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表面コート用薄膜及びその形成方法 - 特開2003−1765 | j-tokkyo
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【発明の名称】 表面コート用薄膜及びその形成方法
【発明者】 【氏名】村瀬 仁俊
【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機製作所内

【氏名】下 俊久
【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機製作所内

【要約】 【課題】ひび割れがなく且つ耐摩耗性及び表面硬度に優れる表面コート用薄膜及びその形成方法を提供すること。

【解決手段】基材表面にコートされている二酸化ケイ素乃至二酸化ケイ素誘導体を主成分とした表面コート用薄膜であって、ポリビニルピロリドン(PVP)を含む添加剤が分散乃至溶解されていることを特徴とする表面コート用薄膜。アルコキシシラン、シロキサン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の含ケイ素化合物と、PVPを含む添加剤とを有するコート液を基材表面に塗布する工程と、該基材を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする表面コート用薄膜の形成方法。つまり、内部にPVPを分散乃至溶解させることで、耐摩耗性及び表面硬度を向上できる。さらに、膜の靭性も向上するので、重合反応で表面コート用薄膜を形成しても、ひび割れが生じることがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材表面にコートされている二酸化ケイ素乃至二酸化ケイ素誘導体を主成分とした表面コート用薄膜であって、ポリビニルピロリドンを含む添加剤が分散乃至溶解されていることを特徴とする表面コート用薄膜。
【請求項2】 さらに、前記基材と接触する側にプライマー層をもつ請求項1に記載の表面コート用薄膜。
【請求項3】 アルコキシシラン、シロキサン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の含ケイ素化合物と、ポリビニルピロリドンを含む添加剤とを有するコート液を基材表面に塗布する工程と、該基材を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする表面コート用薄膜の形成方法。
【請求項4】 前記基材表面には予めプライマー層が形成されている請求項3に記載の表面コート用薄膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面コート用薄膜及びその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の窓等には一般に無機ガラス製品が使用されているが、近年、無機ガラス製品に代えて、軽量で加工性に優れた透明樹脂製品を使用することが提案されている。また、歯車等の機械要素についても、金属製品に代えて成形性に優れる樹脂製品を用いることが提案されている。
【0003】しかしながら、樹脂製品は、無機ガラス及び金属に対して耐摩耗性が充分でなく、使用範囲が限定されている。そこで、樹脂製品の表面に耐摩耗性を有する薄膜を形成して耐摩耗性等を向上させる方法が検討されている。また、携帯用情報機器等の表示装置にも耐衝撃性の高い樹脂製品が汎用されている。携帯用情報機器等の表示装置にはタッチパネルが多く用いられ、表面の耐摩耗性等が高いことが求められる。
【0004】たとえば、樹脂表面の耐摩耗性及び表面硬度を向上させる方法として、樹脂製品表面にアルコキシシラン等から誘導される二酸化ケイ素誘導体を主成分とする表面コート用薄膜を形成する技術が提案されている。
【0005】この表面コート用薄膜は一般的に樹脂製品との密着性に乏しい。密着性の改善のために、従来技術として、樹脂製品との間にプライマー層を形成させたり、特開2001−79980号公報に開示されたように、ポリエチレングリコールを含有させた表面コート用薄膜がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術の表面コート用薄膜でも耐摩耗性を充分に満足できない場合があり、さらなる耐摩耗性の向上が求められた。また、従来技術では、前述のようにアルコキシシランの重合反応で樹脂製品表面に表面コート用薄膜を形成する場合に、表面コート用薄膜の反応に伴う重合収縮によって、表面コート用薄膜がひび割れて意匠上の問題を生ずる場合もあった。このひび割れは、自動車用ガラス等の高度な透明性が要求されるような用途では、大きな問題である。重合収縮を抑制してひび割れを防ぐ方法として、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとの混合物を使用し、重合に関与する官能基を減少させる方法があるが、生成する薄膜の性能(硬度等)が必ずしも充分でない。
【0007】したがって、本発明は、ひび割れがなく且つ耐摩耗性及び表面硬度に優れる表面コート用薄膜を提供することを解決すべき課題とする。また、本発明は、ひび割れがなく且つ耐摩耗性及び表面硬度に優れる表面コート用薄膜を形成する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、基材表面にコートされている二酸化ケイ素乃至二酸化ケイ素誘導体を主成分とした表面コート用薄膜であって、ポリビニルピロリドン(以下「PVP」と略す。)を含む添加剤が分散乃至溶解されていることを特徴とする表面コート用薄膜を発明した(請求項1)。そして、本発明者らは、アルコキシシラン、シロキサン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の含ケイ素化合物と、PVPを含む添加剤とを有するコート液を基材表面に塗布する工程と、該基材を加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする表面コート用薄膜の形成方法を発明した(請求項3)。
