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【発明の名称】 化粧シート及び化粧板
【発明者】 【氏名】小川 啓至
【住所又は居所】岐阜県大垣市青柳町300番地 イビデン株式会社青柳工場内

【要約】 【課題】色調再現性が優れ,簡易に低コストで作製することができる化粧シート及び化粧板を提供すること。

【解決手段】透明紙3にインクジェット印刷による印刷層2が形成されてなることを特徴とする化粧シート7である。透明紙3にインクのドット20の集合群からなる印刷層2が形成されてなることを特徴とする化粧シート7である。これらの化粧シート7は,基材5を接着して化粧板6となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明紙にインクジェット印刷による印刷層が形成されてなることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】 透明紙にインクのドットの集合群からなる印刷層が形成されてなることを特徴とする化粧シート。
【請求項3】 請求項1または2において,上記透明紙は,紙に樹脂を含浸してなる樹脂含浸紙であることを特徴とする化粧シート。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,上記透明紙の中の灰分の含有量は0〜1.5重量%であることを特徴とする化粧シート。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,上記印刷層は,オーバーレイにより被覆されていることを特徴とする化粧シート。
【請求項6】 基材と化粧シートとからなり,該化粧シートは,透明紙と,該透明紙における上記基材を配置している側と反対側に形成された印刷層とからなり,該印刷層は,インクジェット印刷により形成されていることを特徴とする化粧板。
【請求項7】 基材と化粧シートとからなり,該化粧シートは,透明紙と,該透明紙における上記基材を配置している側と反対側に形成された印刷層とからなり,該印刷層は,インクのドットの集合群からなることを特徴とする化粧板。
【請求項8】 請求項6または7において,上記透明紙は,紙に樹脂を含浸してなる樹脂含浸紙であることを特徴とする化粧板。
【請求項9】 請求項6〜8のいずれか1項において,上記透明紙の中の灰分の含有量は0〜1.5重量%であることを特徴とする化粧板。
【請求項10】 請求項6〜9のいずれか1項において,上記印刷層は,オーバーレイにより被覆されていることを特徴とする化粧板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は,印刷模様の色調再現性に優れた化粧シート及び化粧板に関する。
【0002】
【従来技術】家具,建築材の表面材には,樹脂含浸紙に抽象模様などの模様を印刷した化粧シートや,化粧シートの裏面を基材により補強した化粧板が用いられている。かかる化粧板の具体例としては,従来,後述するように図6に示すものがある。すなわち,従来の化粧板96としては,基材95の上に,隠蔽層94と,その上に所望の模様を構成する印刷層92を印刷原紙にオフセット印刷したパターン層93を形成し,その表面をオーバーレイ91により被覆したものがある。基材95は,フェノール樹脂をクラフト紙に含浸させたものである。隠蔽層94は,酸化チタンを含み隠蔽性を持つ樹脂含浸紙である。パターン層93は,灰分5wt%以下の印刷原紙にメラミン樹脂を含浸させた層である。オーバーレイ91は,木材パルプ繊維抄造にメラミン樹脂を含浸させた層である。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の化粧板においては,印刷層92はオフセット印刷にて形成している。オフセット印刷は,表面に均一の厚さで印刷インクをつけることはできても,任意の部分だけインクの厚さを加減することはできない。そのため,中間色を再現するのが難しく,色調再現性が悪い。
【0004】加えて,オフセット印刷は,印刷原紙一枚毎に印刷する枚葉印刷法であるため,連続的に樹脂を含浸させる化粧板製法には適さない。また,オフセット印刷では,大形の化粧板サイズ(例えば,940×1940mm及び1240×2480mm)等の印刷物を得るには,機械の構造上非常に印刷が困難である。
