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【発明の名称】 ガスバリア性積層体
【発明者】 【氏名】北原 吏里
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【氏名】林 建二
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【氏名】佐々木 昇
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【氏名】鈴木 浩
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、優れたガスバリア性を有し、内容物が透視可能で且つ内容物の検査に当たっては金属探知器が使用でき、また温湿度依存性が抑制され、密着性もよく、加工適性にも優れ、更には環境にやさしい、食品及び医薬品や電子部材等の非食品等の包装に用いられるガスバリア性積層体を提供することを目的とする。

【解決手段】プラスチック材料からなる基材の片面もしくは両面に、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で示されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜層と無機酸化物からなる蒸着層が少なくとも順次積層させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】プラスチック材料からなる基材の片面もしくは両面に、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で表されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜層と無機酸化物からなる蒸着層が少なくとも順次積層してある事を特徴とするガスバリア性積層体。
【請求項2】前記基材とガスバリア性被膜層との間にはアンカーコート層が設けてある事を特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
【請求項3】前記アンカーコート層が耐アルカリ性樹脂を主成分としてなる事を特徴とする請求項2に記載のガスバリア性積層体。
【請求項4】前記ガスバリア性被膜層内に、窒素化合物および水溶性高分子、有機ケイ素化合物が少なくとも1種類以上導入してある事を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
【請求項5】前記蒸着層の上に金属アルコキシドと水溶性樹脂を主成分とするコーティング層が設けてある事を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品及び医薬品や電子部材等の非食品等の包装分野に用いられる包装用の積層体に関するもので、特に高いガスバリア性を持ち、大気中の酸素や水蒸気の透過を抑制し、この積層体により製造された包装体に内包される内容物の劣化や変質をより抑制できるようにしたガスバリア性積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食品及び医薬品や電子部材等の非食品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の劣化や変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、酸素、水蒸気、その他内容物を劣化・変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらの気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
【0003】そのため従来、ガスバリア性を備える包装材料としては、アルミ等の金属からなる金属箔やそれらの蒸着層を有する金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールとエチレンビニル共重合体やポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルムやあるいはこれらの樹脂をコーティングしたプラスチックフィルム等が主に用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属箔や金属蒸着フィルムは、ガスバリア性には優れるが、これらを透視して内容物が確認できず、また内容物検査の際に金属探知器が使用できず、更には使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならないといった問題等がある。またガスバリア性樹脂フィルムやそれらをコーティングしたフィルムは、温湿度依存性が大きく高度なガスバリア性を維持できず、更にその中で塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等を用いたものは廃棄・焼却の際に有害物質発生の原因となりうる可能性があるといった問題等がある。つまり現在主として用いられているガスバリア性包装材料は、一長一短で各種問題を持っているといえる。
【0005】本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、優れたガスバリア性を有し、内容物が透視可能で且つ内容物の検査に当たっては金属探知器が使用でき、また温湿度依存性が抑制され、密着性もよく、加工適性にも優れ、更には環境にやさしい、食品及び医薬品や電子部材等の非食品等の包装に用いられるガスバリア性積層体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を達成するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、プラスチック材料からなる基材の片面もしくは両面に、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で表されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜層と無機酸化物からなる蒸着層が少なくとも順次積層してある事を特徴とするガスバリア性積層体である。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガスバリア性積層体において、前記基材とガスバリア性被膜層との間にはアンカーコート層が設けてある事を特徴とする。
