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【発明の名称】 積層体および隙間充填方法
【発明者】 【氏名】古市 稔
【住所又は居所】東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイエスアール株式会社内

【氏名】前田 征希
【住所又は居所】東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイエスアール株式会社内

【氏名】森野 克昭
【住所又は居所】東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイエスアール株式会社内

【氏名】神品 順二
【住所又は居所】東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイエスアール株式会社内

【要約】 【課題】従来の1,2−ポリブタジエンの特徴である優れた機能を有し、さらに流動性、形状追従性に優れた油展1,2−ポリブタジエンを含有する樹脂組成物を用い、制振性、鋼鈑補強性、防振性、遮音性、防音性に優れた積層体、この樹脂層を用いた隙間充填方法を提供する。

【解決手段】基層上に、(A)油展1,2−ポリブタジエン、(B)上記(A)成分以外の熱可塑性重合体および(C)架橋剤を含有する樹脂組成物を積層してなる積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基層上に、(A)油展1,2−ポリブタジエン、(B)上記(A)成分以外の熱可塑性重合体および(C)架橋剤を含有する樹脂層を積層してなる積層体。
【請求項2】 樹脂層において、(A)〜(C)成分の割合が、(A)成分1〜99重量部、(B)成分99〜1重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕の合計量100重量部に対し、(C)成分が0.001〜50重量部である請求項1記載の積層体。
【請求項3】 樹脂層を構成する(B)成分が、(A)成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の積層体。
【請求項4】 樹脂層を構成する(C)成分が、硫黄または加熱により硫黄を生成させる化合物と加硫促進剤の組み合わせ、有機過酸化物、および有機過酸化物と多官能性モノマーの組み合わせの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3いずれか1項記載の積層体。
【請求項5】 樹脂層において、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(D)軟化剤0〜300重量部、(E)無機充填剤0〜300重量部、(F)瀝青物、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種の他の添加剤0〜80重量部を配合してなり、かつこれら(D),(E)および(F)成分の合計量が1〜600重量部を配合してなる請求項1〜4いずれか1項記載の積層体。
【請求項6】 樹脂層において、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(G)発泡剤を1〜300重量部配合してなる請求項1〜5いずれか1項記載の積層体。
【請求項7】 基層と樹脂層との間に、アスファルト層を介在させた請求項1〜6いずれか1項記載の積層体。
【請求項8】 基層から構成される隙間に、請求項6記載の樹脂層を充填し、架橋および発泡させることを特徴とする隙間充填方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な油展1,2−ポリブタジエンを含有する架橋性の樹脂層を用いた、制振性、鋼鈑補強性、吸音性、遮音性、シール性に優れた積層体、および隙間充填方法に関する。
【0002】鋼鈑などの金属基層(間)にゴム組成物を積層または充填発泡する手法は、従来から種々実用化されている。例えば、特開平1−139534号公報「防振・防音・遮音材用ゴム組成物」、特開昭62−62882号公報「低温加硫型高発泡性シーラー」などがある。しかしながら、これらは、連続気泡スポンジのみの充填であり、スポンジ中に生じた結露水分が連続発泡構造の中に移行し、金属面に接触し、金属腐食の原因となる。このように、金属を腐食することなく隙間を充填し、かつ制振性、吸音性、シール性に優れた材料を満足する形で製造する技術が求められている。
【0003】ところで、適度な結晶化度に制御した1,2−ポリブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからなる構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機能だけでなく、分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素二重結合を有しているため、従来の加硫物や架橋密度を高めた熱硬化性樹脂やゴムとしての機能も有する。また、この1,2−ポリブタジエンは、他の樹脂や熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーの改質材、医療用高分子材料として応用されている。本願特許出願人は、このような1,2−ポリブタジエンの特性を生かして、該ポリブタジエンを含有する熱媒体架橋可能な、制振材、遮音材、拘束材に有用な高硬度架橋物(特開平1−297443号公報)や、該ポリブタジエンを含有する積層体(特開平2−57340号公報)を提案した。ところが、この1,2−ポリブタジエンを新たな種々の用途に使用するに当たり、流動性が不足し、基層に対する形状追従性が充分ではないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の1,2−ポリブタジエンの特徴である優れた機能を有し、さらに流動性、形状追従性に優れた油展1,2−ポリブタジエンを用い、制振性、鋼鈑補強性、吸音性、遮音性、シール性に優れた積層体および隙間充填方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基層上に、(A)油展1,2−ポリブタジエン、(B)上記(A)成分以外の熱可塑性重合体および(C)架橋剤を含有する樹脂層を積層してなる積層体に関する。ここで、上記樹脂層において、(A)〜(C)成分の割合は、(A)成分1〜99重量部、(B)成分99〜1重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕の合計量100重量部に対し、(C)成分が0.001〜50重量部が好ましい。また、樹脂層を構成する(B)成分は、(A)成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。さらに、樹脂層を構成する(C)成分は、硫黄または加熱により硫黄を生成させる化合物と加硫促進剤の組み合わせ、有機過酸化物、および有機過酸化物と多官能性モノマーの組み合わせが好ましい。上記樹脂層には、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(D)軟化剤0〜300重量部、(E)無機充填剤0〜300重量部、(F)難燃剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種の他の添加剤0〜80重量部を配合してなり、かつこれら(D),(E)および(F)成分の合計量が、1〜600重量部を配合してなる樹脂層である。さらに、上記樹脂層には、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(G)発泡剤を1〜300重量部配合してもよい。本発明の積層体は、基層と上記樹脂層との間に、アスファルトを介在させたものであってもよい。次に、本発明は、基層から構成される隙間(自動車などのピラー、ヘッダー空隙部)に、発泡剤を含有する上記樹脂層を充填し、架橋および発泡させることを特徴とする隙間充填方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】基層本発明の積層体を構成する基層の材質としては、プラスチック、ゴム、鋼鈑などの金属、木材、紙、布、コンクリート、石材などが挙げられ、好ましくは金属である。また、この基層の形状としては、例えば面体、立体、点体、格子体、線体、らせん体、球体、凹体、凸体、およびこれらの併用または組み合わせが挙げられる。基層の具体例としては、自動車用鋼鈑などが挙げられる。基層の厚みは、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1.8mmである。
