| 【発明の名称】 |
ビトリファイド砥石 |
| 【発明者】 |
【氏名】春日 智行 【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内
【氏名】相馬 伸司 【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内
【氏名】向井 良平 【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工機株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】適正な砥粒間隔を得るようにするとともに、研削作用表面における砥粒の早期脱落を防止できるビトリファイド砥石を提供する。
【解決手段】CBN粒またはダイヤモンド粒等の超砥粒からなる砥粒1と、該砥粒1を結合及び保持するビトリファイドボンドからなる結合剤3とからなるビトリファイド砥石において、結合剤3中に、この結合剤3を形成するビトリファイドボンドとの親和性の良いアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3)とで組成される複合酸化物粒子からなる骨材2を充填し、これにより所定の砥粒間隔が確保されかつ砥粒間結合力が強化されて砥粒の早期脱落が防止されたビトリファイド砥石が形成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒からなる超砥粒を骨材が混入されたビトリファイドボンド結合剤により結合及び保持してなるビトリファイド砥石において、前記結合剤の中に前記骨材として、アルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子からなる骨材が含有されていることを特徴とするビトリファイド砥石。 【請求項2】 請求項1記載のビトリファイド砥石において、前記骨材としてのアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子の組成は、アルミナ(Al2 O3 )が50〜90容量%の範囲内で、酸化クロム(Cr2O3 )が50〜10容量%の範囲内であることを特徴とするビトリファイド砥石。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒等の超砥粒をビトリファイドボンド結合剤を用いて保持または結合するビトリファイド砥石に関するもので、特に、前記結合剤中に、ビトリファイドボンドと親和性の良い骨材を混ぜ合わせ、これによって超砥粒の結合性を高めるようにしたビトリファイド砥石に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒等の超砥粒を用いた研削砥石を使用して、細物ワーク等の曲がり易いものを研削するに際しては、研削抵抗を小さくくする必要がある。このような曲がり易いワークの研削に使用する研削砥石としては、通常、砥粒間隔を大きくしたものを使用している。具体的には、図1に示す如く、超砥粒1を大きな砥粒間隔で均等に分散させるために、結合剤3(ビトリファイドボンド)中にアルミナ(Al2 O3 )粒からなる骨材2を混入し、このように骨材2を混入した結合剤3(ビトリファイドボンド)のブリッジを介して超砥粒1を大きな砥粒間隔を有した状態で保持するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の砥石のように、アルミナ(Al2 O3 )粒子2を骨材として上記ビトリファイドボンドの結合剤3中に混入させるようにしたものにおいては、アルミナとビトリファイドボンド結合剤との親和性が良くないため、研削作業中において、砥石表面から露出するアルミナ粒子からなる骨材2は、図2で破線にて示す如く、研削抵抗の作用を受けてビトリファイドボンド結合剤3との結合から解離し、比較的簡単に脱落してしまう。その結果、ビトリファイドボンド結合剤3は、上記骨材2の脱落によって、砥石表面で隣接する砥粒1間同士の結合を低下させて超砥粒1の保持力を低下させてしまうことになり、図2において破線で示す如き超砥粒1の早期脱落、延いては砥石寿命の短縮を招くと言う問題が生ずる。従って、本発明の目的は、ビトリファイドボンド結合剤中に混入された骨材が研削作業中においてもビトリファイドボンドからなる結合剤と強固に結合した状態で保持されるようにしたビトリファイド砥石を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決し本発明の目的を達成するために、請求項1記載の発明においては、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒からなる超砥粒を骨材が混入されたビトリファイドボンド結合剤にて結合及び保持してなるビトリファイド砥石において、前記結合剤の中に前記骨材として、アルミナ(Al2 O3)と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子からなる骨材を含有するようにしたことを特徴とする。 