【0005】また,印刷層92の形成には,オフセット印刷を行っているため,注文に応じて一品ごとに印刷用製版を作製する必要があり,コストがかかるなどの問題がある。他の印刷方法としてグラビア印刷もあるが,グラビア印刷も,一品毎に印刷用製版を作成する必要があり,一品制作には不向きである。
【0006】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,色調再現性が優れ,簡易に低コストで作製することができる化粧シート及び化粧板を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】第一の発明は,透明紙にインクジェット印刷による印刷層が形成されてなることを特徴とする化粧シートである(請求項1)。
【0008】第一発明の化粧シートにおいては,透明紙に印刷層を形成している。このため,透明紙の表面に残った印刷層の表面部だけでなく,透明紙の中に浸透した印刷層の浸透部も外観認識できる。したがって,印刷層の全体を外観視でき,色調再現性がよい。しかも,インクジェット印刷では,任意の部分だけインクの厚さを加減することができるため,色と階調も連続階調に近い再現性を得ることができる。
【0009】インクジェット印刷は,インクの噴出を制御してインクのドットからなる模様を形成するため,インクの噴出を制御することによって,模様を任意に変更できる。ゆえに,オフセット印刷やグラビア印刷で必要とされていた原版が不要となり,一品ごとに異なる模様を容易に安価に形成することができる。また,複数色のインクを噴射するとともに適当な割合で混合することにより,フルカラー印刷ができる。そのため,複数の原版を必要とせず,簡易に多色印刷を行うことができる。また,インクジェット印刷では,連続して絵柄の印刷が可能である。そのため,オフセット印刷の枚葉印刷ではできない連続作業での樹脂含浸作業が可能となり,作業性が格段に向上する。しかも,印刷ヘッドの移動幅を替えることにより,大形の化粧板(例えば,幅1500mm)製造に必要とされる幅を充分に確保することもできる。
【0010】また,インクジェット印刷によりほぼ同じ大きさのインクのドットからなる印刷層を形成することができる。そのため,透明紙が樹脂含浸紙からなる場合に,ドット間から紙に樹脂が均一に浸透し,樹脂含浸ムラを防止できる。
【0011】以上のように第一発明によれば,色調再現性が優れ,簡易に低コストで作製することができる化粧シートを提供することができる。
【0012】第二の発明は,透明紙にインクのドットの集合群からなる印刷層が形成されてなることを特徴とする化粧シートである(請求項2)。
【0013】第二発明においては,印刷層がインクのドットの集合群からなるため,第一発明と同様に,透明紙が樹脂含浸紙である場合に,ドット間から樹脂が均一に含浸し,樹脂含浸ムラを防止できる。また,第二発明は,透明紙に印刷層を形成しているため,第一発明と同様に色調再現性がよい。
【0014】第三発明は,基材と化粧シートとからなり,該化粧シートは,透明紙と,該透明紙における上記基材を配置している側と反対側に形成された印刷層とからなり,該印刷層は,インクジェット印刷により形成されていることを特徴とする化粧板である(請求項6)。
【0015】第三発明の化粧板は,第一発明の化粧シートの非印刷面側に基材を接着したものである。このため,第三発明によれば,第一発明と同様に,色調再現性がよく,一品制作模様を容易に安価に形成することができる。また,印刷層は,ほぼ同じ大きさのドットからなるため,透明紙が樹脂含浸紙からなる場合に,樹脂含浸ムラを防止できる。更に,耐熱性などの物性も実用上十分満足するものである。
【0016】第四の発明は,基材と化粧シートとからなり,該化粧シートは,透明紙と,該透明紙における上記基材を配置している側と反対側に形成された印刷層とからなり,該印刷層は,インクのドットの集合群からなることを特徴とする化粧板である(請求項7)。
