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【発明の名称】 合成樹脂成形体
【発明者】 【氏名】山田 准司
【住所又は居所】愛知県大府市長根町四丁目1番地 東海興業株式会社内

【氏名】安藤 幸正
【住所又は居所】愛知県大府市長根町四丁目1番地 東海興業株式会社内

【要約】 【課題】前記表面外観の低下を回避できる、塩化ビニル樹脂基体部を備え、表面に合成樹脂製フィルムを有する合成樹脂成形体を提供する。

【解決手段】表面側から順に、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む透明層26と、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む着色層27と、接着剤層28、とを有する積層フィルム22を、ポリエステル系可塑剤を含むポリ塩化ビニル樹脂成形部位24の表面に備える、合成樹脂成形体とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】表面側から順にポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む透明層と、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む着色層と、接着剤層、とを有する積層フィルムを、ポリエステル系可塑剤を含むポリ塩化ビニル樹脂成形部位の表面に備える、合成樹脂成形体。
【請求項2】 前記成形体の射出成形型の成形面の少なくとも一部であって、前記積層フィルムの当該透明層が接するように配置された成形部位に、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂を含む組成物が供給されて成形され一体化される、請求項1記載の合成樹脂成形体。
【請求項3】 押出し成形型から押出しされるポリエステル系可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂を含む組成物の表面に前記積層フィルムが供給されて一体化される、請求項1記載の合成樹脂成形体。
【請求項4】表面から順にポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む透明層と、塩化ビニル樹脂を含む着色層と、塩化ビニル樹脂を含有するバッキング層と、接着剤層、とを有する積層フィルムを、ウレタン系塩化ビニル樹脂成形部位の表面に備える、合成樹脂成形体。
【請求項5】 前記成形体の射出成形型の成形面の少なくとも一部であって、前記積層フィルムの当該透明層が接するように配置された成形部位に、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂を含む組成物が供給されて成形され一体化される、請求項4記載の合成樹脂成形体。
【請求項6】 押出し成形型から押出しされるポリエステル系可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂を含む組成物の表面に前記積層フィルムが供給されて一体化される、請求項4記載の合成樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、合成樹脂成形体に関し、特に、ポリ塩化ビニル樹脂を基材とする、合成樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】各種モール材、プロテクター材等の機能的部材においては、柔軟性や弾性等が要求される部材が多い。例えば、車両の長尺なルーフモールやドアサイドプロテクターモール等である。ルーフモールは、車体への装着工程で、ルーフ曲面に追従するように軸線を曲げながら装着できることが望まれており、ドアサイドプロテクターモール等の場合では、外部からの衝撃に対する衝撃吸収性が要求されている。このような樹脂成形品の基体部としては、経済性、成形加工性、物理的化学的物性等の観点から、塩化ビニル樹脂が主として使用されている。そして、前述の曲げを必要とする用途に用いられる塩化ビニル樹脂には、DOP等の可塑剤を添加して、柔軟性を成形品に付与するようにしている。
