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【発明の名称】 積層体の製造装置
【発明者】 【氏名】野口 幸廣

【要約】 【課題】供給されるウェブの幅よりも広い幅を有する積層体を製造する。

【解決手段】ファイバーが縦方向に配列された原反ウェブである不織布10上に、横方向に配列したストランドを積層することにより積層体を製造する装置1は、2枚の不織布10をそれぞれ搬送する搬送手段60,85,86と、フォーミング部21によって2枚の不織布10をそれぞれ半円筒形に湾曲させ、これら2枚の不織布10で円筒形を形成する案内部材20と、2枚の不織布10が成す円筒形の軸心に配置されて該軸線をほぼ中心に回転し、2枚の不織布10の内側面にストランドが積層されるように各不織布10に向けてポリマー液を吐出する噴射ヘッド41と、噴射ヘッド41により円筒形の2枚の不織布10の内側面にストランドが積層されてなる円筒形の積層体を1枚に切断するカッター(不図示)と、切断された積層体である複合シート80を平面形状へ展開する展開部23とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ファイバーが縦方向に配列されてなる原反ウェブ上に、横方向に配列したストランドを積層することにより積層体を製造する装置であって、複数枚の前記原反ウェブをそれぞれ搬送する搬送手段と、複数枚の前記原反ウェブの各々を前記ファイバーの配列方向と略直交する方向に湾曲させ、前記複数枚の原反ウェブで円筒形を形成する案内手段と、前記複数枚の原反ウェブが形成する円筒形の軸心に配置されて該軸線をほぼ中心に回転し、前記円筒形の複数枚の原反ウェブの内側面に前記ストランドが積層されるように、前記ストランドを成すポリマー液を前記複数枚の原反ウェブに向けて吐出する紡糸ヘッドと、前記紡糸ヘッドにより前記円筒形の複数枚の原反ウェブの内側面に前記ストランドが積層されてなる円筒形の積層体を、該円筒形の軸線と略平行な線に沿って、前記案内手段に案内された前記原反ウェブよりも少ない枚数に切断する切断手段と、前記切断手段によって切断された前記積層体の各々を、湾曲した形状から平面形状へ展開する展開手段とを有する積層体の製造装置。
【請求項2】 前記案内手段は、前記複数枚の原反ウェブを各原反ウェブごとに前記方向に湾曲した形状に形成するように案内する複数のフォーミング部を備え、前記展開手段は、切断された前記積層体を各積層体ごとに湾曲した形状から平面形状へ展開するように案内する展開部を備えている、請求項1に記載の積層体の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファイバーが縦方向に配列されてなる原反ウェブ上に、横方向に配列されたストランドを積層して積層体を製造する、積層体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、インフレーションフィルム成形で得られる筒状のフィルムを平面形状に展開する機構として、筒状のフィルムをピンチして折り畳んだ後にフィルムを展開する展開機がよく知られている。図6は、インフレーションフィルム成形で得られた筒状のフィルムを展開する従来の展開機を示す斜視図である。
【0003】従来の展開機は、図6に示されるように、円筒形状のウェブ1102を封筒状に折り畳むための一対のピンチローラ1101と、封筒状に折り畳まれたウェブ1102の幅方向の一端部を切断する切断手段と、一対のピンチローラ1101の間から送り出されたウェブ1102の内側面に押し当てられることによりウェブ1102を平面形状に展開するガイドバー1103とから構成されている。ガイドバー1103の外形は、三角形の面で構成された4面体形状となっている。
【0004】このような展開機では、まず、円筒状のウェブ1102が一対のピンチローラ1101の間へと送り込まれ、送り込まれたウェブ1102がそれらのピンチローラ1101の間に挟み込まれることで封筒状に折り畳まれる。次に、封筒状に折り畳まれたウェブ1102の端部がその移動方向に切断され、ウェブ1102にスリットが形成される。次に、切断されたウェブ1102の内側面がガイドバー1103の外壁面に接してウェブ1102が押し広げられることによりウェブ1102が平面形状に展開される。
