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【発明の名称】 多層記録媒体の形成方法および装置、ならびに多層記録媒体
【発明者】 【氏名】金子 幸生
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】村上 義昭
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】山口 晴彦
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】巽 純幸
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】宇佐美 守
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】小巻 壮
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【要約】 【課題】装置の小型化を図るとともに、スタンパの貼合せにおいては、貼合せ対象となるスタンパに生じる傾きやソリを無くし、ディスクに対し均一なクリアランスをもたせ、一方、スタンパの剥離においては、樹脂層に対するスタンパの剥離速度が任意に調整可能で、最適な剥離速度を設定することが可能な多層記録媒体の形成方法および装置、ならびに多層記録媒体を提供する。

【解決手段】ディスク・スタンパ供給部、スタンパ貼合部、放射線照射部、スタンパ剥離部、ディスク排出部とを、複数からなるアームの円周上に順に配置する。そしてスタンパ貼合部においては、スタンパをディスクに重ね合わせ、その後、貼合ヘッドの押圧にてスタンパを前記ディスク側へと降下させる。またスタンパ剥離部においては、スタンパの周部に沿って押圧力を連続して加えるようにし、この樹脂層に対するスタンパの剥離をディスクの周回方向に沿って行わせるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスクの表面に樹脂層を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合工程と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させながら放射線を照射し、前記樹脂層を形成する工程と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ工程とを少なくとも備えることを特徴とする多層記録媒体の形成方法。
【請求項2】 前記スタンパは前記ディスクより外径が大きいことを特徴とする請求項1に記載の多層記録媒体の形成方法。
【請求項3】 前記スタンパは前記放射線が透光可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層記録媒体の形成方法。
【請求項4】 ディスクの表面に樹脂を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合工程と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させ前記樹脂の広がりによって前記クリアランスを埋めるとともに前記樹脂を硬化させ前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ剥離工程とを順に行う多層記録媒体の形成方法であって、前記スタンパ貼合工程で、スピンナーテーブルから突出する芯出し部材にセンター穴を嵌合させつつ前記ディスクを前記スピンナーテーブルに固定し前記ディスクの内縁側に前記樹脂を塗布した後に、前記スタンパのセンター穴に前記芯出し部材を嵌合させ、前記スタンパを前記ディスクに前記樹脂を介して重ね合わせるとともに貼合ヘッドの押圧にて前記スタンパを前記ディスク側へと降下させ、前記芯出し部材との嵌合にて前記スタンパの芯出しがなされた後に前記貼合ヘッドで前記スタンパを吸着し、前記貼合ヘッドの降下にて前記ディスクに対する前記スタンパのクリアランスを設定するとともに前記芯出し部材にて前記クリアランスを保持するようにし、前記スタンパ剥離工程で、前記ディスクを固定した後、前記ディスクの外縁から突出する前記スタンパの任意の位置に前記スタンパの剥離方向に作用する押圧力を加え、当該押圧力により前記スタンパが前記樹脂層より剥離し始めた後は、前記スタンパの周部に沿って押圧力を連続して加え、前記樹脂層に対する前記スタンパの剥離を前記ディスク周回方向に沿って行わせるようにしたことを特徴とする多層記録媒体の形成方法。
【請求項5】 ディスクの表面に樹脂を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合部と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させ前記樹脂の広がりによって前記クリアランスを埋めるとともに前記樹脂を硬化させ前記樹脂層を形成する樹脂層形成部と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ剥離部とを有する多層記録媒体の形成装置であって、前記スタンパ貼合部は、ディスク吸引手段を備え前記ディスクの片面を全面吸着可能なスピンナーテーブルと、このスピンナーテーブルから突出し前記ディスクと前記スタンパとの芯出しをなすとともに突出方向の保持をなす芯出し部材と、往復移動手段を備え前記樹脂を前記ディスクの内縁側に供給可能なディスペンサと、スタンパ吸引手段を備え前記スタンパの片面を全面吸着可能とし前記スピンナーテーブルに対し昇降可能な貼合ヘッドと、当該貼合ヘッドの降下により前記スタンパを前記スピンナーテーブルに対し接近させ、前記芯出し部材に対する前記センター穴の嵌合により前記スタンパの芯出しがなされた後に、前記スタンパ吸引手段の稼働により前記スタンパを前記貼合ヘッドに密着させ前記ディスクに対する前記スタンパのクリアランスを設定する第1制御手段とを有し、前記スタンパ剥離部は、前記ディスクの保持をなす固定手段を設け、前記ディスクの外縁から突出する前記スタンパの周部に沿って前記スタンパの剥離方向に昇降可能な押圧ピンを複数配置し、これら押圧ピンの前記スタンパへの押圧を前記ディスクの周回方向に沿って行わせるとともに前記押圧ピンの昇降速度の調整をなす第2制御手段を設けたことを特徴とする多層記録媒体の形成装置。
【請求項6】 情報記録面を有する支持基体上に、少なくとも1層の記録層を有するディスクに、樹脂層を介してスタンパの貼合せと剥離とを行い、前記樹脂層の表面にピットおよび/またはグルーブ構造を形成する多層記録媒体の形成装置であって、前記ディスクと前記スタンパとを腕部先端側で把持し腕部根元側を回転中心とした旋回にて前記ディスクと前記スタンパを円周上に沿って搬送させる移載アームを複数配置するとともに、前記ディスクと前記スタンパの供給をなすディスク・スタンパ供給部と、前記ディスクに前記スタンパを貼り合わせるためのスタンパ貼合部と、前記ディスクと前記スタンパの間に樹脂層を形成させるための放射線照射部と、前記ディスクから前記スタンパを剥がすためのスタンパ剥離部と、前記ディスクと前記スタンパを排出するためのディスク排出部とを、前記移載アームの円周上に順に配置してなり、これらに跨る前記ディスクと前記スタンパの搬送を、前記移載アームによって行わせることを特徴とする多層記録媒体の形成装置。
【請求項7】 移載アームは複数の腕部を有し、複数の前記ディスクと前記スタンパとを同時に搬送可能にしたことを特徴とする請求項6に記載の多層記録媒体の形成装置。
【請求項8】 前記スタンパ剥離部は、前記ディスクと前記スタンパとをその周回方向に沿って複数収容する回転可能な搬送テーブル部を有するとともに、この搬送テーブル部における周回方向に沿って、前記ディスクと前記スタンパとの受け入れをなすための受入部と、前記ディスク側から前記スタンパを剥離させるためのスタンパ剥離部と、剥離後のディスク端面の処理を行う端面処理部と、前記搬送テーブル部から前記ディスク排出部へと前記ディスクを受け渡すための排出部とを順に配置し、前記スタンパの剥離作業を前記搬送テーブル部の周回方向に沿って行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の多層記録媒体の形成装置。
