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【発明の名称】 積層ポリエステル支持体及びそれを用いたインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料
【発明者】 【氏名】大沼 憲司
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【氏名】江連 秀敏
【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内

【要約】 【課題】実質的に片面のみの塗布で製品に必要なカールバランスを付与することができる積層ポリエステル支持体及び生産性に優れ、良質の画像形成が可能なインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料の提供。

【解決手段】実質的に片面のみに塗布される片面塗布用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層以上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル支持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、1種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生成物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエステルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステル支持体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 実質的に片面のみに塗布される片面塗布用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層以上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル支持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、1種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生成物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエステルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステル支持体。
【請求項2】 請求項1に記載の片面塗布用積層ポリエステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とするインクジェット記録材料。
【請求項3】 25℃、相対湿度55%での立ち上がりカールが5mm以下であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録材料。
【請求項4】 請求項1に記載の片面塗布用積層ポリエステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とする熱現像感光材料。
【請求項5】 画像形成層の上に保護層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の熱現像感光材料。
【請求項6】 25℃、相対湿度55%での立ち上がりカールが5mm以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱現像感光材料。
【請求項7】 最大吸収波長(λmax)が700〜900nmの水溶性赤外線吸収化合物を含有する層が、画像形成層と同じ側に設けられていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実質的に片面のみの塗布で製品に必要な機能を付与することができる、生産性に優れた積層ポリエステル支持体及びそれを用いたインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、医療用X線写真及び印刷製版には支持体上にハロゲン化銀を含む画像形成層を設けてなるハロゲン化銀写真感光材料を用い、湿式現像法により画像形成が行われていたが、近時環境面への配慮から現像液を必要とせず、廃液を伴わない乾式画像形成方法、いわゆる熱現像感光材料を用いた画像形成方法が重要視されるようになった。これまで湿式現像法のハロゲン化銀写真感光材料では、湿式現像及びその後の乾燥時に膨張収縮してカールを生じやすく、さらには湿式現像法のハロゲン化銀写真感光材料はパトローネ等の容器にフィルム状に巻き込まれて包装保管されているため、使用時巻癖ができていてカールを生じやすい等の理由から、画像形成層とは反対側の面にカールバランスを取るためのバッキング層が設けられる。
【0003】これに対して、乾式現像法を用いた熱現像感光材料では上記湿式現像法のハロゲン化銀写真感光材料の場合のような湿式現像にもとずく膨張収縮がなく、また通常シート状で画像形成に使用されるためカールの発生が少なく、バッキング層等のカールバランス対策は不要となり、実質的に片面のみの塗布を可能とすることができ、その場合加工性や画像品質の向上、コストの低減が得られる等の利点を生ずる。また、同じく乾式で画像形成が行われるインクジェット記録材料においても、通常シート状で画像形成に使用されるため裏面塗布等のカールバランス対策は不要となり、片面のみの塗布を可能とすることができ、その場合加工性や画像品質の向上、コストの低減が得られる等の利点を生ずる。
【0004】しかしながら、本発明者等の多くの実験の結果、実質的に片面塗布とした熱現像感光材料においても熱現像時の乾燥収縮及び現像後の吸湿による反りの問題があり、またインクジェット記録材料の場合も、画像形成時のインクの吸収及びその後の乾燥による反りの問題があり、良質の画像を得るためにはその対策が必要不可欠であり、特に支持体自体のアンチカール対策が重要であることがわかってきた。
【0005】上記支持体自体のアンチカール対策については既にいくつかの提案がなされており、例えば、特開平4−93937号、同6−11795号、同6−161035号、同6−289534号、同6−240020号、同6−110154号等の公報にはスルホン酸基又はその塩を有する芳香族ジカルボン酸を含有するポリエステルを支持体として用いる技術が提案されている。
【0006】しかしながら上記各公報記載のポリエステル支持体は、あくまで湿式の現像処理を前提としたハロゲン化銀写真感光材料に用いられるためのものであり、実質的に片面のみに塗布層が設けられるインクジェット記録材料又は熱現像感光材料を用いた乾式画像形成方法に適用するとカールバランスが崩れて、良質な画像が得られないという問題が残った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは実質的に片面のみの塗布で製品に必要なカールバランスを付与することができる積層ポリエステル支持体及び該積層ポリエステル支持体を用いたことにより、生産性に優れ、良質の画像形成が可能なインクジェット記録材料並びに熱現像感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は下記構成により達成される。
【0009】1.実質的に片面のみに塗布される片面塗布用積層ポリエステル支持体であって、該支持体が2層以上のポリエステル層を積層してなる積層ポリエステル支持体であり、少なくとも1層が共重合成分として1種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結合単位に対して3〜8モル%含有し、かつ、1種のポリアルキレングリコールをポリエステル反応生成物の2〜8質量%共重合成分として含有するポリエステルからなることを特徴とす片面塗布用積層ポリエステル支持体。
