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【発明の名称】 帯電防止性多孔質体
【発明者】 【氏名】和野 隆司
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【氏名】森山 順一
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【氏名】高岡 誠一
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内

【要約】 【課題】多孔質体の通気性や強度などを維持しつつ、十分な帯電防止効果が得られ、導電性物質の離脱も生じにくい帯電防止性多孔質体を提供する。

【解決手段】超高分子量ポリエチレン製の多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持してなる帯電防止性多孔質体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超高分子量ポリエチレン製の多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持してなる帯電防止性多孔質体。
【請求項2】 前記超高分子量ポリエチレン製の多孔質体が、超高分子量ポリエチレン粉末の焼結多孔質体から切削により製造された多孔質シートである請求項1記載の帯電防止性多孔質体。
【請求項3】 表面抵抗率が106 〜109 Ω/□であり、通気量が1〜30cm3 /cm2 ・secである請求項1又は2に記載の帯電防止性多孔質体。
【請求項4】 前記導電性高分子がポリアニリン又はその誘導体である請求項1〜3いずれかに記載の帯電防止性多孔質体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性高分子を用いて樹脂製の多孔質体に導電性を付与した帯電防止性多孔質体に関し、特に、電子部品などの吸引搬送のための吸引面に使用される多孔質体として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体部品等の搬送、液晶表示装置用のガラス基板の切断加工などの工程において、静電気の発生による剥離不良や異物の付着などの問題があり、これらが製品の歩留りに大きく影響することが指摘されている。このため、一般にワークやそれと接触する部材には、帯電防止のための処理が行われる事が多い。
【0003】一方、電気・電子部品の搬送では、ワークの形状によらず一定した固定力が得られる等の理由から、吸引による固定が広く利用されている。その際、固定のための吸引面には、多孔質体が通常用いられ、例えばセラミック焼結体、金属焼結体、プラスチック多孔質体などが使用されている。これらは連続孔を有しており、エアーの流れの切り換えによってワークの吸脱着を行うことができる。
【0004】これらの中でも、プラスチック多孔質体は、弾力性が有るため、ワークを傷つけないといった特長がある。しかも目詰まりした際の取替えも、コスト的に、セラミック多孔質体や金属焼結体に比べ安く、有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラスチック多孔質体は、プラスチックであるが故に不導体であり、ワークを剥離するなどの際に、特に静電気が発生し易く、帯電防止が必要とされている。一般的なプラスチックの帯電防止方法としては、帯電防止剤の塗布、含浸などによる方法や、カーボン、導電材料の練り込みなどの方法が知られている。また、特開平8−169971号公報には、超高分子量ポリエチレン製の多孔質体を粉体焼結法にて製造する際に、帯電防止剤を混合して帯電防止処理したものが開示されている。
【0006】しかし、帯電防止剤では表面抵抗率が108 〜1010Ω/□の範囲となって、それ以下にするのは困難である。また、一般的に、環境(湿度)の影響を受け、湿度により表面抵抗値も変化し易く、帯電防止剤が離脱しやすいという問題もある。
【0007】一方、カーボンや導電材料の練り込みによる方法では、導電性を上げるためには、含有量を増やす必要があり、最終製品(多孔質体シート)の強度が低下したり、通気性を低くしたり、表面に無機物が露出する場合、ワークを傷つけるなどの問題がある。