【0003】近年、これらの機能性部材においても、外部から視認される表面部の装飾性に対する要求が高まってきている。また、装飾性の他、耐食性、耐候性、機械的特性、耐磨耗性等の各種機能に対する要求もある。このためこのような部材の表面に前記機能を有し、所定の色を呈する合成樹脂製フィルムを被着させた合成樹脂成形品が製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、可塑剤が添加された塩化ビニル樹脂基体部においては、長期にわたる使用中に可塑剤の表面側への移行という問題があり、さらに、移行した可塑剤と表面被着フィルムの樹脂との関係によっては、経時的に、特に80℃程度の温度に曝されると、フィルム表面にオレンジピール(ゆず肌)等の外観不良を引き起こす場合もある。そこで、本発明では、前記表面外観の低下を回避できる、塩化ビニル樹脂基体部を備え、表面に合成樹脂製フィルムを有する合成樹脂成形体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、可塑化された塩化ビニル樹脂基体部の表層側に装飾性や耐候性等を付与するための積層フィルムを有する合成樹脂成形体において、塩化ビニル樹脂基体部に含まれる可塑剤と表層側の積層フィルムとの組み合わせが、表層の外観不良の発生に影響を及ぼしているものと予測し、鋭意検討したところ、特定の種類の可塑化塩化ビニル樹脂組成物の基体部と表層側に特定のフッ素樹脂含有層を有する積層フィルムを組み合わせることにより、表層の外観不良の発生が抑制され、好ましい外観が維持されることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以下の成形体が提供される。
(1)表面側から順に、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む透明層と、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む着色層と、接着剤層、とを有する積層フィルムを、ポリエステル系可塑剤を含むポリ塩化ビニル樹脂成形部位の表面に備える、合成樹脂成形体。
(2)前記成形体の射出成形型の成形面の少なくとも一部であって、前記積層フィルムの当該透明層が接するように配置された成形部位に、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂を含む組成物が供給されて成形され一体化される、(1)記載の合成樹脂成形体。
(3)押出し成形型から押出しされるポリエステル系可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂を含む組成物の表面に前記積層フィルムが供給されて一体化される、(1)記載の合成樹脂成形体。
(4)表面側から順に、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリレート系樹脂とを含む透明層と、塩化ビニル樹脂を含む着色層と、塩化ビニル樹脂を含有するバッキング層と、接着剤層、とを有する積層フィルムを、ウレタン系塩化ビニル樹脂成形部位の表面に備える、合成樹脂成形体。
(5)前記成形体の射出成形型の成形面の少なくとも一部であって、前記積層フィルムの当該透明層が接するように配置された成形部位に、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂を含む組成物が供給されて成形され一体化される、(4)記載の合成樹脂成形体。
(6)押出し成形型から押出しされるポリエステル系可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂を含む組成物の表面に前記積層フィルムが供給されて一体化される、(4)記載の合成樹脂成形体。
本発明の合成樹脂成形体は、特定の種類の可塑化塩化ビニル樹脂組成物の基体部を有している。かかる基体部の表層側に、特定の積層構造のフィルムを備えているため、柔軟性や弾性を有するとともに、表層側の外観が維持される成形体となっている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の合成樹脂成形体は、特定種類の可塑化塩化ビニル樹脂組成物の成形部位である基体部と、この基体部の表層側に備えられるポリフッ化ビニリデンとアクリル樹脂とを含有するアロイ樹脂層、とを積層フィルムの形で有している。合成樹脂成形体は、当該基体部とフッ素樹脂含有層以外にも必要に応じて各種層や成形部位を備えることができる。表層側にフッ素樹脂含有層を備えていない部位は、特定種類の可塑化塩化ビニル樹脂組成物以外の樹脂組成物で成形することができる。
