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【発明の名称】 樹脂成型体
【発明者】 【氏名】町田 敏則
【住所又は居所】東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋インキ製造株式会社内

【氏名】鹿野 美紀
【住所又は居所】東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋インキ製造株式会社内

【要約】 【課題】成型加工に於いて経済性の悪い成型用樹脂自体の着色や、成型の後加工としての塗装等をすることなく、色調が明るく鮮やかで色ムラのない樹脂成型体の提供。

【解決手段】樹脂シート上に硬化樹脂層および必要に応じて印刷層が積層された積層シートを成型してなる樹脂成型体であって、前記硬化樹脂層がイソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)、及び着色剤を含む樹脂組成物の硬化物からなる樹脂成型体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂シート上に硬化樹脂層が積層された積層シートを成型してなる樹脂成型体であって、前記硬化樹脂層がイソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)、及び着色剤を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする樹脂成型体。
【請求項2】樹脂シート上に硬化樹脂層および印刷層が積層された積層シートを成型してなる樹脂成型体であって、前記硬化樹脂層がイソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする樹脂成型体。
【請求項3】硬化樹脂層を構成する樹脂組成物が、更に、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(C)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成型体。
【請求項4】重合体(A)が、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の樹脂成型体。
【請求項5】積層シートの樹脂シートと硬化樹脂層との間に、接着層が積層されていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の樹脂成型体。
【請求項6】樹脂シートがアクリル系樹脂からなり、且つ硬化樹脂層中に含まれる重合体(A)がアクリル系樹脂であり、硬化樹脂層の全体に対するアクリル系樹脂の比率が30〜90重量%であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の樹脂成型体。
【請求項7】積層シートの成型時の伸びが、101〜500%であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の樹脂成型体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空成型、圧空成型等のシートの熱成型や、射出成型、ブロー成型等により成型加工用積層シートを成型してなる樹脂成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種成型方法により得られる樹脂成型体に様々な着色を施す場合、次のような方法が一般的である。一つめは、材料着色と呼ばれ、成型に用いる樹脂自体を着色してから成型加工をするもので、一般にマスターバッチと呼ばれる各種無機系、有機系の顔料や染料を練り込んだ着色用の樹脂を成型用の樹脂に溶融混合して着色しそれを成型する方法である。しかし、マスターバッチ方式を採用する場合は、一色あたりの樹脂のロットサイズが大きくなり、成型体が少量多品種の場合には無駄が多くなる傾向にありコスト的にも割高になる。また、成型用の樹脂には通常ワックスやフィラー等の充填物が添加されていてベース樹脂の透明性が低いことが多く、明るく鮮やかな色調を得ることが難しい。さらにパール、メタリックの色調のものを得ようとする場合には樹脂中での顔料の分散が難しく、射出成型時に一般にウエルドラインと呼ばれる溶融樹脂の流動状態により顔料の粒子が不規則に配向し流れ模様のような色ムラが生じるといった問題点がある。
【0003】二つめは、先ず無着色の樹脂の成型加工を行い、得られた成型体の表面にスプレーコートや、ディッピング、静電塗装等の方法により塗装を施す方法である。塗装を採用した場合には、塗料の調色や調整工程において、多大な時間と労力、作業者の塗料に関する専門的知識及び熟練等が要求される。また、塗装工程においても、作業者の熟練度合いにより仕上がりが左右されたり、塗装ブースその他の特別な設備を用意する必要がある。しかも塗装の際、有機溶剤の揮散に伴う作業者の健康管理、安全対策、地球環境関する問題、火災の発生の予防措置、塗装時の不良による製品の歩留まり低下といった問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的は、成型加工に於いて経済性の悪い成型用樹脂自体の着色や、成型の後加工としての塗装等をすることなく、色調が明るく鮮やかで色ムラのない樹脂成型体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂シート上に、伸張性、柔軟性と強靱性を併せ持つ特定のビニル系重合体、ポリイソシアネート及び着色剤を含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層が積層された積層シート、または樹脂シート上に、伸張性、柔軟性と強靱性を併せ持つ特定のビニル系重合体及びポリイソシアネートを含む樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂層および印刷層が積層された積層シートを成型することにより、成型用樹脂自体の着色や後加工をすることなく、色調が明るく鮮やかで色ムラのない樹脂成型体が経済性よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、樹脂シート上に硬化樹脂層が積層された積層シートを成型してなる樹脂成型体であって、前記硬化樹脂層がイソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)、及び着色剤を含む樹脂組成物の硬化物からなる樹脂成型体に関する。
【0007】また、本発明は、樹脂シート上に硬化樹脂層および印刷層が積層された積層シートを成型してなる樹脂成型体であって、前記硬化樹脂層がイソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、及び2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)を含む樹脂組成物の硬化物からなる樹脂成型体に関する。
