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【発明の名称】 積層フィルム及び金属蒸着積層フィルム
【発明者】 【氏名】田中 茂
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】増田 順一
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】笹本 太
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】金属蒸着した際の金属蒸着膜とフィルム基材との接着性を改善しながら、二次加工後においても優れたガスバリア性能を有する金属蒸着用積層フィルムおよび金属蒸着積層フィルムを提供すること。

【解決手段】基層のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度が100℃以上の樹脂からなり、かつその表面と水との接触角が90°以下である樹脂層(A)が積層されたフィルムであって、80℃での長手方向のヤング率(EMD)と幅方向のヤング率(ETD)により下記式(1)で表されるMT値が0.4〜0.9の範囲であることを特徴とする積層フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】基層のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度が100℃以上の樹脂からなり、かつその表面と水との接触角が90°以下である樹脂層(A)が積層されたフィルムであって、80℃での長手方向のヤング率(EMD)と幅方向のヤング率(ETD)により下記式(1)で表されるMT値が0.4〜0.9の範囲であることを特徴とする積層フィルム。
MT=EMD/(EMD+ETD) (1)
【請求項2】80℃での長手方向のヤング率(EMD)と幅方向のヤング率(ETD)がいずれも0.3GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】基層のポリプロピレンフィルムが、230℃で測定したときの溶融張力(MS)とメルトフローレイト(MFR)の関係が、次式(2)
log(MS)>−0.61log(MFR)+0.82 (2)
を満たすポリプロピレンを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】基層のポリプロピレンフィルムが、ポリプロピレン100重量部に対し、極性基を実質的に含まない石油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種を、1〜20重量%添加したものであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の積層フィルム。
【請求項5】樹脂層(A)の積層厚みが、0.1μm以上であり、かつ全積層フィルム厚みの1/3以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の積層フィルム。
【請求項6】ポリプロピレンフィルムの片面に樹脂層(A)が積層され、もう一方の片面にプロピレン系共重合体からなる樹脂層(B)が積層された請求項1〜5いずれかに記載の積層フィルム【請求項7】請求項1〜6いずれかに記載の積層フィルムが、縦−横逐次二軸延伸法にて、長手方向に6倍以上、幅方向に10倍以下延伸して製造されてなることを特徴とする積層フィルム【請求項8】請求項1〜7いずれかに記載の積層フィルムの樹脂層(A)に金属蒸着膜を付設してなることを特徴とする金属蒸着積層フィルム。
【請求項9】金属蒸着膜が、アルミニウムおよび/または酸化アルミニウムである請求項8記載の金属蒸着積層フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層フィルム及び金属蒸着積層フィルムに関するものである。さらに詳しくは二次加工時の抗張力に優れ、金属蒸着膜との接着性に優れた積層フィルム及び金属蒸着膜を付設し、二次加工後のガス遮断性、防湿性に優れた金属蒸着積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンフィルムは、優れた防湿性、強度、透明性、表面光沢により包装用フィルムとして広範に用いられている。さらにフィルムのガス遮断性、防湿性を向上させる目的で、ポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレンフィルムが、透明でガスバリア性の優れたフィルムとして広く用いられている。しかしポリ塩化ビニリデンは廃棄焼却時に塩素系ガスや有毒な塩素系物質が発生するために環境への悪影響が指摘されている。また近年、ガスバリア包装材料のコストダウンと回収を目的として、ガスバリア包装材料のすべてをポリオレフィン樹脂にするという動きになってきている。そこで、金属光沢によるディスプレー時の見栄えを良くし、ガスバリア性能を向上させ、紫外線などの外部光線による内容物の変質を抑える目的で、ポリオレフィン樹脂フィルム上にアルミニウムなどの金属を蒸着する(金属化)ことも広く行われている。
【0003】米国特許4、345、005号公報には、アイソタクチックポリプロピレンの基層の少なくとも片面に共押出で形成された、約2%から約4%のエチレンを含むエチレン・プロピレン共重合体層にコロナ放電処理し金属蒸着された、金属化二軸配向ポリプロピレンフィルムの開示がある。さらに米国特許4、357、383号公報には、基層上にエチレンと炭素量3〜6のα−オレフィン0.25〜15重量%のランダム共重合体層を形成した上に金属層を形成した複層金属化包装用フィルムの開示がある。また同様に、金属酸化物蒸着用二軸配向ポリプロピレン複合フィルムとして、特開平9−94929には、蒸着を行うべき表層のポリオレフィン樹脂の融解熱量が30〜85J/gのものの開示があり、このための樹脂として、ポリプロピレン系共重合体、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体、およびそれらの樹脂とアイソタクチックホモポリプロピレンあるいはポリプロピレン共重合体のブレンド樹脂が挙げられている。これら表層樹脂のうち共重合体を表層に積層することにより、金属蒸着膜の接着性が向上するが、共重合体は一般に結晶融解開始温度が低いことから、製膜時に縦延伸ロールに粘着するなどの製膜上の制約が大きく、粘着痕による光沢の低下が問題となる。また結晶融解開始温度が低いことにより金属蒸着を行った際に、金属の凝集熱や蒸発源からの輻射熱により金属蒸着膜が白化しやすく、金属光沢が得られにくいという問題もあった。特開平7−89022に示されるように、表層がシンジオタクチックポリプロピレンからなる場合、結晶融解開始温度が低くなり、共重合体と同様に耐熱性の問題を生じることが知られている。
【0004】さらに、米国特許4、419、410号公報には、配向ポリプロピレンフィルムにおいて高立体規則性ポリプロピレンに比較的低立体規則性のポリプロピレンが積層され、有機滑剤や静電防止剤の発現性を促進する技術の開示があるが、上記米国特許4、357、383号公報に示されるようにこれら添加剤のうち特に有機滑剤の添加は、水との接触角が低くなるが、添加剤が蒸着膜との接着性を悪化させることが公知であり、該技術を金属蒸着用フィルムに適用することはできなかった。
【0005】つぎに、上述の基材を用いた金属蒸着フィルムの重要な特性の一つに、金属蒸着により酸素や水蒸気の透過性を下げ、包装材料の一部に用いた際の酸素や水蒸気による内容物の変質を抑えるという、いわゆるガスバリア性能がある。ガスバリア性能は内容物である主として食品の保存性に大きく関与するため、ますます高いガスバリア性能を有する金属蒸着フィルムが求められている。しかし、上述の金属蒸着フィルムは、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体などの層と金属蒸着層との接着強度が低く、塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレンフィルムと同等のガスバリア性能が得られておらず、また、ポリエチレンなどを用いて金属蒸着面と他の素材とを押出ラミネートする際に、結晶融解開始温度が低いことが災いして、金属蒸着フィルムが金属光沢を失ったり、ガスバリア性能が大幅に低下するという問題があった。
