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ポリアセタール樹脂/熱可塑性エラストマー複合成形体及びその成形方法 - 特開2003−1761 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ポリアセタール樹脂/熱可塑性エラストマー複合成形体及びその成形方法
【発明者】 【氏名】西 芳夫
【住所又は居所】静岡県富士市宮島973 ポリプラスチックス株式会社内

【氏名】川口 邦明
【住所又は居所】静岡県富士市宮島973 ポリプラスチックス株式会社内

【氏名】上田 尚貴
【住所又は居所】静岡県富士市宮島973 ポリプラスチックス株式会社内

【要約】 【課題】融着性が向上したポリアセタール樹脂からなる成形体部位と熱可塑性エラストマーからなる成形体部位との界面の融着性が向上した複合成形体を提供すること。

【解決手段】ポリアセタール(共)重合体(A1)99.9〜0重量%、および分子中に1〜200mmol/kgのカルボシキル基を有する変性ポリアセタール(共)重合体(A2)0.1〜100重量%からなるポリアセタール樹脂(A)(A1とA2の合計は100重量%である)からなる成形体部位と、熱可塑性エラストマー(B)からなる成形体部位とが融着してなる複合成形体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアセタール(共)重合体(A1)99.9〜0重量%、および分子中に1〜200mmol/kgのカルボシキル基を有する変性ポリアセタール(共)重合体(A2)0.1〜100重量%からなるポリアセタール樹脂(A)(A1とA2の合計は100重量%である)からなる成形体部位と、熱可塑性エラストマー(B)からなる成形体部位とが融着してなる複合成形体。
【請求項2】 ポリアセタール(共)重合体(A1)が、ホルムアルデヒドまたは一般式(CH2O)n〔但し、nは3以上の整数〕で表されるホルムアルデヒドの環状オリゴマー(両者を併せてホルムアルデヒド誘導体(a)と称す)を単独重合すること、又は、ホルムアルデヒド誘導体(a)と環状エーテルおよび/または環状ホルマールからなるコモノマー(c)を共重合することによって得られる(共)重合体である請求項1記載の複合成形体。
【請求項3】 変性ポリアセタール(共)重合体(A2)が、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物(b)の存在下で、ホルムアルデヒド誘導体(a)を単独重合すること、又は、ホルムアルデヒド誘導体(a)とコモノマー(c)を共重合することによって得られる変性(共)重合体である請求項l又は2記載の複合成形体。
【請求項4】 化合物(b)が、グリコール酸、乳酸、α−オキシイソ酪酸、β−オキシイソ酪酸、オキシピバル酸、12−オキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリセリン酸、酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の複合成形体。
【請求項5】 熱可塑性エラストマー(B)が、極性基を有する熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項l〜4のいずれか1項記載の複合成形体。
【請求項6】 極性基を有する熱可塑性エラストマーがポリエステル系熱可塑性エラストマー(B1)であることを特徴とする請求項5項に記載の複合成形体。
【請求項7】 熱可塑性エラストマー(B)が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(B1)を20重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合成形体。
【請求項8】 熱可塑性エラストマー(B)が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(Bl)100重量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B2)及び/又はオレフイン系熱可塑性エラストマー(B3)の合計0〜400重量部とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合成形体。
【請求項9】 請求項1〜4のいずれか1項に示されたポリアセタール樹脂(A)と請求項1および5〜8のいずれか1項に示された熱可塑性エラストマー(B)を二色射出成形することを特徴とする複合成形体の成形方法。
【請求項10】 請求項1〜4のいずれか1項に示されたポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形品を金型内に設置した後、請求項1および5〜8のいずれか1項に示された熱可塑性エラストマー(B)を二次射出成形すること、又は請求項1および5〜8のいずれか1項に示された熱可塑性エラストマー(B)からなる一次成形品を金型内に設置した後、請求項1〜4のいずれか1項に示されたポリアセタール樹脂(A)を二次射出成形することを特徴とする請求項9に記載の複合成形体の成形方法。
