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【発明の名称】 |
金型用部品設計支援方法、及び、そのシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 昌平 【住所又は居所】千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式会社内 |
【課題】金型設計時に、ユーザの金型設計者が金型部品専門メーカの標準部品の照合、選択、及び、標準部品の採用可否の判断を容易にする。
【解決手段】モールドベースや型付属部品等を供給する専門メーカの標準部品データは、専門メーカの加工標準(寸法・材質・加工方法等)に基づく諸属性を持つ形状シンボルとして本金型設計支援システム13に内蔵されている。金型メーカの設計者は、製品設計データに基づき(S1)、キャビ・コアの設計を行い(S2)、設計の各段階で本システム13を起動し、設計データをCAD中間ファイル12から供給して、本システムの表示画面上で、使用可能なモールドベースの選択を行い(S4〜S5)、次いで型部品の選択を行い、モールドベースを構成する鋼板に開けられる穴加工を、順次、発注する(S6)。専門メーカ側も本システム14の使用で見積・受注処理、加工情報の自動作成、多段階発注による早期手配・早期加工着手を実現する(S21〜24)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 形状シンボルを制御する加工標準情報制御プログラムを備えた加工標準制御手段、メモリ、入力手段、及び、表示手段を備えた、金型用部品設計支援方法において、直方体、円柱、円錐台、球、半球の5種のプリミティブ形状の1または複数個の組み合わせの集合体と、1平面上に形成された閉ワイヤ形状の廻転スイープまたは掃引スイープにより形成されるスイープ形状によって記述され、金型用部品のプレート・パーツ・穴の形状を示す、基本形状クラスと、該基本形状クラスの3次元空間上の配置位置・方向を規定する寸法、該寸法の上限下限の寸法公差、配置位置、配置角度を示す属性情報と、前記基本形状クラスの用途または前記金型用部品との対応を記述するクラス、及び、プレート・パーツ・穴の区別を示す要素属性を示す属性情報と、前記基本形状クラスに含まれる稜の形状、精度、及び、面の形状、表面状態、加工方法を記述する属性情報、および、前記形状シンボルの対応する前記金型用部品の材質・熱処理を記述する属性情報とからなる形状シンボル用属性クラスとを、前記形状シンボルが文字列として内包することを特徴とする金型用部品設計支援方法。 【請求項2】 前記形状シンボルの属性情報に、専門メーカ加工標準仕様として定められた属性情報を、予め、初期値として記載したことを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項3】 前記形状シンボルの属性から抽出した前記金型用部品の名称と、任意に指定する属性、および、前記形状シンボルを3次元化または2次元化した対応図を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項4】 前記形状シンボルに保持されている属性情報を専門メーカ加工標準に基づく許容値リストから選択し、あるいは、専門メーカ加工標準に基づく許容範囲内の値として入力を可能にすることを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項5】 前記形状シンボルに保持されている属性情報を読み取って、3次元形状として前記表示手段に表示された画像イメージを、入力手段を介して変更し、形状・寸法に関する属性情報が変更された場合に、その変更結果を形状シンボル内の寸法などの属性情報として更新することを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項6】 前記形状シンボルの属性情報として記憶されている全属性情報から選択的に前記属性情報を読み取って、価格計算と加工情報作成のためのデータファイルを生成することを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項7】 専門メーカ加工標準に基づいて制御される前記形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから前記形状シンボルの属性情報を利用可能とすることを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項8】 金型設計期間を複数回に分割して、期間内に確定したモールドベース関係のプレート、パーツ及び穴加工の設計仕様を専門メーカに伝達することにより、金型メーカから専門メーカに対するモールドベース関係のプレート、パーツ及び穴加工発注を複数回に分割して行うことを特徴とする請求項1に記載の金型用部品設計支援方法。 【請求項9】 同一ネットワークに接続され、専門メーカの加工標準に基づいた加工標準データを搭載した、形状シンボルを主体とした加工標準情報制御プログラム、及び、シンボル形状表示プログラムと、前記ネットワークに接続された、前記形状シンボルを主体とした加工標準情報制御プログラムから金型設計データを前記形状シンボルとして取り込み、前記形状シンボルの属性情報を選択して見積処理・受注処理を行う専門メーカ側専用Webサーバで構成される金型用部品設計支援システムにおいて、前記形状シンボルを主体とした前記加工標準情報制御プログラムは、直方体・円柱・円錐台・球・半球の5種のプリミティブ形状の1または複数個の組み合わせの集合体と、1平面上に形成された閉ワイヤ形状の廻転スイープまたは掃引スイープにより形成されるスイープ形状によって記述され、前記金型用部品のプレート・パーツ・穴の形状を示す、基本形状クラスと、該基本形状クラスの3次元空間上の配置位置・方向を規定する寸法、該寸法の上限下限の寸法公差、配置位置、配置角度を示す属性情報と、前記基本形状クラスの用途または前記金型用部品との対応を記述するクラス、及び、プレート・パーツ・穴の区別を示す要素属性を示す属性情報と、前記基本形状クラスに含まれる稜の形状、精度、及び、面の形状、表面状態、加工方法を記述する属性情報、および、前記形状シンボルの対応する前記金型用部品の材質・熱処理を記述する属性情報とからなる形状シンボル用属性クラスとを、文字列として内包する前記形状シンボルを使用した、加工標準情報制御プログラムを起動して、ユーザ側で設計した前記金型用部品と専門メーカ側の加工標準に準拠した推奨標準金型用部品の提示を受け、前記推奨標準金型部品使用の可否を決定し、前記ユーザの連絡を受けた前記専門メーカ側専用Webサーバは、金型設計データを前記形状シンボルとして取り込み、前記形状シンボルの属性情報を選択して見積処理・受注処理を行い、専門メーカ側の金型用部品加工情報を生成することを特徴とする金型用部品設計支援システム。 【請求項10】 専門メーカ加工標準に基づいて制御される前記形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから上記形状シンボルの属性情報を利用可能とすることを特徴とする請求項9に記載の金型用部品設計支援システム。 【請求項11】 金型設計期間を複数回に分割して、期間内に確定した金型用部品の加工仕様を前記専門メーカに伝達することにより、前記メーカ側から前記専門メーカに対する金型用部品加工指示を複数回に分割して行うことを特徴とする請求項9に記載の金型用部品設計支援システム。 【請求項12】 前記専門メーカ加工標準に基づいて制御される前記形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから前記形状シンボルの属性情報を利用可能とすることを特徴とする請求項9に記載の金型用部品設計支援システム。 【請求項13】 新しく追加された金型用部品、または金型用部品の追加加工方法を前記専門メーカ側専用Webサーバから前記ネットワークを介して前記形状シンボルを主体とした前記加工標準情報制御プログラムに取り込み可能とすることを特徴とする請求項9に記載の金型用部品設計支援システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モールドベースやダイセットを含む金型部品の選択・2次加工を追加する際の加工仕様の標準化システムに関し、2次加工を含んだ金型部品を容易に発注することができるとともに、金型納期を短縮できる設計支援システムに関する。 【0002】 【従来の技術】近年の電子機器の急速な発達と多様化により、開発期間の短縮が急務となり、プラスチック成形品用の金型製作の精度の向上と設計時間の短縮が求められている。