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【発明の名称】 積層体、シーラントフィルム及び容器
【発明者】 【氏名】渡辺 和幸
【住所又は居所】大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社大分工場内

【要約】 【課題】易開封性、剥離面の外観、加熱調理時のシール強度の低下がなく、容器成形性を改善した積層体、シーラントフィルム及び容器を提供すること。

【解決手段】プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)55〜85質量%、低密度ポリエチレン(b)10〜35質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン(c)5〜20質量%〔但し、(a)+(b)+(c)=100質量%〕からなる樹脂組成物を含む層〔(A)層〕と、プロピレン系重合体(d)を含む層〔(B)層〕を含む積層体、該積層体の(A)層をシーラント層とするシーラントフィルム、該シーラントフィルムを用いた容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)55〜85質量%、低密度ポリエチレン(b)10〜35質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン(c)5〜20質量%〔但し、(a)+(b)+(c)=100質量%〕からなる樹脂組成物を含む層〔(A)層〕と、プロピレン系重合体(d)を含む層〔(B)層〕を含む積層体。
【請求項2】プロピレン系重合体(d)が、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体及びブロックポリプロピレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂またはこれら樹脂2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)が、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定される結晶化ピーク温度(Tcp)が75〜90℃であり、結晶化エネルギー(△H)が55〜80J/gであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
【請求項4】プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)は、プロピレン含有量が96〜72質量%、エチレン含有量が1〜10質量%、ブテン−1含有量が3〜18質量%の共重合体であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】直鎖状低密度ポリエチレン(c)の密度が0.915〜0.935g/cm3であり、メルトフローレートが0.5〜15g/10分であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】(B)層中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(d)の含有量が70質量%を超えることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の積層体の(A)層をシーラント層とすることを特徴とするシーラントフィルム。
【請求項8】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の積層体または請求項7に記載のシーラントフィルムの(B)層の(A)層がある側とは反対側にアルミ箔、金属蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、塩化ビニリデン樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物樹脂層、ポリアミド樹脂層、ポリエステル樹脂層、ポリカーボネート樹脂層及び酸素吸収剤層から選ばれた少なくとも1層を有することを特徴とする易開封性積層体。
【請求項9】請求項7に記載のシーラントフィルムを用いたことを特徴とする容器。
【請求項10】請求項8に記載の易開封性積層体を用いたことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品容器、医療用容器などに用いられる易開封性であり、剥離後の剥離面の外観に優れ、ボイル処理等の熱処理による開封強度の低下が少なく、かつ容器成形性に優れた積層体、シーラントフィルム及び容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレンフィルムは、安価で、耐熱性、耐薬品性及び易ヒートシール性などの特徴を生かし各種食品包装材料や各種医療用包装材料として用いられている。