【請求項11】 ポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形品を80℃以上に予熱した状態で金型内に設置した後、熱可塑性エラストマー(B)を、ポリアセタール樹脂(A)の融点以上の温度で、二次射出成形することを特徴とする請求項10に記載の複合成形体の成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子中にカルボキシル基を有する変性ポリアセタール(共)重合体を含むポリアセタール樹脂からなる成形体部位に熱可塑性エラストマーからなる成形体部位が融着してなる複合成形体、及びその成形方法に関する。該複合成形体はポリアセタール樹脂からなる成形体部位と熱可塑性エラストマーからなる成形体部位との融着性に優れる。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリングプラスチックの一種であるポリアセタール(POM)樹脂は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性、成形性等において優れた特性を有しており、主に構造材料や機構部品として電気・電子機器、自動車部品、事務機器部品、日用雑貨部品などに幅広く使用されている。一方、熱可塑性エラストマーは柔軟性、耐水性、耐寒性などに優れており、多くの用途に使用されている。この種の熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系などが知られている。射出成形法は複雑な形状の成形品でも成形することができ、かつ大量生産に適するものであり、前記したポリアセタール樹脂や熱可塑性エラストマーにも射出成形法が適用され、各種の機構部品が効率良く製造されたり、エラストマー成形体が特に生産性良く成形されている。近年、合成樹脂(プラスチック)製部品や部材の高性能・高機能化の要求が厳しくなり、その中でエンジニアリングプラスチックと熱可塑性エラストマーとの複合化についても注目されている。そして、複合化には、両者に共通した成形手段である射出成形法により両者を相互に熱融着(単に融着とも言う。)させることが最も効果的である。
【0003】しかしながら、一般に熱可塑性のエンジニアリングプラスチックと熱可塑性エラストマーとの熱融着性は必ずしも良くない。特に、ポリアセタール樹脂は結晶性が高く、表面活性が乏しく、他樹脂との親和性も低いため、熱可塑性エラストマーとの複合成形品ではその接合面において十分な接着強度や融着強度が得られないという問題がある。このためポリアセタール樹脂と熱可塑性エラストマーを複合化して付加価値の高い複合部品、複合部材などの複合成形体を製造しようとする場合、例えば両者の接合部に凹凸の係止部を設けて機械的に接合する方法、ポリアセタール樹脂成形品側接合面を火炎処理や熱風処理などの方法で粗面化したり官能基を付与する方法或いは両者の接合部に接着剤を適用する方法など、非生産的な接合手段や表面が劣化しやすい手段を採用せざるを得ないのが現状である。例えば、前記した凹凸の係止部などを設けて機械的に接合する方法は、金型構造が複雑になったり、或いは構造によっては工程数が多くなるなどの問題がある。また最終の複合成形体の形状からみて強力な結合構造とすることができないこともある。また、接着剤を用いる接合方法は、接着剤の塗布などの工程を要すると共に、接着剤の劣化などもあって接合強度が低下する場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の如き課題を解決し、融着性が向上したポリアセタール樹脂からなる成形体部位と熱可塑性エラストマーからなる成形体部位との界面の融着性が向上した複合成形体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアセタール樹脂と熱可塑性エラストマーとの融着性や接着性を向上させた複合成形体を得るためには、ポリアセタール樹脂の合成時に特定の成分を加えて共重合することによりポリマー骨格を変性し、ポリマー自体にこれらの性質を付与することが課題解決の重要な鍵を握るものと推測した。本発明者らは、鋭意検討した結果、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物を共重合させて、ポリマー骨格にカルボシキル基を導入した変性ポリアセタール(共)重合体を含有するポリアセタール樹脂を使用することにより、前記の課題が解決され、ポリアセタール樹脂からなる成形体部位と熱可塑性エラストマーからなる成形体部位とが強固に融着可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第1は、ポリアセタール(共)重合体(A1)99.9〜0重量%、および分子中に1〜200mmol/kgのカルボシキル基を有する変性ポリアセタール(共)重合体(A2)0.1〜100重量%からなるポリアセタール樹脂(A)(A1とA2の合計は100重量%である)からなる成形体部位と、熱可塑性エラストマー(B)からなる成形体部位とが融着してなる複合成形体を提供する。本発明の第2は、ポリアセタール(共)重合体(A1)が、ホルムアルデヒドまたは一般式(CH2O)n〔但し、nは3以上の整数〕で表されるホルムアルデヒドの環状オリゴマー(両者を併せてホルムアルデヒド誘導体(a)と称す)を単独重合すること、又は、ホルムアルデヒド誘導体(a)と環状エーテルおよび/または環状ホルマールからなるコモノマー(c)を共重合することによって得られる(共)重合体である本発明の第1の複合成形体を提供する。本発明の第3は、変性ポリアセタール(共)重合体(A2)が、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物(b)の存在下で、ホルムアルデヒド誘導体(a)を単独重合すること、又は、ホルムアルデヒド誘導体(a)とコモノマー(c)を共重合することによって得られる変性(共)重合体である本発明の第l又は2の複合成形体を提供する。本発明の第4は、化合物(b)が、グリコール酸、乳酸、α−オキシイソ酪酸、β−オキシイソ酪酸、オキシピバル酸、12−オキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリセリン酸、酒石酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である本発明の第3の複合成形体を提供する。本発明の第5は、熱可塑性エラストマー(B)が、極性基を有する熱可塑性エラストマーであることを特徴とする本発明の第l〜4のいずれかの複合成形体を提供する。