【0008】さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のガスバリア性積層体において、前記アンカーコート層が耐アルカリ性樹脂を主成分としてなる事を特徴とする。
【0009】さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体において、前記ガスバリア性被膜層に窒素化合物および水溶性高分子、有機ケイ素化合物が少なくとも1種類以上導入してあることを特徴とする。
【0010】さらにまた、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体において、前記蒸着層の上に金属アルコキシドと水溶性樹脂を主成分とするコーティング層が設けてある事を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明のガスバリア性積層体の一実施形態を示す断面構成説明図である。
【0012】本発明に係るガスバリア性積層体は、基本的にはプラスチック材料からなる基材1の片面(もしくは両面)に、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で示されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜層3と無機酸化物からなる無機蒸着層4が少なくとも順次積層されてなる。
【0013】図1に示すガスバリア性積層体においては、更に基材1とガスバリア性被膜層3との間にアンカーコート層2が、蒸着層4の上にはコーティング層5がそれぞれ設けてある。
【0014】基材1としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、66−ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等のエンプラフィルム等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、また透明性を有し、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特にこれらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムやシートが好ましく用いられ、更に包装材料に使用する場合、価格面、防湿性、充填適正、風合、廃棄性を考慮すると二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムがより好ましい。
【0015】これらの材料からなる基材1には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の添加やコーティングを行っておいても良く、また各種膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理などを施しておいても良く、更に薬品処理、溶剤処理を施しておいても良い。
【0016】基材1の厚さは特に制限を受けるものでないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあることや、後述するアンカーコート層2、ガスバリア性被膜層3およびオーバーコート層4を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によって6〜30μmとすることがより好ましい。
【0017】一方、アンカーコート層2は、例えばプラスチック材料からなる基材1上に設けるガスバリア性被膜層3の濡れ性、均一な被膜形成性、密着性等の向上を図り、延いては優れたガスバリア性を発現できるように設ける。
【0018】上記アンカーコート層2はその上に積層するガスバリア性皮膜層3が湿式コーティングにより塗布できるものが望ましい。その材料としては耐アルカリ性に優れた樹脂を主成分としたものが好ましい。具体的には、アクリルポリオールやポリビニルアセタール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール等のポリオール類とイソシアネート化合物との2液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、また有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤およびその加水分解物のような有機シラン化合物を主剤とするもの等が挙げられ、どれもがアンカーコート剤として使用できるが、特にウレタン結合または/およびウレア結合を有する有機高分子を含んでいるものが好ましい。ウレタン結合およびウレア結合は主鎖にエステル結合を持たないため他の有機高分子に比べて特に耐アルカリ性が強く、溶剤系であるため低温での乾燥が可能で密着も良く、後述する水系ガスバリア性被膜層の濡れ性も高い。
【0019】上記イソシアネート化合物としては、一般にTDI系(トリレンジイソシアネート)、MDI系(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI系(1,5−ナフタレンジイソシアネート)、XDI系(キシリレンジイソシアネート)、H6XDI系(水添XDI)等やそれらのアダクト体、ヌレート体が挙げられる。更に末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーのようなものでも良い。アンカーコート層2を形成するための材料としては、これらのいづれかを単独で用いても良くこれらを2種類以上混合して用いても良い。ただし、この上に積層するガスバリア性被膜層3の乾燥時の熱ダメージによるクラック発生を考慮すると、ガラス転移点の高い被膜が得られるTDI系、MDI系、XDI系、IPDI系がより好ましい。