【0008】また、本発明は、硬化樹脂層を構成する樹脂組成物が、更に、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(C)を含む上記いずれかの樹脂成型体に関する。また、本発明は、重合体(A)が、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体である上記いずれかの樹脂成型体に関する。
【0009】また、本発明は、積層シートの樹脂シートと硬化樹脂層との間に、接着層が積層されている上記いずれかの樹脂成型体に関する。また、本発明は、樹脂シートがアクリル系樹脂からなり、且つ硬化樹脂層中に含まれる重合体(A)がアクリル系樹脂であり、硬化樹脂層の全体に対するアクリル系樹脂の比率が30〜90重量%である上記いずれかの樹脂成型体に関する。また、本発明は、積層シートの成型時の伸びが、101〜500%である上記いずれかの樹脂成型体に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂成型体は、樹脂シート上に着色剤を含む硬化性樹脂層が積層された積層シート、または樹脂シート上に硬化性樹脂層および印刷層が積層された積層シートを成型してなるものであり、積層シートの樹脂シートと硬化樹脂層との間には必要に応じて接着層が積層される。
【0011】積層シートのベースとなる樹脂シートを構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂,ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。樹脂シートは硬化性樹脂層を積層したのち成型されるので、シートを構成する樹脂の軟化温度は40〜200℃であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。また、リサイクルの観点からは、アクリル系樹脂からなる樹脂シートが最も好ましい。アクリル系樹脂からなる樹脂シートには、全く無色透明なクリアなものと、乳白色のものがあり、どちらも使用可能である。アクリル系樹脂として具体的には、ポリメチルメタアクリレート、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。
【0012】樹脂シートには、一般的にフィルムやシートと呼称される比較的薄手のものから、板と呼称される厚手のものまで含まれ、10μm〜10mmの厚さの樹脂シートを使用することができる。真空成型後にインサートインジェクションして成型体を製造する場合には、厚さ20〜100μm程度のシートが好適に使用され、真空成型のみにより成型体を製造する場合には、厚さ3〜6mm程度の板が好適に使用される。意匠性によっては、樹脂シートに薄い着色を施したり、樹脂シートの表面にエンボス加工を施したりしてもよい。また、硬化樹脂層との接着を目的として、樹脂シートの表面に金属や金属酸化物、金属化合物を真空蒸着またはスパッタリングしてもよい。
【0013】樹脂シート上に積層される硬化樹脂層は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体(A)、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)、必要に応じてイソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(C)、及び着色剤を含む樹脂組成物の硬化物からなるものである。
【0014】ビニル系重合体(A)は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体を重合させて得られるビニル系共重合体の主鎖に、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖として導入した、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエングラフトビニル系重合体である。イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および得られる積層シートの成型加工性の点で水酸基が好適である。
【0015】側鎖の導入方法は、特に限定されることはないが、例えば、不飽和二塩基酸とエチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体との共重合体(a)を合成し、共重合体(a)のカルボン酸または無水カルボン酸部分と、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とを有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基とを縮合反応させることにより導入することができる。
【0016】共重合体(a)の合成に使用可能な不飽和二塩基酸の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、ジフェニルメタン−ジ−γ−ケトクロトン酸等が挙げられる。不飽和二塩基酸は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。また、共重合体(a)中の不飽和二塩基酸の割合は、好ましくは0.01〜30重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%である。不飽和二塩基酸の割合が30重量%を越えた場合には得られる重合体(A)の安定性が低下し、0.01重量%未満の場合には硬化樹脂層の伸張性、柔軟性が不充分となる。