【0007】樹脂層(A)油展1,2−ポリブタジエン:本発明の(A)成分に用いられる1,2−ポリブタジエン(以下「(A)´1,2−ポリブタジエン」ともいう)は、例えば、1,2−結合含有量が70%以上のものであれば、いかなる1,2−ポリブタジエンでもよいが、好ましくは、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られるものである。
【0008】本発明の(A)´1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−結合含有量は、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。1,2−結合含有量が70%以上であることにより、本発明の1,2−ポリブタジエンが良好な熱可塑性エラストマーとしての性質が発揮される。
【0009】なお、本発明の(A)´1,2−ポリブタジエンは、結晶性を有する1,2−ポリブタジエンが好ましく、その融点は、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃の範囲にある。融点がこの範囲にあることにより、引張強度、引裂強度などの力学強度と柔軟性のバランスに優れる結果となる。
【0010】本発明の(A)´1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン以外の共役ジエンが少量共重合していてもよい。ブタジエン以外の共役ジエンとしては、1,3−ペンタジエン、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。このうち、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体としては、1−ペンチル−1,3−ブタジエン、1−ヘキシル−1,3−ブタジエン、1−ヘプチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
【0011】ここで、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンのなかで、ブタジエンと共重合される好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中のブタジエンの含有量は50モル%以上、特には70モル%以上が好ましい。
【0012】本発明の(A)´1,2−ポリブタジエンは、上述したように、好ましくは、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られる。上記コバルト化合物としては、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩を挙げることができる。このコバルトの有機酸塩の具体例として、酪酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチル−ヘキシル酸などのオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、アラルキル、アリル置換安息香酸酸塩やナフトエ酸塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息香酸塩が、炭化水素溶媒への優れた溶解性のために好ましい。
【0013】上記アルミノオキサンとしては、例えば下記一般式(I)または一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
【0014】
【化1】

【0015】この一般式(I)あるいは(II)で表されるアルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。アルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げることができ、メチルアルミノオキサンが特に好ましい。
【0016】重合触媒は、上記コバルト化合物とアルミノオキサン以外に、ホスフィン化合物を含有することが極めて好ましい。ホスフィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造および結晶性の制御に有効な成分であり、好ましくは下記一般式(III)で表される有機リン化合物を挙げることができる。
【0017】P(Ar)n(R´)3-n ……(III)一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
【0018】
【化2】

【0019】(上記基において、R1,R2,R3は、同一または異なって、水素原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルコキシ基または炭素数が好ましくは6〜12のアリール基を表す。)
また、一般式(III)中、R´はシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
【0020】一般式(III)で表されるホスフィン化合物としては、具体的に、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン)、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。
【0021】また、コバルト化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
【0022】
【化3】

【0023】上記一般式(IV)で表される化合物は、塩化コバルトに対し上記一般式(III)においてnが3であるホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。このコバルト化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトとホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られる1,2−ポリブタジエンの1,2−結合の量、結晶化度の制御を行なうことができる。
【0024】上記一般式(IV)で表されるコバルト化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ドデシルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどを使用することができる。
【0025】これらのうち、特に好ましいものとしては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどが挙げられる。
【0026】触媒の使用量は、ブタジエンの単独重合の場合は、ブタジエン1モル当たり、共重合する場合は、ブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとの合計量1モル当たり、コバルト化合物を、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度使用する。また、ホスフィン化合物の使用量は、コバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)として、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜20である。さらに、アルミノオキサンの使用量は、コバルト化合物のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比(Al/Co)として、通常、4〜107、好ましくは10〜106である。なお、一般式(IV)で表される錯体を用いる場合は、ホスフィン化合物の使用量がコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)が2であるとし、アルミノオキサンの使用量は、上記の記載に従う。
