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ガス吸着用シート - 特開2003−1747 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ガス吸着用シート
【発明者】 【氏名】寺瀬 邦彦
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【氏名】井上 真樹
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【氏名】藤井 淳成
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【氏名】小野 英一
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【氏名】佐々木 隆好
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【氏名】簑原 士行
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞海化学工業株式会社内

【要約】 【課題】密閉居住環境の居住者に健康障害を起こしうる各種ガスを効果的に吸着除去することができるシート状のガス吸着用シートを提供する。

【解決手段】通気性又は多孔性の支持基体3の少なくとも片面上に、自己造膜性を有する葉状シリカ2次粒子からなるガス吸着層5を形成して、ガス吸着用シート1とする。当該シートは立体的に組み上げて3次元構造体とすることもできる。このガス吸着用シートによれば、アルデビト化合物、アンモニア、窒素酸化物、オゾン等の特に居住空間において問題となるガスをその発生源を覆って効果的に吸着除去することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状支持基体上の少なくとも片面にガス吸着層を形成したガス吸着用シートにおいて、前記シート状支持基体は、通気性又は多孔性の基体からなり、また前記ガス吸着層は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子からなる積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子の硬化塗膜から実質的になるものであることを特徴とするガス吸着用シート。
【請求項2】 前記ガス吸着層の葉状シリカ2次粒子が、層状ポリケイ酸である請求項1に記載のガス吸着用シート。
【請求項3】 前記ガス吸着層中の葉状シリカ2次粒子が、X線回折分析での主ピークが、シリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当するシリカである請求項1又は2に記載のガス吸着用シート。
【請求項4】 前記ガス吸着層に吸着される被吸着ガスが、アルデヒド化合物、アンモニア、窒素酸化物及びオゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種のガスである請求項1〜3のいずれかに記載のガス吸着用シート。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のガス吸着用シートを立体的に組み上げて構成されるガス吸着用3次元構造体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒド化合物、アンモニア、窒素酸化物などのガスを効果的に吸着しうる吸着用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、新築又はリフォームされた集合住宅(所謂マンション)や戸建て住宅等の密閉住環境の居住者に、所謂シックハウス症候群(sick-house syndrome)や化学物質過敏症の症例が急増しており、これら健康障害は、しばしばメディアでも取り上げられているとおり、年齢に関係なく発症することもあって、深刻な問題となっている。当該症候群は、内装材である建材、パーティクルボード、ビニル壁紙、ビニルタイル等に使用されている接着剤や塗料等から室内に放出されるホルムアルデヒド等が主たる原因とされており、その被害者(居住者)は、絶えざる頭痛、咳、くしゃみ、発疹、めまい、涙目、充血、呼吸困難等の耐え難い症状及び/又は名状しがたい苦痛に悩まされ続けることになる。この症状は、住宅やビルにおける密閉化が進行すると共により加速され、悪化する状況にあり、もはや到底看過できる段階ではなく、早急な解決が切望されている。
【0003】もちろん現在、多くの関係者によりホルムアルデヒドを放出しない建材や接着剤も鋭意検討されてはいるが、価格等の問題や供給量の少なさもあり、現在直ちにこれを完全に他のものに代替えすることは困難である。また、代替えしたとしても、接着剤や塗料からは、乾燥時にトルエンやキシレン等の有機溶剤(所謂VOC)が放出されることが多く、この場合は、やはり化学物質過敏症の居住者に対し、同様な不快感や健康障害を起こしうる。
【0004】以上の理由により、特に新築時又はリフォームの施工時には、主として入居が行われる前に、密閉室内空間において建材等から放出されるホルムアルデヒドガスや有機溶剤ガス等を、当該室内において予め吸着して、室内環境を居住に適した清浄なものとすることが現実的な手段であり、このためガス用吸着剤の使用が必須である。
【0005】従来から、ガス吸着用の吸着剤としては、活性炭、合成ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナゲルなどが知られている。これらは、いずれもそれ自身かなりのガス吸着能力を有するものであるが、その形状が微細な粒子状のものであるため、使用に当たっては、成形粒子や微粒子状態で、又は粒子を容器や袋などに充填した状態で、ガスと接触させ使用されるものであった。
【0006】通常、工場等において行われる工業的な排ガスの吸着操作においては、吸着塔中に粒子状吸着剤で充填層を形成し、被処理ガスをポンプで吸着塔へ流通させて、当該充填層中を通過せしめて気体−固体を接触させることにより、きわめて効果的にガス吸着操作が行われる。
【0007】しかしながら、新築住宅等の居住空間におけるガス吸着操作においては、当該居住空間には人が常時生活する場でもあり、工場において行われているごとき充填層等の適用は、当然のことながら困難である。