【0008】そこで、本発明の目的は、多孔質体の通気性や強度などを維持しつつ、十分な帯電防止効果が得られ、導電性物質の離脱も生じにくい帯電防止性多孔質体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく、超高分子量ポリエチレン製の多孔質体に帯電防止を行う方法について鋭意研究したところ、多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持させることによって、多孔質体の通気性や強度などを維持しつつ、十分な帯電防止効果が得られ、導電性物質の離脱も生じにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明の帯電防止性多孔質体は、超高分子量ポリエチレン製の多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持してなることを特徴とする。
【0011】上記において、前記超高分子量ポリエチレン製の多孔質体が、超高分子量ポリエチレン粉末の焼結多孔質体から切削により製造された多孔質シートであることが好ましい。
【0012】また、表面抵抗率が106 〜109 Ω/□であり、通気量が1〜30cm3 /cm2 ・secであることが好ましい。ここで、表面抵抗率と通気量の測定方法は、実施例に記載のとおりである。
【0013】特に、前記導電性高分子がポリアニリン又はその誘導体であることが好ましい。
【0014】[作用効果]本発明によると、多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持しているので、細孔を閉塞させることなく帯電防止処理できるため、多孔質体の通気性や強度などを維持することができる。また、実施例の結果が示すように、帯電防止処理として従来法と同等以上の効果が得られ、しかも界面活性剤などと比較して導電性物質の離脱も生じにくくなる。
【0015】前記超高分子量ポリエチレン製の多孔質体が、超高分子量ポリエチレン粉末の焼結多孔質体から切削により製造された多孔質シートである場合、表面の顕微鏡写真からも判るように、切削により生じた切断面が平坦になり、その部分に担持された導電性高分子が効果的に表面抵抗率を低下させ、また帯電防止効果もより良好になる。
【0016】表面抵抗率が106 〜109 Ω/□であり、通気量が1〜30cm3 /cm2・secである場合、十分な帯電防止効果と吸引のための空気量の確保が図れるため、特に、吸引搬送のための吸引面に使用される吸引搬送用の多孔質体として有用となる。
【0017】前記導電性高分子がポリアニリン又はその誘導体である場合、比較的簡易な工程で、超高分子量ポリエチレン製の多孔質体の微細組織の表面に担持することができ、上記の如き作用効果が得られ易いものとなる。また、ポリアニリン又はその誘導体は安定性に優れており、安価な材料であるという特長を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の帯電防止性多孔質体は、超高分子量ポリエチレン製の多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持してなるものである。導電性高分子の担持は、図3の表面写真のように、多孔質体の細孔の殆どが閉塞しない状態で行われる。また、導電性高分子の担持は、多孔質体の細孔の内部の全ての微細組織表面に行う必要はなく、少なくとも帯電防止が必要な部分の表面に露出する部分(接触が生じる部分)に導電性高分子が担持されていればよい。但し、シート状物のように、厚みが薄いものでは、細孔内部を含む全ての微細組織表面に導電性高分子が担持されているのが好ましい。
【0019】多孔質体を形成する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、一般のポリエチレンの分子量(粘度法による測定値)が約10万以下であるのに対し、約50万以上の高い値を示す点で特異である。かようなUHMWPEは、例えば、三井石油化学工業社から「ハイゼックス・ミリオン」、ヘキスト社から「ホスタレンGUR」等の商品名で市販されている。
【0020】UHMWPE製の多孔質体は、ブロック状、板状、シート状のものなどが使用できるが、シート状のものが好ましい。また、多孔質体の気孔率は、通気性、クッション性、強度の点から、好ましくは気孔率10〜80%、特に好ましくは30〜50%である。同様の理由から孔径は5〜200μmが好ましい。また、多孔質シートの場合の厚さは、0.05〜10mmが好ましい。
【0021】このような多孔質体は、UHMWPEを溶媒に溶解して加熱下でシート状に押し出し、このシートを水浴中で冷却してゲル化させた後、溶媒を除去する方法などでも製造することができるが、本発明ではUHMWPE粉末を焼結して製造したものが好ましい。このような製造方法は、特公平7−55541号公報に詳述されており、具体的には、次の通りである。