【0010】2.前記1に記載の片面塗布用積層ポリエステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とするインクジェット記録材料。
【0011】3.25℃、相対湿度55%での立ち上がりカールが5mm以下であることを特徴とする前記2に記載のインクジェット記録材料。
【0012】4.前記1に記載の片面塗布用積層ポリエステル支持体に画像形成層を設けたことを特徴とする熱現像感光材料。
【0013】5.画像形成層の上に保護層を設けたことを特徴とする前記4に記載の熱現像感光材料。
【0014】6.25℃、相対湿度55%での立ち上がりカールが5mm以下であることを特徴とする前記4又は5に記載の熱現像感光材料。
【0015】7.最大吸収波長(λmax)が700〜900nmの水溶性赤外線吸収化合物を含有する層が、画像形成層と同じ側に設けられていることを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
【0016】なお、本発明でいう実質的に片面のみに塗布される片面塗布用積層ポリエステル支持体とは、片面のみに下引層、画像形成層、表面保護層等を設け、裏面には例えばバック層の如き支持体のカールバランスに影響を与える層は一切設けない支持体のことであり、支持体のカールバランスに影響を与えない、後述の易滑性層等は必要により裏面に設けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に述べる。
【0018】〈積層ポリエステル支持体の構成〉本発明の積層ポリエステル支持体(支持体ともいう)は、2層以上のポリエステル層を積層してなり、好ましくは積層構造が異なる2層以上のポリエステル層を積層してなる支持体であって、少なくとも1層が後述する金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸及びポリアルキレングリコールを共重合成分として含有する共重合ポリエステルであることを特徴としている。
【0019】なお、上記好ましくは積層構造の異なる2層以上のポリエステル層とは、支持体を2等分する位置を中心として、その両側の特性が異なり、互いに非対称である2層以上のポリエステル層から構成され、このことが巻き癖防止やカールバランスの観点から好ましい。ここでいう非対称とは物理的、機械的あるいは化学的に相違することを意味し、例えば、構成する層の厚さが異なる、ポリエステルを構成する主構成成分やその量が異なる、ポリエステルの共重合成分やその量が異なる、あるいは固有粘度が異なる、さらには吸水率、弾性率が異なることも含まれる。
【0020】本発明の支持体の非対称を確認する方法としては、各種分析機器を用いることができ、特に限定されないが、積層構造については支持体断面を顕微鏡観察により確認することができる。また、支持体を半分に分割する面まで、それぞれ上下から削り取り、上下の分析対象物を得て、加水分解を行い液体クロマトグラフィーやNMR分析、GPC分析を行ってもよい。また、この上下の分析対象物の固有粘度測定、吸水率、弾性率測定を行ってもよい。
【0021】上記のように本発明の支持体は、好ましくは積層構造が異なる2層以上のポリエステル層を積層して形成されるが、製造設備が複雑化する等の点から一般的には2層又は3層が好ましい。
【0022】本発明の支持体の構成の特に好ましい例としては、汎用のホモポリマーからなるポリエステル(汎用ポリエステルともいう)を多く含む層と、後述する金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸及びポリアルキレングリコールを共重合成分として含有することにより吸湿性が付与された共重合ポリエステルを多く含む層とを2層以上積層して設ける。この場合、画像形成層は汎用ポリエステルを主成分とする層側に塗設することが好ましく、さらに、積層間の接着性向上のためには特開平6−161035号公報に記載のように、汎用ポリエステル層に共重合ポリエステルを混合することが好ましく、混合する割合は5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
【0023】また、共重合成分の比率の異なる共重合ポリエステルを2種以上準備して2層以上積層してもよい。この時、積層間の接着性向上のためには隣接する層間の共重合成分差をある範囲内に設定することが好ましく、例えば特開平6−289534号公報を参考にできる。共重合ポリエステルを3層以上積層してなる支持体の場合、該積層してなる支持体の画像形成層を塗設しない側の層の金属スルホネート基を有するポリエステル共重合体成分比率を画像形成層を塗設する側の層よりも多くすることが好ましい。
【0024】本発明の支持体の製造において、ポリエステルを積層する方法としては、従来公知の方法で行うことができる。例えば、複数の押出機及びフィードブロック式ダイあるいはマルチマニフォールド式ダイによる共押出し法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を押出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押出しラミネート法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介して積層するドライラミネート法などが挙げられる。中でも製造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好な共押出し法が好ましい。
【0025】(汎用ポリエステル)本発明に用いられる汎用ポリエステルは、芳香族二塩基酸1種とグリコール1種を構成成分とするポリエステルであり、二塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体などがあり、グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールを構成成分とするポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0026】〈共重合ポリエステル〉本発明に用いられる共重合ポリエステルは、少なくとも1種の金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸と、少なくとも1種のポリアルキレングリコールとを共重合成分とし、芳香族二塩基酸とグリコールを主構成成分とする共重合ポリエステルであり、二塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などがあり、グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールを主構成成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0027】金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体、及びこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)で置換した化合物が用いられる。金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合は、全エステル結合単位に対して3〜8モル%であることが好ましい。3モル%未満だと本発明の片面塗布によるバランスカールの効果が得られず、また8モル%を越えると支持体のみで吸湿したときのカールが強く、塗布前に支持体の湿度管理等取り扱いにくいため好ましくない。
【0028】上記共重合ポリエステルの共重合成分であるポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが用いられるが、このうちポリエチレングリコールが好ましく、分子量は特に限定されないが300〜20000が好ましく、更に好ましくは600〜10000、特に1000〜5000のものが好ましく用いられる。