本発明の第6は、極性基を有する熱可塑性エラストマーがポリエステル系熱可塑性エラストマー(B1)であることを特徴とする本発明の第5の複合成形体を提供する。本発明の第7は、熱可塑性エラストマー(B)が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(B1)を20重量%以上含むことを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかの複合成形体を提供する。本発明の第8は、熱可塑性エラストマー(B)が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(Bl)100重量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B2)及び/又はオレフイン系熱可塑性エラストマー(B3)の合計0〜400重量部とからなることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかの複合成形体を提供する。本発明の第9は、本発明の第1〜4のいずれかに示されたポリアセタール樹脂(A)と本発明の第1および5〜8のいずれかの熱可塑性エラストマー(B)を二色射出成形することを特徴とする複合成形体の成形方法を提供する。本発明の第10は、本発明の第1〜4のいずれかに示されたポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形品を金型内に設置した後、本発明の第1および5〜8のいずれかに示された熱可塑性エラストマー(B)を二次射出成形すること、又は請本発明の第1および5〜8のいずれかに示された熱可塑性エラストマー(B)からなる一次成形品を金型内に設置した後、本発明の第1〜4のいずれかに示されたポリアセタール樹脂(A)を二次射出成形することを特徴とする本発明の第9の複合成形体の成形方法を提供する。本発明の第11は、ポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形品を80℃以上に予熱した状態で金型内に設置した後、熱可塑性エラストマー(B)を、ポリアセタール樹脂(A)の融点以上の温度で、二次射出成形することを特徴とする本発明の第10の複合成形体の成形方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
I.ポリアセタール樹脂(A)
本発明に用いられるポリアセタール樹脂(A)は、変性ポリアセタール(共)重合体(A2)、及び、必要に応じて用いられるポリアセタール(共)重合体(A1)からなる。
【0008】ポリアセタール(共)重合体(A1)
上記、必要に応じて用いられるポリアセタール(共)重合体(A1)は、通常のポリアセタール単独重合体またはポリアセタール共重合体である。即ち、ポリアセタール(共)重合体(A1)は、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物で、ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を含有するコポリマー(コポリマーはランダム、ブロック、これらの混合構造を含む)、ターポリマーの何れにてもよく、又分子が直鎖状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよい。ポリオキシメチレンホモポリマー、コポリマー、ターポリマーを区別する必要が無い場合には、単に、ポリアセタールという。
【0009】ポリアセタールホモポリマー一般に、ポリアセタールホモポリマーは、ホルムアルデヒド誘導体(a)の重合により製造される。ホルムアルデヒド誘導体(a)としては、具体的には、無水ホルムアルデヒド、一般式(CH2O)n〔但し、nは3以上の整数〕で表されるホルムアルデヒドの環状三重体であるトリオキサン等が挙げられる。
【0010】ポリアセタールコポリマーポリアセタールコポリマーは、反復基(−CH2O−)に、下記一般式(i):【化1】

(式中、R1およびR2は、それぞれ水素、低級アルキルおよびハロゲン置換低級アルキル基よりなる群から選ばれ、二つずつあるR1またはR2は、それぞれ異なっていてもよく;R3はアルキレン、オキシアルキレン、低級アルキルおよびハロアルキル置換メチレン、並びに低級アルキルおよびハロアルキル置換オキシアルキレン基よりなる群から選ばれ、mは0〜3の整数であり、各低級アルキル基は炭素数の1〜2のものである。また、ポリマー鎖中の反復基(i)が複数ある場合は、反復基(i)は同じであっても異なっていてもよい。)で示される反復基(i)が、ランダム又はブロックに存在する構造を有する。ポリアセタールコポリマーは、一般的には、前記ホルムアルデヒド誘導体(a)とコモノマー(c)を共重合することによって得られる。コモノマー(c)としては、環状エーテル及び環状ホルマール等が挙げられ、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;及びプロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−へキサンジオールホルマール等の環状ホルマールが挙げられる。これらは混合して使用してもよい。中でもエチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。コモノマー(c)の使用量は、得られるポリアセタールコポリマーの剛性、耐薬品性等を考慮すると、ホルムアルデヒド誘導体(a)100重量部に対して1種又は2種以上で合わせて0〜20重量部、好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0011】また、上記ポリアセタールの製造においては、通常、メチラール等の分子量調整成分を併用して重合したり、更にジグリシジルエーテル化合物等の従来公知の分岐・架橋を形成しうる多官能性化合物を加えて重合することも可能である。分子量調整成分としては、従来公知の低分子量アセタール化合物等が挙げられ、具体的には、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテル等のアルコキシ基を有する化合物が挙げられる。