【0008】従って、現在では、集合住宅や新築住宅の完成直後、上記したように居住者の入居前に、各室内の床に活性炭やシリカゲル等の吸着剤を散布したり、袋に充填したものを敷き詰めて、建材等から放出されるホルムアルデヒドガス等を吸着せしめることが行われている。しかしながら、かかる方法を採用するにしても、微粒子状の吸着剤は極めて扱い難い上、そもそも、このような形態の気体−固体接触操作では、本質的に、室内に放出されたガスの吸着効率は極めて低いものでしかない。したがって、これら吸着剤を、フィルム状あるいは基体に塗布したシート状の塗膜として使用できれば、ハンドリング面の利便性及びガス吸着性能を大幅に向上させることができると考えられる。
【0009】例えば、特開平10−152964号においては、活性炭やシリカゲルの粒子状吸着剤を、バインダー物質であるニトロセルロースラッカーやアクリル樹脂塗料に配合して塗料化し、トルエンや酢酸エチル等の溶剤に溶解して吸着用塗料とし、これをホルムアルデヒド等を室内に放散しつつある発生面、すなわち、合板表面や壁面等に塗装して吸着層を形成することが提案されている。このように、ガスの発生源(発生面)をガス吸着層で被覆することにより、ガスが室内(居住空間内)に拡散する前に吸着・除去することが可能となり、シリカゲル粒子を床面に散布する操作に比較して吸着性能は格段に向上するとする。
【0010】しかしながら、この方法では、基本的に、吸着用塗料を形成するためにトルエン等の有機溶剤を使用するものであるから、室内には、塗膜乾燥時に、高濃度の当該有機溶剤が放出・充満するという別の問題を惹起することになる。また、シリカゲル等の吸着剤に対して、多量の、例えば質量比で10倍近いバインダー物質を使用して塗膜を形成させる必要があるため、吸着剤粒子は、その大部分が、当該バインダーで被覆されてしまい、塗膜のガスの吸着性能は、シリカゲル等が本来有する吸着性能に対して大幅に低下してしまうという問題がある。
【0011】しかして本発明者らは、先に、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になり、互いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子を創出し、また、当該葉状シリカ2次粒子の水スラリーは、これを基体上に塗布・乾燥させることにより、なんら他のバインダー物質(粒子結着剤)を用いることなく、それのみで互いに重なりあって硬化し、強固な塗膜(葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜)を形成することを見いだした。すなわち、当該葉状シリカ2次粒子は、極めて高い自己造膜性を有するものなのである。
【0012】当該シリカ2次粒子は、このように自己造膜性を有することを大きな特徴の一つとしているものであるが、その比表面積は、後に詳述するように、代表的なガス吸着剤であるシリカゲルに比較して、はるかに低い。したがって、当業者の常識からすれば、そのガス吸着性能は、問題にならないくらい低いものであり、これをそもそも吸着剤として使用することなどまず考えられない筈のものであった。ところが、本発明者らが詳細に検討したところ、まさに驚くべきことに、当該シリカ2次粒子は、シリカゲルとほとんど変わらないガス吸着性能を示すものであることが見いだされた。本発明は、かかる予想外の知見に基づいてなされるに至ったものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物をはじめとする、密閉居住環境の居住者に健康障害を起こしうる各種ガスを効果的に吸着除去することができ、しかも取扱いやすいシート状のガス吸着用シートを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に従えば、シート状支持基体上の少なくとも片面にガス吸着層を形成したガス吸着用シートにおいて、前記シート状支持基体は、通気性又は多孔性の基体からなり、また前記ガス吸着層は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子からなる積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子の硬化塗膜から実質的になるものであることを特徴とするガス吸着用シートが提供され、またさらに、当該ガス吸着用シートを立体的に組み上げて構成されるガス吸着用3次元構造体が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
(シート状支持基体)本発明のガス吸着用シート1は、例えば図1(a)に示すように、シート状支持基体3上の少なくとも片面に、葉状シリカ2次粒子からなるガス吸着層5を形成したものであり、当該シート状支持基体3は、通気性又は多孔性の基体からなるものである。
【0016】本発明における通気性又は多孔性のシート状支持基体としては、ガス吸着層をその表面に支持することができるシート状の基体であり、かつ、後記するように使用に際し当該支持基体で被吸着ガスの放散面を被覆した場合、当該通気性(breathable)又は多孔性(porous)構造により、吸着させるべきガスを、当該シートの厚み方向に、その表面のガス吸着層まで導くことができるものであれば、特に限定するものではなく、いかなるものも使用可能である。
【0017】このようなシート状支持基体としては、例えば、紙基材;織布、不織布等の布基材;多孔性プラスチックフィルム(プラスチックシート)等のフィルム基材(シート基材)が好ましいものとして挙げられる。
【0018】紙基材としては、薄葉紙、濾紙、新聞用紙、クラフト紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、和紙、障子紙、グラシン紙、パラフィン紙、コート紙、上質紙、硫酸紙、板紙、チタン紙、アート紙、微塗工紙等が挙げられる。また、これらにレーヨン、こうぞ、マニラ麻等の繊維成分を配合しすき込んだものでもよい。なお、紙基材と組成的に関係の深い通気性を有する天然木材から形成した薄板を使用することもできる。
【0019】また布基材のうち、織布としては、木綿、絹、麻のごとき天然繊維、レーヨンや酢酸セルロースのごとき再生又は半合成繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドのごとき合成繊維が挙げられ、また不織布としては、前記ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等合成繊維からなるニードルパンチ不織布や合成樹脂をバインダー物質とした不織布等が挙げられる。
