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【発明の名称】 積層シート
【発明者】 【氏名】上野 裕之

【氏名】山口 勝己

【氏名】藤島 稔

【要約】 【課題】本発明は、優れた耐候性、断熱性、剛性及び柔軟性を有する農業用シートに特に好適な積層シートを提供する。

【解決手段】本発明の積層シートAは、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の表面に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルム2が積層一体化されてなるので、引張強度等の剛性及び柔軟性に優れており、破損させることなく所望形状に変形させて断熱材として種々の用途に使用することができ、更に、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の表面に紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルム2が積層一体化されて熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の紫外線による劣化が抑制されているので、屋外において使用された場合にあっても、優れた柔軟性、剛性及び断熱性を長期間に亘って発揮する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されてなることを特徴とする積層シート。
【請求項2】 熱可塑性樹脂フィルムの表面に金属を蒸着することにより紫外線遮断能を付与していることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】 金属表面に保護層を一体的に設けていることを特徴とする請求項2に記載の積層シート。
【請求項4】 長尺状の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面に、紫外線吸収能或いは紫外線遮断能を有し且つシートの長さ方向に一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されてなることを特徴とする積層シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた耐候性、断熱性、剛性及び柔軟性を有し、特に農業用シートとして使用するのに好適なシートに関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸と二価アルコールとの重縮合によって得られる鎖状重合体である。そして、この熱可塑性ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度に優れていることから農業用シートに広く用いられている。
【0003】一方、従来から野菜等の促成栽培としてハウス栽培やトンネル栽培が広く行われており、このような栽培に農業用シートが汎用されている。具体的には、合成樹脂材や金属パイプ等を組み合わせて形成された骨組、或いは、畝に沿って一定間隔毎に配設された凸円弧状骨材上に上記熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる農業用シートを張設し、この農業用シートで囲まれた空間部において野菜等の促成栽培を行ったり、又は、長尺状の農業用シートを畝に沿って被覆することにより畝の保温或いは畝中の水分の蒸散を防止している。
【0004】しかしながら、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、周波数が350nm以下の紫外線を強く吸収する性質を有することから、紫外線劣化による機能低下が著しく、耐候性に劣り、農業用シートのように屋外で用いる場合には、その劣化が著しいものであった。
【0005】そこで、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる農業用シートの耐候性を向上させるべく、特公昭57−6470号公報には、特定の化学構造を有する紫外線吸収剤を添加してなるポリエチレンテレフタレートフィルムが開示され、又、特開平9−183199号公報には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にベンゾトリアゾール系モノマ共重合アクリル樹脂からなる層が積層されてなる積層フィルムが開示されている。
【0006】一方、農業用シートには、例えば、ハウス栽培やトンネル栽培における上記骨組或いは凸円弧状骨材上に張設する時や畝に沿って被覆させる時のように、使用にあたって引張り力が加わるので、農業用シートは適度な剛性を必要とするとともに、骨組や凸円弧状骨材に沿って張設させるために適度な柔軟性を必要とし、更に、適度な断熱性も必要である。
【0007】しかしながら、上記特公昭57−6470号及び特開平9−183199号公報に記載されたフィルムに適度な柔軟性を付与しようとすると、フィルム厚みを一定厚み以下に抑えなければならず、これではフィルムに十分な断熱性を付与することができないといった問題点が発生する一方、上記フィルムに十分な断熱性を付与しようとするとフィルム厚みが厚くなりすぎて柔軟性が低下してしまうといった別の問題点が生じるといった問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決し、優れた耐候性、断熱性、剛性及び柔軟性を有する農業用シートに特に好適な積層シートを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の積層シートAは、図1に示したように、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の表面に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルム2が積層一体化されてなる。
