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【発明の名称】 熱収縮性多層フィルム
【発明者】 【氏名】渡邊 淳
【住所又は居所】東京都町田市旭町3−5−1 電気化学工業株式会社中央研究所内

【氏名】清水 紀弘
【住所又は居所】東京都町田市旭町3−5−1 電気化学工業株式会社中央研究所内

【氏名】大塚 健史
【住所又は居所】東京都町田市旭町3−5−1 電気化学工業株式会社中央研究所内

【氏名】花里 真吾
【住所又は居所】東京都町田市旭町3−5−1 電気化学工業株式会社中央研究所内

【要約】 【課題】バージン材で得たフイルムは勿論、リターン材を混入して得たフイルムでも、透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスが優れ、かつ自然収縮性が抑制され、また低温収縮性にも優れる熱収縮性多層フィルムを提供すること【解決手段】スチレンと共役ジエンからなる特定のブロック共重合体を少なくとも2種含有する樹脂成分を少なくとも1層とし、スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体、スチレン系重合体、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とした樹脂成分を少なくとも他層として形成させた熱収縮性多層フィルム。

【解決手段】スチレンと共役ジエンからなる特定のブロック共重合体を少なくとも2種含有する樹脂成分を少なくとも1層とし、スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体、スチレン系重合体、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とした樹脂成分を少なくとも他層として形成させた熱収縮性多層フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記樹脂成分Aで形成された層を少なくとも1層有し、かつ下記樹脂成分Bで形成された層を少なくとも1層を有することを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
樹脂成分A:(i)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(ii)ガラス転移温度が60〜100℃の範囲にあり、(iii)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にあるスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(I)と、(iv)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(v)該ガラス転移温度がブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高く、(vi)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にあるスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(II)とを含有し、ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)の比率がブロック共重合体(I)/ブロック共重合体(II)=10/90〜90/10(質量比)である樹脂成分。
樹脂成分B:スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(III)、スチレン系重合体(IV)、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体(V)より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、かつ温度23℃における屈折率が1.565〜1.583である樹脂成分。
【請求項2】 樹脂成分Aのブロック共重合体(I)及びブロック共重合体(II)中のスチレン系単量体と共役ジエンの質量比が、それぞれ95/5〜60/40であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項3】 樹脂成分Aが、ブロック共重合体(I)、ブロック共重合体(II)、および(I)又は(II)以外のスチレン系重合体を含有することを特徴とする請求項1又は2いずれか一項記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項4】 樹脂成分Aのブロック共重合体(I)の重量平均分子量が150000〜250000で、ブロック共重合体(II)の重量平均分子量が50000〜150000であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項5】 樹脂成分Bがスチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体(III)であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項6】 表裏層が請求項1〜4いずれか一項記載の樹脂成分Aで形成され、中間層が、請求項1又は5いずれか一項記載の樹脂成分Bで形成されることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項7】 表裏層が請求項1又は5いずれか一項記載の樹脂成分Bで形成され、中間層が、請求項1〜4いずれか一項記載の樹脂成分Aで形成されたことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項8】 請求項1〜7いずれか一項記載の熱収縮性多層フイルムのリターン材を樹脂成分A及び/又は樹脂成分Bのバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合してなること特徴とする熱収縮性多層フイルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バージン材で得たフイルムでも、バージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスに優れ、自然収縮性が抑制され、かつ低温収縮性に優れる熱収縮性多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、容器の収縮包装や収縮ラベルとして用いられる熱収縮性フィルムには、熱収縮性や収縮後の仕上がりがよく、廃棄の際にもポリ塩化ビニルのような有害物質の問題がない点から、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体フィルムが用いられている。しかし、このフィルムは柔らかく腰がない、自然収縮が大きいといった問題があり、これらの欠点を改良すべく各種多層フィルムが提案されている(特開平9−114380号公報、特開平11−77916号公報)。一方、実際のフィルム製膜は、得られたフィルムの端や良品が得られるまでにできた不要フィルムをリターン材としてバージン材と混ぜて行うのが通常である。