【0006】さらに、従来の逐次二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、幅方向のヤング率に比べ長手方向のヤング率が低く、蒸着加工およびガスバリア性を必要とする包装袋などの高次加工する際の張力によりフィルムが伸びて、蒸着層にクラックや剥離が生じやすくガスバリア性能の悪化が起こるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の実情に鑑み、金属蒸着した際の金属蒸着膜と基材との接着性を改善しながら、二次加工後においても優れたガスバリア性能を有する積層フィルムおよび金属蒸着積層フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の積層フィルムは、基層のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度が100℃以上の樹脂からなり、かつその表面と水との接触角が90°以下である樹脂層(A)が積層されたフィルムであって、80℃での長手方向のヤング率(EMD)と幅方向のヤング率(ETD)により下記式(1)で表されるMT値が0.4〜0.9の範囲であることを特徴とする積層フィルム。
【0009】MT=EMD/(EMD+ETD) (1)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の積層フィルムは、80℃での長手方向のヤング率(EMD)と幅方向のヤング率(ETD)で次式(1)により表されるMT値が0.4〜0.9の範囲にあることが必要である。
【0011】MT=EMD/(EMD+ETD)・・・(1)
MT値が、この範囲内にある積層フィルムは、長手方向と幅方向の剛性の差が小さく製袋加工後の捻りやカールが小さく製品の形態保持性のよいフィルムとなり、あるいは、幅方向に比較して長手方向の剛性が高くなり、蒸着加工およびガスバリア性を必要とする包装袋などの高次加工する際の張力によるフィルムの伸びが小さく、蒸着層にクラックや剥離が生じ難く、ガスバリア性能のよいフィルムとなる。MT値が0.4未満であると長手方向の剛性に劣るために二次加工時の抗張力に劣り、金属蒸着後のガスバリア性が悪化する。MT値が0.9を越えると幅方向の剛性が劣るためにフィルム全体の腰が不十分となり、二次加工時に皺が入りやすくなる。より好ましくは、0.45〜0.8の範囲であり、さらに好ましくは、0.48〜0.7の範囲である。
【0012】本発明の積層フィルムの80℃での長手方向と幅方向のヤング率はいずれも0.3GPa以上であることが好ましい。0.3GPa未満であると二次加工時の抗張力に劣り、金属蒸着層にクラックや剥離が起こり、また、皺が入るなどをしてガスバリア性が悪化するので好ましくない。より好ましくはいずれも0.4GPa以上、さらに好ましくはいずれも0.5GPa以上である。
【0013】さらに、本発明の積層フィルムの80℃での長手方向のF2値は、10MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向のF2値とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の伸度2%に対する試料にかかる応力である。F2値が10MPa未満であると、蒸着、コーティング、ラミネート、印刷などのフィルム加工時に膜割れ、ピッチずれなどを生じるため好ましくない。より好ましくは15MPa以上である。
【0014】また、本発明の積層フィルムの23℃での長手方向と幅方向のヤング率はいずれも2.5GPa以上であることが好ましい。2.5GPa未満であると二次加工後の巻き出しやスリット時にフィルムが伸びて金属蒸着層にクラックや剥離が起こり、また、皺が入るなどをしてガスバリア性が悪化するので好ましくない。より好ましくはいずれも2.7GPa以上、さらに好ましくはいずれも3.0GPa以上である。
【0015】また、本発明の積層フィルムの表層の光沢度は135%以上であることが、蒸着後の金属光沢の麗美性のために好ましく、より好ましくは138%以上である。
【0016】本発明の積層フィルムにおいて、基層のポリプロピレンフィルムを形成するポリプロピレンは、上記式(1)を満たす限りにおいて、特に制限はないが、以下に述べる性質を有するポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0017】本発明に使用するポリプロピレンのアイソタクチックインデックス(以下IIと省略称する)は、95〜99.8%の範囲にあることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムとしたときのヤング率が低下し、熱収縮率が大きくなる場合がある。IIが上記範囲を超えると、製膜性が悪化する場合がある。より好ましくは96〜99.5%の範囲のものである。
【0018】また、該ポリプロピレンのメソペンタッド分率(以下mmmmと略称する)は90〜99.5%であることが好ましい。mmmmが上記範囲未満であると、フィルムとしたときのヤング率が低下し、熱収縮率が大きくなって熱寸法安定性に劣る場合があるため、印刷やコーティングおよびラミネート加工などの二次加工性に劣るので好ましくない。mmmmが上記範囲を超えると製膜性が著しく悪化する。より好ましくは94〜99%の範囲である。
【0019】該ポリプロピレンのメルトフローレート(以下MFRと略称する)は、製膜性の観点から1〜20g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇して押出性が不安定となり、製膜性が悪化するなどの問題点が生じる場合がある。MFRが上記範囲を超えると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなるなどの問題点が生じる場合がある。より好ましくは1〜15g/10分の範囲のものである。
【0020】さらに、該ポリプロピレンの結晶融解温度のピーク温度は、160℃以上、好ましくは165℃以上であると熱寸法安定性が高くなるので好ましい。
【0021】該ポリプロピレンには、230℃で測定したときの溶融張力(MS)とメルトフローレイト(MFR)が、下記式(2)
log(MS)>−0.61log(MFR)+0.82 (2)
を満たす、MSが高い高溶融張力ポリプロピレン(High Melt Strenghth−PP;以下HMS−PPと略称する)を含有することが好ましい。
【0022】ここで、230℃で測定したときのMSとは、東洋精機(株)製メルトテンションテスターを用いて、ポリプロピレンを230℃に加熱し、溶融ポリプロピレンを押出速度15mm/分で吐出しストランドとし、このストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力を測定し、MS(単位:cN)とした。
【0023】また、230℃で測定したときのMFRとは、JIS K6758に従って2.16kgの荷重下で測定されたもの(単位:g/10分)である。
【0024】式(2)を満たすHMS−PPを含有することにより、従来一般的に行われる縦−横逐次二軸延伸において、これまで困難であった長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。即ち、HMS−PPが横延伸時に縦配向結晶の横方向への再配列を抑制するので好ましい。
【0025】上記230℃で測定したときの溶融張力(以下MSと略称する)とMFRが、上記式(2)を満たすHMS−PPを得るには、高分子量成分を多く含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭62−121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているように、長鎖分岐を導入せずに溶融張力と固有粘度、結晶化温度と融点とがそれぞれ特定の関係を満たし、かつ沸騰キシレン抽出残率が特定の範囲にある直鎖状の結晶性ポリプロピレンとする方法等が好ましく用いられる。本発明の積層フィルムには、ポリプロピレン分子中に長鎖分岐を導入して溶融張力を高めたHMS−PPを用いることが特に好ましい。具体例としては、Basell社製高溶融張力PP(HMS−PP)、Borealis社製HMS−PPなどが挙げられる。
【0026】ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式(3)で表される分岐指数Gが挙げられる。
【0027】G=[η]LB/[η]Lin (3)
ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。なお、固有粘度はテトラリンに溶解した試料について公知の方法で135℃で測定する。また、重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratoy、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定される。
