のある面を形成していることを特徴とする複合体シートが提供される。
【0008】好ましい態様は以下のとおりである。
【0009】前記高密度領域および前記低密度領域がそれぞれ帯状をなし、かつ各高密度領域と各低密度領域とが交互に配置されている。
【0010】前記帯状の高密度領域が相互に交差して延びるように配置され、前記低密度領域が、前記高密度領域で囲まれた分断層として配置されている。
【0011】前記高密度領域が多数の小領域からなり、前記低密度領域内に分布した状態で配置されている。
【0012】前記高密度領域が、厚さ1mm未満、密度0.1g/cm3以上であり、前記低密度領域が、厚さ1mm以上、密度0.1g/cm3未満である。
【0013】複合体シート全体の目付が20〜120g/m2である。
【0014】前記ペーパー層の目付が10〜120g/m2、ガーレー法通気度として3sec以内の通気性を有する。
【0015】前記ペーパー層が、木材パルプ繊維からなるドライクレープ紙である。
【0016】前記ペーパー層が、前記繊維ウェブ層に接する側で毛羽立った表面を有し、その反対側でフラットな表面を有している。
【0017】前記ペーパー層が、PE、PP、PE/PP、PE/PET、PET誘導体/PET、および部分架橋PVAのいずれかの、繊維長30mm以下の融着繊維系成分を含有している。
【0018】前記ペーパー層が、EVA系、アクリル酸系およびPE系のいずれかのエマルジョンまたはサスペンジョンで表面処理され、これにより表面熱融着性が付与されている。
【0019】前記繊維ウェブ層が、1.5〜12d以上の繊度を有し、かつ、PE系、PP系、PET系、ナイロン系およびアクリル系の合成繊維ステープルのいずれか1種もしくは少なくとも2種を主成分とするものである。
【0020】前記繊維ウェブ層が、熱融着性を持つシース・コア型複合繊維を含むものである。
【0021】前記繊維ウェブ層が、熱収縮により巻縮を発生するサイド・バイ・サイド型の複合繊維を含むものである。
【0022】前記繊維ウェブ層が、表面親水性処理により水濡れ性を向上させたものである。
【0023】前記繊維ウェブ層が、PVAまたはセルロース系の親水性繊維を含むものである。
【0024】前記繊維ウェブ層が、1.5〜5dの繊度と、3〜30mmのカット長を持つセルロース系、PVA系及びその混合体繊維のいずれかに起因する水崩壊性と生分解性とを持つ。
【0025】前記繊維ウェブ層に、SAP粒子が担持されている。
【0026】前記ペーパー層にSAP粒子が担持され、前記繊維ウェブ層がアクイジション層として、かつ前記ペーパー層が拡散層として機能するように構成されている。
【0027】さらに本発明の複合体シートの製造方法は、ペーパー層と繊維ウェブ層とを重ね合わせて積層ウェブを形成し、ついで前記積層ウェブの所望領域の厚さを周辺領域よりも薄くする表面形状賦型処理を行って、薄く高密度な高密度と、これよりも厚く低密度な低密度とを形成することを特徴とする。
【0028】好ましい態様は以下のとおりである。
【0029】前記表面形状賦型処理が、前記積層ウェブの前記ペーパー層面、もしくは前記繊維ウェブ層面に、2.06MPa以上の水流ビームあるいは水蒸気ビームを高圧噴射することにより、両層の交絡接合および形状賦型を行う処理である。
【0030】前記表面形状賦型処理が、2mm以下のビーム間隔で配置されたノズルを用いて、前記積層ウェブの実質的全面で処理することにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とをその界面で接合して低密度領域を形成した第1賦型積層ウェブを構成する第一段処理と、ついで5mm〜30mmのビーム間隔で配置されたノズルを用いて、前記第1賦型積層ウェブをさらに処理することにより、前記低密度領域内に所望形状の高密度領域を形成した第2賦型積層ウェブを構成する第二段処理と、を備えている。
【0031】前記積層ウェブを、表面に所望パターンの凹凸を有するロール上を通過させることにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層との接合および表面形状賦型処理を同時的に行う。
【0032】前記ペーパー層または前記繊維ウェブ層に、前記界面においてホットメルト接着剤を塗布し、ついで前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを接合して積層ウェブを構成し、凹凸を有する熱ロールに前記積層ウェブを接触させて表面形状賦型処理を行う。