【0005】このような構成を採ることにより、本発明によるビトリファイド砥石は、次のような作用を奏する。すなわち、骨材として用いられるアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子は、結合剤を形成するビトリファイドボンドとの親和性が良く、砥石の焼成後ではビトリファイドボンド結合剤と融着した状態で存在する。その結果、骨材にアルミナ(Al2 O3 )粒子をい用いた従来のビトリファイド砥石に比べて、結合剤の結合力及び保持力が強固に保たれて砥石の研削作用表面における骨材の早期脱落が防止され、砥粒(超砥粒)の早期脱落が防止されることとなる。 【0006】また、請求項2記載の発明においては、骨材としてのアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )との複合酸化物粒子の組成を、アルミナ(Al2 O3 )が50〜90容量%の範囲内で、酸化クロム(Cr2 O3 )が50〜10容量%の範囲内としたことを特徴とする。このような組成割合のアルミナ(Al2O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子を用いることにより、結合剤の結合力及び砥粒(超砥粒)の保持力を向上させることができ、砥粒(超砥粒)の早期脱落を防止できる。 【0007】上記した請求項1又は2に記載の構成を採ることにより、本発明によれば、結合剤の結合力の強化が図られ、砥粒保持力の強いビトリファイド砥石が形成されることとなり、このような砥石を用いて研削加工を行うときは、効率の良い、つまり高能率で低ツールコストの研削作業が進められることとなる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。本発明の実施の形態に関わるビトリファイド砥石の幾何学的形状は、従来のように、金属製又は繊維強化複合材料製の円盤状基板の外周に複数の砥石セグメントを接着して環状の砥粒層を形成した例えば円筒或いは平面研削盤等で使用するセグメント形のものである。勿論、砥石の他の幾何学的形状としては、通常砥石のように、円盤状或いは環状の砥粒層を直接成形して焼成する1ピース形の形態のものでもよい。上記したセグメント形砥石(或いは1ピース形砥石)における砥粒層の構成は、図1に示す如く、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒等の超砥粒からなる砥粒1と、隣接する砥粒1同士をブリッジ結合して保持するビトリファイドボンドからなる結合剤3と、この結合剤3中に混入して充填されかつビトリファイドボンド結合剤との親和性の良い性状を有する骨材2と、隣接する砥粒1を結合する結合剤3のブリッジ間に形成される気孔4とからなる。 【0009】本実施の形態において結合剤3中に混入して存在する骨材2としては、結合剤と親和性の良い複合酸化物粒子であり、この複合酸化物粒子の代表例としてアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子が採用される。そして、本実施の形態における超砥粒砥石の製造に際しては、前述した砥粒(超砥粒)1と、結合剤3を形成するビトリファイドボンドと、このビトリファイドボンドとの親和性に優れた性状を有するアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子からなる骨材2とを混合し、この混合物を複数のセグメント砥石型(或いは、1ピース形砥石の場合は、円盤或いは環状空間を呈する成形型)に型込め加圧成形した状態で所定の温度にて焼成する。焼成・冷却後、複数の砥石セグメントを公知の基板外周に適宜接着剤にて接着する。これにより、基板外周に接着された複数の砥石セグメントからなる環状の砥粒層において図1に示すような所定の砥粒間隔及び気孔4を有するビトリファイド砥石が形成される。なお、超砥粒1、ビトリファイドボンド結合剤3及び骨材2の配合割合、型込めにおける成形加圧力、焼成温度及び焼成時間は、従来の一般的超砥粒の製造におけるものと実質的に同一である。 【0010】次に、このようにして製造される本実施の形態のビトリファイド砥石の研削作業における作用について説明する。骨材2として用いられるアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子は、結合剤3を形成するビトリファイドボンドとの親和性が良いため、焼成後においてはビトリファイドボンドと良く融着した状態で結合剤3中に存在するようになる。その結果、骨材2にアルミナ(Al2 O3 )粒子を用いた従来のビトリファイド砥石と比べて、複合酸化物粒子からなる骨材2はビトリファイドボンド3と強固に一体化して同ボンド3中に保持され、研削抵抗の作用下においてもボンド3と解離しにくくなり、図2において破線で示す従来のビトリファイド砥石の研削表面における骨材2のように早期に脱落されることから防止される。