【0009】つまり、本発明の表面コート用薄膜は、内部にPVPを分散乃至溶解させることで、耐摩耗性及び表面硬度を向上できる。さらに、表面コート用薄膜の靭性も向上するので、アルコキシシラン等の重合反応で表面コート用薄膜を形成しても、ひび割れが生じることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の表面コート用薄膜は、樹脂製品となる基材表面に形成される。基材は用いられる用途に応じて、その材質、形状等が決定される。透明性を要求される用途には、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリアミド、ポリアリレート、非晶性ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、変成ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。特にPCが透明性の点のみならず、その他の機械的特性が良好な点からも好ましい。そして、歯車等の機械要素に用いられる場合には、強度、靭性等の機械的性質を考慮して必要な樹脂を選択する。また、表面硬度だけではなく、防錆性を考慮して樹脂以外のAlを選択してもよい。
【0011】基材表面に表面コート用薄膜を形成する部位としては、硬度等の性能が必要な部位に形成すればよい。たとえば、自動車のムーンルーフ等に用いる場合には、その内外面の全面に、歯車の場合には歯面とその近傍に、それぞれ表面コート用薄膜を形成する。表面硬度は、表面コート用薄膜が形成される前ではB〜2B(鉛筆硬度)、表面コート用薄膜を基材表面に形成した後では2H〜3H程度となる。
【0012】表面コート用薄膜の厚みとしては、必要な性能に応じて適正な値が選択される。表面コート用薄膜が厚くなると(20μm超)クラックが発生しやすくなり、薄くなると耐摩耗性、耐擦傷性が満足できなくなり、0.5μm未満では表面硬度も低下する。表面コート用薄膜の好ましい厚さとしては、後述するプライマー層を除いて、好ましくは0.5〜20μm程度、より好ましくは1〜10μm程度である。
【0013】表面コート用薄膜は二酸化ケイ素乃至二酸化ケイ素誘導体を主成分とする。つまり、繰り返し単位としてSi−O結合をもち、適宜、ケイ素原子に有機官能基が結合した三次元網目状の高分子である。なお、有機官能基が結合していない所謂無機ガラスでもよい。有機官能基の結合が少ない方が表面コート用薄膜の硬度、耐摩耗性は向上する。
【0014】本発明の表面コート用薄膜には、PVPが分散乃至溶解している。なお、ここで、「分散乃至溶解」とは、表面コート用薄膜内でのPVPの存在形態を問わないことを意味する。つまり、表面コート用薄膜内でPVPの粒子として存在しても孤立した分子として存在しても構わない。
【0015】本明細書でいう「ポリビニルピロリドン(PVP)」は、ビニルピロリドンのホモポリマーはもちろん、ビニルピロリドンと他のモノマーとの共重合体をも含む概念であるが、特に必要が無い場合にはホモポリマーが入手性等の観点から好ましい。
【0016】PVPは低分子量である方が二酸化ケイ素等への分散性が向上するので好ましいと考えられるが、あまりに低分子量とすると、表面コート用薄膜から漏出する。したがって、PVPの分子量は、40000〜360000程度が好ましい。なお、一般的に市販されているK=15、30、60、90等のグレードのホモポリマーはすべて好ましく使用できる。特にK=30、90のPVPが好ましい。
【0017】表面コート用薄膜内へのPVPの添加量としては、表面コート用薄膜全体に対して、好ましくは1〜20質量%程度、より好ましくは2.5〜10質量%程度である。この範囲内であると、PVPの添加による充分な耐摩耗性及び表面硬度の向上効果が得られ、且つ表面コート用薄膜の本来有する硬度のPVP添加による低下が問題とならないからである。
【0018】さらに、本発明の表面コート用薄膜は、基材との密着を良くするために(親和性を向上させる)、基材表面側にプライマー層を有しても良い(たとえば、基材としてPCを用いる場合等)。プライマー層としては、基材及び二酸化ケイ素の双方に親和性が高い樹脂が用いられる。たとえば、(メタ)アクリル系樹脂及びビニル系樹脂の1種を単独で又は2種以上を混合して使用する薄膜である。これらの樹脂は熱可塑性でも熱硬化性でもよく、例えば有機溶媒中でメチルメタクリレート(MMA)等の重合性不飽和基を有するモノマーをラジカル重合して得られるポリマーや乳化重合したエマルジョン等を挙げることができる。
【0019】この場合、上記(メタ)アクリル系樹脂を形成するために使用し得るモノマーとしては、重合性(メタ)アクリル基を含有するものが使用され、具体的には、CH2=CHCOOCH3、CH2=C(CH3)COOCH3、CH2=CHCOOCH2CH2OH、CH2=C(CH3)COOCH2CH2OH、CH2=CHCOOCH2CH2CH3、CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH3、CH2=CHCONHCH3、CH2=C(CH3)CONHCH3、CH2=CHCON(CH32、CH2=C(CH3)CON(CH32、CH2=CHCONHCH2OH、CH2=C(CH3)CONHCH2OH、【0020】
【化1】

