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【発明の名称】 切削液の浄化装置
【発明者】 【氏名】工藤 松菊
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿1丁目7番2号 富士重工業株式会社内

【要約】 【課題】切粉や砥粒等の不純物の除去効率に優れ、簡単かつ安価に構成できると共に、スペースの有効利用も図れる切削液の浄化装置を提供する。

【解決手段】工作機械によって使用された切削液を浄化する切削液の浄化装置10であって、マグネットセパレータ1で切粉等が除去された切削液を貯留する貯留タンク12と、多段状に配置された複数の通路体25と、貯留タンク12の切削液を各通路体25に分配供給する送液ポンプ32及び供給路33と、各通路体25からオーバフローした切削液を集積して切削液タンク30に誘導する回収ダクト29を有し、各通路体25で切削液を淀ませて切削液に混在不純物を沈降させて分離除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 工作機械によって使用された切削液を浄化する切削液の浄化装置において、底面及び周面を有し上記切削液に混在する不純物を沈降させる上方が開放されたボックス状の複数の通路体と、貯留タンクの切削液を上記各通路体に分配供給する切削液分配供給手段と、上記各通路体からオーバフローした切削液を集合して切削液タンクに誘導する切削液集積手段とを備えたことを特徴とする切削液の浄化装置。
【請求項2】 工作機械によって使用された切削液を浄化する切削液の浄化装置において、上記工作機械で使用された切削液を貯留する貯留タンクと、底面及び周面を有し上記切削液に混在する不純物を沈降させる上方が開放されたボックス状の複数の通路体と、該複数の通路体を上下方向に多段状に保持する通路体保持部と、該通路体保持部に保持された各通路体に上記貯留タンクの切削液を分配供給する切削液分配供給手段と、上記各通路体からオーバフローした切削液を集合して切削液タンクに誘導する切削液集積手段とを備えたことを特徴とする切削液の浄化装置。
【請求項3】 上記切削液分配供給手段は、上記貯留タンクの切削液を圧送する送液ポンプと、該送液ポンプによって送出された切削液を分岐して上記各通路体に分配供給する供給路とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の切削液の浄化装置。
【請求項4】 上記各通路体は、上記周面に切り欠き形成された切欠部及び該切欠部に突設されて切欠部からオーバフローした切削液を流出させる排出路を備え、上記切削液集積手段は、上記各通路体の排出路から流出する切削液を受け取り上記切削液タンクに誘導する回収ダクトであることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の切削液の浄化装置。
【請求項5】 上記各通路体は、各々独立して上記切削液分配供給手段及び切削液集積手段から分離した清掃位置に移動可能に上記通路体保持部に保持されたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の切削液の浄化装置。
【請求項6】 上記各通路体は、各々独立して上記通路体保持部から取り外し可能に保持されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の切削液の浄化装置。
【請求項7】 上記通路体は、該通路体の底面の下面にマグネットが配設されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の切削液の浄化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械に用いられる切削液を長期間利用するための切削液の浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば研削盤等の工作機械では、使用した切削液をマグネットセパレータに供給して切粉等の磁性体を分離除去し、その後切削液タンクに貯留し、ポンプによって切削液タンクから各工作機械へ供給して循環使用するようにしている。
【0003】従来、このような切削液の循環装置に用いられる切削液タンクとして、マグネットセパレータで分離除去されなかった残存する切粉や非磁性体の砥粒等が底部に沈降して堆積するのを防止するため、その底部にチップコンベヤを設けて沈降した切粉等を自動的に掻き出すようにしたものがある。