【0028】長鎖分岐を有するポリプロピレンの分岐指数は、0.3〜0.9の範囲にあることが好ましい。分岐指数が上記範囲未満であると、製膜性が悪化する場合がある。分岐指数が上記範囲を超えると、フィルムとしたときの長手方向のヤング率が不十分となる場合がある。より好ましくは0.4〜0.7の範囲のものである。
【0029】また、本発明に使用するHMS−PPのMSは、3〜40cNの範囲にあることが好ましい。MSが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの長手方向のヤング率が不十分となる場合がある。MSが大きいほど長手方向のヤング率は高くなる傾向にあるが、MSが上記範囲を超えると製膜性が悪化する場合がある。より好ましくは4〜30cN、さらに好ましくは5〜20cNの範囲のものである。
【0030】本発明の積層フィルムのポリプロピレンフィルム中に含まれるHMS−PPの混合量は特に制限されないが、1〜60重量%であることが好ましく、少量添加でも効果がみられるのが特徴である。混合量が上記範囲未満では長手方向の剛性向上効果が小さくなる場合があり、上記範囲を超えると延伸性が悪化したり、フィルムの耐衝撃性、ヘイズなどが悪化する場合がある。より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは3〜40重量%である。
【0031】本発明の他の構成として、本発明に使用するポリプロピレンのMSとMFRの値は下記式(4)を満たすことが挙げられる。下記式(4)を満たすポリプロピレンは、たとえばHMS−PPと汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得ることができる。
【0032】
log(MS)>−0.61log(MFR)+0.52 (4)
本発明の積層フィルムに用いるポリプロピレンが、式(4)を満たさないと、フィルムの剛性がアンバランスとなることがあり、フィルムのハンドリング性が低下したり、長手方向、幅方向の熱寸法安定性が悪くなるため好ましくない。本発明に使用するポリプロピレンは、より好ましくは(4’)式を満たすように、とくに好ましくは(4’’)式を満たすことが好ましい。これらは、たとえばHMS−PPの添加量を調整することで、調製が可能であり、長手方向の剛性をさらに向上することができる。
【0033】
log(MS)>−0.61log(MFR)+0.56 (4’)
log(MS)>−0.61log(MFR)+0.62 (4’’)
ここで、上記式の関係は、製膜後の積層フィルムのポリプロピレンフィルムのみの値として求めるのは難しく、製膜前の原料チップを用いて判定することが望ましい。製膜後の積層フィルムについては、ポリプロピレンのIIを求める方法で該フィルムをn−ヘキサンで抽出し、130℃で2時間真空乾燥したものをサンプルとして用い、MSを測定して判定することもできる。
【0034】本発明に使用する(2)式を満たすポリプロピレンまたは(4)式を満たすポリプロピレンのMFRは、製膜性の観点から1〜30g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要するなどの問題点が生じる場合がある。MFRが上記範囲を超えると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなるなどの問題点が生じる場合がある。MFRは、より好ましくは1〜20g/10分の範囲のものである。
【0035】本発明に使用するポリプロピレンには、経済性の観点等から、本発明の特性を損なわない範囲で本発明の積層フィルムや他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや他の樹脂をブレンド使用してもかまわない。
【0036】また、上記ポリプロピレン以外の第3成分、例えばエチレン、ブテン、ヘキセン等を少量(3モル%以下)ランダムに共重合したものを用いてもよいが、本発明の場合、ホモポリプロピレンが特に好ましい。
【0037】本発明の積層フィルムにおいて、基層のポリプロピレンフィルムは、強度、剛性、透明性などの面から二軸延伸されていることが好ましく、特に逐次二軸延伸されていることが好ましい。
【0038】さらに、本発明のポリプロピレンフィルムには、極性基を実質的に含まない石油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を1〜20重量%添加することは、フィルムの長手方向および幅方向のヤング率を高くすることができ好ましい。添加量が1重量%未満では添加効果がみられず、20重量%を越えると、80℃でのヤング率の低下が大きく、耐熱性も悪化するばかりでなく、石油樹脂およびテルペン樹脂の表層へのブリードアウトが多くなり、フィルムの滑り性も悪化するので好ましくない。
【0039】該極性基を実質的に含まない石油樹脂とは、水酸基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3Y、YはH、Naなど)などおよびそれらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂、すなわち石油系不飽和炭化水素を直接原料とするシクロペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂である。これら樹脂を添加する場合は、耐熱性を低下させないために示差熱量分析計にて測定したガラス転移温度は50℃以上、好ましくは76℃以上のものが好ましい。また、該石油樹脂に水素を付加させ、その水添率を80%以上、好ましくは95%以上とした水添石油樹脂が特に好ましい。さらに、該ポリプロピレンと相溶化するとの観点から該石油樹脂は非晶性(すなわち示差熱量分析計にて該石油樹脂を測定したときに実質的に結晶融解が観測されない)が好ましく、また数平均分子量は1000以下が好ましい。
【0040】極性基を実質的に含まないテルペン樹脂とは、水酸基(-OH)、アルデヒド基(-CHO)、ケトン基(-CO-)、カルボキシル基(-COOH)、ハロゲン基、スルホン酸基(-SO3Y、YはH、Naなど)などおよびそれらの変成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、すなわち(C5H8nの組成の炭化水素およびそれから導かれる変成化合物である。なお、nは2〜20程度の自然数である。テルペン樹脂のことを別称してテルペノイドと呼ぶこともある。代表的な化合物名としては、ピネン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テルビノレン、テルピオン、サピネン、トリシクレン、ピサポレン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、トタレン、などがあり、その水添率を80%以上、好ましくは90%以上とするのが望ましく、特に水添βピネン、水添ジペンテンなどが好ましい。
【0041】また、該ポリプロピレンフィルムには、脂肪酸アミドなどの有機滑剤は添加しない方が金属蒸着膜の接着性のために好適であるが、滑り性を付与し、作業性や巻き取り性を向上させるために、有機架橋性粒子や無機粒子を少量添加することは許容される。このための有機架橋性粒子としては、架橋シリコーン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチレン粒子などが挙げられ、無機粒子にはゼオライトや炭酸カルシウム、酸化ケイ素、珪酸アルミニウムなどを例示することができる。これら粒子の平均粒径は、0.5〜5μmの範囲のものが本発明のフィルムのガスバリア性能を大きく悪化させずに、滑り性を付与できるので好ましい。
【0042】該ポリプロピレンフィルムの厚みは3〜100μmであることが好ましく、より好ましくは5〜60μmである。3μmより薄いと腰が弱く蒸着加工時にしわが入りやすくなったり、光沢に劣る場合がある。また、100μmより厚いと、製膜性が悪かったり、蒸着加工時の巻き取り性に劣る場合がある。
【0043】本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層(A)は、上記ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に積層される。本発明の積層フィルムは、樹脂層(A)/ポリプロピレンフィルムからなる2層構造でもよいし、樹脂層(A)/ポリプロピレンフィルム/樹脂層(A)または、樹脂層(A)/ポリプロピレンフィルム/樹脂層(A)以外の樹脂層からなる3層構造でもよい。さらに、積層フィルムの最外面にコーティング処理を施したり、他の樹脂層、他の基材等を積層することも可能である。
