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【発明の名称】 塗装作業で発生する塗料カスを利用した複合シート、及び、その製造方法
【発明者】 【氏名】市原 和美

【氏名】御領 親幸

【氏名】梅田 英樹

【要約】 【課題】利用価値の低い産業廃棄物である塗料カスを低コストで再利用し、安価で強度、柔軟性等にも優れた産業上利用価値の高い複合シート、及び、その製造方法の提供。

【解決手段】顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有するする塗料を用いて塗装する際に発生する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニール又はポリオレフィンと混練した樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニール又はポリオレフィンからなる表層シートを積層してなることを特徴とする複合シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練してシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層してなることを特徴とする複合シート。
【請求項2】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練して粒状化した樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項3】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練しつつシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項4】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練してシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層してなることを特徴とする複合シート。
【請求項5】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練して粒状化した樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項6】塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練しつつ樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項7】複合シートが、床敷用マットである請求項1又は4に記載の複合シート。
【請求項8】塗料カスの乾燥を、120℃以下の温度で含水率が25%以下となるまで行なう請求項2、3、5又は6に記載の複合シートの製造方法。
【請求項9】塗料カスの乾燥が、伝導加熱型乾燥機を用いて連続的に行なわれる請求項2、3、5又は6に記載の複合シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料を用いた塗装工場から排出される産業廃棄物としての塗料カスを有効利用して複合シートを製造する方法、及び、それによって得られる複合シートに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車製造工場等において、塗装時に発生する塗料カス、すなわち、吹き付け塗装時に飛散した塗料ミストを回収したいわゆる塗料カスは、非常に膨大に発生し、国内全体で新車の製造において発生する塗料カスは、少なくとも年間数千トンに及ぶといわれている。
【0003】自動車の塗装等に使用される塗料は、主に金属化合物等の無機物からなる顔料、溶剤、及び、バインダーとなる熱硬化性樹脂を主成分として組成され、従って、その塗料カスはこれらを主成分とし、更にこれを移送集約して回収するための多量の水を含むのが一般的である。
【0004】これら、塗装作業の際に発生する、顔料、熱硬化性樹脂を主成分とする塗料と水との混合物である塗料カスは、従来、その組成上からも再利用が困難であったため、可及的水分を除去した後、埋め立てたり焼却処分がなされてきた。
【0005】また、一部では、固形化して燃焼したり、あるいは、水分を1%以下とした後微細化して再生して塗料化する等再利用も考えられてきたが、その利用率は極わめて僅かなものであった。
【0006】さらに、焼却処分においては、含水率を40〜60%程度に低下する必要があり、無駄な費用の発生と共に、高温での焼却が必要なことから、焼却炉の疲弊、破損が多いこと、及び、焼却に伴ってCO2が発生する問題もある。
【0007】さらに、固形化して燃料化することにおいては、含水率を少なくする作業工程を必要とし、固形粒状化のために多大なコストを要し、もともと付加価値の小さい燃料とするために高いコストを必要とすることになり、経費の増大となるため実用的な方法ということはではなかった。