【0003】食品包装においては、アルミ箔や塩化ビニリデン樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物等をガスバリヤー層とし、ポリアミド樹脂層及びポリエステル樹脂層等と組み合わせ、ヒートシール層にポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂が用いられている。
【0004】易開封性のシーラントフィルムとしては、シーラント層にポリプロピレンとポリエチレンを混合した樹脂組成物を用いる方法やポリオレフィン系樹脂にスチレンをグラフト重合した樹脂などを用いる方法が知られている。
【0005】米飯容器などの碁盤目シールと線シールを組み合わせた蓋材シーラントフィルムとしては、ポリプロピレンにエチレン−プロピレンランダム共重合体エラストマーやエチレン−ブテンランダム共重合体エラストマーなどをブレンドしたものやポリプロピレンとポリエチレンのブレンド物、エチレン−酢酸ビニル共重合体と他のポリオレフィンとのブレンド物がシーラント層として用いられている。
【0006】また、最近では米飯容器を家庭で電子レンジで加熱したり、アウトドアスポーツの普及によりキャンプ地などに於いて温水で加熱し食事するということが行われる。特に、キャンプなどのアウトドアスポーツでは温水で容器ごと加熱しそのまま食するということが行われる。しかし、この温水加熱の時に耐熱性が不足し蓋材シーラントと容器が剥離し内容物の米飯がこぼれでるという問題があった。そのため、この温水加熱中の内容物の漏出を防止するためにシール部分の幅を広くし、シールの形態も碁盤目模様の平ベタシールで、シール温度及びシール圧力を高くし封緘強度を上げる方法が用いられる。
【0007】しかし、このような米飯容器豆腐容器などの碁盤目平シールは、一般にシール部からの漏れを防止するため圧力を高くしてシールされている。このため、従来の上記蓋材シーラントフィルムではシール強度が強くなりすぎ開封しづらいとか、極端な場合は開封時に蓋材フィルムが切断してしまうという問題があった。
【0008】また、従来のものはヒートシール強度(ヒートシールされた部分の剥離強度)が20N/15mm幅以上と強いため、開封しづらいばかりでなく、特定の範囲の安定したヒートシール強度が得られる温度の幅が狭いためヒートシール機の温度調整が不良になったり、ヒートシール圧力に変動があると、ヒートシール強度が高くなりすぎ全く開封できないという問題があった。
【0009】また、特開昭56−136833号公報、特開昭56−180502号公報、特開昭56−127613号公報、特開昭57−185309号公報、特開昭61−155413号公報及び特開平5−29045号公報等に記載されたポリオレフィン系樹脂にスチレンをグラフト重合した樹脂及びその組成物は、開封性に優れたものとして用いられている。しかし、コストが高く経済的でないとか、ヒートシール温度範囲が狭いなどの問題があった。
【0010】さらに、特開昭64−22551号公報にはプロピレン−エチレン共重合体とエチレン−ブテン−1共重合体とポリエチレンとの樹脂組成物との蓋用複合フィルムが開示されている。しかし、これらの方法ついてもヒートシール温度範囲が狭いなどの問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来の複合フィルムでは、易開封性に劣り、剥離後に膜残りや糸引きが発生し剥離面の外観が悪く、ヒートシール温度範囲が狭いため剥離強度が安定しないため容器成形性に劣るという問題点を有していた。また、加熱調理時にシール強度が低下し内容物が漏出するという問題があった。
【0012】本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、易開封性、剥離面の外観、加熱調理時のシール強度の低下がなく、容器成形性を改善した積層体、シーラントフィルム及び容器を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂組成物を含む層とプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる層からなる積層体により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】すなわち、本発明は以下の(1)〜(10)に示される積層体、シーラントフィルム及び容器に関する。
(1)プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)55〜85質量%、低密度ポリエチレン(b)10〜35質量%及び直鎖状低密度ポリエチレン(c)5〜20質量%〔但し、(a)+(b)+(c)=100質量%〕からなる樹脂組成物を含む層〔(A)層〕と、プロピレン系重合体(d)を含む層〔(B)層〕を含む積層体。
(2)プロピレン系重合体(d)が、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体及びブロックポリプロピレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂またはこれら樹脂2種以上の混合物からなることを特徴とする(1)に記載の積層体。
