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【発明の名称】 投射材及びブラスト処理方法
【発明者】 【氏名】西村 寛仁
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区柏尾町1 株式会社ブリヂストン横浜工場内

【氏名】梶 哲也
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区柏尾町1 株式会社ブリヂストン横浜工場内

【氏名】浦中 昌己
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区柏尾町1 株式会社ブリヂストン横浜工場内

【氏名】関根 聡
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区柏尾町1 株式会社ブリヂストン横浜工場内

【要約】 【課題】硬度及び比重を広汎に制御でき、軽度から重度のワークを可能にし、且つ成形性に有利でリサイクル可能なブラスト処理用投射材及びブラスト処理方法を提供する。

【解決手段】熱可塑性樹脂をバインダーとして、金属系粒子を20〜95質量%充填してなることを特徴とするブラスト処理用投射材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂をバインダーとして、金属系粒子を20〜95質量%充填してなることを特徴とするブラスト処理用投射材。
【請求項2】 前記熱可塑性樹脂が、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリオレフィン(TPO)系樹脂、ポリウレタン(TPU)系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びゴム系樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする請求項1に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項3】 前記金属系粒子が、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン、SUS、亜鉛、銅、アルミナ、マグネシウム、ジルコニアの中から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項4】 前記金属系粒子が、カップリング剤で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1又は3に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項5】 前記金属系粒子の平均粒径が、0.1〜500μmであることを特徴とする請求項1又は3に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項6】 前記金属系粒子が、磁力を帯びている金属系粒子であることを特徴とする請求項1又は3に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項7】 比重が、2.0〜14.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
【請求項8】 硬度が、モース硬度で3.0以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
【請求項9】 平均粒径が、10μm〜10mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
【請求項10】 粉砕された投射材の平均粒径が、20〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
【請求項11】 粉砕された投射材の形状が、鋭利な多角形であることを特徴とする請求項10に記載のブラスト処理用投射材。
【請求項12】 粉砕された請求項1に記載の投射材を、更に、第2の熱可塑性樹脂からなるバインダーに充填したことを特徴とするブラスト処理用投射材。
【請求項13】 高圧水流、圧縮空気あるいは遠心ローターを使用して、請求項1〜12のいずれかに記載のブラスト処理用投射材を対象物体の表面に高速で投射することを特徴とするブラスト処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材表面をブラスト処理(Abrasive Blasting)する際に用いる投射材及びそれを用いたブラスト処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のウレタンバンパー等の樹脂製品を再利用する場合や、樹脂成形用金型等の表面をクリーニングする場合等には、表面の塗装や付着樹脂を剥離あるいは除去させる必要があり、この剥離や除去のためにブラスト処理が行なわれている。この様なブラスト処理に用いられる投射材としては、従来から、硬質粒子を含む合成樹脂の造粒物、合成樹脂含浸紙の破砕物、ガラスビーズ、コーンの粉、くるみの粉等が使用されてきた。