【0017】エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体としては、(メタ)アクリル系単量体、芳香族ビニル単量体、オレフィン系炭化水素単量体、ビニルエーテル単量体等を用いることができるが、リサイクルの点から(メタ)アクリル系単量体が好ましい。他の単量体は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等の官能基を有していてもよい。水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】アミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。エポキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】N−メチロール基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。N−アルコキシメチル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−モノアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルコキシメチル基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0020】上記以外の(メタ)アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。オレフィン系炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1,4−ペンタジエン等が挙げられる。ビニルエーテル単量体の例としては、ビニルメチルエーテルが挙げられる。エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0021】共重合体(a)は、公知の方法、例えば、溶液重合で得ることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】合成時の単量体の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジt−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシド等を使用することができ、重合温度は、50〜200℃、特に70〜140℃が好ましい。
【0023】共重合体(a)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜100,000である。共重合体(a)の重量平均分子量が500,000を越える場合には硬化樹脂層の伸張性が低下し、5,000未満の場合には硬化樹脂層の強靱性、耐薬品性が低くなる。共重合体(a)のガラス転移温度は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは10〜100℃である。共重合体(a)のガラス転移温度が150℃を越える場合には硬化樹脂層の伸張性が低下し、0℃未満の場合には硬化樹脂層の耐薬品性、表面硬度が低下する。
【0024】化合物(b)としては、例えば、直鎖の末端または分岐した末端に、カルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とをそれぞれ1個以上ずつ有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネ−ト、またはポリブタジエンを用いることができる。中でも、硬化樹脂層の伸張性、強靱性のバランスおよび成型加工性の点からポリエステルが好適である。化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基としては、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられるが、反応性および硬化樹脂層の成型加工性の点で水酸基が好適である。また、化合物(b)のイソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および硬化樹脂層の成型加工性の点で水酸基が好適である。化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基と、イソシアネート基と反応可能な官能基とは、同一の官能基でも構わないし、異なる官能基でも構わない。
【0025】ポリエステルの例としては、ジカルボン酸の少なくとも1種と、多価アルコール、多価フェノール、またはこれらのアルコキシ変性物等のポリオールの少なくとも1種とをエステル化して得られる末端水酸基含有エステル化合物、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、またはN−アルコキシメチル基に変性したエステル化合物などが挙げられる。ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタル酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシ)安息香酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライ酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。
【0026】多価アルコールの例としては、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0027】多価フェノールの例としては、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ヘキシルレゾルシン、トリヒドロキシベンゼン、ジメチロールフェノール等が挙げられる。市販の水酸基を2個以上有するポリエステル(ポリエステルポリオール)としては、例えば、株式会社クラレ製のクラレポリオールP−510、P−1010、P−1510、P−2010、P−3010、P−4010、P−5010、P−6010、P−2011、P−2013、P−520、P−1020、P−2020、P−1012、P−2012、P−530、P−1030、P−2030、PMHC−2050、PMHC−2050R、PMHC−2070、PMHC−2090、PMSA−1000、PMSA−2000、PMSA−3000、PMSA−4000、F−2010、F−3010、N−2010、PNOA−1010、PNOA−2014、O−2010、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェン650MPA、651MPA/X、670、670BA、680X、680MPA、800、800MPA、850、1100、1140、1145、1150、1155、1200、1300X、1652、1700、1800、RD181、RD181X、C200、東洋紡績株式会社製のバイロン200、560、600、GK130、GK860、GK870、290、GK590、GK780、GK790等が挙げられる。
【0028】また、ポリエーテルの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したエーテル化合物が挙げられる。市販の水酸基を2個以上有するポリエーテル(ポリエーテルポリオール)としては、例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモフェン250U、550U、1600U、1900U、1915U、1920D等が挙げられる。