【0033】本発明の多機能トップシートは、密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートからなる多機能トップシートであって、前記ペーパー層は平滑な拡散機能層を、前記繊維ウェブ層は嵩高なアクイジション機能層をそれぞれ形成していることを特徴とする。
【0034】本発明の吸収体製品は、前記多機能トップシートを有し、前記複合体シートの前記繊維ウェブ層面が着用者の身体に接し、前記ペーパー層面が吸収体に接するように配置されていることを特徴とする。
【0035】本発明の吸収体製品は、前記複合体シートが吸収体の表面の5〜50%を被覆するように前記吸収体の表面に近接して配置された液分配ユニットとして設けられていることを特徴とする。
【0036】本発明の吸収体製品は、前記複合体シートがSAP粒子を担持してなり、その複合体シートを吸収体成分として備えていることを特徴とする。
【0037】本発明の吸収性複合体シートは、密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されていることを特徴とする。
【0038】本発明の吸収性複合体シートの製造方法は、密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層上に2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブを積層して積層ウェブを調製する工程と、(2)前記積層ウェブに、5〜30mmのビーム間隔で、2.06MPa以上の水流ビームを作用させて交絡することにより、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを線状に接合した複合体シートを調製する工程と、(3)前記複合体シートに、エタノール/水系の混合溶媒に分散したSAPスラリーを塗工した後、脱溶媒することにより吸収層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0039】本発明の吸収性複合体シートの製造方法は、密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層上に2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブを積層して積層ウェブを調製する工程と、(2)前記積層ウェブに所定の間隔で帯状にSAP粒子を散布することにより、前記SAP粒子の存在部位と前記SAP粒子の非存在部位が交互に存在するSAP担持積層ウェブを調製する工程と、(3)前記SAP担持積層ウェブの前記SAP粒子の非存在部位を選択的に圧着することによって、前記繊維ウェブ層と前記ペーパー層とを接合して前記高密度化層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0040】好ましい態様は以下のとおりである。
【0041】前記工程(2)で調製された前記SAP担持積層ウェブに、さらに前記SAP粒子の脱離をカバーするための第2の繊維ウェブを積層する工程を備え、前記工程(3)において、前記ペーパー層、前記繊維ウェブ層、および前記第2繊維ウェブ層を接合する。
【0042】前記工程(1)が、前記ペーパー層と前記繊維ウェブ層とをホットメルト樹脂で接合する工程を含み、前記工程(3)が、前記SAP担持層ウェブと前記第2繊維ウェブ層とをホットメルト樹脂で接合する工程を含む。
【0043】前記繊維ウェブが易熱熔解性繊維を含有するウェブであり、前記工程(3)における圧着が部分熱圧着により行われる。
【0044】本発明の吸収性複合体シートの製造方法は、密度が高くかつ厚みの薄い複数の高密度領域とこの高密度領域に対して相対的に密度の低い複数の低密度領域とが形成されるようにペーパー層および繊維ウェブ層を相互に接合した複合体シートであって、前記複合体シートにはSAP粒子が担持されている吸収性複合体シートを製造する方法において、(1)前記ペーパー層として10〜50g/m2のドライクレープ紙を用い、そのペーパー層に粘着性ホットメルトを塗工してSAP担持ペーパー層を調製する工程と、(2)前記ペーパー層の前記粘着性ホットメルト塗工面に、任意の間隔で帯状にSAP粒子を散布することにより、前記SAP粒子の存在部位と前記SAP粒子の非存在部位が交互に存在するSAP担持ペーパー層を調製する工程と、(3)前記繊維ウェブ層として2〜12dの繊度を持つ化合繊繊維から構成された10〜50g/m2の目付の繊維ウェブに粘着性ホットメルトを塗工する工程と、(4)前記SAP担持ペーパー層と前記繊維ウェブ層とを各々のホットメルト塗工面が向き合うように積層して接合することによりSAP担持積層ウェブを調製する工程と、(5)前記SAP担持積層ウェブを前記SAP粒子の非存在部位で部分圧着することにより一体化する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の複合体シートは、前述したようにペーパー層、繊維ウェブ層およびその接合層の3つの層を構成している。したがって以下に、ペーパー層、繊維ウェブ層およびこれら両者の接合層がそれぞれ有する3つの機能に分けて説明し、さらに複合体としての特徴について、具体的な実施の形態について説明する。