【0010】上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸と二価アルコール、即ち、ジオールとの重縮合によって得られる鎖状重合体であり、上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましい。
【0011】又、二価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、エチレングリコールが好ましい。
【0012】そして、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が挙げられ、引っ張強度及び耐衝撃性等の剛性の点からポリエチレンテレフタレ−トが好ましい。なお、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、単独で用いられても併用されてもよく、又、ポリエチレンテレフタレ−トを用いる場合には、ペットボトルの回収品を用いてもよい。
【0013】なお、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の物性を損なわない範囲内において、上記芳香族ジカルボン酸にトリメリト酸等のトリカルボン酸やピロメリト酸等のテトラカルボン酸を添加したり、或いは、二価アルコールに、グリセリン等の三価アルコールやペンタエリスリトール等の四価アルコールを添加してもよい。
【0014】上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の密度は、高いと、得られる積層シートの断熱性が低下することがあり、又、低いと、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの連続気泡率が高くなり、得られる積層シートの断熱性が低下するとともに剛性が低下することがあるので、0.09〜0.90g/ccが好ましい。
【0015】又、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の連続気泡率は、高いと、得られる積層シートの断熱性及び剛性が低下することがあるので、45%以下が好ましい。なお、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の連続気泡率は、ASTM D−2856に準拠し、1−1/2−1気圧法にて測定したものをいう。
【0016】具体的には、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを一辺25mmの平面正方形状に切断し、この切断片を厚み方向に複数枚重ね合わせて厚みが約25mmの試験片を作製する。この要領で5個の試験片を作製し、各試験片の連続気泡率を空気比較式比重計(東京サイエンス社製 商品名「1000型」)を用いて、1−1/2−1気圧法により測定し、その平均値を連続気泡率とする。
【0017】更に、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の熱伝導率は、高いと、得られる積層シートの断熱性及び剛性が低下することがあるので、0.055W/mk以下が好ましい。なお、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の熱伝導率は、JIS A1412に準拠して平版熱流計法にて雰囲気温度20℃で測定したものをいう。
【0018】従って、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1としては、密度が0.09〜0.90g/ccで且つ連続気泡率が45%以下であって、更に、熱伝導率が0.055W/mk以下の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが好ましく、密度が0.09〜0.90g/ccで且つ連続気泡率が45%以下であって、更に、熱伝導率が0.055W/mk以下のポリエチレンテレフタレ−ト発泡シートがより好ましい。
【0019】又、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の表面(片面)、好ましくは、表裏面(両面)に積層一体化される紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルム2としては、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1に入射する紫外線を吸収し或いは遮断して上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1が紫外線によって劣化するのを概ね防止することができるものであれば、特に限定されず、例えば、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルム、表面に紫外線吸収層が積層一体化されてなる熱可塑性樹脂フィルム、表面にアルミニウム等の金属を蒸着させてなる熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。
【0020】上記熱可塑性樹脂フィルム2を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。なお、上記α−オレフィンとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体の場合には、例えば、プロピレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン等が挙げられ、プロピレン−α−オレフィン共重合体の場合には、例えば、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン等が挙げられる。