【0029】また、ポリカーボネートの例としては、下記一般式で表されるポリカーボネートジオール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したカーボネート化合物が挙げられる。
H−(O−R−OCO−)nR−OH(R:アルキレン鎖、またはジエチレングリコール等のアルキレングリコール鎖n:正の整数)
市販の水酸基を2個以上有するポリカーボネートとしては、例えば、株式会社クラレ製のクラレポリオールPNOC−1000、PNOC−2000、PMHC−2050、PMHC−2050R、PMHC−2070、PMHC−2070R、PMHC−2090R、C−2090等が挙げられる。
【0030】また、ポリブタジエンの例としては、α,ω−ポリブタジエングリコール、α、β−ポリブタジエングリコール、及び末端の水酸基をアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基またはN−アルコキシメチル基に変性したブタジエン化合物が挙げられる。市販の水酸基を2個以上有するポリブタジエンとしては、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB G−1000、G−2000、G−3000、GI−1000、GI−2000、GI−3000、GQ−1000、GQ−2000等が挙げられる。市販のエポキシ基を2個以上有するポリブタジエンとしては、例えば、日本曹達株式会社製のNISSO−PB BF−1000、EPB−13、EPB−1054等が挙げられる。
【0031】化合物(b)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは500〜25,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。化合物(b)の重量平均分子量が25,000を越える場合には、溶剤への溶解性、共重合体(a)との相溶性、共重合体(a)との反応性が低下し、また硬化樹脂層の強靱性が低下する。また、500未満の場合には、硬化樹脂層に充分な伸張性、柔軟性を付与することができない。
【0032】重合体(A)は、共重合体(a)のカルボン酸、もしくは無水カルボン酸部分と、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基とを、公知の方法、例えば、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基が水酸基、エポキシ基の場合はエステル化、アミノ基の場合はアミド化、イソシアネート基の場合はイミド化して得ることができる。溶剤としては、共重合体(a)合成時の溶媒をそのまま用いることができ、更に、合成時の条件、塗工時の条件などに応じて、他の溶媒を加えたり、脱溶媒したりしても構わない。反応触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどの3級アミンなどが用いられ、反応温度は、50〜300℃が好ましい。
【0033】共重合体(a)と化合物(b)との反応比率は、共重合体(a)のカルボン酸または無水カルボン酸1モルに対して、化合物(b)のカルボキシル基と反応可能な官能基が0.2〜5モルとなるのが好ましく、0.5〜2モルとなるのが更に好ましい。化合物(b)の反応比率が5モルを越える場合には、樹脂組成物の塗工性、硬化樹脂層の強靱性が損なわれ、0.2未満の場合には、硬化樹脂層の伸張性、柔軟性が低下する。また、共重合体(a)、化合物(b)は、それぞれ1種類ずつを用いてもよく、目的、必要物性に応じて、それぞれ複数種を用いても構わない。
【0034】重合体(A)が水酸基を有する場合、その水酸基価は、固形分換算で好ましくは1〜300KOHmg/g、更に好ましくは10〜100KOHmg/gである。重合体(A)の水酸基価が300KOHmg/gを越える場合には重合体(A)の保存安定性が低下し、1KOHmg/g未満の場合には顔料分散性、硬化樹脂層の強靱性、伸張性、耐薬品性が低くなる。また、重合体(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜100,000である。重合体(A)の重量平均分子量が500,000を越える場合には、溶剤への溶解性、硬化樹脂層の伸張性が低下し、5,000未満の場合には、硬化樹脂層の強靱性、耐薬品性が低下する。
【0035】硬化樹脂層を構成する樹脂組成物に含まれる、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(B)は、重合体(A)と重合体(A)、さらに後述の化合物(C)を用いる場合には重合体(A)と化合物(C)および/または化合物(C)と化合物(C)を架橋させ、強靱で且つ伸張性、柔軟性、成型加工性、耐薬品性を有する硬化樹脂層を積層するために用いられる。得られる樹脂成型体を外装用途に用いる場合には、硬化樹脂層が経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
【0036】脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、上記化合物とグリコール類またはジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を用いても構わない。
【0038】特に、ポリイソシアネート化合物(B)がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、より強靱、且つ伸張性を有する硬化樹脂層を得ることができるため好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールン3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL−2、FL−3、FL−4、HL BA)が挙げられる。
【0039】また、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、例えば、メタノール、エタノール、n−ペンタノール、エチレンクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、フェノール、p−ニトロフェノール、m−クレゾール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタムなどのブロック剤と反応させてブロック化した、ブロック変性体を用いても構わない。
【0040】更に、ポリイソシアネート化合物(B)として、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(c)と両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(d)とを反応させてなる、両末端イソシアネートプレポリマーを用いても構わない。化合物(B)が上記両末端イソシアネートプレポリマーを含む場合には、少量で伸張性が得られ、硬化樹脂層の強靱性も損なわれない。