【0017】第四発明の化粧板は,第二発明の化粧シートの非印刷面側に基材を接着したものである。このため,第四発明によれば,第二発明と同様に,色調再現性がよい。また,印刷層は,ほぼ同じ大きさのドットからなるため,透明紙が樹脂含浸紙である場合に,樹脂含浸ムラを防止できる。更に,耐熱性などの物性も実用上十分満足するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】第一発明において,インクジェット印刷により形成されるドットの解像度は1500dpi以下であることが好ましい。1500dpiを超える場合にはインクのドットが障壁となって印刷された紙への樹脂含浸性が低下し,印刷層が剥離するおそれがある。
【0019】インクジェット印刷では,インクの噴出量を自在に制御できる。このため,ほぼ同じ大きさのドットを印刷でき,またドットの大きさを積極的に変えることもできる。後者の場合には,滑らかなグラデーション模様を作成できる。印刷層は,ドットの密度が小さい場合には淡い模様となり,密度が大きい場合には濃い模様となる。印刷層は,一色のみのドットの集合群から構成されていてもよいし,複数色が組み合わされて構成されていてもよい。
【0020】インクジェット印刷に用いるインクは,水性顔料インクであることが好ましい。印刷された模様の耐光性及び耐熱性が向上する。また,インクは溶剤系顔料インクであってもよい。この場合には,耐熱性,耐煮沸性,耐シガレット性なども充分に満足する。更に,すばやく乾燥するため,湿潤に伴う紙の皺発生を抑制できる。
【0021】上記透明紙は,表側から裏側の背景が透けて,ボンヤリあるいははっきりと見える程度の透明性を有し,完全透明,半透明も含む。上記透明紙は,紙に樹脂を含浸してなる樹脂含浸紙であることが好ましい(請求項3)。これにより,透明紙の透明性が向上する。透明紙に用いる紙としては,α−セルローズ成分の多い木材パルプ繊維抄造紙,マニラ麻パルプ繊維抄造紙,リンター綿繊維紙,木質系天然パルプ不織布,ポリエステル系不織布などがある。紙に含浸する樹脂としては,熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,またはジアリルフタレート樹脂などがある。この中,意匠性及び表面性能(硬度,耐水性など)の観点から,メラミン樹脂が好ましい。
【0022】上記透明紙の中の灰分の含有量は0〜1.5重量%であることが好ましい(請求項4)。ここで,透明紙の中の灰分の含有量とは,透明紙に元来含まれている灰分も含めた量をいう。この灰分が1.5重量%を超える場合には,透明紙の透明性が低下するおそれがある。上記灰分とは,無機酸化物などの無機化合物をいう。この中には,例えば,酸化チタンも含む。
【0023】上記印刷層は,オーバーレイにより被覆されていることが好ましい(請求項5)。これにより,印刷層が保護され,印刷模様の耐久性が向上する。オーバーレイは,たとえば,樹脂を含浸した紙からなる。この樹脂は,上記透明紙に含浸させる樹脂と同様のものを用いることができる。その中,意匠性及び表面性能(硬度,耐水性など)の観点から,メラミン樹脂が好ましい。オーバーレイに用いる紙は,灰分が少ないかまたは全く含まない透明性のよい紙が好ましい。かかる紙としては,α−セルローズ成分の多い木材パルプ繊維抄造紙,リンター綿繊維紙,ポリエステルフィルムなどがある。
【0024】次に,第二発明において,各ドットの径は平均径に対して±50%の範囲内にあることが好ましい。ドット間に均一な隙間が形成され,この隙間から樹脂が紙に含浸するため,透明紙に局部的な樹脂未含浸部が生じにくい。ゆえに,印刷層が樹脂含浸紙に強固に密着し,剥離しにくくなる。一方,ドットの平均径に対して±50%の範囲を逸脱する径をもつドットが存在する場合には,ドット間の隙間が偏在し,印刷層の透明紙への密着性が低下するおそれがある。
【0025】平均径は,KEYFME型のマイクロスコープ VH−7などで1つのドットの径の平均値を測定し,これを画面上の全ドットについて行い,全ドットの平均径を計算する。画面は倍率50倍程度が望ましい。
【0026】第二発明において,ドットが円である場合には,ドットの径とは,ドットの直径をいい,円ではない場合には,ドットの径とは,1つのドットの最大径と最小径との平均をいう。ドットの平均径とは,印刷層を構成するドット群の中の,すべてのドットの径を加算してドット数で除した値をいう。上記ドットの集合群からなる印刷層は,たとえば,インクジェット印刷などにより形成できる。
