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【発明の名称】 高意匠性金属サイディング構造
【発明者】 【氏名】松下 萬了
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内

【氏名】豊中 尚
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内

【要約】 【課題】環境汚染の問題がなく、耐候性にすぐれた高意匠性金属サイディング構造の提供。

【解決手段】エンボス加工されたPCM鋼板を裏打ちしてなるPCM材の凸部表面に、コア・シェル型アクリルエマルションであって、ポリシロキサンのアクリル骨格へのグラフト及び架橋構造の形成によるコア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションを含有する水性着色ベース塗料をロール塗装して着色ベース塗膜層を形成し、必要に応じ、得られたエンボス模様の表面に、トップクリヤーを塗布してトップクリヤー層を形成してなる高意匠性金属サイディング構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンボス加工されたPCM鋼板を裏打ちしてなるPCM材の凸部表面に、コア・シェル型アクリルエマルションであって、ポリシロキサンのアクリル骨格へのグラフト及び架橋構造の形成によるコア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルション及びシランカップリング剤を含有する水性着色ベース塗料をロール塗装して着色ベース塗膜層を形成し、必要に応じ、得られたエンボス模様の表面に、トップクリヤーを塗布してトップクリヤー層を形成してなる高意匠性金属サイディング構造。
【請求項2】 該水性着色ベース塗料が、コア部のガラス転移温度−20〜50℃、シェル部のガラス転移温度51〜100℃、この両部分の合計ガラス転移温度が5〜60℃のコア・シェル型水酸基含有シリコーン変性アクリルエマルションを含有する請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項3】 請求項2記載のエマルションを構成するラジカル重合性モノマー成分としてのシクロヘキシルメタクリレート含有量が該エマルションの固形分100重量部当り5〜50重量部の範囲にある請求項2記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項4】 該コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションが、エマルション粒子径50〜300nmである請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項5】 エマルションを構成するラジカル重合性モノマー成分としてのシリコンモノマーの含有率が1〜40重量%である請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項6】 シランカップリング剤が、エポキシ基又はアミノ基を含有するシランカップリング剤である請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項7】 該トップクリヤーが、有機溶剤系又は水性のシリコーン塗料である請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項8】 該トップクリヤーがコア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションである請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【請求項9】 該トップクリヤーが艶消し剤を含有する艶消しクリヤーである請求項1記載の高意匠性金属サイディング構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高意匠性金属サイディング構造に関し、詳しくは、環境上の問題がなく、層間接着性、耐候性、耐久性、耐汚染性などにすぐれた高意匠性金属サイディング構造に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】従来、高意匠性金属サイディング構造として、例えば、深し彫りエンボス加工されたPCM鋼板を裏打ちしたPCM材の表面にプライマーまたはシーラーを塗布し、得られたエンボス模様の凸部に凸部ベース塗膜層を形成し、必要に応じてさらに砂まき、砂おさえのためのクリヤー塗装、乾燥、グラビアオフセット印刷による揺変模様の形成、トップコートクリヤー塗装、乾燥などの諸工程を順次行なって得られるものが知られている。
【0003】近年、エンボス加工の深し彫り化により、高意匠性を付与する試みがなされ、さらに凸部ベース塗装やトップクリヤー塗装としては、例えば、アクリルウレタン塗料、アクリルメラミン塗装が使用されている。