【0046】まずペーパー層、繊維ウェブ層および結合層の基本的な構成とその基本物性を表1に示す。
【0047】
【表1】

次に、本発明の3つの層について個々に説明する。
【0048】(1)ペーパー層本発明において、「ペーパー層」とは、ペーパー類の中では相対的にソフトで、目付および密度が低く、かつ通気性の高い、液の毛細管移動が可能なポーラス性を持ったペーパーを意味し、例えば和紙、薄葉紙といったタイプに属するものである。したがって、コート紙、印刷紙のような緻密かつ平滑で目付が高く、通気性の低い、いわゆる洋紙といわれているタイプのペーパーは、本発明には適切ではない。
【0049】このペーパー層に求められる特性として、表1に要約して示したように、第一に、本発明の複合体シートを吸収体製品に応用した際に、このペーパー層が他の成分、特に吸収体成分と接触する面となるので、大きな凹凸のない、見掛け上平滑な面を持っていることが必要である。このため、ペーパー層の外面を「平滑面」と呼ぶこともある。
【0050】第二に、ペーパー層には良好な液の拡散性があることが必要である。このペーパー層による液拡散は、ペーパー層中の親水性成分による表面の濡れおよび浸透と、ミクロポーラス構造に基づく毛細管移動である。このような拡散性は、液の浸透性で評価するが、少なくとも1分間に10mm以上の浸透性を有することが望ましい。一方、このような浸透性による液の浸透が生じた状態でも所望の構造を維持するために、ある程度の強度、特に湿潤強度も必要である。
【0051】第三に、ペーパー層は、フィルターとしての役割も演ずる。例えば、本発明の複合体シートを、SAP粒子を担持するための基材として用いた場合、SAP粒子はある粒度分布(一般には直径50〜1,000μ)を持っているので、大略500μ以下の部分は、複合体シートのウェブ層を容易に通過してしまう。しかし、繊維ウェブ層を通過した微細SAP粒子は、ペーパー層のフィルター作用によりトラップされる。
【0052】本発明に使用されるペーパー層として使用できるペーパー類のタイプは、次に2つのグループに分けられる。
(i)パルプ100%のドライクレープ紙類このタイプは、いわゆる化粧用あるいは衛材用ティッシュ類、および吸収体製品のキャリアーとして使用されるような、ドライクレープ紙あるいは薄葉紙と呼ばれるものである。
【0053】通常は、繊維長の比較的長い針葉樹のバージンパルプを主成分としたものであり、洋紙のように叩解度を高くせず、比較的低叩解度のままで抄造する。耐水性を向上させるために若干のサイズ剤加工を行う場合もある。一般にソフト化、ポーラスな構造を与えるため、ドライクレープ加工を行うことから、ここではドライクレープ紙と総称することにする。このドライクレープ紙の代表的な物性を表2に示す。
【0054】
【表2】

このようなドライクレープ紙は、主として吸収体の表面に接触するため、この両者間の密着状態を保つためには、平滑性がよいことが望ましい。平滑度は、ドライクレープ紙の上面および下面の両方に必要なものではなく、最外表面(下面)が平滑であればよい。むしろ繊維ウェブに接合する面は、ウェブとの噛み込みを容易にするために、比較的にラフで毛羽立ちがある方がよい。例えば、ドライクレープ紙を製造する際に使用される乾燥ロール面は鏡面状を呈するため、これに接触するペーパー面も平滑となるが、キャンバスやフェルトとの接触面は相対的にラフになるので、本発明においては、平滑面を外表面に、ラフな面を繊維ウェブに接する面として使用することが望ましい。またラフ面をより積極的に高湿分にしたり、機械摩擦によりよりラフにしたりすることが望ましい場合もある。
【0055】またこのようなパルプ100%のドライクレープ紙は、熱接合性を有さないので、EVA系、アクリル酸系、PE系のエマルジョンあるいはサスペンジョン、もしくは粉体で表面処理を行って表面熱融着性を賦与し、繊維ウェブとの接合性を改良してもよい。