(3)プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)が、示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定される結晶化ピーク温度(Tcp)が75〜90℃であり、結晶化エネルギー(△H)が55〜80J/gであることを特徴とする(1)または(2)に記載の積層体。
【0015】(4)プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)は、プロピレン含有量が96〜72質量%、エチレン含有量が1〜10質量%、ブテン−1含有量が3〜18質量%の共重合体であることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)直鎖状低密度ポリエチレン(c)の密度が0.915〜0.935g/cm3であり、メルトフローレートが0.5〜15g/10分であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)(B)層中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(d)の含有量が70質量%を超えることを特徴とする(2)ないし(5)のいずれかに記載の積層体。
(7)(1)ないし(6)のいずれかに記載の積層体の(A)層をシーラント層とすることを特徴とするシーラントフィルム。
(8)(1)ないし(6)のいずれかに記載の積層体または(7)に記載のシーラントフィルムの(B)層の(A)層がある側とは反対側にアルミ箔、金属蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、塩化ビニリデン樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物樹脂層、ポリアミド樹脂層、ポリエステル樹脂層、ポリカーボネート樹脂層及び酸素吸収剤層から選ばれた少なくとも1層を有することを特徴とする易開封性積層体。
【0016】(9)(7)に記載のシーラントフィルムを用いたことを特徴とする容器。
(10)(8)に記載の易開封性積層体を用いたことを特徴とする容器。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における(A)層を構成する樹脂組成物のうち、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体(a)〔以下「PEB」または単に(a)成分ということもある。〕は、プロピレン、エチレン及びブテン−1を主成分とする共重合体であり、通常多段共重合法で得られる樹脂である。
【0018】本発明に用いるPEBは、示差走査型熱量計(DSC)による結晶化ピーク温度(Tcp)が75〜90℃、結晶化エネルギー(△H)が55〜80J/gであるものを用いるとよい。Tcpとしては好ましくは78〜88℃であり、特に好ましくは80〜87℃である。Tcpが75℃未満では、ヒートシール強度強度が高くなり、安定したヒートシール強度を得ることが困難となる。一方、90℃を超えると(A)層を構成する他の成分との相溶性に劣り、低温ヒートシール性が発現しにくいとか剥離時に糸引きを起こし、剥離面が汚くなるという問題が発生しやすくなる。
【0019】また、△Hは、好ましくは58〜78J/gであり、特に好ましくは60〜75J/gである。△Hが55J/g未満では、ヒートシール層が薄くなってヒートシール強度が安定しないとか、ヒートシール強度が高くなり開封性が劣る等の傾向がある。一方、80J/gを超えると低温ヒートシール性、剥離後のヒートシール部の剥離面の外観が劣る傾向がある。
【0020】融解温度(Tmp)については、特に限定するものではないが125〜145℃の範囲のものがよい。
【0021】なお、ここでTcp及び△Hは、精秤した約3〜5mgの試料をDSCにセットし、試料温度230℃まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分の速度で30℃まで降温することにより求めることができる。
【0022】PEBの組成割合に関しては、プロピレン含有量が96〜72質量%、エチレン含有量が1〜10質量%、ブテン−1含有量が3〜18質量%であるものがよい。プロピレン含有量としては95.3〜75質量%が好ましく、特に94.5〜77質量%が好適である。エチレン含有量としては1.2〜8質量%が好ましく、特に1.5〜7質量%が好適である。また、ブテン−1含有量としては3.5〜17質量%が好ましく、特に4.0〜16質量%が好適である。プロピレン含有量が72質量%未満ではシール強度が弱く内容物の漏洩が生じ易くなる。一方、96質量%を超えると低温シール性が悪くシール強度が弱くなり内容物の漏洩が生じ易くなる。エチレン含有量が1質量%未満では低温ヒートシール性が劣る傾向がある。一方、10質量%を超えると易開封性が損なわれる傾向がある。また、ブテン−1含有量が3質量%未満では易開封性が劣る傾向がある。一方、18質量%を超えると低温ヒートシール性に劣る傾向がある。PEBの市販品の例としては、例えばサンアロマー(株)社製「商品名:アドフレックス」、チッソ(株)「商品名:チッソポリプロ」などが好適なものとして挙げられる。