【0027】重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】重合温度は、通常、−50〜120℃で、好ましくは−20〜100℃である。重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%である。また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられる1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
【0029】本発明に用いられる(A)´1,2−ポリブタジエンの重量平均分子量は、好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは1万〜150万、特に好ましくは5万〜100万である。重量平均分子量が1万未満では油展後の流動性が極端に高く、以後の加工が非常に困難となり、一方、500万を超えると油展後の流動性が極端に低く、加工が非常に困難となり好ましくない。
【0030】上述した(A)´1,2−ポリブタジエンを油展して、本発明の(A)油展1,2−ポリブタジエンを調製するために用いる伸展油としては、ジエン系重合体に対して通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限はないが、例えば、鉱物油系の伸展油を好適例として挙げることができる。
【0031】鉱物油系の伸展油としては、好ましくは粘度比重恒数(または粘度比重定数という。以下、V.G.C.と略す。)で0.790〜0.999、さらに好ましくはV.G.C.が0.790〜0.949、特に好ましくはV.G.C.が0.790〜0.912のものである。伸展油としては、一般にアロマティック系伸展油、ナフテン系伸展油、パラフィン系伸展油が知られている。
【0032】このうち、上記粘度比重恒数を満たすアロマティック系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エクソンモービル(有)製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石(株)製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学(株)製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、日本石油(株)製の、コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル110,同120、三菱石油(株)製の、三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0033】また、上記粘度比重恒数を満たすナフテン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル(有)製のナプレックス38、富士興産(株)製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石(株)製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学(株)製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、日本石油(株)製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、三菱石油(株)製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0034】さらに、上記粘度比重恒数を満たすパラフィン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産(株)製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石(株)製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学(株)製の、ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル(有)製のナプレックス32、三菱石油(株)製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0035】このように、(A)´1,2−ポリブタジエンが伸展油によって油展されていることにより、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を1,2−ポリブタジエンに均一に微分散させることが可能になり、加工性や成形品の諸特性を著しく向上させることができる。また、これにより、驚くべきことに、得られる(A)油展1,2−ポリブタジエンや成形品は、流動性、特に形状追従性が顕著に向上するほか、機械的強度、特に剛性(制振性,鋼鈑補強性),発泡性(隙間充填性)が著しく向上させることができる。
【0036】本発明に用いられる伸展油の配合量は、(A)´1,2−ポリブタジエン100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部、特に好ましくは20〜70重量部である。1重量部未満では、基層に対する形状追従性、流動性、発泡性(隙間充填性)向上効果や加工性に乏しく、一方、200重量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。
【0037】油展方法としては特に制限はなく、例えば、(A)´1,2−ポリブタジエンの重合溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する方法を挙げることができる。この方法は、操作上、1,2−ポリブタジエンと伸展油とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる点から好ましい。重合体溶液に伸展油を添加する場合は、重合の終了後、例えば、末端変性剤の添加後または重合停止剤の添加後が好ましい。有機溶剤を含む重合体溶液中に、伸展油を必要量添加して、溶液状態でよく混合する(第1工程)。次に、■伸展油を含む重合体溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング法によってクラムを得るか、あるいは■伸展油を含む重合体溶液をエクストルーダー、デボラチライザーなどの手段により、直接、脱溶剤を行なって、油展1,2−ポリブタジエンと溶剤とを分離する(第2工程)。得られた油展1,2−ポリブタジエンは、必要に応じて、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し(第3工程)、目的とする(A)油展1,2−ポリブタジエンを単離することができる。また、油展方法として、1,2−ポリブタジエンと伸展油とを溶融状態でブレンドして、(A)油展1,2−ポリブタジエンを調製することもできる。この場合、ブレンド方法としては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、バンバリー、ロール、ニーダー、プラストミルなどが採用され、溶融混練温度は140〜160℃が好適である。