【0021】(R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基(例えばアルキル基、アルケニル基、フェニル基等)を示し、aは1〜3の整数、bは0又は1である。)、【0022】
【化2】

【0023】を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、上記モノマーと共重合可能な不飽和基を含有するモノマー或いはポリマーも本発明の目的を損わない範囲において共重合の目的で使用してもよい。
【0024】また、ビニル系樹脂を形成するビニル系モノマーとしては下記式で示されるアルコキシシリル基含有単量体を挙げることができる。
【0025】
【化3】

【0026】(R2は上記と同様の意味を示し、cは0又は1である。)
上記アルコキシシリル基含有単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。また、上記シラン以外にケイ素原子を含まないその他のビニル系単量体を用いることもできる。
【0027】プライマー層に用いられる樹脂成分として、特に下記に示すようなトリアルコキシシリル基を有するアクリル樹脂を好適に使用することができ、従って、トリアルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリルモノマーを重合或いは共重合させたものを好適に使用することができ、これは加熱により硬化し、より緻密な膜を形成すると共に、基材やコーティング層との密着性を高めるために有利である。
【0028】
【化4】

【0029】(R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基(例えばアルキル基、アルケニル基、フェニル基等)を示す。)
なお、上記トリアルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリルモノマーとして具体的には、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0030】プライマー層の膜厚としては0.1〜20μm程度である。なお、基材としてポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等の二酸化ケイ素等と親和性の高い樹脂を用いた場合でもプライマー層を設けることで、より高性能な表面コート用薄膜を得ることができ好ましい。
【0031】本発明の表面コート用薄膜の形成方法は、コート液を基材表面に塗布する工程と、基材を加熱する加熱工程とを有する。コート液は、アルコキシシラン、シロキサン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の含ケイ素化合物と、PVPを含む添加剤とをもつ。
【0032】アルコキシシランは、モノシランの水素をアルコキシ基で1〜4個置換した化合物である。アルコキシ基での置換数が多いほど生成する表面コート用薄膜の耐摩耗性及び表面硬度を向上できる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、(n−、iso−)プロポキシ基、(n−、iso−、tert−)ブトキシ基等の低級アルコキシ基等、炭素数1〜6のアルコキシル基等が例示できる。また、アルコキシ基で置換されていない水素は低級アルキル基、フェニル基、水酸基等で置換できる。水酸基での置換はアルコキシ基での置換と同様に生成する表面コート用薄膜の耐摩耗性及び表面硬度の向上に寄与する。アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシランが好ましく、特に原料の入手し易さ、取り扱い易さを考えると、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを好適に使用することができる。
【0033】オルガノシロキサンは、シロキサンのケイ素原子に低級アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、水酸基等が結合した化合物であり、アルコキシ基又は水酸基を少なくとも1以上もつ。Si−O単位の繰り返し数は特に限定しない。
【0034】なお、含ケイ素化合物としては、一分子当たり2以上の水酸基を有する化合物を含む。1分子以下の化合物ばかりであると、高分子量にまで重合できないからである。本発明では重合によりひび割れが発生しないので、コート液に含有させる含ケイ素化合物として、4官能性以上の他官能性含ケイ素化合物(例えばテトラアルコキシシラン)のみで用いることができる。
【0035】なお、水酸基は安定性が低いので、水酸基はアルコキシ基を加水分解して生成することが含ケイ素化合物の貯蔵時等の安定性の観点からは好ましい。加水分解は、コート液に水を添加することで、基材表面にコート液を塗布する前若しくは塗布した後にアルコキシ基の一部又は全部を行うことができる。アルコキシ基の加水分解の割合は、水の添加量で調節することができる。含ケイ素化合物としては、テトラアルコキシシランが入手性、取り扱い性及び生成する表面コート用薄膜の性能の観点から好ましい。含ケイ素化合物を加水分解させる場合には、必要に応じて酸触媒等を加えても良い。