【0022】この方法はUHMWPE粉末を金型に充填し、次いで、これをUHMWPEの融点以上の温度に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結してブロック状成形体とした後冷却し、この成形体を所定厚さのシートに切削するものである。
【0023】この方法においては、先ず、UHMWPE粉末(粒径は通常30〜200μm)を金型に充填し、次いで、これをUHMWPEの融点以上に加熱された水蒸気雰囲気中で焼結してブロック状成形体とする。このようにUHMWPE粉末を金型に充填し、これを加熱された水蒸気雰囲気中で焼結するので、金型としては少なくとも一つの開口部(加熱水蒸気導入用)を有するものを用いる。焼結に要する時間は粉末の充填量や水蒸気の温度等によって変わるが、通常、約1〜12時間である。
【0024】この際に用いる水蒸気はUHMWPEの融点以上に昇温させるため、加圧状態とされるので、金型に充填されたUHMWPE粉末間に容易に進入することができる。なお、UHMWPE粉末間への加熱水蒸気の進入をより容易にするため、該粉末を金型に充填し、この金型を耐圧容器に入れ、減圧状態とする脱気操作を施し、その後加熱された水蒸気雰囲気中で焼結するようにしてもよい。この際の減圧度合いは特に限定されないが、約1〜100mmHgが好ましい。
【0025】従って、金型に充填されたUHMWPE粉末の焼結は、前記耐圧容器に水蒸気導入管およびその開閉バルブを設けておき、該粉末間の空気を脱気した後、減圧を止めあるいは減圧を続けながら、水蒸気バルブを開いて加熱水蒸気を導入する方法によって行うことができる。
【0026】この焼結時において、UHMWPE粉末は融点以上の温度に加熱されるがその溶融粘度が高いのであまり流動せず、その粉末形状を一部乃至大部分維持し、隣接する粉末相互がその接触部位において熱融着し多孔質のブロック状成形体(粉末相互の非接触部が該多孔質成形体の微孔となる)が形成される。なお、焼結に際し、所望により加圧することもできるが、その圧力は、通常、約10kg/cm2 以下とするのが好ましい。
【0027】上記のようにして焼結を行った後、冷却する。冷却に際してはブロック状成形体への亀裂の発生を防止するため、急冷を避けるのが好ましく、例えば、室温に放置して冷却する方法を採用できる。なお、冷却はブロック状成形体を金型に入れたまま行ってもよく、あるいは金型から取り出して行ってもよい。このようにしてブロック状成形体を冷却した後、旋盤等により所定厚さに切削することにより、多孔質シートを得ることができる。
【0028】上記方法により得られる多孔質シートの微孔の孔径、気孔率は用いるUHMWPE粉末の粒径や焼結時における加圧の有無によって決定される。他の条件が同じであれば、用いた粉末の粒径が大きい程微孔の孔径が大きく、気孔率の高い多孔質シートが得られる。また、焼結時に加圧しない場合は加圧した場合に比べ微孔の孔径が大きく、気孔率の高い多孔質シートが得られる。更に、焼結時に加圧加圧した場合はその圧力が高い程微孔の孔径が小さく、気孔率の低い多孔質シートが得られる。
【0029】かような方法によって得られるUHMWPE多孔質シートは、上記したように隣接するUHMWPE粉末がその形状の一部乃至大部分を維持すると共に粉末相互がその接触部位において熱融着してシート形状を呈し、且つ、粉末相互の非接触部位を微孔とするミクロ構造を有している。
【0030】本発明では、以上のような多孔質体の微細組織の表面に導電性高分子を担持させる。本発明で好適に用いられる導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリフエニレン、ポリチオフエン、ポリピロール又はその誘導体などの芳香族系の導電性高分子が挙げられる。これらの導電性高分子は空気中での安定性に優れており、また合成も容易であることから応用を目的として研究数が増大している。なかでもポリアニリン又はその誘導体は導電性高分子の中でも安定性に優れており、安価な材料である。
【0031】上記の導電性高分子のうち、ポリアニリン以外は本来、溶剤に不溶性であるが、これら導電性高分子の応用範囲を拡大させるため溶解性を付与する研究が進められ、近年、溶剤可溶性の導電性高分子が開発されている。本発明に用いる導電性高分子としては、これら溶剤可溶性のものが好ましい。その具体例としてはポリアニリン、3位に置換基を有するポリチオフェン、3位に置換基を有するポリピロール、3位および4位に置換基を有するポリチオフェン、3位および4位に置換基を有するポリピロール等を挙げることができる。そして、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基等があり、これら置換基はいずれもC数1〜30程度のものである。また、溶剤への溶解性を高めた溶剤可溶性ポリアニリンも知られており、当該ポリアニリンについては、特開平3−28229号公報、特開平3−52929号公報等に詳述されている。