【0044】本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層(A)表面は、水との接触角が90°以下であることが重要である。水との接触角が90°を越えると、金属蒸着層との密着性に劣り、金属蒸着フィルムを二次加工する際に、金属蒸着層が剥がれ落ちる場合がある。
【0045】該樹脂層(A)表面の水との接触角を90°以下にするには、水との親和性の高い極性基を含有した樹脂を積層するか、もしくは含有することが好ましい。極性基を含有した樹脂とは、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、無水マレイン酸グラフト樹脂、アクリル酸グラフト樹脂、ポリウレタン樹脂、極性基含有石油樹脂等が挙げられ、これら少なくとも一種以上の樹脂もしくは2種以上混合樹脂であってもよい。
【0046】さらに、該樹脂層(A)表面の水との接触角を下げる為に、表面に空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、プラズマ処理やコロナ放電処理などで活性化することが好ましい。特に、接触角は70°以下に下げることが、金属蒸着層との密着性が向上するので好ましい。
【0047】樹脂層(A)は、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度が100℃以上の樹脂からなることが重要である。該樹脂の結晶融解開始温度が100℃未満では、製膜時に縦延伸ロールに粘着するなどの製膜上の制約が大きく、また、蒸着時の熱によって表層が部分融解して金属蒸着層にクラックができ、白化及びガスバリア性低下という問題が起こる場合がある。またさらに、フィルムを長尺に巻いた時にブロッキングが起る場合がある。さらに、結晶融解開始温度が100℃未満の樹脂を積層すると、金属蒸着積層フィルム全体のヤング率が低下して、二次加工時の張力によって伸び、蒸着層にクラックが発生する場合がある。
【0048】樹脂層(A)に使用される樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、ホモポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルアミド、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、これら少なくとも一種以上の樹脂もしくは2種以上混合樹脂であってもよい。とりわけ、ポリプロピレンフィルムとの積層性及び共延伸性の点から、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。
【0049】該ポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率は、70〜90%の範囲が好ましい。該樹脂のメソペンタッド分率が70%未満では表面粗れが大きくなり、金属蒸着後のガスバリア性が悪化する場合があるので好ましくない。メソペンタッド分率が88%を越えると、金属蒸着層との密着性が低下して、細かい膜抜けが起こりガスバリア性が悪化する場合があるので好ましくない。
【0050】また、該ポリプロピレン系樹脂は、メソペンタッド分率が70〜90%のアイソタクチックポリプロピレンに、エチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂を混合して、エチレン含有量が0.1〜2重量%の範囲とすることが金属蒸着層の密着性向上の点から特に好ましい。エチレン含有量が0.1重量%未満では効果がみられず、また、エチレン含有量が2重量%を越えると、製膜時に縦延伸ロールに粘着するなどの製膜上の制約が大きく、粘着痕による光沢の低下が問題となり好ましくない。
【0051】該エチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂は、エチレン含有量が6重量%以下のものが好ましく、より好ましくは4.5重量%以下である。エチレン含有量が6重量%を越えると、表層の結晶融解開始温度が100℃未満となる場合があるので好ましくない。
【0052】該ポリプロピレン系樹脂におけるアイソタクチックポリプロピレンとエチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂との混合比率は、アイソタクチックポリプロピレンが50重量%以上であることが好ましい。アイソタクチックポリプロピレンの混合比率が50重量%未満では、融解開始温度が100℃未満となる場合があるので好ましくない。
【0053】樹脂層(A)に使用される樹脂のMFRはそれぞれ1〜20g/10分であることが好ましく、混合物のMFRも1〜20g/10分であることが、ポリプロピレンフィルム層との積層性のため好ましい。
【0054】また、本発明の積層フィルムに金属蒸着を施す場合の樹脂層(A)表面の平均表面粗さ(Ra)は、金属蒸着層の厚みと同等もしくは以下であることが好ましく、Raが100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下であることが、金属蒸着後の高いガスバリア性を得るために好ましい。
【0055】樹脂層(A)に使用される樹脂には脂肪酸アミドなどの有機滑剤は添加しないことが金属膜の接着性のために好適であるが、滑り性を付与し、作業性や巻き取り性を向上させるために、有機架橋性粒子や無機粒子を極少量添加することは許容される。このための有機架橋性粒子には、架橋シリコーン粒子や架橋ポリメチルメタクリレート粒子などが挙げられ、無機粒子にはゼオライトや炭酸カルシウム、酸化ケイ素、珪酸アルミニウムなどを例示することができる。その粒子の平均粒径は、0.2〜2μmの範囲が好ましく、より好ましく、0.5〜1μmの範囲である。平均粒径が0.2μm未満では滑り性付与の効果が小さく、2μmを越えると表層からの粒子の脱落が起こり、製膜工程の汚染や蒸着膜の膜抜けの原因になるので好ましくない。
【0056】また該樹脂層(A)に使用される樹脂には、上記極性基を実質的に含まない石油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を基層樹脂100重量部に対し20重量部を上限に添加することは、被覆層との接着性をさらに強固にすることができ好ましい。
【0057】樹脂層(A)の厚みは0.1μm以上であり、かつ全フィルム厚みの1/3以下であることが好ましい。表層の厚みが0.1μm未満であると膜切れなどにより均一な積層が困難となり、接着性の改善効果が小さくなる場合があるので好ましくない。厚みが大きすぎると、機械特性に及ぼす表層の寄与が大きくなり、積層フィルム全体のヤング率の低下を引き起こし、フィルムが張力に対して伸びやすくなり、蒸着蒸着後のガスバリア性が悪化するので好ましくない。
【0058】本発明の積層フィルムは、ポリプロピレンフィルムの片面に樹脂層(A)が積層され、もう一方の面にプロピレン系共重合体からなる樹脂層(B)が積層された3層積層フィルムとすることもできる。
【0059】樹脂層(B)に使用されるプロピレン系共重合体としては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体がヒートシール性を付与する点で好ましい。該プロピレン共重合体に、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどを透明性が低下しない範囲で添加してもよい。
【0060】また、該樹脂層(B)の滑り性を付与するには、ポリプロピレン系共重合体に前記と同じ有機架橋粒子あるいは無機粒子が添加されたものや、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体と高密度ポリエチレンの混合物などを添加することが好ましい。
【0061】該ヒートシール性としては、本発明の積層フィルム2枚を樹脂層(B)同士を重ねて、温度120℃、加圧0.1MPa、加圧時間1secの条件でヒートシールしたときのヒートシール強度が1N/cm以上であることが、本発明の積層フィルムを包装用袋として用いた時に、内容物保護性の点で好ましい。
【0062】該プロピレン共重合体のMFRは1〜20g/10分であることが好ましく、混合物のMFRも1〜20g/10分であることが、ポリプロピレンフィルム層との積層性のため好ましい。