【0004】しかし、容量の比較的小さい切削液タンクでは、コスト及びスペース等の制約により上記チップコンベヤが設けられない場合が多い。
【0005】このため、チップコンベヤを有しない切削液タンクを用いる場合には、マグネットセパレータで除去されなかった残存する微細な切粉や砥粒等の不純物が切削液タンク内の底部に沈降し、固化したスラッジがポンプによって吸引されると、そのスラッジが切削液配管や電磁弁を詰まらせたり、また、その詰まり等によって工作機械の加工精度に影響を及ぼすと共に、工作機械のシリンダやチャック等の可動部分や治具等の摩耗や故障の一因となる。このため、定期的に作業者による切削液タンク内の清掃が必要になる。また、切削液内に切粉や砥粒等の不純物が混入することによって、嫌気性バクテリアが切削液タンク内に繁殖して悪臭を発生する等作業環境に影響を及ぼすと共に、切削液の性能が低下することが懸念される。
【0006】この対策として、切削液の浄化装置が提案されている。例えば実用新案登録第3032345号公報に開示される切削液の浄化装置は、図5に説明図を示すように、工作機械での使用によって切粉や砥粒等が混入した切削液を、ダーティタンク101内に流入させ、ダーティタンク101に所定量溜まると、ポンプ102によってマグネットセパレータ103に送出し、マグネットセパレータ103で切粉等の磁性体を吸着分離し、磁性体が分離した切削液を円筒タンク104内にその内壁近くで接線方向に吐出させて円筒タンク104内に渦流を発生させる。
【0007】この渦流により、マグネットセパレータ103で除去されなかった残存する微細な切粉や砥粒等が徐々に円筒タンク104の内壁に近寄りながら下降して下部の逆円錐部105の底部中央に集積する。この切粉や砥粒等の降下は、円筒タンク104の内壁に設けられたブレード106によって促進される。また、マグネットセパレータ103からの吐出しが止まり渦流が穏やかになると、切粉や砥粒等が徐々に円筒タンク104の中心に回転棒状に集まり、渦流の停止と共に逆円錐部105の底部中央に沈降する。
【0008】残存する切粉や砥粒等の沈降によって浄化された切削液は、ポンプ107によって工作機械に送給される。一方、逆円錐部105に集積された切粉や砥粒等の不純物は、この集積状況を見計らい適宜時期に開閉弁108を開放して補助タンク109内に吊り下げ支持された濾過袋110内へ切削液と共に流下させて回収される。
【0009】また、特開平11−19847号公報に開示される切削液の浄化装置は、図6に全体斜視図を示し、図7に要部断面説明図を示すように、工作機械121で使用された切削液を導入する第1開水路箱111と、第1開水路箱111からの切削液が流入する第1貯留液タンク112と、第1貯留液タンク112内の切削液が供給される多段形開水路装置113と、多段形開水路装置113から流下した切削液を貯留する第3貯留液タンク117と、第3貯留液タンク117内の切削液を送給する送液手段118とを有している。
【0010】多段形開水路装置113は、多段状に配列された複数の第2開水路箱114を有し、各第2開水路箱114は比較的浅く、比較的緩やかに傾斜する開水路114aを備えると共に水路底面114bを切削液の流下方向に段階的に降下させ、その水路終点に切削液を下方に流下させる流出孔114cを備え、かつ各第2開水路箱114は切削液の流下方向が交互に逆向きとなるように配列される。
【0011】工作機械で使用された切削液は、比較的緩やかに傾斜する第1開水路箱111から第1貯留液タンク112に流入し、第1貯留液タンク112内に流入した切削液は、第1送液ポンプ119によって多段形開水路装置113の最上段の第2開水路箱114に供給される。このように供給された切削液は、各第2開水路箱114の水路底面114b上を薄膜状となって流れ、各第2開水路箱114の落下孔114cから落下し、順次下方の第2開水路箱114に流下し、最下段の第2開水路箱114の落下孔114cから第2貯留液タンク115内に流入する。
【0012】第2貯留液タンク115内に流入した切削液は、第2送液ポンプ120によって濾過装置116に供給され、濾過装置116によって濾過されて第3貯留液タンク117内に流入しし、再び工作機械121に供給される。
【0013】この切削液の循環により、第1開水路箱111を流下する切削液に混入する比較的重い切粉等を水路底面上に沈殿させる。一方、多段形開水路装置113は、各第2開水路箱114の水路を流下する切削液中に混在する切粉等を水路底面114b上に沈殿させる。また、第1開水路箱101や多段形開水路装置113で除去されなかった切削液中の切粉等は濾過装置116によって除去される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記実用新案登録第3032345号公報によると、切粉や砥粒等の混入した工作機械から供給される切削液からマグネットセパレータ103で切粉等の磁性体を吸着分離し、更に、切削液を円筒タンク104の内壁近くで接線方向に吐出させて渦流を発生させて残存する微細な切粉や砥粒を逆円錐部105の中央部に沈降させせ切削液の浄化を図っている。