【0003】従来、金属性塗装ハンガーや塗装治具の様に塗料が厚く付着している対象物をブラスト処理で洗浄する場合、鉄や銅或いは亜鉛の投射材が使用されていたが、この様な金属系投射材で金属の対象物に投射すると、ハンガーや治具の変形や破損が生じる場合があった。また、対象物の表面を該金属系投射材が削り取るために、錆びを発生させ、塗装作業時の品質に問題を与えていた。
【0004】また、特開平5−117635号公報には、珪砂、ガーネット、溶融アルミナ、炭化珪素等の硬質物質をフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ゴムなどの結合剤により複合した投射材が記載されている。上記公報では、この硬質物質の配合量は20〜40体積%であり、SS41鋼材のブラスト処理を行っている。
【0005】更に、特開平2001−277128号公報には、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、ガラス繊維、ガラスバルーン、金属、酸化鉄及び酸化鉄含有化合物等の無機充填材を、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂及びグアナミン樹脂等の熱硬化性樹脂に配合した複合樹脂製の投射材が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のガラスビーズを使用した樹脂製品のブラスト処理においては、樹脂製品表面の摩耗ないしは損傷が激しい、またガラスビーズの破砕率が高く再利用し難いためガラスビーズの使用量が多い等の問題がある。また、コーンの粉やくるみの粉を使用したブラスト処理においては、処理に長時間を要する、塗料などの付着物質の落ちが良くない、また作業環境が悪く粉塵対策を要するという問題がある。また、上記の特開平5−117635号の投射材は、専ら鋼材のブラスト処理用のものであり、被処理材の表面の研削力が強過ぎ、樹脂製品の表面の摩耗ないし損傷が激しすぎる。
【0007】更に、上記の特開平2001−277128号の投射材は、その比重が最高でも1.7程度、ロックウェル硬度も最高で130程度であり、仮に金属系粒子を配合したとしても、上記の熱硬化性樹脂系では充填量が20質量%を超えることは難しいので、高比重を有するブラスト処理用投射材を得ることは困難である。また、この投射材は熱硬化性樹脂で成形されているので、ブラスト処理後に回収した使用済み投射材及びその破砕物を再利用(リサイクル)することが難しく、省資源及び環境対策上にも問題がある。
【0008】本発明は、上記の様な問題点を解決することを課題とするものであり、比較的柔軟で低硬度の樹脂製品に対しては、表面にダメージを与えることなく塗料や異物汚れ等の付着物を剥離し除去することができ、且つ剛体で高硬度の被処理物体に対しては効率良く完全に剥離除去することができ、しかもリサイクルが可能な投射材、及びこれを用いたブラスト処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のブラスト処理用投射材及びこれを用いるブラスト処理方法は、次の通りである。
<1> 熱可塑性樹脂をバインダーとして、金属系粒子を20〜95質量%充填してなることを特徴とするブラスト処理用投射材。
<2> 前記熱可塑性樹脂が、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリオレフィン(TPO)系樹脂、ポリウレタン(TPU)系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びゴム系樹脂の中から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする上記<1>に記載のブラスト処理用投射材。
<3> 前記金属系粒子が、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン、SUS、亜鉛、銅、アルミナ、マグネシウム、ジルコニアの中から選ばれる1種又は2種以上よりなることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のブラスト処理用投射材。
<4> 前記金属系粒子が、カップリング剤で表面処理されたものであることを特徴とする上記<1>又は<3>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<5> 前記金属系粒子の平均粒径が、0.1〜500μmであることを特徴とする上記<1>又は<3>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<6> 前記金属系粒子が、磁力を帯びている金属系粒子であることを特徴とする上記<1>又は<3>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<7> 比重が、2.0〜14.0であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<8> 硬度が、モース硬度で3.0以上であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<9> 平均粒径が、10μm〜10mmであることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<10> 粉砕された投射材の平均粒径が、20〜2000μmであることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材。