【0023】本発明に用いられる低密度ポリエチレン(b)〔以下「LDPE」または単に(b)成分ということもある。〕は、特に制限はないがJIS K7112 D法に準拠して測定される密度が0.910〜0.925g/cm3であり、JIS K7210、試験条件4に準拠して測定されるメルトフローレート(以下「MFR」という。)が20g/10分以下であるものがよい。密度としては0.912〜0.924g/cm3が好ましく、とりわけ0.915〜0.923g/cm3が好適である。MFRとしては5g/10分以下が好ましく、とりわけ0.1〜2.0g/10分が好適である。
【0024】本発明に用いられる直鎖状低密度ポリエチレン(c)〔以下「LLDPE」または単に(c)成分ということもある。〕としては、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選択された一種以上のものとの共重合体が挙げられる。該α−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンのうち好ましくは1―ブテン、1―ヘキセン及び1―オクテンである。共重合体中に占めるα−オレフィンの組成割合は、通常30モル%以下であり、好ましくは1〜20モル%である。
【0025】本発明に用いられるLLDPEとしては、JIS K7112 D法に準拠して測定される密度は通常0.915〜0.935g/cm3であり、0.918〜0.933g/cm3が好ましく、とりわけ0.920〜0.931g/cm3が好適である。密度が0.915g/cm3未満では易開封性に劣る傾向がある。一方、0.935g/cm3を超えると他の成分との相溶性、積層体の外観や低温ヒートシール性、線シール性等に劣る傾向がある。
【0026】また、JIS K7210 試験条件4に準拠して測定されるMFRは通常0.5〜15g/10分であり、1〜12g/10分が好ましく、とりわけ1.5〜10g/10分が好適である。
【0027】本発明における(A)層中の上記各成分の組成割合は、(a)成分が55〜85質量%、(b)成分が10〜35質量%及び(c)成分が5〜20質量%〔但し、(a)+(b)+(c)=100質量%〕である。(a)成分としては60〜80質量%が好ましく、とりわけ65〜75質量%が好適である。(b)成分としては13〜30質量%が好ましく、とりわけ15〜25質量%が好適である。また、(c)成分としては8〜18質量%が好ましく、とりわけ10〜16質量%が好適である。
【0028】(a)成分が55質量%未満では夾雑物シール性、低温ヒートシール性及び他の成分との相溶性に劣るので好ましくない。一方、85質量%を超えると易開封性に劣るので好ましくない。(b)成分については、15質量%未満では易開封性に劣り好ましくない。一方、35質量%を超えると積層体の膜割れやゲル、フィッシュ・アイが増加し外観を損ねるので好ましくない。(c)成分については、5質量%未満では易開封性に劣るので好ましくない。一方、20質量%を超えると剥離時にヒートシール部分の糸曳きを伴い、剥離面の外観が劣るので好ましくない。
【0029】本発明における(B)層に用いられるプロピレン系重合体(d)〔以下(d)成分ということもある。〕として、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブロックポリプロピレンが好ましく、これらを2種以上混合して用いてもよい。これらのうちヒートシール性と耐熱性のバランスを考慮するとプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。さらに、(B)層中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の含有量が70質量%を超えることが好ましく、さらにプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のみからなることが好ましい。
【0030】(d)成分のJIS K7210、試験条件14に準拠して測定されるMFRは通常3〜15g/10分であり、4〜13g/10分が好ましく、特に6〜13g/10分が好適である。MFRが3g/10分未満ではヒートシール強度が強くなり易開封性が劣ったり、(A)層と共押し出しした場合、層間の界面が乱れやすくなりフローマークなどの流れむらが発生しやすくなる。一方、15g/10分を超えると剥離後の剥離面の外観が劣る傾向がある。
【0031】プロピレン単独重合体としては、13C−NMRから測定されるアイソタクチックトリアッド分率が96%以上の立体規則性が高いものが好ましい。