【0041】化合物(c)としては、化合物(b)と同様の化合物を用いることができる。化合物(d)としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0042】両末端イソシアネートプレポリマーは、化合物(c)のイソシアネート基と反応可能な官能基1モルに対して、化合物(d)のイソシアネート基が1モルより大きくなるような比率で化合物(c)と化合物(d)を混合し、加熱撹拌して反応させることにより得られる。プレポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。プレポリマーの重量平均分子量が50,000を越える場合には溶剤への溶解性、他成分との相溶性が低下し、1,000未満の場合には、硬化樹脂層の強靱性、及び伸張性が不足する。
【0043】ポリイソシアネート化合物(B)は、要求性能に応じて、重合体(A)のイソシアネート基と反応可能な官能基の総数に対して、イソシアネート基の総数が、好ましくは0.1倍〜5.0倍、更に好ましくは0.5倍〜3.0倍となるような比率で、1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0044】硬化樹脂層を構成する樹脂組成物には、硬化樹脂層の柔軟性、伸張性、強靱性をより向上させるために、また、樹脂組成物が着色剤として後述の顔料を含む場合には顔料分散性を向上させるために、イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有する、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネ−ト、またはポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種(C)を含有させることが好ましい。(C)は、例えば直鎖の末端または分岐した末端にイソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネ−ト、またはポリブタジエンである。中でも、硬化樹脂層の伸張性、強靱性のバランスおよび成型加工性の点からポリエステルが好適である。
【0045】イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性および硬化樹脂層の成型加工性の点で水酸基が好適である。また、イソシアネート基と反応可能な官能基数は、2個の場合と比べて少量で伸張性が得られ、硬化樹脂層の強靱性も損なわれないため、3個が特に好ましい。
【0046】化合物(C)としては、上記化合物(b)と同様の化合物を用いることができる。化合物(C)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは500〜25,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。化合物(C)の重量平均分子量が25,000を越える場合には、溶剤への溶解性が低下し、また得られる硬化樹脂層の伸張性が低下する。また、500未満の場合には、他の成分との相溶性が低下し、均一かつ平滑な硬化樹脂層の作成が困難となり、また得られる硬化樹脂層の強靱性が低下する。化合物(C)は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を混合して用いることができる。得られる樹脂成型体を外装用途に用いる場合には、硬化樹脂層が経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
【0047】重合体(A)と化合物(C)との混合比(重量比)は、好ましくは(A):(C)=100:0〜10:90、更に好ましくは(A):(C)=95:5〜30:70、特に好ましくは(A):(C)=95:5〜50:50である。重合体(A)の比率が上記範囲より少ない場合には、得られる硬化樹脂層の強靱性、耐薬品性が低くなる。また、化合物(C)を用いる場合、ポリイソシアネート化合物(C)は、要求性能に応じて、重合体(A)の官能基と化合物(C)の官能基との総数に対して、イソシアネート基の総数が、好ましくは0.1倍〜5.0倍、更に好ましくは0.5倍〜3.0倍となるような比率で、1種、または2種以上を混合して用いることができる。なお、上記化合物(B)と化合物(C)とは、あらかじめ反応させて末端イソシアネートプレポリマーとしてもよい。この場合、樹脂組成物は、上記重合体(A)、及び化合物(B)と化合物(C)とを反応させてなる末端イソシアネートプレポリマーを含む組成物となる。
【0048】硬化樹脂層を構成する樹脂組成物には、重合体(A)及び必要に応じて用いられる化合物(C)と、化合物(B)との架橋反応を促進させるために、それぞれの官能基に応じて、種々の架橋触媒を含有させることができる。代表的な架橋触媒としては、有機金属化合物、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩、アミン類、有機過酸化物などが挙げられる。有機金属化合物として具体的には、酢酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキシ)チタンなどが挙げられる。
【0049】酸として具体的には、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸、p−トルエンスルホン酸、無水フタル酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸などが挙げられる。アミン類として具体的には、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N' ,N' −テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミンなどが挙げられる。
【0050】有機過酸化物としては、ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2-エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレートなどが挙げられる。