【0012】上記ポリアセタールの製造は、触媒の存在下に行われる。触媒としては、一般にカチオン重合触媒が用いられ、具体的には、四塩化鉛、四塩化スズ、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三塩化バナジウム、三塩化アンチモン、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物、過塩素酸、アセチルパークロレート、t−ブチルパークロレート、ヒドロキシ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の無機および有機酸、トリエチルオキソニウムテトラフロロボレート、トリフェニルメチルヘキサフロロアンチモネート、アリルジアゾニウムヘキサフロロホスフェート、アリルジアゾニウムテトラフロロボレート等の複合塩化合物、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルキル金属塩、ヘテロポリ酸、イソポリ酸等の1種又は2種以上が挙げられる。中でも三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジオキサネート、三フッ化ホウ素アセチックアンハイドレート、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯化合物等の三フッ化ホウ素配位化合物が好ましい。これらのカチオン重合触媒はそのままでも、有機溶剤等で予め希釈して用いることもでき、その調製方法は特に限定されない。
【0013】上記ポリアセタールの製造方法は、特に限定されるものではないが、一般的には液状化したトリオキサン、コモノマー(c)を、触媒を用いて、塊状重合させ、固体粉塊状のポリアセタールを得る。重合装置は特に限定されるものではなく、公知の装置が使用され、バッチ式、連続式等、いずれの方法も可能である。また、重合温度は65〜135℃に保つことが好ましい。
【0014】重合後のポリアセタール中の触媒の失活は、重合反応後、重合機より排出される反応生成物、あるいは、重合機中の反応生成物に塩基性化合物或いはその水溶液等を加えて行う。重合触媒を中和し失活するための塩基性化合物としては、アンモニア、或いはトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン等のアミン類、或いはアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物塩類、その他公知の触媒失活剤が用いられる。また、重合反応後、生成物にこれらの水溶液を速やかに加え、失活させることが好ましい。かかる重合方法および失活方法の後、必要に応じて更に、洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。得られたポリアセタールは、さらに、加水分解などによる不安定末端部の分解除去または安定物質による不安定末端の封止等、必要に応じて公知の方法にて安定化処理される。
【0015】上記ポリアセタールは、メルトインデックスが0.1〜1,000g/l0min、好ましくは0.2〜500g/l0minである。
【0016】上記ポリアセタールには、通常、酸化防止剤、耐熱安定剤(分解防止剤)、耐候(光)安定剤等の各種安定剤を配合する。各種安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、カルボン酸塩等が挙げられ、これらは、1種または2種以上併用してもよい。
【0017】変性ポリアセタール(共)重合体(A2)
次に、本発明に用いられる変性ポリアセタール(共)重合体(A2)は、ポリアセタール分子中にカルボシキル基を導入したものであり、例えば上記のようなポリアセタールホモポリマー又はコポリマーの製造において、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物(b)を加えて重合すること、又は、ポリアセタールの末端に化合物(b)を反応させることにより得られ、好ましくは前者の方法で得られたものである。
【0018】1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物(b)としては、脂肪族オキシカルボン酸、脂環族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸等が挙げられるが、特に脂肪族オキシカルボン酸が好ましい。脂肪族オキシカルボン酸としては、具体的には、モノオキシモノカルボン酸、モノオキシジカルボン酸、モノオキシトリカルボン酸、ジオキシモノカルボン酸、ジオキシジカルボン酸、ジオキシトリカルボン酸、トリオキシモノカルボン酸、トリオキシジカルボン酸、トリオキシトリカルボン酸等が挙げられる。その中でも特に好ましくは、モノオキシカルボン酸の一種であるグリコール酸、乳酸、α−オキシイソ酪酸、β−オキシイソ酪酸、オキシピバル酸、12−オキシステアリン酸、またモノオキシジカルボン酸の一種であるリンゴ酸、或いはモノオキシトリカルボン酸の一種であるクエン酸、ジオキシモノカルボン酸の一種であるグリセリン酸、更にはジオキシジカルボン酸の一種である酒石酸である。
【0019】変性ポリアセタール(共)重合体(A2)は、必要に応じてラクトン(b’)を添加して重合することもできる。ラクトン(b’)としては、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α−オキシ−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これにより、ポリエステル系、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの熱可塑性エラストマーとの融着性や接着性を改善することができる。