金型の製作期間の短縮に有効な手段として、金型の各部品を標準化して専門メーカにより市販されている標準モールドベースの利用があり、プラスチック成形品の開発期間の短縮にとって、標準モールドベースの利用は欠かせない手段となっており、その重要性は増している。 【0003】詳細は後述するが、モールドベースは多数の鋼板が結合され数ブロックに構成され、このブロックがガイド部品で案内されてスライドするように構成されている。このモールドベースを構成する鋼板は、追加加工として各種の穴加工、及び、金型部品と呼ばれる多数の付属部品取り付け用の穴加工が加えられる。多くの場合、この金型部品はモールドベースに組み付けられて納入される。 【0004】一般に金型メーカとも呼ばれる金型製造業者(以下ユーザと呼ぶ)は、成形品の形状に直接関係するキャビティとコアに関する加工を行い、汎用のモールドベースへの組み込み、調整を行って金型を完成する。ユーザの保有機械はキャビティとコアの加工を能率的に行うために、放電加工、ワイヤカット、精密ボーリング等が主体の特殊機械が多く、従業員の時給も高額なのが普通である。 【0005】モールドベースや金型部品は、通常、モールドベースや金型部品の専門メーカから購入する。これらのモールドベースや金型部品は、成形する製品の形状と取数、ゲート形式(ランナー形状)等により、モールドベースの形式、モールドベースに使用される型板等のプレート類の板厚等が定まり、主に製品の平面形状や配置に関連してエジェクタピン等の金型部品の形式、数量、座標位置等が定まる。 【0006】ユーザとしては、モールドベースに上記の製品形状に依存し、金型個々に異なる穴加工、型板の彫り込み等の追加加工をも行って、付属する金型部品をモールドベースに取り付けた状態で、専門メーカから納品されれば、本業であるキャビティ、コアの製作に専念できる。完成したキャビティ・コアを追加加工済み、且つ、金型部品取付済みのモールドベースに組み込み、調整、磨きを行って型完成とするのが理想である。 【0007】モールドベースや汎用の金型部品の追加加工は、一般的な穴開け、内外の円筒研削、平面切削・研削等の汎用機の使用で済むことが多く、ユーザの時給では採算的に不利となる場合が多い。また、モールドベースや金型部品の納入後にユーザにより追加加工を行うことは、金型の製造日程上も不利となる。従って、これらのモールドベースや金型部品の追加加工は、専門メーカ側で行い、ユーザには追加加工済み・金型部品取付済みのモールドベースを納入するのが、コストパフォーマンスも良く、製造日程上も有利と考えられる。 【0008】ここで、モールドベースの一般的な説明をする。モールドベースは鋳型となるキャビティ(空洞部)とコア(中実部)の保持具と考えられ、固定側(ブロック)にキャビティを形成し、可動側(ブロック)にコアを取り付ける。モールドベースを閉じて固定側と可動側の両パーティング面を接触させるとキャビティとコアで形成される空間が成形品の鋳型部となり、ここに溶融した樹脂を射出する。温度が下がり樹脂が固化したら、モールドベースを開いて固定側と可動側を離し、固化した樹脂を取り出すことにより成形品を得る。 【0009】モールドベースの構造は、前記したように、各種の複数枚の鋼製の平板を重ね、ボルトで結合して固定側と可動側及びその他の数ブロックに構成し、各ブロックに取り付けられた案内用の部材を摺動させて案内し、固定側に対して可動側が移動しても、両ブロック相互の平面位置が狂わないようにしたものである。従ってモールドベースはプレートと総称される鋼板群に、ガイドピン等の円柱状の柱類、ガイドブッシュ等の円筒形の軸受類、及びボルト等のパーツで構成される。 【0010】更に、モールドベースには、エジェクタピン(スリーブ)、ロケートリング、スプルーブッシュ、サポートピン、リターンピン、プラボルト等の各種用途を持った金型部品が付属部品として組み込まれる。モールドベースはプレートと総称される平な鋼板とパーツと総称される付属金型部品から構成されると言える。 【0011】これ等プレート類に上記のパーツ類を組み込むための穴加工が必要である。更に冷却用等の油穴、水穴、ヒータ穴、金型吊り下げ用のアイボルトの取付ネジ穴等もモールドベースの機能上必要である。これらはモールドベースを構成するプレート類に、各種の丸穴の加工を要求する。また、キャビティ彫り込みの下穴やコア取付のための、丸穴以外の異形穴または(底付きの)ポケット穴の加工要求もあるが、広い意味の穴加工に含める。 【0012】従って、モールドベースや金型部品を供給する専門メーカ側からユーザに提供されるサービスの主体は、モールドベース、金型部品の供給とモールドベースを構成するプレート類の穴加工になる。即ち、サービスはプレート、パーツ、(プレートに加工される)穴の3種類に大別されると考えて良い。また、本明細書では、組立品としてのモールドベース、モールドベースを構成する鋼板、(ガイドポスト、ガイドブッシュ等の)ガイド部材、モールドベースに付属して取り付けられる金型部品を総称して「金型用部品」と呼ぶ。なお、例えばピン類の全長を調整する丈詰め、取付穴位置変更等の部分的に金型部品(パーツ)を追加加工する場合もある。 【0013】本出願人は、金型部品の専門メーカとして、独自に標準化したモールドベースを販売し、長年プラスチック成型品製造メーカの需要に応えている実績により、本出願人の規格がほぼ業界標準となっている実績を有している。さらに、プラスチック用金型の標準金型部品は、各プレート類、ガイドピン、リターンピン、ガイドピンブッシュ、ロケートリング、スペーサ等がJISに制定されており、使い勝手は更に良いものとなっている。 【0014】専門メーカより市販されている標準モールドベースは、プラスチック成型品用の金型の設計から金型成形までの期間を短縮することと、ユーザである金型製造業者の金型設計を容易にするため、JIS規格以外のモールドベース、モールドパーツ及び追加加工をそれぞれ標準化し、モールドベース、パーツ、追加加工を規格化(品名及び加工の記号化)して、カタログ規格といえるものを作成し、ユーザはこのカタログ規格書に記載されている標準モールドベース等の品名記号を主体とした製品仕様を指示するすることにより、標準モールドベースの発注ができるようになっている。 【0015】このカタログ規格書は、例えば、本出願人の場合は、大別すると(標準)モールドベース、モールドパーツ(金型用部品)、及び追加加工の3部構成となっており、標準モールドベースの頁は、2プレートタイプ、3プレートタイプ、カセット型タイプ、及びおも型に分けられ、2プレートタイプは、高剛性タイプ、従来タイプ、大型タイプに分けられている。 【0016】2プレートタイプの高剛性タイプの規格の説明とともに、標準モールドベースの構造の説明を行なう。 【0017】2プレートタイプの高剛性タイプの標準モールドベースを、図12に示す。モールドベースは、固定側取付版T、固定側型板A、ストリッパプレートS、可動側型板B、受け板U、スペーサブロックC、上エジェクタプレートE、下エジェクタプレートF、可動側取付板Lの積層構造で構成され、これらに、ガイドブッシュGBA、GBB、ガイドピンGPA、リターンピンRPN、各部材間をネジ止めするための各サイズの締付ボルトから構成されている。 【0018】ユーザは、金型で成形される製品の形状その他から、まずプレートタイプと、高剛性タイプか従来タイプかを選択する。仮に、2プレートタイプの高剛性タイプを選択したとして、以下に発注をする際の品名記号の並び順にしたがって製品仕様の指示方法について説明する。 【0019】2プレートタイプを選択して、次にストリッパプレートS、受け板Uの有無を選択し(例えば、受け板U有、ストリッパプレートS無であれば SA)、次に呼び寸法(型板A、Bの縦横の幅、例えば縦横150mmであれば、1515)を選択する。次いで、固定側型板A、可動側型板B、及びスペーサブロックCの厚み、取付版T、Lの幅、受け板Uの厚み(例えば、A=30mm、B=30mm、C=60mm、T=200mm、U=30mmとする。)、エジェクタプレートの仕様、及びオプション仕様や追加加工があれば、続けて記述するようになっている。一例を示すと次のようになる。 「MDC SA 1515 30 30 60 S V B N」となり、Nの後に、オプション仕様や追加加工の指示を記述することになる。 【0020】また、モールドパーツの場合は、エジェクタピン(スリーブ)、アンギュラピン、ランナロックピン、ロケートリング、型開き制御パーツ、ベーススペーサ、スプリング、断熱板等の部品ごとにその径、長さ、材質等を指定し記号化するようにして、金型の発注を視覚的に捉えることができるようになっている。 