しかしながら、上記の各種多層フィルムは、リターン材をバージン材と混合した際に白濁してしまい、また耐衝撃性や剛性、熱収縮特性等の物性バランスが劣るようになり、フィルムとして使用できないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような状況を踏まえ、バージン材で得たフイルムの透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスが優れ、かつ自然収縮性が抑制され、また低温収縮性にも優れる熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。さらにバージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも、透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスが優れ、自然収縮性が抑制され、かつ低温収縮性にも優れる熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目的を果たすべく鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の屈折率を有するスチレンと共役ジエンからなるブロック共重合体を少なくとも2種含有する樹脂成分を熱収縮性フィルムの少なくとも1層とし、しかも2種の該ブロック共重合体のガラス転移温度を特定範囲とし、かつ該ガラス転移温度差を特定の範囲とし、さらにスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体、スチレン系重合体、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、特定の範囲の屈折率を有する少なくとも1層を他層として形成させることにより、バージン材で得たフイルムの透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスが良好で、自然収縮性が抑制され、かつ低温収縮性にも優れ、さらにリターン材が混入したフイルムでも透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスが良好で、自然収縮性が抑制され、かつ低温収縮性にも優れた多層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、下記樹脂成分Aで形成された層を少なくとも1層有し、かつ下記樹脂成分Bで形成された層を少なくとも1層を有することを特徴とする熱収縮性多層フィルムである。
樹脂成分A:(i)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(ii)ガラス転移温度が60〜100℃の範囲にあり、(iii)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にあるスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(I)と、(iv)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(v)該ガラス転移温度がブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高く、(vi)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にあるスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(II)とを含有し、ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)の比率がブロック共重合体(I)/ブロック共重合体(II)=10/90〜90/10(質量比)である樹脂成分。
樹脂成分B:スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(III)、スチレン系重合体(IV)、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体(V)より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、かつ温度23℃における屈折率が1.565〜1.583である樹脂成分。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂成分Aは、ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)を含有する。本発明のブロック共重合体(I)は、(i)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(ii)ガラス転移温度が60〜100℃の範囲にあり、(iii)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にある。そして、好ましくはその重量平均分子量が150000〜250000である。ブロック共重合体(I)は、有機溶剤中で有機リチウム化合物を開始剤としてスチレン系単量体と共役ジエンを公知の条件下で重合することによって得られる。有機溶剤としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素など公知の有機溶剤が使用できる。また、有機リチウム化合物は分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどが使用できる。
【0007】使用されるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどをあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。また、使用される共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどあげられるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0008】ブロック共重合体(I)を構成するスチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部以外の各ブロック部分の構造は、スチレン系単量体を主体とする重合体ブロックや共役ジエンを主体とする重合体ブロック、或いはスチレン系単量体と共役ジエンからなるテーパードブロックのいずれでも構わない。スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を形成するために、公知のランダム化剤を用いたり、両者を重合缶に連続フィードしたり、交互に少量ずつ添加しても良い。ブロック共重合体(I)を構成する各ブロック部分の結合構造は、好ましくは、スチレン系単量体よりなる重合体ブロック(以下PSブロックと略す)−共役ジエンよりなる重合体ブロック(以下PBdブロックと略す)−スチレン系単量体と共役ジエンよりなるランダム共重合体ブロック(以下SBブロックと略す)−PSブロック、PSブロック−SBブロック−PSブロック等が挙げられる。また、使用されるブロック共重合体(I)の構造に特に制限はなく、その構造として線状のジブロック共重合体、トリブロック共重合体、或いはブロック数が4以上のマルチブロック共重合体、またはこれらのブロック共重合体の片末端が結合した星形の共重合体等があげられる。また線状の共重合体の分子量を上げたり、星形にするために公知のカップリング剤を使用することができる。
【0009】ブロック共重合体(I)中の、スチレン系単量体と共役ジエンの質量比は特に制限はないが、好ましくは95/5〜60/40である。スチレン系単量体が95質量%を超えると熱収縮性が劣り、60%未満では剛性が劣る。またブロック共重合体(I)のガラス転移温度が60〜100℃の範囲にないと、得られる熱収縮性多層フィルムの自然収縮性が抑制されず、また低温収縮性も悪化し、好ましくない。