【0020】1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基を有する化合物(b)を加えて重合することによる変性ポリアセタール(共)重合体(A2)の製造方法、後処理方法等は、ポリアセタール(共)重合体(A1)の場合と同様である。
【0021】変性ポリアセタール(共)重合体(A2)は、少なくともlmmol/kg以上、好ましくは2〜200mmol/kgのカルボキシル基を有する。200mmol/kgを超えて変性すると、ポリアセタール(共)重合体の有する優れた性質を阻害するようになり、一方1mmol/kg未満では変性の効果が現れない。カルボシキル基の定量は、後記のように、1H−NMR測定によって行うことができる。上記変性ポリアセタール(共)重合体(A2)は、メルトインデックスが0.1〜1000g/l0min、好ましくは0.2〜500g/l0minである。
【0022】ポリアセタール樹脂(A)
ポリアセタール樹脂(A)は、上記ポリアセタール(共)重合体(A1)99.9〜0重量%および変性ポリアセタール(共)重合体(A2)0.1〜100重量%、好ましくは、ポリアセタール(共)重合体(A1)95〜5重量%および変性ポリアセタール(共)重合体(A2)5〜95重量%からなる(A1とA2の合計は100重量%である)。一般に、ポリアセタール樹脂(A)中の変性ポリアセタール(共)重合体(A2)の含有率は、(共)重合体(A2)の変性度(カルボキシル基の導入率)によって適正値が異なる。カルボシキル基導入率の低い(共)重合体(A2)は比較的高分子量のものが得られ、(共)重合体(A2)の含有率も多くするのが好ましく、またカルボシキル基導入率の高い(共)重合体(A2)は一般に比較的低分子量であり、(A2)の含有率も少なくするのが適切である。
【0023】更に本発明では、ポリアセタール樹脂(A)には、用途に応じてその物性を改善するため、公知の各種の添加物を配合し得る。添加物の例を示せば、各種の安定剤、着色剤、滑剤、離型剤、核剤、界面活性剤、異種ポリマー、有機高分子改良剤及び無機、有機、金属等の繊維状、粉粒状、板状の充填剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できる。
【0024】II.熱可塑性エラストマー(B)
本発明において用いられる熱可塑性エラストマー(B)としては、例えば、ポリエステル系エラストマー(B1)、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどの極性の高いエラストマー;ポリスチレン系エラストマー(B2);ポリオレフィン系エラストマー(B3);塩ビ系エラストマーなどが挙げられる。これらは、2種以上併用してもよい。熱可塑性エラストマー(B)としては、構成ポリマー分子中に極性基、例えば−C(=O)O−、−NHC(=O)O−基、−NHC(=O)−基を有するエラストマーが適しており、特に好ましくはポリエステル系エラストマー(Bl)である。ポリエステル系エラストマー(B1)は、単一でも、他エラストマー成分との複数併用系であってもよく、他エラストマー成分の中で好ましいのは、ポリスチレン系エラストマー(B2)及びポリオレフィン系エラストマー(B3)である。
【0025】ポリエステル系エラストマー(Bl)
ポリエステル系エラストマー(Bl)としては、下記のポリエステル系エラストマー■や■等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマー■:ハードセグメントが芳香族ポリエステルブロック(d)で、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルブロック(e)で構成されるポリエステル・ポリエーテル型ブロック共重合体。
ポリエステル系エラストマー■:ハードセグメントが芳香族ポリエステルブロック(d)で、ソフトセグメントが脂肪族(鎖式又は脂環式からなる)ポリエステルブロック(f)で構成されるポリエステル・ポリエステル型ブロック共重合体。その中でも、特にポリエステル系エラストマー■が柔軟性や成形性などにおいて優れており、好ましい。上記芳香族ポリエステルブロック(d)は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主成分とする重縮合体からなるものである。芳香族ジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−又は2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、またはそのアルキルエステルが挙げられ、これらは併用してもよい。ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、へキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール等が挙げられ、これらは併用してもよい。上記脂肪族ポリエーテルブロック(e)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などのポリアルキレンエーテルグリコールからなるものである。上記非芳香族ポリエステルブロック(f)は、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオール、及び/又は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはその環状エステルからなるものである。脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの鎖式脂肪族ジカルボン酸;へキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられ、これらは併用してもよい。