【0005】一方、回転ダイスを用いて円筒形状の不織布の内側面に熱可塑性エラストマーのストランドを積層することで複合シートを製造する方法として、本出願人により出願した特開2001−032160の発明がある。その製造方法では、まず、原反ウェブであるシート状の不織布が案内装置によって円筒形にフォーミングされて、ガイド円筒の内壁面に沿って下方に送られる。その不織布を構成するファイバーはほぼ縦方向に延伸され配列されている。ガイド円筒内にある円筒形の不織布の内面側には、熱可塑性のエラストマーのストランドを紡糸して、そのストランドを不織布に向けて噴出させるエラストマー噴出部が配置されている。
【0006】エラストマー噴出部は、回転ダイスすなわち紡糸ヘッドとして、略鉛直方向の軸を中心として回転自在に設けられた噴射ヘッドを有しており、その噴射ヘッドは、回転自在に軸支された回転軸に一体的に設けられている。噴射ヘッドの外周壁には、噴射ヘッドの中空部内と外部とを連通するノズルが形成されており、そのノズルから遠心力によりエラストマーが吐出される。押出機またはギヤポンプから供給されるエラストマーが溶融状態または濃厚ドープとして噴射ヘッド内に供給される。
【0007】このような噴射ヘッドを回転させると、噴射ヘッド内に供給されたエラストマーが遠心力により噴射ヘッドのノズルから噴射される。噴射されたエラストマーは、凝固する前に、円筒形にフォーミングされた不織布の内側面に付着し、不織布上で凝固して不織布と接合される。ここで、不織布上に積層したエラストマーのストランドは、不織布のファイバーの配列方向に対してほぼ直角な方向に配列されている。その後、エラストマーのストランドが積層された不織布はシート状に広げられる。これにより、不織布のファイバーの配列方向すなわち縦方向には殆ど伸縮しないが、そのファイバーの配列方向とほぼ直角な横方向には伸縮する複合シートが製造される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような複合シートの製造装置において、エラストマーのストランドが積層された不織布を展開するために、図6に示した展開機を用いることができる。しかしながら、その場合には、円筒形状の積層体の内側面、すなわち不織布上に積層されたストランドがガイドバー1103に接触することになり、特に、ガイドバー1103のピンチローラ1101側の先端部では、積層体の内側面を強い力で擦ることになる。よって、積層体の内側面にあるストランドが不織布から剥離されたり、ストランドの配列が乱されてしまうことがあるという問題点がある。
【0009】そこで、本発明者らは、円筒形状に湾曲したウェブの内側で紡糸ヘッドを回転させることによりウェブの内側面にストランドを積層して積層体を製造する装置において、積層体を円筒形状から平面形状に展開する際にウェブからストランドが剥離することがなく、またストランドの配列を乱すことのないウェブ展開機構を有する、積層体の製造装置を発明するに至り、本出願人らによって出願されている(特願2000−348178号)。
【0010】この出願に係る積層体の製造装置は、円筒形ガイドによって案内された円筒形状のウェブを平面形状に展開する展開手段として、そのウェブにおける円筒形ガイドに接していた面と接してウェブを案内しつつウェブを展開するガイド部材を用いたウェブ展開機構を備えているので、円筒形状のウェブの内側で紡糸ヘッドを回転させてウェブ上にストランドを積層した後に、ストランドをウェブから剥離させることなく、ウェブ上にストランドを積層されてなる積層体をガイド部材によって円筒形状から平面形状に安定して展開することを可能にしている。
【0011】しかしながら、この製造装置は、供給された1枚のウェブを円筒状ガイドで円筒形に形成し、この円筒形のウェブの内側面にストランドを積層させて円筒形の積層体を構成した後に、この円筒形の積層体の1カ所を切り開いてウェブ展開機構で1枚の平面形状の積層体に展開するものであるため、供給されたウェブの幅と製造された積層体の幅とは同じ幅となる。そのため、より広い幅を有する積層体を製造するためには、より広い幅を有するウェブを供給する必要がある。
【0012】ところが、幅広のウェブを精度良く製作することは困難であるため、原反ウェブの幅を広くするには一定の制限がある。そのため、上記の従来技術では、一定の幅よりも広い幅を有する積層体を製造することはできなかった。