【0029】ポリアルキレンオキシジカルボン酸としては、ポリエチレンオキシジカルボン酸、ポリテトラメチレンオキシジカルボン酸などが用いられるが、このうちポリエチレンオキシジカルボン酸が好ましく、分子量は特に限定されないが300〜20000が好ましく、更に好ましくは600〜10000、特に1000〜5000のものが好ましく用いられる。ポリアルキレングリコール(末端の水素原子を除いて計算したときの)の共重合割合は、該共重合ポリエステル反応生成物の2〜8質量%であることが好ましい。2質量%より少ないと積層時の層間の接着力が小さく、製膜時の積層不良が起こり、8質量%より多いと積層するポリエステル樹脂の間の結晶性に差が生じ、平面性が悪くなったり、白濁したりすることがあるため好ましくない。
【0030】〈その他のポリエステル〉本発明の支持体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他のポリエステル成分が共重合されていてもよいし、他のポリエステルポリマーがブレンドされていてもよい。
【0031】上記他のポリエステルの構成成分であるカルボン酸又は酸無水物としては、ベンゼンジカルボン酸又はその誘導体としては、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体);シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体);及びアジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸及びダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を全二塩基酸の10モル%以下の量で使用してもよい。
【0032】上記他のポリエステルの構成成分である二価のアルコールとしては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコール、及びp−フェニレンビス(ジメチロールシクロヘキサン)などを挙げることができる。これらは二価のアルコールの10モル%以下の量で使用してもよい。
【0033】上記他のポリエステルとしては、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基又はカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。
【0034】本発明の支持体に用いられる汎用ポリエステル及び共重合ポリエステルの重合は、通常の公知の方法で行うことができる。上記共重合ポリエステルの重合ではジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル交換後、高温、減圧下にて重縮合せしめて共重合ポリエステルを得ることができ、この際、共重合成分である金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチレングリコールをエステル交換反応後に添加し、重縮合を行う。
【0035】本発明の支持体に用いられる汎用ポリエステル及び共重合ポリエステルは0.35〜0.70の範囲の固有粘度を有している。この範囲以下では脆弱性が不充分となり、この範囲以上では機械強度が強すぎることになる。
【0036】〈酸化防止剤〉本発明の支持体には、酸化防止剤を含有させてもよい。特に支持体を構成するポリエステルを重合する過程で微量のポリオキシアルキレン基を有する化合物を含むようになる場合は、支持体の製膜工程で該ポリオキシアルキレン基を有する化合物が熱分解し、該熱分解生成物が熱現像感光材料に悪影響を及ぼして画像カブリを発生し易くなるため、酸化防止剤添加が有効である。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えばヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。
【0037】酸化防止剤の含有量は、通常、支持体に対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。酸化防止剤の含有量が少ないと、熱現像感光材料に利用した場合のカブリ現象が生じやすくなり、多すぎると支持体のヘーズが高くなり透明性に劣る場合がある。なお、これらの酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0038】〈着色剤〉本発明の支持体を医療診断画像用のインクジェット記録材料又は熱現像感光材料材料に用いる場合、観察者の目を和らげる、診断をしやすくする等の目的で支持体を青色に着色させることが好ましい。
【0039】着色の方法としては特に限定はなく、ポリエステルの重合から溶融押出までのいずれかの段階で必要量の着色剤を添加し、着色すればよく、また、あらかじめ高濃度のいわゆるマスターペレットを用意しておき、適宜希釈して溶融押出する方法は濃度をコントロールしやすいことから好ましく用いられる。回収ポリエステルを含有させる場合などで濃度の微調整が必要な場合はこの方法が有効である。マスターペレットにおける染料の濃度は102〜104ppmが好ましい。
【0040】本発明の実施に好ましく用いられる染料としては、例えばアントラキノン型、アゾ型、アゾメチン型、インドアニリン型、オキソノール型、トリフェニルメタン型、カルボシアニン型などがあるが、より好ましく用いることができるのはアントラキノン型の染料であり、分光光度計による吸収極大が570〜700nmにある染料であることが好ましい。より具体的な化合物の例については、特開平3−231738号公報6ページ、化合物No.37〜No.40に記載されているものである。
【0041】〈易滑性付与層〉本発明の支持体には、必要に応じて易滑性を付与する層を設けることが好ましい。特に画像形成層を塗設しない側の面の層に易滑性を付与することが生産、搬送などの面で有利であり好ましい。易滑性付与手段としては特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、あるいは界面活性剤などをフィルム表面に塗布する方法などが一般的である。
【0042】本発明の支持体は多層構成であるので、上記の酸化防止、ライトパイピング防止、易滑性などの機能付与、又は上記以外の各種添加剤の添加は、全層に添加することができるが、少なくとも表面層に添加されていることが好ましい。他の層の添加量を減らす、あるいは添加しないことで積層ポリエステル支持体の透明性を高くすることもできる。
【0043】〈立ち上がりカール〉次に立ち上がりカールについて説明する。
【0044】本発明の支持体をインクジェット記録材料に用いる場合、材料がカールしていると記録時の搬送性や鑑賞時の取扱性において不便が生じる。また本発明の積層ポリエステルを熱現像感光材料に用いる場合においても、非対称であるため、共重合ポリエステル成分が多い層の側を裏面とし、共重合ポリエステル成分が少ない層の側に画像形成層を塗設した場合、バランスカールによって支持体のカールを抑えることができる。本発明におけるインクジェット記録材料又は熱現像感光材料のカール量は、立ち上がりカールにして5mm以下であることが好ましい。最も好ましい状態は立ち上がりカールが0mm、すなわち完全に平面の状態のことである。ここでいう立ち上がりカールとは、材料を18cm×30cmに切り出し、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後に平面な台の上に置いたとき、台の上から立ち上がった4スミの高さの平均を指す。
【0045】〈下引層中の染料〉次に本発明の支持体を熱現像感光材料に用いた場合における下引層中の染料について記載する。