【0007】図1に本発明の合成樹脂成形体2の本基体部4とその表層側に備えられるフッ素樹脂含有層6の積層構造を例示する。本合成樹脂成形体2における塩化ビニル樹脂基体部(以下、単に本基体部という。)4は、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂および/またはウレタン改質塩化ビニル樹脂を含む組成物の成形部位である。ポリエステル系可塑剤は、通例、ニ塩基酸とグリコールとがポリエステル化され、末端が、脂肪酸および/またはアルコールによって封止されている。ニ塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸等が用いられる。グリコールとしては、1,2−プロピレングリコール等が用いられる。末端封止剤は、C8〜10の脂肪酸あるいはかかる炭素数のアルコールが用いられることが多い。また、分子量は、800〜8000程度であり、多くは、800〜4000程度である。
【0008】ポリエステル系可塑剤は、各種市販のものを利用できるが、例えば、以下の式(1)によって表される化合物を使用できる。
3−(R1−R2n−R1−R3 …………(1)
ただし、R1はジカルボン酸残基であり、R2はグリコール残基であり、R3は、アルコール残基であるか、又は、R1はグリコール残基であり、R2はジカルボン酸残基であり、R3は、カルボン酸残基および/またはアルコール性水酸基である。
【0009】本基体部4は、また、ウレタン改質塩化ビニル樹脂を含む組成物によって成形されていてもよい。ここでウレタン改質塩化ビニル樹脂とは、ウレタン結合を含有する単量体単位を有する塩化ビニル樹脂(共重合体)と、ウレタン結合を含有する単量体単位を有するポリマー(ポリウレタン)と塩化ビニル樹脂とのポリマーアロイとの双方を包含している。
【0010】可塑化塩化ビニル樹脂組成物としては、上記したポリエステル系可塑剤含有塩化ビニル樹脂、ウレタン改質塩化ビニル樹脂のいずれか一方あるいは双方を含んでいてもよい。より好ましくは、ウレタン改質塩化ビニル樹脂の組成物である。ウレタン改質塩化ビニル樹脂組成物には、可塑剤を含んでいないことが好ましいが、可塑剤の含有を排除するものではない。
【0011】本基体部4の表層側には、フッ素樹脂含有層6を備えている。本発明における作用の発現は、本基体部の可塑剤と表層の積層フィルムを構成する樹脂との相性によるものと認識されるが、本発明は当該認識に拘束されるものではない。フッ素樹脂含有層6は、好ましくは、合成樹脂成形体2の最表層に存在している。また、好ましくは、フッ素樹脂含有層6と本基体部4の表面との間には、接着層等の層8が介在されている。
【0012】フッ素樹脂含有層6は、ポリフッ化ビニリデンと、当該樹脂以外のポリマーを含有し、アロイ化されている。アロイ化するポリマーは、ポリアクリレート系樹脂である。また、フッ素樹脂含有層6の層厚は、40〜60μm程度であることが好ましい。より好ましくは約50μmである。
【0013】本フッ素樹脂含有層6と本基体部4との間には、1層以上の層を備えるようにすることができる。例えば、装飾性、耐候性、あるいは、本基体部から可塑剤や安定剤が移行した場合の緩衝性や移行抑止性等を発揮する層を備えるようにすることができる。
【0014】装飾性のための層としては、本フッ素樹脂含有層自体が着色剤を含有していてもよいが、フッ素樹脂含有層に接して、特にその内側に所望の色、材質、厚みの装飾層を備えることが好ましい。装飾層は、いかなる形態で介在されていてもよいが、例えば、フッ素樹脂含有層内表面側に、スパッタリングやめっき等でクロム等の金属粒子が付与されて形成される金属(粒子)層であると、金属調の外観が得られる。また、印刷層によっても、所望の外観が得られる。さらに、着色剤を含有する合成樹脂層であってもよい。さらに、装飾層は、2種以上の層を組み合わせて形成されていてもよい。模様を付した層と背景を付した層を組み合わせてもよいし、基体部の外観の影響を排除することが好ましい場合には、そのような着色層を設けることもできる。