【0010】さらに、本発明で用いられるブロック共重合体(I)は、重量平均分子量が150000〜250000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が150000〜250000の範囲にあると、熱収縮性多層フィルムへの成形加工性が良好なものとなり、さらに熱収縮性多層フィルムの自然収縮性が良好に抑制され、かつ低温収縮性にも一層優れたものとなる。またリターン材を混入時の透明性も一層優れるようになる。
【0011】また、本発明で用いられるブロック共重合体(I)は、温度23℃における屈折率が、1.565〜1.583の範囲であることが必要である。温度23℃における屈折率が、1.565〜1.583の範囲から外れるとリターン材を混入時の透明性にも劣り、実用に供せない。 【0012】本発明のブロック共重合体(II)は、(iv)スチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を有するブロック共重合体であって、(v)該ガラス転移温度がブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高く、(vi)温度23℃における屈折率が1.565〜1.583の範囲にある。そして、好ましくはその重量平均分子量が50000〜150000である。ブロック共重合体(II)は、ブロック共重合体(I)と同様にしてスチレン系単量体と共役ジエンを重合することによって得られる。また使用されるスチレン系単量体、共役ジエンともブロック共重合体(I)の場合と同様である。
【0013】ブロック共重合体(II)を構成するスチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部以外の各ブロック部分の構造は、ブロック共重合体(I)の場合と同様に、スチレン系単量体を主体とする重合体ブロックや共役ジエンを主体とする重合体ブロック、或いはスチレン系単量体と共役ジエンからなるテーパードブロックのいずれでも構わない。ブロック共重合体(II)を構成する各ブロック部分の結合構造は、好ましくは、PSブロック−PBdブロック−SBブロック−PSブロック、PSブロック−SBブロック−PSブロック等が挙げられる。また、使用されるブロック共重合体(II)の構造に特に制限はなく、その構造として線状のジブロック共重合体、トリブロック共重合体、或いはブロック数が4以上のマルチブロック共重合体、またはこれらのブロック共重合体の片末端が結合した星形の共重合体等があげられる。線状の共重合体の分子量を上げたり、星形にするために公知のカップリング剤を使用することができる。
【0014】ブロック共重合体(II)中の、スチレン系単量体と共役ジエンの質量比は特に制限は無いが、好ましくは95/5〜60/40である。スチレン系単量体が95質量%を超えると熱収縮性が劣り、60%未満では剛性が劣る。またブロック共重合体(II)のガラス転移温度が、ブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高くないと得られる熱収縮性多層フィルムの自然収縮性が抑制されず、また低温収縮性も悪化し、好ましくない。ブロック共重合体(II)のガラス転移温度をブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高くするには、例えば、ブロック共重合体(II)中のスチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部を重合する際の、スチレン系単量体の割合を、ブロック共重合体(I)におけるスチレン系単量体と共役ジエンからなるランダム共重合体ブロック部中のスチレン系単量体構造の割合よりも高く制御すればよい。さらに本発明で得られる熱収縮性多層フィルムについて、自然収縮性の抑制効果と、優れた低温収縮性を両立させるためには、ブロック共重合体(II)のガラス転移温度が、ブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜10℃高くすることが必須である。好ましくは、該ガラス転移温度はブロック共重合体(I)のガラス転移温度よりも3〜7℃高くすることである。ブロック共重合体(II)のガラス転移温度とブロック共重合体(I)のガラス転移温度の差が3℃未満或いは10℃を超える場合、熱収縮性多層フィルムの自然収縮性の抑制効果と、優れた低温収縮性を両立させることができないだけでなく、透明性、衝撃強度、剛性等の物性バランスにも劣るようになり、好ましくない。
【0015】本発明で用いられるブロック共重合体(II)は、重量平均分子量が50000〜150000の範囲にあると、なお好ましい。重量平均分子量が50000〜150000の範囲にあると、熱収縮性多層フィルムへの成形加工性が良好となり、さらに熱収縮性多層フィルムの自然収縮性が良好に抑制されつつ、低温収縮性も一層優れたものとなる。またリターン材を混入時の透明性も一層優れるようになる。なお、本発明で用いられるブロック共重合体(I)及び(II)のガラス転移温度は測定方法に特に制限はないが、DSCや動的粘弾性等の公知の方法で測定され、好ましくはDSCが用いられる。また、該ブロック共重合体(I)及び(II)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0016】また、本発明で用いられるブロック共重合体(II)は、温度23℃における屈折率が、1.565〜1.583の範囲であることが必要である。1.565未満、または1.583を超えるとリターン材を混入時の透明性に劣り、実用に供せない。また樹脂成分Aにおけるブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)の比率は、ブロック共重合体(I)/ブロック共重合体(II)=10/90〜90/10(重量比)、さらに好ましくはブロック共重合体(I)/ブロック共重合体(II)=30/70〜70/30(重量比)である。ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)の比率が上記の範囲にあると、熱収縮性フィルムの自然収縮性の抑制効果と、優れた低温収縮性が一層両立され易くなり、好ましい。
【0017】また、本発明の樹脂成分Aには、前記ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)以外に、必要に応じてスチレン系共重合体を含有させることができる。 スチレン系共重合体としては、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様のスチレン系単量体を用い、これらスチレン系単量体の単独重合体、又はこれらスチレン系単量体と共重合可能な単量体との共重合体、さらには耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、前記ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)以外のブロック共重合体等があげられる。スチレン系単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体としては、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体等のようなスチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体や、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム等のゴムの存在下でスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルを共重合させて得られるゴム変性スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体や、MBS樹脂、MBAS樹脂等のようなゴム状弾性体等がある。