【0056】一方、水解性、生分解性繊維ウェブと組み合わせて使用するドライクレープ紙は、逆に木材パルプ100%でしかもサイズ剤等の紙力増強剤を使用しないものがよい。
(ii)化合繊繊維混合ペーパー類本発明複合体シートのためのペーパー層として、パルプ繊維にレーヨン、リヨセル、PP、PET等の化合繊繊維をブレンドして抄造して作られるペーパーを使用することもできる。ブレンドする目的は、強度の向上、ポーラス性のコントロール、ヒートシール性の賦与等であるが、その目的によって、使用される繊維類が異なる。ただし、シート化の方法が湿式成形によるため、繊維長には限界があり、用いられる繊維長は30mm以下、好ましくは3〜20mmである。
【0057】ペーパー層のポーラス性をコントロールするためには、レーヨン、リヨセル、あるいはPET繊維が主として用いられる。ペーパー層の強度増強、特に湿潤強度の改良の目的では、熱水易溶性の部分架橋PVA繊維、熱易溶性のバイコンポーネント繊維であるPP/PP、PE/PET、PET誘導体/PETのような低融点ポリマーを鞘に相対的に熱安定性のポリマーを芯にした繊維、等をブレンドして使用することも行われる。
【0058】これらのブレンドされる化合繊繊維の繊度(デニール)は、通常は1.0〜5dの範囲のものが使用されるが、物理的な強度を向上させる目的で、シェアや機械的力により1本の繊維を複数本に細分割して極細デニール化した、いわゆる分割繊維を使用することもできる。
【0059】(2)繊維ウェブ層本発明の複合体シートに適用される繊維ウェブ層とは、嵩高で凹凸を持つシート状の繊維マットであって、いわゆるステープル状繊維を解繊し得られるカードウェブ、より短い繊維を気流処理して得られるエアレイドウェブ、あるいはこれらのカードウェブやエアレイドウェブを接合不織布化したものを意味する。この繊維ウェブ層に求められる能力は、第一に、アクイジション機能、すなわち液の一時的保有能力であり、第二に、身体から排出された体液を吸収体表面に分配、分流する機能であり、第三に、吸収体と利用する際に求められる、SAP粒子の収容、担持能力である。
【0060】これらの能力は、繊維ウェブの嵩高性と「へたり」難さ、すなわちレジリエンス(圧縮回復性)の高さに大きく関係する。嵩高性としては、見掛け密度で表現すると、少なくとも0.1g/cm3未満が好ましく、より望ましくは0.06g/cm3以下である。その意味では、繊度の大きい、疎水性の合成繊維が望ましく、湿潤状態でへたり易いセルロース系繊維は望ましくない。しかし一方、水の浸透性や生分解性などを考慮すると、セルロース系素材が望ましい。したがって使用用途に応じて、繊維素材の組合せや表面処理を選択することが望ましい。
【0061】一方、レジリエンスの高い繊維ウェブ層の素材としては、PE系、PP系、PET系、ナイロン系、アクリル系などの合成繊維の単独あるいはそれらを混合したものが上げられる。繊度としては1.5〜12dが望ましく、さらに望ましくは4〜12dの、一般に布団綿として使用されているような太デニールの巻縮繊維、さらには中空でサイド・バイ・サイドの構造を持つ巻縮繊維等が望ましい。
【0062】繊維ウェブは、カードウェブのような未結合状態のものでもよく、あるいは不織布化したものでもよい。嵩高な不織布化加工には、PE/PP、PE/PET、PET誘導体/PETのようなシース・コア型の易熱溶性の複合繊維をブレンドし、いわゆるスルーエアー法の不織布化プロセスにより熱ボンドする方法があり、この方法で得られた不織布は、本発明に有利に適用することができる。
【0063】繊維ウェブは、疎水性の繊維を用いたものであっても、液の浸透性を確保する必要がある。この目的で、表面活性剤をスプレー、あるいはフォーム状で添加して表面親水性処理を行うこともある。カード法でウェブを作る場合には、カード適性を維持するために使用される静電防止剤などの紡績油剤が、その親水化剤の代行をする場合もある。あるいは前述したように、疎水性繊維に対してレーヨン、リヨセル、コットン、PVAなどの親水性繊維を添加して、混合繊維系ウェブを形成すれば、安定した水浸透性が得られる。
【0064】なお複合シートに、全体をトイレに流せるようなフラッシャブル性(水崩壊性)あるいは生分解性を賦与するためには、前述したようなパルプ100%のペーパー層に加えて、繊維ウェブ層にもフラッシャブル性および生分解性の少なくとも一つを賦与する必要があり、そのためには繊維長の短い、例えば3〜30mmのレーヨン、リヨセル、コットンリンター、PVA繊維のエアレイドマットを繊維ウェブとして用いることができる。