【0046】本発明の支持体を熱現像感光材料に用いる場合、鮮鋭性の高い画像を得るためには、画像形成層に赤外線露光して画像形成に寄与しなかった赤外線の一部が、吸収されずに積層ポリエステル支持体にまで達して反射し、また支持体中を通って、画像領域の外に戻ってきて露光されることにより、画像の鮮鋭性を低下させるので、可能な限り画像に寄与しない赤外線を吸収、カットすることが重要である。すなわちハレーションを防止するために、本発明においては、露光に用いる赤外線レーザーに適した吸収を有する赤外染料が画像形成層と同じ面の下引層中にあることが好ましい。本発明に有用な700〜900nmの赤外線吸収染料としては、この範囲の吸収波長を有する赤外線吸収染料であれば如何なるものも使用することができる。例えば、特開昭59−6481号、同59−182436号等の公報、米国特許第4,271,263号、同4,594,312号等の明細書、欧州特許公開第533,008号、同652,473号、特開平2−216140号、同4−348339号、同7−191432号、同7−301890号、同9−230531号、同10−104779号、同10−104785号、特表平9−509503号等の公報等に記載されているポリメチン系染料、スクアリリウム系染料等を挙げることができる。
【0047】〈本発明のインクジェット記録材料に関する一般記載〉本発明でいうインクジェット記録材料は、片面のみに塗布される積層ポリエステル支持体上に画像形成層(インク吸収層ともいう)を設けて得られる記録材料であり、該インク吸収層にインクの微小液滴を付着させ画像・文字などの記録を行うものであり、ここでいうインク吸収層は、親水性バインダーを主体に構成されるいわゆる膨潤型インク吸収層と、空隙層を記録層中に持つ空隙型インク吸収層のどちらのタイプでも構わないが、インク吸収性、耐にじみ性に優れていて、高濃度画像が得られやすい点からで空隙型インク吸収層を有するインクジェット記録材料が好ましい。本発明において空隙型インク吸収層を有するインクジェット記録材料を製造するには、本発明の前記積層ポリエステル支持体上に、親水性バインダー中に無機微粒子、消泡剤、必要により硬膜剤等を分散含有する水分散液を好ましくは乾燥膜厚10〜30μm、より好ましくは15〜25μmに塗布加工して製造される。
【0048】以下、上記無機微粒子、親水性バインダー、消泡剤、硬膜剤等について説明する。
【0049】(無機微粒子)本発明に用いられる無機微粒子としては、インク吸収層の透明性を高くするために、低屈折率のものがより好ましく、例えば、微粒子シリカ、コロイダルシリカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ベーマイト水酸化アルミニウム又はその水和物等が挙げられるが、好ましくはシリカである。
【0050】微粒子シリカは製造法により乾式法と湿式法に大別されるが、この乾式法は気相法と同義である。気相法により合成された微粒子シリカとしてはハロゲン化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、及びケイ砂とコークスを電気炉でアークにより加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が知られている。また、湿式法シリカとしては珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、適度に重合させて凝集・沈殿させて得られる。
【0051】本発明においては微粒子シリカの中でも、特に気相法により合成された微粒子シリカが特に高い空隙率と強い皮膜強度が得られる点で好ましい。
【0052】本発明の無機微粒子の平均粒径は、100nm以下であることが必要である。特に該無機微粒子として、気相法により合成された微粒子シリカである場合には好ましくは平均1次粒径が30nm以下であり、特に好ましくは20nm以下であり、この場合に特に本発明の効果が大きい。下限は合成上、通常3nmである。気相法により合成された微粒子シリカは塗布液中で2次凝集してより大きな粒子を形成するが、この場合、2次凝集粒子の平均粒径は下限30nmであることが好ましく、上限は100nmであることが好ましい。
【0053】上記において無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙型インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したときのその直径で表したものである。
【0054】(親水性バインダー)本発明のインクジェット記録材料において、上記無機微粒子と組み合わせて用いられる親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができるが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが印字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0055】本発明では特に皮膜形成性のため、ポリビニルアルコール又はその誘導体が好ましく、中でも平均重合度が1000以上が好ましく、最も好ましくは平均重合度が2000以上のポリビニルアルコール又はその誘導体である。また、ケン化度は70〜100%が好ましく、特に80〜100%が最も好ましい。
【0056】上記親水性バインダーは2種以上併用することもできるが、この場合であってもポリビニルアルコール又はその誘導体を少なくとも50質量%以上含有してるのが好ましい。
【0057】上記ポリビルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール又はノニオン変性ポリビニルアルコールが上げられる。
【0058】カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0059】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0060】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0061】カチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000が好ましい。
【0062】また、酢酸ビニル基のケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0063】アニオン変性ポリビニルアルコールは例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、同63−307979号等の公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0064】また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0065】本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は質量比で3倍以上であることが、高い空隙率と高い皮膜強度を得る上で好ましい。同様の観点から更に好ましい無機微粒子の親水性バインダーに対する比率は6以上である。
【0066】親水性バインダーに対する無機微粒子の比率の上限は、皮膜のひび割れ性能の点から概ね8以下であることが好ましい。
【0067】(消泡剤)本発明に用いられる消泡剤としては、一般に知られている種々の消泡剤、例えば油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、エーテル系、りん酸エステル系、アミン系、アミド系、金属石鹸系、硫酸エステル系、シリコン系等が使用できるが、中でも脂肪酸エステル系、エーテル系、金属石鹸系、シリコン系が好ましく、シリコン系が特に好ましい。これらは単独又は、2種以上の組み合わせで使用しても良い。
【0068】脂肪酸エステル系消泡剤としては、例えば、ステアリル酸イソアミル、こはく酸ジエステル、ジエチレングリコールジステアレート、オキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステル等が挙げられ、市販品としては、例えばNopcoChem.Co製のNopco KF等が挙げらる。エーテル系消泡剤としては、例えば、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール等が挙げられ、市販品としては、例えば竹本油脂(株)製バイオニンK−17、バイオニンK−25、サンノプコ(株)製SNデフォーマー777等が挙げられる。金属石鹸系消泡剤としては、例えばステアリル酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウムが挙げられ、市販品としては、サンノプコ(株)製ノプコDF122−NS等が挙げられる。