【0013】そこで本発明は、供給される各ウェブの幅よりも広い幅を有する積層体を製造することができる積層体の製造装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の積層体の製造装置は、ファイバーが縦方向に配列されてなる原反ウェブ上に、横方向に配列したストランドを積層することにより積層体を製造する装置であって、複数枚の前記原反ウェブをそれぞれ搬送する搬送手段と、複数枚の前記原反ウェブの各々を前記ファイバーの配列方向と略直交する方向に湾曲させ、前記複数枚の原反ウェブで円筒形を形成する案内手段と、前記複数枚の原反ウェブが形成する円筒形の軸心に配置されて該軸線をほぼ中心に回転し、前記円筒形の複数枚の原反ウェブの内側面に前記ストランドが積層されるように、前記ストランドを成すポリマー液を前記複数枚の原反ウェブに向けて吐出する紡糸ヘッドと、前記紡糸ヘッドにより前記円筒形の複数枚の原反ウェブの内側面に前記ストランドが積層されてなる円筒形の積層体を、該円筒形の軸線と略平行な線に沿って、前記案内手段に案内された前記原反ウェブよりも少ない枚数に切断する切断手段と、前記切断手段によって切断された前記各積層体を、湾曲した形状から平面形状へそれぞれ展開する展開手段とを有する。
【0015】さらに、前記案内手段は、前記複数枚の原反ウェブを各原反ウェブごとに前記方向に湾曲した形状に形成するように案内する複数のフォーミング部を備え、前記展開手段は、切断された前記積層体を各積層体ごとに湾曲した形状から平面形状へ展開するように案内する展開部を備えている構成としてもよい。
【0016】上記本発明の積層体の製造装置によれば、複数枚の原反ウェブの各々をファイバーの配列方向と略直交する方向に湾曲させ、それらを組み合わせることによって、円筒形が形成される。この円筒形は、複数枚の原反ウェブの各々の幅を合わせた長さの内周長を有する。そのため、このような円筒形の原反ウェブの内側面にストランドが積層されてなる積層体を、供給された原反ウェブの枚数よりも少ない枚数に展開することにより、供給された各々の原反ウェブよりも幅が広い積層体を得ることができる。したがって、各々の原反ウェブの幅を広く設けることに一定の制限がある場合でも、供給する各々の原反ウェブよりも幅広の積層体を製造することが可能になる。
【0017】ここで、本発明における「ファイバー」とは、短繊維および連続フィラメントの両方を含む広義のファイバーを意味する。なお、長繊維には、スプリットウェブやバーストファイバーのように、構成するフィラメントが枝分かれしているものも含まれる。
【0018】また、本発明における「ストランド」とは、通常、フィラメントと呼ばれる、比較的細いエンドレスまたは準エンドレスの可撓性材料の他に、比較的太いエンドレスまたは準エンドレスの可撓性材料を含めたものである。フィラメントいう場合は、太さが太い場合でも数百tex程度であるが、ストランドは、数千tex程度の太さのものも含まれる。
【0019】本発明において、原反ウェブのファイバーの配列方向などを説明する場合に用いる「縦方向」とは、原反ウェブや積層体を製造する際、あるいは原反ウェブ上にストランドを接合する際の機械方向すなわち原反ウェブの送り方向を意味し、「横方向」とは、その縦方向と直角な方向、すなわち原反ウェブの幅方向を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造装置を、一部を破断した状態で示す図、図2は、図1に示した積層体の製造装置の上面図である。
【0022】本実施形態の積層体の製造装置1は、フィラメントがおおよそ縦方向に配列された不織布10を半円筒形にフォーミングするフォーミング部21と、フォーミング部21で半円筒形とされた不織布10を、その形状を保持したまま鉛直方向にガイドする半円筒状のガイド部22とをそれぞれ備えた2つの案内部材20を有している。これら2つの案内部材20は、両ガイド部22が組み合わされて円筒状ガイドを成すように、向かい合わせに配置されている。さらに、これら2つのガイド部22の下端には、後述するように2枚の不織布10で構成される円筒形状の積層体を1枚の平面形状の複合シート80に展開する展開部23が設けられている。
【0023】さらに、この製造装置1は、案内部材20のフォーミング部21で半円筒形とされた各々の不織布10の内面側において熱可塑性のエラストマーのストランドを紡糸して不織布10に向けて噴射させるエラストマー噴射部40を、2つの案内部材20の両ガイド部22の間に有している。
