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【発明の名称】 表皮一体発泡成形品及びその成形方法
【発明者】 【氏名】川ノ上 茂徳
【住所又は居所】広島市安佐北区可部南2丁目25番31号 西川化成株式会社内

【氏名】石川 健司
【住所又は居所】広島市安佐北区可部南2丁目25番31号 西川化成株式会社内

【要約】 【課題】表皮の折曲部と芯材との境目のシール性及び外観見栄えを向上させる。

【解決手段】表皮5周縁に表皮5裏面側へ突出して表皮5表面側が芯材3の起立壁17内周面に当接する折曲部19を形成する。折曲部19端縁に折曲部19の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有し先端が起立壁17内周面に当接する突出部21を形成する。突出部21のインストルメントパネル1表面側にインストルメントパネル1の成形時に折曲部19を保持する保持具が挿入される溝部21aを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芯材と表皮との間に発泡層が一体成形された表皮一体発泡成形品であって、上記芯材には、表皮形成領域に対応して発泡層収容凹部を構成する起立壁が形成され、上記表皮周縁には、表皮裏面側へ突出して表皮表面側が上記起立壁内周面に当接する折曲部が形成され、上記折曲部端縁には、該折曲部の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有し先端が上記起立壁内周面に当接する突出部が形成され、上記突出部の表皮一体発泡成形品表面側には、表皮一体発泡成形品の成形時に上記折曲部を保持する保持具が挿入される溝部が形成されていることを特徴とする表皮一体発泡成形品。
【請求項2】 芯材と表皮との間に発泡層が一体成形された表皮一体発泡成形品の成形方法であって、表皮周縁に表皮裏面側へ突出して形成された折曲部が上型側に突出するように表皮を下型に載置し、上記折曲部端縁に該折曲部の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有して形成された突出部の表皮一体発泡成形品表面側に形成された溝部を保持具に挿入して上記折曲部を保持して位置決めすることにより表皮を下型にセットするとともに、芯材の起立壁が上記表皮の折曲部に対応するように上記芯材を上型にセットし、次いで、上記上型と下型とにより成形型を型閉じして上記表皮の突出部先端を上記芯材の起立壁内周面に当接させ、その後、型開き状態で又は型閉じ後にキャビティに注入された発泡原料の発泡途中で上記保持具を上記突出部の溝部から抜き、上記発泡原料のさらなる発泡膨張による発泡圧により上記折曲部の表皮表面側を上記起立壁内周面に当接させるとともに、発泡層が上記起立壁により表皮成形領域に対応して構成された発泡層収容凹部に収容されて上記芯材と表皮との間に一体成形された表皮一体発泡成形品を得ることを特徴とする表皮一体発泡成形品の成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、芯材と表皮との間に発泡層が一体成形された表皮一体発泡成形品及びその成形方法の改良に関し、特に成形時のシール対策と外観見栄え対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平7−314469号公報には、芯材と表皮との間に発泡層が一体成形された表皮一体発泡成形品としてのインストルメントパネルが開示されている。このインストルメントパネルでは、表皮裏面側へ突出する折曲部が表皮周縁に形成され、インストルメントパネル表面側に開口する溝部を有する突出部が上記折曲部端縁に形成されている。上記突出部の先端は、上記芯材の起立壁内周面に当接していて、インストルメントパネル成形時に発泡原料が漏れないようにしている。また、上記折曲部は、インストルメントパネル成形時の発泡圧により上記溝部が外部から見えないように上記起立壁に当接していて、表皮(折曲部)と芯材(起立壁)との間に隙間が生じないようにしている。
【0003】そして、このインストルメントパネルを成形する際、保持具を下型側から突出させて上記突起部の溝部に挿入させることにより、折曲部を保持して表皮の位置決めをしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、成形時にシール性を向上させたり、成形後に表皮と芯材との間に隙間が生じないようにする観点からは、表皮の折曲部が発泡圧の作用で芯材の起立壁側に撓み易くすることが望ましい。そのためには、突出部の突出長さを短くするとともに、溝部底面側の突出部の肉厚を薄くする必要がある。
【0005】しかし、上記の従来例では、図2(b)に示すように、表皮aの折曲部b及び突出部cは、1枚の表皮a周縁をU字状に折曲した形状であるため、突出部cの突出長さL1が折曲部bの肉厚T1と溝部dの溝幅Wとを足した長さになり、しかも、溝部d底面側の突出部cの肉厚T2が折曲部bの肉厚T1と同等になっており、突出部cの突出長さL1を短くするとともに、溝部d底面側の突出部cの肉厚T2を薄くするには限界がある。
