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【発明の名称】 インサートブロー成形方法及びその装置
【発明者】 【氏名】杉本 純一
【住所又は居所】愛知県稲沢市北島町西の町30番地 株式会社エフティエス内

【氏名】阿部 富一
【住所又は居所】愛知県名古屋市名東区高針4丁目216番地 株式会社セラプラ内

【氏名】小川 賢二
【住所又は居所】愛知県名古屋市名東区高針4丁目216番地 株式会社セラプラ内

【要約】 【課題】環状のインサート部材を適切に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつブロー成形を行う。

【解決手段】金型11に連通孔を形成し、その内側に筒状のスリーブ20を固定し、スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように複数のクランプ部材36を配置すると共に、これらの内側に摺動自在にスライダ43を配置し、スライダ内にはその先端面から突出可能にイジェクタ50を摺動自在に配置する。而して、スライダを金型に対し所定の位置まで後退させた後、クランプ部材とスリーブの先端との間にインサート部材2を挟持した状態でパリソンをブロー成形して中空容器を形成すると共に、インサート部材の内側から中空容器を外方に延出させてインサート部材を中空容器に一体成形した後、クランプ部材を後退駆動し、更にイジェクタを駆動して中空容器を金型から離脱させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように筒状のスリーブを固定し、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように複数のクランプ部材を配置すると共に、前記スリーブの内側に摺動自在にスライダを配置し、該スライダ内には該スライダの先端面から突出可能にイジェクタを摺動自在に配置し、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で前記パリソンをブロー成形して前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮し、前記インサート部材の開口部の径方向外側で折曲する折曲部を形成すると共に、前記インサート部材の開口部に重合部を形成して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動し、更に前記イジェクタを前進駆動して前記中空容器を前記金型から離脱させることを特徴とするインサートブロー成形方法。
【請求項2】 前記イジェクタの先端に突出部を形成し、該突出部に密着するように前記中空容器を成形した後、前記クランプ部材が後退駆動したときに、前記中空容器の成形品を前記突出部に係止することを特徴とする請求項1記載のインサートブロー成形方法。
【請求項3】 一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように筒状のスリーブを固定し、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように複数のクランプ部材を配置すると共に、前記スリーブの内側に摺動自在にスライダを配置し、該スライダ内には該スライダの先端面から突出可能にブローピンを摺動自在に配置し、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で前記パリソンを前記一対の金型の内側に配置し、前記ブローピンを前進駆動して前記パリソン内に挿入し、前記ブローピンを介して前記パリソン内に圧縮空気を供給して前記パリソンをブロー成形し、前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮し、前記インサート部材の開口部の径方向外側で折曲する折曲部を形成すると共に、前記インサート部材の開口部に重合部を形成して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動することを特徴とするインサートブロー成形方法。
【請求項4】 前記スライダの先端に突出部を形成し、該突出部に密着するように前記中空容器を成形した後、前記クランプ部材が後退駆動したときに、前記中空容器の成形品を前記突出部に係止することを特徴とする請求項3記載のインサートブロー成形方法。
【請求項5】 一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形装置において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように固定した筒状のスリーブと、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように配置する複数のクランプ部材と、前記スリーブの内側に摺動自在に配置し、前記スリーブの先端近傍から前記金型の外方に向かって所定位置まで後退し得るスライダと、該スライダ内に摺動自在に支持し、該スライダの先端面から前記金型の内方に向かって突出し得るイジェクタとを備えたことを特徴とするインサートブロー成形装置。
【請求項6】 前記イジェクタは、先端に突出部を有し、該突出部に前記中空容器の成形品を係止するように構成したことを特徴とする請求項5記載のインサートブロー成形装置。
【請求項7】 前記スリーブは、先端の内側に環状段部を有し、該環状段部から前記先端に至る内側面を、前記先端に向けて内径が漸増するテーパ面に形成したことを特徴とする請求項5記載のインサートブロー成形装置。
【請求項8】 前記複数のクランプ部材を前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように駆動する第1の駆動手段と、前記スライダを前記スリーブ内で後退及び前進駆動する第2の駆動手段と、前記イジェクタを前記スライダ内で前進及び後退駆動する第3の駆動手段とを備え、前記第1乃至第3の駆動手段の全てを、前記金型に対し水平方向の一方側に並設することを特徴とする請求項5記載のインサートブロー成形装置。