【0069】シリコン系消泡剤としては、例えばシリコンオイル、シリコンエマルジョン、シリコン処理粉末、有機変性シリコンオイル、フルオロシリコンオイル等が挙げられ、市販品としては、サンノプコ(株)製のSNデフォーマー381、SNデフォーマー5016、デヒドラン1513、東レダウコーニングシリコーン(株)製のSM−5513等が挙げられる。特にシリコン系消泡剤は、微量で効果があり、本発明の無機微粒子の好ましい態様としての微粒子シリカと組み合わせて使用する場合に、効果が大きい。
【0070】これらは単独又は、2種以上の組み合わせで使用しても良い。また、使用量は塗布液に対して、0.0001〜1質量%が好ましく、より好ましくは、0.0004〜0.5質量%で使用すると、本発明の効果が顕著に奏される。
【0071】(硬膜剤)本発明のインクジェット記録材料のインク吸収層中には前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加するのがインク吸収層の造膜性の改良、皮膜の耐水性、及び本発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ましい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロムみょうばん、ほう酸、あるいはほう砂等の無機硬膜剤が挙げられる。
【0072】親水性バインダーがポリビニルアルコールである場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ほう酸又はその塩、ほう砂が好ましい。ほう酸としてはオルトほう酸だけでなく、メタほう酸や四ほう酸等も使用することができる。
【0073】上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1g当たり通常1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。
【0074】その他、本発明のインクジェット記録材料にかかわるインク吸収層、空隙の作製方法、製造方法、バインダー、無機微粒子、添加剤等の構成等ついては特開平11−277877号公報に細部記載されている。
【0075】〈本発明の熱現像感光材料の一般記載〉本発明の熱現像感光材料は実質的に片側のみに塗布される熱現像感光材料であって、支持体の片側にハロゲン化銀、有機銀塩、バインダー、還元剤、必要により硬調化剤、マット剤、色調剤、その他を含有する画像形成層(感光性層ともいう)及び表面保護層等の非感光性層を設けて形成され、画像露光後、例えば80〜180℃で熱現像して画像形成が行われる。
【0076】以下、ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、バインダー、還元剤、必要により添加される硬調化剤、マット剤、色調剤等について、説明する。
【0077】(ハロゲン化銀粒子)ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、本発明において特に立方体状粒子、14面体粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは2以上100以下、より好ましくは3以上50以下がよい。これらは米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子外表面としては特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
【0078】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は後述する有機銀塩粒子形成後に調製してもよいし、ハロゲン化銀粒子を予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を調製するための溶液に添加してもよく、又はこれらの方法の組み合わせも可能である。本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は少なくとも粒子形成後に調製されることが好ましい。更には特に両方法を組み合わせることが好ましい。即ち、本発明においては予め調製されたハロゲン化銀粒子を加えて有機銀粒子を形成し、その後更にハロゲン化銀粒子を形成することが特に好ましい。
【0079】また、本発明において予めハロゲン化銀粒子を調製する場合、P.Glafkides著 Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊,1967年)、G.F.Duffin著Photographic Emulsion Chemistry(TheFocal Press刊,1966年)、V.L.Zelikman etal著 Making and Coating PhotographicEmulsion(The Focal Press刊,1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0080】本発明においてハロゲン化銀粒子のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0081】本発明におけるハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができる。
【0082】本発明の熱現像感光材料には全ハロゲン化銀粒子の80%以上(個数)、好ましくは85%以上遷移金属イオンが含有されるのが好ましい。該遷移金属錯体は、下記一般式で表される6配位錯体が好ましい。
【0083】一般式〔ML6m式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−、2−又は3−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましく、増感方法としてはイオウ増感、セレン増感、テルル増感、貴金属増感、還元増感等公知の増感法を用いることができる。また、これら増感法は2種以上組み合わせて用いることもできる。イオウ増感にはチオ硫酸塩、チオ尿素化合物、無機イオウ等を用いることができる。セレン増感、テルル増感に好ましく用いられる化合物としては、特開平9−230527号公報に記載の化合物を挙げることがきる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第2,448,060号、英国特許第618,061号等の明細書に記載されている化合物を挙げることができる。還元増感法の貝体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
【0084】本発明の熱現像感光材料には、分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の公報、米国特許第4,639,414号、同4,740,455号、同4,741,966号、同4,751,175号、同4,835,096号等の明細書に記載された増感色素が使用できる。本発明の熱現像感光材料に使用可能な増感色素は例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号等の公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0085】有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核及びイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核及びピラゾロン核などの酸性核も含む。
【0086】本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることが好ましい。
