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多層ポリイミドフィルム、ポリイミド積層体および高分子光導波路 - 特開2003−103738 | j-tokkyo
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【発明の名称】 多層ポリイミドフィルム、ポリイミド積層体および高分子光導波路
【発明者】 【氏名】森山 英樹
【住所又は居所】愛知県東海市新宝町31番地の6 東レ・デュポン株式会社東海事業場内

【氏名】横山 博一
【住所又は居所】愛知県東海市新宝町31番地の6 東レ・デュポン株式会社東海事業場内

【氏名】松浦 徹
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社内

【氏名】山本 二三男
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社内

【氏名】佐々木 重邦
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社内

【要約】 【課題】成膜時に破れを生じることなく製膜性が良好であると共に、優れた剥離強度を有する積層体用の多層ポリイミドフィルムを提供する。

【解決手段】2種類のポリアミック酸を溶液状態のまま3層に重ね合わせ、支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た後、加熱イミド化することによって得られる多層ポリイミドフィルムであって、中心層に用いるポリアミック酸が特定の熱膨張係数および貯蔵弾性率を有し、また、両表層に用いるポリアミック酸が特定の熱膨張係数およびガラス転移温度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2種類のポリアミック酸を溶液状態のまま3層に重ね合わせ、支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た後、前記ポリアミック酸を加熱イミド化することによって得られる多層ポリイミドフィルムであって、中心層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上であり、また、この中心層を覆う両表層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつガラス転移温度が300℃以下であることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
【請求項2】 前記中心層に用いるポリアミック酸が、下記一般式(I)および(II)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
【化1】

【化2】

〔ただし、式中R1 は【化3】

R2 は【化4】

で示される基から選ばれたいずれかであり、さらにX:Yのモル比は100〜20:0〜80である。〕
【請求項3】 請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルムを任意の枚数積層し、加熱、加圧して得られるポリイミド積層体であって、0.3mm以上の厚みを持ち、かつ50℃から200℃の圧縮モードの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上であることを特徴とするポリイミド積層体。
【請求項4】 請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルムを任意の枚数積層し、加熱、加圧して得られるポリイミド積層体であって、0.4mm以上、0.7mm以下の厚みを持ち、かつ50℃から200℃の圧縮モードの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上であることを特徴とするポリイミド積層体。
【請求項5】 最表層に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上であるポリイミドフィルムを用い、これ以外の層に請求項1または2に記載の多層ポリイミドフィルムを用いたことを特徴とする請求項3または4に記載のポリイミド積層体。
【請求項6】 ポリイミド積層体の最表層を除く任意の層に、引っ張り弾性率が2Gpa以上である薄板を挿入したことを特徴とする請求項5に記載のポリイミド積層体。
【請求項7】 請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリイミド積層体を基板とすることを特徴とする高分子光導波路。
【請求項8】 製造過程での反りが長さ50mmの範囲で1mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の高分子光導波路。
【請求項9】 偏波依存損失が、波長1.3マイクロメートルにおいて、0.1dB/cm以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の高分子光導波路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製膜時に破れを生じることなく製膜性が良好であると共に、優れた剥離強度を有する多層ポリイミドフィルム、フッ素化ポリイミドに近い熱膨張係数を持つため、光導波路基板として用いた場合に導波路部分との間に歪みがなく、偏波依存損失の小さい高分子光導波路を得ることができるポリイミド積層体、および高い熱膨張係数と300℃での優れた形状保持性を発現する高分子光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光導波路としてはシリコンやガラス基板上に石英などを用いて導波路を作成した無機光導波路が広く知られていた。
【0003】しかるに、この無機光導波路は、光損失が低く、信頼性が高いなど優れた性質を有する反面、導波路作成時に数千℃の加熱を必要とするため、製造に特殊な装置を必要とし、製造コストが高いばかりか、電子部品との混載の場合などでは、製造プロセスの自由度が限定されるという問題があった。
【0004】一方、近年では、フッ素化ポリイミドを導波路部分に用いた有機光導波路の開発が進められている。
【0005】この有機光導波路は、作成が300℃程度の比較的低温で行えることなど多くの利点を有するが、この有機光導波路用の基板としてシリコン基板を用いる場合には、熱膨張係数の非常に大きなフッ素化ポリイミドとシリコン基板との間に歪みを生じ、この歪みに起因してその偏波依存損失が大きくなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0007】したがって、本発明の目的は、成膜時に破れを生じることなく製膜性が良好であると共に、優れた剥離強度を有する多層ポリイミドフィルム、フッ素化ポリイミドに近い熱膨張係数を持つため、光導波路基板として用いた場合に導波路部分との間に歪みがなく、偏波依存損失の小さい高分子光導波路を得ることができるポリイミド積層体、および高い熱膨張係数と300℃での優れた形状保持性を発現する高分子光導波路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の多層ポリイミドフィルムは、2種類のポリアミック酸を溶液状態のまま3層に重ね合わせ、支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た後、前記ポリアミック酸を加熱イミド化することによって得られる多層ポリイミドフィルムであって、中心層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上であり、また、この中心層を覆う両表層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつガラス転移温度が300℃以下であることを特徴とする。
【0009】本発明の多層ポリイミドフィルムにおいては、前記中心層に用いるポリアミック酸が、下記一般式(I)および(II)で示される構造単位を有することが好ましい。
【0010】
【化5】