【0020】熱によるアンカーコート層2を構成する樹脂の分子運動や収縮等は、ガスバリア性被膜層3の乾燥時にクラック発生の原因となりうる。そのためアンカーコート層2を構成する樹脂のガラス転移点は高い方が好ましく、ガスバリア性被膜層3の乾燥温度を考えると30℃以上のものがより好ましい。
【0021】またアンカーコート層2としての性質をより向上させる目的で周知の添加剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤等を添加しても一向にかまわない。例えばアニオン系活性剤、カチオン系活性剤、非イオン系活性剤、両性活性剤等の界面活性剤や、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、カーボンブラック等の無機粒子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル粒子等の有機粒子、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等である。これらは、アンカーコート層の透明性を損なわない範囲内であれば添加剤が重量比で50%以下含まれていても良い。また、前述したように、更にアンカーコート層2の濡れ性、密着性の向上のため基材1に予めコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理などを施しておいても良い。
【0022】アンカーコート層2の厚さは特に限定されるものではないが、厚さが0.001μm以下では所期の密着性や被膜形成性が得られず、1μm以上では不経済であるため好ましくない。一般的には0.01μm〜1μmの範囲が実用的で好ましい。
【0023】次いでガスバリア性被膜層3について説明する。この層は、高度なガスバリア性を付与し、温度依存性や湿度劣化を抑制することを目的として設ける。上記目的を達成するためにガスバリア性被膜層3は、アルカリ金属ポリシリケートを主成分とする必要があり、特にこのアルカリ金属ポリシリケートが、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で表されるものである必要がある。モル比が1未満20以上であると成膜ができない。また、このアルカリ金属ポリシリケートを主成分とすることにより、後述する蒸着層4との密着性もよくなり、耐熱性も向上する。
【0024】上記のガスバリア性を有するアルカリ金属ポリシリケートの必須成分であるリチウムポリシリケートはLi2O・nSiO2(nはモル比)で表され、その溶液は水を溶媒とした一般に水ガラスと呼ばれるアルカリシリケート水溶液である。リチウム以外で1A族に属するアルカリ金属として、工業的には比較的安価なナトリウムやカリウムなどが一般的に多く使用されるが、リチウムを含まない単独または複数のアルカリ金属で構成されるアルカリシリケート水溶液の乾燥被膜では、高温高湿下で安定した高度なガスバリア機能は得らず、例えば、ナトリウム系ではガスバリア性を発現せず、カリウム系ではガスバリア性を発現するものの湿度依存性があるため高湿下ではガスバリア性が低下してしまう。
【0025】リチウムポリシリケートがガスバリア性、特に酸素バリア性を向上させる材料として有用であることは以前より知られている。しかし、リチウムポリシリケート単体でプラスチックフィルム上に被膜を形成すると、Li2O・nSiO2で表されるモル比がn≦5の範囲内でないと被膜の形成ができず、またn≦5の範囲で形成されたリチウムポリシリケート被膜も成膜時の乾燥による急激な収縮と被膜自体の柔軟性の欠如により、低温で長時間ゆっくりと乾燥させなければ柔軟なプラスチック基材に追従できずに、クラック(ひび割れ)などのダメージが生じて酸素バリア性が低下してしまう。
【0026】成膜性、柔軟性、濡れ性をより向上させるためにリチウムポリシリケートには窒素化合物および水溶性高分子、有機ケイ素化合物が少なくとも1種類以上導入されていることがより好ましい。窒素化合物としては、アンモニア、ハロゲン化アミン、金属アミド、金属イミン、アンモニウム塩類、硝酸塩等の無機塩類、シアン化合物等が挙げられるが、安定性、安全性、環境性、価格、アルカリシリケート水溶液との相溶性等を考えると水溶性の高いアミン類が好ましい。例えば、ポリアミン、ポリエチレンイミン、アミノエチル化樹脂等のエチレンイミン系ポリマーやアミン含有シランカップリング剤等である。特にアミン含有シランカップリング剤はアミノ基の他にアルコキシシリル基をもつため、アルカリシリケートともなじみが良く、吸湿安定性等を考慮すると特に優れている。アミン化合物はリチウムシリケートに添加することにより成膜性、柔軟性の他に、分散性、液安定性、高温高湿下での吸湿劣化を大胆に改善することが出来る。
【0027】また、水溶性高分子としては、分子量が1000〜400000までの糖類、ポリビニルアルコールまたはこれらの誘導体等が挙げられる。上記ポリビニルアルコールとは主原料である酢酸ビニルを重合、鹸化を行って得られるものであり、本発明で用いるポリビニルアルコールとしてはガスバリア性被膜層3の成膜性、柔軟性、相溶性、耐湿性を考慮し、重合度300〜30000、ケン化度95mol%以上のものがより好ましい。また、ポリビニルアルコール誘導体には、水酸基以外に共重合変性する事でアルコキシシリル基等を10mol%以下で導入された変性ポリビニルアルコール等が含まれるが、リチウムポリシリケートの相溶性、吸湿劣化防止から、アルコキシシリル基が導入されたものがより好ましい。
【0028】アルカリ金属ポリシリケートと有機ケイ素化合物および窒素化合物、水溶性高分子の重合方法については周知の方法が使用でき、特に限定しない。また、配合比はガスバリア性や被膜強度、耐水性等から、アルカリ金属ポリシリケート中のSiO2(シリカ成分)重量比率が固形分全体の40%以上であることが好ましい。SiO2(シリカ成分)が40%未満であると、リチウムポリシリケートが本来持つガスバリア性が発現しない。