【0024】ここでいうフォーミング部21とは、平面的な形状を持つフィルム、不織布あるいはウェブなどを半円筒形の形状に連続して形成する、すなわちフォーミングする機能を持つ部分である。このようなフォーミング部は、フィルム、不織布あるいはウェブから袋を製造する製袋機で使用されており、その形状がセーラー服の襟に似ていることから、セーラーフォーマー、あるいは単にフォーマーと呼ばれる。ただし、製袋機で使用される一般的なフォーマーは平面形状のものを「円筒形状」に形成するものであるが、本実施形態のフォーマーは、平面形状のものを「半円筒形状」に形成するものである点において、一般的なフォーマーと異なる。
【0025】一方、展開部23は、そのようなセーラーフォーマーを逆作用させて、円筒形状の積層体を平面形状に展開するものであり、「セーラーオープナー」ともいうべきものである。これにより、積層体にしわを生じさせずに、積層体を円筒形状から平面形状に安定して展開することができる。
【0026】図3は、図1に示した両案内部材20のガイド部22と展開部23との接続部、および展開部23の形状について説明するための図である。図3(a)は案内部材の上面図、図3(b)は案内部材の正面図である。なお、図3は図1に示した案内部材を上下を逆にして示している。
【0027】本実施形態における案内部材20では、2枚の不織布10からなる積層体の移動方向に対して直角な方向の全ての部位において、積層体が円筒形状から平面形状に展開されるまでに積層体の幅方向の各部位が通過するパス長さが全て同じになるように、両ガイド部22に対する展開部23の角度、および展開部23の表面の湾曲面が設計されている。
【0028】次に、積層体の各部位のパス長さについて、図3(a)および図3(b)を参照して説明する。まず、図3(b)に示すように、両ガイド部22内の積層体において、両ガイド部22の軸線を中心とした所定の円24上に、点P11,P12,P13,P14を、それぞれの位置が異なるようにとる。次に、積層体の点P11の部位が両ガイド部22の開口端22bに達したときの位置を点P21とし、その点P11の部位が展開部23の下流端23aに達したときの位置をP31とする。展開部23の下流端23aの縁は、その上を通る積層体の移動方向に対して直角な一直線に延びており、下流端23aおよびその近傍では、展開部23の表面が平面になっており、その面上にある積層体の部位が平面形状に展開されている。また、積層体の点P12の部位が開口端22bに達したときの位置を点P22とし、その点P12の部位が下流端23aに達したときの位置を点P32とする。同様に、積層体の点P13,P14の部位が開口端22bに達したときの位置を点P23,P24とし、点P13,P14の部位が下流端23aに達したときの位置を点P33,P34とする。
【0029】この場合、積層体の点P11の部位が円24上から開口端22bに達するまでに移動する距離がL1cとなり、その部位が開口端22bから下流端23aに達するまでに移動する距離がL1sとなる。同様に、積層体の点P12,P13,P14の各部位が円24上から開口端22bに達するまでに移動する距離がそれぞれL2c,L3c,L4cとなり、それら各部位が開口端22bから下流端23aに達するまでに移動する距離がそれぞれL2s,L3s,L4sとなる。
【0030】このとき、上述したように、積層体が円筒形状から平面形状に展開されるまでの積層体のパス長さがどこでも同じになるように案内部材20が構成されているので、(L1c+L1s)=(L2c+L2s)=(L3c+L3s)=(L4c+L4s
となる。このように案内部材20が構成されたことにより、積層体にしわを生じさせずに、安定して積層体を平面形状に展開することができる。