【0032】プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(以下「RPP」ということもある。)としては、プロピレンと炭素数2〜12(但し、3は除く)個のα−オレフィンとのランダム共重合体が挙げられる。該α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種でもよく、1−ブテンを除く2種以上混合して用いてもよい。これらのα−オレフィンのうち好ましくはエチレンである。α−オレフィンの含有量としては通常3〜8質量%であり、3.2〜7.0質量%が好ましく、特に3.5〜6.0質量%が好適である。α−オレフィン含有量が3質量%未満では低温ヒートシール性が発現し難い傾向がある。一方、8質量%を超えると、後述する本発明の積層体の(A)層をシーラント層とするシーラントフィルムにおいて、シーラントフィルムが流れてシーラント層が薄くなりヒートシール強度の低下を起こしたり、シーラント層が流れた部分同士で融着しヒートシール部分が剥離できないなどの問題を生じる傾向がある。
【0033】ブロックポリプロピレン(以下「BPP」ということもある。)は、ポリプロピレンブロック70〜95質量%及びプロピレンと炭素数2〜12(但し、3を除く)のα−オレフィンとの共重合体エラストマーを5〜30質量%含有するものである。ポリプロピレンブロックとしては、ホモポリプロピレン、またはプロピレンと炭素数2〜14(但し、3を除く)のα−オレフィン5質量%以下とのランダム共重合体が挙げられる。共重合体エラストマー中のα−オレフィンの共重合割合は5〜40質量%である。
【0034】本発明を構成する(A)層及び(B)層の樹脂に対しては、熱可塑性樹脂に慣用の他の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロックキング防止剤、防曇剤、染料、顔料、オイル、ワックス、充填剤等やその他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合できる。
【0035】添加剤の具体例を挙げると、酸化防止剤としては2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−1’−ヒドロキシフェニル)プロピネート、4,4’−チオビス−(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収剤としてはエチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、可塑剤としてはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、ワックス、流動パラフィン、りん酸エステル、帯電防止剤としてはペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、滑剤としてはエチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等、着色剤としてはカーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ等、充填剤としてはグラスファイバー、アスベスト、マイカ、ワラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、他の多くの高分子化合物も本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0036】本発明における(A)層に用いられる樹脂組成物の配合方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用できる。例えば、ミキシングロール、バンバリミキサー及びヘンシェル、タンブラー、リボンブレンダー等の混合機で各成分を混合した後、押出機を用いペレット化する方法等が挙げられる。また、直接(a)〜(c)成分をドライブレンド法で成形機に供給し成形してもよい。また(B)層に用いられる各成分についても(A)層と同様にして配合することができる。
【0037】本発明の(A)層と(B)層を含む積層体は、例えば、共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法等の公知の押出ラミネート成形法及び成形機を用いて得ることができる。
【0038】本発明のシーラントフィルムは、シーラント層とサポート層からなり、本発明の積層体の(A)層がシーラント層であり、(B)層がサポート層であることを特徴とする。
【0039】本発明のシーラントフィルムの厚みについては、通常20〜70μmであり、25〜60μmが好ましく、特に30〜55μmが好適である。厚みが20μm未満では耐衝撃強度、ヒートシール強度及び水蒸気透過性に劣るので好ましくない。一方、70μmを超えると易開封性に劣るので好ましくない。
【0040】(A)層と(B)層の厚み比率は、通常(A)層/(B)層=2/8〜8/2であり、1.5/8.5〜8.5/1.5が好ましく、より好ましくは1/9〜9/1である。
【0041】層構成に関しては、(A)層/(B)層の2種2層及び(A)層/(B)層/(A)層の2種3層が好ましい。