【0051】これらの架橋触媒の中で、重合体(A)ないし化合物(C)の官能基が水酸基の場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。アミノ基の場合は、有機過酸化物、酸無水物、カルボン酸、酸化亜鉛−マグネシウムなどの使用が好ましい。カルボキシル基の場合は、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。エポキシ基の場合は、有機金属化合物、アミン類などの使用が好ましい。N−メチロール基または、N−アルコキシメチル基の場合は、酸、そのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。これらの架橋触媒は2種類以上使用してもよく、その総使用量は重合体(A)、化合物(B)及び化合物(C)を含む場合には化合物(C)の総量100重量%に対して、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0052】着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。顔料は、耐光性、耐候性の高いものが好ましい。顔料として具体的には、例えば、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、インダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの金属塩、カーボンブラック、アルミニウム、雲母などの無機顔料、アルミニウムなどの金属微粉やマイカ微粉等が挙げられる。
【0053】染料としては、例えば、アゾ系、キノリン系、スチルベン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等が挙げられる。着色剤は、粉体をそのまま用いても構わないし、あらかじめ着色ペースト、着色ペレット等に加工してから用いても構わない。着色剤の含有量は、樹脂組成物の全量を基準として、好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜40重量%の範囲である。
【0054】また、樹脂組成物には、硬化樹脂層の強度を上げるために、本発明の効果を妨げない範囲で、重合体(A)及び化合物(C)以外の各種の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリエステル等が挙げられる。
【0055】重合体(A)及び化合物(C)以外の熱可塑性樹脂の添加量は、重合体(A)及び化合物(C)の合計重量の50重量%以下が好ましく、30重量%以下が更に好ましい。この上限を越えると、他成分との相溶性が低下する場合がある。また、樹脂組成物には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル補足剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、硬化剤、増粘剤、シランカップリング剤、安定剤(金属石鹸、フォスファィト、フェノール系、有機錫系)、可塑剤(ジオクチルフタレート、ポリエステル系、トリメリット酸系)、光安定剤(ヒンダードアミン系)、炭酸カルシウム等の充填剤、分散剤(界面活性剤)等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0056】硬化樹脂層を構成する樹脂組成物は、重合体(A)、化合物(B)、着色剤、必要に応じて化合物(C)、架橋触媒、添加剤、及び溶剤を混合して得られる。溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
【0057】混合方法に特に限定はないが、通常は、重合体(A)の重合時に得られる重合体溶液に、化合物(B)、化合物(C)及び他の成分を混合し、攪拌羽根、振とう攪拌機、回転攪拌機などで攪拌すればよい。また、サンドミル、3本ロール、2本ロールなどを用いて混合してもよい。塗工性などの向上のために、さらに溶剤を追加したり、濃縮してもよい。
【0058】また、着色剤として顔料を添加する場合は、まず、顔料、分散樹脂、必要に応じて分散剤、及び溶剤を混合した顔料ペーストを作成した後、他の成分と混合するのが好ましい。分散樹脂としては、化合物(C)を用いるのが好ましいが、特に限定はなく、顔料分散性に優れた極性基、例えば水酸基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、アミド基、ケトン基等を有する、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。分散剤としては、例えば、顔料誘導体、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。また、金属キレート、樹脂コートなどにより、顔料表面の改質を行うこともできる。
【0059】本発明の樹脂成型体の製造に使用される積層シートは、こうして得られた樹脂組成物を剥離シート上に塗布し、硬化して成膜させてなる硬化樹脂層と樹脂シートとを積層することにより、あるいは樹脂シート上に樹脂組成物を塗布し、硬化して硬化樹脂層を積層することにより製造することができる。剥離シートとしては、例えば、紙、またはポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロースアセテート等のプラスチックフィルムや、アルミ、ステンレスなどの金属箔等を用いることができ、厚みが10〜250μm のものが好適に使用される。
【0060】樹脂組成物の塗布は、従来公知の方法、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、カーテンコート方式、スロットオリフィス方式、スプレーコート方式、バーコート方式等により行うことができる。樹脂組成物は、数回に分けて塗布してもよいし、1回で塗布してもよい。また、異なる方式を複数組み合わせてもよい。
【0061】硬化樹脂層の膜厚は、通常、10〜200μm 程度であるが、この範囲内に限定されるものではなく、用途、要求性能に適した膜厚となるように塗布すればよい。樹脂組成物の硬化は、樹脂組成物の種類、樹脂シートおよび剥離シートの種類、膜厚、及び用途に応じた温度、時間で行えばよく、通常、室温〜350℃で行われるが、硬化の効率化および生産性の向上の点から、30〜350℃に加熱して行うことが好ましい。
【0062】本発明において、硬化樹脂層は、樹脂シートに直接積層しても良いし、粘着剤または接着剤からなる接着層を介して積層しても構わない。接着層は、粘着剤または接着剤の種類、塗工適性に応じ、従来公知の方法で、樹脂シートまたは硬化樹脂層の上に粘着剤または接着剤を直接塗工して樹脂シートと硬化樹脂層との間に積層させてもよいし、一旦工程紙上に塗工した粘着剤または接着剤からなる接着層を、樹脂シートまたは硬化性樹脂層上にラミネートして積層させてもよい。