【0038】(B)上記(A)´成分以外の熱可塑性重合体;ここで、本発明で用いられる(B)熱可塑性重合体としては、(A)´成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0039】このうち、上記(A)´成分以外の熱可塑性樹脂としては、可塑化する温度が50〜450℃の熱可塑性樹脂であれば、特に制限無く使用でき、例えばスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体など)、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、飽和ポリエステル樹脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物など)、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどの1種または2種以上の混合物が挙げられる。熱可塑性樹脂の中で好ましいものは、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂である。
【0040】また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントの化学組成による分類によれば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBCと略記される。以下、括弧内は略記号を表す)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)などが挙げられる。また、そのほか、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、イオンクラスター型熱可塑性エラストマー(アイオノマー)、フッ素樹脂を拘束ブロックとして含むフッ素系熱可塑性エラストマーなどがある(なお、樹脂/ゴムブレンドによる熱可塑性エラストマーのうち、ソフトセグメントとなるゴム分を架橋させながら混練し、ゴム分散粒径を細かくすることにより性能を向上させる動的架橋によるTPOをTPVと言う場合がある)。これら熱可塑性エラストマーは、1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】SBCとして好ましいものは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、官能基付与型SEBS(f−SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、ランダムタイプの水素添加型スチレン・ブタジエンポリマー(HSBR)である。
【0042】TPOとして好ましいものは、PP、PEなどのポリオレフィンにEP、EPDM、EBM、EBDMなどのエラストマーを混合しバンバリーやプラストミルなどの混合機でコンパウンドした単純ブレンド型TPO(s−TPO)、ハードセグメントであるオレフィンモノマーを重合し、次いで同一のプラントまたは同一の反応器でソフトセグメントであるオレフィンモノマーを重合する(順序は逆であってもよい)インプラント化TPO(i−TPO)、バンバリーやプラストミルなどの混合機で、混合と同時にゴムを加硫して作った動的加硫型TPO(TPV)である。さらにTPVとして好ましくは、ハードセグメントにPP、ソフトセグメントにEPDMを組み合わせたPP−EPDM(以下、左側記載がハードセグメント、右側記載がソフトセグメント)、PP−ニトリルゴム(NBR)、PP−アクリルゴム(ACM)、PP−天然ゴム(NR)、PP−ブチルゴム(IIR)、PE−EPDM、PE−NR、ナイロン−NBR、ナイロン−ACM、ポリエステル−クロロプレン(CR)、PVC−NBRである。
【0043】TPUとして好ましいものは、ハードセグメントに用いられるジイソシアネートがトルエンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるもの、1,6ヘキサメチレンジイソシアネートであるもの、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートであるもの、p−フェニレンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであるもの、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジシソシアネートであるもの、1,5’ナフタレンジイソシアネートであるもの、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネートであるもの、リジンジイソシアネートであるもの、およびこれらの2種以上の混合物であるものである。
【0044】TPEEとして好ましいものは、ハードセグメントが芳香族系結晶性ポリエステルでありソフトセグメントとしてポリエーテルを用いるポリエステル・ポリエーテル型TPEE、ハードセグメントが芳香族系結晶性ポリエステルでありソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いるポリエステル・ポリエステル型TPEE、ハードセグメントが液晶分子でありソフトセグメントが脂肪族系ポリエステルである液晶性TPEEである。さらに好ましくは、ポリエステル・ポリエーテル型TPEEとしてはハードセグメントがブタンジオールとテレフタル酸ジメチルの重縮合体、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルの重縮合体、ブタンジオールと2,6−ナフタレンジカルボン酸の重縮合体、エチレングリコールと2,6ナフタレンジカルボン酸の重縮合体のいずれかまたは混合物であり、ソフトセグメントがポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコールのいずれか、または混合物である。ポリエステル・ポリエステル型TPEEとしてさらに好ましくは、ハードセグメントはポリエステル・ポリエーテル型TPEEと同じであるが、ソフトセグメントがポリラクトンタイプの脂肪族系ポリエステルである。また、液晶性TPEEとしてさらに好ましくは、ハードセグメントがサーモトロピック液晶ポリマーであり、特にジヒドロキシ−パラクォーターフェニルのような低分子液晶化合物を使用し、ソフトセグメントに脂肪族系ポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーである。
【0045】TPAEとして、好ましくはハードセグメントがポリアミドであり、ソフトセグメントがTgの低いポリエーテルやポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーであり、さらに好ましくはハードセグメントがナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン−12であり、ソフトセグメントがポリエーテルジオール、ポリエステルジオールであり、特に好ましくは、ソフトセグメントがジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペート)グリコールの内少なくとも1種からなるものである。
【0046】TPVCとして、好ましくはハードセグメントに高分子量のポリ塩化ビニル(以下、PVCと略す)を用いて微結晶部分で架橋点の働きを持たせソフトセグメントに可塑性剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントに部分架橋または分岐構造を導入したPVCを用いソフトセグメントに可塑剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントにPVCをもちいソフトセグメントに部分架橋NBRなどのゴムおよび/またはTPU、TPEEなどのTPEを用いたもの単独で、あるいは2種以上を混合したものがある。
