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【発明の名称】 熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 博一
【住所又は居所】広島県広島市西区三條町2丁目2番8号 西川ゴム工業株式会社内

【氏名】友安 伸吾
【住所又は居所】広島県広島市西区三條町2丁目2番8号 西川ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】表面層の凹凸が小さく、均一で微細な気泡径を有し、吸水率が小さく、且つリサイクル可能な熱可塑性エラストマーを特別な昇圧装置なしで製造する技術を提供する。

【解決手段】押出機内で熱可塑性エラストマーに不活性ガス又は水又は化学発泡剤を混入させ、ダイス手前の圧力を10MPa以上に保持して押出し発泡させることによって表面の凹凸が100μm以下の熱可塑性エラストマー発泡体を製造することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 押出機内で熱可塑性エラストマーに不活性ガス又は水又は化学発泡剤を混入させ、ダイス手前の圧力を10MPa以上に保持して押出し発泡させることによって表面の凹凸が100μm以下の熱可塑性エラストマー発泡体を製造することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【請求項2】 不活性ガスが臨界圧力以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【請求項3】 吸水率が30重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【請求項4】 熱可塑性エラストマー発泡体がシール材又は緩衝材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シール材や緩衝材として使用される熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴムは、自動車用ウエザーストリップ、住宅外壁用目地材等のシール材や緩衝材として多用されている。しかしながら、ゴムは、加硫工程で架橋される為、容易にリサイクルできないという問題点がある。そこで、リサイクルが可能な熱可塑性エラストマーがゴムの代替として注目を集め、一部の分野で代替が進んでいる。また、ソフト感やシール機能の向上、軽量化等の目的で熱可塑性エラストマーを発泡させることが行われている。しかしながら、従来の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法には、次のような問題点がある。
【0003】1.有機又は無機の化学発泡剤を添加する方法・発泡剤の分解残渣による汚染がある。
・100μm以下の微細な発泡体が得られない。
・連続気泡構造になり、吸水率が大きい。
【0004】2.フロン、ブタン等の低沸点溶剤を用いる方法2−1.フロン:・高価である。
・オゾン層破壊の問題があり、代替フロンを含めて全廃される見込みである。
2−2.ブタン等の炭化水素:・設備に防爆構造が必要である。
【0005】3.水を発泡剤として用いる方法・100μm以下の微細な発泡体が得られない。
・連続気泡構造となり、吸水率が大きい。
【0006】4.超臨界状態のCO2或いはN2を用いる方法・臨界圧力がCO2で7.38MPa、N2で3.40MPaと高圧であり、CO2の場合は、特別な昇圧装置が必要になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の技術の欠点を克服し、表面層の凹凸が小さく、均一で微細な気泡径を有し、吸水率が小さく、且つリサイクル可能な熱可塑性エラストマーを特別な昇圧装置なしで製造する技術を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討の結果、下記の構成を採ることにより、上記従来の技術の欠点を克服するに至った。即ち本発明は、以下の通りである。
(1)押出機内で熱可塑性エラストマーに不活性ガス又は水又は化学発泡剤を混入させ、ダイス手前の圧力を10MPa以上に保持して押出し発泡させることによって表面の凹凸が100μm以下の熱可塑性エラストマー発泡体を製造することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【0009】(2)不活性ガスが臨界圧力以下であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
(3)吸水率が30重量%以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
(4)熱可塑性エラストマー発泡体がシール材又は緩衝材であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに、本発明に係わる熱可塑性エラストマー発泡体の製造方法の好適な実施の形態について説明する。
【0011】本発明で使用し得る熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマーが好ましく、ポリプロピレンに動的架橋したエチレン系エラストマーを均一に分散させたオレフィン系エラストマーがより好ましい。
【0012】本発明で使用し得る不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素及びこれらの混合ガスを挙げることができる。
【0013】本発明で使用し得る化学発泡剤としては、例えば、有機系発泡剤としてアゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジン誘導体等を挙げることができ、無機系発泡剤として炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩等を挙げることができる。
【0014】図1は本発明で使用される押出機1の先端部と該押出機1の先端部に取り付けたダイス2の断面図であり、図2は本発明で使用される可変ダイス21の模式図である。
【0015】本発明に於いては、押出機1内で熱可塑性エラストマーに不活性ガス、水又は化学発泡剤を混入させて矢印方向に押出し、ダイス手前3の圧力を10MPa以上に保持して押出し発泡させることにより、表面の凹凸が100μm以下の熱可塑性エラストマー発泡体を製造する。
【0016】押出機1内で不活性ガスを熱可塑性エラストマーに混入させる方法としては、例えば、液化して定量ポンプで混入させる方法、気体状態で昇圧後ニードルバルブ等を用い定量的に混入させる方法等を挙げることができる。不活性ガスの使用量は、熱可塑性エラストマーに対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.2〜5重量%とすることがより好ましい。
【0017】押出機1内で水を熱可塑性エラストマーに混入させる方法としては、例えば、定量ポンプで混入させる方法を挙げることができる。水の使用量は、熱可塑性エラストマーに対して0.1〜5重量%とすることが好ましく、0.2〜2重量%とすることがより好ましい。
【0018】押出機1内で化学発泡剤を熱可塑性エラストマーに混入させるには、化学発泡剤を熱可塑性樹脂中に練り込んでマスターバッチとして熱可塑性エラストマーと混合して供給することが好ましい。化学発泡剤の使用量は、熱可塑性エラストマーに対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.5〜6重量%とすることがより好ましい。
【0019】ダイス手前3の圧力を10MPa以上に保持するには、例えば、ダイス2として吐出開口部の面積を連続的に変更することによってダイス手前3の圧力を連続的に変化させることができる可変ダイス21を使用することもできる。
【0020】本発明に於いて使用し得る可変ダイス21としては、例えば、次のようなものがある。
【0021】A.吐出口が1箇所で、この開口部面積を変化させることによってダイス手前3の圧力を変化させるもの・平板を移動し、吐出開口部面積を変化させることによってダイス手前3の圧力を変化させ得るもの・図2に示すように、側面が一部カットされた円柱211の角度を変え、吐出開口部面積を変化させることによってダイス手前3の圧力を変化させ得るもの【0022】B.吐出口が2箇所で、一方の開口部面積を変化させることによってダイス手前3の圧力を変化させ得るもの【0023】本発明に於いては、図2に示す、側面が一部カットされた円柱211の角度を変え、吐出開口部面積を変化させることによってダイス手前3の圧力を変化させ得る可変ダイス21を用いた。
【0024】ダイス手前3の圧力は、10MPa以上に保持する必要があり、11MPa以上に保持することがより好ましい。尚、ダイス手前3の圧力は、圧力計4によって測定することができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0026】実施例1〜9、比較例1〜7表1に記載した条件で、図2に示す可変ダイス21及びギヤポンプを取り付けた二軸押出機(φ30、L/D=42)内でオレフィン系熱可塑性エラストマー(Advanced Elastomer Systems(AES)社製、商品名:Santoprene 121-68W228)に昇圧した不活性ガス(CO2、N2)をニードルバルブを用いて定量的に混入させ、押出し発泡させた。その結果を表1に示す。尚、表面の外観は、押出し断面を顕微鏡で観察し、表面ベースラインに対する凹凸の高さで評価した。評価基準は、次の通りである。
○:50μm以下、×:100μmより大また吸水率は、水面下5cmに浸漬して、1.67Pa(125mmHg)で3分間吸引後、常圧に戻し、水中で3分間保持したのち、取り出し、重量増加率から求めた。
【0027】
【表1】