【0029】ガスバリア性被膜層3の厚さは、一般的には乾燥後の厚さで0.005〜5μmの範囲になるようにコーティングする事が望ましく、より好ましくは0.01〜1μmの範囲である。0.01μm以下の場合は塗工技術の点から均一な塗膜が得られ難く、逆に1μmを越える場合は乾燥時の脱水収縮により被膜が割れやすくまた不経済であるため問題がある。
【0030】本発明のガスバリア性積層体においては、更に、基材(特にOPP基材)1にアンカーコート層2とガスバリア性被膜層3が順次積層された面に無機酸化物からなる蒸着層4を更に設けることでより優れたガスバリア性、特により優れた水蒸気バリア性を発現する。ガスバリア性被膜層3のみでも高い酸素バリア性を示すが、無機酸化物からなる蒸着層4を更に積層することによりバリア層が二層となり、より高い酸素バリア性を示す。また無機酸化物による蒸着層4は高い水蒸気バリア性を持つためこれを積層する事により高い水蒸気バリア性を発現する。
【0031】従来、プラスチックフィルムからなる基材にガスバリア性を付与するために金属あるいは無機酸化物からなる蒸着層を形成する場合、例えばホモポリマータイプポリプロピレン単体からなるOPP基材に蒸着加工する場合、金属アルミニウムを蒸着する場合は基材との界面での接着性は維持するが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を蒸着する場合には界面での十分な密着が維持されないことがある。これは、OPP基材に添加してあった帯電防止剤やスリップ剤等の有機添加剤が本来の機能を発現すべく基材表面にブリードアウトすることにより発生するのである。すなわち、前述のようなポリプロピレンとの相性が悪い有機系添加剤を内添したOPP基材に直接蒸着加工を施すと、添加剤成分のブリードアウトによりOPP基材と蒸着層間の密着が阻害され、更に経時により劣化することになる。しかし、本発明においては、無機酸化物からなる蒸着層4は金属ポリシリケート(M2O・nSiO2)を主成分とするガスバリア性被膜層3を介して形成してあるため、無機酸化物とのなじみもよく密着性が良好であり、経時での劣化も起こらない。
【0032】蒸着層4を構成する無機酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOX)、一酸化ケイ素(SiO)等のケイ素酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が安全性、原材料価格の点等で候補となりうる。特に加工時の加熱条件や蒸着スピードから酸化アルミニウム、酸化ケイ素物が望ましい。蒸着層4の形成方法としては、酸化アルミニウムまたは金属ケイ素を蒸発材料にして、酸素、炭酸ガスと不活性ガス等との混合ガスの存在下で薄膜形成を行う、いわゆる反応性蒸着、反応性スパッタリング、反応性イオンプレーティングにより連続的に無機酸化物からなる蒸着層を形成する方法等がある。更に、この2つの方法を組み合わせによる方法もあり、膜形成装置が簡単で容易に出来るものであり、生産性の点から望ましい方法である。
【0033】さらに、蒸着層4の上に金属アルコキシドと水溶性樹脂からなるコーティング層5を塗布すると、更に一層ガスバリア性、水蒸気バリア性が向上する。金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどの、一般式M(OR)nで表されるものである(Mは、Si,Ti、Al、Zr等の金属、RはCH3、C25等のアルキル基)。中でも、テトライソプロポキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。また、水溶性樹脂としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。コーテイング液としては、上記水溶性樹脂と上記金属アルコキシドを直接、あるいはあらかじめ加水分解させるなどの処理を行ったものを混合したものを用いる。乾燥後の厚さは約0.01〜100μmの範囲であれば良いが、50μm以上ではクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが望ましい。
【0034】アンカーコート層2、ガスバリア性被膜層3および前記したコーティング層5の被膜形成方法としては、通常のコーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等を用いることができる。これらの塗工方式を用いて基材1の片面もしくは両面にそれぞれの層を塗布、形成する。この場合、アンカーコート層2とガスバリア性被膜層3を別々に設けても構わないし、多色のグラビア印刷機等を用いて両層を同時に設けても構わない。コストの面を考慮すること、同時に形成した方がより好ましい。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等が適宜用いられ、特に限定しない。
【0035】基材1にアンカーコート層2とガスバリア性被膜層3、無機酸化物からなる蒸着層4および金属アルコキシドと水溶性樹脂からなるコーティング層5が順次積層された積層体の積層面もしくはその反対面に包装材料として実用的な層を設けることが出来る。例えば印刷層や熱可塑性樹脂等のヒートシール層である。
【0036】またヒートシール層は、袋状包装体などを形成する際の接着部に利用されるものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂で形成される。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
【0037】ヒートシール層は、上述樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントドライラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させカーテン状に押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等いずれも公知の積層方法により形成することができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明のガスバリア性積層体を具体的な実施例を挙げて更に説明する。