【0047】また、天然ゴムとしては、特に制限無く使用できるが、例えば、アラビアゴム、インドゴムなどの1種または2種以上の混合物が挙げられる。また、合成ゴムとしては、特に制限無く使用できるが、例えば、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、エチレン−α−オレフィン−(ジエン)共重合体(例えば、EPM、EBM、EOM、EPDM、EBDMなど)、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物−(α−オレフィン)共重合体(例えば、SBR、SBS、SEBSなど)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなど)、液状ブタジエンゴム,液状アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの1種または2種以上の混合物が挙げられる。上記熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴムなどは、1種あるいは2種以上の混合物として使用することもできる。
【0048】本発明の樹脂層において、(A)油展1,2−ポリブタジエンと(B)他の熱可塑性重合体の配合割合は、(A)成分が1〜99重量部、好ましくは10〜90重量部、(B)成分が99〜1重量部、好ましくは90〜10重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。このような(B)熱可塑性重合体を上記の範囲で用いることにより、本発明に好適な制振性、鋼鈑補強性、吸音性、遮音性、シール性に優れた積層体用樹脂層および隙間充填樹脂層を得ることができる。
【0049】(C)架橋剤:本発明の(C)架橋剤としては、例えば硫黄または加熱により硫黄を生成させる化合物と加硫促進剤の組み合わせ、有機過酸化物、および有機過酸化物と多官能性モノマーの組み合わせの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0050】硫黄としては、粉末硫黄,沈降性硫黄,コロイド硫黄,表面処理硫黄などが使用でき、また加熱により硫黄を生成させる化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが使用できる。硫黄や加熱により硫黄を生成させる化合物に併用する加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS),N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS),ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS),2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT),ジンクジ−n−ブチルジチオカーバイト(ZnBDC),ジンクジメチルジチオカーバイト(ZnMDC)などである。ここで、加硫促進剤の使用量は、硫黄または加熱により硫黄を生成させる化合物100重量部に対し、通常、0.1〜300重量部、好ましくは0.5〜200重量部である。
【0051】有機過酸化物架橋配合の場合、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α'−ジ−t−ブチルパーオキシ−ジ−p−ジイソプロピルベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが使用できる。また、有機過酸化物架橋の場合は、同時に種々の多官能性モノマーなどを添加してもよい。多官能性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリメアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレートなどである。この場合の多官能性モノマーの使用量は、有機過酸化物に対し、通常、1/1〜50/1モル比、好ましくは2/1〜40/1モル比(多官能モノマー/有機過酸化物)程度である。
【0052】(C)架橋剤の使用量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、通常、0.001〜50重量部、好ましくは0.01〜50重量部である。0.001重量部未満では、架橋が不十分で剛性(制振性,鋼鈑補強性)を損ね目的とする樹脂層が得られない。一方、50重量部を超えると、貯蔵安定性が損なわれと同時に積層体は脆くなり本発明の目的が達成できない。なお、本発明に用いられる樹脂層は、上記(A)〜(C)成分を必須成分として含有するが、必要に応じて、さらに、下記(D)〜(G)成分を配合してもよい。
【0053】(D)軟化剤:(D)軟化剤は、(A)油展1,2−ポリブタジエンに用いられる以外の伸展油であり、本発明の樹脂層に、別途、配合することができる。この伸展油としては、(A)成分において用いられる伸展油と同様の種類を挙げることができる。この場合、伸展油の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、0〜300重量部、好ましくは1〜100重量部程度である。
【0054】(E)無機充填剤:本発明の樹脂層に配合される(E)無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラー、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。(E)無機充填剤の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、通常、0〜300重量部、好ましくは1〜200重量部である。(E)無機充填剤としては、中でも、カーボンブラックとシリカとの併用、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーの使用またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカとの併用が好ましい。
【0055】カーボンブラックとしては、ファーネス法により製造されたものであって、窒素吸着比表面積が50〜200m2/g、DBP吸油量が80〜200ml/100gのカーボンブラックが好ましく、例えば、FEF,HAF,ISAF,SAFクラスなどのものを挙げることができる。中でも、高凝集タイプのものが好ましい。
【0056】カーボンブラックの配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、2〜100重量部、さらに好ましくは5〜95重量部である。
【0057】シリカとしては、例えば、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成ケイ酸塩系シリカなどを挙げることができる。補強効果の高いのは粒子径の小さいシリカであり、小粒子・高凝集タイプ(高表面積、高吸油性)のものが重合体ヘの分散性が良好で、物性および加工性の面で好ましい。シリカの平均粒径は、一次粒子径で、好ましくは、5〜60μm、さらに好ましくは、10〜35μmである。また、その比表面積(BET法)は、好ましくは、45〜280m2/gである。
【0058】シリカの配合量は、(A)成分〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは、30〜95重量部である。
【0059】また、カーボンブラックとシリカとを併用して配合することも可能であり、その際の配合量は、カーボンブラックとシリカの合計量として、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは30〜95重量部である。
【0060】本発明の樹脂層に、上記カーボンブラックとシリカを上記の範囲で配合することにより、これら補強作用のある充填剤が、重合体に均一に微分散し、ロール加工性、押出性などに優れ、成形品の機械的強度を向上させ、さらに耐摩耗性に優れたものとすることができる。