【0063】また、樹脂層(B)の積層厚みは、0.5μm以上であり、全フィルム厚みの1/3以下であることが好ましい。表層の厚みが0.5μm未満であると膜切れなどにより均一な積層が困難となり、ヒートシール性付与効果が小さくなる場合があるので好ましくない。厚みが厚すぎると、機械特性への影響が大きくなり、ヤング率の低下を引き起こし、金属蒸着用ポリプロピレンフィルムとして使用した場合に、フィルムが張力に対して伸びやすくなり加工性に劣る場合があるので好ましくない。
【0064】本発明の積層フィルムは、その表層に金属蒸着膜を付設することで、金属蒸着積層フィルムとすることもできる。金属蒸着は、金属の真空蒸着によって行い、蒸発源から金属を蒸着させ、本発明の積層フィルムの樹脂層(A)上に金属蒸着層を形成する。
【0065】この蒸発源としては抵抗加熱方式のボート形式や、輻射あるいは高周波加熱によるルツボ形式や、電子ビーム加熱による方式などがあるが、特に限定されない。
【0066】この蒸着に用いる金属としては、金属蒸着層の耐久性、生産性、コスト面から、アルミニウムおよび/または酸化アルミニウムの蒸着層を少なくとも片面に設けることが好ましい。このときアルミニウムと同時あるいは逐次に、例えばニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛、錫、珪素、マグネシウムなどの他の金属成分も蒸着することができる。これらの金属はその純度が99%以上、望ましくは99.5%以上の粒状、ロッド状、タブレット状、ワイヤー状あるいはルツボの形状に加工したものが好ましい。
【0067】金属の蒸着膜の厚さは20nm以上であることが高度なガスバリア性能を発現するために好ましい。さらに好ましくは30nm以上である。蒸着膜の上限は特に設けないが、経済性、生産性の点から500nm未満が好ましい。
【0068】金属蒸着層の光沢度は、600%以上が好ましく、700%以上がさらに好ましい。
【0069】また、金属酸化物の蒸着膜を付設して、ガスバリア性に優れた透明ガスバリアフィルムとして、透明包装用フィルムなどに好適に用いられる。ここで、金属酸化物の蒸着膜とは、酸化アルミニウムが蒸着層の耐久性、生産性、コスト面から好ましい。これらの蒸着方法は公知の方法で行うことができ、例えば、酸化アルミニウム膜の場合は、真空度10-4Torr以下の高度の真空装置内でフィルムを走行させ、アルミニウム金属を加熱溶融して蒸発させ、蒸発箇所に少量の酸素ガスを供給し、アルミニウムを酸化させながらフィルム表面に凝集堆積させ、蒸着膜を付設する。金属酸化膜の蒸着膜の厚さは10〜50nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜30nmの範囲である。金属酸化物の蒸着膜は、蒸着した後に酸化が進み金属酸化物蒸着フィルムの光線透過率が変化し、光線透過率は好ましくは70〜90%の範囲である。光線透過率が70%未満では包装袋とした場合に、内容物が透視しにくいので好ましくない。また光線透過率が90%を超える場合は、包装袋とした場合にガスバリア性能が不足しやすくなるので好ましくない。
【0070】積層フィルムの樹脂層(A)と金属蒸着膜および金属酸化物蒸着膜との接着強度は、0.3N/cm以上が好ましく、0.5N/cm以上がさらに好ましい。接着強度が0.3N/cm未満では、蒸着したフィルムをロール状に長尺に巻き取り、二次加工時に巻き出す際に蒸着膜が剥ぎ取られ、ガスバリア性能が悪化する場合がある。
【0071】また、本発明の積層フィルムに、金属蒸着膜および金属酸化物蒸着を付設した金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、厚み15μmで水蒸気透過率が4g/m2・d以下で、酸素透過率が1000ml/m2・d・MPa以下であることが食品包装用途として用いた場合に好ましい。
【0072】該積層フィルムの片面又は両面に、空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理などで活性化して、濡れ張力を上げることが好ましい。特に、ポリプロピレンフィルムおよび表層の濡れ張力を35mN/m以上に上げることが、他基材との接着性が向上するので好ましい。
【0073】次に、本発明の積層フィルムの製造方法の一例について説明するが、本発明は下記製造方法により限定されるものではない。
【0074】本発明の基層のポリプロピレンフィルムを形成する樹脂と樹脂層(A)を形成する樹脂および/または樹脂層(B)を形成するプロピレン共重合体を準備し、これらを別々の押出機に供給して200〜290℃の温度で融解させ、濾過フィルターを経た後、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とするそれぞれの積層厚みでスリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめ未延伸積層フィルムとする。この場合冷却用ドラムの温度は30〜90℃としフィルムを結晶化させることが好ましい。この未延伸積層フィルムを二軸延伸する方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸法があるが、本発明の場合、逐次二軸延伸法が経済性の点で好ましい。逐次二軸延伸条件として、前記未延伸フィルムを130〜145℃の温度に加熱し、長手方向に6倍以上、好ましくは7倍以上より好ましくは8倍以上に延伸した後冷却し、次いでテンター式横延伸機に導入し150〜170℃で幅方向に10倍以下、好ましくは縦延伸倍率と等倍に延伸した後、155〜170℃で1〜15%弛緩熱処理し冷却する。さらに、必要に応じ各層表面に、空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理した後、巻き取り、本発明の積層フィルムとする。
【0075】本発明において得られた積層フィルムを40〜60℃でエージングを行うことが、フィルムの結晶性が安定してフィルムのヤング率が向上し、また金属蒸着層との接着強度も向上して、ガスバリア性能が向上するため好ましい。エージングを行う時間は、12時間以上が表層および金属蒸着層との接着強度が向上して安定するので好ましい。
【0076】<物性の測定法>本発明の特性値は以下の方法で測定した。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)
試料をo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−D6に溶解し、JEOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MHzで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの帰属およびペンタッド分率の計算については、T.Hayashiらが行った方法[Polymer,29,138〜143(1988)]に基づき、メチル基由来のスペクトルについてmmmmmmピークを21.855ppmとして、各ピークの帰属を行い、ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下のとおりである。
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90wt%)/ベンゼン−D6(10Wt%)
試料濃度:15〜20wt%測定温度:120〜130℃共鳴周波数:67.93MHzパルス幅:10μsec(45゜パルス)
パルス繰り返し時間:7.091secデータポイント:32K積算回数:8168測定モード:ノイズデカップリング(2)アイソタクチックインデックス(II)
試料を130℃で2時間真空乾燥する。その後室温に戻し、これから重量W(mg)の試料をとり、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘキサンで12時間抽出する。次にこの試料を取り出しアセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しその後室温で重量W’(mg)を測定し次式で求める。
【0077】II=(W’/W)×100(%)
(3)溶融張力(MS)