【請求項9】 一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形装置において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように固定した筒状のスリーブと、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように配置する複数のクランプ部材と、前記スリーブの内側に摺動自在に配置し、前記スリーブの先端近傍から前記金型の外方に向かって所定位置まで後退し得るスライダと、該スライダ内に摺動自在に支持し、前記金型の内方に前進し得るブローピンとを備えたことを特徴とするインサートブロー成形装置。
【請求項10】 前記スライダは、先端に突出部を有し、該突出部に前記中空容器の成形品を係止するように構成したことを特徴とする請求項9記載のインサートブロー成形装置。
【請求項11】 前記スリーブは、先端の内側に環状段部を有し、該環状段部から前記先端に至る内側面を、前記先端に向けて内径が漸増するテーパ面に形成したことを特徴とする請求項9記載のインサートブロー成形装置。
【請求項12】 前記複数のクランプ部材を前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように駆動する第1の駆動手段と、前記スライダを前記スリーブ内で後退及び前進駆動する第2の駆動手段と、前記ブローピンを前記スライダ内で前進及び後退駆動する第4の駆動手段とを備え、前記第1、第2及び第4の駆動手段の全てを、前記金型に対し水平方向の一方側に並設することを特徴とする請求項9記載のインサートブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インサートブロー成形方法及びその装置に関し、特に一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法及びその装置に係る。例えば、複数の層を有する樹脂部材をブロー成形して燃料タンク本体を形成すると共に、その開口部に環状のインサート部材を一体成形する燃料タンクの開口部構造に好適な方法及び装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等に搭載される燃料タンクにおいては、樹脂化が進み、樹脂部材をブロー成形して燃料タンク本体を形成すると共に、開口部を一体的に形成する方法が普及し、所望の構造の開口部を有する樹脂製の燃料タンクが普及している。このような燃料タンクを構成する樹脂部材に関しては、例えば実開昭61−83509号公報に記載のように複数の層を有する樹脂部材が用いられている。同公報には、接着剤層を介して複数枚の構成材を張り合わせた多層の板部材を用いた多層ブロー成形タンクが開示されている。
【0003】複数の層を有する樹脂部材としては、燃料タンクとしての強度を保持する高密度ポリエチレン等の強度保持部材と、燃料の透過を防止するバリア材とを接着剤等によって接合したものが用いられ、この樹脂部材をブロー成形することによって燃料タンクが形成され、開口部も同時に形成される。そして、開口部は前掲の公報に記載のように蓋体で覆うことになるが、開口部の端面は複数の層がタンク本体内に露呈する場合がある。この場合には、樹脂部材の最外層の強度保持部材を介して燃料が外部に漏洩するおそれがある。
【0004】従って、開口部において樹脂部材を介して燃料が透過することを確実に防止し得る構造とすることが望まれ、例えば特開2002−46489号公報においては、外層、内層及び中間層を有する樹脂部材をブロー成形することによって燃料タンク本体を形成すると共に、開口部を一体的に形成した燃料タンクの開口部構造が提案されている。具体的には、開口部にて燃料タンク本体の外方に延出する筒状部と、この筒状部の先端から開口部を拡径する方向に折曲部が延出し開口部の開口面に平行な外面を有する重合部を形成し、重合部の一部を圧縮して圧縮部を形成すると共に、圧縮部に当接する部分に凹部を形成し、この凹部に、樹脂部材の一部を導入して環状部材を開口部に一体的に結合することとしている。
【0005】上記の環状部材はインサート部材であり、上記公報に記載の方法は、ブロー成形によって、中空容器たる燃料タンク本体を形成すると共に、その開口部に、環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法である。このようなインサートブロー成形方法に関連し、複数の層を有する樹脂部材で成形するものではないが、例えば特開2002−36343号公報に開示された方法がある。
【0006】この特開2002−36343号公報においては、周面よりも段落した面に形成する出入口にインサート部材を一体に成形するインサート中空成形方法及びその装置を提供することを課題としており、対象とするインサート部材にはその外側に溝が形成されていることが必要になる等、同公報に記載された特有の背景に基づく方法が開示されている。尚、「周面よりも段落した面に形成する出入口」とは、その明細書及び図面の記載からすると、中空容器に、その外面から内側に陥没した凹部が形成されており、その凹部の底面に形成される開口部という程の意と解する。
【0007】また、特開2000−94501号公報においては、パリソン(チューブ形状に予備成形された溶融樹脂)の横方向から通気用ニードルを貫通させてブロー成形を行なう横吹き式ブロー成形法が開示されている。尚、同公報に記載の発明は、通気用ニードルの先端部の改良に係るもので、通気用ニードルは回転ドラムの軸中心に沿う通孔に摺動可能に挿入されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前掲の特開2002−46489号公報及び特開2002−36343号公報においては、何れも、外周溝が形成されたインサート部材が用いられ、この外周溝にクランプの先端部が係合した状態でブロー成形が行なわれるように構成されている。また、前掲の特開2002−36343号公報に記載の装置は、図面を参照する限り、開口部は水平面上に形成され、インサート部材は水平に支持されている。
【0009】然し乍ら、前掲の特開2002−36343号公報に記載の方法においては、インサート部材に外周溝が存在することが必須であり、このような外周溝が存在しない場合には、インサート部材がクランプの先端部に係合されないので、同公報に記載の方法を実現できない。仮に、何らかの方法でクランプによるインサート部材の保持が可能となったとしても、ブロー成形時に環状のインサート部材を適切に保持することは容易ではない。例えば、前掲の特開2000−94501号公報に記載の方法のように、金型を略鉛直方向に立設してブロー成形を行なう場合には、インサート部材も、その表裏面が鉛直面に平行となるように配置する必要があるので、インサート部材を適切に保持することは極めて困難である。