【0065】以下に、本発明の複合体シートの基本構造について図面を参照して詳細に説明する。
【0066】図1は、ペーパー層1と繊維ウェブ層2とを積層し、相互に接合した複合体シート10の基本構造を示し、(A)は部分平面図、(B)は(A)のA−A’線に沿った断面図である。ペーパー層1と繊維ウェブ層2とは、その接合面全体で密着し、例えばホットメルト接着剤で接合されている。
【0067】図から明らかなように、ペーパー層1は、複合体シート10の一方の表面を形成する平滑な第一面1aを有している。
【0068】一方、繊維ウェブ層2は、嵩高な第二面2aを有し、この第二面2aの異なる領域に、厚さの薄い高密度領域(H)と、嵩高な低密度領域(L)とが存在している。肉厚の薄い高密度領域(H)では、繊維ウェブ層2がペーパー層1の内部まで噛み込んでいるのに対して、嵩高な低密度領域(L)では、ペーパー層1とウェブ層2との間には空隙が存在している状態となっていて、このような状態は、例えば高圧水流で部分的交絡加工することにより形成することができる。
【0069】次に、このような断面構造を持つ複合体シートの諸元について説明する。表1に要約したように、全体の目付の好ましい範囲は20〜120g/m2、より好ましくは30〜80g/m2である。20g/m2以下では十分な高さの凹凸構造を得ることが難しい場合があり、また120g/m2を超えるとコストアップすると同時にハンドリングが難しくなる。
【0070】高密度領域(H)と低密度領域(L)との間の相違を、厚みと見掛け密度で表現すると、高密度領域(H)では、好ましくは厚み1mm未満、より好ましくは0.3〜0.8mmの範囲である。1mmを超えると、剛性が高くなってシートとしての柔軟性を保つことが難しくなる。見掛け密度は、好ましくは0.1g/cm3以上、より好ましくは0.15〜0.5g/cm3である。0.1g/cm3未満であると、物性的に寸法安定性を欠くことがある。
【0071】一方、低密度領域(L)では、厚みは好ましくは1mm以上、より好ましくは2〜10mmの範囲である。厚みが1mm未満では、充分な嵩が確保できない場合がある。見掛け密度は0.1g/cm3未満、より好ましくは0.02〜0.06g/cm3の範囲である。0.1g/cm3を超えると、やはり充分な空隙が確保できないことが生じる場合がある。
【0072】次に、高密度領域(H)と低密度領域(L)の分布状態について、図2および図3の平面図を参照して説明する。
【0073】図2は、高密度領域(H)および低密度領域(L)がともに連続相として存在する例を示し、図2(A)は、高密度領域(H)が低密度領域(L)の中に真っ直ぐな帯状に存在する例、図2(B)は、高密度領域(H)が低密度領域(L)の中で曲線状に存在する例を示す。
【0074】また図3は、高密度領域(H)および低密度領域(L)がそれぞれ連続相または分断相として分布している例である。図3(A)および(B)は、格子状に形成された連続相の高密度領域(H)により、低密度領域(L)が分断相として分布している例、図3(C)、(D)および(E)は、連続相の低密度領域(L)内に高密度領域(H)が分断相として分布している例を示している。
【0075】<複合体シートの製造方法>次に、本発明の複合体シートを製造する方法について説明する。
【0076】図1〜3に示したような構造を持つ複合体シートは、まずペーパー層と繊維ウェブ層との積層ウェブを形成し、ついで両層を相互に接合し、さらに厚/薄の表面賦型処理を行うことにより、薄く高密度な高密度領域(H)と、厚く低密度な低密度領域(L)を形成するステップを経て得られる。
【0077】本発明の複合体シートの製造方法においては、ペーパー層と繊維ウェブ層の接合の方法と、凹凸表面賦型の方法の種類およびそれらの組合せによって、様々な態様が考えられる。
【0078】接合方法としては、例えば高圧水、高圧水蒸気等により交絡させる接合、熱融着による接合、およびホットメルト樹脂による接合が可能である。それぞれの代表的な例について図面を参照して説明する。
【0079】図4は、高圧水を利用して、ペーパー層と繊維ウェブ層とを相互に交絡させて接合し、ついで表面賦型する工程を含む、複合体シート製造方法のプロセスフローシートを示すものである。ここでは、レーヨン、PET繊維、およびPE/PET繊維の3種類の繊維からなる原綿A、B、Cをそれぞれオーブナで処理し、原綿Cはそのままカード41aおよび41bに、原綿AおよびBはブレンダを経てカード41cに供給し、繊維ウェブ42a,42b,42cを調製する。これらのウェブを、20g/m2のティッシュペーパー43上に積層して積層ウェブ44とする。次に、この積層ウェブ44のティッシュペーパー側あるいは繊維ウェブ側から、高圧水流を、まず第一段処理として3.04MPa(30kgf/cm2)の水圧下で適用して交絡処理する。