【0021】更に、追加加工は、水穴・油穴・ヒータ穴の加工、ポケット加工、アイボルト用ネジ穴加工、プラボルト・サポートピラ・ストップピン・ストップリング・エジェクタガイドピン・スプリング・エジェクタロッド・金型ロック装置・ロケートリング・スプルーブッシュの組込み加工、取付け穴・取付けU溝の加工、クランプ・クランプ溝の加工、エジェクタロッド用穴の加工、特殊なガイド形式の加工、リターンピン穴追加加工、サポートピンカラーの変更、インサート成型用モールドベースの加工、取付板の寸法と取付け方法の変更、プレートの板厚変更・板厚寸法許容誤差の変更、プレートの材質変更、パーツの長さ変更、ガイドピンのにがし穴加工、ガイドブッシュの長さ変更、パーツの太さ変更、パーツピッチ変更、締付ボルトのピッチ変更と本数変更、等と多岐に渡るものが各種寸法や形式ごとに記号で仕様を指定できるようになっている。 【0022】また、金型部品を選択してモールドベースを構成する鋼板に取付けのための追加加工を施した場合、その部品を組み込んで納入するか、組み込まずに納入するか、何れかを選択することが可能であり、やはり記号で指定できる。 【0023】標準モールドベースの専門メーカは、この方法で受注すると、記号を解読することによって、容易に生産ライン上で標準モールドベースの加工を行なうことが出来る。しかしながら、金型成型品の多様化により(例えば、本出願人の規格書の項目数は、2千万種以上になる。)、オプション仕様の受注が増えてくると、品名記号の文字数が飛躍的に長くなり、品名記号化のメリットが薄れてきた。 【0024】そして、1980年代ころより、CAD/CAM(computer aided design/computer aided manufacturing コンピュータが支援する設計や製造)による設計製造が一般化してくると、ユーザは、CADによって金型の設計を行なってから、カタログ仕様書を見ながら、製品仕様を記号化しなければならなくなった。そのため、本出願人は、金型設計のコンピュータ化に対応するため、1990年代初頭に、標準モールドベース及びその部品、加工の注文(受注)システムを改善し、受注から納品までの期間を大幅に短縮したシステムをユーザに提供してきている。(詳細は、「フタバ標準 モールド金型用部品 ブルーブック」 VOL.1 1998年8月双葉電子工業株式会社発行、及び「追加加工ガイドブック増補版」2000年7月双葉電子工業株式会社発行、を参照)。 【0025】この標準モールドベースの注文(受注)システムは、顧客向けに頒布している設計・購買業務支援ツールであって(以下、「設計支援システム」という)、業務支援ソフトウェア「モールド図換」(本出願人の登録商標)と称するもので(詳細は、http://futaba.co.jp/jp/product/mold/product 参照)、金型構想設計を3次元ソリッドベースで支援するもので、標準モールドベースの構想設計を強力にサポートし、手配の迅速化で金型製作納期の短縮を可能としたものである。この設計支援システムは、本出願人が長年に渡ってカタログ規格の中で培ってきた標準モールドベースの品名記号を主体とした製品仕様を指示する形態を取っている。なお、プレス金型についても、プレス金型用のダイセットを中心とした同様の発想のカタログが発行されている。 【0026】図13は、この設計支援システムによる標準モールドベースを使用した金型設計から金型完成までの工程を示すフローチャートである。 【0027】金型メーカであるユーザは、CADを利用して製品設計を行なう(ステップS1)。次いで、金型設計(キャビ・コア設計)を行なう(ステップS2)。この時生成されたCADのデータをデータフォーマットであるIGES形式、又は2次元CADの場合、DXF形式、3次元CADの場合SAT形式、STEP形式、STL形式にCAD中間ファイルとして変換し(ステップS3)、ユーザ側の設計支援システムを立ち上げ、CAD中間ファイルを読み込むと、設計支援システムが自動的に推奨する標準モールドベースの仕様を画面に提示する(ステップS4)。 【0028】ユーザはステップS5において、必要があればシステムが推奨している標準モールドベースを変更し、標準モールドベースの仕様を決定し(ステップS5)、追加仕様を指示し(ステップS6)、インターネット等の通信回線を通じて、金型メーカに設計支援システムが生成した標準モールドベースに基づく設計データを送信する(ステップS20)。 【0029】専門メーカ側は、送信されきた設計データを専門メーカ側の設計支援システムを使用して、見積り・受注処理(ステップS21)、加工干渉チェック(ステップS22)、加工情報生成(ステップS23)を行ない、生産ラインに指示して、受注したモールドベースの加工を行ない(ステップS24)、加工したモールドベースを納入し(ステップS25)、ステップS11に進む。 【0030】ユーザは、ステップS6において、追加加工の指示を行なってから、設計支援システムが生成したファイルを自社が使用しているCADデータフォーマット形式に変換し、CADシステムに規格加工対応範囲のモールドベース形状データを受け渡し(ステップS7)、規格加工対応範囲外の仕様設計を行ない(ステップS8)、標準モールドベース又は規格対応追加仕様修正が発生しているか否かを判断し(ステップS9)、仕様修正が不要であればステップS10に進み、金型設計は完了となり、仕様修正が必要となれば、ステップS5に戻る。 【0031】金型設計が完了し、発注したモールドベースが納入されると、ステップS11において、規格加工対応範囲外の追加仕様をモールドベースに追加加工を行なう。ステップS11Aでユーザで別途製造したキャビティ・コアが供給されて組み込まれ、金型の仕上げ・調整をし(ステップS12)、金型が完成する。(ステップS13) 【0032】 【発明が解決しようとする課題】プラスチック成型品の精密化の中で、金型製作に付随する各種高度な追加加工に対応するためには、現在の品名記号による加工指示方法では、ユーザにとっては、その加工が専門メーカで対応しているか否かの判断をしなければならない上に、たとえ対応していたとしても、指示要素が増え品名記号が極めて複雑かつ冗長になり、顧客にとって判り難く、誤りを招きやすいものであった。 【0033】そのうえ、この標準モールドベースによる金型の設計支援システムは、設計支援システムを提供している金型メーカのカタログ規格として記号化されている加工仕様に限定されているため、モールドベースの設計を完結することが出来ない。また、専門メーカにとっては、新たな加工仕様に対応する場合、加工仕様の記号化とカタログ発行のため準備期間に多くの時間と工数を必要とするため、迅速な対応ができなかった。 【0034】さらに、現在の当出願人のカタログ規格として記号化されていない加工仕様には、スライドコアのように従来の加工仕様に比べて多くの仕様確定要素を含むものがある。このような加工仕様は、1つの加工仕様表現に20以上のパラメータ(文字数にして100文字以上)が必要であり、従来の記号化における1つの狙いであった人間にも理解しやすい表現という趣旨からは明らかに逸脱したものとなってしまう。そのため、スライドコア加工のカタログ規格化がし難いという状況にある。また、カタログ上での仕様説明も多数の頁を必要とし、顧客がその仕様を理解することも困難となってしまう。 【0035】設計支援システムで選択した標準モールドベースと追加仕様指示内容からなるファイルを変換して、市販CADシステムに読み込ませた後に設計支援システム側で指示された標準モールドベース又は追加仕様に係る変更が必要になった場合、再び設計支援システムに戻って、標準モールドベース又は追加仕様の再選択を行なって、市販CADシステム設計データを再度受け渡す必要があった。 【0036】その上、設計情報(発注情報)の送信は、1回で完結的に処理・加工工程に送られるため、ユーザ側からの発注情報の再度の送信による追加的な加工依頼に対応できないという問題もあった。そこで、品名を意識せずに部品・加工形状の寸法、位置、属性指示を主体とした金型用部品設計支援方法、および、システムを提供し、高度な追加需要に対応したモールドベース・ダイセットデザインツールとして金型業界のコスト低減、納期短縮に貢献する。 【0037】 【課題を解決するための手段】本発明は、形状シンボルを制御する加工標準情報制御プログラムを備えた加工標準制御手段、メモリ、入力手段、及び、表示手段を備えた、金型用部品設計支援方法において、直方体、円柱、円錐台、球、半球の5種のプリミティブ形状の1または複数個の組み合わせの集合体と、1平面上に形成された閉ワイヤ形状の廻転スイープまたは掃引スイープにより形成されるスイープ形状によって記述され、金型用部品のプレート・パーツ・穴の形状を示す、基本形状クラスと、基本形状クラスの3次元空間上の配置位置・方向を規定する寸法、この寸法の上限下限の寸法公差、配置位置、配置角度を示す属性情報と、基本形状クラスの用途または金型用部品との対応を記述するクラス、及び、プレート・パーツ・穴の区別を示す要素属性を示す属性情報と、基本形状クラスに含まれる稜の形状、精度、及び、面の形状、表面状態、加工方法を記述する属性情報、および、形状シンボルの対応する金型用部品の材質・熱処理を記述する属性情報とからなる形状シンボル用属性クラスとを、形状シンボルが文字列として内包する金型用部品設計支援方法を提供する。 