【0010】特に、前掲の特開2002−46489号公報に記載のように、外層、内層及び中間層というような複数の層を有する樹脂部材をブロー成形することによって燃料タンク本体を形成すると共に、開口部を一体的に形成する場合には、開口部の肉厚の調整を適切に行なう必要があり、一般的なブロー成形による中空容器の開口部の成形方法を、そのまま適用しても容易に形成できるものではない。
【0011】更に、連続した製造工程において、製品をブロー成形装置から円滑に取り出し、次の工程に搬出し得るようにすることが必要である。この場合において、例えば特開2000−94501号公報に記載の横吹き式ブロー成形法のように、一対の金型を略鉛直方向に立設し、これらの金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形する場合には、成形後に、製品が下方に落下するおそれがあり、製品を取り出すことが困難となる。あるいは、ブロー成形後に製品が金型に密着してしまい、製品を取り出すことが困難となることもあり得る。
【0012】また、上記特開2000−94501号公報に記載のような、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容し、ブローピン(通気用ニードル)を介して圧縮空気を供給してブロー成形する方法は、製造上の便宜から、本発明が対象とする中空容器たる燃料タンクの製造にも利用されている。しかし、同公報に記載の方法は、中空容器を形成すると共にその開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法に係るものではないので、当然乍ら、上記公報にはインサート部材及びこれに関連する事項に関する開示はない。逆に、前掲の特開2002−36343号公報においては、ブローピンの配置に関する開示はない。
【0013】そこで、本発明は、特に、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、これらの金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形により、開口部を有する中空容器を形成すると共に、開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法において、環状のインサート部材を特殊な形状とすることなく適切に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつ適切にブロー成形を行ない得るインサートブロー成形方法を提供することを課題とする。
【0014】また、本発明は、上記のインサートブロー成形方法を確実に実現し得るインサートブロー成形装置を提供することを別の課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明のインサートブロー成形方法は、請求項1に記載のように、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように筒状のスリーブを固定し、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように複数のクランプ部材を配置すると共に、前記スリーブの内側に摺動自在にスライダを配置し、該スライダ内には該スライダの先端面から突出可能にイジェクタを摺動自在に配置し、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で前記パリソンをブロー成形して前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮し、前記インサート部材の開口部の径方向外側で折曲する折曲部を形成すると共に、前記インサート部材の開口部に重合部を形成して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動し、更に前記イジェクタを前進駆動して前記中空容器を前記金型から離脱させることとしたものである。
【0016】而して、上記のインサートブロー成形方法においては、環状のインサート部材が適切に保持された状態で、開口部における肉厚が所定の値に調整されつつブロー成形が行なわれる。また、成形後にイジェクタが前進駆動されると、中空容器が金型から離脱するので、製品を容易に取り出すことができる。更に、例えば、上記のスライダ及びイジェクタの先端面を凹面に形成すると共に、スライダの周縁部を所定の形状に形成することとすれば、中空容器の開口部における肉厚調整を容易に行なうことができる。
【0017】更に、請求項2に記載のように、前記イジェクタの先端に突出部を形成し、該突出部に密着するように前記中空容器を成形した後、前記クランプ部材が後退駆動したときに、前記中空容器の成形品を前記突出部に係止することとするとよい。これにより、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間は、イジェクタの突出部に係止される。
【0018】あるいは、本発明のインサートブロー成形方法は、請求項3に記載のように、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形方法において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように筒状のスリーブを固定し、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように複数のクランプ部材を配置すると共に、前記スリーブの内側に摺動自在にスライダを配置し、該スライダ内には該スライダの先端面から突出可能にブローピンを摺動自在に配置し、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で前記パリソンを前記一対の金型の内側に配置し、前記ブローピンを前進駆動して前記パリソン内に挿入し、前記ブローピンを介して前記パリソン内に圧縮空気を供給して前記パリソンをブロー成形し、前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮し、前記インサート部材の開口部の径方向外側で折曲する折曲部を形成すると共に、前記インサート部材の開口部に重合部を形成して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動することとするとよい。