<11> 粉砕された投射材の形状が、鋭利な多角形であることを特徴とする上記<10>に記載のブラスト処理用投射材。
<12> 粉砕された上記<1>に記載の投射材を、更に、第2の熱可塑性樹脂からなるバインダーに充填したことを特徴とするブラスト処理用投射材。
<13> 高圧水流、圧縮空気あるいは遠心ローターを使用して、上記<1>〜<12>のいずれかに記載のブラスト処理用投射材を対象物体の表面に高速で投射することを特徴とするブラスト処理方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のブラスト処理用投射材は、樹脂製品から高硬度の剛性物体の表面をブラスト処理するための投射材であって、熱可塑性樹脂をバインダーとして、金属径粒子を20〜95質量%充填してなることを特徴とする。
【0011】(熱可塑性樹脂)上記の熱可塑性樹脂としては、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミドイミド(PAE)系樹脂、ポリオレフィン(TPO)系樹脂、ポリウレタン(TPU)系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びゴム系樹脂の中から選ばれる1種単独又は2種以上の併用が好適である。
【0012】本発明で使用される上記ナイロン系樹脂としては、ポリアミド系の熱可塑性樹脂であり、具体的にはナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン6系共重合樹脂、ナイロン12樹脂、及びこれらの変性樹脂並びに誘導体樹脂が挙げられる。該ナイロン系樹脂のMFI(メルトフローインデックス)としては、ASTMD1238G規格(235℃、2160g荷重の条件)で、1.5〜10のものが好ましい。該ナイロン系樹脂をバインダーとする投射材は、特に強靭で耐磨耗性や耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0013】本発明で使用される上記ポリカーボネート系樹脂としては、一般式(−O−R−O−CO−)nで表される熱可塑性樹脂であり、この中でもRが芳香族環、特にRがビスフェノールAである芳香族ポリカーボネートが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(280℃、2160g荷重の条件)で、2.0〜16のものが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂をバインダーとする投射材は、特に高剛性で耐熱性及び耐衝撃性に優れる。
【0014】本発明で使用される上記ABS系樹脂としては、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体系の熱可塑性樹脂であり、種々の市販のABS系樹脂から選択できる。該ABS系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(220℃、10Kg荷重の条件)で、3.0〜33のものが好ましい。該ポリカーボネート系樹脂をバインダーとする投射材は、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また耐熱性及び耐衝撃性も有する。
【0015】本発明で使用される上記ポリプロピレン(PP)系樹脂としては、結晶性の立体規則性PP重合体であり、種々の市販ABS系樹脂から選択して使用できる。該PP系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(230℃、2160g荷重の条件)で、0.4〜40のものが好ましい。該PP系樹脂をバインダーとする投射材も、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また耐薬品性があり高強度で耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0016】本発明で使用される上記ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂としては、種々の市販のPET系樹脂から選択して使用できる。該PET系樹脂をバインダーとする投射材は、成形加工性にやや難点があるが、極めて強靭で耐水性が有り耐熱性及び耐衝撃性にも優れる。
【0017】本発明で使用される上記ポリアミドイミド系樹脂としては、アミド結合とイミド結合からなる熱可塑性樹脂であり、この中でも特に、芳香族環を含むポリアミドイミド系樹脂が好ましい。該ポリアミドイミド系樹脂の硬度としては、ASTM D785規格(23℃、HR、Eの条件)で、65〜94のものが好ましい。該ポリアミドイミド系樹脂をバインダーとする投射材は、特に高剛性で耐熱性、機械的強度、耐磨耗性、耐薬品性等に優れる。