その結果、超砥粒1間の間隔及び砥粒1同士の結合力が強固に保たれ、砥粒1の早期脱落が防止されることとなる。 【0011】また、骨材2として用いられる複合酸化物粒子を構成するアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )との組成比を種々変えた複合酸化物粒子を複数種用意し、ビトリファイドCBN砥石セグメントを製作し、強度試験を行った。この強度試験の結果、アルミナ(Al2 O3 )粒子を用いた従来のものに比べて、容量比で50〜90%の範囲のアルミナ(Al2 O3 )と同じく容量比で50〜10%の範囲の酸化クロム(Cr2 O3 )との組成割合とした複合酸化物粒子を使用した場合に、ビトリファイドCBN砥石の強度が高い値を示した。従って、アルミナ(Al2 O3 )50〜90容量%と酸化クロム(Cr2 O3 )50〜10容量%を組成とする複合酸化物粒子は、ビトリファイドボンドとの親和性良く、この組成割合の複合酸化物粒子を骨材2としてビトリファイドボンドに混入した砥石では、砥粒1(超砥粒)は強固に保持されることとなり、砥粒1(超砥粒)の早期脱落等が防止されることが判った。 【0012】 【実施例】骨材2として、アルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子を用い、下記配合の砥石原料の混合物を複数の砥石セグメントにプレス成形した後に焼成し、厚さ3mmの砥粒層を持つ外径φ350mmのビトリファイドCBN砥石を製造した。 【0013】〈実施例の砥石原料とその配合(固体原料の合計容積部を100とする)〉CBN砥粒(#120/140) 56.8容積部アルミナ、酸化クロム複合酸化物 19容積部ビトリファイド結合剤 24.2容積部【0014】 【比較例】実施例と同様にして、アルミナ(Al2 O3 )を骨材2とする下記配合の砥石原料のビトリファイドCBN砥石を製造した。 〈比較例の砥石原料とその配合〉CBN砥粒(#120/140) 56.8容積部アルミナ 19容積部ビトリファイド結合剤 24.2容積部【0015】実施例及び比較例のそれぞれの砥石にて円筒プランジ研削を行い、研削時の消費動力、研削比、加工物の表面粗さについて調査した。その結果として、表1に研削時の消費動力及び研削比を示し、図3に加工物の研削量と表面粗さの変化を示す。表1の研削時の消費動力、研削比の結果は、比較例を100とした場合の相対的な値である。 【0016】 【表1】研削試験結果 【0017】なお、上記円筒プランジ研削試験における研削条件及びツルーイング条件は下記の通りであった。 〈研削条件〉使用機械:円筒研削盤研削方式:円筒プランジ研削方式砥石周速度:50m/s加工物:クロム鋼 浸炭焼入れ(φ53mm 幅4mm) 研削液:水溶性研削油剤〈ツルーイング条件〉ツルア:ダイヤモンドロータリードレッサ切込量:φ4μm【0018】表1に示すように、実施例の砥石は比較例の砥石に比べて、消費動力は同等にもかかわらず、研削比は1.6倍と高く、1回の砥石ツルーイングによる金属除去能力が向上した。また、図3に示すように、実施例の砥石は、比較例の砥石が加工済み製品としての実用限界表面粗さ3μmRzに到達する研削量を超える大きな研削量の領域においても前記実用限界表面粗さ以下の表面粗さを維持して加工物の研削を続行できた。なお、研削比が高いということは、砥石の寿命が長いということを意味している。つまり、本実施例の砥石は、従来品と同等の消費動力において、砥石寿命が長く加工物の表面粗さの保持性が良いということが判った。 【0019】 【発明の効果】本発明によれば、立方晶窒化ホウ素(CBN)粒またはダイヤモンド粒からなる超砥粒と、該超砥粒を結合及び保持するビトリファイドボンドからなる結合剤とからなるビトリファイド砥石において、結合剤の中に混入される骨材として結合剤と親和性のあるアルミナ(Al2 O3 )と酸化クロム(Cr2 O3 )の複合酸化物粒子を用いることで、砥粒の早期脱落等を防止することができる。従って、ドレスインターバル間の研削量が増加して砥石寿命が延長され、ツールコストが低減されると云った効果が奏せられる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003470 【氏名又は名称】豊田工機株式会社 【住所又は居所】愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地
|
| 【出願日】 |
平成13年8月30日(2001.8.30) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−71723(P2003−71723A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月12日(2003.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−261657(P2001−261657) |
|