【0019】これにより、別途、上記のブローピンの配置場所を確保する必要がなくなる(複数のブローピンを用いる場合にも1個分は不要となり)。また、上記の方法においてブローピンが挿通される部分は、後に除去される部分であるので、製品に残るブロー用の孔の数は少くとも1個は少なくなる。
【0020】上記請求項3記載のインサートブロー成形方法において、更に、請求項4に記載のように、前記スライダの先端に突出部を形成し、該突出部に密着するように前記中空容器を成形した後、前記クランプ部材が後退駆動したときに、前記中空容器の成形品を前記突出部に係止することとするとよい。これにより、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間は、スライダの突出部に係止される。
【0021】一方、本発明のインサートブロー成形装置は、請求項5に記載のように、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形装置において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように固定した筒状のスリーブと、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように配置する複数のクランプ部材と、前記スリーブの内側に摺動自在に配置し、前記スリーブの先端近傍から前記金型の外方に向かって所定位置まで後退し得るスライダと、該スライダ内に摺動自在に支持し、該スライダの先端面から前記金型の内方に向かって突出し得るイジェクタとを備えることとしたものである。
【0022】上記請求項5に記載のインサートブロー成形装置によって、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で前記パリソンをブロー成形して前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動し、更に前記イジェクタを前進駆動して前記中空容器を前記金型から離脱させることができる。而して、環状のインサート部材が適切に保持された状態で、開口部における肉厚が所定の値に調整されつつブロー成形が行なわれる。また、成形後にイジェクタが前進駆動されると、中空容器が金型から離脱するので、製品を容易に取り出すことができる。
【0023】更に、上記のスライダの先端に、環状プレートを着脱可能に装着し、この環状プレートの先端面とイジェクタの先端面によって、例えば凹面を形成すると共に、環状プレートの周縁部を所定の形状に形成することとすれば、中空容器の開口部における肉厚調整を容易に行なうことができる。
【0024】上記請求項5記載のインサートブロー成形装置において、更に、請求項6に記載のように、前記イジェクタは、先端に突出部を有し、該突出部に前記中空容器の成形品を係止するように構成するとよい。これにより、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間は、イジェクタの突出部に係止される。
【0025】また、請求項5記載のインサートブロー成形装置において、請求項7に記載のように、前記スリーブは、先端の内側に環状段部を有し、該環状段部から前記先端に至る内側面を、前記先端に向けて内径が漸増するテーパ面に形成するとよい。これにより、例えばロボット装置のチャックによってインサート部材がスリーブの環状段部に配置される際に、テーパ面に沿って案内されて所定の位置に配置される。
【0026】更に、上記請求項5記載のインサートブロー成形装置において、請求項8に記載のように、前記複数のクランプ部材を前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように駆動する第1の駆動手段と、前記スライダを前記スリーブ内で後退及び前進駆動する第2の駆動手段と、前記イジェクタを前記スライダ内で前進及び後退駆動する第3の駆動手段とを備えたものとし、前記第1乃至第3の駆動手段の全てを、前記金型に対し水平方向の一方側に並設するように構成するとよい。これにより、各駆動手段を例えばシリンダで構成すれば、これらの管路を同方向に並設することができるので、メインテナンスが容易となる。
【0027】あるいは、本発明のインサートブロー成形装置は、請求項9に記載のように、一対の金型を略鉛直方向に立設すると共に水平方向に進退駆動するように配置し、前記一対の金型の内側に樹脂のパリソンを収容してブロー成形によって、開口部を有する中空容器を形成すると共に、前記開口部に環状のインサート部材を一体成形するインサートブロー成形装置において、前記一対の金型の少くとも一方の金型に、前記開口部に対応する連通孔を形成し、該連通孔の内側の所定位置まで先端が突出するように固定した筒状のスリーブと、該スリーブの先端面に対し前記金型の内側に所定距離離隔した前記スリーブの先端面に平行な面上を、前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように配置する複数のクランプ部材と、前記スリーブの内側に摺動自在に配置し、前記スリーブの先端近傍から前記金型の外方に向かって所定位置まで後退し得るスライダと、該スライダ内に摺動自在に支持し、前記金型の内方に前進し得るブローピンとを備えたものとしてもよい。
【0028】上記請求項9に記載のインサートブロー成形装置によって、前記スライダを前記金型に対し所定の位置まで後退させた後、前記クランプ部材と前記スリーブの先端との間に前記環状のインサート部材を挟持した状態で、前記パリソンを前記一対の金型の内側に配置し、前記ブローピンを前進駆動して前記パリソン内に挿入し、前記ブローピンを介して前記パリソン内に圧縮空気を供給して前記パリソンをブロー成形し、前記中空容器を形成すると共に、前記インサート部材の内側から前記中空容器を外方に延出させて筒状部を形成し、該筒状部の前記インサート部材に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成した後、前記スライダを前進させて前記膨出部を前記クランプ部材と前記スライダとの間で圧縮して前記インサート部材を前記中空容器に一体成形した後、前記クランプ部材を後退駆動することができる。而して、環状のインサート部材が適切に保持された状態で、開口部における肉厚が所定の値に調整されつつブロー成形が行なわれる。そして、ブローピンが挿通される部分は、後に除去される部分であるので、製品に残るブロー用の孔の数は少くとも1個は少なくなる。