【0004】しかしながら,従来の高意匠性金属サイディング構造は、耐候性が十分でないため、環境上の問題がなく、耐候性の改善された高意匠性金属サイディング構造が要求されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、環境上の問題がなく、高耐候性の高意匠性金属サイディング構造を得るために鋭意研究の結果、PCM材との付着性にすぐれた特定の水性着色ベース塗料及び必要に応じてトップクリヤーを使用することにより、溶剤型シーラーを使用する必要がなく、しかも耐候性などのすぐれた高意匠性金属サイディング構造が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、エンボス加工されたPCM鋼板を裏打ちしてなるPCM材の凸部表面に、コア・シェル型アクリルエマルションであって、ポリシロキサンのアクリル骨格へのグラフト及び架橋構造の形成によるコア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルション及びシランカップリング剤を含有する水性着色ベース塗料をロール塗装して着色ベース塗膜層を形成し、必要に応じ、得られたエンボス模様の表面に、トップクリヤーを塗布してトップクリヤー層を形成してなる高意匠性金属サイディング構造を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、使用されるPCM材として、例えば、アルミニウム、スチール、アルミニウム55%合金のガルバニウム、5%合金のガルファンなどの金属板に、イソフタル酸型ポリエステル/メラミン含有、フッ化ビニリデン/アクリル/メラミン/ビスフェノールA型エポキシ含有、またはテレフタル酸型ポリエステル/メラミン/ビスフェノールA型エポキシ含有樹脂組成物をプリコートして得られるPCM鋼板をレンガ調、タイル調、木目調、石割調などにエンボス加工し、防音性、断熱性などを付与する目的でウレタンフォーム、石膏ボードなどで裏打ちし、所定の外壁ボードとして成形されたものである。
【0008】また、一般に、金属サイディングは、低価格かつ軽量で施工性がよく、窯業サイディングに比較して凍害性にすぐれ、主としてリフォーム用、寒冷地区用として利用することができる。
【0009】本発明における必要に応じて使用されるトップクリヤーとして、従来から公知の耐候性に優れた水性又は有機溶剤形の塗料組成物、例えば硬化もしくは未硬化形のもの、水溶解、水分散もしくはエマルジョン形のもの及びアニオン、カチオンもしくはノニオン形のものが使用できる。具体的には、塗料種としては例えばアルキド樹脂系、ポリエステル樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系及びこれらの変性樹脂を基体樹脂とするものが挙げられる。これらの中でもシリコーン系塗料が好ましい。更に下記コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルション、下記硬化型シリコーン系塗料が好ましい。また、コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションに下記シランカップリング剤を配合してなる、即ち下記水性着色ベース塗料で使用する樹脂組成物と同様のものを使用することが付着性の点から最も好ましい。
【0010】硬化型シリコーン系塗料は、特に制限なしに従来から公知のタイプ、例えば、熱、室温硬化型の珪素系樹脂の有機溶剤系のものを使用することができる。このものとしては、特に樹脂中に4官能珪素構造単位又は3官能珪素構造単位を50モル%以上含有する樹脂を使用することが好ましい。また、硬化に使用される官能基としては、例えば、珪素原子に直接結合する加水分解性基(例えば、低級(炭素数1〜3程度)アルコキシ基、アシル基、アセトキシ基、ブタノキシム基等)、ヒドロキシシリル基等が包含される。該樹脂中の加水分解性基やヒドロキシシリル基は、例えば、有機金属化合物(金属塩化物、金属アルコキシド、金属キレート等が挙げられる。また金属としてはAl、Zr、Ti等が挙げられる。)やエポキシ基との反応により硬化させることができる。
【0011】また、上記した官能基以外にエポキシ基、不飽和基等の上記した以外の官能基も必要に応じて有することができる。これらの官能基には、例えば、エポキシ基には、例えば、カチオン重合触媒(スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩等、商品名としては、例えば、サンエイドSI−100L(三新化学(株)社製)等)や上記した加水分解性シリル基、ヒドロキシシリル基、有機金属化合物との組合せによる反応等、不飽和基((メタ)アクリロイル基、ビニル基等)には、例えば、過酸化物触媒により反応させることができる。
【0012】4官能珪素構造単位は、一般式SiZ4で表わされるケイ素構造単位(Q単位)である。該式中Zはヒドロキシシリル基及び/又は最終的にはシラノール基を形成するかまたは他のケイ素原子と縮合してシロキサン結合を形成しうる加水分解性基を表す。
【0013】4官能珪素構造単位を有する化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリアセトキシシラン等が挙げられる。このようなものは、低縮合物(例えば2〜10量体、好ましくは2〜5量体)としても使用することができる。このような4官能を超える低縮合物を使用する場合には本発明においてはQ単位として取り扱う。
【0014】3官能珪素構造単位は、一般式RSiZ3(Zは上記と同様の意味を表す)で表わされるケイ素構造単位(T単位)は、ヒドロキシシリル基及び/又は最終的にはシラノール基を形成するかまたは他のケイ素原子と縮合してシロキサン結合を形成しうる加水分解性基を3個含有するものである。Rは有機置換基であり、炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等)やその他有機官能基(γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基、γ−メタアクリロキシプロピル基、γ−メタアクリロキシメチル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−アクリロキシメチル基、ビニル基等)が挙げられる。