【0038】また、本発明は、形状シンボルの属性情報に、専門メーカ加工標準仕様として定められた属性情報を、予め、初期値として記載する方法を提供する。更に、形状シンボルの属性から抽出した金型用部品の名称と、任意に指定する属性、および、形状シンボルを3次元化または2次元化した対応図を表示手段に表示するようにしている。更に、前記形状シンボルに保持されている属性情報を専門メーカ加工標準に基づく許容値リストから選択し、あるいは、専門メーカ加工標準に基づく許容範囲内の値として入力を可能にする方法も提案する。また、形状シンボルに保持されている属性情報を読み取って、3次元形状として表示手段に表示された画像イメージを、入力手段を介して変更し、形状・寸法に関する属性情報が変更された場合に、その変更結果を形状シンボル内の寸法などの属性情報として更新できるようにして、特定のダイアログに戻らなくても変更可能にしている。いずれも、支障がない限り、ユーザの数値入力の手間を省いている。 【0039】また、本発明は、形状シンボルの属性情報として記憶されている全属性情報から選択的に属性情報を読み取って、価格計算と加工情報作成のためのデータファイルを生成するようにし、専門メーカの発注業務や追加加工の自動化省力化をはかっている。 【0040】また、専門メーカ加工標準に基づいて制御される形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから形状シンボルの属性情報を利用可能とすることを提案している。更に、金型設計期間を複数回に分割して、期間内に確定したモールドベース関係のプレート、パーツ及び穴加工の設計仕様を専門メーカに伝達することにより、金型メーカから専門メーカに対するモールドベース関係のプレート、パーツ及び穴加工発注を複数回に分割して行うことも提案している。 【0041】本発明は、同一ネットワークに接続され、専門メーカの加工標準に基づいた加工標準データを搭載した、形状シンボルを主体とした加工標準情報制御プログラム、および、シンボル形状表示プログラムと、前記ネットワークに接続された、形状シンボルを主体とした加工標準情報制御プログラムから金型設計データを形状シンボルとして取り込み、前記形状シンボルの属性情報を選択して見積処理・受注処理を行う専門メーカ側専用Webサーバで構成される金型用部品設計支援システムにおいて、形状シンボルを主体とした加工標準情報制御プログラムは、直方体・円柱・円錐台・球・半球の5種のプリミティブ形状の1または複数個の組み合わせの集合体と、1平面上に形成された閉ワイヤ形状の廻転スイープまたは掃引スイープにより形成されるスイープ形状によって記述され、金型用部品のプレート・パーツ・穴の形状を示す、基本形状クラスと、基本形状クラスの3次元空間上の配置位置・方向を規定する寸法、該寸法の上限下限の寸法公差、配置位置、配置角度を示す属性情報と、前記基本形状クラスの用途または前記金型用部品との対応を記述するクラス、及び、プレート・パーツ・穴の区別を示す要素属性を示す属性情報と、基本形状クラスに含まれる稜の形状、精度、及び、面の形状、表面状態、加工方法を記述する属性情報、および、形状シンボルの対応する金型用部品の材質・熱処理を記述する属性情報とからなる形状シンボル用属性クラスとを、文字列として内包する形状シンボルを使用した、加工標準情報制御プログラムを起動して、ユーザ側で設計した金型用部品に対応する専門メーカ側の加工標準に準拠した推奨標準金型用部品の提示を受け、推奨標準金型部品使用の可否を決定し、ユーザの連絡を受けた専門メーカ側専用Webサーバは、金型設計データを前記形状シンボルとして取り込み、形状シンボルの属性情報を選択して見積処理・受注処理を行い、専門メーカ側の金型用部品加工情報を生成することを特徴とする金型用部品設計支援システムを提供する。 【0042】本システムは、専門メーカ加工標準に基づいて制御される形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから形状シンボルの属性情報を利用可能としている。また、金型設計期間を複数回に分割して、期間内に確定した金型用部品の加工仕様を前記専門メーカに伝達することにより、メーカ側から専門メーカに対する金型用部品加工指示を複数回に分割して行うこともできる。 【0043】更に、本システムは、専門メーカ加工標準に基づいて制御される形状シンボル情報を利用する手続きを、市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開し、市販のCADシステムから上記形状シンボルの属性情報を利用可能とするよう提案している。また、本システムは、新しく追加された金型用部品、または金型用部品の追加加工方法を専門メーカ側専用Webサーバからネットワークを介して前記形状シンボルを主体とした前記加工標準情報制御プログラムに取り込み可能とすることをも提案している。 【0044】 【発明の実施の形態】説明は次の順番で行う。 1.フローチャートを参照して成形型の設計・製造時の流れの説明。 2.主に専門メーカ内のネットワークの説明。 3.本発明の金型用部品設計方法の内部構造。 4.形状シンボルの構造と属性の説明5.形状シンボルの具体例(ボルトとボルト穴) 6.一般CADシステムと金型用部品設計方法との関連【0045】1.フローチャートを参照して成形型の設計・製造時の流れの説明。 【0046】初めに、本発明の金型用部品設計支援方法を適用したシステムの運用状況を図1のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、金型メーカであるユーザ側と、標準モールドベース・汎用金型部品の専門メーカである専門メーカ側双方の成形型製造時の作業区分を含めて示したものである。 【0047】なお、今後の説明はモールド金型を重点的に説明する。モールド金型に限れば、組立品としてのモールドベース、モールドベースを構成する鋼板、ガイド部材、モールドベースに付属して取り付けられる金型部品は金型用部品と総称される。なお、上記金型用部品設計支援システムは今後の説明ではモールド金型設計支援システムと呼ばれる場合もある。 【0048】金型の設計思想が同一であり、金型の構造的に類似性の強いダイキャスト用金型等には本金型用部品設計支援方法、および、システムはそのまま適用可能である。更に、設計思想が共通であるため、本金型用部品設計支援方法、および、システムは、プレス金型に使用されるてダイセットをモールドベースと読み替えればそのまま適用できる。即ち、組立品としてのダイセット、ダイセットを構成する鋼板、ガイド部材、ダイセットに付属して取り付けられる金型部品をも含めて金型用部品と呼び、適用範囲を広げることができる。即ち、本金型用部品設計支援方法、および、システムは、ダイキャスト用金型等を含むモールド金型、及び、プレス金型に適用可能である。 【0049】モールド金型の発注は、通常、成形業者から金型メーカに対して行われ、成形業者もエンドユーザから製品図面付で成形部品の生産を依頼される場合が多い。従って、製品設計は既に完了していると考えて良い。(S1)最近では、製品の形状データはCADデータの形で受け渡されることが多い。金型メーカの設計部門でも、市販のCADシステムを導入して、金型設計を行うのが一般的である。成形作業に使用する成形機の機種名、能力等も成形業者から指示されるのが普通である。 【0050】製品の形状データは金型メーカで使用のCADシステムにインポートされ、CADシステムの表示画面に表示することができる。図10はその表示画面例を示したもので、図10(a)は3次元のワイヤフレーム像42として、同図(b)はシェード表示43とされている。 【0051】キャビ・コア設計(S2)の初期段階で、製品の形状データ・成形機の能力等から、同時に成形される成形品の個数である取数が定まる。図11(a)はこの段階のCADシステムの表示画面を示し、製品のシェード表示43を基にして、ほぼ、外接するキャビティ基本形状44が定まり、取数分だけ配置して固定側型板のワークエリア45が得られた状態を示している。図は6個取りを示す。 【0052】次に、ゲート形式やランナの構造から2枚構成・3枚構成等のモールド金型の基本構造(形式)が定まる。ここで、ゲートとはキャビティ部に溶融樹脂を注入する湯口を言い、ランナとは成形機のノズルからキャビティ部まで樹脂を導く経路を指す。この経路に注入され固化した樹脂もランナと呼ばれ、1回の成形毎に成形品とランナを型から取り去る必要がある。この基本構造を基にして、図11(b)に示すようにモールドベース47の外形寸法の概略が求められる。 【0053】この時点で、ユーザ用のモールド金型設計支援システムを起動し、CAD中間ファイル12を介して本支援システムに設計データを送付する(S3)。