【0029】更に、上記請求項9記載のインサートブロー成形装置において、請求項10に記載のように、前記スライダは、先端に突出部を有し、該突出部に前記中空容器の成形品を係止するように構成するとよい。これにより、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間は、スライダの突出部に係止される。また、請求項11に記載のように、前記スリーブは、先端の内側に環状段部を有し、該環状段部から前記先端に至る内側面を、前記先端に向けて内径が漸増するテーパ面に形成するとよい。
【0030】更に、上記請求項9記載のインサートブロー成形装置において、請求項12に記載のように、前記複数のクランプ部材を前記スリーブの中心軸に対し近接及び離隔するように駆動する第1の駆動手段と、前記スライダを前記スリーブ内で後退及び前進駆動する第2の駆動手段と、前記ブローピンを前記スライダ内で前進及び後退駆動する第4の駆動手段とを備えたものとし、前記第1、第2及び第4の駆動手段の全てを、前記金型に対し水平方向の一方側に並設するように構成するとよい。これにより、各駆動手段を例えばシリンダで構成すれば、これらの管路を同方向に並設することができるので、メインテナンスが容易となる。
【0031】尚、前記ブローピンは前記スライダの中心軸に沿って移動可能に支持し、その中心軸の延長上にブローピンの駆動手段として例えばシリンダを配置するとよい。そして、スライダの駆動手段は、その中心軸に対しオフセットした位置に中心軸と平行に移動可能に配置する主シリンダと、その中心軸に対しオフセットした位置と反対側の位置に、中心軸と平行に移動可能に配置する補助シリンダによって構成し、これらの主シリンダ及び補助シリンダによる押圧力を調整すれば、スライダの中心軸に沿った円滑な作動を確保することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1乃至図3は本発明の一実施形態に係るインサートブロー成形装置を示すもので、その作動状態を図4乃至図6に示している。本実施形態の成形対象の中空容器は、図15に示す自動車の燃料タンクであり、少くとも外層、内層及び中間層を有する樹脂部材をブロー成形することによって中空容器たる燃料タンク本体が形成されると共に、その開口部に環状のインサート部材が一体に形成される。この燃料タンクの構造は、インサート部材を除き、前掲の特開2002−46489号公報に記載の燃料タンクと実質的に同じであるので、ここでは概要を説明する。
【0033】図15において、燃料タンク本体1を構成する樹脂部材は、そのハッチングを省略したが、強度保持部材で形成された外層Po及び内層Piとの間に、バリア材で形成された中間層Bが介装され、これらが接着性樹脂で接合された複数の層を有する多層構造の樹脂部材である。本実施形態で用いられる強度保持部材としては、超高分子量(高密度)ポリエチレンが用いられ、バリア材としては、例えばEVOH(エチレンとビニルアルコールが共重合した樹脂)が用いられる。尚、本発明においてはこれらの材料を限定するものではなく、バリア材としては、ガソリン等の燃料の透過を確実に防止し得るガスバリア性を有する材料であれば、どのようなものでもよい。
【0034】一方、環状のインサート部材2が開口部1hを囲繞するように一体に成形されている。このインサート部材2も樹脂製で、その外側に螺子部が形成され、その内側に段部が形成されている。この段部の上面に重合部(後述する)が形成され、この重合部が圧縮されて形成される凹部(後述する)に、シール部材3が配設される。而して、蓋体4が開口部1hの開口端面に載置され、環状の固定部材5がインサート部材2に螺合されると、蓋体4はシール部材3を介して両者間に挟持される。
【0035】図1は、ブロー成形によって上記の燃料タンクを形成するインサートブロー成形装置の、燃料タンクの開口部(図15の1h)にインサート部材2(図1に2点鎖線で示す)を一体成形する部分の構造を示す断面図である。先ず、本実施形態の金型装置10は、一対の金型(図1には一方の金型11の一部のみが表れている)が略鉛直方向(図1の左右方向)に立設され、水平方向に進退可能に配置されている。これらの一対の金型の内側に樹脂のパリソン(図示せず)が収容され、ブロー成形によって、前述の燃料タンクが形成される。この金型装置10にはブラケット12,13,14,15が支持あるいは固着されており、ブラケット12にはスリーブ20が、ブラケット13にはクランプ装置30が、ブラケット14にはスライダ装置40が、夫々取付けられている。
【0036】金型11には、燃料タンクの開口部(図15の1h)に対応する連通孔11aが形成されている。この連通孔11aの内径は、開口部(図15の1h)の外径より大で、後述するクランプ部材36が連通孔11a内で径方向に所定距離移動可能な径に設定されている。連通孔11a内には円筒状のスリーブ20が配設され、その先端が連通孔11a内の水平方向の所定位置まで突出した位置に、ブラケット12を介して金型11に固定されている。スリーブ20は、その先端の内側に環状段部20bが形成されており、この環状段部20bから先端に至る内側面は、先端に向けて内径が漸増するテーパ面20aに形成されている。更に、図7に拡大して示すように、スリーブ20の外周には環状凸部20cが形成されている。
【0037】本実施形態のクランプ装置30は複数のクランプ部材(本実施形態では4個であり、これらを代表して36で表す。以下、同様)を備え、これらの先端が、スリーブ20の先端面に対し金型11の内側に所定距離離隔し、スリーブ20の先端面に平行な面上を移動し、スリーブ20の中心軸に対し近接及び離隔するように配置されている。即ち、各クランプ部材36は、先端が略L字状断面のフック形状に形成されており、後述するように、スリーブ20の環状段部20bとの間でインサート部材2が挟持される。更に、図7に拡大して示すように、各クランプ部材36の内側面には、スリーブ20の環状凸部20cと嵌合し得る環状溝37が形成されている。
【0038】各クランプ部材36は、ブラケット13に固定された第1の駆動手段たるシリンダ31によって、スリーブ20の中心軸に対し近接及び離隔するように駆動される。即ち、図1に示すように、シリンダ31の軸32にカム部材33が装着され、その先端に固定されたアンギュラカム34が、カムプレート35のカム穴に嵌合するように配置されている。このカムプレート35はクランプ部材36の後端部にビス等で固着され、ブラケット12に摺動自在に支持されており、カム部材33とカムプレート35の位置関係に応じてスリーブ20の中心軸に対し近接及び離隔し得るように構成されている。