【0015】このものとしては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシブチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシブチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリプロポキシメチルシラン、トリプロポキシプロピルシラン、トリプロポキシフェニルシラン、トリプトキシフェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0016】このQ及びT単位は、含有量がシリコーン化合物中にQ及びT単位との合計量で50モル%(対全ケイ素原子)以上、好ましくは60モル%以上の範囲である。更に、Q単位/T単位のモル%の比率は100/0〜90/10で好ましくは100/0〜30/70の範囲が好ましい。シリコン化合物中のQ及びT単位の含有量が50モル%未満になるとその他の有機樹脂成分が多くなるので被膜の耐久性が悪くなる。
【0017】上記した以外に残りの成分として、2官能珪素構造単位(一般式R2SiZ2)(Zは上記と同様の意味を表す)で表わされるケイ素構造単位(D単位)及び1官能珪素構造単位(一般式R3SiZ2)(Zは上記と同様の意味を表す)で表わされるケイ素構造単位(M単位)を有することができる。
【0018】上記したものとしては、例えば、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、メトキシメチルジエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、エトキシトリフェニルシラン、プロポキシトリメチルシラン、プロポキシトリプロピルシラン、ブトキシトリブチルシラン、フェノキシトリフェニルシラン等のモノアルコキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジプロポキシジエチルシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、ジプロポキシジフェニルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジブトキシジエチルシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジブトキシジフェニルシラン等のジアルコキシシランが挙げられる。また、硬化形としては例えばイソシアネート硬化形、酸化重合硬化形、活性エネルギー線硬化形、加水分解縮合反応形などが挙げられる。
【0019】本発明で使用する水性着色ベース塗料として、耐候性、耐汚染性、PCM材への付着性を改善するために、コア・シェル型アクリルエマルションであって、ポリシロキサンのアクリル骨格へのグラフト及び架橋構造の形成によるコア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションを含有するものを好適に使用することができる。
【0020】コア・シェル型エマルションは重合体粒子の水分散液であって、その重合体粒子は芯部(コア部)とその周囲を覆っている被覆部(シェル部)とから構成されており、この両部分の組成を異ならしめており、本発明ではTgを基準に区別している。かかるコア・シェル型エマルションは、それ自体既知のシード重合法などにより調製することができる。
【0021】すなわち、コア・シェル型アクリルエマルションを含有する水性塗料組成物として、(A)コア・シェル型エマルションおよび必要に応じて(B)造膜助剤を含有する水性塗料組成物であり、該(A)成分のコア部のガラス転移温度が−20〜50℃、シェル部のガラス転移温度が51〜100℃、この両部分の合計ガラス転移温度が5〜60℃であり、該(B)成分は沸点が100〜270℃のアルコール成分であるものを使用することができる。
【0022】具体的には、a)カルボキシル基含有不飽和単量体およびb)不飽和単量体(ただし、a)は除く)からなる単量体混合物(i)を水中で乳化重合してコア部を形成し(シード重合ラテックス)、ついで、このものに、c)(メタ)アクリル酸エステル、d)カルボキシル基含有不飽和単量体およびe)不飽和単量体(ただし、c)、d)は除く)からなる単量体混合物(ii)を加え、乳化重合してシェル部を形成することによりコア・シェル型エマルションが得られる。
【0023】a)カルボキシル基含有不飽和単量体は、1分子中にカルボキシル基と重合性二重結合をそれぞれ少なくとも1個以上有する化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等があげられる。
【0024】b)不飽和単量体は1分子中に重合性二重結合を少なくとも1個以上有する化合物であり、上記のa)は含まれない。例えば、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜20のモノアルコールとのエステル化物;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;アクリルアミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、アクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、(ポリ)オキシエチレンジアクリレート、(ポリ)オキシエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アリルスルホコハク酸、スチレンスルホン酸などの官能基含有単量体、ビニルシリコンモノマーなどが包含される。
【0025】ビニルシリコンモノマーとしては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシラン等のヒドロキシシラン及び/又は加水分解性シラン基含有ビニル系モノマー等が挙げられる。
