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【発明の名称】 耐熱性フレキシブル積層板の製造方法
【発明者】 【氏名】片岡孝介

【氏名】長谷直樹

【氏名】伏木八洲男

【要約】 【課題】熱ラミネート時に生じるシワ等の外観不良のないフレキシブル基板材料として好適な積層板の製造方法を提供する。

【解決手段】熱ロールラミネート装置を用いて耐熱性接着フィルムと銅箔等の金属材料(a)とを連続的に貼り合わせる際に、該装置の加圧面と被積層材料との間にアルミ箔等の金属材料(b)からなる保護材料を配置し200℃以上の加圧加熱成形を行い、前記保護材料と被積層材料とを密着させておき、冷却後に該保護材料を積層板から剥離するフレキシブル積層板の製造方法により達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】熱ロールラミネート装置を用いて耐熱性接着フィルムと金属材料(a)とを連続的に貼り合わせる際に、該装置の加圧面と被積層材料との間に金属材料(b)からなる保護材料を配置し200℃以上の加圧加熱成形を行い、前記保護材料と被積層材料とを密着させておき、冷却後に該保護材料を積層板から剥離するフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項2】保護材料と被積層材料との界面の密着強度が0.1から3N/cmの範囲となるよう密着させることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項3】金属材料(b)がアルミ箔である請求項1又は2に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項4】耐熱性接着フィルムが、接着成分中に熱可塑性ポリイミドを50重量%以上含有する耐熱性接着フィルムである請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【請求項5】金属材料(a)が、厚み50μm以下の銅箔を用いるものである請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブル積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加圧加熱成形装置で製造される積層板の製造方法に関する。特には、電子電気機器等に用いられる耐熱性フレキシブル積層板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子電気機器用印刷回路基板に用いられる積層板には、金属箔が熱硬化性樹脂等の熱硬化型接着剤によって貼付された積層板(以下、熱硬化型の積層板と表す)と、熱可塑性樹脂等の熱融着型接着剤によって貼付された積層板(以下、熱融着型の積層板と表す)がある。
【0003】熱硬化型の積層板の製造方法は、従来より種々研究されており、樹脂含浸紙、樹脂含浸ガラス布等と金属箔を多段プレスや真空プレスを用いてプレスし、その後、高温で数時間熱硬化させてリジッド積層板を得る方法や、ロール状の材料を1対の加熱ロールに挟んでラミネートし、その後、高温で数時間熱硬化させてフレキシブル積層板を得る方法、加熱ロールの代わりにダブルベルトプレス装置を用いて熱ラミネートする方法等が実施されている。その際、以下に示す問題を解決する目的で、装置の加圧面と被積層材料との間に保護材料を挟んで加圧加熱成形する場合がある。すなわち、金属箔表面の傷や打痕の発生(特開昭60−109835)や熱ラミネート後の硬化炉における積層板の反りの発生(特開平4−89254)、あるいは樹脂溜まりのある平滑性に乏しい樹脂含浸紙や樹脂含浸ガラス布等により滑らかなラミネート加工が阻害される等の問題が発生する場合に保護材料を用いるときがある。また、熱融着型では、特開平11−298114に、接着フィルムの片面に銅箔をシリコンゴムロールでラミネートする時、銅箔を貼らない面に保護フィルム(非熱可塑性のポリイミドフィルム)を配してラミネートを行う事例が記載されている。しかしながら、該公報の場合、この保護フィルムは、接着フィルムがラミネートロールに貼りつかないことを目的に使用している。
【0004】上記した熱硬化型の積層板を製造する場合、加圧加熱成形温度は200℃以下である場合が殆どである。この程度の加熱温度では、被積層材料にかかる熱応力が小さく、熱ラミネート時のシワ等の外観不良は発生しにくい。