【0080】この際、使用するノズルは、所望の高密度領域(H)を形成する上で重要な要素である。図5(A)、(B)にノズル50を詳細に示す。このノズル50は、図5(B)に示すように角度を変化させたノズル断面を持ち、ノズル間隔は1.0mm、ノズル出口の口径は0.1mmである。このノズル50を用いて、積層ウェブ全面を処理して、ペーパー層と繊維ウェブ層を接合し、まず低密度領域(L)を形成する。なお、この第一段処理においては、ノズル間隔は少なくとも2mm以下になるように密に配置し、水圧は2.06〜4.02MPa(20〜40kgf/cm2)の範囲で比較的低圧で行うのが望ましい。
【0081】第一段処理を経た積層ウェブ44は、さらに第二段処理として、図6(A)、(B)に示した第二段用ノズル、すなわちノズル間隔15mm、ノズル口径0.15mmのノズル51を用いて5.00MPa(50kgf/cm2)の水圧で処理し、15mm間隔で細い帯状の高密度な部分である高密度領域(H)を形成する。
【0082】なお、この第二段処理において、ノズル間隔は、第一段処理に比較して広くするのが望ましく、その間隔は例えば5〜30mmが望ましい。処理水圧は、少なくとも3.04MPa(30kgf/cm2)以上、好ましくは4.02〜9.90MPa(40〜100kgf/cm2)の比較的高圧で行うことが望ましい。
【0083】このように高圧水によって、交絡、接合および表面賦型された積層交絡シートは、図4のプロセスフローに従って脱水、乾燥することにより、本発明の複合体シート10として完成される。
【0084】本発明の複合体シートを製造する他の方法は、構成するペーパー層および繊維ウェブ層いずれか一方もしくは両方に易熱溶融性分を共存させ、積層ウェブとした状態で、グリッド状の表面凹凸を持つ加熱ロールで部分圧着処理をする方法であり、これにより、グリッド状に圧着された高密度領域(H)が連続に形成される。このような方法によって、図3(B)で示したようなパターンで高密度領域(H)および低密度領域(L)を持つ複合体シートが得られる。
【0085】次に、複合体シートのさらに他の製造方法について説明する。この方法は、ペーパー層面、繊維ウェブ層面の両面、あるいはそのいずれかの面にホットメルト接着剤を、コーティングあるいはスプレー等の手段で塗工し、その塗工面で両層を接合して積層ウェブとする。この積層ウェブに、凹凸面を持つ熱エンボスロールを圧着すると、その凸部の形状に応じて高密度領域(H)が形成される。この工程で用いられるホットメルトは、タック性のある粘着性ホットメルトでもよいし、EVA樹脂などのノンタック性のものでもよい。
【0086】本発明の複合体シートは、その構成要素の特性、および高密度領域(H)と低密度領域(L)の特性ならびに配置に応じて、種々の用途に対応する性能を有する素材として広範な用途を有する。以下に、本発明の複合体シートを吸収体製品へ応用した例について説明する。
【0087】<多機能トップシートへの応用>従来の吸収体製品に適用されているトップシートは、吸収体製品の最表面の、着用者の肌に接する位置に置かれ、吸収体からの吸収成分の脱離防止と、着用者の肌をできるだけドライに保つと同時に、液の浸透、移動を容易にする役割を担う。
【0088】本発明の複合体シートをこのようなトップシートとして吸収体製品に適用した場合、繊維ウェブ層が液の一時貯留能力を発揮してアクイジション層として働き、ペーパー層が液の急速な拡散層として働くため、従来のトップシート、アクイジションシートおよび拡散(トランスファー)シートの3つの機能を兼ね備えた多機能性を発揮する。
【0089】図7は、前述のような複合体シート10をトップシートとして使用した場合における他の要素との配置の一例を示している。繊維ウェブ層2の表面(第二面)を着用者の皮膚に接する方向に配置し、ペーパー層1の表面(第一面)を吸収体60に密着するように配置することが望ましい。吸収体60の外側には防漏シート61が配置される。
【0090】<吸収体製品における液分配ユニットとしての応用例>図8(A)の斜視図および図8(B)の断面図で示すように、本発明の複合体シートからなる液分配ユニット62は、下面に帯状に吸収層64を設けたシート状吸収体63の上面に接するように配置され、排出された液を瞬間的に吸液し、その吸液した液を長さ方向および幅方向に素早く分配、分流する機能を有する部材を意味する。