【0021】又、上記熱可塑性樹脂フィルム中に含有され或いは熱可塑性樹脂フィルムの表面に積層一体化される紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収剤としては、従来から汎用のものが用いられ、例えば、サリチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられ、350nm以下の紫外線吸収能に優れたベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾールがより好ましい。
【0022】そして、上記紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムにおける紫外線吸収剤の含有量としては、多いと、押出時における熱可塑性樹脂の溶融粘度が小さくなりすぎてフィルム状に製膜することができないことがあり、又、少ないと、熱可塑性樹脂フィルムの紫外線吸収能が低下することがあるので、熱可塑性樹脂フィルム中、0.05〜2重量%が好ましい。
【0023】更に、上記紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂及び紫外線吸収剤を押出機に供給してインフレーションフィルム法やTダイ法等の押出成形法により製造する方法が挙げられる。
【0024】表面に紫外線吸収層が積層一体化されてなる熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、カーテンロールコート法等の汎用の塗布方法を用いて熱可塑性樹脂フィルムの表面に紫外線吸収剤を含有する薬液を塗布する方法が挙げられる。
【0025】又、表面に金属を蒸着させてなる熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、真空蒸着法やスパッター蒸着法等の蒸着法を用いて熱可塑性樹脂フィルムの表面に金属被膜を積層一体化させる製造方法等が挙げられる。なお、金属蒸着に先立って熱可塑性樹脂フィルム表面にアンカーコートを設けたり或いは熱可塑性樹脂フィルムの表面をコロナ放電処理しておけば、熱可塑性樹脂フィルム表面に強固な金属被膜を形成することができ好ましい。
【0026】上記金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、クロム、インコネル合金等が挙げられ、熱可塑性樹脂フィルムへの蒸着が容易で且つ耐蝕性に優れていることから、アルミニウムが好ましい。又、上記金属被膜の厚みは、厚いと、得られる積層シートの柔軟性が低下することがあり、又、薄いと、金属被膜の剛性が低下することがあるので、200〜900Åが好ましい。
【0027】更に、上記熱可塑性樹脂フィルム2の表面を保護層により被覆してもよい。このように熱可塑性樹脂フィルム2の表面を保護層により保護することにより、熱可塑性樹脂フィルム2自体又は熱可塑性樹脂フィルム2に積層一体化させた金属被膜若しくは紫外線吸収層の酸化を防止し、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートに対する紫外線の入射を確実に阻止して熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの紫外線劣化を防止し、積層シートの耐候性を長期間に亘って良好に維持することができる。
【0028】上記保護層としては、熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂フィルムに積層一体化した金属被膜若しくは紫外線吸収層の酸化を防止することができるものであれば、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、優れた耐候性を有することから高密度ポリエチレンが好ましい。なお、α−オレフィンについては、熱可塑性樹脂フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂の場合と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】又、積層シートAを農業用シートとして用いる場合には、上記熱可塑性樹脂フィルム2は一軸延伸されていることが好ましい。ここで、農業用シートは、上述の如く、例えば、図2に示したように、畝Cの保温や畝C中の水分の蒸散を防止するために、幅方向に凸円弧状に湾曲させた状態にして畝C上に被覆させて用いられたり、或いは、トンネル栽培のように畝に沿って一定間隔毎に配設された凸円弧状骨材上に幅方向に凸円弧状に湾曲させた状態にして被覆させて用いられたりというようにシート幅方向に凸円弧状に湾曲させて用いられることが多い。
【0030】そして、上記積層シートAは、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルム2に起因して、熱可塑性樹脂フィルム2の延伸方向に直交する方向の曲げ変形に対しては腰が強くこの方向を支軸点にしては湾曲させ難い反面、熱可塑性樹脂フィルム2の延伸方向に平行する方向の曲げ変形に対してはそれ程の腰はなく、この延伸方向の所望部位を支軸点として上述したように軸方向に容易に湾曲できる。
【0031】従って、積層シートAを長尺状とし、この積層シートAの熱可塑性樹脂フィルム2を一軸延伸し、この熱可塑性樹脂フィルム2の延伸方向を積層シートAの長さ方向に合致させておけば、積層シートAを所定長さだけ巻き出した上で幅方向に凸円弧状に湾曲させるといった簡単な作業だけでもって、積層シートAを幅方向に凸円弧状に確実に湾曲させることができ、その凸円弧状湾曲部を積層シートAの長さ方向に連続的に形成することができる。よって、積層シートAを凸円弧状に湾曲させた状態にして畝上や凸円弧状骨材上に簡単に且つ確実に被覆させて農作業の効率化を図ることができる。