【0042】本発明の易開封性積層体は、本発明の積層体またはシーラントフィルムの(B)層の(A)層がある側とは反対側にアルミ箔、金属蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、塩化ビニリデン樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物樹脂層、ポリアミド樹脂層、ポリエステル樹脂層、ポリカーボネート樹脂層及び酸素吸収剤層から選ばれた少なくとも1層からなる(C)層を積層したことを特徴とする。これらのうち、アルミ箔、金属蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、塩化ビニリデン樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂鹸化物樹脂層はガスバリアー層として用いることができる。また酸素吸収剤層としては酸化鉄を含む層などが挙げられる。
【0043】本発明の易開封性積層体は、公知のドライラミネート成形機等を用い本発明の積層体またはシーラントフィルムに接着剤を介して、または介さずに(C)層を積層することによって得ることができる。
【0044】本発明の容器は、本発明のシーラントフィルムまたは易開封性積層体を用いたことを特徴とするものである。容器は袋状容器、スタンディングパウチ等の自立性の袋状容器、凹状の樹脂製容器に本発明のシーラントフィルムまたは易開封性積層体を蓋材として用いた容器等が挙げられる。凹状の樹脂製容器としては、ポリプロピレンまたはポリエチレン、接着性樹脂及びエチレン−酢酸ビニル鹸化物樹脂からなる多層シート、ポリプロピレンまたはポリエチレン、接着性樹脂及び塩化ビニリデン樹脂からなる多層シート、ポリプロピレンまたはポリエチレン、接着性樹脂、エチレン―酢酸ビニル鹸化物樹脂及び酸素吸収剤等の樹脂からなるシートを真空成形、圧空成形などで成形したものが挙げられる。これら凹状の樹脂製容器と本発明の積層体、シーラントフィルムまたは易開封性積層体の(A)層が樹脂製容器と接するようにして、温度120〜250℃で0.1〜20秒でヒートシールすることにより作成することができる。また本発明の容器に用いられるヒートシールの形態は線シール、平シール、ローレットシールなどがあるが、平シールであることが、剥離面の外観、安定したヒートシール強度が得られるヒートシール温度幅が広く、本発明のシーラントフィルム及び易開封性積層体の剥離面の外観に優れる特徴が充分に引き出されることから好ましい。
【0045】本発明の積層体、シーラントフィルムまたは易開封性積層体は、本発明の容器の蓋材として用いることができる。本発明の容器は易開封性、剥離面の外観、容器成形性に優れるため、具体的な用途として豆腐容器、米飯容器等の食品容器、医療用容器などに用いることができる。特に易開封性、剥離面の外観に優れることは食品容器として用いるのに好適である。
【0046】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた試験方法及び評価方法は次の方法で行った。
【0047】[結晶化ピーク温度(Tcp)及び結晶化エネルギー(ΔH)]
DSC装置:PERKIN−ELMER社製DSC7型試料質量:約3〜5mg測定方法:試料を温度230℃まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分の速度で30℃まで降温しTcp及び△Hを求めた。
[ヒートシール強度]オリエンテック社製引張り試験機(RTA−100型)を用いて、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離強度を求めた。
【0048】[ヒートシール剥離面の外観]ヒートシール温度180℃の試験片について、シール強度測定後の剥離面を目視でフェザーリング状態や膜残りの状態を観察し、次の4段階で評価した。
◎ ・・・剥離部分が奇麗で全く問題ない○ ・・・剥離部分が多少フェザーリングを起こしているが使用に耐えうる△ ・・・剥離部分のフェザーリングが著しい× ・・・剥離部分フェザーリング及び膜残りが激しい【0049】[開封性]蓋材フィルムを手で剥離したときの開封性を次の4段階で評価した。
◎ ・・・スムースに完全に剥離できた○ ・・・剥離時わずかにフィルムが切れたが使用に耐える△ ・・・剥離の途中でフィルムが切れ使用できない× ・・・フィルムが2層に剥離し開封不能【0050】また、用いた材料を以下に示す。
[(A)層成分樹脂]
(a)成分PEB1:エチレン;1.5質量%、ブテン−1;4.5質量%、プロピレン;93.5質量%からなるプロピレン−エチレン−ブテン−1三元共重合体(Tcp;84.5℃、△H;63.1J/g、MFR;5.3g/10分)
PEB2:エチレン;2質量%、ブテン−1;8質量%、プロピレン;90質量%からなるプロピレン−エチレン−ブテン−1三元共重合体(Tcp;83.1℃、△H;61.2J/g、MFR;7.2g/10分)
PEB3:エチレン;0.5質量%、ブテン−1;0.5質量%、プロピレン;99.0質量%からなる三元共重合体(Tcp;90.8℃、△H;92.8J/g、MFR;6.2g/10分)