【0005】ところが、熱融着型の積層板を製造する場合、接着層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加圧加熱を行わなければ熱融着ができない。一方、電子電気機器用積層板は、部品実装の過程で高温加熱を受けるので、接着層を構成する熱可塑性樹脂には少なくとも180℃以上のTgが求められる。更にその熱融着のためには200℃以上の熱ラミネート温度が必要となる。この様な高温でのラミネートでは、被積層材料の熱膨張・熱収縮の変化が大きくなり、ラミネートされた積層体にシワ等の外観不良を生じやすいという問題がある。
【0006】シワの発生原因をより詳しく説明すると、熱ロールラミネート機で銅箔と熱可塑性ポリイミドをラミネートする場合、熱ロールラミネート機の加熱加圧状態のプレスロール間を通過することで、銅箔と熱可塑性ポリイミドが貼り合わされる。ラミネート時、各被積層材料は熱によって膨張した状態にあるが、一般に銅箔の線膨張係数よりも熱可塑性ポリイミドの線膨張係数は大きいため、銅箔より面方向に大きく伸びた状態で熱可塑性ポリイミドは銅箔と熱ラミネートされ、逆に、冷却時には熱可塑性ポリイミドは銅箔より面方向に大きく縮む。このため、できた積層板は面方向にシワを生じる。これは、圧力が開放されるラミネート直後も、材料が熱を保持しており、その温度が熱可塑性ポリイミドのTgよりも高いために熱可塑性ポリイミドは流動状態にあり、シワの発生を抑止できないことも一因となっている。
【0007】このシワを抑制する方法として、ラミネート時に銅箔の外側に保護材料を配してラミネートする方法があり、この方法によると、ラミネート後の熱可塑性ポリイミドは収縮しようとするが銅箔の外側に保護材料があるために面方向の動きが抑制され、熱可塑性ポリイミドの動きが制限されてシワを抑制することができる。
【0008】熱可塑性ポリイミド樹脂の場合、そのTgが高いため、熱硬化型の接着フィルムを熱ラミネートする場合に比べて、240℃以上の高い温度でラミネートする必要がある。この温度になると、一般の安価な樹脂フィルムでは耐えることができなくなり、溶融もしくは脆化してしまう。そのため、ポリイミドフィルム、ポリアラミドフィルム等の耐熱性樹脂フィルムが使用される。しかしながら、耐熱性樹脂フィルムは高価であるため、保護材料として使用すると、耐熱性フレキシブル積層板自体の製造コストを上げてしまう問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記問題点に鑑み、熱ラミネート時に生じるシワ等の外観不良のないフレキシブル基板材料として好適な積層板の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記同様の系で保護材料として、ポリイミドフィルムより安価な金属箔を使用することによって耐熱性フレキシブル積層板の製造コストを下げることができることを見出し、本発明に達した。
【0011】すなわち本発明は、熱ロールラミネート装置を用いて耐熱性接着フィルムと金属材料(a)とを連続的に貼り合わせる際に、該装置の加圧面と被積層材料との間に金属材料(b)からなる保護材料を配置し200℃以上の加圧加熱成形を行い、前記保護材料と被積層材料とを密着させておき、冷却後に該保護材料を積層板から剥離するフレキシブル積層板の製造方法である。前記した保護材料と被積層材料との界面の密着強度は0.1から3N/cmの範囲となるよう密着させるのが好ましい。
【0012】金属材料(b)はアルミ箔であるのが好ましく、耐熱性接着フィルムは、接着成分中に熱可塑性ポリイミドを50重量%以上含有する耐熱性接着フィルムであるのが好ましい。また、金属材料(a)は、厚み50μm以下の銅箔を用いるものが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明する。本発明の製造方法で得られる積層板の用途は特に限定されるものではないが、主として電子電気用のフレキシブル積層板として用いられるものである。