【0028】表1から、本発明により、表面の凹凸が100μm以下のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を製造し得ることが明らかである。然も、得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体は、吸水率及び平均気泡径が小さく、自動車用ウエザーストリップ、住宅外壁用目地材等として好適に使用することができる。
【0029】実施例10〜12、比較例8〜9表2に記載した条件で、図2に示す可変ダイス21及びギヤポンプを取り付けた二軸押出機(φ30、L/D=42)内でオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:Santoprene 121-68W228)に定量ポンプを通して水を混入させ、押出し発泡させた。その結果を表2に示す。尚、表面の外観と吸水率は、実施例1と同様に評価した。
【0030】
【表2】

【0031】表2から、本発明により、表面の凹凸が100μm以下のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を製造し得ることが明らかである。然も、得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体は、吸水率及び平均気泡径が小さく、自動車用ウエザーストリップ、住宅外壁用目地材等として好適に使用することができる。
【0032】実施例13〜16、比較例10〜12表3に記載した条件で、図2に示す可変ダイス21及びギヤポンプを取り付けた二軸押出機(φ30、L/D=42)に、アゾジカルボンアミドを化学発泡剤の主成分とするマスターバッチ(商品名:ポリスレン EE206、永和化成工業社製)を所定量添加したオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:Santoprene121-68W228)を供給し、設定温度200℃で化学発泡剤を分解させ、押出し発泡させた。その結果を表3に示す。尚、表面の外観と吸水率は、実施例1と同様に評価した。
【0033】
【表3】

【0034】表3から、本発明により、表面の凹凸が100μm以下のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を製造し得ることが明らかである。然も、得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体は、吸水率及び平均気泡径が小さく、自動車用ウエザーストリップ、住宅外壁用目地材等として好適に使用することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明により、表面の凹凸が100μm以下の熱可塑性エラストマー発泡体を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
【住所又は居所】広島県広島市西区三篠町2丁目2番8号
【出願日】 平成13年10月29日(2001.10.29)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平 (外4名)
【公開番号】 特開2003−127201(P2003−127201A)
【公開日】 平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願番号】 特願2001−330875(P2001−330875)