【0020】また多孔性プラスチックフィルム又はシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム又はシートに微細孔を形成したもので、微細孔を形成する手段としては、機械的なスリット、レーザー光線による孔あけ加工、フィルムに溶出成分を分散含有させ、当該溶出成分をフィルム中から除去して多孔性としたもの等が挙げられる。また、原料プラスチックに発泡剤を混入し、加熱発泡させて得られる連続気泡を有するプラスチックフィルム又はシートであってもよい。例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンシート等が挙げられる。
【0021】なお多孔性シートとしては、上記のごときプラスチックフィルムやシートに限るものではなく、金属焼結板や微小な目開きの金属網のごときミクロポーラスな金属シート、所謂ミクロポーラスガラス、ミクロポーラスセラミックスシートなどの多孔性シートを使用することもできる。
【0022】シート状支持基体の通気性は、特に限定するものではないが、例えば0.01mL/cm2/sec〜1000mL/cm2/sec、好ましくは0.1mL/cm2/sec〜100mL/cm2/secのものが望ましい。この通気性は、ガーレー式又はフラジール式透気度測定装置により測定することができる。
【0023】また、シート状支持基体の厚みは特に限定するものではないが、1〜10000mμ、好ましくは10〜1000mμ程度である。
【0024】(ガス吸着層)本発明においては、上記したシート状支持基体上の少なくとも片面にガス吸着層を形成するが、このガス吸着層は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になるものであることを特徴とする。すなわち、形態的に、当該葉状シリカ2次粒子は、それぞれが薄片1次粒子が重なりあった積層構造の粒子形態を有するものであって、かかる積層構造を有する2次粒子同士がさらに支持基体上で互いに重なり合って全体として薄膜を形成しているのである。
【0025】しかして、かかる葉状シリカ2次粒子の薄膜を形成するには、このような葉状シリカ2次粒子の水スラリーを支持基体上に塗布し、当該分散媒体である水を乾燥して除去することにより、その過程で、粒子同士が徐々に近接して重なり合い、特に粒子結着剤がなくても、それのみで互いに係合して強固に固定され、硬化して葉状シリカ粒子の硬化塗膜が形成されるのである。
【0026】このシリカ2次粒子は、鱗片状1次粒子が重なって形成される特異な形態を有することを特徴としており、このために自己造膜性を有するものであると考えられるが、当該1次粒子は、走査型電子顕微鏡(以下、SEMとも略称する。)では、識別できず、これが面間が平行的に配向して複数枚重なった葉状2次粒子だけが識別できるものであり、また、透過型電子顕微鏡(以下、TEMとも略称する。)を用いて観察すると、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1次粒子が識別できるようなものである。なお、1次粒子の層間の結合は極めて強固であって、葉状2次粒子から、その構成単位である薄片状の当該1次粒子を1枚ずつ剥離し、単離することは困難である。
【0027】この葉状シリカ2次粒子の微粉末をエポキシ樹脂に埋包し、ウルトラミクロトームで超薄切片を作成して、TEMで観察すると、薄片1次粒子の厚みは、1〜10nm程度と極めて薄いものであり、また、葉状シリカ2次粒子は、この薄片1次粒子が、平行的に、規則的に積層している部分が多いが、部分的に積層が不規則なことにより間隙幅1〜100nm程度の間隙の存在が認められるものである。
【0028】当該シリカ2次粒子の平均粒子径は、特に限定するものではないが、本発明で使用する場合は、通常0.001〜20μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜10μm程度である。なお、平均粒子径の測定方法として、レーザー回折/散乱式粒度測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−920型)、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LB−500型)、或いはコールターカウンター(例えば、コールターエレクトロニクス社製、MA−II型)等で対象とする粒子径の範囲に応じて適宜選択適用することにより測定される。
【0029】上記したように、ガス吸着層を形成する葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜は、当該葉状シリカ2次粒子の水スラリーを塗布・乾燥することにより得られるが、この水スラリーは、シリカの3次凝集体粒子(3次粒子)をまず製造し、これを水媒体中で2次粒子にまで解砕することにより得られる。
【0030】この出発物質であるシリカ3次凝集体粒子は、好ましくは、本発明者らが先に提案した方法により製造できる(例えば、特開2000−72432号を参照。)。
【0031】すなわち、シリカヒドロゲル及びケイ酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム及び水を原料として、150〜220℃程度の温度で、3〜50時間水熱処理反応を行ない、シリカ−Xやシリカ−Yを主体とする鱗片状シリカの3次凝集体粒子を生成させるものである。
【0032】シリカヒドロゲルは、好ましくは、特公昭48−13834号に記載されているように、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液を混合して、シリカゾルを短時間で生成させると同時に、気体媒体中に放出し、気体中でゲル化させる方法により製造される。
【0033】すなわち、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合し、SiO2濃度換算で130g/L以上、pH7〜9であるシリカゾルを生成せしめ、これを、上記放出口から、空気等の気体媒体中に放出させ、空中でゲル化させるのである。これを水を張った熟成槽に落下せしめて数分〜数十分熟成させ、酸を添加・水洗して球状のシリカヒドロゲルとする。