【0027】その他,第二発明においても,上記第一発明と同様である(請求項3〜請求項5)。
【0028】第三発明において,基材としては,1または複数枚の紙に樹脂を含浸させたものを用いることができる。ここで基材に用いる紙は,クラフト紙,リンター紙などであり,樹脂としては,フェノール樹脂,ジアリルフタレート樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などである。また,基材として,合板,木板を用いることもできる。基材は,上記印刷層を有する透明紙に積層し,加熱加圧して一体化される。加熱加圧条件は,80〜200℃で20〜150kg/cmで,5〜60分であることが好ましい。第三発明において,その他の点は第一発明と同様である(請求項8〜請求項10)。
【0029】第四発明においては,基材に関しては上記第三発明と同様であり,その他の点に関しては上記第二発明と同様である(請求項8〜請求項10)。
【0030】
【実施例】(実施例1)本発明の実施形態に係る化粧板について,図1〜図3を用いて説明する。本例の化粧板6は,図1に示すごとく,基材5と,基材5に接着された化粧シート7とからなる。化粧シート7は,透明紙3と,その基材5を接着している側と反対側にインクジェット印刷された印刷層2とからなる。透明紙3は,紙に樹脂を含浸してなる樹脂含浸紙である。透明紙3の中の灰分の含有量は0.1重量%である。印刷層2は,オーバーレイ1により被覆されている。
【0031】インクジェット印刷により形成された印刷層2は,図2(a)に示すごとく,ドット20の集合群からなる模様21を構成する。この模様21は,図2(b)に示すごとく,ほぼ同一の大きさのドット20からなる。ドット20の平均直径は200μmであり,ドットの直径のばらつきは,平均直径の−50〜+50%である。模様21は,図2(c)に示すごとく,インクのドット20の配置及び密度を変えることにより,濃淡を発生させている。模様21のうち淡色部分21aは,インクのドット20の密度を薄くし,濃色部分21bはドット20の密度を濃くする。図2(c)に示すごとく,模様21は,複数種類の色のドット20a,20bの集合からなる。
【0032】本例の化粧板を製造するにあたっては,図3(a)に示すごとく,透明紙3に用いる紙31として,灰分0.1%,坪量45g/mのα−セルローズ成分の多い木材パルプ繊維抄造紙を準備した。この紙31に,インクジェット印刷によりドット20の集合からなる印刷層2を形成した。インクジェット印刷では,画像を取り込むスキャナと,画像を処理するコンピュータと,処理された画像を出力するインクジェット式プリンター(商品名デザインジェット5000PS;ヒューレット・パッカード社製)とを用いた。出力画像解像度は600dpiである。インクジェット印刷に用いるインクは,水性顔料インクである。
【0033】次に,図3(b)に示すごとく,印刷後の紙31を,送りローラにて,連続的にメラミン樹脂の樹脂浴の中を通して,メラミン樹脂30を含浸させて樹脂含浸紙を作製し,これを透明紙3とした。紙31上に印刷した印刷層2は,メラミン樹脂30の中に埋まった。
【0034】図3(c)に示すごとく,オーバーレイ1に用いる紙11として,坪量18g/m,灰分0.1%の透明なα−セルローズ成分の多い木材パルプ繊維抄造紙を準備した。この紙11にメラミン樹脂10を含浸して,これをオーバーレイ1とした。
【0035】基材5として,メラミン樹脂50を含浸させた晒しクラフト紙51(坪量180g/m)を5枚準備した。
【0036】次に,上記5枚の基材5,印刷層2を形成した透明紙3,及びオーバーレイ1を積層し,その上から平板8により加圧しながら加熱した。加圧力は785×10Paであり,加熱温度は150℃である。以上により,厚み1.2mmの化粧板6が得られる。
【0037】本例の化粧板においては,図1に示すごとく,透明紙3に印刷層2を形成している。このため,透明紙3の表面における印刷層2の表面部210だけでなく,透明紙3の中に浸透した印刷層2の浸透部220も外観認識できる。したがって,印刷層2の全体を外観視でき,色調再現性がよい。しかも,インクジェット印刷では,任意の部分だけインクの厚さを加減することができるため,色と階調も連続階調に近い再現性を得ることができる。