【0018】MBS樹脂、MBAS樹脂は、まずポリブタジエン又はブタジエンを主成分とするスチレンとの共重合体ゴムラテックスを公知の乳化重合法で製造する。この際に、架橋剤や連鎖移動剤を使用しても良い。次に、MBS樹脂は、このゴムラテックスにスチレン、メチルメタクリレート及び/又はアルキルアクリレートを、MBAS樹脂はスチレン、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート及び/又はアクリロニトリルを添加し、グラフト重合を行うことによって得られる。MBAS樹脂に使用されるアルキルアクリレートは、前記の(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体で述べたと同様のものがあげられる。
【0019】この中でも、スチレン系共重合体として、好ましくは、スチレン系単量体の単独重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、前記ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)以外のスチレン−ブタジエンブロック共重合体等があげられる。
【0020】樹脂成分Aを得るための、ブロック共重合体(I)とブロック共重合体(II)、及び必要に応じてスチレン系共重合体の混合方法は特に制限はないが、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしてもよく、さらに押出機で溶融化してペレット化しても良い。
【0021】つぎに、本発明の樹脂成分Bとして用いられるスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体(III)、スチレン系重合体(IV)、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体(V)について説明する。
【0022】本発明のスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体(III)は、スチレン系単量体と共役ジエンを、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様の有機溶媒、開始剤を用いて重合することによって得られる。使用されるスチレン系単量体としては、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様のものがあげられる。また、使用される共役ジエンとしては、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様のものがあげられる。使用されるブロック共重合体は、好ましくは、スチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体である。
【0023】つぎに、本発明に用いられるスチレン系重合体(IV)としては、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様のスチレン系単量体を用い、これらスチレン系単量体の単独重合体、又はスチレン系単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体、さらには耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)があげられる。スチレン系単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体としては、共重合可能な単量体としてアクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等を用いて得られる共重合体等が挙げられる。具体的には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
【0024】また、本発明に用いられるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体(V)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸を重合することによって得られる。スチレン系単量体としては、前記のブロック共重合体(I)および(II)で述べたと同様のスチレン系単量体があげられる。一方(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートなどがあげられるが、好ましくはメチルメタクリレート及び/又はn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体は単独で用いてもよいが二種以上を併用してもよい。メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートの併用は好適な例である。また、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタアクリル酸があげられる。また、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で他の単量体を用いることもできる。例えば共重合可能な単量体としてマレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等が用いられる。
【0025】本発明において、スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体(III)、スチレン系重合体(IV)、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体(V)は、それぞれ単独で多層フィルムの層を形成しても良いし、二種以上の混合物を主体として多層フィルムの層を形成しても良い。混合する際は、前記した樹脂成分Aの場合と同様の方法を用いることができる。好ましくは、スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体(III)とスチレン系重合体(IV)の混合物を樹脂成分Bとして用い、多層フィルムの1層を形成させるか、或いはスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体(III)を単独で樹脂成分Bとして用いるのがよい。特に好ましくは、スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体とHIPSの混合物を樹脂成分Bとして用いるか、或いはスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体を単独で樹脂成分Bとして用いるのがよい。