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの鎖式脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール等が挙げられ、これらは併用してもよい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、ε−オキシカプロン酸等が挙げられ、その環状エステルとしてはε−カプロラクトンなどが挙げられ、これらは併用してもよい。ポリエステル系エラストマー(B1)としては、公知の方法により製造されたもので、例えば、「ハイトレル」(東レ・デュボン社製商品名);「ペルプレンS」、「ペルプレンP」(東洋紡績社製商品名);「グリラックスE」(大日本インキ化学工業社製商品名);「ヌーベラン」(帝人社製商品名)等として市販されているものから適宜選択して用いることができる。
【0026】ポリスチレン系エラストマー(B2)
ポリスチレン系エラストマー(B2)としては、公知のスチレン系エラストマー、即ち、ハードセグメントがスチレン系化合物の重合体ブロックで、ソフトセグメントが共役ジエン化合物の重合体ブロックで構成されるスチレン−共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物が挙げられ、中でも、前記ポリエステル系エラストマーとの相性の面から水素添加物が好ましい。上記スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレンなどが挙げられ、中でも、スチレンが好ましい。上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられ、中でも、ブタジエン、イソプレン、またはこの両者の併用のものが好ましい。スチレン−共役ジエンブロック共重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。また、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、上記スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物などが挙げられる。更には、これらと共重合可能な極性基を有するコモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸等と共重合した変性共重合体も好ましく用いられる。ポリスチレン系エラストマー(B2)は、公知の方法により製造されたもので、例えば、「クレイトンG」(シェルジャパン社製商品名)、「タフテック」(旭化成社製商品名)、「セプトン」、「ハイブラー」(両者ともクラレ社製商品名)等として市販されているものから、適宜選択して用いることができる。なお、本発明におけるスチレン系エラストマー(B2)としては、前記スチレン系エラストマーにプロピレン系樹脂、炭化水素系ゴム用軟化剤、及び無機フィラーなどを配合したコンパウンドとして市販されている。例えば、「クレイトンGコンパウンド」(シェルジャパン社製商品名)、「タフテックコンパウンド」(旭化成社製商品名)、「ラバロン」(三菱化学社製商品名)、「住友TPE(SBシリーズ)」(住友化学工業社製商品名)等も挙げられる。
【0027】ポリオレフィン系エラストマー(B3)
ポリオレフィン系エラストマー(B3)としては、公知の方法により製造されたもので、例えば、ハードセグメントがプロピレン系樹脂で、ソフトセグメントがエチレン系ゴムで構成される混合物、またはその部分架橋物が挙げられる。上記プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1,ヘキセン−1、ヘプテン−1,オクテン−1などの炭素数2〜10程度の他のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。上記エチレン系ゴムとしては、例えば、エチレンと、プロピレン、ブテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−l、ヘプテン−l、オクテン−lなどの炭素数3〜10程度のα−オレフィンとの共重合体;及び、これらに、更に5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエンを共重合した共重合体、例えばEPDMなどが挙げられる。更には、これらと前記で例示したような共重合可能な極性基を有するコモノマーと共重合した変性共重合体も好ましく用いられる。ポリオレフィン系エラストマー(B3)は、公知の方法により製造されたもので、炭化水素系ゴム用軟化剤や無機フィラーなどを配合したコンパウンドとして、例えば、「ミラストマー」(三井化学社製商品名)、「サーモラン」(三菱化学社製商品名)、「住友TPE」(住友化学工業社製商品名)等として市販されているものから、適宜選択して用いることができる。
【0028】更に、本発明における熱可塑性エラストマー(B)には、目的とする用途に応じて公知の各種安定剤や添加物を配合し得る。安定剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤(分解防止剤)、耐候(光)安定剤などが挙げられる。また添加物としては、例えば、各種の可塑剤、着色剤、滑剤、離型剤などや無機、有機、金属等の繊維状、粉粒状、板状の充填材などが挙げられる。可塑剤としては、炭化水素系ゴム用軟化剤を挙げることができる。炭化水素系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者の混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイル、ナフテン環炭素数が全炭素中の30〜50%のものがナフテン系オイル、芳香族炭素数が全炭素中の30%以上ものが芳香族系オイルと、それぞれ分類されている。これらの中では、パラフィン系オイルを用いることが耐候性の点より好ましい。無機系の充填材としては、タルク、マイカ、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、ガラスバルーン等を挙げることができる。この中でも、炭酸カルシウムを用いることが柔軟性とのバランスの点で好適である。