【0038】インクジェット印刷は,インクの噴出を制御してインクのドットからなる模様を形成するため,インクの噴出を制御することによって,模様を任意に変更できる。ゆえに,一品ごとに異なる模様を容易に安価に形成することができる。また,インクジェット印刷により形成された印刷層2は,ほぼ同じ大きさのインクのドット20からなる。このため,ドット20間から樹脂が均一に含浸し,樹脂含浸ムラを防止できる。また,印刷層2は,その上に形成したオーバーレイ1との密着性にも優れる。また,インクジェット印刷では,連続的に印刷層を形成できるため,連続作業性に優れている。しかも,印刷ヘッドの移動幅を変えることにより,大形の化粧板への印刷も可能である。
【0039】(比較例1)本例においては,図2(d)に示すごとく,実施例1のインクジェット印刷に代えてグラビア印刷を行って模様21を形成した。グラビア印刷では,インクのドット20の大きさを変えることにより濃淡を出している。図2(d)中,符号20cは小さいドットであり,模様21の中の薄い部分を形成している。符号20dは,大きいドットであり,模様21の中の濃い部分を形成している。ドットの平均直径は300μmであり,ドットの直径のばらつきは,平均直径の−52%〜+53%である。その他は,実施例1と同様である。
【0040】図2(e)に示すごとく,グラビア印刷ではドット20の大きさのばらつきが大きく,大きなドット20dの直上のオーバーレイ1は剥離しやすく,直下の透明紙3には樹脂未含浸部分38ができやすい。
【0041】(実施例2)本例の化粧板は,図4に示すごとく,オーバーレイを用いないで作製されたものである。透明紙3には,樹脂含浸前に紙31の上に形成した印刷層2の表面を覆う程度のメラミン樹脂30が含浸されている。このため,印刷層2は,メラミン樹脂30により保護され,剥離しにくい。また,印刷層2の表面は,オーバーレイを被覆したときよりも薄い厚みのメラミン樹脂30により被覆されているため,印刷層2がより鮮明に見える。その他は,実施例1と同様である。
【0042】(比較例2)本例は,図5に示すごとく,実施例1の透明紙に代えて,隠蔽性を持つパターン層931を用いた例である。パターン層931の灰分は15%である。その他は実施例1と同様に,パターン層931にインクジェット印刷にて印刷層92を形成し,メラミン樹脂を含浸させた。パターン層931の上はオーバーレイ91を,パターン層931の下は5枚の基材95を積層した。これらを,実施例1と同様に,平板により加圧しながら加熱した。得られた化粧板の厚みは1.2mmである。
【0043】(比較例3)本例においては,印刷層の形成を,実施例1のインクジェット印刷にて行う代わりに,オフセット印刷で行った例である。すなわち,本比較例の化粧板96としては,図6に示すごとく,基材95の上に,隠蔽層94と,その上に所望の模様を構成する印刷層92を印刷原紙にオフセット印刷したパターン層93を形成し,その表面をオーバーレイ91により被覆したものである。基材95は,フェノール樹脂をクラフト紙に含浸させたものである。隠蔽層94は,酸化チタンを含み隠蔽性を持つ樹脂含浸紙である。パターン層93は,灰分5wt%以下の印刷原紙にメラミン樹脂を含浸させた層である。オーバーレイ91は,木材パルプ繊維抄造にメラミン樹脂を含浸させた層である。化粧板の厚みは1.2mmである。
【0044】(実験例1)本例においては,本発明の化粧板の色調・彩度の再現性について測定した。色調の基準色は,DICカラーチャート1(1997年7月第1刷発行大日本インキ化学工業株式会社)のC(シアン)0%,M(マゼンダ)100%,Y(イエロー)100%,BL(ブラック)0%を用いた。
【0045】測定に供する化粧板は,本発明の化粧板及び比較の化粧板である。本発明に係る化粧板は,上記実施例2とほぼ同じであるが,基材と透明紙との間に,基材を見えなくするための隠蔽層を介在させている。隠蔽層は,白色単色の灰分20%の(株)興人製チタン紙(坪量80g/m)にメラミン樹脂を含浸させたものである。基材としては,フェノール樹脂を含浸させた未晒クラフト紙(坪量180g/m)を5枚準備した。