【0026】また、この樹脂成分Bの温度23℃における屈折率は、1.565〜1.583の範囲であることが必要である。1.565未満、または1.583を超えるとリターン材を混入時の透明性に劣り、実用に供せない。なお、樹脂成分Bが複数の重合体の混合物(n種類から成るとする)からなる場合、樹脂成分Bの温度23℃における屈折率(Yとする)は、本発明においては、樹脂成分Bを構成する重合体成分i(i番目の成分(i=1〜nの値をとる)とする)の温度23℃における屈折率をaiとし、樹脂成分B中の重合体成分iの重量分率をwiとするとき、Y=(a1×w1)+(a2×w2)+・・・+(ai×wi)+・・・+(an×wn)
で求められる値とする。
【0027】また、本発明に用いる各(共)重合体には、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、耐候剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃化剤、フィラーなどの添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。添加剤を配合する方法については、特に制限はないが、たとえばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしても良く、さらに押出機で溶融してペレット化しても良い。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理などの段階で、添加しても良い。
【0028】なお、本発明で用いる可塑剤としては、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸など脂肪族−塩基酸エステル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、サバシン酸ジブチル、サバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族−二塩基酸エステル、あるいはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステルが好ましい。好ましい添加量としては、樹脂成分A或いは樹脂成分B100質量部に対して0〜3質量部添加することが好ましい。
【0029】また、本発明の熱収縮性多層フィルムは、2層フィルム、3層フィルム、4層フィルム、5層フィルム、またはそれ以上の多層のフィルムであるが、好ましくは、3層以上のフィルムであり、特に好ましくは3層のフィルムである。3層のフィルムの場合、表裏層を樹脂成分Aで形成し中間層を樹脂成分Bで形成してもよく、或いは、表裏層を樹脂成分Bで形成し中間層を樹脂成分Aで形成してもよい。中でも、表裏層を樹脂成分Bで形成し中間層を樹脂成分Aで形成するのがよい。
【0030】本発明の熱収縮性多層フィルムは、表裏層用、中間層用に上記の樹脂成分を各々押出機で溶融し、それをダイ内又はフイードブロックなどで多層化後、一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。ダイは、Tダイ、環状ダイなど公知のものが使用できる。一軸延伸の例としては、押し出されたシートをテンターで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを円周方向に延伸する方法などがあげられる。二軸延伸の例としては、押し出されたシートをロールで押し出し方向に延伸した後、テンターなどで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを押し出し方向及び円周方向に同時又は別々に延伸する方法などがあげられる。
【0031】本発明において、延伸温度は60〜120℃が好ましい。60℃では延伸時にシートやフィルムが破断してしまい、また、120℃を越える場合は良好な収縮特性が得られないため好ましくない。延伸倍率は、特に制限はないが、1.5〜8倍が好ましい。1.5倍未満では熱収縮性が不足してしまい、また、8倍を越える場合は延伸が難しいため好ましくない。これらの多層フィルムを熱収縮性ラベルや包装材料として使用する場合、熱収縮率は温度80℃において20%以上必要である。20%未満では収縮時に高温が必要となるため、被覆される物品に悪影響を与えてしまい好ましくない。多層フィルムの厚さは10〜300μmが好適である。
【0032】また、本発明の熱収縮性多層フィルムのリターン材を、A成分及び/又はB成分のバージン材に混入して得た熱収縮性多層フィルムは、自然収縮性が抑えられ、かつ透明性、低温熱収縮性、剛性、衝撃強度に優れるものである。この混合割合は、特に限定されるものではないが、好ましくはA成分及び/又はB成分のバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合することが透明性から好ましい。
【0033】また、本発明では、得られた多層フィルムの表面特性を良好にするために帯電防止剤や滑剤などを表面に塗布してもよい。
【0034】本発明の熱収縮性多層フィルムの用途としては、熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシールなどが特に好適であるが、その他、包装フィルムなどにも適宜利用することができる。
【0035】
【実施例】 次に実施例をもって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0036】
【参考例1】(1)反応容器中に重合溶媒であるシクロヘキサン245kgとスチレンモノマー4.1kgを仕込み、30℃に保った。 なお以降の参考例2〜9の重合溶媒には全てシクロヘキサンを用いた。
(2)この中に重合触媒溶液であるn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液750mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。 なお、以降の参考例2〜9の重合触媒溶液には全てn−ブチルリチウムの10重量%シクロヘキサン溶液を用いた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に保ちながら、7.1kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、引き続き総量75.2kgのスチレンモノマー、及び総量11.2kgのブタジエンを、それぞれ57.1kg/h、8.5kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加させ、添加終了後も5分間そのままの状態を保った。
(5)内温を50℃まで下げた後、さらに4.1kgのスチレンモノマーを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が18.2万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部、及びスチレンとブタジエンのランダム構造部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0037】
【参考例2】(1)反応容器中に重合溶媒490kgと8.4kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1620mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、22.1kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量157.5kgのスチレンモノマー、及び総量13.7kgのブタジエンを、それぞれ98.3kg/h、8.5kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加させ、添加終了後も5分間そのままの状態を保った。