【0087】(有機銀塩)本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜28の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する錯安定度定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。例えば次のものがある:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マレイン酸、リノール酸等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換芳香族カルボン酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸等)とのポリマー反応生成物の銀錯体);チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩又は錯体);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール、1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩。好適な銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、特に好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸銀又はステアリン酸銀である。
【0088】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際に予め別調製したハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0089】本発明においては有機銀塩は平均粒径が1μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.01〜0.8μm、特に0.05〜0.5μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは変動係数が1〜30%である。本発明においては、有機銀塩が平均粒径1μm以下の単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで濃度の高い画像が得られる。さらに有機銀塩は平板状粒子が全有機銀の60%以上有することが好ましい。本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0090】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀塩をこれらの形状にするためには、有機銀塩形成時の温度、各液の濃度や添加速度、撹拌速度等の条件を最適に制御すること、また、前記有機銀塩結晶をバインダーや界面活性剤などとともにボールミルや高圧ホモジナイザーなどで分散粉砕すること等で得られる。
【0091】本発明においては熱現像感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5〜2.5gであることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また銀総量に対するハロゲン化銀の量は、銀の質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0092】(バインダー)本発明の熱現像感光材料の感光性層のバインダーとしては、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。その中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリウレタン等がに好ましく用いられる。
【0093】(還元剤)本発明の熱現像感光材料には還元剤を内蔵させる。本発明の熱現像感光材料に好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の明細書、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある。
【0094】アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトン又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【化1】

【0096】式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C49、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0097】(硬調化剤)硬調化剤として代表的には下記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体が用いられる。
【0098】
【化2】

【0099】式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G11)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0100】一般式(H)において、A0で表される脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
【0101】一般式(H)において、A0で表される芳香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
【0102】又、一般式(H)において、A0は耐拡散基又はハロゲン化銀吸着基を少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
【0103】一般式(H)において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号公報に記載の吸着基等が挙げられる。
【0104】一般式(H)において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0105】(マット剤)本発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のためには、熱現像感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく,そのマット剤を感光性層側の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0106】本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレンあるいはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0107】マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0108】マット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0109】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。
【0110】マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0111】(色調剤)本発明の熱現像感光材料には、色調剤を添加することが好ましい。色調剤は、米国特許第3,080,254号、同第3,847,612号及び同第4,123,282号等の明細書に示されるように、写真技術において周知の材料である。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0112】イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフタラゾン又はフタラジンである。
【0113】その他必要により安定剤、カブリ防止剤等を添加することができる。