【0011】
【化6】

〔ただし、式中R3 は【0012】
【化7】

R4 は【0013】
【化8】

で示される基から選ばれたいずれかであり、さらにX:Yのモル比は100〜20:0〜80である。〕
また、本発明のポリイミド多層積層体は、上記の多層ポリイミドフィルムを任意の枚数積層し、加熱、加圧して得られるポリイミド積層体であって、0.3mm以上、特に0.4mm以上、0.7mm以下の厚みを持ち、かつ50℃から200℃の圧縮モードの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上であることを特徴とする。
【0014】本発明のポリイミド多層積層体においては、最表層に50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上であるポリイミドフィルムを用い、これ以外の層に上記の多層ポリイミドフィルムを用いたこと、および最表層を除く任意の層に、引っ張り弾性率が2Gpa以上である薄板を挿入したことが、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0015】さらに、本発明の高分子光導波路は、上記のポリイミド積層体を基板とすることを特徴とする。
【0016】本発明の高分子光導波路においては、製造過程での反りが長さ50mmの範囲で1mm以下であること、および偏波依存損失が、波長1.3マイクロメートルにおいて、0.1dB/cm以下であることが、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳述する。
【0018】本発明の多層ポリイミドフィルムは、熱可塑性ポリイミドと非熱可塑性ポリイミドをポリアミック酸の段階で積層し、これをイミド化させることを特徴とするものであり、これにより熱可塑性ポリイミドと非熱可塑性ポリイミドをそれぞれ作成し、これを加熱、加圧して積層体とした場合に比較して、より優れた剥離強度を得ることができる。
【0019】さらには、熱可塑性ポリイミドと非熱可塑性ポリイミドをそれぞれ作成した場合、特に単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上の非熱可塑性ポリイミドは非常に脆弱でポリアミック酸からポリイミドへのイミド化の段階で破れが生じるが、3層のポリアミック酸をイミド化させる手法で得られる本発明の多層ポリイミドフィルムは、表層が緩衝層として作用するため、中心層の破れを効果的に防止することができる。
【0020】さらに、通常のポリイミドの製膜では、イミド化の段階で400℃を越える高温でポリアミック酸を加熱する必要があり、ガラス転移温度が300℃以下の熱可塑性ポリイミドを製膜することは非常に困難であるが、本発明においては、中心層が非熱可塑性ポリイミドであるために、加熱時も形状が保持され、良好な製膜性のもとで容易に製膜を行うことが可能である。
【0021】上記の特性を発揮するために、本発明の多層ポリイミドフィルムは、2種類のポリアミック酸を溶液状態のまま3層に重ね合わせ、支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た後、前記ポリアミック酸を加熱イミド化することによって得られる多層ポリイミドフィルムであって、中心層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上であり、また、この中心層を覆う両表層に用いるポリアミック酸が、単層で膜厚20〜60マイクロメートルのポリイミドフィルムに製膜した場合に、50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつガラス転移温度が300℃以下であることを必須の条件とする。
【0022】つまり、本発明の多層ポリイミドフィルムにおいては、中心層が非熱可塑性ポリイミド、両表層が熱可塑性ポリイミドであり、かつ、それぞれの層の50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値、300℃の貯蔵弾性率およびガラス転移温度が特定の範囲にあることが重要である。
【0023】本発明に用いられるポリアミック酸溶液とは、1種類以上のジアミン成分と、1種類以上のテトラカルボン酸二無水物とを、重合させることによって得られるものである。
【0024】ポリアミック酸溶液の重合方法としては、ジアミン化合物を溶媒中に入れた後、反応成分に対して1種類以上のテトラカルボン酸二無水物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、さらにジアミン化合物を添加し、続いて1種類以上のテトラカルボン酸二無水物を全ジアミン成分と全テトラカルボン酸二無水物成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法、および1種類以上のテトラカルボン酸二無水物を溶媒中に入れた後、反応成分に対してジアミン化合物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、1種類以上のテトラカルボン酸二無水物を添加し、続いてジアミン化合物を全ジアミン成分と1種類以上のテトラカルボン酸二無水物成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法などが挙げられる。
【0025】ここで、中心層として使用するポリアミック酸は、下記一般式(I)および(II)で示される構造単位を有することが好ましい。
【0026】
【化9】