【0046】比較に係る化粧板は,上記比較例2,3の化粧板である。
【0047】これら本発明および比較の化粧板に用いる印刷層は,上記基準色のカラーチャートを,スキャナで読み込み,そのデータに基づいて読み込んだカラーチャートと同じ画像をインクジェット式プリンター(実施例1と同じもの)にて出力したものである。出力画像解像度は360dpiである。
【0048】これらの化粧板について,日本電色工業株式会社製の色差計(商品名color meter ZF 2000)を用いて明度(L),赤〜緑(a),黄〜青(b),色差(ΔE)を測定した。なお,aは色差計により測定された色度図中のX軸,bはY軸,LはZ軸である。色差(ΔE)は以下の式より算出される。
【0049】ΔE=(L+a+b1/2【0050】化粧板の彩度は,以下の式より算出される。
【0051】彩度=√(a+b
【0052】この彩度は,明度を一定にしたときのa,bの数値座標の0点からの距離に相当する。これらの測定結果を表1に示した。
【0053】表1より明かなように,明度(L),赤〜緑(a),黄〜青(b)及び彩度について,本発明の化粧板は,基準色とほとんど変わらなかった。一方,比較例2,3の化粧板は,基準色よりも薄くなった。このことから,本発明の化粧板は,色調再現性がよいことがわかる。
【0054】
【表1】

【0055】(実験例2)本例は,化粧板の物性について測定した。測定には,上記実施例1,比較例3の化粧板(厚み1.2mm)を供した。測定項目及び測定方法を以下に示す。
(1)耐熱水性:木製断熱板に化粧板を密着させ,その化粧板の表面に少量の沸騰水をこぼし,そのこぼした部分の上に,沸騰水の入った平底アルミニウム容器を20分放置した。
(2)耐熱性:木製断熱板に化粧板を取りつけた。その化粧板の表面に,約185℃,約500mlの植物油を入れた平底アルミニウム容器を20分間放置した。
【0056】(3)耐煮沸性:化粧板を,長さ,幅それぞれ50mmの試験片を3枚切り取った。試験片を2時間煮沸して室温に保持した水の中で約15分間冷却した。その後試験片に層間剥離があるか否かを肉眼で調べた。
(4)耐摩耗性:化粧板の重量を測定した後,回転盤に水平に固定し,研磨紙を巻き付けたゴム製円板2個を取りつけて磨耗試験を行った。摩耗終点に達したときの回転数を求めた。
(5)耐シガレット性:所定の標準温度曲線の範囲内に入ったシガレットヒーターを取りつけた発熱部分を化粧板の所定の位置に置き,化粧板にフクレが発生するまでの時間をストップウォッチで測定した。
【0057】(6)耐光性:アトラス形フェードメーターで,光を48時間照射した。照射試験前後で,色差計にて色差(ΔE)を測定した。照射前では,ΔE=1.29であった。照射試験前後で色差の変化が小さい場合は耐光性に優れ,変化が大きい場合は耐光性が弱いと判断できる。
(7)耐衝撃性:鋼球(JIS−B−1501,質量28.1g)を,落球高さ400mm上から化粧板の上に自然落下させた。
(8)耐剥離性:化粧板の上に塗膜を貫通して,素地面に達する切り傷を碁盤目状に付けた。この碁盤目状の傷の上に粘着テープを貼り,剥がした後の塗膜の付着状態を目視によって観察した。切り傷の間隔は1mm,桝目の数は100を選定した。
上記(1)〜(7)はJIS−K−6902に,上記(8)はJIS−K−5400に準拠した測定法である。測定結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】以上の測定結果より,本発明の化粧板は,実用上十分な物性を備えていることがわかる。
【出願人】 【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
【住所又は居所】岐阜県大垣市神田町2丁目1番地
【出願日】 平成13年6月20日(2001.6.20)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰 (外1名)
【公開番号】 特開2003−1780(P2003−1780A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−187053(P2001−187053)