【0034】このようなシリカヒドロゲルを出発原料とし、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、シリカ3次凝集体粒子を生成させる。なお、球状シリカヒドロゲルは、そのまま使用してもよいが、好ましくは、粉砕または粗粉砕して、粒径0.1〜6mm程度としてもよい。
【0035】なお、シリカヒドロゲルを水熱処理するために、オートクレーブに仕込む場合、蒸留水やイオン交換水のごとき精製水を加えることにより、シリカヒドロゲル濃度を所望の範囲に調整することが好ましい。オートクレーブ内の処理液中の総シリカ濃度は、撹拌効率、結晶生長速度、収率等を考慮して選択されるが、通常、全仕込み原料基準でSiO2として1〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。ここで、処理液中の総シリカ濃度とは、系内の総シリカ濃度を意味し、シリカヒドロゲル中のシリカのみでなく、アルカリ金属塩としてケイ酸ナトリウム等を使用した場合は、これにケイ酸ナトリウム等により系に持ち込まれるシリカをも加えた値である。
【0036】ここでアルカリ金属塩とは、水酸化アルカリ、ケイ酸アルカリまたは炭酸アルカリ等を意味する。アルカリ金属(Me)としては、Li、Na、またはKが好ましい。系のpHとしては、好ましくはpH7〜13である。
【0037】好ましいアルカリの量を、シリカ/アルカリモル比( SiO2/Me2O )で表示すれば、4〜15mol/molの範囲である。
【0038】水熱処理終了後、水熱処理生成物をオートクレーブより取り出し、濾過、水洗してpHを調整する。
【0039】このようにして水スラリー状で得られたシリカ3次凝集体粒子を、本発明者らが先に提案した特定の機械的方法により、葉状シリカ2次粒子へと解砕する方法(例えば、特願平11−351182号、特願2000−206264号を参照。)により粉砕する。すなわち、当該3次凝集体粒子の水スラリー(固形分濃度1〜30質量%)を、粉砕媒体を用い機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミルなどの装置を用いて、葉状シリカ2次粒子へ解砕することにより、葉状シリカ2次粒子を含有する水スラリーが得られるのである。
【0040】この葉状シリカ2次粒子の水スラリーは、いわば硬化性組成物であって、シート状支持基体上に塗布して硬化塗膜を形成させるために使用することができるが、当該スラリー中のSiO2 濃度は、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%程度とする。
【0041】当該水スラリーをシート状支持基体表面に塗布する手段としては、特に限定するものではなく、刷毛による塗装、バーコ−ターによる塗装、ディッピング、噴霧塗装、静電塗装など一般の塗料の塗装に使用される手段をいずれも好適に使用することができる。また、塗装後の乾燥についても、特定するものではなく、一般の塗料・コーティング剤において、適用される手段を使用できる。乾燥温度は、特に限定するものではなく、室温〜80℃、好ましくは室温〜50℃程度である。
【0042】(ガス吸着層を形成する硬化塗膜の性質)上記のようにして基体上に形成された葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜、すなわちガス吸着層の厚みは、特に限定するものではないが、通常1〜10000μm、好ましくは1〜5000μm、さらに好ましくは1〜2000μmである。又、支持基体上の硬化塗膜の形成量で表示すれば、通常1〜20000g/m2、好ましくは1〜10000g/m2、さらに好ましくは1〜4000g/m2である。
【0043】かかる葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜は、その破断面をSEMで観察すると、均質構造ではなく、葉状シリカ2次粒子が配向して積層した構造からなる多孔質体である。これを薄膜の細孔分布をBET法(例えば日本ベル社製、商品名、ベルソープ28型を使用する。)により測定すると、0.02〜0.20mL/g程度の細孔容積を有し、また、50〜80m2/gの比表面積を有するのである。なお、当該比表面積の数値は、シリカゲルの1/5〜1/10に相当する数値であり、きわめて小さいものである。
【0044】本発明においては、このように、ガス吸着層を形成する硬化塗膜が、多孔質体であることにより、これをガス吸着層として用いる場合に、当該多孔質構造中を被吸着ガスが流通して、当該薄膜を構成する葉状シリカ2次粒子と、その内表面において当該ガスとシリカとの接触が行われ、吸着操作が行われると考えられる。
【0045】また、当該薄膜の比表面積当たりのシラノール基の量を、いわゆる、加熱重量法で求められる120℃における加熱から1200℃における加熱までの平衡における質量の減少差の数値W(質量%)と、BET法比表面積の数値SA(m2/g)とを用いて、(W×1111.1)/SA=SiOH(μmol/m2 )という計算式からもとめたBET法による比表面積当たりのシラノール基(SiOH)の量は、50〜70μmol/m2 という値となる(この数値は、シリカゲルの数倍〜数十倍に相当する数値である。)。
【0046】以下、本発明の吸着層を形成する葉状シリカ2次粒子の特性等について簡単に述べる。
【0047】本発明においては、葉状シリカ2次粒子は、いわゆる層状ポリケイ酸またはその金属の塩と総称されるシリカであることが最も好ましい。ここで層状ポリケイ酸とは、基本構成単位がSiO4 四面体だけからなるシリケート層構造のポリケイ酸を云う。なお、本発明においてシリカとは、無水酸化ケイ素(anhydoroussilicon oxide)、含水酸化ケイ素(hydrous silicon oxide)、ポリケイ酸(polysilicic acid)、ポリケイ酸塩(polysilicates)のすべてを総称する意味である。
【0048】なお、上記したシリカ−X及びシリカ−Yは、A.HeydemannやB.A.Mitsyuk らによって、最初に報告され、彼らによりこう呼ばれた名前であるが、後年、これらは、実は、いわゆる層状ポリケイ酸またはその塩と総称されるものの一種に該当するものであることが明らかになっている。