(表面保護層)本発明の熱現像感光材料の表面には、表面を保護したり、擦り傷防止等のため感光性層上に表面保護層を設けるのが好ましく、該表面保護層のバインダーは、感光性層に用いられるものと同様のものが用いられ、その膜厚は0.1〜5.0μmの範囲とするのが好ましい。
【0114】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以後のポリエチレングリコールの共重合比(質量%)は末端の水素原子を除いて計算したときの値である。
【0115】〔インクジェット記録材料の作製〕
〈積層ポリエステル支持体1(支持体1ともいう)の作製〉テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール64質量部に酢酸カルシウム水和物0.1質量部を添加し、常法によりエステル交換反応を行なった。得られた生成物に金属スルホネート基含有芳香族ジカルボン酸としての5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度35質量%)16質量部(共重合比3モル%/全エステル結合単位)、ポリアルキレングリコールとしてのポリエチレングリコール(数平均分子量3000)8.0質量部(共重合比7質量%/ポリエステル反応生成物)、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.13質量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧し、280℃、67Paで重合を行ない、共重合ポリエステルAを得、これを以下のように加工して支持体1用の共重合ポリエステルBを得た。
【0116】即ち、市販のポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)と上記で得られた共重合ポリエステルAを、質量比で共重合ポリエステルA/市販のポリエチレンテレフタレート=35/65の割合になるようにタンブラー型混合機でブレンドし、支持体1用のポリエステルBを得た。
【0117】上記共重合ポリエステルAとポリエステルBとを、それぞれ150℃で8時間真空乾燥した後、3台の押出機を用いて280℃で溶融押出し、Tダイ内で層状に接合し、冷却ドラム上に静電印加しながら密着させて冷却固化し、3層構成の積層未延伸シートを得た。このときポリエステルAが両外層、ポリエステルBが中間層であり、各層の厚さの比が1:3:2となるように各押出機の押出し量を調整した。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて90℃で縦方向に3.5倍延伸した。
【0118】得られた1軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、第1延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第2延伸ゾーン120℃で総横延伸倍率3.6倍となるように延伸した。次いで100℃で2秒間熱処理し、さらに第1熱固定ゾーン170℃で5秒間熱固定し、第2熱固定ゾーン210℃で15秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しながら室温まで30秒かけて徐冷して厚さ180μm(各層の膜厚30μm/90μm/60μm)の2軸延伸された支持体1を得た。以降、30μm厚の共重合ポリエステルA側の面を画像形成層の塗布面とした。
【0119】〈支持体2〜7の作製〉共重合ポリエステルAの合成において、5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度35質量%)の含有質量部(共重合比モル%/全エステル結合単位)及びポリエチレングリコールの含有質量部(共重合比質量%/ポリエステル反応生成物)を表1のごとく変化した他は支持体1と同様にして支持体2〜7を得た。
【0120】得られた支持体1〜7の加工性を肉眼で観察したところ、表1に示すように、支持体1〜4は各層が均一に積層されていて、平面性も優れているが、支持体5は積層不良であり、支持体6及び7は平面性が不良であった。
【0121】なお、上記支持体1〜7の30μm厚の共重合ポリエステルA側の面を後述する画像形成層(インク吸収層又は感光性層)の塗布面とした。
【0122】
【表1】

【0123】〈インクジェット記録材料1〜7の作製〉平均1次粒径が7nmの気相法により合成された微粒子シリカ180gを純水1000ml中に添加し、高速ホモジナイザーで分散して青白い透明な分散液を得た。次にこのシリカ水分散液中に、カチオン性ポリマーとして下記カチオン性ポリマーMor−1の25%水溶液を100ml添加し、消泡剤(サンノプコ(株)製のSNデフォーマー381)を塗布液に対して、0.01質量%添加し、30分間高速ホモジナイザーで分散して、青白い透明な分散液を得た。次に平均重合度300でケン化度88%の10質量%ポリビニルアルコール水溶液を1mlを添加し、更に平均重合度が3500でケン化度88%の5質量%ポリビニルアルコール水溶液(酢酸エチルを4質量%含有)600mlを徐々に添加した。ついで硬膜剤として4質量%ほう砂水溶液100mlを添加し、20mlのエタノールを添加し、さらに、下記AS分散液を30ml添加し、インク吸収層を形成するシリカ塗布液を調製した。
【0124】《AS分散液》下記組成の溶液1と溶液2を調製し、混合して超音波分散機で分散した。
【0125】
(溶液1)
下記蛍光増白剤−1 0.2g ジ−i−デシルフタレート 3.0g 酢酸エチル 5ml (溶液2)
ゼラチン 1.0g 界面活性剤(丸善製薬(株)QC−100) 2.8g 純水 22ml【0126】
【化3】

【0127】ついで上記のようにして得られたシリカ塗布液を支持体1〜7の塗布面に湿潤膜厚が200μmで塗布し、塗布皮膜温度が15℃以下になるように一旦冷却させた後、40℃の風で120秒間乾燥し、インクジェット記録材料1〜7を作製した。
【0128】〈特性評価〉得られたインクジェット記録材料1〜7の特性(立ち上がりカール、ひび割れ)を下記評価基準により評価し、その結果を表2に示した。
【0129】(立ち上がりカール)上記インクジェット記録材料1〜7をそれぞれ18cm×30cmに切り出し、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後に塗工層を上にして平面な台に置いたとき、台の上から立ち上がった4スミの高さの平均値(単位mm)を立ち上がりカールとする。立ち上がらず、逆向きになった場合は台から一番盛り上がった部分の高さの絶対値に負の符号をつけて表す。
【0130】(ひび割れ)上記インクジェット記録材料1〜7のそれぞれに10cm×10cmのベタ印字を行った後、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後の印字表面をルーペにて黙視で観察し、表面にできた微少なひび割れの数から以下のように評価し、その結果を表2に示した。
【0131】
○:0〜3個△:4〜10個×:11個以上〔熱現像感光材料の作製〕
〈下引き済み支持体1〜8の作製〉前記インクジェット記録材料で用いられた支持体1〜7及び市販のポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体8の塗布面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下記下引塗布液を乾燥膜厚0.4μmになるように塗設し、135℃で乾燥させ、さらに123℃で2分間、熱処理を行い、下引き済み支持体1〜8を作製した。
【0132】
《下引塗布液》
(P−1)固形分30質量% 62g (P−2)固形分30質量% 62g 界面活性剤(A−13) 0.6g 赤外線吸収化合物(水/メタノール=1/1、1質量%) 3g シリカ微粒子(平均粒径2μm) 0.3g 蒸留水で1Lに仕上げる。
【0133】
【化4】