【0039】例えば、シリンダ31によってカム部材33が図1の最前進位置から後退駆動され(図1の右方に移動し)、カムプレート35から離隔すると、アンギュラカム34を介してカムプレート35(及びクランプ部材36)がスリーブ20の中心軸から離隔する方向、即ち退避位置(初期位置)方向に駆動される。逆に、カム部材33が前進駆動されると、カムプレート35(及びクランプ部材36)はスリーブ20の中心軸に近接する方向、即ち図1の把持位置方向に駆動される。このように、本実施形態においては、クランプ部材36を鉛直面上の移動に対し、アンギュラカム34及びカムプレート35によって運動方向を変換し、カム部材33を水平方向に駆動することとしている。
【0040】上記のスリーブ20の内側には、円筒状のスライダ43が摺動自在に配置され、更に、スライダ43の内側にイジェクタ50が収容されている。スライダ43の後部にはブラケット47が固定されており、このブラケット47に軸42を介してシリンダ41が連結されている。シリンダ41は、スリーブ20内でスライダ43を後退及び前進駆動する本発明の第2の駆動手段を構成するもので、ブラケット14に支持されている。このブラケット14とブラケット47との間にブラケット15が介装されている。
【0041】更に、ブラケット14とブラケット15との間に位置する軸42には、スライダ43の前進及び後退位置を調整するためのブロック46が固定されており、ブラケット15とブロック46との間には前進位置設定用のスペーサ61が介装され、ブロック46とブラケット14との間には後退位置設定用のスペーサ62が介装されており、これらのスペーサ61,62とブロック46によってスライダ43の前進位置と後退位置が規定されている。尚、スペーサ61,62の厚さは、要求肉厚、成形対象の特性等に応じて適宜設定される。
【0042】本実施形態では、スライダ43の先端に環状プレート44が装着されている。この環状プレート44の先端面とイジェクタ50の先端面によって、例えば所定の凹面形状を形成し得るように形成されている。また、環状プレート44の周縁部は、燃料タンクの開口部の形状に応じた所定の形状に形成されており、燃料タンクの仕様変更等に応じて交換し得るように、環状プレート44はビス45によって着脱可能に装着されている。これらの構成及びイジェクタ50の後退距離により、後述するように、燃料タンク本体1の開口部における肉厚調整が行なわれる。尚、環状プレート44を省略し、スライダ43の先端面を、例えば凹面に形成すると共に、その周縁部を所定の形状に形成することとしてもよい。
【0043】更に、スライダ43は冷却手段70によって冷却されるように構成されている。即ち、スライダ43には破線で示すように冷却水路72が形成されており、これに連通するようにパイプ71が支持されている。而して、冷却水がパイプ71を介して冷却水路72に導入され、図1に表れない別のパイプを介して排出される。
【0044】上記スライダ43内にはイジェクタ50が摺動自在に支持されており、図1に示す常態位置のスライダ43の先端面から、突出可能に配置されている。即ち、イジェクタ50には、スライダ43の後方(図1の右方)に第3の駆動手段たるシリンダ51が支持されており、このシリンダ51によってイジェクタ50が前進駆動され金型11の内側に突出するように構成されている。尚、イジェクタ50の先端には突出部52が形成されており、後述するように、突出部52は成形後の製品を係止する係止部として機能する。
【0045】以上のように構成されたインサートブロー成形装置によって、燃料タンク本体1がブロー成形されると共に、その開口部にインサート部材2が一体成形される。以下、図1乃至図8を参照して同装置を用いたインサートブロー成形方法を説明する。先ず、図4に示すように、各クランプ部材36を後退位置(初期位置)とし、スライダ43(環状プレート44を含む)及びイジェクタ50を金型11に対し所定の位置まで後退させた後、ロボット装置のチャック(図示せず)によってインサート部材2を把持し、スリーブ20先端の環状段部20bに配置する。このとき、インサート部材2はスリーブ20のテーパ面20aに案内されるので、環状段部20b上に適切に配置される。
【0046】次に、各クランプ部材36を、スリーブ20の中心軸に近接する方向に駆動し、図5に示すように、各クランプ部材36とスリーブ20の環状段部20bとの間に環状のインサート部材2を挟持する。このとき、スリーブ20の環状凸部20cが各クランプ部材36の環状溝37に嵌合する。而して、インサート部材2は鉛直方向及び水平方向の何れに対しても確実に保持される。この状態で、多層構造(本実施形態では三層)の樹脂部材で構成されたパリソンPTを一対の金型(11,11)内に配置し、本実施形態では別途、連通管(図示せず)を介して、パリソンPTの内側に空気圧(又は液圧)を付与しながら、ブロー成形して燃料タンク本体1を形成すると共に、インサート部材2の内側から燃料タンク本体1を外方に延出させて筒状部を形成し、この筒状部のインサート部材2に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成する。この状態を図7に拡大して示す。
【0047】このとき、パリソンPTはスライダ43、環状プレート44及びイジェクタ50の先端面に密着し、突出部52を囲繞するように形成される。尚、パリソンPTは、図15に示すように外層Po及び内層Piとの間にバリア材の中間層Bが介装された構造を有し、図5においてもハッチングを省略しているが、図7においては上記筒状部及び膨出部を拡大し、ハッチングを施している。
【0048】上記の状態から、図6に示すように、スライダ43を前進させてパリソンPTの膨出部をクランプ部材36と環状プレート44(環状プレート44を設けずスライダ43の先端面を所定形状に形成する場合は、スライダ43)との間で圧縮し、図8に拡大して示すように、インサート部材2の開口部の径方向外側で折曲する折曲部1bを形成すると共に、インサート部材2の開口部に重合部1dを形成して、インサート部材2を燃料タンク本体1に一体成形する。この場合において、環状プレート44(又は、スライダ43)及びイジェクタ50の先端面を、例えば凹面に形成すると共に、環状プレート44(又はスライダ43)の周縁部を所定の形状に形成することにより、燃料タンク本体1の開口部における肉厚調整を適切に行なうことができる。