【0049】この層状ポリケイ酸又はその塩とは、例えばシリカ−X、シリカ−Y、ケニアアイト、マガディアイト、マカタイト、アイラアイト、カネマイト、オクトシリケート等であり、例えば層状ポリケイ酸塩を酸処理することによりケイ酸塩中のアルカリ金属等が水素イオンでイオン交換されたH型のものや、当該酸処理前のアルカリ金属塩等の塩型のものなどの総称である。なお、本発明において層状ポリケイ酸とは、上記H型及びアルカリ金属等の塩型の両者を意味する。
【0050】葉状シリカ2次粒子におけるシリカのX線回折のスペクトルとしては、米国のASTM(American Society for Testing and Materials)に登録されているカード(以下単にASTMカードと称する。)番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X及び/又はASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−Yからなるシリカである。上記以外のピークとしては、シリカ−Xの場合は、ASTMカード番号31−1234、37−0386、シリカ−Yの場合は、ASTMカード番号35−63、25−1332などのピークが認められるものである。
【0051】(対象被吸着ガス成分)本発明のガス吸着用シートにより吸着除去できるガス成分としては、シックハウス症候群の原因物質といわれているホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物ガス、悪臭防止法令に定められているアンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチルなどの悪臭成分ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、エチルエーテル等の有機溶媒ガス、タバコ臭気、及び光化学スモッグの原因物質として知られている窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】また、本発明のガス吸着用シートは、オゾンに対しても特異的な吸着除去効果を有することが見出された。
【0053】現在OA機器として、コロナ放電による帯電方式を採用した電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクス等が多くの事務所や職場で多数使用されているが、当該放電が空気中で行われるために、多量のオゾンが発生する。オゾンは、強烈な酸化力を有しており、脱臭、殺菌、脱色、有害有機化合物の分解等に広い分野で好適に使用されているが、このような事務所等の居住空間において発生した場合、不快な臭気を有する酸化性の強いガスであるため、空気中に0.1ppm程度の濃度で存在するだけで、頭痛、吐き気、息切れ、めまい等の生理作用を生じさせる。従って、充分な除去対策が必要である。
【0054】通常は、当該OA機器の排気ダクトに粒状や繊維状の活性炭等を充填したフィルターが使用されているが、大量に充填すると圧力損失が増大したり、また活性炭自体は膜形成能力が無いため、ハニカム状やコルゲート状に形成した場合、フィルターの強度が低下する等の問題があった。
【0055】本発明のガス吸着用シートに使用される葉状シリカ2次粒子は、それ自身が塗膜形成性を有するものであるため、バインダー等を使用することなく、ハニカム状に成形加工することも容易であり、強度も充分なフィルター用シートとなし得るものである。
【0056】後記する実施例においては、シックハウス症候群の原因物質の代表例として、ホルムアルデヒドガス、悪臭成分ガスの代表例として、まず、アンモニア、及び光化学スモッグ等の原因物質の窒素酸化物(NO)について本発明の吸着シートの吸着能について試験したが、上記の各ガスの吸着に関して、シリカゲル微粉末と同等以上の性能を示すことが見いだされた。この優れた特性は、本発明のガス吸着用シートのガス吸着層を形成する葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜は、そのガス吸着に関与すると思われる比表面積が50〜80m2/gと非常に小さい(なお、従来の代表的なガス吸着剤であるシリカゲルでは、約600m2/gと遙かに大きい比表面積を有する。)ことを考慮すると、実に驚くべきことと言える。
【0057】また、オゾンについては、さらに驚くべきことに、後記実施例に示すように、シリカゲルよりも比表面積のずっと小さい本発明における葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜の方が、はるかに大きいオゾンの除去性能を示すのである。
【0058】シリカゲル微粉末は、基本的に比表面積は大きいものであるが、当然ながら単独では硬化塗膜を形成できず、塗膜を形成するには、多量のバインダー物質が必須であることを考慮すると、本発明においては、実質的に葉状シリカ2次粒子のみからガス吸着層を形成できるものであるから、その意義は非常に大きいというべきである。
【0059】本発明のガス吸着用シート1は、図1(a)に示すように、シート状支持基体3の少なくとも片面にガス吸着層5を形成するものであるが、場合によっては、図1(b)のごとく、その両面にガス吸着層5、5’を形成してもよい。
【0060】当該ガス吸着層は、葉状シリカ2次粒子から実質的になるものである。ここで、「実質的になる」とは、基本的にそれ自体自己造膜性を有し、バインダー物質なしに硬化塗膜を形成することができるシリカ2次粒子から主としてガス吸着層が形成されていることを意味するが、さらに、当該葉状シリカ2次粒子と共に、従来公知の吸着剤である活性炭、合成ゼオライト、シリカゲル、シリカアルミナゲル等を、当該吸着層中に含有・併用していてもよいことをも意味する。
【0061】さらに当該吸着層中には、酸化チタン等の光酸化触媒機能を有する粒子を添加・併用することも可能である。これら併用する従来の吸着剤等の使用量は、当該シリカ2次粒子の自己造膜性を阻害しない範囲であれば、特に制限はないが、通常、ガス吸着層中に70質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。また、所望により、ごく少量のバインダー物質を使用することを排除するものではない。