【0026】単量体混合物(i)における単量体a)と単量体b)との比率は、特に制限されないが、この両成分の合計重量を基準に、単量体a)は0.05〜50%、特に0.5〜5%、単量体b)は99.95〜50%、特に99.5〜95%の範囲内が適している。
【0027】コア部は、これらの単量体混合物(i)を水中で、通常の乳化重合法により重合することにより調製できる。重合触媒としては、水溶性または油溶性の過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などがあげられ、このうち特に水溶性のものが好適である。その使用量は、単量体混合物(i)の0.1〜1重量%が好ましい。さらに、重合速度の促進や低温重合を望むには、重亜硫酸ナトリウム、塩化第1鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤を併用することができる。さらに、それ自体既知の重合調整剤や界面活性剤なども必要に応じて使用できる。
【0028】つぎに、かくして得られたコア部の水分散液に、c)(メタ)アクリル酸エステル、d)カルボキシル基含有不飽和単量体およびe)不飽和単量体(ただし、c)、d)は除く)からなる単量体混合物(ii)を加え、乳化重合してシェル部を形成することによりコア・シェル型エマルションが得られる。
【0029】c)(メタ)アクリル系エステルおよびd)カルボキシル基含有不飽和単量体としては、上記の単量体混合物(i)の単量体a)および単量体b)で例示したものが適用できる。また、単量体e)は、1分子中に重合性二重結合を少なくとも1個以上有する化合物で、しかも、c)(メタ)アクリル酸エステルおよびd)カルボキシル基含有不飽和単量体を除いたものであって、単量体混合物(i)の単量体b)で例示したものが適用できる。
【0030】単量体混合物(ii)におけるこれらの単量体の比率は特に制限されないが、これらの単量体の合計重量を基準に、単量体c)は15〜100%、単量体d)は0〜15%、単量体e)は0〜70%の範囲内が適している。シェル部を形成するための乳化重合において、上記した重合触媒、還元剤やさらに、重合調製剤や界面活性剤なども必要に応じて使用できる。
【0031】本発明で使用する(A)コア・シェル型エマルションにおいて、単量体混合物(i)と単量体混合物(ii)との構成比率は特に制限されないが、両成分の合計重量を基準に、単量体混合物(i)は5〜80%、特に10〜60%、単量体混合物(ii)は95〜20%、特に90〜40%の範囲内が適している。
【0032】特に、本発明において、(A)コア・シェル型エマルションのコア部のTgが−20〜50℃、シェル部のTgが51〜100℃、この両部分の合計Tgが5〜60℃の範囲内にあることが好ましい。
【0033】これらのTgは、下記式によって算出することができる。
【0034】1/Tg(゜K)=(W1/T1)+(W2/T2)+…Tg(℃)=Tg(゜K)−273式中、W1,W2 … は共重合に使用された単量体のそれぞれの重量%、T1,T2,…はそれぞれ単量体のホモポリマーのTg(゜K)を表わす。なお、T1,T2,…は、Polymer Hand Book(Scond Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)による値である。
【0035】そして、コア部とシェル部の合計Tgは、(コア部の重量%×コア部のTg)+(シェル部の重量%×シェル部のTg)によりもとめられる。
【0036】(A)コア・シェル型エマルションにおいて、コア部のTgが−20℃より低くなると形成塗膜がブロッキングしやすくなり、一方、50℃より高くなると造膜性や低温物性(凍結融解試験)などが低下する。シェル部のTgが50℃以下では形成塗膜がブロッキングしやすくなり、さらに両部分の合計Tgが60℃以上になると造膜性や低温物性(凍結融解試験)などが低下するので、いずれも好ましくない。
【0037】(B)造膜助剤としては、沸点(BP)が100〜270℃のアルコール成分から選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。かかるアルコール成分として、具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ、分子量118、BP171℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール、分子量162、BP230℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート、分子量206、BP246℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(分子量90、BP120℃)などがあげられる。さらに、(CHCHCOOCH2C(CH2C(OH)HCH(CH2で示される2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール、分子量216、BP248℃)も造膜助剤(B)として有効である。
【0038】アルコール成分の沸点が100℃より低くなると塗膜の形成性(造膜性)が十分でなく、また沸点が270℃より高くなると塗膜中に残存しやすくなり耐水性、耐湿性などが低下するので好ましくない。
【0039】本発明において、(B)造膜助剤の含有量は、特に制限されないが、(A)コア・シェル型エマルションの樹脂固形分100重量部あたり、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部の範囲内である。