【0032】これらの導電性高分子を有機溶剤、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた状態で、被処理対象のシートを浸債含浸したり、スプレーガンより噴霧させる、又は、塗工機により塗布するなどした後、有機溶剤を乾燥等で除去する方法によって、多孔質体に導電性高分子を担持(付着)させることができる。また、導電性高分子のモノマー溶液などに多孔質体を浸漬した状態で、重合により導電性高分子を析出付着させることも可能である。このような重合方法の詳細については特開2001−160318号公報に開示されている。
【0033】有機溶剤としては、UHMWPEを濡らすことができ、且つ導電性高分子を溶解し得るものであれば何れでもよい。ポリアニリンを溶解可能な有機溶媒としては、上記のNMPの他、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホランなどの非プロトン性極性有機溶媒が使用できる。また、導電性高分子の担持量は、溶液中の導電性高分子の濃度や塗布量によって調整できる。溶液中の導電性高分子の濃度は、0.5〜3重量%が好ましい。濃度が3重量%を超えると導電性高分子の沈殿が生じ易くなる傾向がある。なお、導電性高分子の付着力を高めるために、予め多孔質体の表面処理、例えばスパッタエッチング処理を行ってもよい。
【0034】また、上記の導電性高分子に対して、導電性を高めるために、導電性高分子の種類に応じたドーパントを用いてドーピングを行うのが好ましい。また、プロトネーションによっても導電性を高めることができる。
【0035】ドーピングは、導電性高分子と共にドーパントを溶解させた溶液を用いて導電性高分子の担持と同時にドーパントを混合させておき、塗布・乾燥後、必要に応じて酸化処理したり、あるいは、予め導電性高分子を担持させた後、ドーパントを用いてドーピングを行ってもよい。
【0036】上記の導電性高分子に使用できる一般的なドーパントとしては、塩素、塩酸、臭素、過酸化マンガン塩、フッ化砒素、2,5−ジメカプトリル−1,3,4−チアゾール、テトラシアノテトラアザナフタレン、テトラシアノエチレンなどが挙げられる。
【0037】表面抵抗率を106 〜109 Ω/□に調整するには、多孔質体の厚さが100〜500μm程度であれば、導電性高分子の担持量を例えば約0.05〜4g/m2 に設定するのが好ましい。ただし、導電性高分子の電気抵抗はドーピング率が比較的低い領域ではドーピング率の増加に対応して低くなるので、用いる導電性高分子におけるドーピング率により上記定着量は変わり得る。従って、上記定着量は限定的な意味を持つものではなく、ひとつの目安と考えるべきものである。ドーピング率の調整はドーピング試薬であるドーパントの導電性高分子に対する添加量の増減により行なうことができる。また、ドーパントの種類を変えることによっても、導電性高分子の電気抵抗を変えることができる。
【0038】本発明の帯電防止性多孔質体は、電子部品などの吸引搬送のための吸引面に使用できる他、クッションシート、電極材、集電材などの電子材料、包装材、ウエハ研削工程時の固定吸引盤などに使用できる。
【0039】つまり、本発明の帯電防止性多孔質体は、例えば、半導体ウェハのダイシング工程において帯電によるスパークを回避でき、スパークに起因するウェハの損傷を防止できる。また、塵やゴミが半導体ウェハ等の被加工体に付着することも防止できる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0041】(1)表面抵抗率JIS K6911に準じてハイレスタIP MCP−HT−250(三菱油化(株)製)を用いて測定した。プローブとしてはHRSを用いた。
【0042】(2)通気量JIS L1096に準じて、フラジール試験機(TOYOSEIKI製)で測定した。
(樹脂多孔質体の製造例1)内径105mmの円筒状金型(上面開口、底面閉鎖)にUHMWPE粉末(分子量600万、融点135℃、平均粒径110μm)を充填し、該粉末を90g/cm2 の割合で加圧した。これを金属製耐圧容器(水蒸気導入管およびその開閉バルブを備える)に入れ、真空ポンプを作動させて雰囲気圧を30mmHgまで減圧することにより、充填された粉末間の空気を脱気した。脱気後、真空ポンプを止め、水蒸気導入バルブを開き水蒸気(温度158℃、6気圧)を導入して60分間加熱することによりUHMWPE粉末を焼結し、丸棒状多孔質体を得た。