【0032】次に、上記積層シートAの製造方法について説明する。上記積層シートAの熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法としては、従来から汎用されている発泡シートの製造方法を用いることができ、例えば、■熱可塑性ポリエステル系樹脂及び発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取付けられたサーキュラーダイから円筒状に熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を押出発泡し、続いて、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を円筒状マンドレルにて拡径させて大径の円筒状に成形した後、この円筒状の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の一部を内外面間に亘って切り裂いて切開することによってシート状に開く熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法、■熱可塑性ポリエステル系樹脂及び発泡剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取付けられたTダイから熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートを押出す熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法等が挙げられる。なお、上記発泡剤としては、発泡体の製造に汎用されているものであれば、特に限定されず、アゾジカルボンアミド、ヒドラドジカルボンアミド等の化学発泡剤の他、ブタン、イソペンタン等の物理発泡剤の何れであってもよい。
【0033】そして、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面(片面)或いは表裏面(両面)に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムを積層一体化する方法としては、汎用の方法が用いられ、例えば、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面(片面)或いは表裏面(両面)に上記熱可塑性樹脂フィルムを熱融着させて積層一体化する方法、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面(片面)或いは表裏面(両面)に上記熱可塑性樹脂フィルムを接着剤層を介して積層一体化させる方法等が挙げられる。
【0034】又、上記では、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1及び上記熱可塑性樹脂フィルム2の夫々を予め製造しておき、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の表面(片面)或いは表裏面(両面)に上記熱可塑性樹脂フィルム2を積層一体化させる方法を説明したが、二つの押出機を用意し、一の押出機に熱可塑性ポリエステル系樹脂及び発泡剤を供給する一方、他の押出機に熱可塑性樹脂及び紫外線吸収剤を供給し、これら二つの押出機を合流金型に連結させて共押出しするとともに、合流金型に接続したサーキュラーダイから紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムが内外面の何れかに積層一体化された円筒状の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を押出発泡し、続いて、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を円筒状マンドレルにて拡径して大径の円筒状に成形した後、この円筒状の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の一部を内外面間に亘って切り裂いて切開することによってシート状に開く積層シートの製造方法であってもよい。
【0035】続いて、上記積層シートAの使用要領について説明する。ここでは、積層シートAとして、熱可塑性樹脂フィルム2を一軸延伸するとともに、熱可塑性樹脂フィルム2の延伸方向をシートの長さ方向に合致させてなる一定幅を有する長尺帯状の積層シートを例に挙げ、この積層シートAを農業用シートBとして用い、この農業用シートBを用いて畝を保温する場合の要領について説明する。
【0036】上記農業用シートBを用いて畝を被覆し畝を保温するには、巻回状態の長尺帯状の農業用シートBから所定長さだけ農業用シートを巻き出す。そして、農業用シートBをその熱可塑性樹脂フィルム2が上側となった状態とした上で、農業用シートBの左右端部、即ち、幅方向の両端部を夫々を把持し、この農業用シートBの幅方向の中央部に対してその左右端部を下方に向かって移動させることにより農業用シートBを凸円弧状に湾曲させる。
【0037】すると、上記農業用シートBは、柔軟な熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1の一面に柔軟な薄い熱可塑性樹脂フィルム2が積層一体化されているとともに、上記熱可塑性樹脂フィルム2は農業用シートBの長さ方向に一軸延伸されていることから、幅方向の中央部の一軸延伸部を支軸点として幅方向に凸円弧状に簡単に湾曲する。
【0038】そして、上記凸円弧状の農業用シートBを畝C上に重ね合わせた後、農業用シートBの両端部に土を載せて農業用シートBの両端部を固定することによって、農業用シートBによって畝Cを簡単に且つ確実に被覆することができる(図2参照)。
【0039】この状態においては、上記農業用シートBは、その一部が熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートからなるので優れた断熱性を有し、畝を確実に保温して植物の育成を促進させることができる。なお、上記農業用シートBの幅方向の中央部には植物を植生するための開口部B1、B1・・・がシートBの長さ方向に所定間隔毎にシートBの表裏面間に亘って貫設されている。