後述するように、本支援システムは複数の市販CADシステムと基本的にデータ交換が可能な構成とされている。モールド金型設計支援システムの推奨モールドベース提示(S4)において、CAD中間ファイル12を介して送られた諸数値から専門メーカ側で標準とされるモールドベースから最適の標準モールドベースが 選択されて、メモリから呼び出されユーザの金型設計者に示される。 【0054】ユーザ側で上記の標準モールドベースの使用可否が検討され(S4A)、使用可なら標準モールドベースが 選択される(S5)。使用不可の場合は自由サイズ・構造モールドベースで仕様を決定し(S4B)、加工仕様指示(S6)がなされる。 【0055】標準モールドベースの場合、ユーザが発注した時点で専門メーカ側は第1段階の標準的な加工に入ることができる。本支援システムの特徴の一つとして、モールドベースの加工指示に多段階発注方式が採用されている。即ち、モールドベースの設計過程で発注を複数の段階で行うことにより、設計作業の進捗と同時発生的にモールドベースの加工を進められるよう構成されている。 【0056】例えば、3段階に発注を分けた場合、第1段階(1の初期発注)の発注をモールドベースの外形サイズ・型構造など型板等のプレート類の大きさが確定する型設計の初期段階に行う。モールドベースを構成するプレート類、必ず使用される主要部品の在庫確認・手配・外形等の加工開始が可能である。キャビティ・コア周辺を除く、型設計の前半から中間段階で確定する型板の彫り込み等の仕様の発注を第2段階(2の中間発注)とする。第3段階をキャビティ・コア周辺の温調穴レイアウトや突き出しピンレイアウトなど型設計の後半から最終段階で確定する仕様の発注(3の最終発注)とする。これで、モールドベースの全仕様が決定される。このように多段階発注を行うことにより、モールドベースの加工を前倒しして、楽な日程で追加加工付の標準モールドベースと汎用型部品の納期短縮を実現することができる。 【0057】専門メーカ側では、本金型設計支援システムを見積、工程設計、NCデータの生成、納期回答等に多彩に使用できる。詳細説明は後述するが、専門メーカ側金型設計支援システム14を使用すると、加工する形状シンボルを抽出し加工に必要な属性を参照することにより、見積作業・納期回答等が人手を介さずに行える。更に個別のNCデータの生成も容易である。 【0058】標準モールドベースの型板外形形状、型構成等が第1段階の発注仕様で明確になるので、そこまでの見積、受注処理が行われる(S21)。ユーザ側に見積・概略納期がインターネット等のネットワークを介して回答される(連絡15)。この段階では加工干渉チェックはあまり必要なく、加工情報生成(S23)を経て、モールドベース加工(S24)に着手できる。 【0059】第2、第3段階の設計仕様が加工仕様指示(S6)で明らかになると、既存の穴と、例えば、追加加工の油穴、エジェクタピン穴との加工干渉チェック(S22)が行われ、問題が有れば、ユーザ側設計者と協議を行う。第1段階と同様に、加工情報生成(S23)を経て、高度の追加工を含むモールドベースの全加工(S24)が行われる。自由サイズ・構造モールドベースの場合は加工仕様指示(S6)のレベルが、時期的には第2段階発注に該当する。加工着手が標準モールドベースより遅れるのはやむを得ない。 【0060】なお、本金型設計支援システムでは、新たに標準部品に取り入れた部品、加工工程が任意に追加できるので、最新形状シンボルの形で、インターネット等のネットワークを通じて、随時、ユーザに配布される。このようにプログラムの部分的追加・変更が容易に行えるので、専門メーカ側の加工対応範囲を拡大するのに貢献する。新たにカタログを印刷して郵送する必要がない点も、利点となる。 【0061】加工完了したモールドベースはユーザに納入され、ユーザ側でキャビティ、コアが製作され(S11A)、組み込まれる。次いで、金型仕上げ・調整(S12)を経て金型完成(S13)となる。このように、納入されたモールドベースは設計で指定した全ての加工が完了しており、ユーザ側はキャビティ、コアのみを製作し、モールドベースに完成したキャビティ、コアを組み込み、調整を行うことで金型を完成することができる。 【0062】本方式では、メーカ側設計の中間時点で設計情報を取り込むことにより、専門メーカ側で必要な全加工を終了したモールドベース、型用部品を、短納期で納入することを最大のユーザへのサービスとして作られている。 【0063】2.主に専門メーカ内のネットワークの説明。 【0064】次に、本モールド金型設計支援システムの情報伝達経路を図2を参照して説明する。図2は情報伝達経路の概略を専門メーカ側の内部ネットワークを主体に記載したネットワーク図である。ユーザ側には、本システムの専用Webブラウザ21、21・・・が配置され、インターネット等のネットワークを介して、本システムの専門メーカ側の受付窓口となる専用Webサーバ22が配置されている。 【0065】ユーザ側の本システムの専用Webブラウザ21、21・・・は、金型の設計データを専用Webサーバ22に送信する機能、及び、専用Webサーバ22から本システムの最新モジュール(プログラム)をダウンロードする機能を持っている。 【0066】本モールド金型設計支援システムの最新モジュールをユーザに配布する業務、ユーザの本システムのライセンス管理業務等も専用Webサーバ22が窓口とされ、日常的な受注業務から離れた業務ではあるが、本システムを維持・発展させるための重要な業務となっている。ユーザは専用Webサーバ22にアクセスし、必要とする上記最新モジュールをダウンロードすることができる。後述するように、これらモジュールはオブジェクト指向言語Rubyのスクリプト、及び、ウインドウズDLL形式とされ、ユーザが以前から保有している金型設計支援システムプログラムに追加できる。 【0067】ユーザが型設計を進行中に作成された加工データは、専門メーカの末端のNC機械群を稼働させるNCテープデータ生成まで有機的に利用され、専門メーカ内のモールドベース、部品類の加工の効率的運用に寄与する。 【0068】3.本発明の金型用部品設計システムの内部構造【0069】本金型用部品設計システムに採用された加工標準制御部と形状表示部について説明する。ソフト的には、オブジェクト指向言語RubyのスクリプトとRubyインタフェイス(ウインドウズDLL形式)で構成される加工標準制御部は当社加工標準データを参照する加工標準情報制御プログラム(形状シンボル)を中核として、また、現在市販中の設計支援システムでの経験を折り込んだ、ウインドウズEXE形式の形状表示部で構成される。ハードとしてはCPU、記憶装置、キーボード・マウス等の入力装置、CRT等の表示装置を持った、いわゆるパーソナルコンピュータが使用される。 【0070】一例として、加工標準制御部について図3を参照して説明する。図3(a)は加工標準制御部と形状表示部のブロック図、同図(b)はRubyの性質の説明図である。なお、本言語の詳細説明は別途行う。 【0071】図3(a)に示すように、加工標準制御部は、オブジェクト指向言語Ruby、Rubyインターフェース、加工標準情報制御プログラム、加工標準データ、形状表示部インタフェース、から構成されている。加工標準制御部はRubyスクリプトで記述され、Rubyインターフェースを介してオブジェクト指向言語Rubyと連携しながら加工標準情報制御プログラムに従って当社加工標準データに基づく形状シンボルの内部情報(寸法、公差、材質等各種属性情報)を提供する。カタログに記載された標準部品のリストは、本加工標準制御部内に全て内蔵されている。これら部品の情報は形状シンボルの属性として個々の部品毎に設定され、形状表示部に表示をし、その表示上で必要な数値変更等をできるようになっている。 【0072】形状表示部は3D(必要に応じて2D)の表示を行う。既に当社が開発し、市販している形状表示のプログラムを殆どそのまま利用することができる。加工標準制御部内の形状表示部インターフェースを介して、形状表示部のディスプレイに加工標準制御部の表示出力を画像として表示させる。 【0073】Ruby本体、Rubyインタフェース、形状表示部インタフェースはDLL形式とされており、新しくプログラムを追加することが簡単にできる。ここで、DLL(Dynamic linking library )形式とはウインドウズ等のOSが持つ機能で、ソフトウエアのルーチンを幾つかのファイルに分けておき、必要なもののみをメモリにロードして使用することができる。特に、形状表示部インタ−フェイスは少量のプログラムの追加で、将来は市販の各種CADシステムの表示部で加工標準制御部の出力の表示が可能となる。 【0074】また、モールドベースには各種の追加加工が行われ、ユーザの希望により、日常的に、その項目の追加や範囲の拡大が行われる。ユーザに新しくサービスを開始した追加加工を周知するのに、従来のように印刷されたカタログに頼ると、追加加工の記号の新規作成、新追加加工の説明の印刷等かなりの日数と工数を必要とし、印刷物の配布ルートも問題となる。