【0043】次に、これを温度25℃の部屋に3時間放置して冷却した後金型から丸棒状成形体(外径約105mm)を取り出し、旋盤によりその周方向に沿って厚さ300μmに切削して白色不透明の多孔質シート(気孔率30%、平均孔径30μm)を得た。
【0044】(実施例1)製造例1で得られた超高分子量ポリエチレンの多孔質シートをメタノールに含浸し、多孔質体のエアーを置換した。次に風乾し、多孔質体の表面にあるメタノールを除去した後、ポリアニリン(日東電工(株)製、アニリードMD−7300)を2.5重量%含有するNMP溶液50重量部と、ドーパント(p−トルエンスルホン酸1水和物)を2.6重量%含有するNMP溶液50重量部との混合液に浸漬した。混合液から取出したシートを風乾し、さらに100℃×20分乾燥させた。
【0045】その結果、濃緑色のシートが得られ、そのシートの表面抵抗率は、107 Ω/□であり、通気量は3cm3 /cm2 ・secであった。
【0046】(比較例1)製造例1で得られた多孔質シートをメタノールに含浸し、エアー置換を行った後、多孔体の表面メタノールを除去した後、コルコートSP−2001(10%有効成分)(コルコート社製)に希釈したものに浸漬し、100℃×20分乾燥して、金属含有コート剤を塗布した多孔質シートを得た。この多孔質シートは白色のシートであり、表面抵抗率は107 Ω/□であり、通気量は0cm3 /cm2 ・secであった。
【0047】(比較例2)製造例1で得られた多孔質シートをメタノールに含浸し、エアー置換を行った後、多孔体の表面メタノールを除去した後、ジスロンブラック(フッ素樹脂系)に浸漬させた後、110℃×60分乾燥して、して、カーボン含有樹脂を塗布した多孔質シートを得た。この多孔質シートは黒色のシートであり、表面抵抗率は106 Ω/□であり、通気量は0cm3 /cm2 ・secであった。
【0048】(比較例3)製造例1で得られた多孔質シートを、界面活性剤タイプの帯電防止剤(花王株式会社製、エレクトロストリッパーQN)を0.5重量%を含むイソプロピルアルコール溶液に浸漬した。この溶液から取出したシートを風乾し、さらに100℃×3分乾燥させて、界面活性剤を塗布した多孔質シートを得た。この多孔質シートは白色のシートであり、表面抵抗率は1010Ω/□であり、通気量は3cm3 /cm2 ・secであった。
【0049】(耐水性試験)実施例1においてポリアニリンの担持量を若干変化させて得られた多孔質シートと、比較例3において界面活性剤の担持量を若干変化させて得られた多孔質シートを用い、蒸溜水中で23℃にて48時間攪拌し、その前後における表面抵抗率を測定した。その結果を図1に示す。この結果から、本発明品では水中浸漬による表面抵抗率の低下が殆どないのに対し、界面活性剤による処理では水中浸漬によって殆どの界面活性剤が溶出してしまうことが判った。
【0050】(通気性試験)実施例1においてポリアニリンの担持量を変化させて得られた表面抵抗率が異なる多孔質シートと、比較例1において金属含有コート剤の塗布量を変化させて得られた表面抵抗率が異なる多孔質シートと、比較例2においてカーボン含有樹脂の塗布量を変化させて得られた表面抵抗率が異なる多孔質シートと調製した。これらを用いて、表面抵抗率と通気量とを測定し、その関係を図2に示した。この結果から、本発明品ではポリアニリンの担持量の増加によって通気量の低下が殆どないのに対し、金属含有コート剤やカーボン含有樹脂を塗布する場合、大幅な通気量の低下が生じることが判った。
【0051】(表面顕微鏡観察)通気性試験の際の試料のうち、ポリアニリンの担持させた本発明品(表面抵抗率:107 Ω/□)と金属含有コート剤を塗布した比較品(表面抵抗率:107Ω/□)について、走査型電子顕微鏡による表面観察を行った。前者を顕微鏡写真を図3に、後者を図4に示す。これらの写真から、本発明品ではポリアニリンの担持が微細組織の表面に行われ、これによる細孔の閉塞が殆どないのに対し、金属含有コート剤を塗布した比較品では、殆どの細孔が閉塞していることが判った。
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
【出願日】 平成13年10月1日(2001.10.1)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外4名)
【公開番号】 特開2003−103723(P2003−103723A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−304946(P2001−304946)