【0027】
【化10】

〔ただし、式中R5 は【0028】
【化11】

R6 は【0029】
【化12】

で示される基から選ばれたいずれかであり、さらにX:Yのモル比は100〜20:0〜80である。〕
この中心層に使用されるポリアミック酸の具体例としては、ジアミノジフェニルエーテル、1,3ビス−(4アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、フェニレンジアミンなどのジアミン成分と、ピロメリット酸酸二無水物に代表されるピロメリット酸類またはピロメリット酸類と3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸またはその二無水物や3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその二無水物や4,4’−オキシジフタル酸またはその二無水物などの2個以上のベンゼン環を有するテトラカルボン酸類化合物とを、溶媒中で重合させることによって得られ、非熱可塑性ポリイミドを生成するものが挙げられる。
【0030】また、両表層に使用されるポリアミック酸の具体例としては、ジアミノジフェニルエーテル、1,3ビス−(4アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、フェニレンジアミンなどのジアミン成分と、ピロメリット酸酸二無水物に代表されるピロメリット酸類または3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸またはその二無水物や3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその二無水物や4,4’−オキシジフタル酸またはその二無水物などの2個以上のベンゼン環を有するテトラカルボン酸類化合物とを、溶媒中で重合させることによって得られ、熱可塑性ポリイミドを生成するものが挙げられる。
【0031】上記の重合で使用する溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルスルホンなどが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
【0032】上記の重合で得られるポリアミック酸は、前記溶媒中に10〜30重量%の割合となるように調整する。
【0033】次に、得られたポリアミック酸溶液から多層ポリイミドフィルムを得る方法を説明する。
【0034】まず、3種類のポリマーを任意の厚みで積層できる共押し出し口金等を使用して、上記非熱可塑性ポリイミドを生成するポリアミック酸を中心層に、上記熱可塑性ポリイミドを生成するポリアミック酸を両表層に用いて、3層ポリアミック酸溶液を支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得る。次いで、得られたポリアミック酸フィルムを金枠にピンで固定し、200℃から700℃の温度で熱処理を行うことにより多層ポリイミドフィルムを得る。
【0035】なお、上記において、支持体とはガラス、金属、高分子フィルムなど平面を有し、ポリアミック酸をこの上にキャストした場合に、キャストされたポリアミック酸を支持することができるものを意味する。
【0036】また、上記において、キャストとはポリアミック酸を支持体上に展開することを意味する。キャストの一例としては、バーコート、スピンコート、あるいは任意の空洞形状を有するパイプ状物質からポリアミック酸を押し出し、支持体上に展開する方法が挙げられる。
【0037】得られたポリアミック酸を環化させてポリイミドフィルムにする際には、脱水剤と触媒を用いて脱水する化学閉環法、熱的に脱水する熱閉環法のいずれで行ってもよいが、熱閉環法をもちいて得られる多層ポリイミドフィルムは熱膨張係数が高く、光導波路用基板として使用するに際してコアとの歪みが少なくなりため好ましい。
【0038】化学閉環法で使用する脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、フタル酸無水物などの酸無水物などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。また触媒としては、ピリジン、ピコリン、キノリンなどの複素環式第3級アミン類、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの第3級アミン類などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
【0039】かくして構成される本発明の多層ポリイミドフィルムは、製膜時に破れを生じることなく製膜性が良好であると共に、優れた剥離強度を有するものである。
【0040】したがって、上記の多層ポリイミドフィルムを任意の枚数積層し、加熱、加圧して得られる本発明のポリイミド積層体は、0.3mm以上、特に0.4mm以上、0.7mm以下の厚みを持つ場合の50℃から200℃の圧縮モードの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上という優れた特性を発現する。
【0041】本発明のポリイミド積層体においては、最表層に50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値が50ppm/℃以上、かつ300℃の貯蔵弾性率が50℃の貯蔵弾性率の50%以上である単層ポリイミドフィルムを用い、これ以外の層に上記の多層ポリイミドフィルムを用いることができ、この場合には最表層が熱圧着性を持たないため、加熱圧着時に装置に付着する事を防ぐという優れた効果の発現を期待することができる。
【0042】また、本発明のポリイミド積層体においては、最表層を除く任意の層に、引っ張り弾性率が2Gpa以上である薄板、例えばカプトン(R)HA,カプトン(R)EN(カプトンはデュポン社の登録商標), ステンレス板などを挿入することができ、この場合には光導波路作成時の反りを防止できるという優れた効果の発現を期待することができる。
【0043】上記の構成からなる本発明のポリイミド積層体は、フッ素化ポリイミドに近い熱膨張係数を持つため、光導波路基板として用いた場合に導波路部分との間に歪みがなく、偏波依存損失の小さい高分子光導波路を得ることができる。