【0061】また、上記樹脂層においては、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラー(Dual Phase Fi11er:カーボン−シリカ二重相フィラー)を単独で、またはカーボンブラックおよび/またはシリカと併用して配合することができる。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを配合することにより、それ単独で用いた場合であっても、カーボンブラックとシリカとを併用したときと同様な優れた利点を得ることができる。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーは、カーボンブラックの表面に、シリカを化学結合させた、いわゆるシリカ・コーティング・カーボンブラックであり、キャボット社から商品名CRX2000,CRX2002,CRX2006として市販されている。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーの配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは30〜95重量部である。
【0062】また、上記樹脂層では、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーをそれ以外の充填剤と併用することができる。併用できる充填剤としては特に制限はなく、例えば、上述のカーボンブラックおよび/またはシリカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。中でも、カーボンブラックおよび/またはシリカが好ましい。これらの併用できる充填剤は、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーと合わせて、(A)成分〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、3〜100重量部、さらに好ましくは、5〜95重量部である。
【0063】上記充填剤として、シリカを配合する場合、またカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを配合する場合は、シランカップリング剤を配合することが好ましく、その配合量は、シリカおよび/またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラ−100重量部に対して、好ましくは、1〜20重量部、さらに好ましくは、5〜15重量部である。
【0064】シランカップリング剤としては、分子中にアルコキシシリル基などのシリカ表面と反応可能な官能基とポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基などの、重合体の炭素−炭素二重結合と反応可能な官能基を併せ持ったものが好ましい。例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどを挙げることができる。このようなシランカップリング剤を用いることにより、カーボンブラックとシリカを併用して充填剤に使用した場合に、またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを充填剤に使用した場合に、その補強効果を高めることができる。
【0065】(F)他の添加剤:本発明の樹脂層には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、瀝青物、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、耐光(候)剤、抗菌剤などを添加することができる。
【0066】本発明に使用可能な瀝青物としては、自動車制振材に多用されているストレートアスファルト、ブローンアスファルトおよびこれらと無機物質とのコンパウンドが挙げられる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤を挙げることができるが、ダイオキシン問題を考慮するとハロゲンを含まないリン系難燃剤、無機系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤として、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェートなど、およびその縮合体、リン酸アンモニウムおよびその縮合体、ジエチルN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネートなどを例示することができる。無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、カオリン・クレー、炭酸カルシウム、明ばん石、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウムなどを例示することができる。上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
【0067】本発明の樹脂層は、酸化防止剤を使用することにより製品寿命を長くすることが可能である。この場合に使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが挙げられるが、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。上記のフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチル化ビスフェノールA、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ノニルフェノール)、2,2′−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(2−メチル−6−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンゼン)スルフィド、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、ビス[3,3−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェノール)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ビス[2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−t−ブチルベンゼン)−4−メチル−6−t−ブチルフェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシアミド)、N−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、モノ(α−メチルベンゼン)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、ビス(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチル−フェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のジエチルエステルなどが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部当たり、0.1〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.2〜5重量部である。
【0068】本発明に使用可能な滑剤としては、押出し安定性を付与するために一般的に使用されるパラフィン系および炭化水素樹脂、金属石けん、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪族金属塩などが挙げられる。着色剤としては、無機顔料および有機顔料の中から、適宜選択して使用する。以上の(F)他の添加剤の配合割合は、特に限定されるものではないが、それぞれ、上記(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、0〜80重量部、好ましくは1〜70重量部である。以上(D),(E)および(F)成分の合計量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し1〜600重量部、好ましくは3〜500重量部である。