【0008】また、再生塗料化も一部で試みられているものの、その品質、性能において劣り、かつ、コスト的にも見合わず、極少量しか再利用されていないのが現実であった。
【0009】このような理由から、現実問題として年間数千トンに及ぶ塗料カスの処理は大変困難で難しい問題とされてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、利用価値の低い産業廃棄物である塗料カスを低コストで再利用し、安価で強度、柔軟性等に優れた産業上利用価値の高い複合シートとする技術、及び、その製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を達成するため鋭意検討をした結果なされたもので、塗料カスをカス池から取出して、水分を所定量以下とした乾燥塗料カス(以下二次塗料カスと称す)を調製する工程と、この二次塗料カスをポリ塩化ビニール又はポリオレフィンと混練溶融してシート状に成形し、その片面又は両面にポリ塩化ビニール又はポリオレフィンからなる表層シートを積層することによって、優れた複合シートが得られることを見出してなされたものである。
【0012】具体的には、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練してシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層してなることを特徴とする複合シートを提供するものである。
【0013】また、本発明は、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練して粒状化した樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法、並びに、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリ塩化ビニールと混練しつつシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリ塩化ビニールからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法を提供するものである。
【0014】さらに、また、本発明は、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練してシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層してなることを特徴とする複合シートを提供するものである。
【0015】また、本発明は、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練して粒状化した樹脂組成物をシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法、ならびに、塗装作業の際発生する、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含有する塗料カスを乾燥し、これをポリオレフィンと混練しつつシート状に成形し、該シートの片面又は両面にポリオレフィンからなる表層シートを積層することを特徴とする複合シートの製造方法を提供するものである。
【0016】さらに本発明は、複合シートが床敷用マットである上記の複合シートを提供するものである。
【0017】また、本発明は、塗料カスの乾燥を120℃以下の温度で含水率が25%以下となるまで行なう上記の複合シートの製造方法、塗料カスの乾燥が伝導加熱型乾燥機を用いて連続的に行なわれる上記の複合シートの製造方法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、殆ど利用価値がなく、従って焼却又は埋立処理しか処分方法のなかった塗料カスを有効活用することによって環境悪化を防止し、床敷用マット、防音材、遮音材、防振材、なかでも床敷用マットとして好適な優れた性能の複合シート、及び、その製造方法を提供するものである。
【0019】自動車の塗装等に用いられる多くの塗料は、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性等に対する堅牢性を保持せしめるために、塗料のバインダーとしては熱硬化性樹脂が使用されており、本発明はこれらの塗料の回収物を使用することができる。
【0020】すなわち、本発明は、顔料、及び、熱硬化性樹脂を主成分とする塗料を、水を用いて回収した回収物が使用される。従って、本発明に使用される塗料カスは、顔料、熱硬化性樹脂、及び、水を含み、また、一般には、さらに、塗料に含まれる溶剤が含有される。また、バインダー成分として熱硬化性樹脂に併せてエチレン・酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂を含有するものであってもよい。