【0044】なお、ここでいう偏波依存損失とは、導波路面に平行な偏波光と導波路面に垂直な偏波光の光損失の差を意味する。
【0045】したがって、上記のポリイミド積層体を基板とする本発明の高分子光導波路は、製造過程での反りが長さ50mmの範囲で1mm以下および偏波依存損失が波長1.3マイクロメートルにおいて0.1dB/cm以下という優れた性能を発揮し、光通信用コネクタ、光電変換素子などの用途に好適に使用することができる。
【0046】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0047】なお、上記および以下の実施例において、ガラス転移温度(Tg)とは、レオロジ社のDVE−V4を用い、駆動周波数110Hz、昇温速度2℃/分、振動変位16μmで行った時の損失正接の極大値の温度である。
【0048】また、熱膨張係数とは、島津製作所製サーモメカニカルアナライザーTMA50を用いて50℃〜200℃の平均熱膨張係数を測定した時の値である。
【0049】〔参考例1〕DCスターラーを備えた1000mlセパラブルフラスコ中に、1,3ビス−(4アミノフェノキシ)ベンゼン41.68(143mmol)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン58.53g(143mmol)、およびN,N´−ジメチルアセトアミド608.37gを入れ、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。30分後から1時間後にかけて、ピロメリット酸二無水物60.33g(277mmol)を数回に分けて投入した。さらに、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物/N,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6wt%)31.0gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸の粘度は2500ポアズであった。
【0050】得られたポリアミック酸の一部をポリエステルフィルム上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を形成した。これをオーブンで100℃、1時間加熱乾燥することにより自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た。
【0051】得られたポリアミック酸フィルムを金枠にピンで固定し、200℃で30分、300℃で20分、400℃で5分の条件で熱処理を行い、ポリイミドフィルムを得た。
【0052】表1に得られたポリイミドフィルムと熱処理中に破れたフィルムの数をまとめた。得られたポリイミドフィルム(厚み:50μm)の50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値は57.5ppm/℃、破断点伸度は6%であった。さらに300℃の貯蔵弾性率は2.34GPaであり、50℃の貯蔵弾性率、つまり3.53GPaの66%であった。
【0053】〔参考例2〕DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、1,3ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン34.542(118mmol)、N,N´−ジメチルアセトアミド258.867gを入れ、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。30分後から1時間後にかけて、4,4´−オキシジフタル酸二無水物29.32g(95mmol)を数回に分けて投入した。1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物4.38g(20mmol)を数回に分けて投入した。さらに、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物/N,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6wt%)12.8gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。
【0054】ここで得られたポリアミック酸の粘度は2000ポアズであった。
【0055】得られたポリアミック酸の一部をポリエステルフィルム上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を形成した。これをオーブンで100℃、1時間加熱乾燥することにより自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た。
【0056】得られたポリアミック酸フィルムを金枠にピンで固定、200℃で30分、300℃で20分、400℃で5分の条件で熱処理を行うことによりポリイミドフィルムを得た。
【0057】表1に得られたポリイミドフィルムと熱処理中に破れたフィルムの数をまとめた。得られたポリイミドフィルム(厚み:25μm)の50℃から200℃の引っ張りモードでの熱膨張係数の平均値は60.0ppm/℃であった。得られたポリイミドフィルムについて、レオロジ社のDVE−V4を用い、駆動周波数110Hz、昇温速度2℃/分、振動変位16μmの条件で測定したガラス転移温度(Tg)は246℃であった。
【0058】〔実施例1〕3種類のポリマーを任意の厚みで積層できる共押し出し口金を使用して、参考例1で得たポリアミック酸を中心層に、参考例2で得たポリアミック酸を両表層に用いた3層ポリアミック酸溶液を支持体上にキャストし、加熱乾燥することにより、自己支持性のポリアミック酸フィルムを得た。
【0059】得られたポリアミック酸フィルムを金枠にピンで固定し、200℃で30分、300℃で20分、400℃で5分の条件で熱処理を行い多層ポリイミドフィルムを得た。
【0060】表1に得られた多層ポリイミドフィルムと熱処理中に破れたフィルムの数をまとめた。偏光顕微鏡による観察の結果、得られた多層ポリイミドフィルム(厚み:65μm)の各層の厚みは10/45/10(μm)、破断点伸度は9%であった。
【0061】
【表1】