【0069】(G)発泡剤:発泡剤としては、本発明の樹脂組成物の組成によって異なるが、例えば、発泡剤としては、それ自体公知の無機発泡剤または有機発泡剤を用いることができる。発泡剤の具体例として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソテレフタルアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド類などを挙げることができる。なかでも、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、スルホニルヒドラジド類がより好ましいものである。これらの発泡剤は、尿素、尿素誘導体などの公知の発泡助剤と併用してもよい。発泡剤の配合量は、成形材料のポリマーの種類、成形品の用途によって異なるが、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対して、1〜300重量部、好ましくは2〜300重量部である。発泡剤の使用量が少ないと発泡倍率が低い発泡体しか得られず、一方、300重量部より多いと発泡剤の分解によって発生するガスが多くなり、ガス圧が異常に高くなり過ぎて、得られる発泡体に亀裂が生ずることがある。また、組成物を発泡させる方法として、炭酸ガス、水などを所定量含有させ、種々の成形方法により発泡成形体を得る方法がある。例えば、射出成形の場合、炭酸ガスを(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、0.5重量部程度含有させた組成物は、可塑化・溶融された状態で計量部にあるときは高温、高圧により発泡しないが、射出成形により金型内に充填される際、圧力低下により含有されていた炭酸ガスが気化し、成形品内部が発泡した成形品を得ることができる。
【0070】本発明の積層体に用いられる樹脂層の架橋物は、JIS K 6301(C型)で測定した硬度が、好ましくは50〜98さらに好ましくは60〜96である。50未満では、制振性,鋼鈑補強性が本特許の内容を満足しないものであり、一方、98を超えると、脆く実使用時時に破損など問題を生じ好ましくない。架橋物の硬度は、(C)成分により、容易に調整することができる。また、本発明に用いられる樹脂層は、基層に対する形状追従性に優れる。この形状追従性は、実施例で示される方法で測定されるが、好ましくは30度〜120度の頂点角度を有する所定の治具にフィットする、さらに好ましくは30度未満〜120度の頂点角度を有する所定の治具にフィットするものである。120度を超えると、形状追従性に劣る。この形状追従性は、本特許の(A)〜(D)成分により、容易に調整することができる。
【0071】本発明の樹脂組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機、加硫装置などを用いることができる。すなわち、(A)油展1,2−ポリブタジエンと(B)他の熱可塑性重合体とともに混合される(C)架橋剤、充填剤、軟化剤、発泡剤などの配合方法、配合順序としては、例えば、予め押出機やバンバリーミキサーなどで(A)〜(B)成分を、通常、50〜120℃、好ましくは60〜100℃で溶融ブレンドさせたものをバンバリーミキサーなどを用いて、充填剤、軟化剤などと配合した後、ロールなどを用いて(C)架橋剤、(G)発泡剤などを加える方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。このようにして得られる未架橋配合物は、カレンダーロール、押し出し機などを用いて、例えばシート状などに成形される。
【0072】積層体本発明の積層体は、自動車鋼鈑などの基層上の一方または両面に、上記のようにして得られる未架橋のシートを貼り付け、熱媒体中で架橋(および発泡)を行うことにより得られる。熱媒体としては、熱空気、熱窒素などの熱気体、熱流動パラフィンなどの熱流体、細ガラスビーズなどの熱細粒子などが使用できるが、これらのなかでは、熱気体、特に熱空気が好ましい。また、マイクロ波による加熱でもよい。加熱温度は、通常、120〜250℃、好ましくは140〜180℃、加熱時間は、15〜120分、好ましくは20〜90分である。この際、架橋(発泡)物の厚みは、乾燥膜厚で、通常、0.1〜20mm、好ましくは0.2〜15mm程度である。本発明の積層体は、上記(A)油展1,2−ポリブタジエンを含有しているため、流動性、形状追従性に優れており、制振性、吸音性、遮音性、シール性、鋼鈑補強性という効果を奏する。
【0073】なお、本発明の積層体は、上記基層と樹脂層との間に、アスファルト層を介在させてもよい。アスファルトとしては、ストレートアスファルト,ブローンアスファルトを応用した制振材用アスファルトなどが挙げられる。アスファルト層を介在させることにより、制振性能補助およびコストダウンという効果が得られる。アスファルト層の厚みは、通常、0.1〜20mm、好ましくは0.2〜15mm程度である。
【0074】隙間充填方法本発明隙間充填方法としては、例えば一面もしくは相対する面を有する金属などの基層面の一方または両面に、本発明の発泡剤を含有する樹脂層のシートを貼り付け、その後、このシート面どうしを貼り合わせる。次いで、上記と同様の加熱条件によって、架橋・発泡させ、所定の隙間を充填するものである。本発明の隙間充填方法としては、このほか、基層により構成される凹部などの隙間に、樹脂層を貼り付け、または放置などの手段により充填し、上記と同様の加熱条件によって、充填された樹脂層を架橋・発泡させる方法、樹脂層内部に既設の連泡スポンジを圧縮し発泡補助を行わせる方法、垂直面発泡の場合、樹脂層が効率よく発泡するように樹脂層の下部に基層を施し垂れを防止する方法などが挙げられる。本発明の隙間充填方法によれば、本発明の樹脂層が隙間を充填し、遮音、吸音、防音、断熱効果を発現することができる。なお、発泡体の発泡倍率は、1.5〜30倍、好ましくは2〜25倍である。
【0075】本発明の架橋あるいは架橋発泡可能な積層体は、遮音材、防音材、制振材、鋼鈑補強材、隙間充填材、防振材、シール材などとして好適であり、その他の用途としては、各種ライニング、工業用品、自動車内装材、道路材、建材、日用品、運動用品、玩具、などにも広く使用することができる。また、本発明の隙間充填方法によれば、流動性、形状追従性に優れた本発明の樹脂組成物を用いて、基層間の隙間を容易に充填することができる。
【0076】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
【0077】(1)1,2−ビニル結合含有量赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
(2)重量平均分子量ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ウォーターズ社製、244型)を用いて、ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量(Mw)を求めた。
(3)メルトフローインデックス(MI)
ASTM DI238に準拠した(条件:150℃、21.2N)
【0078】(4)混練加工性ロール巻き付き性を評価した。
使用ロール;ラボ10インチテストロール機表面温度=90±5℃ロール間隔=2.0mm ゴムよけ幅=250mm回転数 フロントロール:バックロール=224:20rpm評価基準は、室温迄冷却したコンパウンド1kgがロールにタイトに巻き付くまでの時間で評価した。
◎:5分以内に巻き付く。
○:5分を超え7分以内に巻き付く。
△:7分を超え10以内に巻き付く。
×:10分を超えてからかかる。
【0079】(5)架橋硬度JIS K 6301 スプリングかたさ試験(C形)に準拠した。