【0015】本フッ素樹脂含有層6と本基体部4との間に介在される層を合成樹脂層として有する場合には、上記した本フッ素樹脂含有層と同様の組成の層であってもよいし、フッ素樹脂含有層とは異なる組成のフッ素樹脂を含有する層であってもよい。また、塩化ビニル樹脂をはじめとする各種合成樹脂を主体とする層とすることもできる。フッ素樹脂含有層との一体性の観点及び耐候性等の観点からは、好ましくは、フッ素樹脂を含有する層であり、より好ましくは、フッ素樹脂含有層と同一組成の層である。また、本基体部との一体性の観点及び移行された可塑剤の緩衝する観点からは、可塑剤を含有しない塩化ビニル樹脂を含有する層であることが好ましい。かかる合成樹脂層を有する合成樹脂成形体の例を図2に示す。この合成樹脂成形体12は、本基体部14の表層側に、表面側から順に、フッ素樹脂含有層16、合成樹脂層17、接着剤層18とをこの順で備えている。また、当該合成樹脂層17の層厚は、40μm以上50μm以下であることが好ましい。この範囲内であると、成形性が良好でかつ表層側が半径方向内側となる逆Rがかかったときにシワになりにくい。
【0016】図1および2に示すように、フッ素樹脂含有層6、合成樹脂層17の裏面には接着剤層8、18を備えることが好ましい。接着剤層8、18は、接着剤層8、18よりも表層側にある本フッ素樹脂含有層6、16を含むフィルム(単層体であることもあり、また積層体であることもある)を本基体部4、14に一体化するための層として有することが好ましい。接着剤層の種類は、特に限定しないが、本基体部を構成する塩化ビニル樹脂と、接着剤層が接する表層側フィルムとの双方に接着性を有する材料からなる。例えば、表層側がフッ素樹脂を含有する層の場合には、アクリレート系樹脂系接着剤であり、表層側が、塩化ビニル樹脂を含有する場合には、ポリアミド樹脂系接着剤である。本フッ素樹脂含有層を含み、本基体部の表層側に存在される層は、これらの層からなる積層フィルムとして、本基体部の表面に一体化されていることが好ましい。叉、接着剤層も予め、この積層フィルムに一体化されていることが好ましい。
【0017】本成形体は、このように、特定の種類の可塑化塩化ビニル樹脂組成物の基体部と、基体部の表面側にフッ素樹脂含有層とを有するため、可塑化塩化ビニル樹脂による柔軟性や弾性を有すると共に、表層側は、フッ素樹脂による各種物理化学的に不活性で安定した特性を有し、さらに、表層の外観を長期に維持できる成形体となっている。このため、特に、フッ素樹脂含有層自体が装飾性を有するか、および/または装飾性層を有する成形体に効果が高い。特に、最表層がフッ素樹脂含有透明層、次層がフッ素樹脂含有着色層である積層フィルムを、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物から成形する基体部とを組み合わせることが好ましい。この場合、最表層と次層のフッ素樹脂含有層は、いずれもポリフッ化ビニリデンとアクリレート系樹脂のアロイであることが好ましく、さらに、最下層に、アクリレート系樹脂等の接着剤層を備えていることが好ましい。かかる積層フィルムの例を図3に示す。この積層フィルム22は、フッ素樹脂含有透明層26、フッ素樹脂含有着色層27、接着剤層28とを有し、本基体部24の表層に一体化されている。
【0018】また、最表層がフッ素樹脂含有透明層、次層が塩化ビニル樹脂である着色積層フィルムを、ウレタン系塩化ビニル樹脂組成物から成形する基体部とを組み合わせることも好ましい。この場合、最表層のフッ素樹脂含有透明層は、ポリフッ化ビニリデンとアクリレート系樹脂のアロイであることが好ましい。さらに、塩化ビニル樹脂着色層は2層以上であることが好ましく、最下層に、例えば、ポリアミド系樹脂等の接着剤層を備えていることが好ましい。かかる積層フィルムの例を図4に示す。この積層フィルム32は、フッ素樹脂含有透明層36、塩化ビニル樹脂着色層37a、37b、接着剤層38とを有し、本基体部34の表層に一体化されている。
【0019】次に、本合成樹脂成形体の製造方法について説明する。本発明の成形体の製造方法は、塩化ビニル樹脂基体部の表層側にフッ素樹脂層が配設される合成樹脂成形体が得られるのであれば、特に限定されないが、好ましくは、かかるフッ素樹脂層を含む積層フィルム体が、塩化ビニル樹脂基体部の表層側に一体化するようにすることが好ましい。以下、成形と同時に塩化ビニル樹脂基体部の表層側に、フッ素樹脂含有層を備える積層フィルムを付与することにより、本成形体を得る方法について説明する。
【0020】塩化ビニル樹脂基体部を含む成形体の製造方法は、特に、限定しないで、合成樹脂に適用される各種成形方法を使用できる。特に一定断面形状の長尺状体を得るには、押出し成形が好ましく使用できる。また、非一定断面を有する長尺体や、大きな曲面を有する場合には、射出成形が好ましく使用できる。