【0040】本発明において、好ましくは、PCM材の凸部表面に、上記水性着色ベース塗料を乾燥膜厚が5〜100g/m2となるようにロール塗装することによりベース塗膜層を形成し、エンボス模様が得られる。さらに好ましくは、該エマルションを構成するラジカル重合性モノマー成分として、シクロヘキシルメタクリレートを該エマルションの固形分100重合部当り5〜50重量部含有することができる。該含有量が5重量部未満では、耐温水性、耐沸騰水性等の性能が低下し、好ましくなく、50重量部をこえると塗膜がもろくなる。
【0041】水性着色ベース塗料として、旭化成工業株式会社製コア・シェル型アクリルエマルションを含有するもの、例えば、樹脂商品名X−508改(コア・シェル型、樹脂組成MMA/n−BA、コアTg20℃、シェルTg60℃)、同樹脂商品名B−2500(コア・シェル型、樹脂組成MMA/n−BA/CHMA、UVAおよびHALS含有、CHMA20重量%、コアTg11℃、シェルTg60℃)、ならびに同社ラテックス商品名X−1595−19B、X−19B−CR1、同CR2、同CR0、同MW2、同TG1、同TG2、同A2、同11、同CS1、同OH1などがあげられる。
【0042】本発明の水性着色ベース塗料に使用されるエア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションとして、コア部のガラス転移温度−20〜50℃、シェル部のガラス転移温度51〜100℃、この両部分の合計ガラス転移温度5〜60℃、エマルション粒子径50〜300nm、シリコン含有率10〜40重量%であるものを使用することができる。
【0043】また、水性着色ベース塗料として、旭化成工業株式会社製コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションを含有するもの、例えば同社製ラテックス商品名G−620(コア・シェル型、樹脂組成Ac・Si(Si20重量%)、UVAおよびHALS含有、CHMA30重量%、コアTg48℃、シェルTgMFT℃)、同ラテックス商品名G−655(コア・シェル型、樹脂組成Ac・Si(Si20重量%)、CHMA10重量%、コアTg50℃、シェルTgMFT℃)、同ラテックス商品名G−659(コア・シェル型、樹脂組成Ac・Si(Si20重量%)、CHMA10重量%)などがあげられる。
【0044】水性着色ベース塗料に配合されるシランカップリング剤としては、従来から公知のものを使用することができるが、特にエポキシ基又はアミノ基を含有するシランカップリング剤が好ましい。この好ましいシランカップリング剤としては、例えば、アミノ基含有シラン化合物;N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、p−(N,N−ジメチルアミノ)フェニルトリエトキシシラン、 N−(2−アミノエチル)アミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、γ−N,N−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン:エポキシ基含有シラン化合物;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも特にN−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが好ましい。
【0045】シランカップリング剤の配合割合は、コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルション固形分100重量部に対して0.001〜5重量部、特に0.01〜3重量部の範囲が好ましい。シランカップリング剤が0.001重量部未満になると付着性が低下し、一方5重量部を超えると塗料の貯蔵安定性、塗膜外観などが低下するので好ましくない。
【0046】本発明において、このようにして得られたエンボス模様の表面に水性又は有機溶剤形トップクリヤーを塗布してトップクリヤー層を形成することができる。
【0047】上記水性トップクリヤーは、従来から公知の耐候性に優れたものを特に制限なしに使用できるが、好ましくは着色ベース塗料で使用したものと同じもの、例えば、コア・シェル型エマルション、特に、コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルションを使用することができる。
【0048】上記トップクリヤーは、艶消し剤を含有する艶消しクリヤーとして使用することが好ましく、艶消し剤としてシリカ、酸化ポリエチレンなどがあげられるが、接着性、耐降水性などの観点から酸化ポリエチレン、例えばSN−OX(サンノブコ社製酸化ポリエチレン艶消し剤)が特に好ましい。
【0049】上記トップクリヤーは、必要により、上記艶消し剤の他に、例えば、成膜助剤、消泡剤、表面調整剤、増粘剤などを含有することができる。
【0050】添付図面により、本発明の高意匠性金属サイディング構造を以下説明する。
【0051】図1は、本発明の高意匠性金属サイディング構造の1例を説明するための部分断面図である。図1において、1は裏打ちのためのアルミラミネートであり、2は裏打ちのための断熱剤発泡ウレタンであり、3はエンボス加工されたPCM鋼板であり、4はベース塗膜層であり、5はトップクリヤー層であり、6はエンボス加工による凸部であり、7はエンボス加工により凹部である。図1において、アルミラミネート1および発泡ウレタン2により裏打ちされ、エンボス加工されたPCM鋼板3より構成されるPCM材の凸部表面にベース塗膜層3が形成され、得られたエンボス模様の表面にトップクリヤー層5が形成されている。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0053】実施例1例えばタイル調に深し彫りエンボス加工されたPCM鋼板(例えばイソフタル酸型ポリエステル/メラミン樹脂の樹脂組成物でプリコートされた)を発泡ウレタンおよびアルミラミネートで裏打ちした試験用PCM材(60cm×60cm)の凸部表面に、下記G620固形分100g、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン0.2g、白色顔料ペースト(二酸化チタン100g/顔料分散用樹脂5g)固形分100g混合して得られた水性着色ベース塗料を乾燥膜厚が50g/m2(固形分換算)となるようにロール塗装して着色ベース塗膜層を形成し、エンボス模様を得た。