【0036】PVPは、表面コート用薄膜の説明で前述したものと同じであるので説明を省略する。
【0037】さらに、コート液には、コロイダルシリカを添加することもできる。コロイダルシリカを添加することで、表面硬度が増加し、テーバ摩耗特性が向上する。
【0038】コート液は、含ケイ素化合物、PVP等を適正な溶媒(水、アルコール等)に溶解させて調製される。好ましい濃度としては、後述するコート液の基材への塗布方法により変化するが、固形分の含有量として5〜40質量%程度である。
【0039】コート液を基材表面に塗布する方法としては特に限定しないが、フローコート、スピンコート等の常法により行うことができる。
【0040】コート液を基材表面に塗布する前に、前述したプライマー層を基材表面に設けることができる。プライマー層を設ける方法としては、プライマー層を形成する成分を溶解させたプライマー液を基材表面に塗布した後に溶媒の除去、重合反応等により行う方法が例示できる。
【0041】加熱工程は、基材表面にコート液を塗布した後に所定温度で所定時間、加熱する。所定温度・所定時間としては、基材を構成する樹脂が耐えることができる範囲で適正に選択される(例えば常温〜150℃)。高温とした方が反応速度が向上するので反応に要する時間(所定時間)は短縮できる。
【0042】
【実施例】(実施例1)基材としての板厚0.5mmでA4サイズのPC製シート(三菱瓦斯化学製、ユーピロンシートNF−2000)にプライマー層を形成した。プライマー層はPC製シートにアクリル系プライマー溶液(日本ダクロシャムロック製、85B、不揮発分10〜15質量%)をフローコートにより塗布した。室温で20分間放置した後に、80℃の恒温層中で30分間放置して硬化させた。プライマー層の厚みは2〜5μmであった。
【0043】プライマー層を形成した基材上にコート液(含ケイ素化合物溶液(日本ダクロシャムロック製、ソルガードRF0821、不揮発分18〜20質量%)に添加剤としてのPVP(関東化学製、PVP K=30)を含ケイ素化合物溶液中の不揮発分に対して10質量%溶解させた液)をフローコートにより塗布した(塗布工程)。室温で20分間放置した後に、120℃の恒温層中で60分間放置して硬化させた(加熱工程)。形成された表面コート用薄膜の厚みは5〜10μmであった。厚みの測定は、分光光度計により行った。
【0044】(実施例2〜11及び比較例1〜3)実施例1のPVP K=30に代えて、表1に示す添加剤を表1に示す添加量(アルコキシシラン溶液中の不揮発分に対する質量%)で添加して調製したコート液を用いて試験試料を製造して各実施例及び各比較例の試験試料とした。プライマー層の厚みはすべて5μmであった。なお、表中「PEG」とはポリエチレングリコールを意味する。
【0045】(実施例12〜14、比較例4)実施例1と同様の操作で各PCシート上に5μmのプライマー層を形成した。
【0046】実施例1の含ケイ素化合物溶液に代えて、信越化学工業製、KP85AN、不揮発分20質量%を用い、PVP K=30の濃度を0%(比較例4)、2.50%(実施例12)、5%(実施例13)、10%(実施例14)とした以外は実施例1と同様の方法で試験試料を製造した。
【0047】(実施例15〜17、比較例5)実施例1と同様の操作で各PCシート上に5μmのプライマー層を形成した。
【0048】実施例1の含ケイ素化合物溶液に代えて、日本エーアールシー製、C−210、不揮発分20質量%を用い、PVP K=30の濃度を0%(比較例5)、2.50%(実施例15)、5%(実施例16)、10%(実施例17)とした以外は実施例1と同様の方法で試験試料を製造した。
【0049】(実施例18〜20、比較例6)実施例1のアクリル系プライマー溶液に代えて、信越化学工業製、PC−7A、不揮発分9質量%を用い、硬化条件を120℃の恒温室中、30分とした以外は実施例1と同様の方法でプライマー層を形成したPC板を調製した。プライマー層の厚みは5μmであった。
【0050】その後、PVP K=30の濃度を0%(比較例6)、2.50%(実施例18)、5%(実施例19)、10%(実施例20)とした以外は実施例1と同様の方法で試験試料を製造した。
【0051】(実施例21〜23、比較例7)実施例1のアクリル系プライマー溶液に代えて、日本エーアールシー製、P−6552、不揮発分18質量%を用い、硬化条件を115℃の恒温室中、30分とした以外は実施例1と同様の方法でプライマー層を形成したPC板を調製した。プライマー層の厚みは5μmであった。
【0052】その後、PVP K=30の濃度を0%(比較例7)、2.50%(実施例21)、5%(実施例22)、10%(実施例23)とした以外は実施例1と同様の方法で試験試料を製造した。
【0053】
【表1】

