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【発明の名称】 樹脂フィルム積層金属板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】堀内 哲雄
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【氏名】小阪 正樹
【住所又は居所】滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹脂株式会社長浜工場内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属板(A)の少なくとも一方の表面に、接着剤層(B)、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の順に構成された樹脂フィルム積層金属板であって、塩化ビニル樹脂組成物層(C)が、その含水率を0.5重量%以下とされて積層されたものであることを特徴とする、樹脂フィルム積層金属板。
【請求項2】 塩化ビニル樹脂組成物層(C)が、1〜20重量%の範囲で木粉が配合されたものである、請求項1に記載の樹脂フィルム積層金属板。
【請求項3】 金属板(A)の少なくとも一方の表面に、接着剤層(B)、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の順に構成された樹脂フィルム積層金属板を製造するにあたり、塩化ビニル樹脂組成物層(C)を金属板(A)に積層する直前に、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の含水率を0.5重量%以下に調節することを特徴とする、樹脂フィルム積層金属板の製造方法。
【請求項4】 塩化ビニル樹脂組成物層(C)に、1〜20重量%の範囲で木粉を配合する、請求項3に記載の樹脂フィルムと金属板との積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂フィルム積層金属板およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、木粉などを添加した樹脂フィルムと金属板との密着力を向上させた樹脂フィルム積層金属板、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂フィルムまたはシート(以下、併せて「フィルム」と略称する)と金属板とを積層した樹脂フィルム積層金属板は、電気製品、建築材料その他各種の分野で広く使用されている。金属板被覆用の樹脂フィルムとしては、塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂製のフィルムが使用されることが多い。樹脂フィルム積層金属板の意匠性を高めるために、樹脂フィルム積層金属板の用途、使用目的に応じて、(1)原料樹脂の着色、(2)樹脂フィルム表面への印刷および、(3)樹脂フィルム表面に凹凸エンボス加工をほどこす、(4)金属板表面に凹凸エンボス加工をほどこす、などのいずれかまたはこれらを組み合わせた手法が採用されている。
【0003】上記金属板積層用樹脂フィルムは、金属板を被覆加工する際に生じた切れ端などは、資源の有効利用を図る目的で、各樹脂とも単独でまたはこれに他の添加剤を追加配合して再生使用されている。積層用樹脂のうち塩化ビニル樹脂には、加工性を向上させる目的で、可塑剤が配合されることが多いので、他の添加剤としては木粉を容易に配合することができ、木粉を添加した塩化ビニル樹脂フィルムが商品化されている。しかし、木粉は塩化ビニル樹脂に比較して吸湿しやすいという性質があり、木粉を添加した塩化ビニル樹脂フィルムは、木粉を添加しない一般的な塩化ビニル樹脂フィルムの保管条件下においても吸湿しやすいという欠点がある。
【0004】木粉を添加した塩化ビニル樹脂フィルムを、合板などのように常温で他の材料と貼り合わせて用いる場合は、木粉による吸湿はそれ程問題とはならないが、金属との貼り合わせる場合には、貼り合わせる際に、通常200℃前後に加熱されるため、木粉中に含まれる水分が加熱により蒸気となり、金属板と樹脂フィルムとの貼り合わせ面の密着力を低下させるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとした課題】本発明者らは、かかる状況に鑑み、上記の諸欠点を解消した技術に提供することを目的として鋭意検討の結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。
1.木粉を添加した塩化ビニル樹脂フィルムと金属板との密着力を向上させた樹脂フィルム積層金属板を提供すること。