【0018】本発明で使用される上記ポリオレフィン(TPO)系樹脂としては、ポリエチレン、ハロゲン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等が挙げられ、種々の市販ポリオレフィン系樹脂からも適宜選択して使用できる。該ポリオレフィン系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(230℃、2160g荷重の条件)で、1.4〜400のものが好ましい。該ポリオレフィン系樹脂をバインダーとする投射材は、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また比重及び硬度を低いレベルから広汎に変えることができる利点がある。
【0019】本発明で使用される上記ポリウレタン系樹脂としては、ポリオール類(A)とジイソシアネート類(B)の重合した、一般式(−A−OCO−NH−B−NH−COO−)nで表される熱可塑性樹脂であり、特にポリオール類(A)がビスフェノールAである熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。該ポリウレタン系樹脂をバインダーとする投射材は、特に金属系粒子とバインダーとの接着力が強く、強靭で粘り強い投射材となり得る。
【0020】本発明で使用される上記ポリスチレン系樹脂としては、スチレン単量体の単独重合体及び他のモノマーとの共重合体であり、該ポリスチレン系樹脂のMFIとしては、ASTM D1238G規格(200℃、5000g荷重の条件)で、1.0〜32のものが好ましい。該ポリスチレン系樹脂をバインダーとする投射材も、混練りや押出し等の成形加工が容易で比較的安価に製造でき、また硬度を中から高硬度まで広汎に変えることができる。
【0021】本発明で使用される上記ゴム系樹脂としては、NR、IR、SBR、BR等の汎用ジエン系ゴム、及びCR、IIR、NBR、EPM、CPE、シリコンゴム、フッ素ゴム等の特殊ゴムからなるゴム系熱可塑性樹脂であり、種々の市販ゴム系熱可塑性樹脂も適宜使用できる。このゴム系熱可塑性樹脂をバインダーとする投射材は、低比重で低硬度の投射材となり得るので、ブラスト処理の対象物の損傷や変形を極力避けなければならない用途に適している。
【0022】本発明の投射材として、2種類以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、2種類以上の樹脂をブレンドしたものであっても、2種類以上の樹脂を共重合させたものであってもよく、2種類以上の樹脂のモノマーを共重合させたものであってもよい。
【0023】(金属系粒子)本発明の前記金属系粒子としては、金属粒子及び金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等が挙げられ、これらの中でも特に、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン、SUS、亜鉛、銅、アルミナ、マグネシウム、ジルコニアの中から選ばれる1種単独又は2種以上の併用が好適である。上記の金属系粒子の平均粒径は、0.1〜500μm程度が好ましく、0.5〜300μmの範囲がより好ましく、特に1.0〜100μmの範囲が最も好ましい。
【0024】本発明のブラスト処理用投射材として、上記金属系粒子をそのまま前記熱可塑性樹脂バインダーに混練り乃至分散してもよいが、金属系粒子を高充填する場合、或いは該熱可塑性樹脂との混和性に不足する場合などには、上記金属系粒子の表面を適切なカップリング剤を用いてカップリング処理を施すのが好ましい。
【0025】この目的に用いられるカップリング剤としては、シランカップリング剤が好適で、アルキルチタネート等も使用できる。上記シランカップリング剤としては、ビニル系シランカップリング剤(ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン)、エポキシ系シランカップリング剤(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、メタクリロキシ系シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、アミノ系シランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン))、クロロプロピル系シランカップリング剤(γ−クロロプロピルトリメトキシシラン)、メルカプト系シランカップリング剤(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、アクリロキシ系シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、イソシアネート系シランカップリング剤(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)等がある。
【0026】また、本発明のブラスト処理用投射材として、充填する金属系粒子に投射に影響を与えない程度の磁力を帯びさせることも好ましい場合がある。例えば、ブラスト処理の際、発生した粉塵が互いに吸着し合い飛散することを防止でき、作業環境の改善に役立ち、或いは、処理後の投射材粉末をその磁性を利用して分別回収するのに好都合である。この様に磁力を帯びさせる金属系粒子としては、金属酸化物、フェライト、酸化鉄、SUS等が挙げられる。