東洋精機製メルトテンションテスターを用いて、ポリプロピレンを230℃(ポリエチレン190℃)に加熱し、溶融ポリプロピレンを押出速度15mm/分で吐出してストランドとし、このストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力を測定し、溶融張力(MS)とした。本発明の積層フィルムのポリプロピレンフィルム層のMSは、製膜前の原料チップを用いて測定することが好ましいが、積層フィルムのポリプロピレンフィルム単層のMSを測定するのは難しく、表層の積層樹脂層を削り取るか、もしくは上記IIを求めた方法でフィルムを処理し、その試料を持ってポリプロピレンフィルム層のMSとすることができる。
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K−6758のポリプロピレン試験方法(230℃、2.16kgf)で測定した値を示した。積層フィルムの表層積層樹脂については、カミソリで表層を削り取って測定する。
(5)結晶融解開始温度Seiko Instruments社製熱分析装置RDC220型に、5mgの表層樹脂をアルミニウムパンに封入して装填し、20℃/分の速度で昇温し、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度を結晶融解開始温度とし、ピークの最も高いところを主ピーク温度とし、ピークの開始から終了までの吸熱ピークの面積により、同社製熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い結晶融解熱量を算出した。2種以上の樹脂の混合物で吸熱ピークが複数の場合は、最も開始温度が低い点を結晶融解開始温度とし、ピークの最も大きい点を主ピーク温度とし、それぞれのピークの開始から終了までの吸熱ピークの面積より求めた結晶融解熱量の和を結晶融解熱量とした。積層フィルムの表層積層樹脂については、カミソリで表層を削り取って測定する。
(6)水との接触角測定液として精製水を使用し、接触角計(協和界面科学(株)製CA−D型)を用いて、水のフィルム表面に対する静的接触角を求めた。
(7)積層フィルムの各層厚み、金属蒸着膜および金属酸化物蒸着層の厚み透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてフィルム断面構成観察を行い、表層厚み、被覆層厚み、金属蒸着層および金属酸化物蒸着層の厚みを測定した。
(8)中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B 0601−1976に記載されているように、フィルム表面を触針法で測定した。なお、小坂研究所(株)製の高精度薄膜段差測定器(型式:ET−30K)を使用し、円錐型触針径0.5μmR、荷重16mg、カットオフ0.08μmとして求めた。
(9)フィルムのヤング率JIS−Z1702に規定された方法に従い、長手方向、幅方向それぞれについてインストロンタイプの引張試験機を用いて、測定温度23℃と80℃で測定した。
【0078】長手方向のF2値は、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、伸度2%に対する試料にかかる応力を測定した。
(9)フィルム及び金属蒸着層の表面光沢(%)
JIS Z8741法に基づき、スガ試験機製ディジタル変角光沢度計UGV−5Dを用い、60°鏡面光沢度として求めた。
(10)金属蒸着層の表面光沢(%)
積層フィルムを連続式真空蒸着装置に装填し、電子ビーム加熱方式の蒸発源からアルミニウムを蒸発させ、フィルムを連続的に走行させながら、Macbeth社製光学濃度計(TR927)を用いて測定した光学濃度(−log光線透過率)が1.9〜2.1の範囲でアルミニウムを蒸着した。この金属蒸着ポリプロピレンフィルムの金属蒸着面を上記JIS Z8741に基づき測定し、表面光沢を求めた。
(11)接着強度(N/cm)
積層フィルムの表層と金属蒸着膜および金属酸化物蒸着膜の接着強度は、金属蒸着膜および金属酸化物蒸着膜面に、厚み20μmの二軸配向ポリプロピレンフィルム(東レ製S645)をポリウレタン系接着剤を用いて貼り合わせ、40℃で48時間放置後、15mm幅で東洋ボールドウィン製テンシロンを用い、剥離速度100m/分で90°剥離により測定した。
(12)ヒートシール強度(N/cm)
TESTER SANGYO.CO.LTD製の7P−701S型HEATSEAL TESTERを用いて、積層フィルム2枚のプロピレン共重合体樹脂層同士を重ねて、温度120℃、加圧0.1MPa、加圧時間1secの条件でヒートシールして幅15mmにサンプリングし、東洋ボールドウィン製テンシロンを用いて、剥離速度200mm/分、剥離角度90°で剥離したときの強度を求めた。
(13)酸素透過率(ml/m2・d・MPa)
金属蒸着を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り合わせ、Modarn Controls社製の酸素透過率測定装置Oxtran2/20を用い、温度23℃、湿度0%の条件で測定した。
(14)水蒸気透過率(g/m2・d)
金属蒸着を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り合わせ、Modarn Controls社製の酸素透過率測定装置Oxtran2/20を用い、温度40℃、湿度90%の条件で測定した。
(15)二次加工性二次加工時の張力によるガスバリア性悪化(抗張力)を評価するため、金属蒸着を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り合わせ、長手方向に50MPaの張力をかけて1時間放置した後に、上記と同じ方法で酸素透過率と水蒸気透過率を測定し、張力をかけた後のガスバリア性悪化率が5%未満を○とし、20%以上を×、その間を△として評価した。
【0079】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1本発明の基層のポリプロピレンフィルムを形成する樹脂として、メソペンタッド分率(mmmm)が98%、アイソタクチックインデックス(II)が98%、MFRが3.3g/10分のアイソタクチックポリプロピレン(PP)85重量%に、上記(2)式のMSとMFRの関係式を満たす、溶融張力(MS)が25cN、メルトフローレート(MFR)が4g/10分の長鎖分岐を有する高溶融張力ポリプロピレン(HMS−PP)5重量%、極性基を実質的に含まない石油樹脂として、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを10重量%添加混合した樹脂組成に、架橋有機粒子として平均粒径2μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋PMMA)を0.15重量部添加し、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、15℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して260℃で溶融させた。樹脂層(A)を形成する樹脂として、mmmmが80%、IIが85%、MFRが4のアイソタクチックポリプロピレン60重量%と、エチレン含有量が3重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPC)40重量%の混合物50重量%に、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(Ma−PP)50重量%を混合した樹脂組成を、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、15℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを別の一軸押出機に供給して260℃で溶融させた。またさらに、樹脂層(B)を形成する樹脂として、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体(EPBC)(エチレン共重合量:2重量%、ブテン共重合量:12重量%)に有機架橋粒子滑剤として平均粒径2μmの架橋スチレン粒子(架橋St)0.1重量%を添加したものを、二軸押出機に供給して240℃でガット状に押出し、15℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを別の一軸押出機に供給して260℃で溶融させた。それぞれ別々の押出機に供給して溶融した樹脂を濾過フィルターを経た後、3層積層口金内で樹脂層(A)/基層/樹脂層(B)となるように合流せしめ、スリット状口金から押し出し、30℃に加熱した金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。