【0039】〈アンカーコート液の調整〉メタクリル系ポリオール(分子量100,000、ガラス転移点100℃)を酢酸エチルで希釈後、TDI系イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製“コロネートL”)を固形分重量比で70/30部、全固形分が5w%になるように調整し、アンカーコート液を得た。
【0040】〈ガスバリア性被膜液の調整〉リチウムシリケート水溶液( Li2O・nSiO2、n=約5モル比)の固形分調整した水溶液に、窒素化合物としてシランカップリング剤(チッソ(株)製『サイラエースS320』、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を溶解した水溶液をSiO2/有機ケイ素化合物=4/1重量比になるように加えて攪拌、水溶性高分子としてシラン変性ポリビニルアルコール((株)クラレ製『R−2105』、ケン化度約98.5mol%)を溶解した水溶液を加えて攪拌し、ガスバリア性被膜液を得た。
【0041】〈金属アルコキシドと水溶性樹脂からなるコーティング液の調整〉テトラエトキシシラン10.4gに0.1N塩酸を89.6g加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3w%(SiO換算)の加水分解液(A)とポリビニルアルコールの3w%の水/イソプロピルアルコール(90/10)溶液(B)を混合して液を得た。
【0042】〈実施例1〉基材1として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(サントックス(株)製“PF20”)のコロナ放電処理面にグラビアコーティング機を用いて、アンカーコート液、ガスバリア性被膜液をそれぞれ厚さが約0.1μm、0.2μmになるように塗布し、アンカーコート層とガスバリアー性被膜を形成し、更にこのコーティング面に、公知の方法により巻き取り式蒸着機等を用いて酸化ケイ素(SiO)を40nmの厚さで蒸着し、蒸着層を形成させ、実施例1に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0043】〈実施例2〉蒸着層を酸化アルミニウム(Al23)で形成した以外は実施例1と同様の方法により実施例2に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0044】〈実施例3〉蒸着層を酸化マグネシウム(MgO)で形成した以外は実施例1と同様の方法により実施例3に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0045】〈実施例4〉蒸着面に金属アルコキシドと水溶性樹脂からなるコーティング液をバーコーターにより、厚さが0.05μmになるようにして塗布しコーティング層を形成した以外は実施例1と同様の方法により実施例4に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0046】〈実施例5〉蒸着層を酸化アルミニウム(Al23)で形成した以外は実施例4と同様の方法により実施例5に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0047】〈実施例6〉蒸着層を酸化マグネシウム(MgO)で形成した以外は実施例4と同様の方法により実施例6に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0048】〈比較例〉アンカーコート層、ガスバリア性被膜層を無くした以外は実施例1と同様の方法により比較例に係るガスバリア性フィルムを得た。
【0049】〈評価〉実施例および比較例の各フィルムにおいて、(1)酸素透過率(cm3/m2・day・atm)(2)水蒸気透過率(g/m2・day)(3)セロハンテープ密着性を評価した。
【0050】(1)酸素透過度酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 OXTRAN−10/50A)を用いて、30℃相対湿度70%中の雰囲気下で測定した。
【0051】(2)水蒸気透過度酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 PARMATRAN−W600)を用いて、40℃相対湿度90%中の雰囲気下で測定した。
【0052】(3)セロハンテープ密着性被膜形成面にセロハンテープを貼り、その後剥がし、被膜が剥がれないかどうか目視で観察した。
【0053】結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】比較例では、アンカーコート層、ガスバリア性被膜層が無いため酸素バリア性はほとんどなく密着も悪い。また、OPP自身の水蒸気バリア性が発現されるのみである。これと比較して実施例では、アンカーコート層、ガスバリア性被膜層により高い酸素バリア性を発現し、また無機蒸着層による高い水蒸気バリア性も発現する。更に、層間の密着性も良好である。
【0056】
【発明の効果】以上述べた様に本発明によれば、M2O・nSiO2(Mはリチウムまたはリチウムを含む複数のアルカリ金属、nはモル比で1〜20の範囲内)で示されるアルカリ金属ポリシリケートを主成分とするガスバリア性被膜層に更に無機酸化物からなる蒸着層を設けることで、酸素バリア性、水蒸気バリア性、密着性共に良好なガスバリア性積層体とすることが可能となり、これを用いて印刷工程やDryラミネート、溶融押し出しラミネート、熱圧着ラミネートなどの後加工を行い、食品及び医薬品や電子部材等の非食品等の包装に用いられる実用範囲の広い包装材料の提供が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号
【出願日】 平成13年6月21日(2001.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−1745(P2003−1745A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−188629(P2001−188629)