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【発明の名称】 粘着性積層フィルム
【発明者】 【氏名】近藤 豊光
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【氏名】川崎 伸二
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【氏名】加藤 和弘
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【氏名】神田 和明
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【氏名】佐々木 秀樹
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【要約】 【課題】カット性、透明性、耐熱性に優れ、食品を包装して保存や電子レンジで加熱する際等に用いて好適なラップフィルムを提供する。

【解決手段】ポリアミド樹脂層の両側に、ポリエチレン樹脂層の表面層を有する少なくとも3層構成以上の粘着性積層フィルムにおいて、該フィルムの全体の厚さが40μm以下で且つ上記ポリアミド樹脂層の厚さがフィルム全体の厚さの5〜80%である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアミド樹脂層の両側に、ポリエチレン樹脂層の表面層を有する少なくとも3層構成以上のフィルムを共押出し成形した後、フィルム引取り方向に1.5〜5倍の延伸倍率で延伸して得られる粘着性積層フィルムであって、該フィルムの全体の厚さが40μm以下で、且つ上記ポリアミド樹脂層の厚さがフィルム全体の厚さの5〜80%であることを特徴とする粘着性積層フィルム。
【請求項2】 上記表面層が線状低密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の粘着性積層フィルム。
【請求項3】 上記表面層がポリエチレン樹脂100重量部にポリグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部を添加してなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着性積層フィルム。
【請求項4】 ポリアミド樹脂が脂肪族ポリアミド樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項記載の粘着性積層フィルム。
【請求項5】 ポリアミド樹脂層とポリエチレン樹脂層の間に接着性樹脂層を介在させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の粘着性積層フィルム。
【請求項6】 引取方向に平行方向の引張破断点伸度が200%以下で、且つ垂直方向の引張破断点伸度が80%以上であるとともに、引取方向に平行方向と垂直方向の引張破断点伸度の比(平行/垂直)が0.7以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の粘着性積層フィルム。
【請求項7】 家庭用ラップフィルムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の粘着性積層フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品包装用等に用いられる粘着性積層フィルムに係り、詳しくは、カット性、透明性、粘着性、耐熱性、非熱収縮性、食品安全性に優れた家庭用ラップフィルムとして好適に使用できる粘着性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、消費者が食品包装等に用いる家庭用ラップフィルムとしては、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、或いはポリ塩化ビニルを主原料とするものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリ塩化ビニリデン系のフィルムは、食品を包装した後電子レンジ等で加熱すると、フィルムの収縮が大きすぎて食品が変形するという不具合があり、ポリエチレン系のフィルムは油物(例えば、食肉や天ぷら等)に接触しかつ高熱となった場合は、フィルムが溶融して穴が開くという欠点があり、さらにポリ塩化ビニル系のフィルムは、沸騰熱湯に接触すると白化現象を起こすという問題がある。また、かかるラップフィルムは、カット性(切断のし易さ)において次のような問題点がある。即ち、ラップフィルムは通常、紙箱などのケースに収納してあり、このケースに取り付けられた「のこ刃」と呼ばれる切断刃に当ててフィルムを引き取って適宜の長さに切断するものである。フィルムの切断に利用される「のこ刃」としては、一般に0.2mm厚程度の鉄板をのこぎり型に打ち抜いただけの簡単な刃が使用されており、また、この「のこ刃」を支えるケースについても、350〜700g/m程度のコートボール紙製の紙箱が使用され、剛性は極く低い。
【0004】上記のフィルムは、簡単な切断機構によっても、消費者の手操作に従って容易に切断されることが要請されるのであるが、実際は、ケースや「のこ刃」が変形したりするばかりではなく、フィルムが変形したり、「のこ刃」から外れた位置で切断が起こったりする場合がある。具体的に述べると、従来のポリ塩化ビニリデン系のフィルムは、切断の際、フィルムの一部に裂け目が出来ると、この裂け目が広がって、「のこ刃」に沿って切断されることなく斜めに切れてしまう傾向がある。また従来のポリエチレン系のフィルムは、切断時にフィルムが伸びてしまったり引張力を要するため、ケースの曲折や、変形が起こることがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来のラップフィルムの上記問題点を解消できる包装用フィルムを製造すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂層の両側に、ポリエチレン樹脂層の表面層を有する積層フィルムを、フィルムの引取方向に延伸することにより、上記問題点が解決され、かつポリアミド樹脂本来の特性(耐熱性、機械的特性)を損なうことなく、カット性、透明性、粘着性、耐熱性、非熱収縮性及び食品安全性に優れた包装用フィルムが得られることを見出した。