このシートを145℃の温度に加熱したオーブンに通して予熱し、長手方向に8倍に延伸して冷却後、引き続きテンター式横延伸機に導き、170℃で予熱し、165℃の温度で幅方向に8倍延伸後、165℃の温度で幅方向に8%の弛緩を与えつつ熱処理して冷却した。その後、引き続き該表層面に大気中で12W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を施し巻き取った。フィルムの厚み構成は、樹脂層(A)/基層/樹脂層(B):1μm/15μm/2μmとした積層フィルムを得た。フィルム組成を表1に示し、そのフィルムの特性評価結果を表2に示す。本発明の積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.52GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.62GPaであり、MT値は0.46であった。また樹脂層(A)表面の水との接触角は70°であり、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度は110℃であった。次に、上記積層フィルムの樹脂層(A)表面に、真空蒸着装置内で、アルミニウム金属を加熱溶融して蒸発させ、アルミニウムフィルム表面に凝集堆積させ、蒸着膜を付設し、金属蒸着積層フィルムを得た。評価結果を表2に示す。金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は98ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率0.4g/m2・dであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.2N/cmであった。
実施例2樹脂層(A)を形成する樹脂として、mmmmが90%、IIが95%、MFRが3g/10分の無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(Ma−PP)40重量%と、融点が190℃のエチレン−ビニルアルコール(EVOH)を60重量%混合した樹脂組成とした以外は実施例1と同様にして、積層フィルムおよび金属蒸着積層フィルムを得て評価した。その時の樹脂組成を表1に、フィルムの特性評価結果を表2に示す。本発明の積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.54GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.64GPaであり、MT値は0.46であった。また樹脂層(A)表面の水との接触角は60°であり、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度は120℃であった。また金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は65ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率0.1g/m2・dであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.3N/cmであった。
【0080】実施例3本発明の基層のポリプロピレンフィルムとして、mmmmが90%、IIが96%、MFR:3.2g/10分のアイソタクチックポリプロピレン92重量%に、上記(2)式のMSとMFRの関係式を満たす、溶融張力(MS)が35cN、メルトフローレート(MFR)が4g/10分の長鎖分岐を有する高溶融張力ポリプロピレン(HMS−PP)を5重量%と、極性基を実質的に含まないポリテルペン樹脂(Tg65℃、臭素価1cg/g、水添率99%)3重量%を添加混合した樹脂組成に、架橋有機粒子として平均粒径2μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋PMMA)を0.15重量部添加し、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、15℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して260℃で溶融させた。樹脂層(A)を形成する樹脂として、mmmmが90%、IIが95%、MFRが3g/10分の無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを別の一軸押出機に供給して260℃で溶融させた。それぞれ別々の押出機に供給して溶融した樹脂を濾過フィルターを経た後、2層積層口金内で樹脂層(A)/基層となるように合流せしめ、スリット状口金から押し出し、60℃に加熱した金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。このシートを140℃の温度に加熱したオーブンに通して予熱し、長手方向に10倍に延伸して冷却後、引き続きテンター式横延伸機に導き、170℃で予熱し、165℃の温度で幅方向に7.5倍延伸後、165℃の温度で幅方向に8%の弛緩を与えつつ熱処理して冷却した。その後、引き続き該表層面に大気中で20W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を施し巻き取った。フィルムの厚み構成は、樹脂層(A)/基層:1μm/14μmとした積層フィルムを得た。フィルム組成を表1に示し、そのフィルムの特性評価結果を表2に示す。本発明の積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.50GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.52GPaであり、MT値は0.49であった。また樹脂層(A)表面の水との接触角は65°であり、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度は105℃であった。
【0081】金属蒸着は、実施例1と同様にして金属蒸着積層フィルムを得、評価した。その時のフィルム特性を表2に示す。金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は78ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率0.2g/m2・dであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.5N/cmであった。
【0082】実施例4実施例3の押出シートを長手方向に12倍延伸し、幅方向に8倍延伸した以外は実施例3と同じ条件で積層フィルムおよび金属蒸着積層フィルムを得、評価した。その時のフィルム組成を表1に、特性評価結果を表2に示す。本発明の積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.85GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.60GPaであり、MT値は0.59であった。また樹脂層(A)表面の水との接触角は65°であり、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度は105℃であった。次に、金属蒸着は、実施例1と同様にして金属蒸着積層フィルムを得、評価した。その時のフィルム特性を表2に示す。金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は75ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率0.2g/m2・dであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.4N/cmであった。
【0083】実施例5実施例3の樹脂層(A)に、光線透過率が85%となるよう、真空蒸着装置内で、アルミニウム金属を加熱溶融して蒸発させ、蒸発箇所に少量の酸素ガスを供給し、アルミニウムを不完全酸化させながらフィルム表面に凝集堆積させ、蒸着膜を付設し、金属酸化物蒸着積層フィルムを得た。評価結果を表2に示す。金属酸化物蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は120ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率0.8g/m2・dであった。また樹脂層(A)と金属酸化物蒸着層の接着強度は1.5N/cmであった。