【0006】この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表皮の折曲部と芯材との境目のシール性及び外観見栄えを向上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、この発明は、表皮周縁のエッジ部から突出して芯材の起立壁に当接する突出部の形状に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】具体的には、この発明は、芯材と表皮との間に発泡層が一体成形された表皮一体発泡成形品及びその成形方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】すなわち、請求項1に記載の発明は、前者の表皮一体発泡成形品に関するものであり、上記芯材には、表皮形成領域に対応して発泡層収容凹部を構成する起立壁が形成され、上記表皮周縁には、表皮裏面側へ突出して表皮表面側が上記起立壁内周面に当接する折曲部が形成され、上記折曲部端縁には、該折曲部の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有し先端が上記起立壁内周面に当接する突出部が形成され、上記突出部の表皮一体発泡成形品表面側には、表皮一体発泡成形品の成形時に上記折曲部を保持する保持具が挿入される溝部が形成されていることを特徴とする。
【0010】上記の構成により、請求項1に記載の発明では、突出部の突出長さが従来例に比べて短くなるとともに、溝部底面側の突出部の肉厚が従来例に比べて薄くなるため、表皮の折曲部が発泡圧の作用で芯材の起立壁側に撓み易くなり、成形時のシール性が向上して発泡原料が漏れない。また、成形後に表皮と芯材との間に隙間が生じず、外観見栄えが向上する。
【0011】請求項2に記載の発明は、後者の表皮一体発泡成形品の成形方法に関するものであり、表皮周縁に表皮裏面側へ突出して形成された折曲部が上型側に突出するように表皮を下型に載置し、上記折曲部端縁に該折曲部の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有して形成された突出部の表皮一体発泡成形品表面側に形成された溝部を保持具に挿入して上記折曲部を保持して位置決めすることにより表皮を下型にセットするとともに、芯材の起立壁が上記表皮の折曲部に対応するように上記芯材を上型にセットし、次いで、上記上型と下型とにより成形型を型閉じして上記表皮の突出部先端を上記芯材の起立壁内周面に当接させ、その後、型開き状態で又は型閉じ後にキャビティに注入された発泡原料の発泡途中で上記保持具を上記突出部の溝部から抜き、上記発泡原料のさらなる発泡膨張による発泡圧により上記折曲部の表皮表面側を上記起立壁内周面に当接させるとともに、発泡層が上記起立壁により表皮成形領域に対応して構成された発泡層収容凹部に収容されて上記芯材と表皮との間に一体成形された表皮一体発泡成形品を得ることを特徴とする。
【0012】上記の構成により、請求項2に記載の発明では、保持具を表皮に対して出入れする簡単な操作で、請求項1に記載の作用効果を奏する表皮一体発泡成形品が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0014】図1はこの発明の実施の形態に係る表皮材一体発泡成形品としての車両用インストルメントパネル1を示すが、これに限らず、ドアトリム等の自動車用内装品や自動車用内装品以外のものにも適用することができるものである。
【0015】上記インストルメントパネル1は、芯材3と表皮5との間に発泡層7が一体成形された3層構造のアッパーパネル部9と、芯材3だけの単層構造のロアパネル部11とで構成されている。図1中、3aは上記ロアパネル部11の芯材3に開設されたエア吹出口であり、このエア吹出口3aにはグリル13が装着されている。15はステアリングホイールである。
【0016】上記芯材3の端縁部3b近傍には、表皮形成領域に対応して発泡層収容凹部3cを構成する起立壁17が形成されている。一方、上記表皮5周縁には、図2(a)にも拡大して示すように、表皮5裏面側へ突出して表皮5表面側が上記起立壁17内周面に当接する折曲部19が形成されている。また、上記折曲部19端縁には、該折曲部19の肉厚T1と同等の突出長さL2及び突出厚さT3を有し先端が上記起立壁17内周面に当接する突出部21が形成されている。さらに、上記突出部21のインストルメントパネル1表面側には、インストルメントパネル1の成形時に上記折曲部19を保持する後述する保持具109(図3〜6参照)が挿入される溝部21aが形成されている。この溝部21a底面側の突出部21の肉厚T4が溝部21aの深さD分だけ薄肉になっている。そして、上記折曲部19は、インストルメントパネル1成形時の発泡圧により上記起立壁17に当接していて、上記溝部21aが外部から見えないように覆い、かつ表皮5(折曲部19)と芯材3(起立壁17)との間に隙間が生じないようにしている。このような表皮5はパウダスラッシュ成形法により成形することができる。
【0017】上述の如く構成されたインストルメントパネル1は、図3〜6に示すような下型101と上型103とを備えた成形型105を用いて以下の要領にて成形される。
【0018】(1) 図3に示すように、上型103(図4〜6に現れる)を上昇させて成形型105を型開きした状態で、下型101の表材セット面101aに表皮5を折曲部19が上型103側に突出するように表皮5表側を当接させて載置する。
【0019】(2) 上記下型101の一端側(図3左端側)に設置された流体圧シリンダ107を伸長作動させてそのピストンロッド107a先端に連結された保持具109を前進させ、該保持具109先端に突出部21の溝部21aを挿入して上記折曲部19を外方へ倒れないように保持して位置決めすることにより、表皮5を下型101の表材セット面101aにセットする。この状態で、下型101に形成した図示しない真空吸引孔からの負圧により表皮5を下型101に密着させる。