【0040】又、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1は、その表面(外面)に紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルム2が積層一体化されて完全に被覆された状態となっているので、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1に紫外線は殆ど入射しない。従って、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シート1は、紫外線による劣化を殆ど受けることはなく長期間に亘って優れた断熱性を保持する。
【0041】
【作用】本発明の積層シートは、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されてなるので、断熱性に優れている。
【0042】そして、上記積層シートの熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが柔軟性を有するとともに引張強度等の剛性にも優れていることから、上記積層シートは、破損することなく所望形状に容易に変形させることができ、種々の用途、特に農業用シートとして好適に用いることができる。
【0043】更に、上記積層シートの熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面には、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されており、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートに紫外線が入射するのを概ね防止しており、よって、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが紫外線によって劣化し、断熱性や柔軟性等が低下するといったことはなく、屋外で用いた場合にあっても上記優れた性能を長期間に亘って維持する。
【0044】
【実施例】(実施例1)図3に示したように、一段目の口径65mmの二軸押出機3と二段目の口径65mmの単軸押出機4とを接続管5を介して連結してなるタンデム押出機を用い、ペットボトルの回収フレーク(極限粘度=0.70、8mmメッシュパス品)100重量部、四フッ化エチレン樹脂粉末(旭ガラス社製 商品名「フルオン169J」)0.01重量部、架橋剤として無水ピロメリト酸0.5重量部及び架橋助剤として炭酸ソーダ0.1重量部からなる樹脂組成物を予め配合装置で均一に混合した上で上記二軸押出機3に供給し溶融混練した。なお、上記二軸押出機3のシリンダー温度を240〜285℃に維持するとともに、二軸押出機3のシリンダーに設けられたベント口(図示せず)から余分な水分及び揮発成分を除去した。
【0045】続いて、上記一段目の二軸押出機3で溶融混練された樹脂組成物を275℃に維持された接続管5を通じて二段目の単軸押出機4に供給して更に溶融混練するとともに、上記単軸押出機4のシリンダ途中の供給口(図示せず)から発泡剤としてブタン0.7重量部を供給した。なお、上記単軸押出機4のシリンダー温度を265〜275℃に維持した。
【0046】そして、上記単軸押出機4の先端部に一体的に取付けた口径105mmのサーキュラー金型6から上記樹脂組成物を大気中に円筒状に押出発泡させた後、直径269mmで且つ長さが950mmの表面温度が25℃に維持された円筒状マンドレル7にて拡径させて大径の円筒状に成形し、円筒状のポリエチレンテレフタレート発泡体を作製した。
【0047】続いて、上記円筒状のポリエチレンテレフタレート発泡体の一部をその内外面間に亘ってカッター8を用いて切り裂くことによってシート状に開いてポリエチレンテレフタレート発泡シート1を作製し巻き取った。なお、ポリエチレンテレフタレート発泡シート1は、その密度が0.30g/ccであり且つ連続気泡率が12.3%であり、更に、その熱伝導率は0.032W/mkであった。
【0048】一方、表面に厚さ500Åのアルミニウム被膜が蒸着され且つ裏面にエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる厚さ40μmの接着剤層が積層一体化されているとともに長さ方向に4倍に一軸延伸されてなる全体の厚さが53μmの長尺状ポリエチレンテレフタレートフィルム2(2a、2b)を用意した。又、上記アルミニウム被膜表面には、厚み17μmの高密度ポリエチレンからなる保護層が積層一体化されていた。
【0049】そして、図4に示したように、上記長尺状のポリエチレンテレフタレート発泡シート1を巻き出し、表面温度が70℃の予備加熱ロール9、9にて予備加熱した後、上記ポリエチレンテレフタレート発泡シート1と上記ポリエチレンテレフタレートフィルム2aとを該ポリエチレンテレフタレートフィルム2の接着剤層が内側となるように重ね合わせた状態にして表面温度200℃の加熱ロール10a とこれに対向するロール11a との間に連続的に供給し、上記ポリエチレンテレフタレート発泡シート1の表面にポリエチレンテレフタレートフィルム2aを接着剤層を介して積層一体化させて複合シート12を作製し、続いて、この複合シート12におけるポリエチレンテレフタレート発泡シート1の裏面側にポリエチレンテレフタレートフィルム2bをその接着剤層が内側となるように重ね合わせた状態にして、複合シート12とポリエチレンテレフタレートフィルム2bとを表面温度200℃の加熱ロール10b とこれに対向するロール11b との間に連続的に供給し、複合シート12におけるポリエチレンテレフタレート発泡シート1の裏面にポリエチレンテレフタレートフィルム2bを接着剤層を介して積層一体化させて積層シートAを得た。なお、上記加熱ロール10a 、10b 間及び上記加熱ロール10b の下流側の夫々には、表面温度が25℃の一対の冷却ロール13a 、13a 、13b 、13b が配設されている。