2.塩化ビニル樹脂を再使用する技術を提供すること。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、第1発明では、金属板(A)の少なくとも一方の表面に、接着剤層(B)、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の順に構成された樹脂フィルム積層金属板であって、塩化ビニル樹脂組成物層(C)が、その含水率を0.5重量%以下とされて積層されたものであることを特徴とする、樹脂フィルム積層金属板を提供する。
【0007】また、第2発明では、金属板(A)の少なくとも一方の表面に、接着剤層(B)、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の順に構成された樹脂フィルム積層金属板を製造するにあたり、塩化ビニル樹脂組成物層(C)を金属板(A)に積層する直前に、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の含水率を質量比で0.5%以下に調節することを特徴とする、樹脂フィルム積層金属板の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容をさらに詳細に説明する。本発明において金属板とは、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、各種のステンレススチール鋼、銅、銅合金、スズ、スズ合金などが挙げられる。金属板の厚さは、樹脂フィルム積層金属板の用途により、0.2mm〜5mmの範囲で選ぶことができ、幅や長さは樹脂フィルムとの積層作業性、樹脂フィルム積層金属板の用途などのより、広幅長尺の長方形、広幅長尺のロール状巻回物などであってもよい。
【0009】本発明において塩化ビニル樹脂とは、塩化ビニルの単独重合体のほか塩化ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これら例示したものに限定されるものではない。塩化ビニルの単独重合体は、その重合度が1000〜3000の範囲のものが好適である。塩化ビニル樹脂には、可塑剤、熱安定剤、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤などを配合することができ、特に可塑剤の配合量を調節することによって、硬質、半硬質、軟質の性質の異なる樹脂組成物とすることができるが、本発明ではこれらの総てが含まれる。
【0010】上記塩化ビニル樹脂には、木粉を配合するのが好ましい。木粉は、平均粒子径が小さいほど好ましく、後記する塩化ビニル樹脂組成物フィルムの厚さを超えるような寸法のものは、フィルム貫通した穴があくおそれがあるので好ましくない。平均粒子径は、50〜300μmの範囲が好適である。木粉の配合量は特に制約はないが、配合量を多くするとフィルム伸び、引張り強度などの物性が低下し、フィルム化作業や金属板との積層作業などが困難となるので、1〜20重量%の範囲で選ぶのが好ましい。
【0011】前記金属板(A)に積層する塩化ビニル樹脂組成物フィルム(B)を調製するには、上記塩化ビニル樹脂、木粉、可塑剤などの各種樹脂添加剤を、それぞれ所定量秤量し、ブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの混合機で混合し、押出機、加熱ロールなどで溶融・混練してフィルム化する。フィルムの厚さは、通常150〜450μm、木粉を添加する場合には、木粉の脱落による穴あきなどを防止するとの観点から、添加する木粉の最大寸法を超える厚さとするのが好ましい。
【0012】本発明に係る樹脂フィルム積層金属板は、前記金属板(A)に塩化ビニル樹脂組成物層(フィルム)(C)を積層する際に、両者の間に接着剤層(B)を介在させる。接着剤層(B)は、金属板(A)と塩化ビニル樹脂組成物フィルム(C)との界面の密着性を向上させるものであれば特に制限がない。使用できる接着剤としては、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ブタジエン系接着剤などが挙げられる。接着剤層(B)は、金属板(A)の表面または塩化ビニル樹脂組成物フィルム(C)の表面に、乾燥後の厚さが0.1〜5μmの範囲の薄膜として形成するのが好ましい。
【0013】金属板(A)の表面に塩化ビニル樹脂組成物層(C)を積層するには、金属板(A)を塩化ビニル樹脂組成物層(C)の溶融温度以上に加熱し、この金属板(A)表面に塩化ビニル樹脂組成物層フィルム(C)を重ね、加圧ロールなどで加圧して接着する。なお、塩化ビニル樹脂組成物層(C)は、金属板(A)に貼り合わせる直前に、含水率を0.5重量%以下に調節することが必要である。これは、貼り合わせる直前に、塩化ビニル樹脂組成物層(C)に含まれている水分を除去し、含水率を0.5重量%以下に調節しないと、金属板(A)の熱によって塩化ビニル樹脂組成物層(C)に含まれている水分が蒸発して、接着界面で両者の密着性を低下させ、樹脂積層金属板を目的の製品に加工する際の密着力を低下させたり、加工後の密着力を経時的に低下させたりするからである。