【請求項9】 前記スタンパ貼合部は、前記ディスクと前記スタンパとをその周回方向に沿って複数収容する回転可能な貼合テーブルを有するとともに、この貼合テーブルにおける周回方向に沿って仮硬化放射線照射部を配置し、前記ディスクと前記スタンパとに挟まれる前記樹脂の仮硬化を行うことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1に記載の多層記録媒体の形成装置。
【請求項10】 少なくとも前記スタンパ貼合部と前記紫外線照射部は、温度をほぼ一定に制御されたことを特徴とする請求項9に記載の多層記録媒体の形成装置。
【請求項11】 請求項5乃至請求項10のいずれか1に記載の多層記録媒体の形成装置によって製造されたことを特徴とする多層記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層記録媒体の形成方法および装置、ならびに多層記録媒体に係り、特にディスクに対して、樹脂層を介してスタンパの貼合せと剥離とを行い、前記樹脂層の表面にピットおよび/またはグルーブ構造を形成する多層記録媒体の形成方法および装置、および同装置によって製造された多層記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、次世代向けの記録媒体として、種々の多層構造ディスクが提案されている。
【0003】図33は、再生専用型の2層ディスクの構造を示した略断面図である。同図に示すように、再生専用型の2層ディスク200は、厚さ1.1mmのベース基板202を有し、このベース基板202の片側表面に厚さ0.1mmの光透過層204を形成した形態となっている。
【0004】図34は、図33におけるベース基板と光透過層の境界部分の拡大図である。同図に示すように、ベース基板202と光透過層204には、センター穴206(図33を参照)を中心とした螺旋状の情報ピット208が個々に形成されている。そしてこれらの情報ピット208の表面には反射層(図示せず)がそれぞれスパッタや蒸着等によって設けられるとともに、対面する情報ピット208の間には、当該情報ピット208による凹凸を埋めるように樹脂層210が形成されている。
【0005】このように構成された2層ディスクでは、光透過層204の上方からレーザ光を照射し、読み出しを行うようになっている。
【0006】ところで上述した多層ディスクの樹脂層210表面に情報ピット208やグルーブ構造を形成する際、種々の製造方法が用いられる。
【0007】図35と図36は、スピンコート法を用いて情報ピットを形成する手順を示した工程説明図である。スピンコート法を用いて情報ピットを形成するには、まず図35に示すように、ベース基板202と、透光性のスタンパ212とを、ベース基板202の内縁側に塗布された放射線硬化樹脂を挟み込むように貼り合わせ、次いでセンター穴206を回転中心として矢印214に示すようにベース基板202とスタンパ212とを共に回転させる。
【0008】このようにベース基板202とスタンパ212とを共に回転させれば、放射線硬化樹脂は遠心力によってディスク外周側へと広がり、ベース基板202とスタンパ212との間が、放射線硬化樹脂で埋まる。前記隙間が放射線硬化樹脂で埋められた後は、スタンパ212の上方より放射線を照射し、前記放射線硬化樹脂の硬化によって樹脂層216を形成する。
【0009】そして樹脂層216が形成された後は、図36に示すようにスタンパ212を上方へと引き上げ、当該スタンパ212と樹脂層216を剥離させる。このように樹脂層216からスタンパ212を剥離させると、樹脂層216の表面にスタンパ212から転写された情報ピット208が露出するので、その後は、樹脂層216の表面にスパッタや蒸着等によって反射層を形成し、その後、スピンコート等の方法によって光透過層を形成すればよい。
【0010】なお上述の従来例では、趣旨層216の表面に情報ピット208を形成する手順について説明をおこなったが、スタンパを用いたこの方式は、前記情報ピット208の形成だけに限定されることもなく、ディスク周回状にグルーブ構造を形成したり、あるいは前記グルーブ構造と情報ピットとを組み合わせた形態にも適用できることはいうまでもない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところでベース基板に対するスタンパの貼り合わせにおいては、ベース基板に対するスタンパのクリアランスは、数10ミクロン〜数100ミクロンの間で均一になるよう設定しなければならない。しかしベース基板にスタンパを貼り付ける場合、前記ベース基板に対し貼合せ対称となるスタンパを接近させるのであるが、このスタンパに傾きが生じたり、あるいはスタンパ自体の自重によって当該スタンパにソリが生じたり、あらかじめベース基板の内縁側に塗布された放射線硬化樹脂(いわゆる樹脂)の粘性抵抗によってスタンパにソリが生じたりするおそれがあった。
【0012】このようにスタンパに傾きが生じたり、あるいはソリが生じると、ディスクとスタンパとの間で硬化する放射線硬化樹脂(いわゆる樹脂層)の厚みが異なってしまい、この結果、上層記録層の位置が厚み方向において一定でなくなるという問題点が生じる。
【0013】一方、ベース基板に対するスタンパの剥離においては、以下に示すような問題点があった。
【0014】すなわち樹脂層210からスタンパ212を剥離させる際、当該スタンパ212の全面を樹脂層210から一斉に離反させるには、多大な引張力が必要であった。そしてスタンパ212が樹脂層210から離反した際には、前記引張力が急激に解放されるので剥離したスタンパ212が保持部より外れ、樹脂層210上に落下し情報ピットやグルーブ構造208に損傷を与えるおそれがあった。
【0015】さらにスタンパ212は上述の通り、樹脂層210から一挙に剥離するので、樹脂層210に対するスタンパ212の剥離速度を調整することが難しく、グルーブ構造208を露出させるために最適な剥離速度に設定することが困難であった。
【0016】また従来、上述したような多層記録媒体を形成するには、ディスクやスタンパの供給をなす部分や、ディスクの内縁側に放射線硬化樹脂を塗布する部分、前記ディスクにスタンパを貼り合わせる部分、前記放射線硬化樹脂を硬化させる部分、ディスクからスタンパを剥離させる部分、ディスクとスタンパを排出するための部分などを直線上に配置するのが通常であった。
【0017】しかしこのような方法を用いた場合、製造装置が長手方向に延長してしまい、当該製造装置が大型化するという問題があった。さらに新たな工程を追加しようとすると(例えばディスクのクリーニング工程など)、その工程の追加分に応じて製造装置が延長してしまう。このため製造装置を設置するためのスペースの確保が課題となったり、あるいはディスクの寸法変化を抑えるという目的から、ディスクにスタンパを貼り合わせる部分や、前記放射線硬化樹脂を硬化させる部分を温度管理しようとすると当該温度管理の領域が増大し、空調に係る労力が増大するというおそれもあった。
【0018】本発明は上記従来の問題点に着目し、貼合せ対象となるスタンパに生じる傾きやソリを無くし、ディスクに対し均一なクリアランスをもってスタンパを貼合すことが可能なスタンパの貼り合わせを達成するとともに、樹脂層に対するスタンパの剥離速度が任意に調整可能で、最適な剥離速度を設定することができるスタンパの剥離機能を備えた、多層記録媒体の形成方法および装置、ならびに同装置によって製造された多層記録媒体を提供することを第1の目的とする。
【0019】また本発明は、多層記録媒体の形成装置の小型化を図り省力化を達成することのできる多層記録媒体の形成装置、ならびに同装置によって製造された多層記録媒体を提供することを第2の目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明に係る多層記録媒体の形成方法は、ディスクの表面に樹脂層を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合工程と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させながら放射線を照射し、前記樹脂層を形成する工程と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ工程とを少なくとも備えることとした。そして前記スタンパは前記ディスクより外径を大きく設定したり、あるいは前記スタンパは前記放射線が透光可能であることとした。