【0050】(実施例2)ポリエチレンテレフタレート発泡シート1の表面(片面)にのみポリエチレンテレフタレートフィルム2を積層一体化したこと以外は実施例1と同様にして積層シートAを作製した。
【0051】(実施例3)ポリエチレンテレフタレートフィルムとして、表面に2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾールを0.5重量%含有してなる高密度ポリエチレンからなる厚さ20μmの紫外線吸収層が積層一体化されているとともに裏面にエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる厚さ40μmの接着剤層が積層一体化されてなる全体の厚さが75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0052】上記の如くして得られた積層シートの耐候性を下記に示した方法により測定し、その結果を表1に示した。
【0053】(耐候性)積層シートをJIS K6251−1993に準拠したダンベル1号にて打ち抜いて引張試験片を3個、作製した。この引張試験片を温度が43℃で且つ湿度が30%である恒温槽内に載置し、紫外線照射機(スガ試験機社製 商品名「サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL−SUM−HC・B型」)を用いて、各引張試験片にポリエチレンテレフタレートフィルム側から紫外線を30時間、60時間、120時間照射した。
【0054】しかる後、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製 商品名「UCT−10T」)を用いて、チャック間隔70mm、引張速度50mm/min、雰囲気温度23℃にて引張試験片の幅方向の引張強度を測定した。
【0055】一方、引張試験片への紫外線照射前に各引張試験片の引張強度を上記と同様の要領で測定しておき、各紫外線照射時間後における引張試験片の引張強度の紫外線照射前における各引張試験片の引張強度に対する百分率を算出し、耐候性の指標とした。
【0056】なお、比較例として、ポリエチレンテレフタレートフィルムを全く積層していないポリエチレンテレフタレート発泡シートについても上記と同様の要領で耐候性を測定した。
【0057】
【表1】

【0058】
【発明の効果】請求項1に記載の積層シートは、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面に、紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されてなることを特徴とするので、引張強度等の剛性及び柔軟性に優れており、破損させることなく所望形状に変形させて断熱材として農業用途等、種々の用途に使用することができる。
【0059】しかも、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートは、その表面に紫外線吸収能又は紫外線遮断能を有する熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されて紫外線の入射が抑制され、紫外線による劣化が抑制されているので、屋外において使用された場合にあっても、優れた柔軟性、剛性及び断熱性を長期間に亘って発揮する。
【0060】又、請求項2に記載の積層シートは、請求項1に記載の積層シートにおいて、熱可塑性樹脂フィルムの表面に金属を蒸着することにより紫外線遮断能を付与しているので、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートへの紫外線の入射を完全に防止して紫外線による劣化を確実に防止することができ、屋外の使用においても長期間に亘って優れた柔軟性、剛性及び断熱性を維持することができる。
【0061】更に、請求項3に記載の積層シートは、請求項2に記載の積層シートにおいて、金属表面に保護層を一体的に設けていることを特徴とするので、熱可塑性樹脂フィルム表面の金属面の酸化劣化を防止して、熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートに紫外線が入射して熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートが劣化するのを確実に抑制することができる。従って、紫外線の照射が強い環境下においても、積層シートは、優れた柔軟性、剛性及び断熱性を長期間に亘って確実に持続することができる。
【0062】最後に、請求項4に記載の積層シートは、長尺状の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡シートの表面に、紫外線吸収能或いは紫外線遮断能を有し且つシートの長さ方向に一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されてなることを特徴とするので、優れた柔軟性、剛性及び断熱性を有しており、農業用シートとして用いられた場合、畝を保温する時や促成栽培に使用する時にも破損することなく所望形状に簡単に変形させて用いることができる。
【0063】そして、一般に農業用シートは凸円弧状に湾曲させて用いられることが多いところ、上記積層シートによれば、その熱可塑性樹脂フィルムは一軸延伸され、その延伸方向に直交する方向を支軸点にしての湾曲は行い難い反面、延伸方向を支軸点にしての湾曲は比較的容易に行い得るので、上記積層シートをその幅方向に凸円弧状に湾曲させ、この凸円弧状湾曲部をシートの長さ方向に連続的に形成することができ、農業用途に円滑に用いて農作業の効率化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
【公開番号】 特開2003−1776(P2003−1776A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−190485(P2001−190485)