新しくサービスを開始した追加加工のソフトのみをRubyスクリプト及びDLL形式で作成し、インターネットを介して、そのソフトのみを専用Webサーバからユーザに配布すれば、従来よりはるかに短時日で配布することができる。図2の専用Webサーバの機能の「設計システム最新モジュールライセンス管理」の項目がこれに相当する。 【0075】4.形状シンボルの構造と属性の説明【0076】専門メーカが金型メーカに対するサービスは、モールド金型ならモールドベースを中心として、その付属部品を取り付けた形で、そのための加工は全て済まして納入することであり、プレス金型なら、モールドベースに対応するダイセットを中心として、その付属部品を取り付けた形で、そのための加工は全て済まして納入することである。以下、モールドベース主体で説明を行うが、モールドベースをダイセットと読み替えれば、プレス金型にも通用する。 【0077】モールドベースは、多数の長方形の鋼板を重ね、固定された数ブロックに構成し、それぞれに摺動するガイドブッシュ、ガイドポストなどを設けて、相互の平面的な座標位置の変化しないように案内するものと言える。この多数の鋼板の要所々々に、各種の型部品(例えば、エジェクタピン・ロケートリング・スペーサ等)を配置し、取付のための穴を加工する。穴加工にはキャビティ・コア取付のための穴も含まれる。 【0078】専門メーカが行う、モールドベース関連のサービスは上記の鋼板類を現す「プレート」、その他の型部品を一括して示す「パーツ」、主に鋼板に施す穴加工を総称する「穴」に分類される。形状シンボルは、モールドベースの構成要素(プレート、パーツ、穴)の寸法、公差、材質、等の各種属性情報をRubyスクリプトによって記述したものである。 【0079】各形状シンボルを形成するために、形状シンボルを構成する各種属性情報を保持するためのシンボルRubyスクリプトと、形状表示部にダイアログとして各部寸法や属性情報を表示し、必要に応じて使用者が値を設定できるようなインタ−フェースを提供するためのダイアログRubyスクリプトが使用される。 【0080】ダイアログRubyスクリプト、シンボルRubyスクリプトは図3(b)に示すように、いくつかのRubyスクリプト間の継承または参照によって構成される。既存の各スクリプトを順次積み重ねて、ダイアログRubyスクリプトとシンボルRubyスクリプトを新しく作ることができる。新標準部品を容易に作成することができる。このように、既存のプログラムを部品として利用しながら不足する機能を新たに加える形で効率的なプログラム開発環境が得られる。 【0081】形状シンボルは、「形状シンボル用属性クラス」と「基本形状クラス(プリミティブ)」からなる。形状シンボル用属性クラスは、形状シンボル各部の寸法、公差、材質などの各種属性情報を保持する仕組みで、Ruby言語のクラス構造を用いて保持される。クラス化することで、その形状シンボルに適したデータ間の振る舞い方の制御を可能としている。即ち、そのクラスの示す用途等から、あるデータの許容範囲を制限したり、ある条件下で値を固定するなどの働きを行うことができる。クラスの各データタイプは文字列で保存される。 【0082】形状シンボル用属性クラスは、その性質から大別して以下の3種類に分類される。第1はクラス名、エレメント(要素属性〈プレート、パーツ、穴〉)、でカタログの部品名に対応する。第2は、ディメンジョン(基準寸法、上限公差、下限公差)、フェース(加工記号、仕上げ精度、円筒度記号)、エッジ(稜線記号〈エッジ、面取り内外、フィレット内外〉、直角度、直角度基準長さ)、材質記号、熱処理属性であり、寸法・精度・材質・熱処理等の物理的属性を示す。第3は、原点(配置原点座標〈sx、sy、sz〉、配置角度ベクトル〈ax、ay、az〉)、レイアウト(配置パターン記号、配置基準板、配置到達板)、 スイープ(スイープフラグ〈掃引スイープ、廻転スイープ、〉、廻転角、基準線〈開始、終了〉)、ワイヤ(基準線〈開始、終了〉、直線、円弧〈中心座標、半径〉)であり、次項に述べる「基本形状クラス」(プリミティブ)に関する属性で、3次元空間内のプリミティブの、配置、座標位置等の指定、穴の配置やワイヤフレームによるプリミティブ形成のために必要な属性である。なお、ディメンジョン、フェース、エッジ等はプリミティブを記述する第3の属性としても使用されている。 【0083】分類の第1の「クラス」化することで、データとデータの振る舞い方(許容される値の監視や、ある条件下で値を定置する機能など)を制御できる。分類の第2で殆どの加工条件が定まる。特にフェースの加工記号により使用工作機械まで定まる場合もある。このように、各部品毎(各クラス別)に第2分類を当社の工程能力に基づいて決定すると、当社の加工標準に準拠したものとなる。単に寸法や精度のみでなく、標準部品の材質・熱処理まで幅広く包含される。 【0084】「基本形状クラス」は図4(a)〜(e)に示すプリミティブと呼ばれる立体と、同図(h)(i)に示すワイヤ形状のスイープにより得られる形状を基本形とする。プリミティブは直方体、円柱、円錐台、球、半球の5種の立体でこのプリミティブの1または複数個の組み合わせで基本形状を表現する。各プリミティブには図形原点oaとプリミティブの方向を示すベクトルveが定められている。 【0085】(b)に示す円柱を例に取り、シンボル形状を決定する要素を示す、同図(f)とその各属性の詳細を表として示す、同図(g)を参照して説明する。底面の円の中心が図形原点oaであり、円柱の軸線上で上向きの矢印でベクトルveが描かれている。プリミティブが円柱の場合は、その大きさは底面の円の直径d1と高さh1で記述できる。稜線はg1、g2の2本、面はf1〜f3の3面であり、計5個の属性を記述する必要がある。 【0086】円柱の基本形状クラスのクラス名は「シンボルシリンダ」として登録される。次に、3次元空間上の円柱の配置は「配置座標・角度」として、この図形原点oaの座標とベクトルveの方向を定めることで行われる。大きさは寸法1、寸法2でディメンジョンd1、ディメンジョンh1により、定義される。稜線属性はプリミティブの用途によってチャンファ(内側へのCまたは円弧)フィレット(外側へのCまたは円弧の張り出し)が選択される。面属性は各面の状態を表示する。前述のように加工の具体的な条件も主にこの面属性で記述される。 【0087】このように、5種のプリミティブの単体または組み合わせで表現できない場合は、図4(h)、(i)に示すように、ワイヤ形状のスイープにより得られる形状を使用する。スイープ方法は廻転と掃引の2種有り、初めに、2次元平面上に複数の線分または円弧で結ばれた閉じ形状を定義する。廻転スイープの場合は同一平面状に基準軸を定め、この基準軸の周りに閉じ形状を任意角度廻転して得られる立体形状を使用する。例えば、図(h)のワイヤ形状を1廻転すると、図8(a)に示すタップ穴形状が得られる。掃引スイープの場合は閉じ形状の形成された平面に垂直に閉じ形状を任意距離移動(掃引と名付ける)したときの軌跡が形成する立体形状を使用する。例えば、図(i)のワイヤ形状を所定距離掃引させると、陰線処理のため多少見にくいが、図6(b)に示す六角穴付きボルトの六角穴形状が得られる。 【0088】以上説明したように、直方体、円柱、円錐台、球、半球の5種のプリミティブの1個または複数個の組み合わせによる形状、あるいは、ワイヤ形状の廻転スイープ、ワイヤ形状の掃引スイープにより発生する形状が「基本形状クラス」の形状となる。形状シンボルを「基本形状クラス」の示す形状と「形状シンボル用属性クラス」を内包したクラスとして定義することで、モールドベースの構成要素(プレート、パーツ、穴)は当社の加工標準に準拠した各種技術情報を持つために、形状シンボルから専門メーカの見積もり、納期算定、加工のための情報生成、効率的な工程管理等に必要な情報を抜き出すことができる。 【0089】既にモールドベースに関しての照会手続きは説明したので、単体の部品の適用例を説明する。図5は、当社のモールド部品カタログからフラットエジェクタピンの中で(ツバ厚4mm全長指定タイプ)と呼ばれるパーツを抜き出したものである。このピンはキャビティ内で成形された成形品をコアから外すために、細い長方形の先端部(図(b)のA×Bで示される)で成形品の端面を突き出す目的で使用される。 【0090】図5(a)はピンの側面、(b)は正面の投影図であり、(c)は標準品のリストでA、B、d、D、L、Nの表に示された数字の組み合わせで、丸印のついた部品が標準部品として用意されている。例えば、先端部がA=1.0、B=5.0の場合、N=50なら全長Lは70.00〜125.00まで0.01mm単位で対応する。同様にN=60、70、80の場合も表中のLの範囲に従って供給可能のことを示している。 