【0029】III.複合成形体本発明の複合成形体は、ポリアセタール樹脂(A)からなる成形体部位と熱可塑性エラストマー(B)からなる成形体部位を有し、両成形体部位が融着してなる複合成形体である。複合成形体の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形など熱的に融着する条件が設定されている成形方法であれば、いずれを用いて製造してもかまわないが、生産性の観点から射出成形法が好ましい。具体的には、一次側成形部分を一次側樹脂で、二次側成形部分を二次側樹脂で交互に射出成形する二色成形法;予め一次側樹脂で成形された一次成形体を金型内に挿入し、一次成形体の周囲に二次側樹脂を射出成形して該一次成形体と一体化させるインサート成形法;又は予め一次側樹脂で成形された一次成形体を金型内に挿入し、一次成形体の一部または複数の部分に二次側樹脂を射出成形して該一次成形体と一体化させるアウトサート成形法などが挙げられる。成形品の形状、構造や目的とする用途により、一次側樹脂としてポリアセタール樹脂(A)を、二次側樹脂として熱可塑性エラストマー(B)を使用しても、その逆の組み合わせであってもよい。しかし、一般には硬質のポリアセタール樹脂(A)にて一次成形体を成形し、次いで軟質の熱可塑性エラストマー(B)にて二次成形する方が複合成形体の形崩れや二次成形時または二次成形後における変形を防止する上で好ましい。
【0030】両成形体部位を強固に熱融着させるためには、二次成形において、熱可塑性エラストマー(B)の樹脂温度によって、ポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形体の接合面の表層(界面)部が溶融することが必要である。このため、二次成形における熱可塑性エラストマー(B)の樹脂温度は、少なくともポリアセタール樹脂(A)の融点以上、好ましくは融点より20〜100℃高く、さらに望ましくは50〜90℃高くする。樹脂温度を上げる方法または保温する方法としては、射出する樹脂自体の温度を許容できる範囲で上げる方法の他、ホットランナー金型を用いる方法、射出された後の樹脂を保温又は加熱する方法がある。後者としては、界面部の保温に影響する金型部分に断熱材を用いる方法、該金型部分に加熱媒体を通したりヒーターによる加熱手段を設けることが挙げられる。金型温度をある程度高くすることにより、熱可塑性エラストマー流動時の熱量ロスが減少するため、一次成形体であるポリアセタール樹脂(A)の後記する予熱による相乗効果により、熱融着性の向上が期待される。ただし、金型温度を高くすると、熱可塑性エラストマー(特にスプル、ランナー)の離型性が低下する。この場合はホットランナーを用いることにより、離型性の問題も解消され、熱融着性が一定した成形体を安定して得ることができる。また金型温度をさらに高くすることも基本的には可能であり、熱融着性が更に向上することが期待される。その他、成形サイクルを上げるため、金型の急加熱、急冷却の温調システムを併用することも可能である。すなわち熱可塑性エラストマーの射出成形時は金型温度を高くし、該射出成形終了と同時に金型を急冷却し、熱可塑性エラストマー、特にスプル、ランナーの固化を促進させることにより、ホットランナーを用いた場合と同様の効果を得ることができる。また、熱融着性を向上させるためには、二次成形時におけるポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形体の持つ熱量をできるだけ多くすることが好ましい。特にインサート成形法やアウトサート成形法においては、一次成形体を金型挿入前または挿入後に、変色や寸法変化が問題とならない範囲で十分予熱しておくことが望ましく、熱可塑性エラストマー(B)の射出時に、ポリアセタール樹脂(A)からなる一次成形体の表面温度は80℃以上、好ましくは110℃以上、ポリアセタール樹脂(A)の融点未満となるようにする。金型挿入前の予熱方法としては、熱風加熱、超音波加熱、熱線加熱等が挙げられ、金型挿入後の予熱方法としては金型の内部又は外面を加熱する公知の手段が使用可能であり、具体的には、加熱された媒体を金型の内部又は外面に通過させる加熱、電熱による加熱、金型の外面の高周波、超音波、熱線などによる加熱等が挙げられる。上記媒体としては、水、塩化カルシウム水溶液のような無機液体;アルキル化芳香族炭化水素、ポリエチレングリコール、シリコンオイル、動、植物油のような有機液体;水蒸気、空気のような気体等が挙げられる。これらは、樹脂の種類、成形品の大きさ等により、適宜選択される。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ポリアセタール(共)重合体(A1)(表2以下ではPOM(A1))としては、ポリプラスチックス株式会社製ジュラコン(登録商標)M90を使用した。変性ポリアセタール(共)重合体(A2)は、下記製造例によって製造した。
【0032】(製造例1〜7)外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、下記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分を表1に示す割合で加え、更に分子量調節剤としてメチラール、及び触媒の三フッ化ホウ素0.005重量部を重合機に連続的に供給しながら塊状重合を行った。