【0015】しかし、逆円錐部105に集積された切粉や砥粒等を適宜時期に開閉弁108を開放して円筒タンク104内から排出する作業は厄介であり、特に逆円錐部105や開閉弁108の近傍に堆積した切粉や砥粒等が固化するとその除去作業に多くの労力を要する。また、開閉弁108の開放により切粉や砥粒と共に切削液を排出することから、その間切削液の浄化が中断され、工作機械等の円滑な連続作業に影響を及ぼすことが懸念される。また、マグネットセパレータ103による切粉等の吸着分離及び円筒タンク104による残存する切粉や砥粒等の沈降だけでは、十分な切削液の浄化が達成されないおそれがある。
【0016】一方、特開平11−19847号公報によると、緩やかに傾斜して折り曲がる第1開水路箱101において工作機械から供給される切削液に混在する比較的重い切粉等を沈降させて除去し、かつ多段形開水路装置113の各第2開水路箱114を順次流下する間に切粉や砥粒等が沈降して除去し、更に残存する切粉等を濾過装置113でスポンジ板で分離除去して切削液の浄化を図っている。また、多段形開水路装置113の各第2開水路箱114が多段に配置することによって多段形開水路装置113の沈降面積の確保を図っている。
【0017】しかし、多段形開水路装置113において、最上段の第2開水路箱114から下方の第2開水路箱114に順に切削液を流下させることによって沈降面積の確保は得られるものの、各第2開水路箱114には第1貯留液タンク112から多段形開水路装置113に供給される切削液の全量が流れることから、その流量が多くなり流速が増大して切粉等が沈降することなく押し流され、かつ第2開水路箱114が比較的緩やかに傾斜する開水路114aに形成されることから、切削液が水路底面114bに沿って流下し、微細な切粉等が沈降することなく流下して切粉等の除去が十分に達成されないおそれがある。
【0018】また、切削液が各第2開水路箱114の落下孔114cから下方の第2開水路箱114に落下することから、この落下部において流れが乱れ切粉等の沈降が阻害され、十分な切削液の浄化が達成されないおそれがある。また、濾過装置116におけるスポンジ板106aでの切粉等の分離除去はその処理効率上好ましいではなく、かつそのメンテナンスも厄介である。
【0019】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、切粉や砥粒等の不純物の除去効率に優れ、簡単かつ安価に構成できると共に、スペースの有効利用も図れる切削液の浄化装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求項1に記載の切削液の浄化装置の発明は、工作機械によって使用された切削液を浄化する切削液の浄化装置において、底面及び周面を有し上記切削液に混在する不純物を沈降させる上方が開放されたボックス状の複数の通路体と、貯留タンクの切削液を上記各通路体に分配供給する切削液分配供給手段と、上記各通路体からオーバフローした切削液を集合して切削液タンクに誘導する切削液集積手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】請求項1の発明によると、貯留タンクからの切削液を切削液分配供給手段によって複数の通路体に分配することによって各通路体における切削液の流量を少なくして流速を抑えると共に有効沈降面積を確保し、かつ各通路体から切削液をオーバフローさせ、そのオーバフローした切削液を切削液集積手段によって集積して切削タンクに誘導して回収することから、各通路体内で切削液が滞留して淀み、その結果、切削液内に混在する微細な切粉や砥粒等の不純物を効率的に沈降することができて、不純物の除去効率の向上が得られる。また、各通路体に切削液を分配供給し、かつ各通路体からオーバフローした切削液を切削液タンクに回収する簡単な構造であり、製造コストが抑制できると共に、コンパクトに形成されて設置スペースの有効利用を図ることができる。