【0031】また、本発明者らは、積層体を安定して平面形状に展開するためには、展開部23上で積層体に作用する移動方向の張力の制御と、その張力の均一性が重要であることを実験の過程で見出した。案内部材20で積層体に作用する張力を制御するためには、図3に基づいて説明したように積層体の各部のパス長さが全て同じとなるように案内部材20を構成すると共に、積層体の送り速度を調整する手段をその搬送経路に設ければよい。これらの送り速度を調整する手段としては、例えば、積層体を挟み込む一対のローラと、それら一対のローラのうち少なくとも一方を回転させるモータなどの回転駆動手段とから構成された装置を用いることができる。送り速度調整用の一対のローラは、積層体の搬送経路において、案内部材20よりも移動方向上流側か、あるいは移動方向下流側の少なくともいずれか一方に配置されていればよい。このような調整手段を用いて積層体の送り速度を調整することにより、案内部材20で積層体に作用する移動方向の張力を制御することができ、そのような張力の制御によって、積層体を安定して展開できる条件に設定することができる。また、平面形状の不織布10を半円筒形状にフォーミングする各フォーミング部21(図1参照)に関しても、このような送り速度調整手段を設けることにより、不織布10を安定して半円筒形状に成形することができる。
【0032】図1に示されているように、不織布10の搬送経路における各フォーミング部21の上流側には、不織布10を挟み込んでフォーミング部21に供給すると共に、不織布10の供給速度を制御するための一対のピンチローラ60がそれぞれ配置されている。一対のピンチローラ60のうち少なくともいずれか一方のローラの回転動作が、モータなどの不図示の回転駆動手段によって制御される。
【0033】図4は、図1に示した積層体の製造装置における展開部と、その展開部で展開された積層体の搬送経路とを示す斜視図である。ただし、図4では、図1に示した回転軸42、プーリ43、およびベルト44等の構成の図示は省略している。
【0034】図4に示すように、展開部23の下方には、2枚の不織布10が各案内部材20の間を通過して得られた複合シート80を引き出すと共に、複合シート80の引き取り速度を制御するためのローラ対85が配置されている。ローラ対85のうち少なくともいずれか一方のローラの回転動作が、モータなどの不図示の回転駆動手段によって制御される。
【0035】図1および図4を参照すると、各不織布10がピンチローラ60を経由してフォーミング部21に供給されると、ローラ対85による不織布10の引き取り動作に伴って、不織布10はそれぞれ半円筒形にフォーミングされ、ガイド部22の内壁に沿って下方に送られる。そして、2枚の不織布10からなる円筒形の積層体は、下方の展開部23により1枚のシート状の複合シート80に展開された後、ローラ対85を経由して巻き取りローラ86に巻き取られる。
【0036】エラストマー噴射部40は、略鉛直方向の軸を中心として回転自在に設けられた紡糸ヘッドとしての噴射ヘッド41を有している。噴射ヘッド41は、この装置のフレーム30に固定された支持軸31の外周に支持軸31と同軸上で回転自在に軸支された回転軸42に一体的に設けられている。
【0037】回転軸42の下端部にはプーリ43が取り付けられており、不図示の回転駆動源からの回転がベルト44を介して伝達され、これにより回転軸42は支持軸31回りに回転させられる。ここでは、噴射ヘッド41の分解掃除の容易さのためにプーリ駆動を用いたが、支持軸31を回転駆動源に直結することによって、より簡単な構造とすることができる。また、噴射ヘッド41は、上面に環状の開口41aを有し下面が塞がれた中空円筒状の部材であり、その外周壁には、噴射ヘッド41の中空部内と外部とを連通するノズル41bが形成されている。ここでは円筒形の構造を示したが、噴射ヘッドは遠心力によりエラストマーを噴射できる構造であればよく、飛行機のプロペラ形状、または断面が三角形、四角形あるいは十字型の中空形状とし、重心を中心に回転し、外周面からエラストマーを噴射する構造とすることもできる。また、多角柱形状とすることも考えられる。しかし、回転により周囲に気流の乱れが生じることは、紡糸状態の安定性を損なうおそれがあるため、円筒形の構造が好ましい。
【0038】また、噴射ヘッドは、上部に開口を持つ構造を示したが、溶融エラストマーを大気中に開放することが望ましくない場合には、密閉された構造とすることができる。その場合、支持軸31を二重構造にして、外管と内管の間から噴射ヘッドに溶融エラストマーを供給し、回転駆動は内管のさらに内側に伝達軸を設けた構造が考えられる。ノズル41bの数は、後述するエラストマーのストランドの配列ピッチに応じて複数個形成されていてもよい。