【0091】このカタログの頁の内容は形状シンボルの「形状シンボル用属性クラス」で各部の寸法、寸法公差が記述され、材質(例えばSKS21)、熱処理(例えば硬度が59HRC・・・SKS21を59HRCの硬度とする熱処理手順は当社の加工標準として把握されている)等の属性が組となって、本システムに記憶されている。実際にこのピンを表示部に表示させるには、例えば階層構造のダイアログボックスを順次呼び出してフラットエジェクタピン(ツバ厚4mm全長指定タイプ)を表示するダイアログブロックに到達することができる。このダイアログボックスから適当な(寸法)属性を持つピンを選択することは容易である。 【0092】ユーザは、このピンのダイアログボックスを呼び出さずに設計を任意に進めても良い。ピンの設計上の諸元が決定した後に本システムに照会すると、フラットエジェクタピンの検索が行われ、同一諸元の標準品がある場合は該当する標準品が選択される。同一諸元の標準品が無ければ類似の標準品の諸元を表示し、ユーザが同意すれば類似の標準品が選択される。 【0093】上記の図5に示したフラットエジェクタピン(ツバ厚4mm全長指定タイプ)は、例えば、N=50の場合、全長Lが70〜125の範囲で任意の長さが指定可能である。これは全長Lの選択可能の範囲を「当社の加工標準として70〜125の範囲の」許容範囲値として入力を可能にしている。一方、図示しないが、フラットエジェクタピン(ツバ厚4mmタイプ)の場合は、一例として、先端部がA=1.0、B=5.0の場合、全長Lは125、150、175、200の4種類の許容値があり、ユーザは、この4種の中からLを選択できる。即ち、全長Lを「当社の加工標準として4種の」許容値リストから選択して入力を可能にしている。先端部がA=1.0、B=5.0の同クラスでも、全長指定タイプの価格は高くなっている。 【0094】このように、形状シンボルに保持されている寸法など属性情報を当社加工標準に基づく許容値リストから選択または選択可能の範囲を許容範囲値として入力を可能にすることができる。 【0095】ユーザである金型設計者が任意に型部品を設計し、本システムに照会すると、その部品の属性と全く同仕様の標準部品があれば、それが標準品で有ることを示す。もし、完全に同仕様の部品が無ければ、類似の部品を検索して形状表示部に表示し、設計者が、表示された類似品を検討して使用可能で有ればそれを選択し、関連する他部品の寸法変更等を行う。使用不可なら初めの設計のままで特注品とする等の操作が可能となる。 【0096】5.形状シンボルの具体例(ボルトとボルト穴) 【0097】ユーザである金型設計者が形状シンボルを視認し、データ変更のアクセスをするために、形状表示部の表示画面にダイアログボックスが表示される。ダイアログボックスの形式は各形状シンボルにより最適な表示形式が採用される。1例として、図6〜図8を参照して、3枚の鋼板に各種の穴(ザグリ穴、通し穴、雌ねじ穴)を設け、六角穴付きボルトを螺合させて3枚の鋼板を締め付けた場合を例として、形状シンボルの実際の使われ方を具体的に説明する。各図の左は表示部の画面に表示されるダイアログボックスイメージを略図で示し、右側に形状シンボルイメージをワイヤフレームとして表示する。 【0098】図6(a)は金型に使用される鋼板の表示である。要素属性としてプレートが選択され、寸法、材質、熱処理、表面仕上げ等を定める。プリミティブは直方体であり、直方体の底面中央に図形原点oaがある。通常プレート底面はXY平面と平行でベクトveはZ軸と平行とする。ダイアログボックスの表示に従って、L・W・Tの寸法を指定する。本例では、鋼板3枚を使用するのでそれぞれに相当する入力が順次なされる。 【0099】通常、モールドベースを構成する鋼板の場合は、モールドベースの構造とその大きさが先に指定され、次に、各板の用途(モールドベースでの用途名)を指定し、材質・熱処理・表面の仕上げ等が入力される。形状シンボルにはモールドベースの板名称に従って、その標準寸法等が初期値として入力されており、ダイアログボックスには標準部品としての各種初期値が表示される。この場合は特に変更を要する数値のみを入力すればよい。 【0100】同図(b)は六角穴付きボルトを定義した場合である。要素属性はパーツであり、プリミティブとして円柱の組み合わせ、及び、六角穴として正六角形のワイヤ形状を掃引スイープした形状が使用されている。クラス名はCSMとなる。六角穴付きボルトは標準部品であるから、ねじの呼びと首下長さを指定すれば規格(カタログ)番号、材質、表面処理等が定まる。本システムの特徴として、任意に設計された首下長さは(当社の在庫)標準品と比較され、同寸の標準品が有ればそれが選択され、全く同寸のものが無ければ、首下長さの近似した標準品がリストアップされ、使用可否はユーザの判断に任される。 【0101】図7(a)は最上部の鋼板の穴の形状を定義したもので、ボルト頭部が収まるざぐり穴のついたボルト穴とされる。要素属性は穴であり、プリミティブは円柱を2個組み合わせたものとしてHZAGURIが使用される。プレートの表裏にエッジの表示である面取り〔CHAMFER EX〕がなされている。鋼板に対して原点oaの座標と配置角度ベクトルと各部寸法を定める。穴のため、図形原点oaは加工方向に従って上部に設けられている。ざぐり穴を加工する鋼板は特定されているので、ダイアログボックスでざぐり穴の内径と深さ及びボルト本体の挿通部の径を指定すると一段径の小さい穴の長さは一義的に定まる。 【0102】図7(b)は中間の鋼板の穴の形状を定義したもので、単にボルト本体の挿通する逃げ穴がストレート穴(HSTRAIGHT)としてダイアログボックスが示される。要素属性は穴であり、プリミティブは円柱を1個の上下にC面取りを行った形状となる。 【0103】図8(a)は最下段の鋼板に雌ねじ穴として、とまり穴のねじ下穴を明け、途中までねじを切った状態を示す。要素属性は穴であり、プリミティブとして、図4(h)のワイヤ形状を1回転させた廻転スイープ形状を使用する。上部のみ面取り〔CHAMFER EX〕がなされている。形状シンボル名はネジ穴(HTAP)とされる。ネジの呼び径、ネジの有効長、下穴長さの入力が必要である。下穴径は通常は、呼び径で定まるが、更に当社の加工標準に従って、ネジの有効長、鋼板の材質・硬度等を勘案して微調整される。 【0104】以上のように、各部品の属性決定は、必要なダイアログを呼出し当初の表示の各所を具体的な数値などで置き換える作業を繰り返すことにより進められる。図6(a)で各鋼板の具体的な寸法諸元(L、W、T)をダイアログ上で入力すると、その属性が記憶され、以降の3Dの表示画面では入力されたL、W、Tを持った板として表示されるようになる。また、同図(b)の六角穴付きボルトも呼び径と首下長さの入力により、その属性が記憶され、以降の3Dの表示画面では比例した比率で表示される。 【0105】また、これらの鋼板や型部品の形状シンボルに保持されている寸法など属性情報を読み取ってコンピュータの表示装置上に3次元形状として表示されている画像イメージを、ユーザがマウス、キーボード等のコンピュータの入力装置を操作することで3次元空間上で寸法、位置、配置角度等を変更した場合、その変更結果は形状シンボル内の寸法などの属性情報として更新される。即ち、属性情報はダイアログのみでなく、3Dの表示画面で変更してその結果を形状シンボルに記憶することができる。従って寸法等の属性情報は、一々、ダイアログ画面を表示しなくても3Dの表示画面上で変更することができる。 【0106】3枚の鋼板にそれぞれ必要な穴指定が済んだので、図8(b)に示すように3枚の鋼板を重ねて各穴の軸線を一致させ、ボルトを挿入する。穴とボルトを同時に表示するのでクラス名はHCSMと名付けられている。 【0107】3枚の鋼板がモールドベースの構成部品の場合は、3枚の鋼板の位置関係は一定の関係にあり、その位置関係を崩さないためにボルトで締結することになる。ボルト穴のXY座標とZ方向の位置を指定する属性であるレイアウト(配置パターン記号、配置基準板、配置到達板)の項目で、3枚の鋼板に設けられたそれぞれの穴を1度に設定することもできる。 【0108】以上、簡単な例で形状シンボル使用の具体例を説明した。3枚の鋼板の穴の記述がされ、具体的な数値が示され、型部品としての六角穴付きボルトの寸法と標準品のカタログ番号が定まったことになる。「形状シンボル用属性クラス」と「基本形状クラス(プリミティブ)」の形状に関する数項目で以上の結果が得られたが、それぞれの鋼板に関する「形状シンボル用属性クラス」の全項目を知ることにより、3枚のプレートの全ての属性が穴加工までを含んで明確になる。従って要素属性がプレートである3枚の鋼板の原品手配と穴加工を含む形状加工が可能となる。要素属性がパーツである六角穴付きボルトは標準部品として完成品手配ができる。 【0109】実際の金型設計はかなり長期間を要する作業であり、モールドベースを構成する1枚の鋼板の設計が完全に完了するのはキャビティ・コアの設計の完了時近辺となる。