【0051】(b)成分LD1:密度が0.918g/cm3及びMFRが7.2g/10分である低密度ポリエチレンを用いた。
LD2:密度が0.921g/cm3及びMFRが3.5g/10分である低密度ポリエチレンを用いた。
LD3:密度が0.922g/cm3及びMFRが0.4g/10分である低密度ポリエチレンを用いた。
PE1:密度が0.958g/cm3及びMFRが5.8g/10分である高密度ポリエチレンを用いた。
【0052】(c)成分LLD1:密度が0.923g/cm3及びMFRが0.5g/10分である直鎖状低密度ポリエチレンを用いた。
LLD2:密度が0.928g/cm3及びMFRが2.1g/10分である直鎖状低密度ポリエチレンを用いた。
LLD3:密度が0.918g/cm3及びMFRが3.2g/10分である直鎖状低密度ポリエチレンを用いた。
【0053】[(B)層成分樹脂]
(d)成分RPP1:エチレン含有量が4.5質量%及びMFRが8.1g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いた。
RPP2:エチレン含有量が3.5質量%及びMFRが6.2g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いた。
PP1:MFRが6.8g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
BPP1:エチレン−プロピレンランダム共重合体エラストマー成分が20質量%及びMFRが2.3g/10分のブロックポリプロピレンを用いた。
【0054】実施例1〜15、比較例1〜7[(A)層各成分及び(B)層各成分の混合]表1に示す(A)層各成分及び(B)層各成分の種類及び配合量で、タンブラーで混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所社製、KTX37型)を用いて、温度190〜210℃、スクリュー回転数250rpmでペレット化した。
[Tダイ成形]得られた各ペレットをついて、Tダイフィルム成形機(東芝機械社製、口径65mmφ、ダイス幅1,300mm)を用いて、ダイス温度250℃でフィルムを作製した。なお、層構成は(A)層/(B)層からなる2種2層構成とし、それぞれの層厚みは、(A)層7.5μm及び(B)層42.5μmとした。次に、得られた各Tダイ積層フィルムと厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムをポリウレタン系接着剤を用い、ドライラミネーション法で(B)層側に積層した。
【0055】[ヒートシール特性評価用試験片の作成]次に、第一段目のシールが碁盤目模様の平バーシール機構と第二段目のシールが線シール機構を兼ね備えた市販の四国化工機社製「デザートボーイFS02型」充填シール機を用い、第二段目のシールバーを第一段目と同じ碁盤目模様の平シール機構に変更して、ポリプロピレン製容器(上辺の内寸法7cm×7cm、高さ3cm)に米飯を充填し、容器のフランジ部に各積層フィルムをヒートシール圧力0.29MPa、ヒートシール時間1.5秒及びヒートシール温度は160℃、180℃及び200℃の3条件でヒートシールしたものを幅15mmに切り出したものをヒートシール特性評価用試験片とした。
[加熱処理によるヒートシール強度の評価]前述の容器を用い、温度90℃×30分のボイル処理を施した。この熱処理を施した容器のフランジ部を幅15mmに切り出しヒートシール強度を測定した。
【0056】[ヒートシール漏れの評価]前述の米飯を充填した容器を水中に浸績し、容器から気泡の発生がないか観察することによりヒートシール部分からの漏れがないか評価した。なお、評価は容器30個についてヒートシール漏れの有無を目視により次の3段階で行った。
○ ・・・漏れが全くない△ ・・・1〜5個に漏れがあった× ・・・6個以上に漏れがあった以上の結果を表2に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【発明の効果】本発明の積層体及びシーラントフィルムは易開封性、剥離面の外観、加熱調理時のシール強度の低下がなく、容器成形性に優れる。また、本発明の容器は易開封性、剥離後の外観に優れ、加熱調理後のシール強度の低下が無く、シール部からの漏れもなく、安価である。
【出願人】 【識別番号】595159530
【氏名又は名称】昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋堀留町一丁目9番10号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100118740
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 伸司
【公開番号】 特開2003−103729(P2003−103729A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−302032(P2001−302032)