【0134】(P−1)攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に、脱気蒸留水300質量部を入れ、窒素導入管を通して窒素ガスを導入し、反応容器を窒素ガス雰囲気下にするとともに、水中の溶存酸素を排除した。80℃に温度を上げた後、滴下ロートからドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部を含む水溶液50質量部を、また、別のロートからスチレン34.6質量部、グリシジルメタクリレート68.8質量部及びn−ブチルアクリレート68.8質量部の混合単量体液を、更に、別のロートから過硫酸アンモニウム3質量部を含む水溶液50質量部を滴下し、窒素ガス還流下、80℃で8時間重合反応を行い、スチレン/グリシジルメタクリレート/n−ブチルアクリレート(20/40/40)水分散性重合体ラテックス(P−1)を得た。
【0135】(P−2)攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に、脱気蒸留水300質量部を入れ、窒素導入管を通して窒素ガスを導入し、反応容器を窒素ガス雰囲気下にするとともに、水中の溶存酸素を排除した。80℃に温度を上げた後、滴下ロートからドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5質量部を含む水溶液50質量部を、また、別のロートからスチレン102.6質量部及びグリシジルメタクリレート68.4質量部の混合単量体液を、更に、別のロートから過硫酸アンモニウム3質量部を含む水溶液50質量部を滴下し、窒素ガス還流下、80℃で8時間重合反応を行い、スチレン/グリシジルメタクリレート(60/40)水分散性重合体ラテックス(P−2)を得た。
【0136】上記下引き済み支持体1〜8上に下記感光性層及び、表面保護層を塗布し、熱現像感光材料を作製した。
【0137】〈感光性層の形成〉《感光性ハロゲン化銀乳剤1の調製》水900ml中に平均分子量10万のオセインゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウム及び塩化イリジウムを銀1モル当たり1×10-5モル含む水溶液を、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で8分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.04μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤1を得た。
【0138】《ベヘン酸ナトリウム水溶液の調製》340mlのイソプロパノールにベヘン酸34gを65℃で溶解した。次に撹拌しながら0.25モルの水酸化ナトリウム水溶液をpH8.7になる様に添加した。この際水酸化ナトリウム水溶液は約400ml必要とした。次にこのベヘン酸ナトリウム水溶液を減圧濃縮を行いベヘン酸ナトリウムの濃度を8.9質量%とした。
【0139】《ベヘン酸銀分散物の調製》750mlの蒸留水中に30gのオセインゼラチンを溶解した溶液に2.94Mの硝酸銀溶液を加え銀電位を400mVとした。この中にコントロールドダブルジェット法を用いて78℃の温度下で上記ベヘン酸ナトリウム溶液374mlを44.6ml/分のスピードで添加し同時に2.94Mの硝酸銀水溶液を銀電位が400mVになる様に添加した。添加時のベヘン酸ナトリウム及び硝酸銀の使用量はそれぞれ0.092モル、0.101モルであった。添加終了後さらに30分撹拌し限外濾過により水溶性塩類を除去して、ベヘン酸銀分散物を得た。
【0140】《感光性乳剤Aの調製》上記ベヘン酸銀分散物に前記感光性ハロゲン化銀乳剤1を0.01モル加え、更に撹拌しながらポリ酢酸ビニルの酢酸n−ブチル溶液(1.2質量%)100gを徐々に添加して分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に2回の水洗と水の除去を行った後、バインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量3000)の2.5質量%の酢酸ブチルとイソプロピルアルコールの1:2混合溶液60gを撹拌しながら加えた後、得られたゲル状のベヘン酸銀及びハロゲン化銀の混合物にさらにバインダーとしてポリビニルブチラール(平均分子量4000)及び溶剤としてイソプロピルアルコールを加え分散して感光性乳剤Aを調製した。
【0141】〈熱現像感光材料1〜8の作製〉《感光性層塗布》前記支持体1〜8のそれぞれに以下の感光性層塗布液を、塗布銀量が2.4g/m2となるように、またバインダーとしてのポリビニルブチラールが乾燥膜厚20μmとなるように塗布して、熱現像感光材料1〜8を作製した。なお、乾燥はいずれも75℃、5分間で行った。
【0142】
(感光性層塗布液)
感光性乳剤A 銀量として2.4gとなる量 増感色素−1(0.1質量%DMF溶液) 2ml CaBr22水塩(1質量%メタノール溶液) 9ml カブリ防止剤−1(1質量%メタノール溶液) 12ml カブリ防止剤−2(1.5質量%メタノール溶液) 8ml カブリ防止剤−3(2.4質量%DMF溶液) 15ml フタラジン(4.5質量%DMF溶液) 8ml 還元剤−1(10質量%アセトン溶液) 30ml【0143】
【化5】

【0144】《表面保護層塗布》以下の組成の液を乾燥後の膜厚が2.5μmになる様に感光層上に塗布した。
【0145】
アセトン 175ml 2−プロパノール 40ml メタノール 15ml セルロースアセテート 8.0g フタラジン 1.0g 4−メチルフタル酸 0.72g テトラクロロフタル酸 0.22g テトラクロロフタル酸無水物 0.5g マット剤(平均粒径4μmの単分散シリカ) 2g得られた熱現像感光材料1〜8の特性(立ち上がりカール、及び露光と熱現像処理をして得られた画像の鮮鋭性(MTF))を下記測定法により測定評価し、その結果を表2に示した。
【0146】《立ち上がりカール》上記熱現像感光材料1〜8をそれぞれ18cm×30cmに切り出し、25℃、相対湿度55%で4時間調湿した後に塗工層を上にして平面な台に置いたとき、台の上から立ち上がった4スミの高さの平均値(単位mm)を立ち上がりカールとする。立ち上がらず、逆向きになった場合は台から一番盛り上がった部分の高さの絶対値に負の符号をつけて表し、その結果を表2に示した。
【0147】《画像の鮮鋭性(MTF)》熱現像感光材料1〜8のそれぞれに2856Kの白色光に830nmの干渉フィルターを用いて分光した光で露光した後、ヒートドラムを有する熱現像用現像機に通して120℃、5秒熱現像処理を行った。鮮鋭性は光学濃度1.0で15本/mm2でのMTF値を用いて評価し、その結果を表2に示した。
【0148】
【表2】

【0149】表2より実施例の支持体を用いたインクジェット記録材料及び熱現像記録材料は何れも立ち上がりカールが少なくて優れたカールバランスを有し、さらにインクジェット記録材料では記録画像にひび割れの発生がなく、熱現像感光材料では熱現像して得られる銀画像の解像力が優れていて、かつ生産性にも優れているが、比較例のポリエステル支持体を用いたインクジェット記録材料及び熱現像記録材料は上記特性の何れかが悪く実用性に乏しいことがわかる。
【0150】
【発明の効果】実施例により実証されたように本発明の支持体を用いたインクジェット記録材料及び熱現像感光材料によれば、何れも立ち上がりカールが少なくて優れたカールバランスを有し、さらにインクジェット記録材料では記録画像にひび割れの発生がなく、熱現像感光材料では熱現像して得られる画像の解像力が優れていて、かつ生産性にも優れている等優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
【出願日】 平成13年6月21日(2001.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−1774(P2003−1774A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−187909(P2001−187909)