【0022】請求項2に記載の切削液の浄化装置の発明は、工作機械によって使用された切削液を浄化する切削液の浄化装置において、上記工作機械で使用された切削液を貯留する貯留タンクと、底面及び周面を有し上記切削液に混在する不純物を沈降させる上方が開放されたボックス状の複数の通路体と、該複数の通路体を上下方向に多段状に保持する通路体保持部と、該通路体保持部に保持された各通路体に上記貯留タンクの切削液を分配供給する切削液分配供給手段と、上記各通路体からオーバフローした切削液を集合して切削液タンクに誘導する切削液集積手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】請求項2の発明によると複数の通路体により有効沈降面積を確保し、貯留タンクからの切削液を分配供給手段によって多段状に保持された複数の通路体に分配して各通路体における切削液の流量を少なくして流速を抑え、かつ各通路体からオーバフローした切削液を集合して切削タンクに誘導して回収することから、各通路体内で切削液が淀み、不純物を効率的に沈降することができ、不純物の除去効率の向上が得られる。また、各通路体に切削液を分配供給し、かつ各通路体からオーバフローした切削液を切削液集積手段によって切削液タンクに回収する簡単な構造であり、各通路体を多段状に配置することによってコンパクトに構成され、設置スペースの有効利用を図ることができる。
【0024】請求項3に記載の発明は、請求項2の切削液の浄化装置において、上記切削液分配供給手段は、上記貯留タンクの切削液を圧送する送液ポンプと、該送液ポンプによって送出された切削液を分岐して上記各通路体に分配供給する供給路とを備えたことを特徴とする。
【0025】請求項3の発明によると、貯留タンクの切削液を圧送する送液ポンプと、分岐して各通路体に分配供給する供給路によって分配供給手段が構成され、かつ各通路体が多段状に配置されることから供給路を略上下方向に延在させることによって供給路の配設スペースを抑制することができる。
【0026】請求項4に記載の発明は、請求項2〜3のいずれかの切削液の浄化装置において、上記各通路体は、上記周面に切り欠き形成された切欠部及び該切欠部に突設されて切欠部からオーバフローした切削液を流出させる排出路を備え、上記切削液集積手段は、上記各通路体の排出路から流出する切削液を受け取り上記切削液タンクに誘導する回収ダクトであることを特徴とする。
【0027】請求項4の発明によると、各通路体の周面に切欠部及び排出路を設けることによってオーバフローした切削液を所定の方向から流出させることができ、簡単な回収ダクトによって集積手段が構成できる。
【0028】請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれかの切削液の浄化装置において、上記各通路体は、各々独立して上記切削液分配供給手段及び切削液集積手段から分離した清掃位置に移動可能に上記通路体保持部に保持されたことを特徴とする。
【0029】請求項5の発明によると、各通路体を清掃位置に移動することによって他の通路体に影響されることなく底面に付着した不純物除去等の清掃をすることができる。
【0030】請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれかの切削液の浄化装置において、上記各通路体は、各々独立して上記通路体保持部から取り外し可能に保持されたことを特徴とする。
【0031】請求項6の発明によると、各通路体を取り外すことによって、他の通路体に影響されることなく底面に付着した不純物除去等の清掃をすることができる。
【0032】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかの切削液の浄化装置において、上記通路体は、該通路体の底面の下面にマグネットが配設されたことを特徴とする。
【0033】請求項7の発明によると、通路体の底面の下面にマグネットを配設することによって、底面の下面に設けたマグネットによって切粉等の磁性体の沈降を促進すると共に、マグネットによって底面上に切粉等が針状に吸着し、この切粉等によって砥粒等の不純物が捕捉され、より効率的に切削液から切粉や砥粒等の不純物を分離することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明による切削液の浄化装置の実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。
【0035】図1は、切削液循環装置の全体平面図である。この切削液循環装置は、図示しない工作機械、例えば研削盤で使用された切削液をマグネットセパレータ1及び浄化装置10を経て清浄した後、工作機械に循環させるものである。