【0063】粘着剤としては、例えば、一般的な天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム等を主成分とするゴム系粘着剤や、(メタ)アクリル酸エステル(C2〜C12)を主体にアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等の単量体を共重合した重合体を主成分とするアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤等を用いることができるが、リサイクルの点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0064】接着剤としては、アクリル系接着剤や、ドライラミネート等に使用される2液硬化のウレタン系接着剤で代表されるウレタン系接着剤等が挙げられるが、リサイクルの点からアクリル系接着剤が好ましい。粘着剤の塗工は、例えば、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、バーコート方式、グラビア方式等の種々の方式により行うことができる。また、接着剤の塗工は、例えば、キスコート方式、ダイコート方式、ブレードコート方式、バーコート方式、グラビア方式等の種々の方式により行うことができる。
【0065】また、硬化樹脂層の上には、意匠性を付与するために、印刷層を積層することもできる。印刷層は、シルクスクリーンインキやグラビアインキ,フレキソインキ,感熱転写インキ,インクジェットインキ等の種々の印刷インキを用いて形成される。硬化樹脂層の上に印刷層が積層された積層シートを用いる場合には、硬化樹脂層に着色剤が含有されていなくてもよく、樹脂シート上に着色剤を含まない硬化樹脂層および印刷層が積層された積層シートを用いる場合にも、色調が明るく鮮やかで色むらのない着色樹脂成型体を製造することができる。
【0066】本発明においては、硬化樹脂層を事前に剥離することなく、樹脂シート及び硬化樹脂層を一体としてリサイクルする観点から、樹脂シートがアクリル系樹脂からなることが好ましく、硬化樹脂層を構成する樹脂組成物中に含まれる重合体(A)がアクリル系樹脂であることが好ましい。なお、アクリル系樹脂のリサイクルは、熱分解により原料のモノマーへ還元する方法により行うことができる。また、重合体(A)が共重合体(a)と化合物(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体である場合には、重合体(A)を構成する共重合体(a)がアクリル系樹脂であることが好ましい。また、樹脂シートと硬化樹脂層との間に接着層を積層する場合には、接着層もアクリル系樹脂からなることが好ましい。
【0067】特に、硬化樹脂層の全体に対するアクリル系樹脂の比率は、リサイクルの観点から、30〜90重量%であることが好ましく、特に40〜80重量%であることが好ましい。アクリル系樹脂の比率が30重量%未満の場合は、アクリルとしてリサイクルする場合に他化合物成分が多くなり、効率が悪く、90重量%を越える場合は、積層シートの柔軟性が得られない。重合体(A)が共重合体(a)と化合物(b)との縮合反応により得られるグラフト重合体である場合には、以下の式によりアクリル系樹脂の比率を算出する。

【0068】本発明の樹脂成形体は、樹脂シート上に、必要に応じて接着層を介して硬化樹脂層および必要に応じて印刷層が積層された上記積層シート成型してなるものである。積層シートを成型する時の積層シートの延びは、101〜500%であることが好ましい。100%(つまり未延伸)では意味がないし、500%を越えると積層シートが破断してしまい、成型の延びに耐えられない。積層シートの成型は、特に限定されるものではなく、一般に公知の成型方法、例えば、インサートインジェクション成型法、インモールド(金型内)成型法、押し出し成型、真空・圧空成型法、ブロー(吹き込み)成型法、プレス成型法等により行うことができる。以下に、それぞれの成型方法について詳細に述べる。
【0069】インサートインジェクション法・インジェクションブロー成型法の場合は、成型に使用する樹脂と同種の樹脂シートベースとする積層シートを予備真空成型しておき、トリムカットして余分なバリを取り除き、この予備真空成型された積層シートを金型内に装着後、射出成型を行う。この状態で射出成型すると、樹脂シートと成型用樹脂が熱融着し、着色された成型物が得られる。インモールド成型法の場合は、ロール状で金型内に積層シートを送り込み、そのまま金型を閉じて、射出成型を行う。
【0070】押し出し(エクストルージョン)成型法の場合は、予め所定の幅にスリットされた樹脂シートをベースとする積層シートをその押し出しダイス内、又はダイス出口で、押し出されてきた樹脂の余熱を利用して融着させる方法である。この方法でつくられた成型物は端末を熱プレス成型等で成型加工を施す必要がある。真空・圧空成型法の場合は、まず成型用の樹脂板の全面または一部に、粘着加工された積層シートをラミネータ等により貼付しておく。この積層シートを貼付した板を、成型機の所定の位置に設置し、加熱軟化させ、木型または金型を下から送り込み、真空に引いて型に密着させ、樹脂板を冷却後型からはずして成型物を得る。
【0071】インジェクション等に使用できる成型用樹脂としてとしては、一般に公知の樹脂が使用でき、特に限定されるものではないが、樹脂シートと熱融着するような同種の樹脂でなくてはならない。成型用樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、AS樹脂、ABS樹脂、FRP等を挙げることができる。この中でもリサイクルの点からポリアクリレート樹脂が好ましい。
【0072】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の部および%は、すべて重量部および重量%を示している。また、得られた重合体等のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー装置を用いて測定した。
(合成例a1〜a3)冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す不飽和二塩基酸、エチレン性不飽和二重結合を有する他の単量体および溶媒を表1に示す配合比(重量比)に基づいて仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比の70%加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比(重量比)の15%加えてさらに2時間重合反応を行い、更にアゾビスイソブチロニトリルを表1に示す配合比(重量比)の15%加えてさらに2時間重合反応を行い共重合体(a)の溶液を得た。得られた共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
【0073】
【表1】