【0039】噴射ヘッド41の上方には、先端(下端)を噴射ヘッド41の上面の開口41a内に臨ませた供給パイプ70が配置されている。供給パイプ70は、押出機またはギヤポンプ(不図示)と接続されており、エラストマーは、この供給パイプ70を通して溶融状態または濃厚ドープとして噴射ヘッド41内へ供給される。噴射ヘッド41の上方及び下方には、それぞれ加熱器(不図示)が配置されており、これら加熱器で噴射ヘッド41を加熱することにより、噴射ヘッド41内でのエラストマーの温度が、ノズル41bからの噴射に適した温度に保たれる。
【0040】また、本実施形態の積層体の製造装置1は、各案内部材20のガイド部22の周囲に、不織布10をガイド部22の内壁面に吸引させるための吸引チャンバー100を備えている。図5は、図1に示した製造装置の、案内部材および吸引チャンバーを含む部分の横断面図である。
【0041】図5に示すように、各ガイド部22の吸引チャンバー100によって覆われている部分には、その内壁面で移動する不織布10を各ガイド部22の外側から吸引するための貫通孔として通気孔22aが複数形成されている。この通気孔22aを通して、不織布10が各ガイド部22の内壁面に向けて吸引される。本実施形態では、ガイド部22に通気孔22aを形成したが、ガイド部22をメッシュ状にして、ガイド部22に、より多くの貫通孔を設けてもよい。
【0042】各吸引チャンバー100の内部には、それぞれの通気孔22aと連通した通気路101が設けられている。さらに、通気路101は、吸引チャンバー100の外壁面に一端が接続された吸引管102と連通している。吸引管102の他端には、不図示の吸引ブロアーが接続されている。これら吸引ブロアー、吸引管102、通気路101などから、ガイド部22の内壁面で移動する不織布10をガイド部22の外側から吸引する吸引手段が構成されている。この吸引手段によって、不織布10がガイド部22の内壁面に向けて吸引される。
【0043】したがって、吸引ブロアーによってガイド部22の内側の空気が通気孔22a、通気路101、および吸引管102を通して吸引されることで、半円筒形の不織布10が、通気孔22aより吸引される空気とともにガイド部22側に吸引される。このようにして、ガイド部22の内壁面で移動する半円筒形の不織布10を、通気孔22aを通してガイド部22側に吸引することにより、吸引していない場合と比較して、不織布10をガイド部22の内壁面により密着させることができる。その結果、ガイド部22の内壁面およびその近傍において、不織布10にしわを生じさせずに不織布10を半円筒形に保持することができる。
【0044】なお、吸引チャンバー100によって不織布10を吸引する位置は、噴射ヘッド41によってエラストマーを噴射して不織布10上に積層する位置、もしくは、それよりも不織布10の移動方向上流側の位置であることが望ましい。また、必要に応じてこれら以外の位置にさらに吸引チャンバーを追加することで、不織布10上へのエラストマーの積層の安定化を図ることもできる。
【0045】次に、この製造装置1の動作について説明する。上述したように、シート状の不織布10はそれぞれ案内部材20のフォーミング部21によって半円筒形にフォーミングされて、ガイド部22の内壁面に沿って下方に送られる。言い換えれば、半円筒形にフォーミングされた不織布10は、ガイド部22内ではガイド部22の長さ方向に沿って移動する。半円筒形となった不織布10は、ガイド部22に接する部分が通気孔22aを通してガイド部22の内壁面側に吸引される。これにより、上述したように、不織布10を吸引しない場合と比較して不織布10がガイド部22の内壁面により密着する。その結果、ガイド部22の内壁面およびその近傍において、不織布10にしわを生じさせずに不織布10を円筒形に保持することができる。
【0046】このとき、供給パイプ70から噴射ヘッド41内にエラストマーを供給しつつ、噴射ヘッド41を回転させると、噴射ヘッド41に供給されたエラストマーは遠心力によりノズル41bから噴射される。その結果、噴射されたエラストマーは、凝固する前に、それぞれ半円筒形にフォーミングされた両不織布10が成す円筒形の内周面に付着し、不織布10上で凝固し、不織布10と接合される。ここで、吸引チャンバー100の吸引は、不織布10のしわをとる効果だけでなく、不織布10上へのエラストマーの着地を補助する効果も同時に発揮する。