【0021】さらに本発明に係る多層記録媒体の形成方法は、ディスクの表面に樹脂を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合工程と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させ前記樹脂の広がりによって前記クリアランスを埋めるとともに前記樹脂を硬化させ前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ剥離工程とを順に行う多層記録媒体の形成方法であって、前記スタンパ貼合工程で、スピンナーテーブルから突出する芯出し部材にセンター穴を嵌合させつつ前記ディスクを前記スピンナーテーブルに固定し前記ディスクの内縁側に前記樹脂を塗布した後に、前記スタンパのセンター穴に前記芯出し部材を嵌合させ、前記スタンパを前記ディスクに前記樹脂を介して重ね合わせるとともに貼合ヘッドの押圧にて前記スタンパを前記ディスク側へと降下させ、前記芯出し部材との嵌合にて前記スタンパの芯出しがなされた後に前記貼合ヘッドで前記スタンパを吸着し、前記貼合ヘッドの降下にて前記ディスクに対する前記スタンパのクリアランスを設定するとともに前記芯出し部材にて前記クリアランスを保持するようにし、前記スタンパ剥離工程で、前記ディスクを固定した後、前記ディスクの外縁から突出する前記スタンパの任意の位置に前記スタンパの剥離方向に作用する押圧力を加え、当該押圧力により前記スタンパが前記樹脂層より剥離し始めた後は、前記スタンパの周部に沿って押圧力を連続して加え、前記樹脂層に対する前記スタンパの剥離を前記ディスク周回方向に沿って行わせる手順とした。
【0022】また本発明に係る多層記録媒体の形成装置は、ディスクの表面に樹脂を介してスタンパを貼り合わせるスタンパ貼合部と、前記ディスクと前記スタンパとを回転させ前記樹脂の広がりによって前記クリアランスを埋めるとともに前記樹脂を硬化させ前記樹脂層を形成する樹脂層形成部と、前記スタンパを前記樹脂層から剥離させるスタンパ剥離部とを有する多層記録媒体の形成装置であって、前記スタンパ貼合部は、ディスク吸引手段を備え前記ディスクの片面を全面吸着可能なスピンナーテーブルと、このスピンナーテーブルから突出し前記ディスクと前記スタンパとの芯出しをなすとともに突出方向の保持をなす芯出し部材と、往復移動手段を備え前記樹脂を前記ディスクの内縁側に供給可能なディスペンサと、スタンパ吸引手段を備え前記スタンパの片面を全面吸着可能とし前記スピンナーテーブルに対し昇降可能な貼合ヘッドと、当該貼合ヘッドの降下により前記スタンパを前記スピンナーテーブルに対し接近させ、前記芯出し部材に対する前記センター穴の嵌合により前記スタンパの芯出しがなされた後に、前記スタンパ吸引手段の稼働により前記スタンパを前記貼合ヘッドに密着させ前記ディスクに対する前記スタンパのクリアランスを設定する第1制御手段とを有し、前記スタンパ剥離部は、前記ディスクの保持をなす固定手段を設け、前記ディスクの外縁から突出する前記スタンパの周部に沿って前記スタンパの剥離方向に昇降可能な押圧ピンを複数配置し、これら押圧ピンの前記スタンパへの押圧を前記ディスクの周回方向に沿って行わせるとともに前記押圧ピンの昇降速度の調整をなす第2制御手段を設けるよう構成した。
【0023】また本発明に係る他の多層記録媒体の形成装置は、情報記録面を有する支持基体上に、少なくとも1層の記録層を有するディスクに、樹脂層を介してスタンパの貼合せと剥離とを行い、前記樹脂層の表面にピットおよび/またはグルーブ構造を形成する多層記録媒体の形成装置であって、前記ディスクと前記スタンパとを腕部先端側で把持し腕部根元側を回転中心とした旋回にて前記ディスクと前記スタンパを円周上に沿って搬送させる移載アームを複数配置するとともに、前記ディスクと前記スタンパの供給をなすディスク・スタンパ供給部と、前記ディスクに前記スタンパを貼り合わせるためのスタンパ貼合部と、前記ディスクと前記スタンパの間に樹脂層を形成させるための放射線照射部と、前記ディスクから前記スタンパを剥がすためのスタンパ剥離部と、前記ディスクと前記スタンパを排出するためのディスク排出部とを、前記移載アームの円周上に順に配置してなり、これらに跨る前記ディスクと前記スタンパの搬送を、前記移載アームによって行わせるよう構成した。そして移載アームは複数の腕部を有し、複数の前記ディスクと前記スタンパとを同時に搬送可能にすることが好ましい。
【0024】さらに前記スタンパ剥離部は、前記ディスクと前記スタンパとをその周回方向に沿って複数収容する回転可能な搬送テーブル部を有するとともに、この搬送テーブル部における周回方向に沿って、前記ディスクと前記スタンパとの受け入れをなすための受入部と、前記ディスク側から前記スタンパを剥離させるためのスタンパ剥離部と、剥離後のディスク端面の処理を行う端面処理部と、前記搬送テーブル部から前記ディスク排出部へと前記ディスクを受け渡すための排出部とを順に配置し、前記スタンパの剥離作業を前記搬送テーブル部の周回方向に沿って行うようにしたり、あるいは前記スタンパ貼合部は、前記ディスクと前記スタンパとをその周回方向に沿って複数収容する回転可能な貼合テーブルを有するとともに、この貼合テーブルにおける周回方向に沿って仮硬化放射線照射部を配置し、前記ディスクと前記スタンパとに挟まれる前記樹脂の仮硬化を行うことが好ましい。さらに前記スタンパ貼合部と前記仮硬化放射線照射部とを含む領域を区画するとともに、この領域を温度調整領域とし、当該温度調整領域を一定温度に設定することが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明に係る多層記録媒体の形成方法および装置、ならびに多層記録媒体に好適な具体的実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0026】図1は、本実施の形態に係る多層記録媒体の形成装置をグルーブ形成に適用した際のグルーブ形成装置の概略平面図である。なお本実施の形態では、多層記録媒体の形成装置をグルーブ形成装置としたが、同装置ではグルーブ構造の形成だけに限定されることもなく、前記グルーブ構造の代わりにディスク周回状に情報ピットを形成したり、あるいは前記グルーブ構造と情報ピットとを組み合わせて形成するようにしてもよい。
【0027】本実施の形態に係るグルーブ形成装置230は、多層記録媒体となる書き換え可能な2層ディスクにおいて、上層記録側にグルーブ構造を形成するものである。そして図1に示すようにグルーブ形成装置230では、その装置内にディスクとスタンパを供給するためのディスク・スタンパ供給部232と、ディスク表面のクリーニングをなすクリーナ部234と、上述したディスクにスタンパを貼り合わせるためのスタンパ貼合部236と、ディスクとスタンパの間に介在する放射線硬化樹脂を固め樹脂層を形成するための放射線照射部238と、ディスクからスタンパを剥がすためのスタンパ剥離部240と、ディスクとスタンパを排出するためのディスク排出部242とが設けられている。そしてこれら要素の間には、供給アーム244、第1移載アーム246、第2移載アーム248、排出アーム250が設けられており、これらアームの旋回運動にてディスクとスタンパとを後段側へと搬送できるようにしている。
【0028】図2は、図1におけるスタンパ貼合部の拡大図であり、図3は、図2におけるBB断面図であり、図4は、図3の要部拡大図である。
【0029】これらの図に示すように、スタンパ貼合部236では、図示しないカムユニットによって180度旋回が可能な円盤状の貼合テーブル350が設けられている。そしてこの貼合テーブル350には、回転中心を対象にして一対のスピンナーテーブル352が設けられている。当該スピンナーテーブル352は、前記貼合テーブルと同様に円盤状の形態からなり、その下方には旋回用サーボモータ354が設けられている。そしてこの旋回用サーボモータ354の回転軸は、スピンナーテーブル352の中心部に接続されており、前記旋回用サーボモータ354を稼働させることで、スピンナーテーブル352を回転可能にしている。
【0030】また貼合テーブル350の上方には、一対のスピンナーテーブル352の位置に対応するよう、貼合ヘッド356と、仮硬化放射線照射部となる第1UV照射器358が、それぞれ設けられており、前記貼合ヘッド356と、前記第1UV照射器358とを、それぞれスピンナーテーブル352と組み合わせることにより、貼合テーブル350上に、本実施の形態に係るスタンパ貼合装置となるスタンパ貼合部236と、仮硬化UV照射部360とを形成するようにしている。