【0027】本発明では、上記の金属系粒子の種類や充填量を適宜選択し調節することにより、ブラスト処理用投射材の比重や硬度等を、被処理物体の表面性状やブラスト処理の目的等に対応させて設定し制御することができる。本発明のブラスト処理用投射材の比重は2.0〜12.0の範囲に設定されるのが好ましく、その硬度は、モース硬度で3.0以上であることが好ましい。
【0028】高硬度で高剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を増加させた高比重のブラスト処理用投射材は、硬度が高いので、被投射体が強固であり比較的強くブラスト処理をする必要がある場合に好適である。また、低硬度で低剛性の金属系粒子を選択した、或いは金属系粒子の充填量を減少させた低比重のブラスト処理用投射材は、低硬度であるので、被投射体が柔軟であり比較的ソフトにブラスト処理する場合に好適である。
【0029】上記金属系粒子としての、フェライト、酸化鉄、酸化チタン、バリウム、タングステン等の形状には、特に制限はなく、粒状物、鱗片状物、繊維状物、破砕状物等の何れも使用できる。ここで、球状、破砕状、繊維状の金属系粒子を充填することにより、投射材の整粒時の粉砕工程及び投射時における静電気の発生を防止することができ、いずれの場合も、ブラスト処理による研磨、塗膜剥離、汚れ除去等の効果を向上することができる。
【0030】尚、酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)を含む粒子、具体的には、αFeOOH、βFeOOH、γFeOOH、αFe23γFe2O3Fe2O4MoFe2O3Mo6Fe23等を充填することにより、投射材に着色を付与して色分けをすることが可能となり、製品の仕分けや管理の上で好都合である。
【0031】金属、或いは酸化鉄や酸化鉄を含む化合物(フェライト等)を含む顔料よりなる充填材は、粒径が10μm以下、特に5μm以下、取り分け1μm以下、のものが好ましい。
【0032】本発明のブラスト処理用投射材では、上記金属系粒子の充填量は、熱可塑性樹脂をバインダーとして、20〜95質量%である。該金属系粒子の充填量は、ブラスト効果を一層向上させるために、25〜90質量%が好ましく、特に30〜80質量%が最も好ましい。該充填量が20質量%未満であると、被処理物の表面を十分にブラスト処理することができない、或いはブラスト処理に長時間を要することがあり好ましくない。また、該充填量が90質量%を越える充填材は、その混合や溶融押出し及び粉砕等の加工作業性が極度に悪化することがあり望ましくない。
【0033】本発明のブラスト処理用投射材では、本発明の効果を損なわない範囲で、更に有機充填材や無機充填材、及び静電防止剤や酸化防止剤、老化防止剤、顔料等の添加剤を配合してもよい。この有機充填材としてはセルロース、セルロース誘導体、α−セルロース及び木粉の1種又は2種以上が挙げられる。
【0034】上記の有機充填材を配合することにより投射材の靱性を高めることができる。なお、有機充填材の配合量が50質量部を超えると、投射材の粒子強度が低くなりすぎる。有機充填材を配合する場合は5質量部以上配合することにより上記の効果を十分に得ることができるが、特に10〜40質量部とりわけ20〜30質量部配合することが好ましい。
【0035】本発明の投射材を構成する粒子は、すべて均一組成のものであってもよく、異なる組成の粒子の集合体よりなるものであってもよい。
【0036】(投射材粉体)本発明のブラスト処理用投射材は、上述の金属系粒子及び必要に応じてその他添加剤等を充填してなる複合熱可塑樹脂を、所望の形状及び粒度に調製することにより得られる。具体的には、例えば、次の様な方法が挙げられる。
(1)上記複合熱可塑樹脂の塊(インゴット)を粉砕して、所望の形状及び粒度に整粒して、本発明の投射材とする。
(2)所望の形状及び粒度に型取った金型に、上記複合熱可塑樹脂をインジェクションで射出成形して、本発明の投射材を得る。
(3)上記複合熱可塑樹脂をシート状に押し出して、冷却後ペレタイザ−で所望のペレット形状に裁断する。
(4)上記複合熱可塑樹脂をシート状に押し出して、打ち抜き刃型で所望の形状に切断する。
(5)上記(1)の方法で粉砕して鋭利多角形状にした粒子を、融点がより低い第2の熱可塑樹脂に更に充填した複合熱可塑樹脂の塊(インゴット)を粉砕して、再び、所望の形状及び粒度に整粒して、本発明の投射材とする。尚、金属系粒子を充填して複合熱可塑樹脂を製造する工程以外に、上記の投射材の成形時に、金属系粒子や無機及び有機充填材を加えてもよい。
【0037】本発明のブラスト処理用投射材の平均粒径は、10μm〜10mmであることが好ましく、15μm〜5mmであることがより好ましく、20μm〜2mmが特に好ましい。該平均粒径が10μm未満の投射材では、不十分なブラスト処理効果しか得られないことがあり、また該平均粒径が10mmを越える投射材は、ブラスト処理効果にムラが生じることがあり、いずれの場合も好ましくない。
【0038】本発明のブラスト処理用投射材の中でも特に比較的低比重の投射材は、樹脂成形製品、例えばウレタン等の樹脂製品の表面塗装を除去するためのブラスト処理用に好適である。対象とする塗装としては、ウレタン塗装、アクリル塗装などが挙げられるが、これ以外の塗装であってもよい。該樹脂製品の具体例としては、自動車のバンパー、プレジャーボート等が挙げられる。