(5)さらに8.4kgのスチレンモノマーを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が14.6万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部、及びスチレンとブタジエンのランダム構造部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0038】
【参考例3】(1)反応容器中に重合溶媒490kgと5.3kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1100mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。 (3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、10.5kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量164.4kgのスチレンモノマー、及び総量24.6kgのブタジエンを、それぞれ56.8kg/h、8.5kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加させ、添加終了後も5分間そのままの状態を保った。
(5)さらに5.3kgのスチレンモノマーを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が21.4万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部、及びスチレンとブタジエンのランダム構造部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0039】
【参考例4】(1)反応容器中に重合溶媒490kgと84.0kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1500mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、42kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、84.0kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が14万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0040】
【参考例5】(1)反応容器中に重合溶媒385kgと74.3kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1700mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を45℃に保ちながら、16.5kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に保ちながら、74.3kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が11.5万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0041】
【参考例6】(1)反応容器中に重合溶媒385kgと49.5kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1700mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を45℃に保ちながら、66.0kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に保ちながら、49.5kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が10.5万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0042】
【参考例7】(1)反応容器中に重合溶媒385kgと66kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液900mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を45℃に保ちながら、33kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に保ちながら、66kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が17万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0043】
【参考例8】(1)反応容器中に重合溶媒385kgと78.4kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液900mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を45℃に保ちながら、8.2kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に保ちながら、78.4kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が16.5万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0044】
【参考例9】(1)反応容器中に重合溶媒385kgと53.6kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液900mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を45℃に保ちながら、57.8kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に保ちながら、53.6kgのスチレンモノマーを添加し、重合を完結させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて重量平均分子量が17.5万で、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部を持つ重合体を含む重合液を得た。
【0045】なお、溶液状態にある参考例1〜9の各重合体a1〜a9は、重合溶媒を予備濃縮させた後、ベント式押出機にて脱揮処理してペレット化し、その性状は表1,2に示した。また得られた各重合体は、後述する試験に供した。
【0046】
【参考例10】スチレンモノマー91.6重量%とエチルベンゼン8.4重量%からなる溶液100重量部と1、1ービス(tertーブチルパーオキシル)3、3、5ートリメチルシクロヘキサン0.025重量部からなる溶液を第1重合機に連続的に送入し、130℃の重合温度で攪拌重合反応した後、引き続きプラグフロー型反応器に連続的に全量装入して重合した。その後重合率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断してペレット状の重合体b1を得た。その重合体の性状は表2に示し、後述する試験に供した。