なお、吸引チャンバー100による不織布10の吸引だけでは不織布10のしわをなくす効果が不足する場合には、ガイド部22の内側、すなわち両不織布10が成す円筒形の内側にエアー(空気)を供給するエアー供給手段を設けてもよい。そのエアー供給手段によって、ガイド部22の内壁面で移動する両不織布10が成す円筒形の内側にエアーを強制的に供給することにより、その空気の流れによって不織布10をガイド部22の内壁面に向けて付勢することができる。このように両不織布10が成す円筒形の内側にエアーを別途吹き込んで、不織布10を貫通する風量を増加させることにより、不織布10がガイド部22の内壁面に密着する度合いを上げることができる。その結果、このようなエアー供給手段を設けることで吸引チャンバー100による不織布10の吸引効果が高くなり、不織布10のしわをなくす効果が高くなる。
【0047】このように、噴射ヘッド41の回転による遠心力を利用してエラストマーを噴射させることにより、エラストマーは、ガイド部22の周方向に沿って不織布10の内周面に付着する。また、この間、不織布10は下方に送られているので、エラストマーは不織布10の内周面に螺旋状に接合される。これにより、両ガイド部22の間には、2枚の半円筒状の不織布10の内周面にエラストマーが付着されてなる円筒状の積層体が形成される。
【0048】その後、その積層体は展開部23を通って1枚のシート状に広げられ、不織布10とエラストマーとの積層体である複合シート80が得られる。ここで、不織布10の送り速度と噴射ヘッド41の回転速度とを適宜設定することにより、エラストマーは不織布10のフィラメントの配列方向(ファイバーの縦方向)と略直角方向にストランド状に配列され、フィラメントの配列方向には殆ど伸縮しないが、フィラメントの配列方向に対して直交する方向には伸縮する複合シート80が得られる。
【0049】このように、2枚の不織布10をそれぞれ半円筒形にフォーミングし、それらの内周面に、回転する噴射ヘッド41からエラストマーを噴射して、エラストマーを不織布10に接合させる方法は、エラストマーをストランド状に簡単かつ高速に成形でき、上記のような特性の複合シート80の製造に適している。また、エラストマーのストランドは、複合シート80の伸縮方向である横方向に配列しているので、少量のエラストマーで横方向の伸縮特性を効率的に発揮させることができる。さらに、この複合シート80は不織布10とエラストマーとを接合したものなので、不織布10の目付量が少なくてもその伸縮特性が損なわれることはなく、不織布10の量も少なくすることができる。
【0050】なお、図1に示した例では、各フォーミング部21を経由した不織布10を、そのままガイド部22にそれぞれ供給した例を示した。なお、2枚の不織布10を筒状にフォーミングする際に、各ガイド部22に供給された2枚の不織布10の端部同士のうちの、少なくとも展開部23で展開されない方の接合部を熱シールする機構を、フォーミング部21とガイド部22との間の領域に設けてもよい。この場合、熱シール機構は、不織布10の搬送方向に関して、噴射ヘッド41から不織布10にエラストマーが噴射される位置の上流側あるいは下流側のいずれに配置してもよい。また、この熱シール機構に加えて、あるいは熱シール機構に代えて、噴射ヘッド41から不織布10上に噴射されたエラストマーを冷却する手段を備えてもよい。
【0051】このような製造装置では、不織布10の幅とガイド部22の内周長とが一致していることが理想である。しかし、実際には、不織布10の端部の不揃い、または不織布10の蛇行などにより、両者を完全に一致させることは難しい。そのため、不織布10の幅をガイド部22の内周長よりも大きくするのが望ましい。これは、不織布の幅が不足した場合、ガイド部22の内側での不織布10の両端間に隙間が生じてしまうためである。隙間の部分ではエラストマーが直接、ガイド部22の内壁面に噴射され、固着してしまう。エラストマーが固着した部分は、不織布上に噴射された部分と引っ張り合ってしまい、不織布の送りを阻害することになる。
【0052】また、エラストマーの性質により、不織布10に噴射されたストランドは、遠心力により受けていた張力による伸びが開放されるため、不織布10をストランドの軸線方向に収縮させる作用を持つ。このため、不織布10の幅とガイド部22の内周長とを一致させたとしても、この収縮作用によって、ガイド部22の下部では不織布の幅が小さくなり隙間が生じる。以上より、不織布10の幅を、ガイド部22の内周長よりも大きくするのが現実的である。