【0039】また、航空機の機体上の塗膜を剥離する場合の様に、投射材による変形や損傷(削り過ぎ)を極力避けねばならない用途には、比較的低比重で且つゴム系の熱可塑性樹脂をバインダーとする本発明の投射材を用いることにより、過度な衝撃エネルギーを緩和して塗装を剥がすことができる。更に、高硬度且つ小粒径の金属系粒子を充填した本発明の投射材は、例えば、SUS鋼材などの鏡面研磨、感光ドラムの下地処理、精密金型の洗浄、IC部品のバリ取り等に好適な投射材となり得る。
【0040】他方、比較的高比重の本発明の投射材は、対象物に衝突した際の衝突エネルギーが大きいので、塗装ハンガー(例えば、金属性の)の様に塗膜が厚い対象物の塗装剥離や金属製品の錆び取り等に好適で、従来の金属系投射材の問題とされる対象物の金属表面の削りによる新たな錆びの発生や対象物の変形等の不具合を避けることができる。更に、投射材の比重と粒径を適宜調製することにより、塗装前処理としての金属表面の下地処理の用途においても、金属表面を削り取ることなく表面の異物除去や脱脂処理を行うことができる。また、排水性舗道における道路白線の剥離作業では、従来は路面の骨材剥がれが問題となっていたが、こうした分野においても、本発明の投射材の比重と粒径を最適に選択することにより、骨材剥がれを起こすことなく白線の除去を行なうことができる。
【0041】尚、本発明のブラスト処理用投射材は任意の粒径に容易に整粒できる利点を有するので、本発明の投射材は、前記の粒径範囲内において、その用途、即ち、被処理体の形状や性状に応じて適宜粒径を調整して用いるのが好ましい。例えば、硬い素材や厚い塗膜を有する被投射体に対しては、比較的に粒径の大きい投射材、具体的には粒径500〜10000μmの投射材とし、柔かい素材や薄い塗膜を有する被投射体、樹脂製品、電子部品や塑造品などの高級品に対しては比較的粒径の小さい投射材、具体的には粒径10〜850μmの投射材を用いる様に使い分けることが望ましい。
【0042】ブラスト処理を実施する際に、投射材粉体を流体流と共に高速で吹き付ける方法としては、公知の各種ブラスト法を用いることができるが、作業環境及び後処理の観点より、一般には乾式ブラスト法が望ましい。該乾式ブラスト法には、(イ)粉体をノズルより高い位置にあるタンクに投入し、重力によってタンク底部に設けられた排出口に落下した粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させる重力式ブラスト法、(ロ)粉体圧送タンク内に粉体を封入してタンクに圧縮気体を送り込み、タンク底部に設けられた排出口から排出した粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させる直圧式ブラスト法、(ハ)粉体をノズルより低い位置にあるタンクに投入し、圧縮気体のサクションによってタンク底部に設けられた排出口から排出された粉体を圧縮気体と共にノズルから噴射させるサイフォン式ブラスト法、等が挙げられるが、本発明の投射材は上記いずれのブラスト法にも使用することができる。
【0043】また、遠心法を利用して投射材粉体を流体流と共に高速で吹き付ける方法も好ましい。例えば、図1に示す様に、本投射機は、(図示されていない)円柱形状の中空容器と回転投射羽根とからなり、上記中空容器は容器内の投射材が通過するスリット(及び投射材供給孔)を備え、容器内にはその円柱中心軸の位置に備えられた回転軸と該回転軸の周りに複数の羽根を有する回転投射羽根を備えている。この回転投射羽根を高速で回転させることにより、容器内に滞留する投射材を羽根に衝突させて該投射材に速度を与え、該加速された投射材がスリットを通過して処理対象物に投射される投射方法である。
【0044】上記の圧縮気体としては通常圧縮空気が使用される。ブラスト処理のための粉体搬送量、圧縮気体の圧力、噴射速度は、使用される投射材粉体の性状や形状、対象製品の表面の付着物質の付着状態によって、適宜選択することができる。
【0045】また、本発明のブラスト処理用投射材は、研磨材としても使用できる。上記研磨材の用途としては、例えば、(1)Pタイル等の床面洗浄に用いられるポリシャー用ディスクに配合する研磨材、(2)床面の滑り防止用のノンスリップマットやテープに配合する砥粒、(3)樹脂や金属の研磨及び錆び落し等に用いられるペーストに配合する研磨材、(4)エアーや電動グラインダー用研磨ディスク及びホイール等に配合する研磨材、(5)バレル槽中に加工物と共に入れ回転及び振動等により相対運動を起こさせバリ取りや研磨を行なうバレル研磨加工用の研磨材、等を挙げることができる。
【0046】また、ブラスト処理に使用された後の投射材粉体は、サイクロン等の公知の後処理設備を使用して、付着除去物質及びその他異物から分離回収して、再使用することができる。更に、本発明の投射材粉体は、上記の様に回収後の投射材粉体をそのまま再使用することもできるが、微紛化した或いは鋭利多角形状を失った投射材粉体を、もう一度溶融して熱可塑性樹脂の塊(バルク)或いはペレットとし、再度、粉砕機又は破砕機にかけて粉砕又は破砕して、所望の粒度に整粒することにより、再び元の投射材そのものと同質の投射材粉体が得られる。即ち、本発明の投射材粉体は、再利用(リサイクル)することが可能であり、これが本発明の大きなメリットである。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0048】[実施例1]ナイロン6樹脂(宇部興産(株)製の「1022B」)のペレット20質量部とフェライト(日本弁柄(株)製)の粉末80質量部をヘンシェルミキサー(三井三池製作所(株)製)を用いて良く混合した後、単軸スクリュー式溶融押出し機を用いて温度245℃で押し出して、ナイロン樹脂にフェライト粉末を80質量%充填した複合樹脂塊状物(インゴット)を得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が650μmの本発明の複合樹脂製のブラスト処理用投射材を得た。尚、この投射材の比重は4.4であった。