◎:70以上○:60〜69△:50〜59×:50未満(6)形状追従性(材料の流動性の指標)
長さ150mm,幅100mm,厚さ1mmの鋼鈑が、30゜,45゜,60゜,90゜,120゜の頂点角度を有する山形形状に加工されたものを用い、この頂点角度上に試料を置き、試料が頂点角度にフィットする状態を判定した。
◎:30゜ 〜120゜未満の角度にフィットし試料外観形状に異常が無い。
○:45°〜120°未満の角度にフィットし、試料外観形状に異常が無い。
△:90°〜120°未満の角度にフィットし、試料外観形状に異常が無い。
×:120゜以上の角度にフィットしない。
【0080】(7)発泡倍率(隙間充填性:発泡時の粘度が主要因子→流動性と因果関係大)
発泡後の試料の厚みを発泡前の試料厚みで除した値を判定指標とした。
◎:10倍以上○:5倍以上10倍未満△:2倍以上5倍未満×:2倍未満【0081】発泡外観発泡倍率評価サンプルの表面外観で評価した◎:発泡ガス抜けの痕が殆ど無く、円い山形の発泡形態をとる。
○:発泡ガス抜けが目につくが、円い山形の発泡形態をとる。
△:発泡ガス抜けが目につき、発泡形態も悪い。
×:ガス抜けが多く殆ど発泡していない。
【0082】(8)鋼鈑密着性(油面)
表面が平滑な鋼鈑上に防錆オイルを塗布(防錆オイルがたれない程にオイルを含浸したガーゼで3度塗布)した上に、4cm角2mm厚の試料をおき、150℃雰囲気下×30min.処理(架橋発泡)を行う。その後、室温下に2時間放置した試料の鋼鈑密着性を3kg/cmの力と50mm/min.の速度で剥離し評価した。
◎:界面剥離無く凝集破壊○:一部界面剥離し殆どは凝集破壊△:半分界面剥離×:全て界面剥離【0083】(9)制振性SPC鋼鈑/発泡アスファルト/樹脂層=0.8mm厚/3mm厚/2mm厚の積層体を用い、インピーダンス法(JAS法)にて損失係数を求めた。
◎:0.4以上○:0.3〜0.39△:0.2〜0.29×:0.2未満【0084】(10)加熱落ち込み性(架橋流動性評価)
60mmΦがくり抜かれた1mm鋼鈑(支柱つき)上に100mm角×2mm厚試料をおき、150℃×30min.の条件で架橋流動性を評価する。鋼鈑密着試料面と落ち込んだ頂点の距離で判定した。
◎:15mm超える○:10〜15mm△:5〜10mm×:5mm未満【0085】(11)試料の調製実施例,比較例に用いた試料は、以下のとおりである。
(1)油展RB A1,2−ビニル結合含有量=90%、重量平均分子量20万、伸展油量=30重量%、伸展油=冨士興産フッコールフレックス#2050PN、MI=11(2)油展RB B1,2−ビニル結合含有量=90%、重量平均分子量15万、伸展油量=30重量%、伸展油=冨士興産フッコールフレックス#2050PN、MI=15(3)油展RB C1,2−ビニル結合含有量=90%、重量平均分子量30万、伸展油量=30重量%、伸展油=冨士興産フッコールフレックス#2050PN、MI=5(4)RB810JSR(株)製、1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合含有量=90%、重量平均分子量=18万、MI=2.9)
(5)TR2000JSR(株)販売、スチレン−ブタジエンブロックポリマー(結合スチレン=40%、マルチブロックタイプ)
(6)液状ポリブタジエン出光石油化学(株)製 R−45M 数平均分子量3,000〜4,000(7)SBR1507JSR(株)製 スチレン−ブタジエンゴム(結合スチレン=23.5%、ムーニー粘度ML1+4(100℃)
(8)亜鉛華堺化学工業(株)製 酸化亜鉛1号
(9)ステアリン酸旭電化(株)製 融点71〜72℃ 白色粉末(10)炭酸カルシウム丸尾カルシウム(株)製 スーパーS 吸油量23cc/100g(11)タルク日本タルク(株)製 含水ケイ酸マグネシウム タルクSW(12)FEFカーボンブラック旭カーボン(株) 旭#60(13)ストレートアスファルト昭和シェル(株) 製 針入度60〜80(14)ジエチレングリコール日本触媒(株)製 SG=1.18(15)硫黄鶴見化学工業(株)製 金華印微粉硫黄(16)加硫促進剤TMTD:大内新興(株)製 ノックセラーTTMBT:同上 ノックセラーMMBTS:同上 ノックセラーDM (17)パーオキサイド パークミルD:日本油脂(株)製 半減期117℃ パーヘキサ3M:同上 半減期 90〜95℃(18)ハイクロスM精工化学(株)製、トリメチロールプロパントリメタクリレート(多官能モノマー)
【0086】実施例1〜6、比較例1〜6表1に示す実施例1〜2、比較例1〜2は樹脂拘束材(樹脂層)を基層に積層してなる積層体に関し、表2に示す実施例3〜4、比較例3〜4は鋼鈑補強材(樹脂層)を基層に積層してなる積層体に関し、表3に示す実施例5〜6、比較例5〜6は隙間充填材(樹脂層)を基層に積層してなる積層体に関する。表1〜3に示した配合処方に従い、架橋剤・架橋促進剤・(発泡剤)を除く配合剤をバンバリーミキサーにて温度90〜130℃下に5分間混練りを行った後70〜90℃の温度条件下10インチロール機にて所定の添加量を添加し未架橋樹脂層を作製した。作製した未架橋樹脂層を所定の形状に成形し基層上に置き、150℃熱循環オーブン中で30分熱処理を行い架橋(発泡)し積層体を得た。結果を表1〜3に示す。
【0087】表1は、樹脂拘束材樹脂層配合の例である。本発明の樹脂層である実施例1〜2は、本発明の油展RB−Aを用いた例であり、従来のRB810に較べ、混練り加工性,流動性の指標である加熱落ち込み性,形状追従性に優れ好ましい。架橋で向上する架橋硬度、制振性は実施例1〜2および比較例1〜2共に良好で差はない。表2は、鋼鈑補強材樹脂層配合の例である。本発明の樹脂層である実施例3〜4は、本発明の油展RB−Bを用いた例であり、従来のRB810に較べ、流動性の指標である形状追従性に優れ好ましい。さらに、架橋で向上する鋼鈑密着性(油面)でも、この実施例は比較例に比し優れ好ましい。混練り加工性,架橋硬度は実施例3〜4および比較例3〜4ともに良好で差はない。表3は、隙間充填スポンジ用樹脂層配合の例である。本発明の樹脂層である実施例5〜6は、本発明の油展RB−Cを用いた例であり、従来のRB810に較べ混練り加工性において、室温まで冷却したコンパウンドをロール機にタイトに巻き付けるまでの時間がより好ましい結果を呈した。実施例5〜6は、対応する比較例5〜6に比し、流動性の指標である架橋発泡倍率(流動性が優れる程発泡性も優れる)に優れ好ましい。発泡外観は実施例,比較例共に良好であるが、実施例5は特に好ましいものであった。架橋で向上する鋼鈑密着性は、実施例5〜6が比較例5〜6より優れ好ましいものであった。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
【発明の効果】本発明の積層体は、従来の1,2−ポリブタジエンの特徴である優れた機能を有し、さらに流動性、形状追従性に優れた油展1,2−ポリブタジエンを含有する樹脂組成物を用いているため、複雑な形状を有する基層に対しても、均一に積層することができ、制振性、防振性、遮音性、防音性に優れ、遮音材、防音材、制振材、鋼鈑補強材、隙間充填材、防振材、シール材などとして好適であり、その他の用途としては、各種ライニング、工業用品、自動車内装材、道路材、建材、日用品、運動用品、玩具、などにも広く使用することができる。また、本発明の隙間充填方法によれば、流動性、形状追従性に優れた本発明の樹脂組成物を用いて、基層間の隙間を容易に充填することができる。
【出願人】 【識別番号】000004178
【氏名又は名称】ジェイエスアール株式会社
【住所又は居所】東京都中央区築地2丁目11番24号
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100085224
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 重隆
【公開番号】 特開2003−1762(P2003−1762A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−189868(P2001−189868)