トップ :: B 処理操作 運輸 :: B32 積層体

【発明の名称】 ラッピング用紙
【発明者】 【氏名】阿部 真悟

【氏名】板倉 実

【要約】 【課題】埋め立て処理しても、土壌中や水中などの自然環境下では速やかに生分解を進行させて、土壌中に固形物として残存するのを防止できる。

【解決手段】生分解性能を有するポリマーフィルム3と薄紙2とを重ね合わせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とが重ね合わされてなることを特徴とするラッピング用紙。
【請求項2】 生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とが貼合によって重ね合わされていることを特徴とするラッピング用紙。
【請求項3】 前記薄紙に重ね合わされるポリマーフィルムが、生分解性能を有するポリマーの水溶液または懸濁液を前記薄紙に塗布することによって形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のラッピング用紙。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハンバーガーなどのラッピングに使用されて、ソースやマヨネーズなどが外に浸み出るのを防止するラッピング用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】店頭で販売されるハンバーガーは、購入者が直ちに美味しく食べることができるように、暖かく加熱した上で、例えばソース、マヨネーズなどの調味料がかけられ、ラッピング用紙で包装される。この包装に使われるラッピング用紙は、これまでの薄い上質紙のみでは、ソースやマヨネーズなどの調味料や油が外側に浸み出して手を汚してしまうため、今日では、上質紙の片面に調味料の浸透を防止するポリエチレンフィルムを貼合したラッピング用紙が広く用いられている。
【0003】ところで、かかるラッピング用紙は、店頭で使用されて廃棄されたものは産業廃棄物として、一方、家庭でゴミ箱に廃棄されたものは家庭ゴミとして、それぞれ自治体の回収車により回収され、それぞれ埋め立てあるいは焼却などの方法によって最終処理が行われている。ところが、今日の自治体の焼却炉による処理能力が不足しているために、その他のゴミと一緒に回収される前記ラッピング用紙の多くが、埋め立て処理に回されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のラッピング用紙は、例えば21g/m2の上質紙に対して、厚みが8μmのポリエチレンフィルムを貼合したものからなるところから、このラッピング用紙が埋め立て処理された後も、ポリエチレンフィルムのみが長期間に亘って腐敗分解せずに土壌中に残存し、これが自然環境を汚染し、土壌の再生を不可能にするという問題があった。
【0005】本発明はこのような従来の問題点を解決するものであり、埋め立て処理しても土壌中や水中などの自然環境下では速やかに生分解を進行し、土壌中に固形物として長期に亘って残存するのを防止できるラッピング用紙を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的達成のために、請求項1の発明にかかるラッピング用紙は、生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とを重ね合わせてなることを特徴とする。これにより、ラッピング用紙を埋め立て処理した後は、薄紙とともにポリマーフィルムを、例えば半年から3年以内に土壌中で生分解させて、土壌中に長年に亘って残存するのを防止できる。
【0007】また、請求項2の発明にかかるラッピング用紙は、生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とを貼合によって重ね合わせてなることを特徴とする。これにより、一枚のラッピング用紙としてハンバーガー等のラッピングと、ラッピング解除を容易に行えるようにするとともに、このラッピング用紙を、容易かつローコストに得ることができる。
【0008】また、請求項3の発明にかかるラッピング用紙は、前記薄紙に重ね合わされるポリマーフィルムを、生分解性能を有するポリマーの水溶液または懸濁液を薄紙に塗布することによって形成したことを特徴とする。これにより、上質紙にプラスチック層を連続的に密着させることができ、ラッピング用紙の連続形成による量産によってコストダウンを図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図について説明する。図1は本発明のラッピング用紙1を一部破断して示す斜視図であり、図2はそのラッピング用紙1の縦断面図である。同図において、2は肉薄の上質紙であり、この上質紙2上に生分解性能を有するポリマーフィルム3が貼合などにより一体化されている。