【0031】スタンパ貼合部236を形成するスピンナーテーブル352を以下に説明する。円盤状からなるスピンナーテーブル352の外径は、貼合対象となるディスク278の外径より若干小さな寸法に設定されている。そしてスピンナーテーブル352では、その側面に、前記スピンナーテーブル352の中心部へと向かう刳貫穴364が設けられているとともに、この刳貫穴364に近接する前記スピンナーテーブル352の表面には、前記刳貫穴364に連通する吸引口361が複数設けられており、図示しないディスク吸引手段(いわゆる真空ポンプ等)を刳貫穴364の端部開口に接続することで、当該刳貫穴364内を負圧空間にし、吸引口361から吸い込みを行い、ディスク278をスピンナーテーブル352に吸着可能にしている。なおスピンナーテーブル352の背面側には、凹部(図示せず)が刳貫穴364の間に設けられ、前記スピンナーテーブル352の軽量化を図るようにしている。
【0032】またスピンナーテーブル352では、その中央部から突出するように、芯出し部材を構成する円筒形状からなる中空ゴム部材370が設けられており、そして当該中空ゴム部材370の内側には、拡径部材372が設けられている。当該拡径部材372は、中空ゴム部材370の内壁に沿って設けられ当該中空ゴム部材の半径方向に対して移動可能な押圧壁374と、この押圧壁374の内側に中空ゴム部材370の軸心に沿って上方に突出するようセンターピン376が配置されており、このセンターピン376をL字型の爪を有する第1移載アーム246で押し下げることで押圧壁374を拡径させ、中空ゴム部材370をディスク278のセンター穴の側壁に押圧させ、中空ゴム部材370に対してディスク278の芯出しを行うようにしている。
【0033】ところでスピンナーテーブル352の外方には、当該スピンナーテーブル352を取り囲むようにガイド板378が設けられている。そして当該ガイド版378が前記スピンナーテーブル352を取り囲むことでスタンパ貼合部236の外部から塵埃が飛来し、スピンナーテーブル352に吸引されたディスク278の表面に前記塵埃が堆積するのを防止することができるようになっている。
【0034】一方、スタンパ貼合部236を形成する貼合ヘッド356は、以下のように構成される。
【0035】当該貼合ヘッド236は、フランジ部382を有した円盤状からなり、スピンナーテーブル352との対面をなす小径側には、スタンパ280を吸引によって密着させるためのスタンパ取付面384が形成されている。なおスタンパ取付面384の外径は、スタンパ280の外径より若干径大になるよう形成されており、スタンパ280の全面を貼合ヘッド236で押圧できるようにしている。
【0036】ところで貼合ヘッド236におけるスタンパ取付面384の反対側、すなわち貼合ヘッド236において、当該貼合ヘッド236を昇降させるために結合される貼合プレート388と対面する側には、窪み390が形成されており、前記貼合ヘッド236を前記貼合プレート388に取り付けることで、貼合プレート388側に設けられたスタンパ吸引手段(いわゆる真空ポンプ等、図示せず)につながるエア吸引経路を形成するようにしている。なお窪み390の形状は、貼合プレート388との接触面側からスタンパ取付面384側に至るまでに、複数且つ小径になっており、前記スタンパ取付面384に接触するスタンパ280を複数の小径穴で吸引させ、スタンパ取付面384に対するスタンパ280の密着度合いを高めるとともに、前記穴によってスタンパ280が変形するのを防止することができるのである。なお上述した貼合ヘッド236は窪み390が複雑な形状であるので、前記貼合ヘッド236自体を機械加工によって削り出す方法だけでなく、焼結製法によって形成するようにしてもよい。
【0037】このように構成された貼合ヘッド236の側方には、昇降用サーボモータ391が接続されたボールネジと、このボールネジの回転によって往復移動が可能な昇降ステージ392からなる1軸ユニット394が垂直方向に立設されている。そして昇降ステージ392と前記貼合プレート388との間には連結アーム396が設けられ、昇降ステージ392とともに、貼合プレート388側を昇降させるようにしている。
【0038】ところでスピンナーテーブル352の周囲で、前記1軸ユニット394と干渉しない位置には、その先端に吐出ノズル397が設けられたディスペンサ398が設けられている。ここで当該ディスペンサ398には往復移動手段としてサーボモータ駆動によるボールネジ機構400が備えられており、このボールネジ機構400の稼働によりディスペンサ398を前進させ、ディスク278の内縁側に吐出ノズル397によって樹脂となる放射線硬化樹脂を塗布可能にしている。
【0039】なお前述した貼合テーブル350の回転、旋回用サーボモータ354、昇降用サーボモータ391、ディスクおよびスタンパ吸引手段、ディスペンサ398は、全て図示しない第1制御手段となる制御手段に接続されており、この制御手段からの稼働信号に応じて回転や、昇降等を行うようにしている。
【0040】図5は、図1におけるスタンパ剥離部の拡大図であり、図6は図5におけるAA断面図である。
【0041】これらの図に示すように、スタンパ剥離部240は、剥離ステーション252と搬送テーブル部254とで構成されている。そして貼り合わされたディスクとスタンパは、まず剥離ステーション252へと搬送され、ここでディスクとスタンパとの貼り合わせ部分に切れ込みが入れられる。次いでディスクとスタンパは、搬送テーブル部254へと搬送され、ここでディスクからスタンパを剥離させ、剥離後のディスク端面の研磨を行うようにしている。なお剥離ステーション252から搬送テーブル部254への搬送は、上述した第2移載アーム248の旋回と上下運動によって行われる。
【0042】図7は、剥離ステーションの構造を示す側面図である。同図に示すように、剥離ステーション252では、その最上部にディスクの外径とほぼ同様な寸法に設定された真空吸引が可能なテーブル256が設けられている。また当該テーブル256の中心からは、ディスクおよびスタンパのセンター穴と嵌合を可能とする位置決めピン260が突出するよう設けられており、この位置決めピン260にディスクおよびスタンパを嵌合させることで、テーブル256に対するディスクの位置決めを行うとともに、ディスクの背面側をテーブル256の表面へと密着させ、真空吸引によってディスク等をテーブル側に固定させることができるようにしている。
【0043】またテーブル256において位置決めピン260が設けられた反対側には、回転軸262を介してディスク回転モータ264が設けられている。このためディスク回転モータ264を回転させることで、当該ディスク回転モータ264に発生する回転力が、回転軸262を介してテーブル256へと伝達され、当該テーブル256とともに、真空吸引で固定されたディスク等を位置決めピン260を中心に回転させることができるようになっている。また回転軸262の途中には、ディスク回転モータ264の回転検知をなす光センサ266(あるいは他方式のセンサであってもよい)が設けられており、この光センサ266からの値をもとに後述するカッタの前進および後退等を行うようにしている。
【0044】一方、テーブル256の側方には、角度調節部268が配置される。そして当該角度調節部268には、円弧状に湾曲したガイドレール270が設けられるとともに、当該ガイドレール270に沿って移動を可能とするステージ272が設けられている。なおガイドレール270の湾曲形状は、ステージ272上に固定された後述するカッタを前進させた際、いずれの角度に置おいても前記カッタの刃先が、ディスクとクランパの境界に達するように設定しておく。
【0045】ステージ272上には、往復移動部となるシリンダ274が装着されており、当該シリンダ274にはカッタ276が取り付けられている。このため前記シリンダ274を伸長させると、このシリンダ274とともにカッタ276が前進し、当該カッタ276の刃先がテーブル256に固定されたディスクとスタンパとの境界に達する。図8は、カッタの刃先がディスクとスタンパとの境界に達した状態を示す要部拡大図である。同図に示すようにスピンコート法を用いて貼り合わされたディスク278とスタンパ280においては、樹脂層を形成するための部材がディスク278の外縁に突出し、これが硬化して余剰部282となっている。このため余剰部282は、ディスク278とスタンパ280の境界を埋めるように位置しており、余剰部282を除去せずにスタンパ280をディスク278側から剥離させようとする場合は、前記余剰部282を分断させるだけの力が必要である。しかし同図に示すように、この余剰部282にカッタ276を押し込み、まずその刃先を前記境界へと到達させ、前記刃先を境界へと到達させた後は、ディスク回転モータ264を駆動させ、少なくとも一回転以上、テーブル256とともにディスク類を回転させカッタ276にて余剰部282の一部の領域を削り、境界を露出させる。このようにカッタ276にて余剰部282に切れ込みを入れれば、前記余剰部282が分断されるので、スタンパ280を剥離させる際、余剰部282が剥離強度に影響するのを防止することができる。