【0053】また、不織布10の収縮に伴う不足分が補えるように、不織布10の幅の余分な分が重なった部分は、熱シールせずに自由な状態のままガイド部22に送り込むのが好ましい。
【0054】2枚の不織布10にエラストマー・ストランドを噴射して得られた円筒状の複合シート(積層体)を、円筒形状から1枚の平面形状に戻すためには、円筒形の複合シートの1つの側端を切り開くことが必要である。このために、複合シート80の送り方向に沿ってこれを切開するカッター(不図示)が、両ガイド部22の下端部の間の、展開部23の「襟元」の部分(図1のA領域)に設けられている。不織布10を熱シールしていない場合でも、エラストマーがスパイラル状に連続しているため、展開するには必ず側端を切り開く必要がある。切り開いた1枚の複合シート80は、下方の展開部23によって平面的な形状に展開される。複合シートの展開の際には、複合シート80を、さらに複数のカッターを用いて複数枚の複合シートに切り分けることも可能である。
【0055】噴射ヘッド41から吐出させる材料としては、エラストマー以外のポリマー液、すなわちエラストマー以外の溶融状態の樹脂や、樹脂を溶液に溶かして濃厚液にしたものや、粉末を溶媒に分散させた溶液を用いることができる。
【0056】以上、フィラメントがおおよそ縦方向に配列された不織布上に、熱可塑性のエラストマーがフィラメントの配列方向と略直角な方向にストランド状に配列された積層体を製造する装置と、その動作を説明した。このような積層体の製造装置によれば、半円筒形に形成された2枚の不織布10をそれらの幅方向に組み合わせることによって、円筒形が形成される。この円筒形は、2枚の不織布10の各々の幅を合わせた長さの内周長を有する。そのため、このような円筒形の不織布の内側面にストランドが積層されてなる積層体を、供給された不織布の枚数よりも少ない枚数(この場合は1枚)に展開することにより、供給された各々の不織布よりも幅が広い積層体を得ることができる。したがって、不織布10の幅を広く設けることに一定の制限がある場合でも、供給した各不織布10よりも幅広の積層体を製造することが可能になる。
【0057】なお、上記では2つの案内部材20を用いて2枚の不織布10を供給し、成形された積層体を1枚に展開する例を示したが、本発明が適用されるのはこれに限られず、3つの案内部材を用いて3枚の不織布を供給し、成形された積層体を1枚あるいは2枚に展開する構成や、4つの案内部材を用いて4枚の不織布を供給し、成形された積層体を1〜3枚に展開する構成等としてもよい。つまり、成形された積層体の展開枚数が、供給された不織布の枚数よりも少ない限りにおいて、不織布の供給枚数および積層体の展開枚数は任意である。この場合、フォーミング部は供給される不織布の枚数と同じ数だけ設けられ、展開部は展開される積層体の枚数と同じ数だけ設けられる。ただし、それらのフォーミング部および展開部の形状は、それぞれの設けられる数に合わせて適宜変更される。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の積層体の製造装置は、複数枚の原反ウェブの各々をファイバーの配列方向と略直交する方向に湾曲させ、複数枚の原反ウェブで円筒形を形成する案内手段と、紡糸ヘッドにより円筒形の複数枚の原反ウェブの内側面にストランドが積層されてなる円筒形の積層体を、円筒形の軸線と略平行な線に沿って、案内手段に案内された原反ウェブよりも少ない枚数に切断する切断手段と、切断手段によって切断された各積層体を、湾曲した形状から平面形状へそれぞれ展開する展開手段とを有するので、供給された各々の原反ウェブよりも幅が広い積層体を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000231682
【氏名又は名称】新日本石油化学株式会社
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100088328
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−1743(P2003−1743A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−189749(P2001−189749)