【0010】前記上質紙2としては、針葉樹晒クラフトパルプや広葉樹晒クラフトパルプとを配合した原料を用いて、長網抄紙機により抄造した例えば21g/m2のものが用いられる。一方、ポリマーフィルム3としては、ポリ乳酸フィルムなどが用いられる。ポリ乳酸は、トウモロコシなどの再生可能な植物資源から得られた澱粉を原料として、乳酸発酵を経て化学合成法によって作られたポリマーである。そして、このポリ乳酸は、土壌中などの自然環境下において最終的に水と炭酸ガスに分解される特徴を有する。
【0011】また、このポリ乳酸からなるポリ乳酸フィルムは耐油性にすぐれ、アルカリ性または酸性条件下では加水分解を受け、例えば2〜3年の短期使用で再資源化される。特に、分解中間物質であるオリゴ乳酸は土壌中にあって植物の成長を促進する。
【0012】また、ラッピング用紙をゴミとして焼却した場合には、ポリ乳酸の燃焼カロリーがポリエチレンの約半分程度であり、ダイオキシンや、塩化水素、NOx、SOxなどの有害ガスの発生はない。従って、焼却による最終処分を行っても環境悪化を招くことはなく。さらに、このポリ乳酸フィルムは他のプラスチックフィルムと同様の加工性を持ち、ヒートシールが可能であるところから、上質紙へのラミネート加工によりラッピング用紙が容易に得られる。
【0013】すなわち、生分解性能を持つポリマーフィルムとしての前記ポリ乳酸フィルム3と、これとは別に用意された薄紙である肉薄の上質紙2とを、ヒートシール型の貼合装置を用いて貼合することにより、自然環境にやさしい例えばハンバーガー包装用のラッピング用紙が得られる。
【0014】また、前記ポリマーフィルムとしてのポリ乳酸フィルムは、高結晶性の熱可塑性プラスチックであり、その融点は約170℃、ガラス転移点が約67℃であるところから、ダイスやノズルからの溶融押し出しが可能である。また、上質紙2の表面に生分解機能を有するポリマーであるポリ乳酸の水溶液または懸濁液を塗布し、上記融点付近の温度で加熱することにより、上質紙2上にポリ乳酸フィルム3を密着形成することができる。
【0015】また、このようにして得たラッピング用紙を土壌中に埋め立てた場合には、前記ポリ乳酸は非酵素的な加水分解反応により分解が進行するとともに、微生物や酵素により分解が加速され、最終的に、前記のように水と炭酸ガスに分解してしまう。この場合におけるポリ乳酸の生分解挙動は、土壌の温度、水分、PH、微生物の種類や数により異なる。
【0016】なお、前記生分解機能効果についてコンポスト試験を実施してチェックを行った結果、豊富に存在する微生物によって、10日経過後には分解が速やかに進むことが確かめられた。
【0017】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とを重ね合わせてラッピング用紙を構成したので、例えばラッピングしたハンバークなどのソース、マヨネーズ、油などが薄紙を通して浸み出して、手を汚すのを防止できるとともに、使用後のラッピング用紙の埋め立てや焼却のいずれの処理によっても、ポリマーフィルムが薄紙とともに分解されて、自然環境を悪化するのを確実に防止できるという効果が得られる。
【0018】また、前記生分解性能を有するポリマーフィルムと薄紙とを貼合によって重ね合わせた場合には、一枚のラッピング用紙としてハンバーガーなどの包装が行えるため、このハンバーガーなどの包装や取り出しが容易に行えるほか、取り扱いや貯蔵、管理も容易になるという利点が得られる。また、前記薄紙に重ね合わされるポリマーフィルムを、生分解性能を有するポリマーの水溶液または懸濁液を前記薄紙に塗布することによって形成したことにより、ラッピング用紙を連続形成でき、量産によるコストダウンを図ることができるという利点が得られる。
【出願人】 【識別番号】591053579
【氏名又は名称】日本紙パルプ商事株式会社
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100081514
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 一 (外1名)
【公開番号】 特開2003−1764(P2003−1764A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−190275(P2001−190275)