【0036】マグネットセパレータ1は、図1及び図2に示すように、マグネットセパレータ槽2、モータ3によって回転駆動されるマグネットドラム4、及び該マグネットドラム4の周面に軸方向に先端5aが接して設けられた分離ブレード5を有し、切削液流入路6を経て工作機械から排出される切削液に含まれる切粉等の磁性体を、マグネットドラム4を回転駆動させながら、その周面に吸着させて回収し、分離ブレード5の先端5aで掻き取り、その掻き取った切粉等を切粉受け7に排出するようになっている。このマグネットセパレータ1で切粉等の磁性体が除去された切削液は、排出管8を経て本実施の形態に係わる浄化装置10の貯留タンク12に、その貯留タンク12の一方の端部近傍から供給する。
【0037】図1、マグネットセパレータ1を省略した図1のA矢視図を示す図3、及び図1のB矢視図を示す図4によって浄化装置10を説明する。なお、説明の便宜上図1に示す矢印F方向を前方、矢印R方向を後方と称する。
【0038】浄化装置10は、基台11、マグネットセパレータ1から排出管8を介して供給される切削液を貯留する貯留タンク12、貯留タンク12から供給された切削液を浄化する浄化装置本体20と、浄化装置本体20で浄化された切削液を貯留する切削液タンク30を有している。
【0039】基台11は、前面壁11a、後面壁11b、両側面壁11c、11d、底面壁11e及び上面壁11fによって形成されるボックス状であって、内部を隔壁11gによって区画することによって略矩形の貯留タンク12と切削液タンク30を形成している。
【0040】浄化装置本体20は、基台11に形成された切削液タンク30上に立設された通路体保持部21を有している。通路体保持部21は、切削液タンク30の略全幅に相当して離間すると共に互いに対向して立設する一対の支柱22及び各支柱22に対向して設けられて前後方向に延在する複数のガイドレール23を備えている。本実施の形態では各々10本のガイドレール23が等間隔で各々支柱22に上下に配設されている。
【0041】各対向するガイドレール23の間には上方が開放された通路体25が掛け渡されて多段状に保持されている。
【0042】各通路体25は、略矩形の底面25a、この底面25aの両側縁、前縁、後縁に沿って各々上方に折曲形成された両側面25b、25c、前面25d、後面25eの周面によって形成されて、上方が開放された比較的浅いボックス状である。底面25aは前部範囲が次第に浅くなるように緩やかに傾斜すると共に、この底面25aの下面には複数のマグネット(図示せず)が貼付されて配設されている。また、後面25eから前方に突出するように底面25a上に整流板25fが立設されている。
【0043】更に、後面25eの一方の端部近傍は上縁に沿ってコ字状に切り欠かれ、この切欠部25gからオーバフローした切削液を所定方向に流出させる上方が開放されたコ字状の排出路26が突設されている。一方、後面25eの整流板25fを隔てた他方の端部近傍には上方が開放されたボックス状の供給部27が後方に突出して設けられ、供給部27と通路体25は複数の小孔27aによって連通している。なお、この供給部27は、図4に示すように最上段の通路体25から下方の通路体25に移行するに従って千鳥状に配置されている。即ち、上方から最上段、第3段、第5段、第7段及び第9段に配置される各通路体25に設けられた各供給部27が上下方向に連続する直線状に配置され、かつ第2段、第4段、第6段、第8段、第10段に配置される各通路体25に設けられた各供給部27が上下に連続する直線状に配置される。
【0044】各通路体25の側面25b、25cには各々対向配置されたガイドレール23上を転動するローラ28が軸支され、ローラ28を介してガイドレール23に沿って通路体25が図3に実線で示す使用位置と仮想線で示す清掃位置との間で前後方向に移動可能に掛け渡されている。なお、ガイドレール23には、通路体25を使用位置と清掃位置に各々保持するストッパ等の保持手段を設けることが好ましい。
【0045】また、各通路体25の後面に突設された排出路26からオーバフローして流出する切削液を集合して切削液タンク30に誘導する切削液集積手段が設けられている。切削液集積手段は、上部29aが各通路体25から突出する排出路26の先端を挿入可能に後方から覆う上下方向に連続する断面コ字状でかつ、上部29aに連続する下部29bが断面矩形で切削液タンク30に開口する回収ダクト29によって形成される。この回収ダクト29は、各通路体25に配設される排出路26が上下方向に直線状に配置されることから、各排出路26の先端を覆う断面略コ字状で上下方向に延在する簡単な形状に形成することができる。
【0046】更に、浄化装置10は、貯留タンク12内の切削液を各通路体25に分配供給する切削液分配供給手段31及び切削液タンク30内の切削液を工作機械に供給するシステムポンプ40を備えている。