〔実施例2〕実施例1で得た多層ポリイミドフィルム8枚を重ね合わせ、200℃、120分 0Kg/cm2 、375℃、60分、40Kg/cm2 で加熱圧着することにより、ポリイミド積層体を作成した。中心層の剥離強度を90°剥離、クロスヘッド速度50mm/minで測定し、結果を表2にまとめた。圧縮モードでの熱膨張係数の平均値は65.0ppm/℃であった。
【0062】〔実施例3〕実施例1で得たポリイミド積層体からなる直径10.16cmの円板状積層体上に、コア/クラッドの屈折率差が0.6%の光導波路用フッ素化ポリイミド材料を用いて埋め込み型フッ素化ポリイミド光導波路を作成した。
【0063】まず、ポリイミド積層体上にクラッド用フッ素化ポリアミック酸溶液をスピンコートし、これを300℃以上で加熱イミド化して下部クラッド層を形成した。次に、この上にコア用フッ素化ポリアミック酸溶液をスピンコートし、これを300℃以上で加熱イミド化してコア層を形成した。次いで、コア層にはアルミニウムマスクとフォトレジストを用いて直線のコアパターンを形成し、酸素ガスのドライエッチングによりコアリッジを作成した。最後にエッチングされたコア上にクラッド用フッ素化ポリアミック酸溶液をスピンコートし、これを300℃以上で加熱イミド化して上部クラッド層を形成した。このようにして、直径10.16cmの円板状積層体上に形成された埋め込み型フッ素化ポリイミド光導波路から、幅10mm、長さ50mmの直線光導波路を切り出した。
【0064】この直線光導波路の反りは、長さ50mmに対して1mm以下であった。また、この高分子光導波路に波長1.3マイクロメートルの光を導波させた時の偏波依存損失は0.1dB/cm以下であった。
【0065】〔比較例1〕参考例1で得たポリイミドフィルム9枚と参考例2で得たポリイミドフィルム8枚を交互に重ね合わせ、200℃、120分、 0Kg/cm2 、375℃、60分、40Kg/cm2 で加熱圧着することにより、ポリイミド積層体を作成した。中心層の剥離強度を90°剥離、クロスヘッド速度50mm/minの条件で測定し、結果を表2にまとめた。
【0066】
【表2】

【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層ポリイミドフィルムは、製膜時に破れを生じることなく製膜性が良好であると共に、優れた剥離強度を有するものである。
【0068】また、上記の多層ポリイミドフィルムを任意の枚数積層し、加熱、加圧して得られる本発明のポリイミド積層体は、フッ素化ポリイミドに近い熱膨張係数を持つため、光導波路基板として用いた場合に導波路部分との間に歪みがなく、偏波依存損失の小さい高分子光導波路を得ることができる。
【0069】さらに、上記のポリイミド積層体を基板とする本発明の高分子光導波路は、高い熱膨張係数と300℃での優れた形状保持性を発現する。
【出願人】 【識別番号】000219266
【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿二丁目1番1号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−103738(P2003−103738A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−302715(P2001−302715)