【0091】このような部材として複合体シートを適用する場合、この複合体シートが液分配ユニットとして効果的に働くためには、第一に、複合体シート中に極めて多数の網目状の液の通路が存在し、しかもその通路が排出液の吸液状態でも維持されることが必要である。そのためには、嵩高な構造とレジリエンス、特に湿潤時のレジリエンスの高いことが必要である。このような要求に適合する素材としては、例えば8dのPETの中空コンジュゲート繊維からのみ構成される繊維ウェブが挙げられる。
【0092】第二の条件として、水性液を瞬間的に受け入れ、しかも瞬間的に排出可能とするために、液の複合体シートへの浸透性および透水性が極めて優れていることが重要であり、これには表面活性剤による表面処理が有効である。透水性としては、例えば100mlの生理食塩水を溢れさせず、20秒前後で処理できるような性質が望まれる。
【0093】第三に、この液分配ユニットは、アクイジションシートのように吸収体表面全面に配置させる必要はなく、尿排出口相当部分の近辺にのみ集中的に配置すればよい。必要面積は吸収体面積の5〜50%、絶対面積でいえば10cm2以上、たとえば20〜50cm2あれば充分である。これによってコスト的負担も軽減される。
【0094】液分配ユニットは、吸収体に近接させて配置するが、トップシートが別に存在する場合には、トップシートとの位置関係に応じてその位置が変更される。すなわち、吸収体に直接に接触するように液分配ユニットを配し。その上にトップシートを配置する場合と、吸収体の上にトップシートを配し、そのトップシート上に液分配ユニットを配置する場合がある。吸収体に直接液分配ユニットを配する場合には、平滑なペーパー層面を吸収体側に、凹凸のある繊維ウェブ層面をトップシート側に配置するのが望ましい。トップシートの上に液分配ユニットを配する場合には、平滑なペーパー層面を、身体表面側に凹凸のある繊維ウェブ層面をトップシート側に配置するのが望ましい。
【0095】<繊維ウェブ層にSAP粒子を担持させた吸収体製品>本発明の複合体シートに、その製造過程で、あるいは製造後にSAP粒子を担持させることにより、新しい機能を持つシート状吸収体を構成することができる。SAP粒子は、複合体シートのペーパー層に担持させることも、また繊維ウェブ層に担持させることも可能であり、その担持させる層に応じて、著しく異なる性能を発揮する。
【0096】図9は、繊維ウェブ層2にSAP粒子70を担持させた吸収性複合体シートの断面を示す模式図である。この複合体シートの繊維ウェブ層2は、その嵩高な組織、つまり組織間空隙内に多量のSAP粒子70を安定に収容、担持することができる。ペーパー層1は、この場合にも拡散層として効果的に働き、シートの表面全体を均一に利用して、短時間で排出体液の吸収、固定に寄与する。このため、いわゆる超々薄型吸収体として極めて優れた性能を発揮する。
【0097】この繊維ウェブ層にSAP粒子を担持させる方法については、後述する実施例で具体的に説明するが、SAPの粉体を乾燥状態でウェブ層に散布する方法、SAPを溶媒中に懸濁させたサスペンジョンスラリーを繊維ウェブ層に湿式コートする方法等を含む種々の方法から適切な方法が選択される。
【0098】<ペーパー層にSAP粒子を担持させた吸収体製品>図10は、複合体シート10のペーパー層1にSAP粒子70を含む帯状の吸収体層80を担持させることにより構成された吸収体製品の断面を示す模式図である。この場合には、繊維ウェブ層2は液のアクイジション機能層として、ペーパー層1は拡散機能層として機能すると共に、ペーパー層1の下層部がSAP粒子70を担持する吸収層として機能する。この場合には、ペーパー層1には空隙が少なく、SAP粒子を物理的に担持できないので、ペーパー層1にあらかじめ粘着性ホットメルトをコーティングし、その上にSAP粒子を固定し、さらに非粘着性のホットメルトでSAP粒子をカバーするなどの、SAP粒子を安定に固定するための処置を施すことが望ましい。
【0099】以下に、本発明の複合体シートを製造する具体的な実施例を示す。
【0100】
【実施例】(実施例1)高圧水流による交絡結合を利用して複合体シートを製造するプロセスに、SAP粒子の担持プロセスを組み込んだ、図11に示すプロセスにより吸収性シートを製造した。