【0047】切削液分配供給手段31は、貯留タンク12の上記排出管8から離れた他端近傍に配設されて貯留タンク12内の切削液を圧送する送液ポンプ32と、この送液ポンプ32によって送出される切削液を各通路体25に供給する供給路33を有している。
【0048】供給路33は基端が送液ポンプ32に接合すると共に他端が最上段、第3段、第5段、第7段、第9段に配置される各通路体25の各供給部27に沿って上方に延在する第1供給路33Aと、第2段、第4段、第6段、第8段、第10段に配置される各通路体25の各供給部27に沿って上方に延在する第2供給路33Bに分岐している。更に第1供給路33Aは、最上段、第3段、第5段、第7段、第9段に配置される各通路体25の各供給路27に対応して各々分岐し、同様に第2供給路33Bは第2段、第4段、第6段、第8段、第10段に配置される各通路体25の各供給部27に対応して各々分岐し、各先端は各々流量調整手段、例えばボールバルブ34を介在して各供給部27の上方に位置して流出口35が開口している。
【0049】次に、上記のように構成したマグネットセパレータ1及び浄化装置10を備えた切削液循環装置の作動及び作用について説明する。
【0050】切削液タンク30には、必要量の切削液が貯留されており、システムポンプ40によって研削盤等の各工作機械に圧送供給され、各工作機械で使用される。各工作機械で使用された切粉や砥粒等の不純物が混入した切削液は、回収されて切削液流入路6を経てマグネットセパレータ1に流入される。マグネットセパレータ1において、切削液に含まれる切粉等の磁性体を、回転駆動されるマグネットドラム4の周面に吸着させて回収し、分離ブレード5の先端5aで掻き取り、その掻き取った切粉等を切粉受け7に排出する。一方、このマグネットセパレータ1で切粉等の磁性体が除去された切削液は、排出管8から浄化装置10の貯留タンク12に供給される。
【0051】送液ポンプ32は、貯留タンク12内の切削液を供給路33に圧送し、第1供給路33Aから各ボールバルブ34によって流量が調整して各々の流出口35から最上段、第3段、第5段、第7段、第9段に配置される各通路体25の各供給部27に分配されて供給される。同様に第2供給路33Bから各ボールバルブ34によって流量が調整されて各流出口35から第2供給路33Bは第2段、第4段、第6段、第8段、第10段に配置される各通路体25の各供給部27に分配されて供給される。
【0052】ここで、送給ポンプ32から送出される切削液を10個の通路体25全部に相応して配分され、有効沈降面積が確保できると共に、各通路体25に設けられた供給部27に供給される切削液の流量は通路体25の数分の1となり、即ち、本実施の形態では1/10と比較的少くなる。各供給部27に供給された切削液は、図1にその流動状態の概要を矢印で示すように、各流出口35から流出して供給部27に受け止められる際に発生する切削液の乱れを小孔27aによって抑制されて通路体25内に流入する。
【0053】通路体25内に小孔27aから流入した切削液は、後面25e側から側面25bと整流板25fによって前方方向に誘導され、前面25d及び側面25cに沿って迂回して通路体25の全面に分散されると共に、傾斜する底面25aの緩やかに傾斜する前部範囲で及び整流板25fによって切削液の流動が抑制されて緩やかに維持されることと相俟って通路体25内で攪乱することなく淀み、かつ比較的上面付近の切削液、いわゆる上澄みが後面25eに切り欠かれた切欠部25gからオーバフローして排出路26から流出して回収ダクト29のコ字状に形成された上部29aによって受け止められて切削液タンク30内に流下する。
【0054】この際、切削液は通路体25内で十分に淀み滞留することによって、その淀んだ切削液に混在するマグネットセパレータ1で除去できなかった残存する微細な切粉や砥粒等の不純物が効率的に底面25a上に沈降すると共に、底面25aの下面に貼り付けられたマグネットによって切粉等の沈降を促進すると共に、マグネットによって底面25a上に切粉が針状に吸着、換言すると毬状に吸着し、この切粉によって砥粒等の不純物を捕捉して効率的に切削液から切粉や砥粒等の不純物を分離する。切粉や砥粒等が分離除去された切削液のいわゆる上澄みが切欠部25gからオーバフローして排出路26から流出する。
【0055】同様に、各通路体25で切粉や砥粒等が分離除去されて切欠部25gからオーバフローして切削液は、各排出路26から回収ダクト30の上部29aによって受け止められて集積されて切削液タンク30内に流下される。