【0014】耐熱性接着フィルムとしては、熱融着性を有する樹脂から成る単層フィルム、熱融着性を有さないコア層の両側に熱融着性を有する樹脂層を形成して成る複数層フィルム、紙、ガラスクロス等の基材に熱融着性を有する樹脂を含浸したフィルム等が挙げられるが、ガラスクロス等の剛性のある基材を使用すると屈曲性が劣ることより、フレキシブル積層板用の耐熱性接着フィルムとしては、熱融着性を有する樹脂から成る単層フィルム、熱融着性を有さないコア層の両側に熱融着性を有する樹脂層を形成して成る複数層フィルムが好ましい。熱融着性を有する樹脂から成る単層フィルム、熱融着性を有さないコア層の両側に熱融着性を有する樹脂層を形成して成る複数層フィルムとしては耐熱性を有するものが好ましく、接着成分が熱可塑性ポリイミド系成分から成るもの、例えば、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等が好適に用いられ得る。これらの耐熱性の熱可塑性樹脂を接着成分中の50%以上含有する耐熱性接着フィルムも本発明には好ましく用いられ、エポキシ樹脂やアクリル樹脂のような熱硬化性樹脂等を配合した耐熱性接着フィルムの使用も好ましい。各種特性の向上のために耐熱性接着フィルムには種々の添加剤が配合されていても構わない。
【0015】耐熱性接着フィルムの構成は、耐熱性の接着層を外側に有するものであれば、熱融着性の接着成分のみから成る単層でも構わないが、寸法特性等の観点から、熱融着性を有さないコア層の両側に熱融着性の接着層を有する3層構造のフィルムが好ましい。この熱融着性を有さないコア層は、耐熱性があれば特に限定しないが、非熱可塑性のポリイミドフィルムの使用が好ましい。
【0016】耐熱性接着フィルムの作製方法については特に限定しないが、接着剤層単層からなる場合、ベルトキャスト法、押出法等により製膜することができる。また、耐熱性接着フィルムの構成が接着層/熱融着性を有さないコア層/接着層という3層からなる場合、熱融着性を有さないコア層(例えば、耐熱性フィルム)の両面に接着剤を、片面ずつ、もしくは両面同時に塗布して3層の耐熱性接着フィルムを作製する方法や、耐熱性フィルムの両面に接着成分のみからなる単層の耐熱性接着フィルムを配して貼り合わせて3層の耐熱性接着フィルムを作製する方法がある。接着剤を塗布して3層の耐熱性接着フィルムを作製する方法において、特にポリイミド系の接着剤を使用する場合、ポリアミック酸の状態で耐熱性フィルムに塗布し、次いで乾燥させながらイミド化を行う方法と、そのまま可溶性ポリイミド樹脂を塗布し、乾燥させる方法があり、接着剤層を形成する方法は特に問わない。その他に、接着層/耐熱融着性を有さないコア層/接着層のそれぞれの樹脂を共押出して、一度に耐熱性耐熱性接着フィルムを製膜する方法もある。
【0017】本発明においては、熱ロールラミネート装置を用いて耐熱性接着フィルムと金属材料(a)とを連続的に貼り合わせるのが好ましい。前記金属材料(a)としては、特に限定しないが、電子電気機器用に用いられる積層板の場合、導電性・コストの点から銅箔を用いるのが好ましい。また、金属箔の厚みについては、銅箔の厚みが薄いほど回路パターンの線幅を細線化できることから、50μm以下の銅箔が好ましい。特に35μm以下の銅箔はそれ以上の厚みの銅箔に比べてコシがなく、熱ラミネートする際にシワを生じやすいため、35μm以下の銅箔について、本発明は顕著な効果を発揮する。また、銅箔の種類としては圧延銅箔、電解銅箔、HTE銅箔等が挙げられ特に制限はなく、これらの表面に接着剤が塗布されていても構わない。
【0018】熱ロールラミネート装置については、被積層材料を加熱して圧力を加えてラミネートする装置であれば特にこだわらない。加熱方法について、所定の温度で加熱することができるものであれば特にこだわらず、熱媒循環方式、熱風加熱方式、誘電加熱方式等が挙げられる。加熱温度は200℃以上が好ましいが、電子部品実装のために積層板が雰囲気温度240℃の半田リフロー炉を通過する用途に供される場合には、それに応じたTgを有する熱融着フィルムを使用するため240℃以上の加熱が好ましい。プレスロールの材質はゴム、金属等、特に限定しないが、ラミネート温度が280℃以上の高温になると、ゴムロールは劣化するため使用できず、金属ロールが好ましい。加圧方式についても所定の圧力を加えることができるものであれば特にこだわらず、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等が挙げられ、圧力は特に限定されない。