【0046】なお余剰部282に対し切れ込みを入れる際、カッタ276とスタンパ280との交差する角度284が、出来るだけ大きくなるようにカッタ276の姿勢を設定することが望ましい。このように角度284を大きく設定すれば、余剰部282の残部を積極的にスタンパ280側に残すことができ、これら残部は後工程でスタンパ280とともに容易に除去することができる。またカッタ276の近傍には図示しない除電ノズルが取り付けられており、カッタ276の切れ込み時は、その刃先にエアを吹き付けるようにし、切れ込みに生じる静電気を除去するようにしている。
【0047】搬送テーブル部254は、図5に示すように、ディスク278とスタンパ280との受け入れをなすための受入部286と、ディスク278側からスタンパ280を剥離させるためのスタンパ剥離部288と、剥離後のディスク端面の処理を行う端面処理部290と、ディスク278の表面に形成される樹脂層の膜厚測定をなす膜厚検査部292と、搬送テーブル部254からディスク排出部242へとディスク278を受け渡すための排出部294とが備えられている。
【0048】そして受入部286からディスク排出部294に至るまでのディスク類の搬送は、搬送テーブル296の回転及び昇降によって行われ、さらに剥離ステーション252から搬送テーブル部254へのディスク類の搬送、およびディスク側から剥離したスタンパ280の除去については、第2移載アーム248によって行われる。
【0049】搬送テーブル部254における受入部286では、その中央部にディスク278およびスタンパ280の位置決めをなすための位置決めピンが設けられている。そして第2移載アーム248の稼働によって、剥離ステーション252側にあったディスク278等を受入部286に移動させ、前記位置決めピンを用いて受入部286内に保持できるようにしている。
【0050】図9は、スタンパ剥離部の構造を示す部分側面図である。同図に示すようにスタンパ剥離部288では、剥離ステーション252と同様、その最上部にディスクの外径より若干小さめの寸法に設定された真空吸引が可能なテーブル298が設けられている。また当該テーブル298の中心からは、ディスクおよびスタンパのセンター穴と嵌合を可能とする位置決めピン300が突出するよう設けられており、この位置決めピン300にディスク278およびスタンパ280を嵌合させることで、テーブル298に対するディスクの位置決めを行うとともに、ディスクの背面側をテーブル298の表面へと密着させ、真空吸引によってディスク等をテーブル側に固定させることができるようにしている。そしてテーブル298の外方には、ディスク278の外径以上、スタンパ280の外径以下となる範囲に、120度の間隔で剥離ピン302が3本設けられている。そしてこれら剥離ピン302は、テーブル298の下方に配置されたサーボーモータ304に連結されており、当該サーボモータ304を稼働させることで、剥離ピン302の先端をテーブル298の高さを挟んで上下方向に移動できるようにしている。なおディスク278の外周3箇所に配置された剥離ピン302は、単一のサーボモータ304によって昇降を可能にしているが、その先端部は高さが異なるように設定されている。また前記サーボモータ304には図示しない第2制御手段となる制御手段が接続されている。このため制御手段によってサーボモータ304の速度を調整することが可能になり、スタンパ280を押圧する剥離ピン302の速度を最適に調整することができるようになっている。
【0051】そして前記制御手段からの信号により、サーボーモータ304を稼働させ、これら剥離ピン302を上昇させると、まず第1の剥離ピン302aがスタンパ280の表面に接触する。
【0052】図10は、剥離ピンがスタンパに接触した直後の状態を示した図9の要部拡大図である。同図に示すように第1の剥離ピン302aがスタンパ280に接し、その後、当該スタンパ280を押圧していくと、スタンパ280と樹脂層306の間に剥離が発生し、樹脂層306の表面が露出し始める。そして剥離ピン302aが上昇し、スタンパ280と樹脂層306の間の剥離が一定以上進むと、今度は第2の剥離ピン302b(図31を参照)がスタンパ280の表面に接触し始め、第1の剥離ピン302から離れた箇所を押圧する。さらに第2の剥離ピン302bの箇所において、スタンパ280と樹脂層306の間の剥離が一定以上進むと、今度は第3の剥離ピン302c(図31を参照)がスタンパ280の表面に接触し始め、第1および第2の剥離ピンとともにスタンパ280を剥離させる。
【0053】このように剥離ピンをスタンパ280の外縁に沿って連続して接触させるようにしたので、スタンパ280の剥離が樹脂層306に対する樹脂層306の周回方向に沿って発生することになる。このためスタンパ280の剥離は、樹脂層306の表面に形成されたグルーブ構造に一致して行われるので、スタンパ280側の凹凸が樹脂層側のグルーブ構造に干渉するのを抑えることができ、樹脂層に均一なグルーブ構造を形成することができるのである。
【0054】図11は、端面処理部の構造を示す側面図であり、図12は、図11における要部拡大図である。
【0055】これらの図に示すように、端面処理部290は、スタンパ剥離部288や剥離ステーション252と同様、その最上部にディスクの外径より若干小さめの寸法に設定された真空吸引が可能なテーブル308が設けられている。また当該テーブル308の中心からは、ディスクおよびスタンパのセンター穴と嵌合を可能とする位置決めピン310が突出するよう設けられており、この位置決めピン310に剥離後のディスク278を嵌合させることで、テーブル308に対するディスク278の位置決めを行うとともに、当該ディスク278の背面側をテーブル308の表面へと密着させ、真空吸引によってディスクをテーブル側に固定させることができるようにしている。またテーブル308の下方側にはディスク回転モータ312が設けられており、このディスク回転モータ312とテーブル308とは動力伝達機構を介して接続されている。このため前記ディスク回転モータ312を稼働させることで、ディスク278が吸引されたテーブル308を回転させるようにしている。
【0056】またテーブル308の側方には、往復移動部となるカッタ前後シリンダ314と、当該カッタ前後シリンダ314に搭載された面取り加工部となるカッタ316とが設けられている。そしてカッタ前後シリンダ314を往復移動させることで、カッタ316をディスク278の外縁における樹脂層306側に押し当て可能にしており、このようにディスク278の外縁における樹脂層306側に面取り加工を施すことで、樹脂層306の端面処理を行うとともに、ディスク278の外縁端面に残留する余剰部282を削り取ることができるようにしている。
【0057】なおディスク278の上方には、除電ノズル317が設けられているとともに、前記ディスク278を挟んで反対側には図示しない排気ダクトが設けられている。このためカッタ316にてディスク278の端面処理を施す間、前記除電ノズル317からディスク278にエアーを吹き付けて、削れ粉を吹き飛ばすとともに静電気の除去を行うようにする。このようにエアーの吹き付けを行えば、ディスク278の表面(すなわち樹脂層306の表面)に削れ粉が付着することが防止することができる。なお前記エアーによって吹き飛ばされた削れ粉は、前記排気ダクトによって装置外へと排気されればよい。
【0058】スタンパ貼合部236とスタンパ剥離部240との間に配置される放射線照射部238では、図1に示すように貼り合わされたディスク278とスタンパ280とを図中、矢印422に示す方向に搬送させるための移動テーブルが設けられている。そしてこの移動テーブルの上方には、第2UV照射器424が設けられており、この第2UV照射機424から、スタンパ280を透過して放射線を樹脂層210に照射させることで、当該樹脂層210の本硬化を行うようにしている。なお移動テーブルの動力にはサーボモータが用いられており、前記移動テーブル上に搭載されたディスク278とスタンパ280の速度を任意に調整可能にしている。このため樹脂層210の種類に応じて任意に移動テーブルの搬送速度を調整し、前記樹脂層210の硬化を確実に行えるようにしている。