【0021】本成形体を得るのに使用する積層フィルムとしては、フッ素樹脂含有層を備えるとともに、上述のように、装飾性、耐候性等の各種の機能層を備えている積層フィルムを使用することが好ましい。フッ素樹脂として、上記した各種フッ素樹脂を用いることができる。各種機能層についても、同様に、上記した各種層を備えた積層フィルムを用いることができる。また、塩化ビニル樹脂基体部に直接当接される部位には、接着剤層を有していることが好ましい。接着剤層の種類は、塩化ビニル樹脂に対して良好な接着性を有していることが好ましく、例えば、上記した各種接着剤層を備えた積層フィルムを利用できる。また、使用する積層フィルムの層厚は、100μm以上220μm以下であることが好ましい。また、接着剤層を除いた積層フィルムの層厚としては、80μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0022】押出し成形の工程において、塩化ビニル樹脂基体部の表層側に、フッ素樹脂含有積層フィルムを付与するには、押出し後の本基体部の表面に、当該フィルムを当接させるように供給する。押し出し後、早期(好ましくは押し出し直後)で基体部が高温で溶融状態のとき、あるいは口金内にて、本基体部表面にフィルムを当接させることにより、高温状態の樹脂の有する熱と圧力によって良好に一体化される。フィルムは、押し出し成形型の口金から押し出される本基体部の表面に、押し出し速度に合わせてテープ状フィルムを連続的に供給するようにする。このようにすることにより、容易に一体化できるとともに、効率的に本成形体を製造できる。なお、本基体部表面にコロナ放電処理等によって表面改質処理した後に、フィルムを付与することもできる。押し出し後に、サイジング装置を使用する場合には、サイジング装置内でフィルムを本基体部に一体化するようにすることもできる。
【0023】射出成形工程において、本成形体を得る場合には、成形体の射出成形型内の所定部位に、予め積層フィルムを配置しておき、この部位に本基体部の成形材料を供給するようにすることにより、本成形体を得ることができる。すなわち積層フィルムを、得ようとする成形体の表層部形成部位に対応する射出成形型の成形部位に、フッ素樹脂含有層が表層側になって成形型面に接するように配置する。積層フィルムが配置された成形部位に、ポリエステル系可塑剤によって可塑化された塩化ビニル樹脂および/またはウレタン改質塩化ビニル樹脂を含む組成物を供給することにより、フィルムを一体化した本成形体を得ることができる。なお、射出成形で用いるフィルムは、最終的に得ようとする成形体の外形形状と同一かあるいはそれに近似する形状に、例えば、真空成形等によって予め予備成形しておくことが好ましい。
【0024】本成形体において、本基体部以外の部分の成形部位の組成は、特に、限定しないで、各種樹脂組成物を使用できる。たとえば、各種熱可塑性樹脂の他、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーも使用できる。これらの他の成形部位用の組成物も、本基体部の成形工程において、本基体部用組成物と同時に押し出し成形型や射出成形型等に供給して、同時に一体成形することができる。また、それぞれの組成物とを別個の成形型に供給し、成形後、融着可能な軟化状態の間に、各成形部位を一体化することもできる。
【0025】本成形体は、例えば、例えば車両のルーフモール等に使用される長尺のモール材に使用できる。かかるモール材の断面を図5に示す。このモール材40は、頭部42と、頭部42の裏面から突出する脚部46とを有し、脚部46は、中央脚部48と、その側方に突出される先端脚部50とを有している。頭部42は、本発明の塩化ビニル樹脂基体部44とその表面に被着されたフッ素樹脂含有層を含む積層フィルム45とを有している。中央脚部46や先端脚部50は、弾性を呈する半硬質から硬質樹脂で構成することができる。また、本成形体は、例えば、車両のドアサイドプロテクターモール等のような全体形状が3次元的に変化するモール材にも使用できる。かかるモール材を図6に示す。このモール材60は、略コの字状の基体部64とその表層側に備えられるフッ素樹脂含有層を含む積層フィルム65とを有している。