【0021】本発明に利用される塗料カスは、具体的には、塗料として、アルミニウム、酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、カーボンブラック等の顔料、ポリエステル系、メラミン系、アクリル系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂、及び、トルエン、キシレン、フラゾール1000、フラゾール1500、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ピロリドン等の溶剤を使用した塗料を用いて塗装作業した際に飛散した塗料ミストを水を用いて回収された塗料回収物が使用される。
【0022】複合シートを製造する方法としては、先ず、カス池に貯蔵された、水と混合された回収塗料、すなわち、塗料カスを、バインダーとして含有されている熱硬化性樹脂が実質的に硬化又は三次元架橋反応が進行しないように効率よく脱水乾燥を行なう。
【0023】脱水の方法としては、例えば、単純に沈降せしめて水切する方法や、遠心分離機による分離方法を採ることができるが、この場合には、所望の含水量にまで低下させることが難しく、さらに天曝して水分を除去する必要があり、長時日を要するので、多量の乾燥方法としては望ましい方法ではない。
【0024】従って、多量の塗料カスを処理する場合、熱か熱風による乾燥、あるいは、遠赤外による赤外線乾燥等の加熱促進による乾燥が有効である。この場合、高温処理すれば高温である程、乾燥は短時間に行なわれるが、この場合、含有された熱硬化性樹脂が高熱によってその分子構造が二次元から三次元化して、いわゆる熱硬化が発生する。熱硬化が発生すると樹脂に弾性、ねばり、柔軟性、相溶性が失われ、ポリ塩化ビニール又はポリオレフィンとの均一混合が難しくなり、製品の品質が低下することになる。また、硬化して塊状となるのでポリ塩化ビニール、あるいは、ポリオレフィンとの混合前に微粉砕化が必要となり、大幅なコストアップとなるし、また、微粉砕化したところで球径30μm程度のところで他樹脂との相溶性が消失し、品質も低下する。
【0025】本発明においては、塗料カスとポリ塩化ビニール又はポリオレフィンとの均一な混合を図ることが重要であり、そのためには塗料カスの含水率をいかに小さくすべきかの限界を見出して十分に乾燥すると同時に、相反する要素である乾燥による熱硬化性樹脂の分子構造の三次元化を防ぐ乾燥処理を行なうことが必要となる。
【0026】本発明者等の検討の結果、この目的を達成するためには、120℃以下、好ましくは100℃以下で短時間で乾燥することが有効であることが判明した。また、その際、得られる二次塗料カスの含水率を25重量%以下、好ましくは15重量%以下とすることが複合シートの品質の点において重要であることが見出された。
【0027】これを達成させるための方法としては、例えば、蒸気を内蔵させた鉄板上で塗料カスを連続して乾燥せる等、いわゆる、熱源から熱伝導によって塗料カスを間接加熱して乾燥を行なう伝導加熱型乾燥装置を用いて、乾燥温度120℃以下を維持しながら短時間、一般には5分以内、好ましくは20秒〜3分で、含水率25%以下の二次塗料カスを得ることが望ましい。
【0028】つぎに、得られた二次塗料カスをポリ塩化ビニール又はポリオレフィンと溶融混合する。
【0029】先ず、ポリ塩化ビニールを使用する場合について述べる。二次塗料カスをポリ塩化ビニールと溶融混合する場合、ポリ塩化ビニールとしては、再生又はバージン品を用いることができる。二次塗料カスの配合量は、一般に70重量%以下、好ましくは40〜50%重量となるように配合される。二次塗料カスとポリ塩化ビニールとの混合は、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機等の通常の混合又は混練機を用いて行なうことができる。
【0030】二次塗料カスが配合されたポリ塩化ビニールは溶融混練され、押出しダイ、カレンダーロール、プレス成形機等を用いて直接にシート状原反を成形することができる。また、一旦ストランド状に押出し成形し、これをカットすることによってペレットとした後、これを用いてシート状原反を成形することもできる。この場合、二次塗料カスが配合されて溶融混練されたポリ塩化ビニール組成物は、それ単独で使用することもでき、また、別途ポリ塩化ビニールを加えて用いることもできる。ポリ塩化ビニール組成物はシート状に成形されるが、その厚さは0.5〜5mm程度、好ましく1〜3mm程度が適当である。このシート状原反は、ポリ塩化ビニールと二次塗料カスを含有するが、二次塗料カスを120℃以下で乾燥して利用するときは三次元結合が少なく、ポリ塩化ビニールと均一に溶融混合され、柔軟なシート状原反を得ることができる。
【0031】なお、二次塗料カスとポリ塩化ビニールとを混練して直接シートを押出し成形する場合には、二次塗料カスとポリ塩化ビニールとの混合が若干不均一となり易いが最終製品の要求性能との関係で容認されることもある。
【0032】つぎに、この原反シートの片面又は両面に、バージン又は再生されたポリ塩化ビニールで製造された表面シートが熱圧着され積層される。原反シートの両面に表面シートを積層する場合、片面ずつ逐次的に積層してもよいし、また、同時に両面に積層することも可能である。このようにして得られた複合シートは、内層に比較的多量に二次塗料カスが混入されたシート状原反と、表層に実質的にポリ塩化ビニール単独よりなるシートとによって構成されることとなり、表層は、ポリ塩化ビニール単独製品と何ら変わらない各種の有利な性能、例えば、機械的強度、平滑性、柔軟性、防音性を保持すると共に内層には熱硬化性樹脂特有の強靭性、剛性、寸法安定性等を保持し、両者を兼ね備えた複合シートを得ることができる。