しかし、ガイドポスト、ガイドブッシュ等の穴座標はモールドベース選択の早い段階で決定され、次いでキャビティの配置が決まれば、ランナ関係の設計は進められる。製造される製品の形状に影響されるエジェクタピン等の穴の設計がキャビティ・コアの設計と並んで最後となる。従って、本モールド金型設計支援システムで型設計が行われ、得られたデータが適当に区切って提供されれば、設計完了分のデータによって多段階発注が可能である。 【0110】複数の形状シンボルの組み合わせとしてモールドベース等のユニット構造をデザインした場合、本システム動作中の各形状シンボルは、Rubyによって提供されるハッシュと呼ばれる記憶機構に保持される。形状シンボル情報を見積・加工情報用書式へ変換するには、必要な情報を上記の記憶機構から、選択的に引き出して使用することになる。以下、ハッシュに記憶された情報の引き出し方法をイメージとして描いた、図9を参照して説明する。 【0111】ハッシュに保持されている形状シンボルに対しては、図9の(1)に示すように全ての形状シンボルに対する連続的なアクセス、(2)に示すようなハッシュの連想配列によって特定の形状シンボルを指定したアクセスなど、自由に形状シンボル情報を取得することができる。従って、形状シンボルの属性情報にアクセスし、形状シンボルの用途(プレート・パーツ、穴)を判別して、見積・加工情報生成に必要な計算要素を取得する。計算要素としては、用途、配置原点、サイズ、材質(プレート・パーツの場合)、加工方法(穴の場合)等である。 【0112】形状シンボル用途がプレート・パーツの場合、上記の計算用途として取得した情報を基に、シンボル名称をキーとする仮品名として、当社表示法に沿った仮品名を生成する。この仮品名を基に、見積書式に則った、見積もり情報を生成することができる。 【0113】形状シンボル用途が穴の場合、加工対象となる板情報を取得する。これは形状シンボル配置時点で属性情報に保持されている。次に、板毎に当社表示方法に沿った加工情報用書式とされた加工情報を生成する。上記の見積情報、加工情報により、前記の専門メーカLANによって有機的に連結された各部門でそのまま使用することができる。 【0114】6.一般CADシステムと金型用部品設計方法との関連【0115】Ruby本体、Rubyインタフェース、形状表示部インタフェースはDLL形式とされており、新しくプログラムを追加し、既存のプログラムと共同して利用することが簡単にできることは既に述べた。当社の加工標準に基づいて制御される形状シンボル情報を利用する手続きを、例えば、Windows(登録商標)等の市販のパーソナルコンピュータ用OSのDLLのインタフェースとして公開すると、市販のCADシステムを使用しながら、随時、形状シンボルの属性情報を利用することができる。将来的には、市販のCADシステムの表示部のディスプレーにダイアログボックス等を表示し、本金型用部品設計システムの形状シンボルの属性情報を即利用することができる。こうなれば、ユーザの金型設計者は自社のCADシステムを使用しながら、別の表示部を見る必要が無く、当社の加工標準に準拠した標準部品を参照し、採用することができる。 【0116】このように、Rubyシステムの形状シンボルに、初期値として当社の加工標準を記載することで、当社の印刷されたカタログを参照するのと同様な効果を収めることができる。設計者は自社のCADシステムを使用しながら、当社加工標準の属性情報を入手できるので、カタログの頁を繰るような煩わしさから解放される。そして、特に致命的な問題が無ければ、当社の加工標準に従ったプレート、パーツ、穴加工を選択するようになる。 【0117】 【発明の効果】以上、説明したように本発明で使用される形状シンボルは、その属性として各種の技術情報を内包するので、ある特定型部品を指定すれば、その部品に属する各形状シンボルの全てを呼び出して、その属性情報から詳細な技術情報を得ることができる。従って、現カタログの発注様式では品名記号が使用されているが、この独特の文字列で表され、追加加工指示まで文字の羅列とされた品名記号は、全て形状シンボルの属性で表現でき、品名記号に依存しない加工指示が実現する。即ち、ユーザの金型設計者は、当社向け発注専用の品名記号を意識することなく、当社が提供する加工標準の範囲で自由度の高い仕様指示が可能となる利点を持つ。更に、カタログでは品名記号が明記されていない加工仕様についても、形状シンボルを使えば、ネットワークを通じて当社の発注情報の形式として受注することが可能となり、カタログに記載されない加工も受注できる効果もある。 【0118】また、形状シンボルが当社の加工標準に基づく初期値を持ち、表示装置上の3次元表示された画像イメージを、ユーザがコンピュータの入力装置を操作することで3次元空間上で寸法その他を変更すると、変更結果に従って、形状シンボル内の該当する属性情報が更新される。即ち、ユーザは必要個所のみを設計の進行に従って訂正すればよい。このような、加工標準に基づく初期値を持ち、必要に応じて値の変更が可能なユーザインターフェイスを提供することによって、入力工数の低減と自由度を併せ持った加工仕様指示が可能となる。設計工数の減少と数値決定の煩わしさからの解放は設計者が本システムを利用した満足感を大きくする。 【0119】これら形状シンボルを発注情報の主体とすることにより、当社の加工標準に基づく加工指示が得られるため、当社の生産設備能力を効率よく発揮できる生産体制が維持できる。見積作業、NCテープ等の加工情報作成も人手を必要としない完全自動化の実現に大きく貢献する。また、正確な加工情報の入手が可能となるため、全工場を横断的に管理する統合生産管理システムが充分に機能する。その結果、ユーザに対して、精度の高い工場負荷・生産進捗情報に基づく信頼性のある納期表示ができる。 【0120】見積作業、加工情報作成の自動化、統合生産管理システムの機能向上が実現すると、1件当たりの所要工数が減少し、設計工程を経時的に分割した複数回受注にも充分に対応可能となる。即ち、形状シンボルの使用により、顧客の多段階発注に対応した金型の協業生産体制が実現可能となる。モールドベース、型部品の納期の短縮効果が大きい。 【0121】また、新たな加工サービスの立ち上げの迅速化が可能である。ペーパカタログを発行しなくても、インターネット等を通じて、受注体制の整った最新の加工サービスメニューを迅速に配布でき、訂正・改良による再配布も容易である。ユーザは新しい加工を即座に採用できる利点がある。専門メーカ側も、従来のペーパカタログ発行に要する手間よりはるかに少ない労力で対応することができると言う省力化効果もある。 【0122】更に、市販CADシステムに対する当社加工標準情報利用のためのインタフェース公開によって、市販のCADシステムの表示部に当社加工標準情報を表示できる。金型メーカの設計者は製品設計からモールドベース設計まで使い慣れたCAD基材を使って作業ができ、一貫した操作環境が利用可能となる。従って当社加工標準情報の利用が抵抗感なく行われ、市販の各種CADシステムからの情報が、当社に都合のよい形状シンボルに基づく受注情報として得られる割合が増加する。 【0123】逆に言えば、市販のCADシステムから直接出力されたCAD独自の形式によるCAD図面やCADデータで受注すると、当社では、図面の判読や、手入力で見積・加工情報作成を行う手間の掛かる作業が必要となるが、形状シンボル使用が増加して市販CAD情報を使った発注の割合が減少すれば、当社の市販CAD対応要員の削減が可能となり、コスト削減効果も大きい。更に、市販CAD上で、形状シンボルの初期値使用が増加すれば、標準品の比率増加が望めると言う利点も発生する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000201814 【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社 【住所又は居所】千葉県茂原市大芝629
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| 【出願日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086841 【弁理士】 【氏名又は名称】脇 篤夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−181842(P2003−181842A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月2日(2003.7.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−381577(P2001−381577) |
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