【0047】
【参考例11】ブタジエンゴム(旭化成製ジエン55A)5.5重量%をスチレンモノマー86.1重量%とエチルベンゼン8.4重量%に溶解した溶液100重量部と1、1ービス(tertーブチルパーオキシル)3、3、5ートリメチルシクロヘキサン0.017重量部からなる溶液を第1重合機に連続的に送入し、130℃の重合温度で攪拌重合反応した後、引き続きプラグフロー型反応器に連続的に全量装入して重合した。その後重合率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断してペレット状の重合体b2を得た。その重合体の性状は表2に示し、後述する試験に供した。
【0048】
【参考例12】スチレンモノマー86.1重量%とn−ブチルアクリレート9.2重量%とエチルベンゼン8.4重量%からなる溶液100重量部と1、1ービス(tertーブチルパーオキシル)3、3、5ートリメチルシクロヘキサン0.027重量部からなる溶液を第1重合機に連続的に送入し、130℃の重合温度で攪拌重合反応した後、引き続きプラグフロー型反応器に連続的に全量装入して重合した。その後重合率85%まで重合し、その溶液をベント式押出機に供給して230℃、減圧下で揮発性成分を除去しダイスから溶融ストランドを引き出し、水冷し、カッターにて切断してペレット状の重合体b3を得た。その重合体の性状は表2に示し、後述する試験に供した。
【0049】なお、ブロック共重合体の重量平均分子量は、GPC法により、次の条件で測定した。
溶媒(移動相):THF、脱気装置:ERMA社製ERC−3310、ポンプ:日本分光社製PU−980,流速1.0ml/min、オートサンプラ:東ソー社製AS−8020、カラムオーブン:日立製作所製L−5030、設定温度40℃、カラム構成:東ソー社製TSKgurdcolumn MP(×L)6.0mmID×4.0cm 1本、および東ソー社製TSK−GEL MULTIPORE HXL−M 7.8mmID×30.0cm 2本、計3本、検出器:RI 日立製作所製L−3350、データ処理:SIC480データステーション。
【0050】ブロック共重合体のガラス転移点は、セイコー電子工業社製DSC−200、SSC−5000シリーズを使用し、次の条件で測定した。室温から、ポリスチレンの融点プラスアルファの温度まで昇温し、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度でポリブタジエンのガラス転移温度マイナスアルファの温度まで冷却し(n=1)、再度ポリスチレンの融点プラスアルファの温度まで昇温し、その温度で約10分間保持し、20〜25℃/分の冷却速度でポリブタジエンのガラス転移温度マイナスアルファの温度まで冷却し(n=2)、2度の測定結果の平均値を記録した。
【0051】屈折率は、各重合体の射出成形品(厚さ2mm)を、JIS K7105に準拠しアタゴ社製デジタル屈折率計RX−2000を用い温度は23℃で測定した。 【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【実施例1〜5】及び【比較例1〜7】(イ)原料重合体についてブロック共重合体:参考例1〜9で得られた重合体a1〜a9のブロック共重合体を用いた。スチレン系重合体、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体:参考例10〜12で得られた重合体b1〜b3の重合体を用いた。
【0055】(ロ)フイルムの製造表1、2に示した重合体を用いて、表3〜表5に示した各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)で熱収縮性の多層フィルムを作成した。まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。また、得られた多層シートの一部をペレット化し(このペレットをリターン材という)、中間層を構成する成分に30質量%混合し、上記と同様の方法でシートを作成した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度90℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
【0056】表3〜表5に各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)とともに物性を示した。なお、実施例2、比較例1〜5の表裏層及び実施例5の中間層の屈折率は1.573、実施例3の表裏層の屈折率は1.577、実施例4の表裏層の屈折率は1.573であった。また、比較例1,3はシート成形はできたが延伸フイルムは得られなかった。
【0057】なお、フィルムの各物性は下記の方法によった。
(1)曇度:ASTM D1003に準拠し、日本電色工業製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて測定した。
(2)熱収縮率:80℃の温水中に30秒間浸漬し、次式より算出した。
熱収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100、但し、L1:浸漬前の長さ(延伸方向)、L2:80℃の温水中に30秒間浸漬した収縮後の長さ(延伸方向)
(3)自然収縮率:フィルムから縦100mm、横100mmの大きさにサンプルを切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、主収縮方向について、収縮した長さを元の寸法で割った値から算出される百分率(%)とした。
(4)引張弾性率:JIS k6871に準拠し、エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機(RTC−1210A)を用いて測定した。
(5)フィルムインパクト:延伸フイルムを用いてテスター産業製フィルムインパクトテスターを用いて測定した。
【0058】表3〜表5に示した物性より、本発明のフィルムは、バージン材で得たフイルムでも、バージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも、透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスに優れ、自然収縮性が抑制されつつ、良好な低温熱収縮性も有することがわかる。
【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【発明の効果】本発明によれば、 バージン材で得たフイルムでも、バージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも、自然収縮性が抑制され、かつ低温時においても良好な熱収縮性を有し、透明性、剛性、衝撃強度等の物性バランスに優れる熱収縮性多層フィルムを提供することができる。本フイルムは、各種物品の包装に用いたり、印刷を施してラベルとして用いることが出来る。
【出願人】 【識別番号】000003296
【氏名又は名称】電気化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
【出願日】 平成13年6月21日(2001.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−1766(P2003−1766A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−187870(P2001−187870)