【0033】また、本発明においては、最終製品の要求性能、用途に応じて、再生又はバージンのポリオレフィンと溶融混合して用いることもできる。
【0034】ポリオレフィンを使用する場合について述べれば、ポリオレフィンは反応性を有するため、実験試作の結果、二次塗料カスの配合割合は、50重量%以下に止めることが望ましいことが判明した。二次塗料カスの混合割合は小さいほど安定した生産が可能となるが、廃棄物の利用度を高め、かつ、製造を安定化する二面を満足する観点からみれば、二次塗料カスの配合量は15〜30重量%の範囲が最も効率的である。
【0035】本発明に使用されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の等のポリオレフィンを使用することができる。なかでもメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0036】これらポリオレフィンは二種以上を混練して用いることもでき、特に、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を配合することが望ましい。また、ポリプロピレンとエチレン・プロピレンランダム共重合体(EPR)のポリマーアロイも望ましい材料である。
【0037】二次塗料カスと混合されるポリ塩化ビニール、又は、ポリオレフィンには、必要に応じて各種の添加材を配合することができ、例えば、可塑剤、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイト等の有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、リン酸系等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等を添加することができる。
【0038】これら成分は必要に応じて適宜配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機等の通常の混合又は混練機にて混合或いは溶融混練された後シート状に成形される。
【0039】二次塗料カスと混合されたポリオレフィンは溶融押出し方法、プレス成形方法等によってシート状に成形されてシート状原反とされる。シート状原反の厚さは、目的に応じて任意に選定し得るが、一般には0.5〜5mm程度とされる。
【0040】つぎに、このシート状原反の片面、又は両面にポリオレフィンからなる表層シートが熱圧着によって積層される。両面にポリオレフィンからなるシートを積層する場合、逐次的に行なってもよいし同時に行なってもよい。
【0041】本発明複合シートは、床敷用マットとして適し、床敷用マットとして使用するときは長尺のまま床に敷くこともでき、所定寸法に裁断してこれを敷き並べるようにすることもできる。
【0042】本発明複合シートは、また、建材マット、防音マット、遮音マット、防振マットとしての性能に優れ、各種用途に使用することができる。なお、本発明複合シートの柔軟性、弾力性を一層向上するために、シート状原反の成形、又は表層シートの積層の段階でエチレン・酢酸ビニル等を添加し得る等は説明するまでもない。
【0043】また、表層シートの積層加工の段階で表層シートとポリオレフィンの接合を強固にして、一体化させるために、例えば、TPO等の各種熱可塑性エラストマー層を介在せしめることもできる。
【0044】以上述べたように、本発明複合シートは、かかる構成からなるから、防振性、防音性等に優れた複合シートを得ることができ、また、従来有効に再利用されることなく、廃棄、焼却されていた産業廃棄物を再利用可能としたものであって、低コストで製造が可能でかつ、物性面でも付加価値を高める性能を新たに現出することができる。
【0045】
【実施例】(測定法)
a.比重 :ASTM D792b.引張強さ :ASTM D638c.伸度 :ASTM D638d.初期弾性率:ASTM D638e.衝撃強さ :ASTM D256f.熱収縮率 :ASTM D648g.耐候性 :自然太陽光照射 400時間後の劣化率h.防炎性 :JIS L1201i.寸法安定性:常温室内1ヶ月放置後の寸法変化【0046】(実施例1、比較例1)図1に示すように、自動車工場内の塗料カス溜池(イ)から吸引して取り込んだ塗料カス原液(含水率96.0重量%)をスチームによる伝導加熱型乾燥装置(ロ)に130kg/m2・hの割合で投入し、含水率約12重量%のフレーク状二次塗料カス2を約6kg/m2・hの割合で得た。