【0062】本発明のガス吸着用シートを使用する方法としては、例えば図2(a)に示すように、合板や壁8等のホルムアルデヒドガス等を発散する表面10を本発明のガス吸着用シート1で被覆することが挙げられる。当該表面から発散されるホルムアルデヒドガスや有機溶剤ガス13は、密閉室内空間内に放出されることなく、通気性又は多孔性の支持基体3内を通気し、当該支持基体表面に形成されているガス吸着層5内に流入し、ここで吸着・除去されるのである。なお、当該ガス吸着用シートを壁面を覆うように固定するには、特に接着剤等を使用することなく、所謂建材の仮止めに使用される両面接着テープや粘着テープ等により容易になされる。また天井面に対し適用するには、壁面と同様に、ガス吸着用シートを接着テープ等により固定すればよい。さらにまた、床面を覆う場合には、固定具はとくに必要とせず、当該ガス吸着用シートを床面上に配置又は敷くだけでよい。
【0063】図2(b)は、図1(b)に示す支持基体上の両面にガス吸着層5,5’を形成したシート1’を合板8等の表面10に適用した場合を示す。この場合は、支持基体の両面にガス吸着層が形成されているので、放散されるガスが多い場合においても、これを、より確実に吸着・除去することができると考えられる。
【0064】本発明のガス吸着用シートの大きさは、その対象面の大きさに合わせて任意に選択可能であり、特に限定するものではないが、通常数10cm2〜数100cm2程度である。
【0065】なお、図示しないが、本発明のガス吸着用シートは、2枚以上を重ねて壁面等に適用してもよい。また、ガス吸着層を形成する葉状シリカ2次粒子からなる硬化塗膜は、基本的に白色であり、しかも本発明者らが見いだしたところによれば、きわめて印刷適性又は筆記特性がよいものであるから、当該ガス吸着層の表面には、模様、図柄、写真、更にはロゴマーク、商標、インストラクション、注意書き等を印刷することも可能である。このようにすることにより、室内における壁紙として使用しても居住者の審美感等を害することがない。
【0066】本発明のガス吸着用シートは、基本的には、シートすなわち平板状の形態(2次元構造)のものであるが、これをユニットとして立体的に組み上げて、単位容積当たりのガスに接触させる外表面がより大きい3次元構造の形態(3次元構造体)を構成することもできる。例えば、当該シートを断面波形(所謂コルゲート状)のシートとしてもよいし、この波形に形成したシートをコアとし、これをさらに本発明のガス吸着用シート2枚により挟み込んで、サンドイッチ構造の構造体とすることもできる。当該サンドイッチ構造体は、さらに多層に積層して、より高次元の構造体とすることもできる。
【0067】また、当該ガス吸着用シートを丸めて断面円筒状(ロール状)に形成することもできるし、当該形成したロールを多数束ねて適宜固定し所謂ロールコアとしてもよい。同様にして、当該シートを断面多角形(三角形、四角形、五角形、六角形)等に形成し、これを多数束ねて固定し所謂ハニカム状(蜂の巣状)等に形成してもよい。かくして、本発明のガス吸着用シートを立体的に組み上げて、より単位容積当たりのガス接触外表面が大きい、ガス吸着用3次元構造体を構成することができる。
【0068】これらのガス吸着用3次元構造体の場合は、予めガス吸着層を形成したガス吸着用シートを折り曲げる等して立体的に組み上げて3次元構造体を形成してもよいし、予めシート状支持基体からまず3次元構造体を形成しておき、当該3次元構造体を、葉状シリカ2次粒子の水スラリーに浸漬(ディッピング)したり、当該水スラリーを噴霧塗装や静電塗装することにより、容易に当該3次元構造体の外表面や内表面にガス吸着層を形成することも可能である。
【0069】本発明のガス吸着用シートにおいては、シート状支持基体は、通気性または多孔性であることを基本とするが、場合によっては、実質的に通気性又は多孔性がない材料、例えばステンレス箔やアルミニウム箔のごとき金属板(金属シート)であってもよい。その場合のガス吸着用シートにおいては、当該金属板は、ガスを通過させることはできないので、図2(a)の使用態様において、ガス吸着層5の方を壁面10に接触させるようにして使用することになる。またその場合は、ガス吸着層はより厚く形成することが好ましい。さらにこれらは、上記と同様にして3次元構造体とすることもできる。
【0070】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0071】〔合成例1〕(シリカヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
出発原料であるシリカヒドロゲルは、ケイ酸ナトリウムをアルカリ源として次のようにして調整した。すなわち、SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000mL/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。
【0072】熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.55倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、110ppmであった。
【0073】上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕し、水熱処理し、次のようにして、鱗片状シリカ3次凝集体粒子の形成に用いた。
【0074】容量50000mLのオートクレーブ(電気加熱式、アンカ−型撹拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が12.0なるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18質量%)23.7kg及びケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.75質量%、Na2 O9.3質量%、SiO2 /Na2 O=3.17(モル比))5.5kgを仕込み、これにイオン交換水を10.7kgを加え、50rpmで撹拌しながら185℃で8時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として15質量%であった。
【0075】水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率69.7質量%(固形分濃度30.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0076】上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所社製、SFD−MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、5.6kgの乾燥微粉末を得た。