MAH:無水マレイン酸ST:スチレンMMA:メチルメタクリレートBMA:n-ブチルメタクリレートTol:トルエンBuAc:酢酸ブチルAIBN:アゾビスイソブチロニトリル【0074】(合成例A1〜A3)共重合体(a)を重合した後、共重合体(a)を重合したフラスコに、表2に示す化合物(b)を表2に示す配合比(固形分重量比)となるよう添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、トリエチルアミンを表2に示す配合比に基づいて加え、6時間加熱撹拌を行い、重合体(A)溶液を得た。得られた重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、水酸基価(OHV)、官能基の含量%(OH含量)を表2に示す。
【0075】
【表2】

P-3010:ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオールP-3010」、Mw=3000)
TEA:トリエチルアミン【0076】(実施例1〜5、比較例1)表3に示す重合体(A)、化合物(B)、及び化合物(C)を、固形分換算で表3に示す割合となるように混合し、トルエン/酢酸ブチル=50/50(重量比)の混合溶媒で固形分濃度が60%となるよう希釈して樹脂組成物を作成した。また、それぞれの樹脂組成物に、表4に示す種類および配合量の着色ペースト(東洋インキ製造株式会社製 NTVカラー)を混合して、着色した。なお、着色ペーストの配合量は、重合体(A)、化合物(B)、及び化合物(C)の合計乾燥重量100重量部としたときの着色ペーストの重量部で示した。
【0077】
【表3】

当量比:[化合物(B)中のイソシアネート基のモル数]/([重合体(A)中の官能基のモル数]+[重合体(C)中の官能基のモル数])
F-3010:ポリエステルポリオール(株式会社クラレ製「クラレポリオールF-3010」、Mw=3000 水酸基含量=1.67%)
Z4470 :イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュール Z4470」、イソシアネート基含量=16.9%)
N3300 :イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製「スミジュール N3300」、イソシアネート基含量=21.8%)
【0078】
【表4】

【0079】得られた樹脂組成物を、膜厚100μm の剥離シート(リンテック株式会社製「PET100X」)上に、コンマコーターを用いて、乾燥時の膜厚が約80μm となるように塗布し、150℃のガスオーブン中で2分間加熱して乾燥、硬化させ、硬化樹脂層を作成した。次に、粘着剤溶液(2液硬化型アクリル系粘着剤/硬化剤=100/8.7)を、膜厚100μm の剥離シート(カイト化学株式会社製「TSM−110K」)上に、コンマコーターを用いて、乾燥時の膜厚が約30μm となるように塗布し、80℃のガスオーブン中で2分間加熱して乾燥、硬化させ接着層を作成した。
【0080】作成した接着層と硬化樹脂層とをラミネート接着して、接着層と硬化樹脂層とからなる積層シートを作成した。得られた積層シートの接着層面を厚さ5mmの無色透明なアクリル板(三菱レイヨン株式会社製「アクリライトE」)に貼合し、成型加工用積層シートを得た。得られた成型加工用積層シートを、真空成型機(成光産業株式会社製「FORMECH300X」)を用いて、熱板温度200℃でピラミッド型に真空成型し、着色樹脂成型体を得た。
【0081】(実施例6)着色ペーストを混合しない以外は、実施例1と同様にして無色の樹脂組成物を作成し、これを用いて硬化樹脂層を作成した後、該硬化樹脂層上に、シルクスクリーンインキ(東洋インキ製造株式会社製「SSマーク611白」)を230メッシュのシルク版で印刷し、その後60℃で2時間乾燥し、印刷層を積層した。得られた印刷層と硬化樹脂層とからなる積層シートの硬化樹脂層と実施例1と同様に得られた接着層とを貼合したのち、実施例1と同様にして接着層面をアクリル板に貼合して成型加工用積層シートを作成し、その後成型を行った。
【0082】(実施例7)実施例1と同様の樹脂組成物を、厚さ25μmのアクリル系樹脂フィルム(三菱レイヨン株式会社製「アクリプレンHBS」)に、乾燥時の膜厚が30μmとなるように塗布し70℃で24時間乾燥、硬化させて硬化樹脂層を作成した。この硬化樹脂層上に、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤を乾燥時の膜厚が2.5g/m2となるように塗布し、厚さ100μmのポリプロピレンフィルム(昭和電工製「ショーアロマーAT」)とラミネートして成型加工用積層シートを作成し、実施例1と同様にしてその後成型を行った。
【0083】(比較例2)塩化ビニル樹脂に着色剤を混合し加熱製膜した着色塩化ビニル樹脂シートの片面に接着層を積層した着色粘着シート(東洋インキ製造株式会社製「ダイナカル」)の接着層面を厚さ5mmの無色透明なアクリル板(三菱レイヨン株式会社製「アクリライトE」)に貼合して成型加工用積層シートを作成した。
【0084】得られた樹脂成型体について、以下の方法で成型加工性試験及びリサイクル性試験を行った。結果を表5に示す。なお、成型加工用積層シートには、成型加工前に長さスケールを記入しておいた。
成型加工性試験:予め記入したスケールを基準に、成型した後のピラミッド型で一番伸長率の高い部分の長さを測定し、下記の式に則り成型時の伸びを算出した。更に、同一の成型時の伸びにおける樹脂成型体の外観を目視で評価した。また、予め同条件でつくっておいた未成型の樹脂シートの色調と、成型後の一番伸びた部分の色調を目視にて見比べ、色ムラを評価した。
成型時の伸び=(成型後の長さ)/(基準長さ)×100【0085】リサイクル性試験:特開平11−106427号公報に記載された、2軸押し出し機にアクリル樹脂のスクラップを供給し、該スクラップを加熱して熱分解し、押し出し機の先端部から吐出される分解ガスを残査タンクを介してクーラーで生じる負圧効果と真空ポンプの負圧で吸引し、該クーラーで分解ガスを濃縮するアクリル成型板のリサイクル方法を実施し、モノマー回収設備の状態を目視で評価した。なお、分解ゾーンの熱分解温度は500℃とした。
【表5】

【0086】
【発明の効果】本発明により、成型伸長性が良好で、鮮やかで色ムラのない着色樹脂成型体が得られるようになった。また、本発明の樹脂成型体は、樹脂シートおよび硬化性樹脂層を構成する樹脂をアクリル系樹脂にすることにより、一体リサイクルが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目3番13号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−103719(P2003−103719A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−300183(P2001−300183)