(a)成分:トリオキサン(b)成分:b-l:グリコール酸b-2:α−オキシ−イソ酪酸b-3:グリセリン酸b-4:リンゴ酸(c)成分c-1:1,3−ジオキソランc-2:エチレンオキシド【0033】
【表1】

【0034】重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリアセタール共重合体を得た。次いで、この粗ポリアセタール共重合体100重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を4重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert-ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕を0.3重量部添加し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し、不安定部分を除去した。得られたポリアセタール共重合体は、ヘキサフルオロイソプロパノール−d2を溶媒とするlH−NMR測定により、カルボキシル基隣接部のプロトンピークシフトを分析し、その構造は、カルボキシル基が主鎖に導入されていることを確認した。またカルボキシル基含有量は該プロトンピーク強度から算出した。上記で得た変性ポリアセタール(共)重合体100重量部に、安定剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕0.03重量部及びメラミン0.15重量部を添加し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し、ペレット状の変性ポリアセタール(共)重合体(POM(A2−1)〜POM(A2−7))を得た。
【0035】[実施例1〜8](使用樹脂)ポリアセタール樹脂(A)としては、表2に示すように、上記で製造した変性ポリアセタール(共)重合体(A2−1)単独、又は変性ポリアセタール(共)重合体(A2−1)とポリアセタール(共)重合体(A1)とのペレットブレンドによる混合物を使用した。熱可塑性エラストマー(B)としては、表2に示すように、下記のもの単独、又はそれらのペレットブレンドによる混合物を使用した。
A:ポリエステル系エラストマー(TPEE)(ハイトレル4057、東レ・デユポン製)
B:ポリエステル系エラストマー(TPEE)(ハイトレル3046、東レ・デユポン製)
C:スチレン系エラストマー(TPS)(住友TPE SB7615、住友化学工業社製)
D:スチレン系エラストマー(TPS)(セプトン2043、クラレ社製)
E:オレフィン系エラストマー(TPO)(ミラストマー9070N、三井化学社製)
(複合成形体の成形)初めに、上記ポリアセタール樹脂(A)を使用して、長さ130mm、幅13mm、厚み3.2mmの短冊状一次成形試験片を成形した。一次成形試験片は、予熱を行う場合には予熱温度120℃で行った(表2で「有り」に相当)。ついでこの短冊状試験片を金型内に設置して、上記熱可塑性エラストマー(B)により二次成形を行い、長さ130mm、幅13mm、厚み6.4mmの成形試験片を得た。
成形条件一次成形(ポリアセタール樹脂(A))
シリンダ温度:200℃金型温度:80℃射出速度:0.6m/min保圧力:50MPa射出・保圧時間:20秒冷却時間:20秒二次成形(熱可塑性エラストマー(B))
シリンダ温度:250℃金型温度:60℃射出速度:10m/min保圧力:20MPa射出・保圧時間:15秒冷却時間:40秒(複合成形体の試験)
試験方法上記で作成した試験片の剥離強さを下記による90゜剥離試験により評価した。結果を表2に示す。
剥離試験条件装置:オリエンテツク社製RTM−100試験速度:100mm/min雰囲気温度:23℃試験は二次成形終了後、試験片を温度23℃、湿度50%環境下に48時間放置後実施。
【0036】[比較例1〜9]ポリアセタール樹脂(A)として、表2に示すように、ポリアセタール(共)重合体(A1)のみを使用した以外は実施例と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】表2から判るように、複合成形体のポリアセタール樹脂(A)からなる成形体部位と、熱可塑性エラストマー(B)からなる成形体部位とが融着した強度は、剥離試験の結果、変性ポリアセタール(共)重合体(A2)を含有する場合には剥離強さが向上すること、特に予熱して融着することによりさらに向上することが判った。これは、変性ポリアセタール(共)重合体(A2)中のカルボキシル基が有効に作用し、ポリアセタール側界面と熱可塑性エラストマー側界面の相溶性が向上したためと推察される。
【0039】
【発明の効果】以上の説明及び実施例により明らかなように、カルボシキル基を導入して変性した変性ポリアセタール成分を含有したポリアセタール樹脂と熱可塑性エラストマーを組合せることにより、従来には無かった熱融着性に優れた双方の複合成形体の製造が可能となる。また該複合成形体は他のポリアセタール樹脂成形品や熱可塑性エラストマー成形品との接着性、融着性にも優れる。ポリアセタール樹脂と熱可塑性エラストマー双方の長所を併せ持つ複合成形体が効果的に提供されることにより、電気・電子機器、自動車部品、事務機器部品、日用雑貨部品などにおける新しい用途、例えばシーリング用途、ダンピング用途などに好適に使用し得る。
【出願人】 【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関三丁目2番5号
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100090491
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 良和
【公開番号】 特開2003−1761(P2003−1761A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−190505(P2001−190505)