【0014】上のような問題を改良するためには、塩化ビニル樹脂組成物層(C)から水分を問題が起きない程度の含水率、すなわち0.5重量%以下にまで除去することが必要である。塩化ビニル樹脂組成物層(C)に含まれている水分を除去するには、これを金属板(A)に貼り合わせる直前に、水分が蒸発する温度に、かつ蒸発した水分が飛散する時間加熱すればよい。最も簡単な方法としては、ロール状に巻回した塩化ビニル樹脂組成物フィルムを巻き戻しつつ、連続的に100℃以上に加熱する方法である。この場合、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の溶融温度を超えてはならない。加熱方法としては、熱風炉、赤外線ヒーターなどによる方法などが挙げられる。
【0015】本発明に係る樹脂フィルム積層金属板は、電気製品のハウジング用、壁面材、間仕切り、ドアパネル、道路の雑音遮蔽板などの建築材料、などのほかその他各種の分野で広く使用することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を図面と、試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0017】図1は、本発明に係る樹脂フィルム積層金属板の一例についての、部分拡大縦断側面図である。図において、Aは金属板(A)、Bは接着剤層(B)、Cは塩化ビニル樹脂組成物層(C)である。
【0018】[試験例]
<塩化ビニル樹脂フィルムの製造と保管>まず、塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に対し、可塑剤(ジオクチルフタレート換算)50重量部、木粉15重量部、安定剤、顔料を各所定量秤量し、ヘンシェルミキサーで均一に混合してフィルム製造用樹脂組成物とした。ついで、得られた樹脂組成物を温度を160℃とした加熱ロール上で溶融・混練して、厚さが300μmのフィルムとした。上記方法で得られた塩化ビニル樹脂組成物フィルムを、表−1に示した湿度の異なる環境下に10日間保管し、塩化ビニル樹脂組成物層(C)に水分を吸収させ、異なる環境下に保管した3種類のフィルムにつき、含水率の分析結果を表−1に示した。
【0019】<金属板との積層試験>あらかじめポリエステル系接着剤層を、乾燥後の厚さが1μmの薄膜に形成し、200℃に加熱した溶融亜鉛メッキ鋼板(厚さ3mm)に、上記方法で保管した3種類のフィルムを加熱することなく、ロール間に挟んで積層し、得られた樹脂フィルム積層金属板につき、密着力を評価した結果を表−1に示した。また、200℃に加熱した溶融亜鉛メッキ鋼板に、上記方法で保管した3種類のフィルムを、160℃に加熱した金属ロールに沿わせて60秒加熱したあと含水率の分析し、これらのフィルムを200℃に加熱した溶融亜鉛メッキ鋼板に、ロール間に挟んで加圧積層し、得られた樹脂フィルム積層金属板につき、密着力を井型エクセリン法によって評価した。分析結果と密着力の評価結果を、表−1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】表−1より、次のことが明らかとなる。
(1)塩化ビニル樹脂組成物層(C)を金属板(A)に積層する直前に、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の含水率が0.5重量%以下のものは、塩化ビニル樹脂組成物層(C)と金属板(A)との界面の密着力にすぐれている。
(2)これに対して、塩化ビニル樹脂組成物層(C)を金属板(A)に積層する直前で、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の含水率が0.5重量%を越えるものは、塩化ビニル樹脂組成物層(C)と金属板(A)との界面の密着力に劣る。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る樹脂フィルム積層金属板は、金属板(A)の少なくとも一方の表面に、接着剤層(B)、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の順に構成された積層体において、塩化ビニル樹脂組成物層(C)の含水率を、0.3重量%以下としたのち、接着剤層(B)を介在させて金属板(A)に積層されているので、金属板(A)と塩化ビニル樹脂組成物層(C)の界面は密着力に優れている。
2.本発明に係る樹脂フィルム積層金属板は、塩化ビニル樹脂に木粉を配合して再使用することができるので、資源の有効利用を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目5番2号
【出願日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【代理人】 【識別番号】100084320
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 重光
【公開番号】 特開2003−1757(P2003−1757A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−192882(P2001−192882)