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に説明する。 本発明の粘着性フィルムは少なくとも3層以上の層構成を有し、例えば外層(表層)/中間層/内層(表層)の3層からなっている。表層を構成するポリエチレン樹脂としては低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂が挙げられるが、特に線状低密度ポリエチレン樹脂が好適に用いられる。本発明の線状低密度ポリエチレン樹脂とは、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であり、エチレンが40%以上、望ましくは70%以上を占め、α−オレフィンが炭素数3〜12のものを言う。α−オレフィンは直鎖状または分岐状でよく、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が単独または複数で用いられる。
【0007】また、この線状低密度ポリエチレン樹脂としては、密度が好ましくは0.900〜0.950g/cm、特に好ましくは0.910〜0.940の範囲であり、かつ、メルトフローレート(MFR)が好ましくは0.5〜40g/10分、特に好ましくは1〜30g/10分の範囲のものが好適である。表面層のポリエチレン樹脂には粘着性を向上させるために、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することが好ましい。このポリグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの縮合重合体の水酸基のうち、少なくとも1個が炭素数8〜22の高級脂肪酸等の脂肪酸エステル化された化合物である。ここでグリセリン縮合重合体は重合度が通常2〜10、好ましくは2〜6の縮合重合体である。グリセリンの縮合重合体の水酸基のうち、エステル化した水酸基の数は1個以上であり、好ましくは1個以上かつ水酸基の数の70%以下、より好ましくは1個以上かつ水酸基の数の60%以下である。高級脂肪酸は炭素数8〜22の脂肪酸であれば、飽和でも不飽和でもよく、通常は炭素数10〜18の脂肪酸であることが好ましい。
【0008】ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリントリオレートなどを挙げることができる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、勿論2種以上併用してもよい。このポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、ポリエチレン樹脂100重量部に対して0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜6重量部とする。配合量が0.2重量部より少ないと粘着性向上が十分ではなく、逆に10重量部を越えると、大量のブリーディングによるべとつきや臭いが生じ、又、ゲルが多発するので好ましくない。
【0009】一方、本発明の中間層を構成するポリアミド樹脂としては、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、およびそれらの混合物が挙げられるが、ラップフィルムとして必要な耐熱性やバリア性、および原料コスト面より、通常は脂肪族ポリアミド樹脂が使用される。例えばヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キシリレンジアミン等の脂肪族、脂環族、芳香族のジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸との重縮合によって得られるポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド、ε−カプロラクタム、ε−ラウロラクタム等のラクタムから得られるポリアミドまたはこれらの共重合ポリアミドが挙げられる。具体的には、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−9、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6/6,6、ナイロン−6,6/6,10、ナイロン−6/11等が挙げられる。成形性の観点からは、融点が170〜280℃、好ましくは190〜250℃、のものが好適である。本発明においては、特に、ナイロン−6やナイロン−6,6、ナイロン−6/6,6が好適に用いられる。
【0010】ポリアミド樹脂層とポリエチレン樹脂層の層間剥離を防止するために接着性樹脂層を設けて3種5層構成とすることが好ましい。接着性樹脂は、一般的に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂等を使用する。本発明の粘着性フィルムを製造する方法は、例えば上記ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂、及び接着性樹脂とを共押出成形によって3種5層の層構成、例えば(ポリエチレン樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/接着性樹脂/ポリエチレン樹脂)の多層フィルムを成形し、ついで該フィルムをその引取方向(縦方向)に一軸延伸することにより成形される。