【0059】図13は、ディスク・スタンパ供給部を示す要部拡大図である。同図に示すようにディスク・スタンパ供給部232では、複数のディスク278を積層方向に保持をなすディスク供給部426と、同様に複数のスタンパ280の保持をなすスタンパ供給部428とが設けられている。そしてこれら供給部は、供給アーム244によるディスク278およびスタンパ280の取り出しに応じて、下側のディスク278およびスタンパ280を上昇させ、常に供給アーム244によってディスク278およびスタンパ280の取り出しがなされるようにしている。
【0060】ところでディスク供給部426およびスタンパ供給部428においては、ディスク278およびスタンパ280を積層方向に保持する際、ディスク間およびスタンパ間のスペースを確保するため内径を一致させたリング状のスペーサが使用される。このため上述した供給アーム244では、ディスク278およびスタンパ280の他に前記スペーサも取り出し可能にしており、供給アーム244によって取り出されたスペーサは、ディスク供給部426に隣接するスペーサ収納部430へと送り出される。
【0061】なお上述したディスク供給部426、スタンパ供給部428、スペーサ収納部43は、いずれも供給アーム244の先端に設けられたチャック部分の回転軌跡上に配置されており、前記供給アーム244まわりに機器を配置することが可能になり、ディスク・スタンパ供給部232の小型化を図れるようにしている。ところで供給アーム244の先端には判別センサ432が設けられており、これによりディスク278とスペーサとの判別が可能になり、例えばディスク供給部426においてディスク278の間に2つのスペーサが入り込んでいたとしても、前記判別センサ432がこれを検知し、2つのスペーサをスペーサ収納部430へと送り出すことができるようになっている。さらに供給アーム244の回転駆動にはDD(ダイレクトドライブ)方式のサーボモータによって行われているので、ディスク供給部426またはスタンパ供給部428を複数配置したり、あるいは他の部材供給部を設けるようにしても、容易にそのポジションを追加することが可能になっている。
【0062】ところで図1に示すように、供給アーム244を挟んでディスク・スタンパ供給部232の反対側には、供給アーム244にて把持したディスク278またはスタンパ280の搬送先となるクリーナ部234が配置されている。当該クリーナ部234は、円盤状のターンテーブル434と、このターンテーブル434の上方に配置された除電ノズル436を備えており、ターンテーブル433上に搭載されたディスク278またはスタンパ280の表面に除電ノズル436から除電エアを吹き付けることで、前記表面に付着した塵埃の除去を行うようにしている。なお前記ターンテーブル433の回転方向を図中、矢印438に示す。
【0063】上述したクリーナ部234と、スタンパ貼合部236との間には、スタンパ反転チャック440が設けられている。当該スタンパ反転チャック440は、クリーナ部234からスタンパ貼合部236にディスク278またはスペーサ280が運搬される際、第1移載アーム246によって一旦ディスクとスペーサとを保持する場所である。そしてスタンパ反転チャック440には、表裏反転機構が備えられており、前記スタンパ反転チャック440にスタンパ280が搭載された際には、当該スタンパ280を把持するとともにこれを表裏反転させ、スタンパ側をディスク278に対面させるようにしている。なお表裏反転機構の動力には電気やエアを用いるようにすればよい。
【0064】スタンパ剥離部240の後段側には、ディスク278とスタンパ280を排出するためのディスク排出部242とが設けられている。当該ディスク排出部242は、良品のディスク278を収納するための良品収納部442と、不良品のディスク278を収納するための不良品収納部444と、良品収納部442へのスペーサの供給をなすスペーサ供給部446とを有している。そして前記膜厚検査部292で得た結果をもとに、これら収納部へのディスク278の振り分けが、排出アーム250によって行われる。なおスペーサ供給部446は、図中、矢印448の方向に揺動を可能にしており、排出アーム250の搬送動作に連動して良品収納部442にスペーサを供給するようにしている。なおスタンパ剥離部240に加え、良品収納部442、不良品収納部444を排出アーム250の先端に設けられたチャック部分の回転軌跡上に配置されており、上述した供給アーム244と同様、アームまわりに機器を配置することが可能になり、ディスク排出部242の小型化を図れるようにしている。
【0065】さらにスタンパ剥離部288の付近における搬送テーブル部254の外方には、剥離後のスタンパを排出するためのスタンパ排出シュート450が設置されている。図14は、スタンパ排出シュートの構造を示す正面図であり、図15は、スタンパ排出シュートの構造を示す側面図である。これらの図に示すように、スタンパ排出シュート450は、第2移載アーム248における腕部の下方に開口を有するスタンパガイド452が設けられており、このスタンパガイド452の下方には、当該スタンパガイド452につながるシュート部454と、剥離されたスタンパ280を収納するためのスタンパ受け箱456とが設けられている。ところで第2移載アーム248の腕部がスタンパ280の排出ポジションにあるとき、スタンパガイド452の開口は、スタンパ280の外径と重なるように、その位置が設定されている。このため第2移載アーム248が剥離したスタンパ280を腕部から落下させると、スタンパ280はスタンパ排出シュート450における開口の縁に接触し、図14に示すように90度姿勢が変わり、スタンパ280はシュート部454の斜面を転がりながら、その下方に配置されたスタンパ受け箱456に収納されるのである。
【0066】このようにスタンパ280の姿勢を変えて、当該スタンパ280を転がせながらシュート部454を通過させたことから、シュート部454におけるスタンパ280の詰まりを防止することができるとともに、スタンパ受け箱456内でスタンパ280を分散させることができ、スタンパ受け箱456内でスタンパ280が片寄って収納されるのを防止することができる。
【0067】ところで図1に示すように、本実施の形態に係るグルーブ形成装置230では、クリーナ部234の一部、スタンパ反転チャック440およびスタンパ貼合部236を含む領域を区画し、当該領域内を温度調整領域458とし、領域内温度を一定に保つようにする。このように温度調整領域458を設定したことで、ディスク278、スタンパ280、そして放射線硬化樹脂の温度を一定にすることが可能になる。ゆえにディスク278に対するスタンパ280の貼合せの際、温度変動によって寸法変化が発生し、ディスク278とスタンパ280との隙間寸法が変動するのを防止することができる。
【0068】なおグルーブ形成装置230では、ディスク・スタンパ供給部232からディスク排出部242に至る間でディスク278へのスタンパ280の貼合せと剥離を行うようにしているが、これらを行う各工程は、図1に示すように直線上に配置されず、供給アーム244、第1移載アーム246、第2移載アーム248、排出アーム250の回転軌跡上に配置されている。このためこれらアームまわりに機器を配置することが可能になり、直線状に各工程を配置するのに比較して形成装置自体の小型化が図れるようになっている。また上述したように第1移載アーム246まわりに温度調整領域458を設定したので、当該温度調整領域458の領域を狭くすることが可能になり、面積縮小化に伴う省力化を図ることができる。
【0069】このように構成されたグルーブ形成装置230を用いて、ディスク278へのスタンパ280の貼合せと剥離を行う手順を説明する。
【0070】まず供給アーム244を回転させ、ディスク供給部426とスタンパ供給部428から、交互にディスク278とスタンパ280とを取りだし、クリーナ部234のターンテーブル434上へと移動させる。そしてターンテーブル434上に搭載されたディスク278とスタンパ280は、除電エアによって表面の塵埃が除去された後、今度は第1移載アーム246によってスタンパ反転チャック440を介して、スタンパ貼合部236へと移載される。