【0019】保護材料は、金属材料(b)からなるのが好ましく、ここでいう金属材料(b)とは、ラミネートした製品のシワ発生等の外観不良から保護する目的を満たす金属箔であれば何でも良い。ただし、加工時の温度に耐え得るものでなければならない。アルミ箔、SUS箔、銅箔等の金属箔が使用できるが、より安価なアルミ箔が有効である。保護材料の厚みは特に限定しないが、ラミネート後の積層板のシワ形成を抑制する目的から、35μm以上の厚みが好ましい。保護材料の厚みが50μm以上であればシワ形成をほぼ完全に抑制できるため、さらに好ましい。
【0020】また、保護材料は被積層材料と軽く密着するものであれば、特に表面処理等を施す必要がない。逆に保護材料が被積層材料と密着しないものである場合、保護材料側に軽く密着するような表面処理を施したり、銅箔側に同様な表面処理を施したり、保護材料、銅箔の両方に表面処理を施したりしても構わない。また、銅箔表面の酸化を防ぐ目的で施された防錆処理等、他の目的で施した表面処理であっても、保護材料と被積層材料が軽く密着するようなものであれば、表面処理を施してあっても構わない。
【0021】密着させる場合の好ましい範囲としては、保護材料と被積層材料との界面の密着強度が0.1から3N/cmの範囲となるよう密着させるのが良い。
【0022】保護材料を剥離する際の積層板の温度は、熱可塑性樹脂を被積層材料として使用する場合には、そのTg以下の温度が好ましい。より好ましくはTgよりも50℃以上低い温度、更に好ましくはTgよりも100℃以上低い温度である。最も好ましくは室温まで冷却された時点で保護材料を積層板から剥離するのが好ましい。
【0023】
【実施例】以下実施例を記載して本発明をより詳細に説明する。
【0024】(界面強度の測定方法)JIS C6471「6.5引きはがし強さ」に準拠して行った。具体的には、島津製作所(株)製:オートグラフS-100-Cを用いて、ラミネート直後の保護材料とフレキシブル積層板が密着した状態でサンプルを抜き取り、それを1cm幅に切り出して硬い基板上に両面テープで固定し、保護フィルム側から180度の剥離角度で引張り速度50mm/minで剥離し、その荷重を測定した。
【0025】(実施例1)耐熱性接着フィルムとして鐘淵化学工業製の25μm厚のPIXEO BP HT−142を、金属材料としてジャパンエナジー製の18μm圧延銅箔BHY−22B−Tを使用し、保護材料は35μm厚のアルミ箔を使用して、熱ラミネート装置を用いて、ラミ温度350℃、ラミ圧力50N/mm、ラミ速度2.0m/minの条件でラミネートを行い、ラミネートした後、保護フィルムとラミネートされたフレキシブル積層板が軽く密着した状態(保護材料と積層体の密着強度は1.0N/cm)で常温まで冷却し、冷却後、フレキシブル積層板からアルミ箔を剥離してフレキシブル積層板を得た。この結果、外観にシワ等の不良のないフレキシブル積層板を得た。
【0026】(実施例2)保護材料に70μm厚のアルミ箔を使用した以外は、実施例1と同様にして行った(保護材料と積層体の密着強度は0.7N/cm)。この結果、外観にシワ等の不良のないフレキシブル積層板を得た。
【0027】(実施例3)保護材料に35μm厚のSUS箔を使用した以外は、実施例1と同様にして行った(保護材料と積層体の密着強度は0.8N/cm)。この結果、外観にシワ等の不良のないフレキシブル積層板を得た。
【0028】(実施例4)保護材料に70μm厚のSUS箔を使用した以外は、実施例1と同様にして行った(保護材料と積層体の密着強度は0.5N/cm)。その結果、外観にシワ等の不良のないフレキシブル積層板を得た。
(比較例)保護材料を使用しない以外は実施例1と同様にしてフレキシブル積層板を得た。その結果、ラミネートの進行方向に縦筋が入ったようなシワが発生した。
【0029】
【発明の効果】本発明による積層板の製造方法を用いることによって、ラミネート時にシワになりやすい圧延銅箔を用いた場合においても、外観良好な積層板を得ることが出来、保護材料にポリイミドフィルムを用いた時より製造コストを下げることとができる。従って本発明は、特に電子電気機器用のフレキシブル積層板として好適な材料を提供するものである。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成13年6月19日(2001.6.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−1750(P2003−1750A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−185658(P2001−185658)