【0054】実施例2実施例1で得られたエンボス模様の表面に、下記艶消しトップクリヤーを乾燥膜厚が30g/m2(固形分換算)となるようにスプレー塗装して実施例2の試験用金属サイディング構造体を得た。耐候性試験結果を表1に示す。
【0055】艶消しトップクリヤーの調製下記の配合により艶消しトップクリヤーを調製した。
48重量%(固形分)G−620(基体樹脂)(註1) 217 g 酸化ポリエチレン(艶消し剤) 18 g β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン 0.2g 固形分(NV) 42.0重量% MFT 0℃>(註1)旭化成工業株式会社製コア・シェル型シリコーン変性アクリルエマルション含有ラテックス商品名、樹脂組成Ac・Si(Si20重量%)、UVAおよびHALS含有、CHMA30重量%、コアTg15℃、シェルTg60℃、合計Tg48℃、粒子径130nm。
【0056】比較例1実施例1のPCM材表面にアクリルウレタン樹脂着色塗料を凸部表面に塗装し、80℃、2分間硬化を行なって、比較例1の試験用金属サイディング構造体を得た。耐候性試験の結果を表1に示す。
【0057】実施例3テトラエトキシシラン62g(0.3モル)、メチルトリメトキシシラン125g(0.7モル)及びエチルアルコール187gの混合物を80℃に加熱し、0.2N−塩酸30gを添加して80℃で10時間反応させた。次いでこの反応物にトリエチルアミン30gを添加してPH7以上にし80℃で2時間縮合反応させ、ベンゼン100gを配合して固形分40重量%になるまで脱溶剤をおこなって珪素樹脂(4官能珪素樹脂30モル%、3官能珪素樹脂70モル%)を得た。
【0058】得られた珪素樹脂をトップクリヤーで使用した前記G−620の代りに使用した以外、実施例2と同様の実験も行なった。得られた結果を表1に示す。
【0059】実施例4水性着色ベース塗料で使用した前記G−620に代えて、前記G−655を使用した以外、実施例2と同様の実験を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0060】実施例5水性着色ベース塗料で使用した前記G−620に代えて、前記G−659を使用した以外、実施例2と同様の実験を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0061】実施例6水性着色ベース塗料で使用したβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランに代えて、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシランを使用した以外、実施例2と同様の実験を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0062】実施例7水性着色ベース塗料で使用したβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランに代えて、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシランを使用した以外、実施例2と同様の実験を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0063】実施例8水性着色ベース塗料で使用したβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランに代えて、γ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用した以外、実施例2と同様の実験を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】試験方法平滑性:目視で表面の平滑性を評価した。○は良好、△は劣る、×は著しく劣る付着性:JIS K−5400 8,5,2(1990)基盤目−テープ法に準じて、1mm×1mmのマス目を100個作成し、その表面にテープを密着させ剥離した際のマス目の剥れ程度を試験した。剥れの全くないものを○とした。剥れのあるものを×とした。
【0066】沸騰水後の付着性:沸とう水に10時間浸漬した後、上記付着性を調べた。
【0067】耐候性:ウエザーメーター(スガ試験機株式会社製、デューサイクル、照射60分/暗黒60分、ブラックパネル温度63℃)で240時間の促進耐候性試験を行い、光沢保持率(単位:%)及び外観を目視で観察した。外観:○:良好△:劣る ×:著しく劣る【0068】
【発明の効果】耐候性にすぐれた高意匠性金属サイディング構造が得られる。PCM材およびトップクリヤー層との接着性にすぐれた水性ベース塗料を使用することにより、シーラー層、特に溶剤型シーラー層を省略することができる。水性ベース塗料を使用しているので環境汚染の問題が解消される。
【0069】
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市神崎町33番1号
【出願日】 平成13年6月21日(2001.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−1749(P2003−1749A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−187446(P2001−187446)