【0049】上記のブラスト処理用投射材を圧縮空気と共にポリウレタン製の成形体(アクリル塗装品)に噴射してブラスト処理した後、被投射体の塗膜除去と表面状態を観察したところ、アクリル塗膜は完全に除去され、またプラスチック表面の損傷も認められなかった。
【0050】上記のブラスト処理を終えた後に、使用済みの該投射材を分離回収して、再度、スクリュー式溶融押出し機で押し出して、ナイロン樹脂にフェライト粉末を80質量%充填した複合樹脂塊状物を得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が650μmの同様のブラスト処理用投射材を得た。上記と同様にポリウレタン製成形体(アクリル塗装品)をブラスト処理した後、被投射体の塗膜除去と表面状態を観察したところ、アクリル塗膜は完全に除去され、またプラスチック表面の損傷も認められなかった。
【0051】[実施例2]ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製の「タフロンA3000」)のペレット35質量部と酸化第二鉄(戸田工業(株)製)の粉末65質量部をヘンシェルミキサーを用いて混合した後、単軸スクリュー式押出し機を用いて温度280℃で押し出して、ポリカーボネート樹脂に酸化第二鉄粉末を65質量%充填したインゴットを得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が450μmの本発明の複合樹脂製のブラスト処理用投射材を得た。尚、この投射材の比重は3.8であった。
【0052】上記のブラスト処理用投射材を圧縮空気と共にポリプロピレン樹脂製の成形体(ウレタン塗装品)に噴射してブラスト処理した後、被投射体の塗膜除去と表面状態を観察したところ、ウレタン塗膜は完全に除去され、またプラスチック表面の損傷も認められなかった。
【0053】[実施例3]ABS樹脂(三菱モンサント(株)製の「タフレックス210」)のペレット70質量部と酸化チタン(石原産業(株)製)の粉末30質量部をヘンシェルミキサーを用いて良く混合した後、溶融押出し機を用いて温度235℃で押し出して、ABS樹脂に酸化チタンを30質量%充填したインゴットを得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が500μmの本発明の複合樹脂製の投射材を得た。
【0054】上記のブラスト処理用投射材を圧縮空気と共にポリエチレン製成形体(アクリル塗装品)に噴射してブラスト処理した後、被投射体の塗膜除去と表面状態を観察したところ、アクリル塗膜は完全に除去され、またプラスチック表面の損傷も認められなかった。
【0055】更に、実施例1と同様に、使用済みの上記投射材を回収して、溶融し成形して再度、平均粒径が650μmのブラスト処理用投射材を得、同様にポリウレタン製成形体(アクリル塗装品)をブラスト処理したとこり、同様に塗膜除去の効果が得られ、表面の損傷も認められなかった。
【0056】[実施例4]ナイロン6樹脂(宇部興産(株)製の「1022B」)のペレット50質量部とタングステン(東邦金属(株)製)の粉末50質量部をヘンシェルミキサーを用いて良く混合した後、単軸スクリュー式溶融押出し機を用いて温度250℃で押し出して、ナイロン樹脂にフェライト粉末を50質量%充填した複合樹脂塊状物(インゴット)を得た。これを粉砕機で粉砕して分級し、平均粒径が850μmの本発明の複合樹脂製のブラスト処理用投射材を得た。尚、この投射材の比重は10.2であった。
【0057】このブラスト処理用投射材を圧縮空気と共にポリエーテルエーテルケトン製成形体(アクリル塗装品)に噴射してブラスト処理した後、被投射体の塗膜除去と表面状態を観察したところ、アクリル塗膜は完全に除去され、またプラスチック表面の損傷も認められなかった。
【0058】
【発明の効果】以上の詳細説明及び実施例から明らかな様に、本発明によると、硬度及び比重を広汎に変量した複合熱可塑樹脂製からなるブラスト処理用投射材を得ることでき、剛性及び塗膜量が大きく異なる様々な物体のブラスト処理を可能にした。この投射材によると、種々の製品物体の表面を損傷させることなく、汚れや付着物を効率よく完璧に剥離し除去することができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年3月15日(2002.3.15)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2003−266313(P2003−266313A)
【公開日】 平成15年9月24日(2003.9.24)
【出願番号】 特願2002−71991(P2002−71991)