【0047】この二次塗料カス2とポリ塩化ビニール3を重量比で50/50の比率でバンバリー型混練機(ハ)に投入し、連続溶融押出し機(ニ)を経由して造粒機(ホ)によりペレット4を得た。従ってこのペレット4はポリ塩化ビニール及び二次塗料カスを主体として構成された樹脂ペレットである。このペレットをカレンダー成形機(ヘ)を用いて加熱圧延して厚さ2.5mmのシート状原反5を得た。次いで、別途用意した厚さ0.25mmのポリ塩化ビニール製表層シート6をラミネート機(ト)によって連続加熱溶融せしめてシート状原反5の両面にそれぞれ熱溶着して厚さ3.0mmの複合シート9を得た。この複合シート9を裁断機(チ)を用いて所定寸法に裁断した。
【0048】従って、この複合シート9は、図2に示すように、上層、下層がポリ塩化ビニールのシート6、6で形成され、内層は、二次塗料カスを44重量%程度含有するポリ塩化ビニールからなるシート状原反5で構成され、界面は、ポリ塩化ビニールが相互に融着して一体化した複合シートが形成された(実施例1)。
【0049】また、シート状原反5として、二次塗料カス2を配合しないポリ塩化ビニール単味のシートを用いた外は実施例1と同様の方法でシートを得た(比較例1)。その物性を測定した結果を表1に示す。
【0050】表1から明らかな通り、本発明複合シートは、塩化ビニール単味に対して引張強さ、伸度共に向上し、熱収縮率が低く、寸法安定性が改良される。
【0051】また、得られた複合シートは、外部表面には防炎性、ソフト性、耐候性、光沢性に優れ、美麗なポリ塩化ビニールの各種機能を持ち、内部には、高強度、剛性、寸法安定性等の熱硬化性樹脂の特性を持つ複合シートが得られた。
【0052】また、本発明は、原素材の50%近くが従来廃棄物として無用に廃棄されていた塗料カスであり、これの有効利用による製品コストの低下等経済効果、及び、環境保全にも役立てることができるという一石三鳥の効果が得られている。
【0053】(実施例2、比較例2)本実施例は、実施例1のポリ塩化ビニルに代えて低密度ポリエチレン(PO)を用いて行なったもので、使用した樹脂、及び、シート状原反の成形にTダイを装着したベント式押出し機を用いた以外は図1に示す方法に従った。
【0054】すなわち、図1に示すように、自動車工場内の塗料カス溜池(イ)から吸引して取り込んだ塗料カス原液(含水率96.0重量%)をスチームによる伝導加熱型乾燥装置(ロ)に130kg/m2・hの割合で投入し、含水率約12重量%のフレーク状二次塗料カス2を約6kg/m2・hの割合で得た。
【0055】この二次塗料カスと、低密度ポリエチレンを、重量比で、二次塗料カス24、低密度ポリエチレン80の比率でバンバリー型混練機(ハ)に投入し、連続溶融押出し機(ニ)を経由して造粒機(ホ)によりペレット4を得た。従ってこのペレット4は低密度ポリエチレン及び二次塗料カスを主体として構成された樹脂ペレットである。このペレットをベント式押出し機を用いて公知の方法で厚さ1.5mmのシート状原反5を得た。
【0056】次いで、別途用意した厚さ0.15mmの低密度ポリエチレンからなる表層シートをラミネート機(ト)によって連続加熱溶融せしめてシート状原反5の両面にそれぞれ熱溶着して厚さ1.8mmの複合シート9を得た。従ってこの複合シート9は、上層、下層が低密度ポリエチレンのシートで形成され、内層は、二次塗料カスを24%程度含有する低密度ポリエチレンで構成され、各層の界面は、低密度ポリエチレンが相互に融着して一体化した複合シートが得られた(実施例2)。
【0057】また、シート状原反5として、二次塗料カス2を配合しない低密度ポリエチレン単味のシートを用いた外は実施例2と同様の方法で複合シートを得た(比較例2)。その特性を測定した結果を表1に示す。
【0058】表1から明らかな通り、本発明複合シートは低密度ポリエチレン単味に対して、引張強さ、伸度共に向上し、熱収縮率が低く、寸法安定性が改良されている。
【0059】本発明複合シートは、内層の大部分の範囲において20%程度の熱硬化性樹脂を含む複合材料で構成され、低密度ポリエチレン単体からなる従来マットに比し熱硬化性樹脂特有の寸法安定性、引裂き強度等の性能が付与されている。なお、本発明複合シートは、耐熱性、耐油性等の性能も向上し、ポリエチレンの表面滑性、適度な柔軟性、軽量性も維持され、合成樹脂製複合シートとして新たな性能を保有した優れた複合シートが得られた。
【0060】
【表1】

【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明は、従来産業上利用価値がなく、廃棄処理されていた塗料カスを再利用して低コストで製造でき、かつ、その性能において従来にない優れた機能を兼ね備えた複合シートを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】393005015
【氏名又は名称】株式会社メイテック
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】 【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一 (外1名)
【公開番号】 特開2003−103722(P2003−103722A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−300412(P2001−300412)