【0054】(試験及び結果)各試験試料についてクラック発生の有無を目視により調べた。クラックの発生していない試料についてテーバ摩耗試験(JIS−R3212)を行った。2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ500回転させたときの曇価(ヘーズ)をヘーズメータにて測定した。曇価の測定は磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)を示す。実施例1〜11及び比較例1〜3の結果を表1に併せて示す。
【0055】表1から明らかなように、添加剤としてPVPを用いた実施例1〜11の試験試料ではすべてクラックが発生していないのに対して、比較例の試験試料ではすべてクラックが発生して透明性が要求される用途に使用することができなかった。
【0056】そして、テーバ摩耗量の値から、PVPの添加量は分子量の相違にかかわらず、2.5%という僅かな量で充分に耐摩耗性を向上できた。また実施例1〜5、7〜10の結果が実施例6、11のテーバ摩耗試験の結果よりも優れていることから、PVPの添加量は15%未満、より好ましくは10%以下で充分であることがわかった。また、実施例1〜6の結果が対応するPVP添加量である実施例7〜11の結果よりも良好であることから好ましいPVPの分子量としてはK=30(平均分子量約40000)がK=90(平均分子量約36万)よりも好ましいことが明らかとなった。
【0057】
【表2】

【0058】実施例12〜23及び比較例4〜7の結果を表2に示す。表2に示す実施例12〜23の結果から添加剤としてのPVPの添加の効果はPVPを添加したすべての実施例でクラックが認められないことから、含ケイ素化合物の種類及びプライマー層の種類に影響されないことが明らかとなった。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、二酸化ケイ素乃至二酸化ケイ素誘導体を主成分とし、PVPを含む添加剤を分散乃至溶解させた本発明の表面コート用薄膜は、ひび割れがなく且つ耐摩耗性及び表面硬度に優れる。また、本発明の表面コート用薄膜の形成方法は、ひび割れがなく且つ耐摩耗性及び表面硬度に優れる表面コート用薄膜を形成できる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
【出願日】 平成13年6月25日(2001.6.25)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2003−1765(P2003−1765A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−191578(P2001−191578)