【0020】(3) 一方、図4に示すように、芯材3の起立壁17が上記表皮5の折曲部19に対応するように上記芯材3を上記上型103の芯材セット面103aに芯材3の裏側が当接するようにセットする。その際、上記上型103のほぼ中央に設置された芯材保持装置(図示せず)で芯材3が上型103から落下しないように保持する。
【0021】(4) 上記上型103を図4矢印Aで示すように斜め上方から下降させて成形型105を型閉じする(図5参照)。これにより、上記表皮5の突出部21先端が上記芯材3の起立壁17内周面に当接し、両者が面接触状態で押圧されて当該箇所がシールされる。
【0022】その他の箇所は、表皮5周縁を成形型105の型閉じ力により芯材3に突設された突条(図示せず)に対して線接触状態で押圧することにより当該箇所がシールされる。
【0023】このように、上記上型103と下型101とにより成形型105を型閉じして表皮5周縁を全周に亘ってシールすることで、発泡原料のキャビティ外への漏出を防止するようにしている。
【0024】(5) 発泡原料(図示せず)を上記上型103に設けた注入ヘッド(図示せず)から表皮5と芯材3との間のキャビティ111内に注入する。
【0025】(6) キャビティ111に注入された発泡原料の発泡途中で、上記流体圧シリンダ107を収縮作動させて上記保持具109を上記突出部21の溝部21aから抜く(図6参照)。この保持具109を抜くタイミングは、発泡原料が表皮5の折曲部19に達し、さらに発泡を続けている間に行うのが好ましい。これにより、保持具109を抜いた後、発泡圧により起立壁17と折曲部19との間の隙間を完全になくすことができる。
【0026】(7) 上記発泡原料がさらに発泡膨張すると、その発泡圧により上記折曲部19の表皮5表面側が上記起立壁17内周面に当接するとともに、発泡層7が発泡層収容凹部3cに収容されて上記芯材3と表皮5との間に一体成形されたインストルメントパネル1が成形される。
【0027】この際、上記表皮5の突出部21の突出長さL2を従来例に比べて短く設定しているとともに、溝部21a底面側の突出部21の肉厚T4を従来例に比べて薄く設定していることから、表皮5の折曲部19を発泡圧の作用で芯材3の起立壁17側に撓み易くすることができ、成形時のシール性を向上させることができて発泡原料の漏れを防止することができる。また、成形後に表皮5と芯材3との間に隙間を生じないようにすることができて外観見栄えを向上させることができる。さらに、上記保持具109を表皮5に対して出入れする簡単な操作で、上述の如き作用効果を奏するインストルメントパネル1を成形することができる。
【0028】(8) 図6に示すように、発泡原料がキャビティ111内でキュアし、アッパーパネル部9において表皮5と芯材3との間に発泡層7が一体成形されたインストルメントパネル1が成形される。
【0029】(9) 芯材保持装置を作動させ、芯材3の芯材保持装置による保持を解除した後、上型103を上昇させて成形型105を型開きし、しかる後、上記成形されたインストルメントパネル1を下型101から脱型する。
【0030】なお、上記の実施の形態では、表皮5を下型101の表材セット面101aに載置した後、保持具109を前進させ、該保持具109先端に突出部21の溝部21aを挿入して折曲部19を位置決めしたが、これとは逆に、保持具109を前進させた状態で表皮5を下型101の表材セット面101aに載置し、その後、上記保持具109先端に突出部21の溝部21aを挿入して折曲部19を位置決めするようにしてもよい。
【0031】さらに、上記の実施の形態では、成形型105の型閉じ状態でキャビティ111に発泡原料を注入するクローズド注入法によりインストルメントパネル1を成形する要領を説明したが、成形型105を型開きした状態でキャビティ111に発泡原料を注入するオープン注入法によりインストルメントパネル1を成形する場合にも適用することができるものである。
【0032】また、上記の実施の形態では、表皮5が単層である場合を示したが、ソリッドの表皮表面層と該表皮表面層の裏面に一体成形した軟質フォーム層とからなる多層構造の表皮であってもよい。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、表皮周縁に表皮裏面側へ突出して表皮表面側が芯材の起立壁内周面に当接する折曲部を形成し、上記折曲部端縁に折曲部の肉厚と同等の突出長さ及び突出厚さを有し先端が上記起立壁内周面に当接する突出部を形成し、上記突出部の表皮一体発泡成形品表面側に表皮一体発泡成形品の成形時に上記折曲部を保持する保持具が挿入される溝部を形成した。したがって、表皮の折曲部を発泡圧の作用で芯材の起立壁側に容易に撓ませて、発泡原料が漏れないようにシール性を向上させることができるとともに、成形後に表皮と芯材との間に隙間が生じないようにして外観見栄えを向上させることができる。
【0034】請求項2に係る発明方法によれば、保持具を表皮に対して出入れする簡単な操作で、請求項1に係る発明の作用効果を奏する表皮一体発泡成形品を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】390026538
【氏名又は名称】西川化成株式会社
【住所又は居所】広島県広島市安佐北区可部南2丁目25番31号
【出願日】 平成13年6月20日(2001.6.20)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2003−1740(P2003−1740A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−185937(P2001−185937)