【0049】更に、環状プレート44(又はスライダ43)の周縁部を、図8に拡大して示すような所定の形状に形成することにより、折曲部1b及び重合部1dを良好な形状精度で形成することができる。同時に、環状プレート44周縁の突起によって重合部1dを圧縮し圧縮部1cを形成すると共に、立壁部1kを形成することができる。尚、このとき蓋部1gが形成されるが、これは後に除去される。而して、燃料タンクの開口部が図15に示すように形成されると共に、インサート部材2が確実に一体的に結合された状態となる。
【0050】そして、各クランプ部材36を後退駆動し、図4に示す初期位置まで退避させる。これにより、前述のインサート部材2の支持状態が解除されることになるが、本実施形態においては、成形後の製品はイジェクタ50の突出部52に係止された状態で保持されるので、製品が図4の下方に落下することを回避することができる。而して、イジェクタ50の突出部52は製品の係止部として機能し、製品を取り出すまでの間、イジェクタの突出部に係止しておくことができる。
【0051】更に、ロボット装置(図示せず)等によって上記の製品を把持した状態で、イジェクタ50を前進駆動すると、燃料タンク本体1は金型11から直ちに離脱するので、容易に製品を搬出することができる。
【0052】図9乃至図12は本発明の他の実施形態を示すもので、前述の図1乃至図4の実施形態に対し、スライダ143(図1の43に対応)内にイジェクタ50を備えておらず、これに代えて、ブローピン80が摺動自在に収容されている。このため、図1ではイジェクタ50の先端に突出部52が形成されているが、本実施形態では、スライダ143の先端に突出部材148が固着されており、これが成形後の係止部材として機能する。
【0053】また、図1ではスライダ43の中心軸上にシリンダ41が配置されているが、本実施形態では図10及び図11に示すように、スライダ143の中心軸に対しオフセットした位置に中心軸と平行に移動可能に一対のシリンダ141,141が配設され、これらによってブロック146を介してスライダ143が駆動されるように構成されている。即ち、一方のシリンダ141が主シリンダとして機能し、他方のシリンダ141が、スライダ143の中心軸に対しオフセットした位置と反対側の位置に、中心軸と平行に移動可能に配置する補助シリンダとして機能する。而して、これらのシリンダ141,141(主シリンダ及び補助シリンダ)による押圧力を調整すれば、スライダ143の中心軸に沿った円滑な作動を確保することができる。
【0054】上記の構成の相違により、図9及び図10のスライダ143は図1のスライダ43と異なっているが、基本的には同様であり、図9及び図12の環状プレート144は図1の環状プレート44に対応し、図9乃至図11の調整用のブロック146は図1のブロック46に対応している。尚、図1のスペーサ61,62に代えて図9及び図10ではスペーサ63,64が設けられている。その他の構成は図1乃至図4の実施形態と実質的に同じであるので、同一の符号を付して説明は省略する。
【0055】本実施形態では、環状プレート144の先端面とスライダ143の先端面(突出部材148の突出部分を除く)によって、例えば所定の凹面形状に形成され、環状プレート144の周縁部が所定の形状に形成されている。これらの構成及びスライダ143の後退距離により、燃料タンク本体1の開口部における肉厚調整が行なわれる。尚、スライダ143の先端面を、例えば凹面に形成すると共に、その周縁部を所定の形状に形成し、環状プレート144を省略することとしてもよい。
【0056】スライダ143及び突出部材148の中心軸に沿って、これら及びブロック146を貫通して連通孔が形成されており、この連通孔にブローピン80が摺動自在に収容されている。ブローピン80は、中空の突起部80aと軸部80bから成り、軸部80bの後端が支持ブロック83に支持され、支持ブロック83に形成された孔84と軸部80bの中空部が連通するように構成されている。尚、軸部80bの先端近傍には図13に示すようにブロー孔80cが穿設されている。このブロー孔80cは1個でも複数個でもよい。この支持ブロック83の略中央部には連通孔85が形成されている。また、ブローピン80の軸部80bに平行に支持ロッド86が配設され、支持ロッド86の先端部がスライダ143の後端部に固定され、ブロック146を貫通してブローピン80の軸部80bに平行に配設され、支持ロッド86の後端部が連通孔85に挿通されている。これにより、ブローピン80の軸部80bに平行な支持ロッド86に沿って、支持ブロック83が摺動自在に支持されている。
【0057】一方、ブラケット12にシリンダ81が固定されており、その軸82の端部に上記の支持ブロック83が固定されている。而して、シリンダ81によって軸82が前進又は後退すると、支持ロッド86に沿って支持ブロック83が前進又は後退し、これに固定されたブローピン80がブロック146、突出部材148及びスライダ143内を摺動し、突起部80aが突出部材148の先端面から出入するように構成されている。
【0058】次に、図9乃至図12に記載の構成になるインサートブロー成形装置によって、以下のように、燃料タンク本体1がブロー成形されると共に、その開口部にインサート部材2が一体成形される。先ず、図9において、図4と同様に、各クランプ部材36を後退位置(初期位置)とし、スライダ143(環状プレート144及び突出部材148を含む)を金型11に対し所定の位置まで後退させた後、インサート部材2(図9では省略)をロボット装置のチャック(図示せず)によって把持し、スリーブ20先端の環状段部20bにインサート部材2を配置する。このとき、インサート部材2はスリーブ20のテーパ面20aに案内されるので、環状段部20bに適切に配置される。
【0059】次に、各クランプ部材36を前進させ、スリーブ20の中心軸に近接する方向に駆動し、図13に示すように、各クランプ部材36とスリーブ20の環状段部20bとの間に環状のインサート部材2を挟持する。この状態で、前述の実施態様と同様に三層構造の樹脂部材で構成されたパリソンPTを一対の金型(11,11)内に配置し、突起部80aがパリソンPTを挿通するまでブローピン80を前進させる。そして、このブローピン80のブロー孔80cからパリソンPTの内側に空気圧を付与しながら、ブロー成形して燃料タンク本体1を形成すると共に、インサート部材2の内側から燃料タンク本体1を外方に延出させて筒状部を形成し、この筒状部のインサート部材2に囲繞されない先端部を径方向外側に膨出させて膨出部を形成する。