【0077】粉末X線回折スペクトルにより生成微粉末についての生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16−0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカード番号31−1234、37−0386に該当するピークが認められた。
【0078】また、この微粉末の吸油量(JIS K5101)を測定したところ、110mL/100gであった。
【0079】生成粒子の形態をTEMで観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0080】一方、生成粒子の形態をSEMで観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当該葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。これが本発明におけるシリカ3次凝集体粒子である。
【0081】SEMで観察されるこの葉状粒子(TEMでは、2次粒子に該当)の部分の平均厚さ0.06μmに対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.4μmでそのアスペクト比は90、板の平均最小長さは1.6μmで、アスペクト比は27であった。
【0082】この微粉末(シリカ3次凝集体粒子)の平均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MA−II型、アパーチャーチューブ径50μm)を用いて測定したところ、6.1μmであった。
【0083】〔合成例2〕(合成例1のシリカ3次凝集体粒子の湿ケーキから葉状シリカ2次粒子の製造)
合成例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケーキ1000g( 固形分濃度:30.3質量%) に水1020gを加えてリパルプし、固形分15質量%のシリカスラリーを調製した。このスラリーの状態では、コールターカウンターによる平均粒径は7.2μmであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・sであった。
【0084】次にこのスラリーを媒体撹拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1回通過させ、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。
【0085】解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は、1.6μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.13Pa・sであった。なお、このスラリーのpHは、6.4であった。
【0086】また、当該スラリーの水分を、蒸発乾固させた後、乾燥固体中のシリカ及びナトリウムを分析したところ、SiO2単位質量基準のナトリウム量は、730ppmであった。
【0087】次に、当該スラリー中の微粒子の状態に近い乾燥された葉状シリカ2次粒子の物性を調べるため、以下の方法で乾燥粉末を得た。
【0088】当該スラリーは、乾燥により極めて凝集しやすいという特異な性質を有しているため、単分散された乾燥粉末を得るには、極めて薄い濃度の水スラリーにして凝集を防ぎながら乾燥をする必要がある。
【0089】すなわち、当該スラリー(固形分濃度15質量%)に水を添加し、固形分濃度0.3質量%にスラリー濃度を調整した。
【0090】当該スラリーを小型のスプレードライヤー(ヤマト科学社製、GA32型)を用いて、スラリー供給量1.7mL/min、噴霧圧力0.3MPa (G)、熱風温度130℃で噴霧乾燥を行い、乾燥微粉末を得た。
【0091】得られた乾燥微粉末のコールターカウンターによる平均粒径は、1.9μmであった。
【0092】この微粉末をSEMで観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は、実質的に認められず、これは、本発明における葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0093】この微粉末を念のため、粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16−0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外に、ASTMカード番号31−1234、37−0386に該当するピークが認められ、解砕前と同じものであることが確認された。
【0094】生成粒子の形態をTEMで観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって本発明における葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0095】また、この微粉末をエポキシ樹脂に埋包し、ウルトラミクロトームで超薄切片を作成して、TEMで観察したところ、1次粒子の厚みは、1〜10nmと極めて薄いことがわかった。
【0096】当該微粉体のBET法細孔分布測定装置(日本ベル社製、ベルソープ28型)による細孔容積は0.12mL/g、比表面積は、65m2 /gであり、細孔分布曲線では3.6nm付近にメソ細孔領域の鋭い大きなピークが認められた。
【0097】また、当該微粉末の赤外吸収スペクトル(ニコレージャパン社製、FT−IR510型)測定では、3600〜3700cm-1、3400〜3500cm-1にそれぞれひとつの吸収帯を持つシラノール基が認められた。
【0098】また、シラノール基(SiOH)の量を、120℃・2時間での乾燥減量と1200℃・3時間での加熱減量との差(W質量%とする。)からシリカ単位質量当たりのシラノール基(SiOH)=W×1111.1(μmol/g)の計算式により求めると、3650μmol/gであり、BET法による比表面積当たりでは56.2μmol/m2 という大きな値を示した。
【0099】〔実施例1〕