【0026】このように、フッ素樹脂含有層を備える積層フィルムを成形工程で用いて、本基体部の表層側にフッ素樹脂含有層を備えるようにすることにより、容易に、表面外観が維持された合成樹脂成形体を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を具体例を挙げて説明する。
(試験例1)本実施例では、合成樹脂成形体として、図5に示すモール材を試験片とし、このモール材の各部位の成形材料として、表1に示す組成物を用い、この基体部表面に、以下に示す着色された積層フィルム(A及びB)を付与した各種試験片を調製した。なお、比較例として、基体部の成形材料に、フタル酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物を用いたモール材を調製した。
本実施例で使用したフィルムの構造積層フィルムA(全3層、層厚約100μm(接着剤層を除く))
第1層(最表層)
ポリフッ化ビニリデンとアクリレート系樹脂のアロイの透明層(層厚約50μm)
第2層ポリフッ化ビニリデンとアクリレート系樹脂のアロイの着色層(層厚約50μm)
第3層アクリル樹脂系熱活性型接着剤層積層フィルムB(全4層、層厚約170μm(接着剤層を除く))
第1層(最表層)
ポリフッ化ビニリデンとアクリレート系樹脂のアロイの透明層(層厚約50μm)
第2層塩化ビニル樹脂の着色層(可塑剤DOP含有)(層厚約40μm)
第3層塩化ビニル樹脂の着色層(可塑剤DOP含有)(層厚約80μm)
第4層ポリアミド系熱活性型接着剤層【0028】
【表1】

なお、試験片の各成形部位を各成形用組成物がそれぞれ軟化溶融する温度で一体的に押出し成形し、押出し直後に、サイジング装置内で基体部表面に積層フィルムを供給し、圧着し接着させて、本試験片を得た。
【0029】実施例1〜3のいずれの試験片においても、積層フィルムは基体部に対して良好に固着されており、良好な一体性が得られた。また、比較例1〜3の試験片においても、積層フィルムの一体性は良好であった。
【0030】(試験例2)次に、試験例1で調製した実施例1〜3及び比較例1〜3の試験片について高温試験を行ない、フッ素樹脂層側の外観(ユズ肌の有無)を観察した。高温試験は、それぞれ長さ7cmに切断した試験片を、温度80℃に加熱したオーブン中に載置し、20、24、43、70、160、190、240,440、500時間の各時間経過後に取り出して、直ちに表面状態を目視でチェックした。各チェックは全て温度低下が生じない短時間で完了させ、直ちにオーブンに戻して試験を継続した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

表2に示すように、ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂基体部に積層フィルムAが付与されている実施例1と、ウレタン系(ウレタン改質)塩化ビニル樹脂基体部に積層フィルムBが付与されている実施例2は、500時間経過後も、ユズ肌が発生しなかった。また、実施例3(ポリエステル系可塑剤を含む塩化ビニル樹脂基体部に積層フィルムBを付与した試験片)の場合には、70時間まではユズ肌が発生しなかった。これらの実施例に対し、基体部にフタル酸系可塑剤を含有している比較例1及び3では、試験開始後20時間で既にユズ肌が生じ、トリメリット酸系可塑剤を含有している比較例2では、43時間でユズ肌が生じた。これらの結果より、積層フィルムAとポリエステル系可塑剤含有塩化ビニル樹脂との組み合わせ、及び積層フィルムBとウレタン系塩化ビニル樹脂との組み合わせが最も好ましく、積層フィルムBとポリエステル系可塑含有塩化ビニル樹脂との組み合わせが次いで好ましいことがわかった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、表面外観の低下を回避できる、塩化ビニル樹脂基体部を備える、合成樹脂成形体が提供される。
【出願人】 【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
【住所又は居所】愛知県大府市長根町4丁目1番地
【出願日】 平成13年6月20日(2001.6.20)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外3名)
【公開番号】 特開2003−1769(P2003−1769A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−186947(P2001−186947)