【0071】図16〜図22は、ディスクとスタンパがスタンパ貼合部を通過する様子を示す状態説明図である。
【0072】まず図16に示すように、クリーナ部234から第1移載アーム246を用いて、ディスク278をスタンパ反転チャック404へと移載させる。次いで図17に示すように、第1移載アーム246を再び回転させ、スタンパ反転チャック404に保持されているディスク278をスピンナーテーブル352へと移載させるとともに、クリーナ部234に搭載されているスタンパ280をスタンパ反転チャック404へと移載させる。なお第1移載アーム246は、回転とともに上下方向(図17における紙面厚み方向)に昇降を可能にしている。このため第1移載アーム246の降下により当該第1移載アーム246の腕部が、スピンナーテーブル352から突出するセンターピン376を押圧し、当該センターピン376の降下にて押圧壁374が径方向に拡大し、中空ゴム部材370を介してディスク278のセンター穴内壁を押圧する。このためディスク278は、スピンナーテーブル352の回転中心に一致するよう芯出しがなされるとともに、前記ディスク278は、ディスク吸引手段による負圧によってスピンナーテーブル352の表面に密着される。なお第1移載アーム246の回転からスピンナーテーブル352にディスク278が搭載されたことを制御手段が判断して、その後、ディスク吸引手段を稼働させ、ディスク278を吸引させればよい。
【0073】このようにディスク278をスピンナーテーブル352に吸引させた後に、制御手段は、ボールネジ機構400を稼働させ、ディスペンサ398を前進させる。そして当該ディスペンサ398の先端に取り付けられた吐出ノズル397が、ディスク278の内縁側に達すると、ボールネジ機構400を停止させ、旋回用サーボモータ354の稼働によりディスク278を回転させるとともに、吐出ノズル397の先端から放射線硬化樹脂を吐き出し、ディスク278の内縁側に放射線硬化樹脂を塗布する。そしてあらかじめ設定した量だけ放射線硬化樹脂を塗布した後は、再びボールネジ機構400を稼働させ、ディスペンサ398をディスク278から元の位置まで後退させればよい。
【0074】こうしてディスク278の内縁側に放射線硬化樹脂を塗布した後は、ふたたび第1移載アーム246を回転させ、スタンパ反転チャック404からスタンパ280を、ディスク278の上方に置く。このようにスタンパ280が第1移載アーム246から放たれると、前記スタンパ280のセンター穴は、その外径が押圧壁374によって拡大した中空ゴム部材370の外表面と接触し、ディスク278と十分な距離を保った状態でスタンパ280は中空ゴム部材370によって保持される。ディスク278とスタンパ280とが重なった状態を図18に示す。なおスピンナーテーブル352とともにスタンパ貼合部236を構成する貼合ヘッド356側は、前記スピンナーテーブル352側に対し十分な距離を持つよう上方で待機しているので、第1移載アーム246がスピンナーテーブル352の上方に移動しても、その高さ方向の位置は貼合ヘッド356の下側となり、双方が干渉するのを防止できるようになっている。
【0075】制御手段は、ディスク278の上方にスタンパ280が保持されると、昇降用サーボモータ391を稼働させ昇降ステージ392、連結アーム396、貼合プレート388とともに貼合ヘッド356をスタンパ280に向かって降下させる。
【0076】図23は、貼合ヘッドの降下距離と時間の関係を示すグラフである。スタンパ貼合位置に対する貼合ヘッド356の高さは、第1移載アーム246がスピンナーテーブル352の上方に入り込む場合には、図中、ポイントAに示すように、その高さは200mmに設定される。そしてこのポイントAの位置からポイントBに示す自動運転待機位置(100mm)まで2秒間で降下し、次いでポイントBの位置からポイントCに示すスタンパ280との接触位置(5mm)までその後2秒で降下する。このように貼合ヘッド356をスタンパ280に接触させた後は、降下速度を低下させ、ポイントEに示すスタンパ貼合高さまで一定の速度で降下させる。ここで中空ゴム部材370の途中に位置しているスタンパ280が、貼合ヘッド356とともに降下すると前記スタンパ280は、ポイントDの高さ(1mm)で中空ゴム部材370によってディスク278と同様、芯出しがなされる。なおポイントDの高さはスタンパ280の仕様やその他の事情によって任意に設定することが可能であり、その高さは中空ゴム部材370の内側に配置される拡径部材372の拡大度合いによって自在に設定すればよい。そしてスタンパ280の芯出しがなされる高さをあらかじめ制御手段に記憶させておけば(本実施の形態では1mm)、ポイントDに貼合ヘッド356が達した時点で、制御手段は、スタンパ吸引手段を稼働させ、スタンパ取付面384にスタンパ280を吸引させる。なおポイントCからポイントDまで達する時間は4秒に設定する。
【0077】このようにポイントDに貼合ヘッド356が達した時点では、上述の通りスタンパ280は中空ゴム部材370によって芯出しがなされている状態であるので、スタンパ取付面384にスタンパ280を吸引させ、当該スタンパ280の芯出し位置を保持したまま(半径方向の位置を固定したまま)、図中、ポイントEに示すあらかじめ設定した貼合せ高さまで降下させればよい。なおディスク278に対するスタンパ280の貼合せ高さ(いわゆるクリアランス)は、数10ミクロン〜数100ミクロンの間で任意に設定される。
【0078】そして貼合ヘッド356がポイントEに達し、ディスク278に対するスタンパ280の貼合せ高さが設定された後は、ポイントFからポイントGに達するまで貼合ヘッド356を上昇させる。なお貼合ヘッド356を上昇させる際には、制御手段によってスタンパ吸引手段を停止させ、貼合ヘッド356とスタンパ280とが容易に離反できるようにしておく。こうしてポイントGまで貼合ヘッド356を上昇させた後は、図19に示すように、貼合テーブル350を180度回転させ、貼り合わされたディスク278とスタンパ280とをスピンナーテーブル350とともに、仮UV照射部360へと移動させる。そしてこの仮UV照射部360にて、貼り合わされたディスク278とスタンパ280とを回転させ、この遠心力によって放射線硬化樹脂をディスク内縁側から外方に拡径させ、ディスク278とスタンパ280との間を放射線硬化樹脂で充填させる。次いでこのようなスピニング処理とともに、第1UV照射器358を稼働させ、放射線をスタンパ280を介して放射線硬化樹脂に照射させ、厚み寸法が変動しないまでに放射線硬化樹脂を硬化させる(いわゆる仮硬化工程)。
【0079】そして仮硬化工程が終了した後は、図21に示すように、再び、貼合テーブル350を180度回転させ、貼り合わされたディスク278とスタンパ280とをスピンナーテーブル350とともに、スタンパ貼合部236側へと移動させ、その後、第1移載アーム246を用いてディスク278とスタンパ280とを把持し、前記第1移載アーム246の回転によって放射線照射部238にディスク278とスタンパ280とを搬送させ、この放射線照射部238によって、放射線硬化樹脂の本硬化を行うようにすればよい。
【0080】なお上述の説明では、一枚のディスク278(およびスタンパ280)が、スタンパ貼合部を通過する様子を示したが、実際の作業は第1移載アーム246に設けられた3本の腕部がそれぞれ同時に作用し、複数のディスク278(およびスタンパ280)が、スタンパ貼合部を通過していくことを理解されたい。
【0081】ところで本実施の形態では、中空ゴム部材370の内部に押圧壁374とセンターピン376とを設け、前記中空ゴム部材370の拡径を図るようにしたが、この形態に限定されることもなく他の形態を用いるようにしてもよい。
【0082】図24は、芯出し部材の他の形態を示す断面説明図である。なお芯出し部材以外は、上述したスピンナーテーブル352と同様の構造であるので、共通する部分については同一の部番を付与して説明を行うものとする。
【0083】同図に示すように、袋状からなる中空ゴム部材406がスピンナーテーブル352の中央部分から突出するよう取り付けられている。そして前記中空ゴム部材406の下方には、当該中空ゴム部材406に接続される一対のエア配管408が設けられており、当該エア配管408の他端側は図示しない圧力供給手段に接続されている。このように袋状の中空ゴム部材406にエア配管を介して圧力供給手段を接続すれば、中空ゴム部材406にエアを導入させることで中空ゴムs部材406の拡径が図れ、また中空ゴム部材406の内部からエアを吸い出せば、中空ゴム部材406の外径の縮小が図れ、ディスク278の芯出しや取り出しを容易に行うことができる。なお発明者は、耐摩耗性に優れるとともに温度変化があっても硬度変化が少ない特性に着目し、中空ゴム部材の材質にシリコンゴムを用いることとしたが、この形態に限定されることもなく、用途や使用環境に応じて任意の材料を選択すればよい。