(1)シート状基体として、以下の物性を有する濾紙を使用した。すなわち、当該濾紙の面積850m2、単位面積当たりの質量125g/m2、通気性は、ガーレー式透気度測定装置による測定値で、透気度は0.775mL/cm2/sec、また、多孔性(連続細孔による多孔性)は、水銀圧入式細孔分布測定装置(Micromeritics社製、商品名、Pore Sizer 9310型)による測定値で、細孔容積0.1mL/g、比表面積45m2/gであった。
【0100】この濾紙の片面に、合成例2で得られた媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分濃度15質量%の水スラリー(pHは6.4、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による平均粒径は、1.6μmであった。)55.7gを、#80バーコーターで塗布し、室温で乾燥して、濾紙の片面上に硬化塗膜を形成させガス吸着層とした。
【0101】この濾紙上に形成された硬化塗膜の単位表面積(片面)当たりの固形分質量(濾紙を含まない)は、約35g/m2(厚み約35μm)であった。
【0102】また、この硬化塗膜を、濾紙表面から剥離した薄膜片について、X線回折測定を行ったところ、シリカXのASTMカード16−0380に該当する二つの主ピーク、すなわち、2θが4.9゜のピーク高さに対する、2θが26.0゜のピーク高さの比は、0.7という小さな値であった。これは、薄膜において結晶粒子の顕著に配向していることを示している。
【0103】さらに、当該剥離した薄膜片の細孔分布をBET法(日本ベル社製、商品名、ベルソープ28型)で測定したところ、細孔容積は、0.10mL/gであり、比表面積は、66m2/gであった。細孔容積は小さいが、多孔質であることが判明した。
【0104】なお、当該剥離した薄膜片のシラノール基(SiOH)の量を、120℃・2時間での乾燥減量と1200℃・3時間での加熱減量との差(W質量%とする。)からシリカ単位質量当たりのシラノール基(SiOH)=W×1111.1(μmol/g)の計算式により求めると、BET法による比表面積当たりでは60μmol/m2 という値を示した。
【0105】(2)次に、上記のシート状基体である濾紙上(片面)に形成された硬化塗膜を用いて、以下のガス、すなわち、アンモニア、ホルムアルデヒド、窒素酸化物ガス(NO)、オゾンの吸着試験をそれぞれ行った。
【0106】まず、上記の濾紙上(片面)に形成された硬化塗料の試料を、120℃で3時間乾燥を行った。次に、乾燥後の硬化塗膜を、ハサミを用いて、ほぼ四角形の試験片(1枚づつの概略大きさ約10cm2)に切断し、総面積(塗布片面)285cm2相当量である質量4.57g分(内、シリカ1.0g、濾紙3.57g)を、各ガスの吸着試験用の試験片として用意した。
【0107】次に、PTFE製の容量5Lのガス袋( 近江オドエアサービス社製、テドラーバック)に、上記の乾燥・秤量した硬化塗膜の試験片を、各4.57gづつ入れた。
【0108】硬化塗膜の試験片を入れたガス袋を、脱気した後、濃度調整した各種被吸着ガス4Lを注入し、時間の経過とともにガス袋中の被験ガス濃度を、ガス検知管により測定した。
【0109】アンモニアガスに対しては、北川式ガス検知管、光明理化学工業社製の105SD型及び105SC型検知管を、ホルムアルデヒドガスに対しては、北川式ガス検知管、光明理化学工業社製及び171SB型検知管を、窒素酸化物ガス(NO)に対しては、北川式ガス検知管、光明理化学工業社製及びU型検知管を、オゾンガスに対しては、ガステック社製、18M型オゾンガス用検知管を用いた。
【0110】なお、ブランク試験として、シリカを塗布していない濾紙のみを、3.57g入れて、上記と同様な方法で、ガス濃度の測定を行ない、時間の経過に対して、ガス濃度が変化しないことを確認した。
【0111】〔比較例1〕比較例として、硬化形成する能力は全くない、乾燥用シリカゲル(A型)微粉末1g(平均粒子径4μm、細孔容積0.35mL/g、比表面積約600m2/g)を用いて、同様な試験を行った。
【0112】以上、実施例、比較例の試験結果を、表1〜4に示した。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【発明の効果】本発明の葉状シリカ2次粒子をガス吸着層として備えるガス吸着用シートによれば、上記実施例、比較例に示したごとく、従来ガス吸着剤として好適に使用されている比表面積が非常に大きなシリカゲル微粉末と比較しても、同等以上のガス吸着性能を示すことがわかる。
【0118】そして、本発明のガス吸着用シートは、実際に密閉居住空間において合板や壁面から放出されるホルムアルデヒドガスや有機溶剤ガスの吸着除去を考えた場合、例えば図2に示したように、ガス放散面を被覆し、放散されるガスが室内空間内に放出・拡散される前に、発生面において葉状シリカ2次粒子からなるガス吸着層に接触させて吸着・除去することができるものであり、その産業上の利用可能性は極めて大きい。これに対し、従来のシリカゲル等の微粉末は、自己造膜性がないので、それ自身で、ガス吸着用シートを形成することができないのと著しい対照をなしているのである。
【0119】また、本発明のガス吸着用シートは、OA機器から発生するオゾンガスの吸着除去用のフィルターをはじめとして、病院向け殺菌装置(病室、ナース室、共同トイレ、浴室、ゴミ置き場)、介護施設向け脱臭装置(個室、集合室、トイレ)、ホテル向け脱臭装置(客室、廊下、ロビー)、飲食店向け脱臭、除菌装置(厨房、トイレ)、ペットショップ向け脱臭、殺菌装置(店内)、カラオケボックスの脱臭装置(店内)等の空気清浄機や空調設備等のオゾン吸着除去用フィルター、仕切り用カーテンやシーツ等としても好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】390005728
【氏名又は名称】洞海化学工業株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市若松区北湊町13番1号
【出願日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【代理人】 【識別番号】100085947
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 信夫
【公開番号】 特開2003−1747(P2003−1747A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−382198(P2001−382198)