【0056】切削液タンク30回収された切削液は、再びシステムポンプ40によって各工作機械に圧送供給され、各工作機械で使用される。
【0057】各通路体25の底面25aに沈降して付着した切粉や砥粒等の不純物は、適宜清掃除去する。この切粉等の除去は、清掃除去すべき通路体25に対応するボールバルブ34を閉じて流出口35からの切削液の供給を停止し、当該の通路体15を使用位置から図3に各第1供給装置33A、33Bの各流出口35から供給部27、回収ダクト29の上部29aから排出路26が各々分離するように通路体25を仮想線で示す清掃位置にガイドレール23に沿って引き出し、清掃除去し、しかる後使用位置に戻し、ボールバルブ34を開放して切削液の供給を開始して切削液の浄化を再開する。この清掃除去作業は、各通路体25の清掃除去を順次行うことによって、他の通路体25による切削液浄化が行われ、清掃除去作業中においても中断することなく連続的に洗浄液の浄化を続行することができ、工作機械への切削液の供給に影響を及ぼすことがなく、工作機械による円滑な作業を続行することができる。また、他の通路体25に影響されることなく清掃できる。
【0058】従って、このように構成された浄化装置10によると、送給ポンプ32によって送出される貯留タンク12の切削液を、10個の通路体25に配分されすることによって、有効沈降面積が確保できると共に、各通路体25の流量を少なくして流速を抑制し、各通路体25内で全面に分散されて切削液をオーバフローさせて回収することから、各通路体25内で切削液が滞留して淀み、切削液内に混在する微細な切粉や砥粒等を効率的に沈降することができ、切粉や砥粒等の十分な除去効率が達成できる。また、多段状に配置された各通路体25に送給ポンプ32からの切削液を分配して供給し、かつ各通路体25からオーバフローした切削液を回収ダクト29で切削液タンク30に回収簡単な構造であり、各通路体25が略同一構造に構成されることと相俟って、製造コストが抑制できる。
【0059】また、貯留タンク12及び切削液タンク30が一体的で略矩形に形成され、かつ、その上方に各通路体25を多段状に配置することによって、また、回収ダクト29が上下方向に延在させることから、コンパクトに形成されて、設置した際のスペースの有効利用を図ることができる。
【0060】なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施の形態では、10個の通路体25を多段状に配置したが、通路体25の大きさ等により他の複数の通路体を多段状に配置することも可能であり、また、通路体25に設けられる整流板25fを複数配置することもできる。また、切粉や砥粒等の沈降が十分に達成できる場合は、通路体25の底面25aの下面に配設したマグネットを廃止して構造の簡素化を図ることも可能である、高さ制限される場合には複数の通路体25を2或いは他の複数に分割して多段状に配置することもできる。
【0061】また、各通路体25は、各々独立して通路体保持部21から取り外し可能に保持することによって、他の通路体25に影響されることなく各通路体25の底面25aに沈降付着した不純物除去等の清掃をすることができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明した本発明による切削液の浄化装置によると、貯留タンクからの切削液を分配供給手段によって複数の通路体に分配することによって、有効沈降面積が容易に確保でき、かつ各通路体における切削液の流量を少なくして流速を抑え、かつ切削液をオーバフローさせ、そのオーバフローした切削液を切削液集積手段によって集積して切削タンクに誘導して回収することから、各通路体内で切削液が滞留して淀み、切粉や砥粒等の不純物を効率的に沈降することができ、切粉や砥粒等の不純物の除去効率の向上が得られる。また、各通路体に切削液を分配供給し、かつ各通路体からオーバフローした切削液を切削液集積手段によって切削液タンクに回収する簡単な構造であり、製造コストが抑制できる。特に、各通路体を多段状に配置することによってコンパクトに構成され、設置スペースの有効利用を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号
【出願日】 平成13年10月10日(2001.10.10)
【代理人】 【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
【公開番号】 特開2003−117826(P2003−117826A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−313122(P2001−313122)