【0060】このとき、パリソンPTはスライダ143、環状プレート144及び突出部材148の先端面に密着し、突出部材148の突出部分を囲繞するように形成される。この状態から、図14に示すように、スライダ43を前進させてパリソンPTの膨出部をクランプ部材36と環状プレート144との間で圧縮し、インサート部材2の開口部の径方向外側で折曲する折曲部を形成すると共に、インサート部材2の開口部に重合部を形成して、インサート部材2を燃料タンク本体1に一体成形する。このように、環状プレート144及びスライダ143の先端面(突出部材148の一部を含む)を、例えば凹面に形成すると共に、環状プレート144の周縁部を前述のように所定形状に形成することにより、燃料タンク本体1の開口部における肉厚調整を適切に行なうことができる。
【0061】しかも、環状プレート144の周縁部を、図8と同様の形状に形成することにより、折曲部1b及び重合部1dを良好な形状精度で形成することができ、環状プレート144周縁の突起によって重合部1dを圧縮し圧縮部1cを形成すると共に、立壁部1kを形成することができる。而して、燃料タンクの開口部が図15に示すように形成されると共に、インサート部材2が確実に一体的に結合された状態となる。
【0062】そして、ブローピン80を図9に示す初期位置に戻すと共に、各クランプ部材36を後退駆動し、図4と同様の位置まで退避させる。これにより、前述のインサート部材2の支持状態が解除されることになるが、成形後の製品が突出部材148に係止された状態で保持されるので、製品が図9の下方に落下することを回避することができる。而して、環状プレート144は製品の係止部として機能し、製品を取り出すまでの間、突出部材148に係止しておくことができる。また、ブローピン80の挿通孔は、後工程で除去される蓋部1gに形成されるので、製品におけるブロー用の孔の数を低減することができる。
【0063】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のインサートブロー成形方法によれば、環状のインサート部材に外周溝を設けるといった特殊な形状とすることなく、インサート部材を適切に保持することができると共に、インサート部材を確実に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつ適切にブロー成形を行なうことができる。しかも、成形後にイジェクタを前進駆動することにより中空容器を金型から離脱させることができるので、製品を容易に取り出すことができる。
【0064】更に、請求項2に記載のインサートブロー成形方法によれば、製品を取り出すまでの間、イジェクタの突出部に係止しておくことができるので、クランプ部材が後退しても落下することなく、容易に搬出することができる。
【0065】また、請求項3に記載のインサートブロー成形方法によれば、環状のインサート部材を適切に保持することができると共に、インサート部材を確実に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつ、ブローピンを介して適切にブロー成形を行なうことができる。しかも、このブローピンが挿通する部分は、後に除去される部分であるので、製品に残るブロー用の孔の数を低減することができる。
【0066】更に、請求項4に記載のインサートブロー成形方法によれば、製品を取り出すまでの間、スライダの突出部に係止しておくことができるので、クランプ部材が後退しても落下することなく、容易に搬出することができる。
【0067】一方、請求項5に記載のインサートブロー成形装置によれば、環状のインサート部材を適切に保持することができると共に、インサート部材を確実に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつ、適切にブロー成形を行なうことができる。しかも、成形後にイジェクタが前進駆動されると、中空容器が金型から離脱するので、製品を容易に取り出すことができる。
【0068】更に、請求項6に記載のインサートブロー成形装置によれば、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間はイジェクタの突出部に係止されるので、クランプ部材が後退しても落下することなく、容易に搬出することができる。また、請求項7に記載のインサートブロー成形装置によれば、インサート部材がスリーブの環状段部に配置される際にはテーパ面に沿って案内されるので、所定の位置に容易に配置することができる。更に、請求項8に記載のインサートブロー成形装置によれば、装置全体としての小型化が可能となると共に、例えば各駆動手段をシリンダで構成し、その管路を同方向に並設することができるので、メインテナンスが容易となる。
【0069】そして、請求項9に記載のインサートブロー成形装置によれば、環状のインサート部材を適切に保持することができると共に、インサート部材を確実に保持した状態で、開口部における肉厚調整を適切且つ確実に行ないつつ、ブローピンを介して適切にブロー成形を行なうことができる。このブローピンはスライダ部材を挿通するように構成されているので、装置の小型化が可能となる。しかも、ブローピンが挿通する部分は、後に除去される部分であるので、製品に残るブロー用の孔の数を低減することができる。
【0070】更に、請求項10に記載のインサートブロー成形装置によれば、製品は、クランプ部材が後退しても落下することなく、後に取り出されるまでの間はスライダの突出部に係止されるので、クランプ部材が後退しても落下することなく、容易に搬出することができる。また、請求項11に記載のインサートブロー成形装置によれば、インサート部材がスリーブの環状段部に配置される際にはテーパ面に沿って案内されるので、所定の位置に容易に配置することができる。また、請求項12に記載のインサートブロー成形装置によれば、装置全体としての小型化が可能となると共に、例えば各駆動手段をシリンダで構成し、その管路を同方向に並設することができるので、メインテナンスが容易となる。
【出願人】 【識別番号】502148037
【氏名又は名称】株式会社エフティエス
【住所又は居所】愛知県稲沢市北島町西の町30番地
【出願日】 平成14年4月24日(2002.4.24)
【代理人】 【識別番号】100084124
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 一眞
【公開番号】 特開2003−311817(P2003−311817A)
【公開日】 平成15年11月6日(2003.11.6)
【出願番号】 特願2002−121777(P2002−121777)