【0101】まず、ティッシュとして17g/m2のドライクレープ紙をペーパー層として使用した。6d×60mmのPET繊維を原綿として25g/m2のカードウェブを作り、ティッシュ状に積層して積層ウェブとした。この積層ウェブに図6(A)、(B)に示した第二段用ノズルのみを用いて、ネット上でライン交絡加工を行って、交絡積層ウェブを調製した。ノズル間隔は15mm、水圧は5.00MPa(50kgf/cm2)であった。この交絡積層ウェブに、カーテンコーター装置を用いて、SAP/ミクロフィブリル化セルロースの共分散スラリーを、180g/m2の付着量になるようにコーティングした。なお、SAPスラリーは次のような構成のものであった。
【0102】
【表3】
分散媒体 : エタノール/水=70/30混合系SAP粒子 : 三菱化学製アクアパール 平均粒径400μSAP粒子濃度 : 25%ミクロフィブリル状 : 0.6% (特種製紙製、S-MFC)セルロース濃度【0103】コーティング後の複合体シートは、分散媒体を真空除去した後、図11のフローシートに従って乾燥して吸収体製品とした。
【0104】この工程では、ペーパー層1と繊維ウェブ層2との接合を、水流交絡によって行ったが、前述のように、積層ウェブにSAP粒子を担持させた後に、SAP粒子の非存在部位のみで熱融着により接合して吸収体製品としてもよい。熱融着の代わりにホットメルトを接合剤として用いてもよい。
【0105】(実施例2)図12および図13は、ホットメルトを接合剤として、ペーパー層にSAP粒子を担持させた吸水性複合体シートを製造するステップを示している。
【0106】図12(A)において、目付30g/m2のドライクレープ紙101の表面に、合成ゴム系の粘着性ホットメルトをスパイラル状にスプレーして、相互に平行な帯状のホットメルト層102を形成した。次に、ホットメルト層102のスプレーパターンに応じてパターンでSAP粒子103を、チューブフィーダー(図示せず)から帯状に散布し、SAP粒子の存在部位とSAP粒子の非存在部位が帯状に交互に存在するようにSAP粒子を担持させた。
【0107】一方、図12(B)に、PE/PET 3d×51mmからなる目付25g/m2のエアスルー不織布ウェブ201を用意し、その表面に、前述のドライクレープ紙101上のSAPパターンに応じて粘着性ホットメルト層202を帯状に接触コーティングした。
【0108】以上のようにして用意されたドライクレープ紙101と不織布ウェブ201とを、各々のホットメルト層102および202が相互に向き合うように重なり合わせて積層した後(図13(A)、(B))、SAP粒子103の非存在ゾーンを線状に圧着、熱シールして高密度領域(H)を形成して一体化して、複合体シートにSAP粒子が担持された吸水性複合体シートを調製した(図13(C))。
【0109】なお、この実施例では、最初にペーパー層にSAP粒子を担持させたが、逆にエアスルー不織布の方にSAP粒子をまず担持させて、ドライクレープ紙をその上に貼り合わせるプロセスを採用してもよい。
【0110】このようにして得られる複合体シートをトップシートに利用した吸収体製品、あるいは複合体シートにSAP粒子を担持させて得られる吸水性複合体シートを組み込んだ吸収体製品は、吸収特性に優れ、しかも極めてコンパクトな形状を持つことから、女性用ナプキン、軽度/中度失禁パッド、子供用/大人用おむつ等の用途に極めて有用である。
【0111】
【発明の効果】以上に説明したように本発明の複合体シートは、平滑な表面を有するペーパー層と、凹凸面を持つ繊維ウェブ層とを部分的に圧着結合することにより、圧着された高密度領域と、圧着されていない低密度領域とが混在している。従って、ペーパー層が有している、毛細管による液拡散性と、繊維ウェブ層が有している液の一時貯留(アクイジション)機能およびクッション効果とが十分に保持されているとともに、圧着された高密度領域において、シート物性の強化部となり、また液の移動のためのチャンネル効果を発揮し、種々の吸収体製品のトップシートとして使用して優れた性能を発揮する。
【0112】さらに、圧着されていない低密度領域では、繊維ウェブ層が有している嵩高性を利用して、その部分にSAP粒子を確実に固定、保持することが可能であり、高性能の吸収体シートとして利用することが可能である。
【出願人】 【識別番号】592034744
【氏名又は名称】株式会社日本吸収体技術研究所
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町2丁目26番5号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平
【公開番号】 特開2003−103740(P2003−103740A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−297161(P2001−297161)