【0084】比較例1実施例1において、基層のポリプロピレンフィルムの樹脂組成から高溶融張力ポリプロピレン(HMS−PP)を抜いた組成にした以外は実施例1と同様にして、共押出をして逐次二軸延伸を行った。フィルム組成を表1に示し、そのフィルムの特性評価結果を表2に示す。該積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.28GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.68GPaであり、MT値は0.29であった。MT値が低いために蒸着加工時の張力により金属蒸着積層フィルムが伸ばされ、金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は450ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.5g/m2・dと実用性に劣るものであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.1N/cmであった。
【0085】比較例2実施例1において、基層のポリプロピレンフィルムの樹脂組成から石油樹脂のポリジシクロペンタジエンを抜いた組成にした以外は実施例1と同様にして、共押出を行い、逐次二軸延伸を行ったところ横延伸でフィルム破れが起こった。
【0086】比較例3比較例2と同じく、実施例1において基層のポリプロピレンフィルムの樹脂組成から石油樹脂のポリジシクロペンタジエンを抜いた組成にした以外は実施例1と同様にして共押出を行い、縦延伸倍率6倍、横延伸倍率12倍として逐次二軸延伸を行った。フィルム組成を表1に示し、そのフィルムの特性評価結果を表2に示す。該積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.22GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.69GPaであり、MT値は0.24であった。MT値が低いために蒸着加工時の張力により金属蒸着積層フィルムが伸ばされ、金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は680ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.8g/m2・dと実用性に劣るものであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.2N/cmであった。
【0087】比較例4基層のポリプロピレンフィルムを形成する樹脂として、mmmmが90%、IIが96%、MFRが3.2g/10分のアイソタクチックポリプロピレン100%、樹脂層(A)を形成する樹脂として、エチレン含有量5mol%のエチレン−プロピレンランダム共重合体を、それぞれ別々の押出機に供給して270℃で溶融した樹脂を濾過フィルターを経た後、2層積層口金内で樹脂層(A)/基層となるように合流せしめ、スリット状口金から押し出し、30℃に加熱した金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。このシートを135℃の温度に加熱したオーブンに通して予熱し、長手方向に5倍に延伸して冷却後、引き続きテンター式横延伸機に導き、165℃で予熱し、160℃の温度で幅方向に9倍延伸後、160℃の温度で幅方向に8%の弛緩を与えつつ熱処理して冷却した。その後、引き続き該表層面に大気中で20W・min/m2の処理強度でコロナ放電処理を施し巻き取った。フィルムの厚み構成は、樹脂層(A)/基層:1μm/14μmとした積層フィルムを得た。フィルム組成を表1に示し、そのフィルムの特性評価結果を表2に示す。本積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.23GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.65GPaであり、MT値は0.26であった。また樹脂層(A)表面の水との接触角は80°であり、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度は85℃であった。
【0088】金属蒸着は、実施例1と同様にして金属蒸着積層フィルムを得、評価した。その時のフィルム特性を表2に示す。本積層フィルムは、結晶融解に伴う吸熱ピークの開始温度が低いために金属蒸着表面は白化し、また、MT値が低いために蒸着加工時の張力により金属蒸着積層フィルムが伸ばされ、ガスバリア性能は、酸素透過率は650ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.9g/m2・dと高く、実用性に劣るものであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は0.6N/cmであった。
【0089】比較例5実施例1で樹脂層(A)にコロナ放電処理をせずに巻き取った。該樹脂層(A)の水との接触角は110°であった。金属蒸着は、実施例1と同様にして金属蒸着積層フィルムを得、評価した。その時のフィルム特性を表2に示す。本積層フィルムは、水との接触角が高いために、金属蒸着層の接着力が0.3N/cmと低く、酸素透過率は375ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.6g/m2・dと高く、実用性に劣るものであった。
【0090】比較例6実施例3の表層厚みを厚くして、フィルム構成を樹脂層(A)/基層:5μm/7μmとした以外は、実施例3と同様の方法で金属蒸着用積層フィルムと金属蒸着積層フィルムを得た。このときのフィルム組成を表1に示し、そのフィルム特性を表2に示す。該積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.30GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.52GPaであり、MT値は0.37であった。金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は382ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.7g/m2・dと実用性に劣るものであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.3N/cmであった。表層樹脂層(A)の厚みが全積層フィルム厚みの1/3を越えると、フィルムのヤング率が低下し、金属蒸着加工時の巻き取り張力によりフィルムが伸び、ガスバリア性能が悪化した。
【0091】比較例7実施例3において、長手方向の延伸倍率を10倍して横延伸を行なわずに、フィルムの厚み構成樹脂層(A)/基層:2μm/27μmとした積層フィルムを得た以外は、実施例3と同様の方法で金属蒸着用積層フィルムと金属蒸着積層フィルムを得た。このときのフィルム組成を表1に示し、そのフィルム特性を表2に示す。該積層フィルムの80℃での長手方向(MD)のヤング率は0.8GPaで、幅方向(TD)のヤング率は0.07GPaであり、MT値は0.92であった。金属蒸着積層フィルムのガスバリア性能は、酸素透過率は475ml/m2・d・MPa、水蒸気透過率1.9g/m2・dと実用性に劣るものであった。また樹脂層(A)と金属蒸着層との接着強度は1.2N/cmであった。フィルムの幅方向のヤング率が低く、MT値が0.9を越えると、金属蒸着加工時の巻き取り張力によりフィルムに皺が入り、ガスバリア性能が悪化した。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【発明の効果】本発明の金属蒸着用積層フィルムおよび金属蒸着積層フィルムは、特定のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を基層とし、その少なくとも片面に特定の樹脂を付設し、該特定の樹脂層面に金属蒸着をすることで、従来技術では達成できなかった二次加工時の抗張力に優れ、二次加工後の金属蒸着後の金属蒸着膜の接着強度とガスバリア性能に優れたものとすることができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103730(P2003−103730A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−302697(P2001−302697)