【0011】上記の共押出成形としては、Tダイ成形法または、水冷式インフレーション成形法が好ましい。すなわち、溶融押出された樹脂を上記成形法により急冷することにより、通常よく用いられる空冷式インフレーション成形法と比較してより透明性に優れたフィルムが得られ易い。上記共押出成形により得られた未延伸多層フィルムは、次いでフィルムの引取方向(縦方向)に延伸倍率1.5〜5倍、好ましくは1.7〜4倍に一軸延伸する。該延伸倍率が1.5倍未満ではフィルムのカット性が不十分であり、また5倍より大きいと延伸性が低下し、破断もしくはフィルムに延伸むらができるので好ましくない。該延伸処理は上記未延伸フィルムをそのまま或いは所定の幅にスリットしたものを加熱し、例えば延伸ロールの周速度を変化させることによりフィルムの引取方向すなわち縦方向に延伸する方法等により行われる。該延伸処理による予熱温度としては、通常はポリエチレン樹脂の融点以下、好ましくは40〜120℃の範囲で行うのが好適である。
【0012】また、延伸後の熱固定温度は該予熱温度以上とし、さらにフィルムのシワ防止、横強度向上のためには、出来るだけ高い温度とすることが好ましく、通常はポリエチレン樹脂の融点以下、望ましくは80〜120℃の範囲で行うのが好適である。該予熱および熱固定温度がポリエチレン樹脂の融点より高い場合は、延伸ロールにフィルムが溶融付着し、また、予熱温度が40℃未満では、フィルムが予熱不十分のために延伸困難となり、フィルム破断が起こるので好ましくない。
【0013】本発明の粘着性積層フィルムの厚みとしては40μm以下、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmの範囲であり、また中間層の厚みは全体の厚みに対して5〜80%の範囲とする必要がある。該フィルムの厚みが40μmを超えるとフィルム切断時の引裂強度が大きくなりすぎ、ラップフィルムの用途には不適である。中間層の厚みが全体厚みの5%未満ではポリアミド樹脂本来の耐熱性、機械的強度等を維持することができず、また一軸延伸ポリエチレンフィルムとしての物性が支配的になるので、延伸方向に裂け易くなる。中間層の厚みは全体の厚みの10%以上であるのが好ましい。逆に80%を超えるものではポリエチレン層の厚みが薄くなり、共押出成形により均一に中間層を覆うことが困難となる。中間層の厚みは全体の厚みの70%以下であるのが好ましい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の具体的態様について実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれら実施例によって限定されるものではない。実施例中の測定は下記の方法で行った。
【0015】(1) 透明性(株)村上色彩技術研究所製の透明度測定器を用いて測定した。測定値はMAX値、MIN値、AVE値と3種類得られるが、目視感と最も対応するMAX値で表示した。
【0016】(2) 耐熱温度幅30mm、長さ140mmの短冊状フィルム試験片の上下25mmに紙をあて10gの重りを下げ、1時間で切れない最高雰囲気温度を10℃刻みで測定した。
【0017】(3) 熱収縮率打抜き治具によりフィルムを直径10mmの試料にし、これをシリコンオイルを入れたアルミパン中に浸し、このアルミパンを140℃のホットプレートの上に置いた。アルミパンに熱を奪われるために一旦ホットプレートの温度は下がるが、これが140℃になってから45秒後にサンプルを取り出し、そのサイズ変化を測定した。
【0018】(4) カット性フィルムを紙管に巻き、ラップフィルム用ケースに収納し、のこ刃による切断テストを行い、4段階レベル(良好、普通、やや不良、不良)によって評価した。なお、評価の基準として市販のラップフィルムのカットしたレベルを普通として評価した。
【0019】(5) 粘着強度軽く2枚のフィルムを重ね合わせ、そのフィルム上を25mmφ、幅150mmのロールにて線圧0.3kg/cmで3回加圧し、5分以内に2枚のフィルムをせん断剥離する場合と、180度方向に剥離する場合に要する力をインストロンタイプの引張試験機(オリエンテック社製 「UTM−4L」)で測定した。条件を表1に示した。
【0020】
【表1】

【0021】(6) 引張破断点伸度JIS K 7127に準拠し、引張試験機(オリエンテック社製 「UTM−4L」)により測定した。
【0022】実施例1450mm幅3種5層共押出Tダイ成形機を用いて表2に示す樹脂を3台の押出機よりダイス温度260℃で同時に押出し、チルロール温度20℃、引取速度20m/分の条件で製膜し、外層(ポリエチレン樹脂)/接着層(変性樹脂)/中間層(ナイロン−6)/接着層(変性樹脂)/内層(ポリエチレン樹脂)からなる3種5層フィルム(厚み30μm、層比3:1:2:1:3)を成形した。なお、内外層の樹脂組成物は、表2に示す成分を各々表2に示す比率でブレンダーにて混合した後、直径30mmの2軸押出機を用いて200℃の押出条件にてペレット化して調製した。ついで該フィルムをロール延伸機により、予熱温度90℃、熱固定温度110℃で縦方向に3.0倍延伸した。得られたフィルムの評価結果を表3に示した。
【0023】
【表2】

【0024】実施例2実施例1において、原反成形を水冷式インフレーション成形としたこと以外は同一内容にて行った。その結果を表3に示した。なお、原反成形条件は、ダイス径75mmφ、ダイス温度250℃、ブローアップ比1.8、引取速度15m/分とし、折幅210mm、厚さ30μmのフィルムを成形した。
【0025】比較例1〜4実施例1において、表3に示したフィルム厚さ、層比、延伸倍率にしたこと以外は同一内容にて行った。その結果を表3に示した。
【0026】
【表3】

【0027】
【発明の効果】本発明のフィルムは食品包装用途等の種々の包装用途に用いられる。特に、本発明のフィルムは、両表面層を構成する外層及び内層が、良好な粘着性を有するのでラップフィルムとして好適に使用できる。
【出願人】 【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目5番2号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103724(P2003−103724A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−297871(P2001−297871)