【0084】ところで前記放射線照射部238によって、放射線硬化樹脂の本硬化を行った後は、第2移載アーム248を用いてスタンパ280の剥離を行う。
【0085】図25〜図30は、ディスクとスタンパがスタンパ剥離部を通過する様子を示す状態説明図である。
【0086】まず図25に示すように、放射線照射部238を通過したディスクとスタンパ318を、第2移載アーム248を回転させ、前記放射線照射部238から剥離ステーション252に第2移載アーム320を用いて、搬送させる。そして当該剥離ステーション252にて、上述の通りカッタ276をディスクとスタンパ318に押し当てれば、余剰部282を削り、ディスクとスタンパの境界を露出させることができる。
【0087】このように剥離ステーション252にて余剰部282を削り、ディスクとスタンパの境界を露出させた後は、第2移載アーム248を回転させ、当該第2移載アーム248における第2移載アーム322にてディスクとスタンパ318を剥離ステーション252から、搬送テーブル部254の受入部286へと搬送させる。前記受入部286に搬送されたディスクとスタンパ318の状態を図26に示す。
【0088】受入部286にディスクとスタンパ318が搬送された後は、搬送テーブル296に上昇により、当該搬送テーブル296がディスクとスタンパ318を持ち上げ、その後、ディスクとスタンパ318は搬送テーブル296の回転に伴ってスタンパ剥離部288へと移動する。このようにディスクとスタンパ318がスタンパ剥離部288に移動すると、上述した通り剥離ピン302のスタンパ280への押圧によってディスク278とスタンパ280とが剥離する。そしてディスク278から剥離したスタンパ280を剥離ピン302が支持している状態で、その上方から図27に示すように第2移載アーム248のスタンパ排出アーム324を下降させ、スタンパ280のみを把持する。
【0089】このように前記スタンパ排出アーム324で、剥離後のスタンパ280を把持した後は、図28に示すように搬送テーブル296の外方に配置されたスタンパ廃棄部326上に剥離後のスタンパ280を移動させ、その後前記スタンパ280をスタンパ排出シュート450に受け渡せばよい。
【0090】またスタンパ280が剥離されたディスク278は、図29に示すように搬送テーブル296の昇降と回転とによって後段側となる端面処理部290へと搬送される。そして前記端面処理部290では、上述したようにカッタ316をディスク278の端面に押し当て、当該ディスク278の端面に残留する余剰部282を除去すればよい。
【0091】このように端面処理部290でディスク278の端面に残留する余剰部282を除去した後は、再び搬送テーブル296を昇降および回転させ、図30に示すようにディスク278を、膜厚検査部292へと搬送させる。そして当該膜厚検査部292にて樹脂層306の膜厚検査を行い、ディスク278上に形成された樹脂層306の膜厚が設定範囲内にあるかを確認した後は、その結果を図示しない記録手段に記憶させておくとともに、次段の排出部294へとディスク278を搬送させる。そしてディスク278を排出部294に搬送させた後は、排出アーム250を用いて、ディスク278をスタンパ剥離部240から取り出し、膜厚検査部292で得た結果をもとに、前記ディスク278をディスク排出部242にて良品と不良品との選別を行えばよい。
【0092】なお上述の説明では、一枚のディスク278(およびスタンパ280)が、スタンパ剥離部を通過する様子を示したが、実際の作業は第2移載アーム248に設けられた3本のアームがそれぞれ同時に作用し、複数のディスク278(およびスタンパ280)が、スタンパ剥離部を通過していくことを理解されたい。
【0093】図31は、スタンパの剥離状態を示す説明図である。同図に示すようにスタンパ280を剥離させる場合には、まず剥離ピン302aがスタンパ280に接触し、次いで剥離ピン302b、剥離ピン302cが順にスタンパ280に接触する。そしてこれら剥離ピンの接触順に従って、同図、矢印328に示すようにスタンパ280はディスク278側より剥離する。このように矢印328に沿ってスタンパ280を剥離させれば、当該剥離は、樹脂層306(およびスタンパ280)に形成されたグルーブ構造の延長方向に沿って行われるので、隣り合うグルーブ同士(およびランド同士)が、スタンパ280の剥離によって影響を受けることを防止することができる。
【0094】図32は、スタンパ剥離部の応用例を示した要部拡大図である。同図に示すように剥離ピン302において、スタンパ280が接触する外側に突起部330を設ける。このように剥離ピン302の先端に突起部330を設けておけば、スタンパ280がディスク278側から剥離した際、仮にスタンパ280が弾性変形の解放によって図中、波線に示すように上方に浮き上がりが生じても、浮き上がったスタンパ280を前記突起部330が保持するので、浮き上がりによりスタンパ280が姿勢を乱し、ディスク278側に衝突するといった障害を防止することが可能である。このため同方法および同装置を使用して剥離がなされた多層記録媒体は、グルーブ構造が確実に形成され、信頼性の向上を図ることができる。
【0095】なお本実施の形態では、3本の剥離ピンを用いディスクからスタンパを剥離させるようにしたが、この形態に限定されることもなく、例えば剥離ピンを更に増加させたり、あるいは剥離ピンの数だけ昇降用のサーボモータを用意し、スタンパ280の剥離速度等をより細かに制御するようにしてもよい。
【0096】そして本実施の形態では、上述したスタンパ貼合部236とスタンパ剥離部240とを用いてグルーブ形成装置230を構成したため、均一な樹脂層の表面に情報ピットおよび/またはグルーブ構造を確実に形成することができ、このため同装置によって形成された多層記録媒体において信頼性の向上を図ることができる。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ディスク・スタンパ供給部、スタンパ貼合部、放射線照射部、スタンパ剥離部、ディスク排出部とを、複数からなるアームの円周上に順に配置し、これらに跨るディスクとスタンパの搬送を、前記アームによって行わせるようにしたので、装置自体の小型化を図ることができる。
【0098】またスパンパ貼合部においては、スタンパをディスクに重ね合わせ、その後、貼合ヘッドの押圧にてスタンパを前記ディスク側へと降下させる。そして芯出し部材との嵌合によって、スタンパの芯出しをなした後、貼合ヘッドでスタンパを吸着する。このように貼合ヘッドの降下にてディスクに対するスタンパのクリアランスを設定すれば、ディスクとスタンパとの芯出しを行うことができるとともに、これらディスクとスタンパとの間に傾きやソリが生じない貼合せを行うことが可能になる。
【0099】さらにスタンパ剥離部においては、スタンパの周部に沿って押圧力を連続して加え、この樹脂層に対するスタンパの剥離をディスクの周回方向に沿って行わせるようにした。このため、最初の押圧ピンによって生じた剥離を徐々に大きくしていくので2番目以降の押圧ピンに必要な押圧力も僅かなもので済ませることができる。さらにスタンパの剥離をディスクの周回方向、すなわち樹脂層の表面に形成された同心円あるいはスパイラル状の情報ピットやグルーブに沿って行わせるようにしたので、剥離方向が、情報ピットの配列方向およびグルーブ構造の接線方向とほぼ一致する。故にスタンパ側の情報ピットやグルーブ構造が剥離の際に、これに凹凸嵌合した樹脂層側の情報ピットやグルーブ構造に干渉するのを抑えることができ、樹脂層に均一な情報ピットやグルーブ構造を形成することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】 【識別番号】100064447
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 正夫 (外10名)
【公開番号】 特開2003−326535(P2003−326535A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−133743(P2002−133743)